(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光電極と、前記光電極に対向する対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に設けられた電解質層とを備えるセルを複数直列接続してなる色素増感型太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記電解質層を設ける位置に対応する位置に形成された電解質層用孔と、セル同士を直列接続するセル接続部に対応する位置に形成された接続部用孔とを有する接着性シートを、基材上に複数の光電極を配設してなる光電極基板上または基材上に複数の対向電極を配設してなる対向電極基板上に配置する工程と、
前記光電極基板上または前記対向電極基板上に配置された前記接着性シートの前記電解質層用孔内に電解液を充填する工程と、
前記電解液の充填後に、前記接着性シートを介して前記光電極基板と前記対向電極基板とを貼り合わせる工程と、
を含む、色素増感型太陽電池モジュールの製造方法。
前記光電極基板と前記対向電極基板とを貼り合わせる前に、前記接着性シートが配置される前記光電極基板上または前記対向電極基板上の前記接着性シートの外周側にシール材を配置する工程を更に含む、請求項1〜4の何れかに記載の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
【0017】
ここで、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法は、複数のセルを直列接続してなる色素増感型太陽電池モジュール、特にはZ型の集積構造を有する色素増感型太陽電池モジュールを製造する際に好適に用いることができる。
【0018】
そして、本発明の製造方法を用いて好適に製造される、Z型の集積構造を有する色素増感型太陽電池モジュールとしては、特に限定されることなく、例えば
図1に厚み方向の断面図を示すような色素増感型太陽電池モジュール10が挙げられる。
【0019】
ここで、
図1に示す色素増感型太陽電池モジュール10は、隔壁8により区画された複数の(図示例では4つの)セルを直列接続してなる色素増感型太陽電池モジュールであり、所謂Z型の集積構造を有している。この色素増感型太陽電池モジュール10は、光電極用基材1および光電極用基材1上に互いに離隔させて設けられた複数の(図示例では4つの)光電極2を備える光電極基板3と、対向電極用基材5および対向電極用基材5上に互いに離隔させて設けられた複数の(図示例では4つの)対向電極6を備える対向電極基板7とが、互いに隣接する光電極2間および対向電極6間に各セルを区画する隔壁8を介在させた状態で、各セルを形成する光電極2と対向電極6とが電解質層4を介して互いに対向するように、且つ、隣接するセル間で一方のセルの光電極2と他方のセルの対向電極6とがセル接続部9を介して電気的に接続されるように貼り合わされた構造を有している。そして、色素増感型太陽電池モジュール10の各セルは、光電極2と、光電極2に対向する対向電極6と、光電極2と対向電極6との間に設けられた電解質層4とを備えている。
【0020】
なお、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法で製造し得る色素増感型太陽電池モジュールの構造は、
図1に示される構造に限定されるものではない。具体的には、
図1に示す色素増感型太陽電池モジュール10は、光電極用基材1上に設けられた光電極用導電層21と、光電極用導電層21上の一部に設けられた、増感色素を吸着させた多孔質半導体微粒子層22とを備える光電極2を有しているが、本発明の製造方法で製造される色素増感型太陽電池モジュールの光電極は、色素増感型太陽電池を形成し得る任意の光電極とすることができる。また、色素増感型太陽電池モジュール10は、対向電極用基材5上に設けられた対向電極用導電層61と、対向電極用導電層61上の一部に設けられた触媒層62とを備える対向電極6を有しているが、本発明の製造方法で製造される色素増感型太陽電池モジュールの対向電極は、色素増感型太陽電池を形成し得る任意の対向電極とすることができる。更に、色素増感型太陽電池モジュール10では、触媒層62よりも幅広の対向電極用導電層61の表面の一部と、増感色素を吸着させた多孔質半導体微粒子層22よりも幅広の光電極用導電層21の表面の一部とをセル接続部9を介して電気的に接続しているが、セル同士を直列接続する構造および位置は
図1に示す構造および位置に限定されるものではない。
【0021】
そして、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例によれば、例えば
図2〜3に示すようにして、色素増感型太陽電池モジュールを製造することができる。また、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例によれば、例えば
図4〜5に示すようにして、色素増感型太陽電池モジュールを製造することができる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例および他の例について、順次説明する。
