特許第6561897号(P6561897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561897
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】気体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 5/00 20060101AFI20190808BHJP
   C22B 3/08 20060101ALI20190808BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20190808BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20190808BHJP
   C22B 23/00 20060101ALN20190808BHJP
【FI】
   B01F5/00 G
   C22B3/08
   C22B3/44 101A
   B01F3/04 A
   !C22B23/00 102
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-76894(P2016-76894)
(22)【出願日】2016年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-185457(P2017-185457A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄大
(72)【発明者】
【氏名】大石 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】北崎 徹
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5306187(JP,B2)
【文献】 特開2012−236163(JP,A)
【文献】 特開2004−216261(JP,A)
【文献】 特開2005−350766(JP,A)
【文献】 特開2007−289915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 3/04、5/00−08
C22B 3/04−46、23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリー中に気泡を供給する気体供給装置であって、
一端に気泡を排出する排出口を有する中空な有底筒状の部材であって、内面に気体を噴き出す気体噴出孔が形成された本体部と、
該本体部の内面に設けられた突起状部材と、を備えており、
前記本体部は、
その底部近傍に該本体部の上部よりも内径が小さい縮径部が設けられており、
該縮径部の内面には前記気体噴出孔が形成されており、
前記突起状部材が、
前記気体噴出孔と前記排出口の間に設けられている
ことを特徴とする気体供給装置。
【請求項2】
前記気体噴出孔が、
前記本体部の周方向に沿って伸びた長孔である
ことを特徴とする請求項1記載の気体供給装置。
【請求項3】
前記気体噴出孔が、
前記本体部の周方向に沿って複数設けられており、
前記突起状部材が、
前記本体部の周方向に沿って複数設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の気体供給装置。
【請求項4】
高圧硫酸浸出プラントにおける最終中和工程の第一段階の反応槽に設けられるものである
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の気体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体供給装置に関する。さらに詳しくは、液体やスラリーなどに対してガスを吹き込む気体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントや酸化反応装置、排水処理などの設備では、各種処理に使用した溶液や残渣を含むスラリー等の処理対象液に含まれる物質を、酸化還元等の処理により無害化して排出したり、固形物として沈殿除去したりすることが行われている。
【0003】
かかる処理では、処理対象液を反応槽に入れて、この処理対象液に酸素や空気などのガスを吹き込むことによって、処理対象液中の物質(対象物質)を酸化物等として析出させて沈殿させる。そして、ガスの吹き込みを終了した後に、処理対象液を固液分離して沈殿物(固形物)とそれ以外の成分を分離する。
【0004】
例えば、高圧硫酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石から金属ニッケルを回収するプラント(高圧硫酸浸出プラント)では、浸出工程の浸出残渣や硫化工程の残液等は、最終中和工程において金属成分が沈殿除去される。
【0005】