【0022】
(色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例)
本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例では、まず、
図2に製造工程の前半部分を示すように、光電極2を備える光電極基板3を作製した後(光電極基板作製工程)、作製した光電極基板3の上に、電解質層4を設ける位置に対応する位置に形成された電解質層用孔81と、セル同士を直列接続するセル接続部9に対応する位置に形成された接続部用孔82とを有する接着性シート8を配置する(シート配置工程)。次に、
図3に示すように、光電極基板3上に配置された接着性シート8の接続部用孔82内に硬化性の導電性樹脂組成物92を充填し(樹脂組成物充填工程)、更に、接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填する(電解液充填工程)。その後、
図3に示すように、対向電極6を備える対向電極基板7を、接着性シート8を介して光電極基板3と貼り合わせ(貼り合わせ工程)、更に、導電性樹脂組成物92を硬化させてセル接続部9を形成すると共に光電極基板3と対向電極基板7とを強固に接着させる(接着工程)。
【0023】
<光電極基板作製工程>
ここで、光電極基板作製工程では、製造する色素増感型太陽電池モジュールが有するセルの数に応じた数の(図示例では4つの)光電極2を光電極用基材1上に形成する。また、光電極基板作製工程では、任意に、セル接続部9の一部を構成し得る配線91も光電極用基材1上に形成する。
【0024】
具体的には、光電極基板作製工程では、まず、
図2(a)に示すように、形成するセルの数に応じた複数の(図示例では4つの)光電極用導電層21を互いに離隔させて光電極用基材1上に形成する。次に、
図2(b)に示すように、光電極用基材1上に形成した光電極用導電層21の上に、配線91を形成する。その後、
図2(c)に示すように、増感色素を吸着させた多孔質半導体微粒子層22を各光電極用導電層21の上の一部に形成して、光電極基板3を得る。ここで、配線91と、多孔質半導体微粒子層22とは、互いに離隔させて光電極用導電層21上に形成する。
なお、
図2に示す例では、光電極用導電層21を形成した後、多孔質半導体微粒子層22を形成する前に配線91を形成しているが、多孔質半導体微粒子層22は配線91を形成する前に光電極用導電層21上に形成してもよい。更に、配線91の形成は、シート配置工程を実施した後に行ってもよい。
【0025】
ここで、光電極用基材1としては、特に限定されることなく、ガラス板やプラスチックフィルム等の可視領域で透明性を有する既知の基材を用いることができる。中でも、薄厚で可撓性に優れる色素増感型太陽電池モジュールを得る観点からは、光電極用基材1としては、可撓性を有するプラスチックフィルムを用いることが好ましい。なお、可撓性を有するプラスチックフィルムとしては、特に限定されることなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
【0026】
また、光電極用導電層21としては、特に限定されることなく、金属および金属酸化物などの導電性を有する材料から構成される導電層や、金属、金属酸化物、導電性炭素材料などの導電性を有する材料から構成される導電層などの既知の導電層を用いることができる。中でも、光電極用導電層21としては、透明導電層を用いることが好ましく、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)や酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物から構成される透明導電層、或いは、カーボンナノチューブ等の導電性を有する繊維状炭素ナノ材料から構成される透明導電層を用いることがより好ましい。なお、カーボンナノチューブ等の導電性を有する繊維状炭素ナノ材料から構成される透明導電層は、さらに該材料を結着するための結着材を含んでいてもよい。また、光電極用基材1上に光電極用導電層21を形成する方法としては、スパッタリングとエッチングとを組み合わせた方法や、スクリーン印刷など、既知の形成方法を用いることができる。
【0027】
更に、配線91としては、特に限定されることなく、金属および金属酸化物などの導電性を有する材料からなる配線を用いることができる。中でも、セル接続部9の抵抗を低減して色素増感型太陽電池モジュールの光電変換効率を高める観点からは、配線91としては、銅配線、金配線、銀配線、アルミニウム配線などの金属配線を用いることが好ましい。なお、光電極用導電層21上に配線91を形成する方法としては、スパッタリングやスクリーン印刷などの既知の形成方法を用いることができる。
【0028】
増感色素を吸着させた多孔質半導体微粒子層22としては、特に限定されることなく、酸化チタンなどの酸化物半導体の粒子を含む多孔質半導体微粒子層に対して有機色素や金属錯体色素などの増感色素を吸着させてなる多孔質半導体微粒子層を用いることができる。なお、光電極用導電層21上に多孔質半導体微粒子層を形成する方法としては、スクリーン印刷やコーティングなどの既知の形成方法を用いることができる。また、多孔質半導体微粒子層に増感色素を吸着させる方法としては、増感色素を含む溶液中への多孔質半導体微粒子層の浸漬などの既知の方法を用いることができる。
【0029】
<シート配置工程>
次に、シート配置工程では、
図2(d)に示すように、電解質層用孔81および接続部用孔82を有する接着性シート8を光電極基板3の上に配置する。具体的には、シート配置工程では、電解質層4を設ける位置に対応する位置に形成された電解質層用孔81とセル接続部9を設ける位置に対応する位置に形成された接続部用孔82とを有する接着性シート8を、電解質層用孔81が電解質層4を設ける場所上に位置するように、且つ、接続部用孔82がセル接続部9を設ける場所上に位置するように、光電極基板3上に配置する。より具体的には、接着性シート8は、例えば
図3(a)に示すように、増感色素を吸着させた多孔質半導体微粒子層22が電解質層用孔81内に収容されると共に配線91が接続部用孔82内に収容され、更に、接続部用孔82内に設けられるセル接続部9を介して光電極2と対向電極6とが電気的に接続可能なように、光電極基板3上に配置される。
【0030】
ここで、接着性シート8は、後述する貼り合わせ工程において光電極基板3と対向電極基板7とを貼り合わせる際に光電極基板3と対向電極基板7とを接着すると共に、色素増感型太陽電池モジュールの各セルを区画する隔壁となるシートである。また、接着性シート8は、後述する樹脂組成物充填工程および電解液充填工程において、液状の樹脂組成物や電解液を堰き止める堰としても機能し得る。
【0031】
そして、接着性シート8としては、特に限定されることなく、接着性と、色素増感型太陽電池モジュールの形成に用いられる電解液に対する耐久性とを有する樹脂を用いて形成したシートを用いることができる。具体的には、接着性シート8としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂などの樹脂を用いて形成したシート(例えば、サーリンフィルムなど)を用いることができる。
【0032】
ここで、接着性シート8は、熱可塑性シートであってもよいし、活性放射線もしくは紫外線の照射、または、加熱により硬化する硬化性シートであってもよい。中でも、接着性シート8は、熱可塑性シートであることが好ましい。
【0033】
なお、電解質層用孔81、接続部用孔82および接着性シート8の寸法は、所望のセルおよび色素増感型太陽電池モジュールの寸法に応じて適宜調整し得る。但し、配線91として金属配線を使用し、配線91と硬化性の導電性樹脂組成物92とを用いてセル接続部9を形成する場合には、接続部用孔82の幅は、配線91の幅の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、3.0倍以下であることが好ましく、2.0倍以下であることがより好ましい。接続部用孔82の幅が配線91の幅の1.1倍以上であれば、配線91と接続部用孔82の壁面との間に隙間を設け、後述する樹脂組成物充填工程において配線91と接続部用孔82の壁面との間に導電性樹脂組成物92を入り込ませることができる。従って、色素増感型太陽電池モジュールの使用中に電解質層4を形成する電解液が接着性シート8と光電極基板3との間から滲み出した場合であっても、電解液によって配線91が腐食するのを抑制することができるからである。一方、接続部用孔82の幅が配線91の幅の3.0倍以下であれば、セル接続部9の形成に用いられる導電性樹脂組成物92の量が増大してセル接続部9の抵抗が増大するのを抑制することができるからである。従って、接続部用孔82の幅を上記範囲内にすれば、長期信頼性および光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池モジュールが得られる。
【0034】
<樹脂組成物充填工程>
樹脂組成物充填工程では、
図3(a)に示すように、光電極基板3上に配置された接着性シート8の接続部用孔82内に硬化性の導電性樹脂組成物92を充填する。なお、樹脂組成物充填工程は、後述する電解液充填工程の後に実施してもよい。
【0035】
ここで、硬化性の導電性樹脂組成物92としては、特に限定されることなく、金属、金属酸化物、導電性炭素材料などの導電性を有する材料と、活性放射線もしくは紫外線の照射、または、加熱により硬化する硬化性樹脂とを含む既知の組成物が挙げられる。中でも、導電性樹脂組成物92としては、色素増感型太陽電池モジュールの長期信頼性を向上させる観点から、加熱により硬化する硬化性樹脂を含む組成物が好ましい。硬化性樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;シリコーン樹脂;などが挙げられる。当該樹脂には、ラジカル開始剤、カチオン硬化剤、アニオン硬化剤などの任意の硬化剤を用いることができ、重合形式も、付加重合、開環重合など、特に限定されない。また、接続部用孔82内への導電性樹脂組成物92の充填は、特に限定されることなく、スクリーン印刷装置やディスペンサーなどを用いて行うことができる。