かかる最終中和工程の概要を図3(A)に基づき説明する。
最終中和工程では、浸出残渣を含むスラリーと、硫化工程の酸性水溶液(残液)の一部が処理され、液中に溶けている金属成分を析出させて沈澱除去する。この最終中和工程における金属成分の沈澱除去は二段階で実施される。なお、以下では、浸出残渣を含むスラリーと硫化工程の残液を合せて、第一段階の始液という。
【0006】
図3(A)に示すように、第一段階は、石灰石(CaCO)を含むスラリーを、第一段階の始液が収容されている反応槽に添加してpHを5.5〜6.0まで上昇させて、主に鉄とアルミニウムを沈澱させる。第二段階では、第一段階の終液を始液として、この始液が収容されている反応槽に消石灰(Ca(OH))を含むスラリーを添加し、pHを8.5〜9.0まで上昇させて、主にマンガンとニッケルを沈澱させる。
【0007】
ここで、第一段階の始液中に含まれる鉄は水酸化鉄となって沈殿する。第一段階の始液中に含まれる鉄には、2価の鉄と3価の鉄の両方が含まれており、それぞれ、2価の水酸化鉄(II)(Fe(OH))、3価の水酸化鉄(III)(Fe(OH))として沈殿する。しかし、3価の水酸化鉄(III)(Fe(OH))はpHが低くても沈殿するが、2価の水酸化鉄(II)(Fe(OH))はpHが低い場合には沈殿しにくい。したがって、処理液のpHが低い第一段階では、3価の鉄は水酸化鉄(III)(Fe(OH))となって沈殿し、2価の鉄は、pHを高い状態とする第二段階において、水酸化鉄(II)(Fe(OH))として沈殿する。
【0008】
第二段階では、pHを高い状態とするために消石灰を使用しているが、第二段階で処理する2価の鉄が多くなると、pHを高い状態に維持するために消石灰の使用量を増やさなければならない。消石灰は、第一段階で使用する石灰石に比べて非常に高価であり、処理コストを考慮すれば、第二段階で処理する2価の鉄は少ない方が好ましい。つまり、第一段階の始液中に含まれる鉄は、できるかぎり第一段階で処理することが望ましい。
【0009】
第一段階で処理する鉄の量を多くするには、始液中に含まれる2価の鉄を酸化して3価の鉄とすればよい。このように、始液中に含まれる2価の鉄を酸化する方法としては、始液中に空気を吹き込んで、空気中の酸素と2価の鉄を接触させて酸化し、3価の鉄とする方法がある(例えば、特許文献1、2)。
【0010】
そして、現状でも、最終中和工程では、第一段階、第二段階とも、反応槽中の液にブロワー等を使用して空気を吹き込んで、液中の鉄イオンを含む金属イオンを酸化している。具体的には、例えば、図4(B)に示すように、円筒状のパイプに貫通孔を設けた装置を反応槽中に設置し、このパイプにブロワー等から空気を供給している。すると、パイプの貫通孔から吹き出す空気が気泡となって液中に供給されるので、気泡が液中の金属イオンと接触すれば、金属イオンを酸化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013-155402号公報
【特許文献2】特開2009-235519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述したような、高圧硫酸浸出プラントの最終中和工程で処理する液はスラリーとなっており、図4(B)のようなパイプから空気を供給した場合には、パイプの貫通孔からスラリーが逆流しやすく、目詰まりが頻繁に発生するという問題がある。
【0013】
また、金属イオンを効果的に酸化するには、金属イオンと気泡との接触面積が大きい方が好ましい。上述した最終中和工程において鉄を酸化する場合でも、処理する液の鉄濃度は一般的に高く、また、高流量で処理することが必要となる。このため、金属イオンと気泡の接触面積を増大させることによる酸化効率の向上が求められている。金属イオンと気泡との接触面積を大きくする上では、スラリーに供給される気泡の気泡径は小さい方が好ましいが、上述したパイプから液中に供給される気泡は、せいぜい15mm程度であり、接触面積という観点では十分ではない。
【0014】
スラリーに供給される気泡の気泡径を小さくする方法としては、空気を噴き出す貫通孔の径を小さくする方法が考えられる。しかし、貫通孔の径を小さくすると、スラリー中の固形分による貫通孔の閉塞が生じやすくなる。すると、気泡径は小さくできても、貫通孔の閉塞が頻繁に発生し、安定して空気を液中に供給できないという問題が生じる。
【0015】
本発明は上記事情に鑑み、径の小さい気泡を安定して供給することができる気体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明の気体供給装置は、スラリー中に気泡を供給する気体供給装置であって、一端に気泡を排出する排出口を有する中空な有底筒状の部材であって、内面に気体を噴き出す気体噴出孔が形成された本体部と、該本体部の内面に設けられた突起状部材と、を備えており、前記本体部は、その底部近傍に該本体部の上部よりも内径が小さい縮径部が設けられており、該縮径部の内面には前記気体噴出孔が形成されており、前記突起状部材が、前記気体噴出孔と前記排出口の間に設けられていることを特徴とする。