【0036】
なお、上述した接着性シート8として熱可塑性シートを用いる場合には、導電性樹脂組成物92としては、加熱により硬化する熱硬化性樹脂を含む組成物を使用することが特に好ましい。接着性シート8が熱可塑性を有する場合、導電性樹脂組成物92として熱硬化性樹脂を含む組成物を使用すれば、後述する接着工程において一度の加熱で導電性樹脂組成物92の硬化と光電極基板3および対向電極基板7の接着とを達成することができるからである。
【0037】
<電解液充填工程>
電解液充填工程では、
図3(b)に示すように、光電極基板3上に配置された接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填して電解質層4を形成する。なお、
図3(b)では、電解質層用孔81の上端まで電解液を充填しているが、電解液の充填量は、形成されるセル内に空気が混入しない範囲内であれば任意に調整することができる。
【0038】
ここで、電解液としては、特に限定されることなく、色素増感型太陽電池において使用し得る任意の液状、ゲル状および固体状の電解液を用いることができる。また、電解質層用孔81内への電解液の充填は、特に限定されることなく、スクリーン印刷装置やディスペンサーなどを用いて行うことができる。
【0039】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程では、
図3(c)に示すように、セルの数に応じた数の(図示例では4つの)対向電極6を備える対向電極基板7を、接着性シート8を介して光電極基板3と貼り合わせる。具体的には、貼り合わせ工程では、対向電極基板7と光電極基板3とを、対向電極6の少なくとも一部と光電極2の少なくとも一部とが電解質層4を挟んで対向する(即ち、セルを形成する)ように貼り合わせる。なお、セル内に空気が混入するのを防止する観点からは、貼り合わせは、減圧環境下で実施することが好ましい。
【0040】
ここで、対向電極基板7としては、特に限定されることなく、対向電極用基材5と、対向電極用基材5上に互いに離隔させて形成された対向電極6とを備える基板を用いることができる。また、対向電極6としては、対向電極用基材5上に形成された対向電極用導電層61と、対向電極用導電層61上に形成された触媒層62とを備える対向電極を用いることができる。なお、図示例では、対向電極基板7と光電極基板3とは、対向電極6の触媒層62と光電極2の多孔質半導体微粒子層22とが電解質層4を挟んで対向するように貼り合わされている。
【0041】
そして、対向電極用基材5としては、光電極用基材1と同様の基材を用いることができる。
【0042】
また、対向電極用導電層61としては、光電極用導電層21と同様の導電層を用いることができる。
【0043】
更に、触媒層62としては、白金や炭素材料などの触媒として機能し得る成分を含む任意の触媒層を用いることができる。
【0044】
<接着工程>
そして、接着工程では、
図3(d)に示すように、導電性樹脂組成物92を硬化させてセル接続部9を形成すると共に、光電極基板3と対向電極基板7とを強固に接着させる。なお、
図3(d)に示す例では、配線91と、導電性樹脂組成物92を硬化させてなる硬化物93とで構成されるセル接続部9を介して、一方の(図では左側の)セルの対向電極6の対向電極用導電層61と、他方の(図では右側の)セルの光電極2の光電極用導電層21とが電気的に接続される。
【0045】
ここで、導電性樹脂組成物92を硬化させる方法は、導電性樹脂組成物92に含まれている硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。なお、前述したように、接着性シート8として熱可塑性シートを使用し、導電性樹脂組成物92として熱硬化性樹脂を含む組成物を使用した場合には、一度の加熱で導電性樹脂組成物92の硬化と光電極基板3および対向電極基板7の接着とを達成することができるので、色素増感型太陽電池モジュールを効率的に製造することができる。更に、接着性シート8として熱可塑性シートを使用すれば、加熱により接着性シート8を光電極基板3および対向電極基板7の形状に良好に追従させることができる。但し、接着性シート8として熱可塑性シートを使用する場合、接着性シート8および導電性樹脂組成物92を加熱する温度は、導電性樹脂組成物92に含まれている硬化性樹脂の硬化温度以上であって、接着性シート8の軟化点よりも10℃高い温度以下であることが好ましい。換言すれば、熱可塑性を有する接着性シート8と組み合わせて使用する硬化性樹脂の硬化温度は、接着性シート8の軟化点よりも10℃高い温度以下であることが好ましい。過度に高い温度で接着性シート8を加熱した場合、接着性シート8が過度に軟化して接着性が低下したり、電解液が漏洩したりする虞があるからである。なお、軟化点および硬化温度は、示差走査熱量測定および粘弾性測定にて測定することができる。また、接着性シート8および導電性樹脂組成物92を加熱する温度は、電解質層4内での気泡の発生を抑制する観点からは、電解質層4を形成する電解液の沸点未満であることが好ましい。
【0046】
そして、上述した色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例によれば、接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填した後に光電極基板3と対向電極基板7とを貼り合わせているので、貼り合わせ後に基板に孔を形成して電解液を充填する工程を不要とし、色素増感型太陽電池モジュールを効率的に製造することができる。
【0047】
また、外力が加えられた際に変形し易い液体状のシール材ではなく接着性シート8を使用しているので、光電極基板3と対向電極基板7とを貼り合わせる際の位置精度および高さ精度を十分に高めることができる。更に、光電極基板3と対向電極基板7とを貼り合わせて得た積層体および色素増感型太陽電池モジュールの強度を適度に高めて、積層体および色素増感型太陽電池モジュールのハンドリング性を向上させることができる。また、接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填しているので、液体状のシール材を使用した場合と比較して電解液との接触面での接着性シート8の溶解や変形を抑制し、光電極基板3と対向電極基板7との貼り合わせ強度を高めることができる。
【0048】
更に、上述した色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の一例では金属配線などの配線91と導電性樹脂組成物92とを用いてセル接続部9を形成しているので、導電性樹脂組成物92のみを用いてセル接続部9を形成した場合と比較し、セル接続部9の電気抵抗を低減することができる。また、スクリーン印刷装置やディスペンサーなどを用いて接続部用孔82内に容易に充填し得る導電性樹脂組成物92を用いてセル接続部9を容易に形成することができる。更に、導電性樹脂組成物92を硬化させてなる硬化物93を介して光電極基板3と対向電極基板7とを強固に、且つ、優れた高さ精度で接着させることができる。
【0049】
(色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例)
本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例では、接着性シート8を光電極基板3上ではなく対向電極基板7上に配置し、対向電極基板7上に配置された接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填し、対向電極基板7上に配置された接着性シート8の接続部用孔82内に硬化性の導電性樹脂組成物92を充填する以外は、先の一例の製造方法と同様にして色素増感型太陽電池モジュールを製造することができる。
なお、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例で使用する各部材は、先の一例と同様の部材であるので、以下では詳細な説明は省略する。
【0050】
具体的には、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例では、まず、
図4に製造工程の前半部分を示すように、対向電極6を備える対向電極基板7を作製した後(対向電極基板作製工程)、作製した対向電極基板7の上に、電解質層4を設ける位置に対応する位置に形成された電解質層用孔81と、セル同士を直列接続するセル接続部9に対応する位置に形成された接続部用孔82とを有する接着性シート8を配置する(シート配置工程)。次に、
図5に示すように、接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填し(電解液充填工程)、更に、対向電極基板7上に配置された接着性シート8の接続部用孔82内に硬化性の導電性樹脂組成物92を充填する(樹脂組成物充填工程)。その後、
図5に示すように、対向電極6を備える対向電極基板7を、接着性シート8を介して光電極基板3と貼り合わせ(貼り合わせ工程)、更に、導電性樹脂組成物92を硬化させてセル接続部9を形成すると共に光電極基板3と対向電極基板7とを強固に接着させる(接着工程)。
【0051】
<対向電極基板作製工程>
ここで、対向電極基板作製工程では、製造する色素増感型太陽電池モジュールが有するセルの数に応じた数の(図示例では4つの)対向電極6を対向電極用基材5上に形成する。また、対向電極基板作製工程では、任意に、セル接続部9の一部を構成し得る配線91も対向電極用基材5上に形成する。
【0052】
具体的には、対向電極基板作製工程では、まず、
図4(a)に示すように、形成するセルの数に応じた複数の(図示例では4つの)対向電極用導電層61を互いに離隔させて対向電極用基材5上に形成する。次に、
図4(b)に示すように、触媒層62を各対向電極用導電層61の上の一部に形成する。その後、
図4(c)に示すように、対向電極用基材5上に形成した対向電極用導電層61の上に配線91を形成して、対向電極基板7を得る。なお、配線91と触媒層62とは、互いに離隔させて対向電極用導電層61上に形成する。
ここで、
図4に示す例では、触媒層62を形成した後に配線91を形成しているが、配線91は、触媒層62を形成する前に対向電極用導電層61上に形成してもよい。更に、配線91の形成は、シート配置工程を実施した後に行ってもよい。
【0053】
<シート配置工程>
シート配置工程では、
図4(d)に示すように、電解質層用孔81および接続部用孔82を有する接着性シート8を対向電極基板7の上に配置する。具体的には、シート配置工程では、電解質層4を設ける位置に対応する位置に形成された電解質層用孔81とセル接続部9を設ける位置に対応する位置に形成された接続部用孔82とを有する接着性シート8を、電解質層用孔81が電解質層4を設ける場所上に位置するように、且つ、接続部用孔82がセル接続部9を設ける場所上に位置するように、対向電極基板7上に配置する。より具体的には、接着性シート8は、例えば
図4(d)に示すように、触媒層62が電解質層用孔81内に収容されると共に配線91が接続部用孔82内に収容され、更に、接続部用孔82内に設けられるセル接続部9を介して対向電極6と光電極2とが電気的に接続可能なように、対向電極基板7上に配置される。
【0054】
<電解液充填工程>
電解液充填工程では、
図5(a)に示すように、対向電極基板7上に配置された接着性シート8の電解質層用孔81内に電解液を充填して電解質層4を形成する。なお、電解液の充填は先の一例の電解液充填工程と同様にして行うことができる。また、電解液充填工程は、後述する樹脂組成物充填工程の後に実施してもよい。
【0055】
<樹脂組成物充填工程>
また、樹脂組成物充填工程では、
図5(b)に示すように、対向電極基板7上に配置された接着性シート8の接続部用孔82内に硬化性の導電性樹脂組成物92を充填する。なお、導電性樹脂組成物の充填は先の一例の樹脂組成物充填工程と同様にして行うことができる。
【0056】
<貼り合わせ工程および接着工程>
貼り合わせ工程および接着工程は、
図5(c)および
図5(d)に示すように、接着性シート8を配置した対向電極基板7に光電極2を備える光電極基板3を貼り合わせること以外は先の一例の貼り合わせ工程および接着工程と同様にして実施することができる。
【0057】
そして、上述した色素増感型太陽電池モジュールの製造方法の他の例によれば、先の一例と同様に、貼り合わせ後に基板に孔を形成して電解液を充填する工程を不要とし、色素増感型太陽電池モジュールを効率的に製造することができる。
【0058】
また、先の一例と同様に、光電極基板3と対向電極基板7とを貼り合わせる際の位置精度および高さ精度を十分に高めることができる。更に、先の一例と同様に、積層体および色素増感型太陽電池モジュールのハンドリング性を向上させると共に、光電極基板3と対向電極基板7との貼り合わせ強度を高めることができる。
【0059】
更に、先の一例と同様に、導電性樹脂組成物92のみを用いてセル接続部9を形成した場合と比較し、セル接続部9の電気抵抗を低減することができると共にセル接続部9を容易に形成することができる。また、導電性樹脂組成物92を硬化させてなる硬化物93を介して光電極基板3と対向電極基板7とを強固に、且つ、優れた高さ精度で接着させることができる。
【0060】
以上、一例および他の例を用いて本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法について説明したが、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法は、上記一例および他の例に限定されることはなく、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法には、適宜変更を加えることができる。
【0061】
具体的には、上述した一例および他の例の工程の一部は、他の工程と置き換えてもよいし、省略してもよい。例えば、配線の形成を実施することなく、導電性を有する熱可塑性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物のみを用いてセル接続部9を形成してもよい。また、樹脂組成物充填工程を実施することなく、配線と、配線上に設けられた導電性接着剤とでセル接続部9を形成してもよい。
【0062】
また、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法では、接着性シートの外周側をシール材で更に囲繞してもよい。具体的には、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの製造方法では、貼り合わせ工程を実施する前に、接着性シートが配置される光電極基板上または対向電極基板上の、接着性シートが配置される位置の外周側にシール材を配置する工程(シール材配置工程)を実施してもよい。シール材配置工程を実施すれば、得られる色素増感型太陽電池モジュールの長期信頼性を更に向上させることができる。なお、シール材としては、色素増感型太陽電池モジュールの製造に使用し得る既知のシール材を使用することができるが、中でも、熱可塑性を有するシール材を用いることが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、色素増感型太陽電池モジュールの貼り合わせ状態、光電変換効率および信頼性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
【0064】
<接着工程後の貼り合わせ状態>
接着工程後の電解液のシール状態を目視およびデジタルマイクロスコープ(倍率:50倍)で観察し、以下の基準で判断した。電解液で膨潤、溶解または貫通している部分がなければ、シール性に優れていると言える。
A:電解質層の周囲に電解液で膨潤、溶解または貫通している部分がない。
B:電解質層の周囲に電解液で膨潤、溶解または貫通している部分がある。
<光電変換効率>
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mW/cm
2(JIS C8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池モジュールをソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続し、以下の電流電圧特性の測定を行なった。
1sunの光照射下、バイアス電圧を0Vから0.8Vまで0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化させた後、0.05秒後から0.15秒後までの値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8Vから0Vまで変化させる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流とした。
上記の電流電圧特性の測定結果より、光電変換効率(%)を算出し、以下の基準で評価した。
A:光電変換効率が3.0%以上
B:光電変換効率が2.5%以上3.0%未満
C:光電変換効率が2.5%未満
<信頼性>
作製した色素増感型太陽電池モジュールを恒温恒湿槽(60℃、60RH%)に2日間放置した。そして、放置後の色素増感型太陽電池モジュールについて、上記と同様にして、光電変換効率(%)を算出し、以下の基準で評価した。
A:光電変換効率が3.0%以上
B:光電変換効率が2.5%以上3.0%未満
C:光電変換効率が2.5%未満
【0065】
(実施例1)
以下のようにして色素増感型太陽電池のセルが5つ直列接続された色素増感型太陽電池モジュールを作製した。そして、色素増感型太陽電池モジュールの貼り合わせ状態、光電変換効率および長期信頼性を評価した。結果を表1に示す。
<色素増感型太陽電池モジュールの作製>
[光電極基板作製工程]
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムからなる光電極用基材上に酸化インジウムスズ(ITO)からなる導電層を有する厚さ125μmのITO−PENフィルム(サイズ:10cm×10cm)を準備した。そして、ITO−PENフィルムの中央の6cm×6cmの領域に、左側から、16mm、11mm、11mm、11mmの間隔となるように、ITO用のエッチングペーストを幅0.13mm×長さ6cmでスクリーン印刷した。その後、乾燥させたエッチングペーストを剥がすことで、PENフィルム上のITO層の一部をエッチングし、PENフィルムからなる光電極用基材上にITOからなる光電極用導電層を5つ形成した。更に、光電極用導電層を設けたPENフィルムを高圧水銀灯で表面処理した後、光電極用導電層上に、濃度5mMのチタンイソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液をバーコート法により塗布し、乾燥させた。その後、150度のホットプレート上で15分間乾燥させることで、バッファ層を製膜した。
次に、光電極用導電層を設けたPENフィルムの中央の6cm×6cmの領域に、左側から5mmの部分に幅5mm×長さ60mmの銀配線をスクリーン印刷し、更に、エッチングした各領域の左側から0.2mmの部分に、幅0.7mm×長さ6cmの銀配線(集電配線)をスクリーン印刷した。スクリーン印刷用の銀ペーストは、ペルノックスK3105を用いた。銀を印刷後、150度で30分間加熱処理することで、銀を定着させた。乾燥後の銀配線の厚みは、8μmであった。
その後、光電極用導電層および銀配線を設けたPENフィルムの表面に高圧水銀灯の光を照射し、表面を親水処理した。そして、各光電極用導電層上の、ITOをエッチングした領域と銀配線を形成した領域との中央に、多孔質半導体微粒子層としての酸化チタン層(幅7mm×長さ55mm)をスクリーン印刷した。スクリーン印刷用のペーストは、水系の酸化チタンペースト(ペクセル・テクノロジーズ(株)社製、PECC−AW1−01)を使用した。酸化チタン層の厚みは、8μmであった。その後、150度で30分間熱処理した。
光電極用導電層、銀配線および酸化チタン層を設けたPENフィルムの中央の6cm×6cmの領域を、カッターナイフで切り取り、6cm×6cmの基板を得た。そして、濃度0.3mMのN719色素(立山化成製)のエタノール溶液に基板を浸漬し、40度の恒温槽内で2時間静置したのち、基板を取り出した。次に、エタノールで洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥することで、酸化チタン層に増感色素としてのN719色素を吸着させ、光電極基板を得た。
[対向電極基板作製工程]
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムからなる対向電極用基材上に酸化インジウムスズ(ITO)からなる導電層を有する厚さ125μmのITO−PENフィルム(サイズ:10cm×10cm)を準備した。そして、ITO−PENフィルムの中央の6cm×6cmの領域に、左側から、16mm、11mm、11mm、11mmの間隔となるように、ITO用のエッチングペーストを幅0.13mm×長さ6cmでスクリーン印刷した。その後、乾燥させたエッチングペーストを剥がすことで、PENフィルム上のITO層の一部をエッチングし、PENフィルムからなる対向電極用基材上にITOからなる対向電極用導電層を5つ形成した。
次に、対向電極用導電層を設けたPENフィルムの左側から5mmの部分、上側から2.5mmの部分、下側から2.5mmの部分、右側から2.0mmの部分を、スコッチテープでマスクした。ここに、白金ナノコロイド溶液(田中貴金属製)を、バーコートにより塗布し、乾燥した。その後、スコッチテープをはがし、加熱水蒸気で処理することにより、白金触媒を定着させて触媒層を形成した。
対向電極用導電層、触媒層および銀配線を設けたPENフィルムの中央の6cm×6cmの領域を、カッターナイフで切り取り、6cm×6cmの対向電極基板を得た。
[シート配置工程]
熱可塑性を有するシートとして、外形が55mm×60mmのサーリンフィルム(厚み25μm、軟化点120℃)を準備した。そして、サーリンフィルムを市販のカッティングマシンによりに切り欠き、各光電極用導電層上に設けた各酸化チタン層に対応する位置に、酸化チタン層とサーリンフィルムとが直接、接しないように電解質用孔を形成した。また、同様にして、各光電極用導電層上に設けた各銀配線に対応する位置に表1に示す幅の接続部用孔を形成して、接着性シートを得た。
そして、光電極基板上に接着性シートを圧着(120℃、15秒間)した。
[電解液充填工程]
電解液(ペクセル・テクノロジーズ(株)社製、PECE−G3)をディスペンサーで電解質用孔に充填した。
[樹脂組成物充填工程]
熱硬化性樹脂であるエポキシ系樹脂(スリーエム製、スコッチウェルドEW2050、硬化温度120℃)に、導電性材料であるミクロパールAU(積水樹脂製、粒子径8μm)を3体積%添加し、自転公転ミキサーにより均一に混合して得た樹脂組成物を、ディスペンサーで接続部用孔に充填した。
[貼り合わせ工程]
アルミニウム製の貼り合せ用の治具の下基板に光電極基板を置き、その上に、対向電極基板を重ねた。
[接着工程]
その後、治具の上部を組み合わせてから、120℃に加熱したホットプレートに置き、500gの重りをのせて、15分間熱圧着した。その後、ホットプレートから治具をおろし、圧力をかけたまま放冷した。その後、得られた色素増感型太陽電池モジュールを治具から取り出した。
【0066】
(実施例2〜3)
シート配置工程において、サーリンフィルムに形成する接続部用孔の幅を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池モジュールを作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例4〜5)
シート配置工程において、サーリンフィルムに形成する接続部用孔の幅を表1に示すように変更し、樹脂組成物充填工程において熱硬化性樹脂であるエポキシ系樹脂(スリーエム製、スコッチウェルドEW2050)に替えてポリイソブチレン系の光硬化性樹脂を使用し、貼り合わせ工程において加熱後にUVランプで4000mJ/cm
2の紫外線を照射した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池モジュールを作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例6)
光電極基板作製工程において銀配線(集電配線)の厚みを30μmとし、樹脂組成物充填工程を実施することなく、厚み30μmの銀配線で光電極基板と対向電極基板とを電気的に接続した(即ち、導電性樹脂組成物を使用せずにセル接続部を形成した)以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池モジュールを作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例1)
シート配置工程に替えて、光電極基板上に脂環式エポキシ系樹脂(液状のシール材、EW2050)を接着性シートの替わりに配置する工程を実施した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池モジュールを作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】