第2発明の気体供給装置は、第1発明において、前記気体噴出孔が、前記本体部の周方向に沿って伸びた長孔であることを特徴とする。
第3発明の気体供給装置は、第1または第2発明において、前記気体噴出孔が、前記本体部の周方向に沿って複数設けられており、前記突起状部材が、前記本体部の周方向に沿って複数設けられていることを特徴とする。
第4発明の気体供給装置は、第1、第2または第3発明において、高圧硫酸浸出プラントにおける最終中和工程の反応槽に設けられるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、気体噴出孔から吹き出した気泡は、排出口から排出される前に突起状部材と衝突するので、気体噴出孔から排出される気泡よりも小さい気泡が生成される。したがって、気体噴出孔の大きさをある程度大きくしても、排出口から噴き出す気泡を小さくできるので、気体噴出孔の詰り等を防止しつつ、微細な気泡を安定して供給することができる。しかも、縮径部の内面に気体噴出孔が設けられているので、反応槽に噴出する気泡の噴出速度を確保できる。
第2発明によれば、気体噴出孔が本体部の周方向に沿って伸びた長孔であるので、気体噴出孔を詰まりにくくすることができる。
第3発明によれば、複数の気体噴出孔から吹き出される気泡同士の影響により、気泡を本体部内で旋回させながら排出口に向かって移動させることができる。そして、突起状部材が本体部の周方向に沿って複数設けられているので、旋回しながら移動する気泡が複数の突起状部材と複数回衝突する。したがって、気泡の微細化を促進することができる。
第4発明によれば、最終中和工程の第一段階において、2価の鉄イオンを酸化して3価の鉄イオンとする効率を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の気体供給装置1の概略説明図であり、(A)は縦断面図であり、(B)は平面図である。
図2】本実施形態の気体供給装置1を反応槽Rに設置した状態の概略説明図である。
図3】(A)は高圧硫酸浸出プラントの最終中和工程の概略説明図であり、(B)は実験結果のグラフである。
図4】(A)は金属水酸化物の溶解度曲線であり、(B)は従来のガス供給装置の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の気体供給装置は、金属イオン等を有する液やスラリーに気体を供給する装置であって、気体を噴き出す孔を小さくしなくても、微細な気泡を供給できるようにしたことに特徴を有している。
【0020】
本発明の気体供給装置が使用される設備等はとくに限定されない。例えば、高圧硫酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石から金属ニッケルを回収するプラント(高圧硫酸浸出プラント)の最終中和工程において、スラリー中の鉄イオンを含む金属成分を酸化するために、反応槽中のスラリーに空気を吹き込む装置として使用することができる。この場合、最終中和工程の第一段階において、2価の鉄イオンを3価の鉄イオンに酸化する効率を高くできるので、第一段階で除去する鉄イオンの量を増加でき、第二段階で除去する鉄イオン(2価の鉄)の量を少なくできる。すると、第二段階で使用する中和剤(つまり消石灰)の使用量を削減できるので、処理コストを低減できるという利点が得られる。
【0021】
本発明の気体供給装置において、液やスラリーに供給する気体はとくに限定されない。例えば、空気や酸素、オゾン、窒素等を挙げることができる。
【0022】
(本実施形態の気体供給装置1)
本実施形態の気体供給装置1は、反応槽等の内部に収容されたスラリー等の流体に対して、空気等の気体を供給する装置である。
【0023】
図2において、符号Rは、スラリー等の流体Lが収容される反応槽を示している。この反応槽Rは、上部に開口が設けられており、この開口から処理される流体Lが供給され、処理後の流体Lがオーバーフローにより外部に排出されるようになっている。
【0024】
図1および図2に示すように、本実施形態の気体供給装置1は、符号Rの底部Bに設けられている。この底部Bに設けられた開口Bhを通して、本実施形態の気体供給装置1から供給された気泡が反応槽R内に供給されるようになっている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の気体供給装置1は、反応槽Rの開口Bhに取り付けられた本体部10を備えている。この本体部10は、中空な筒状の部材であり、開口となっている一端(排出口10a)が反応槽Rの開口Bhに取り付けられている。一方、本体部10の他端は閉塞されている。つまり、本体部10は、中空な有底筒状の部材によって形成されている。
【0026】
図1に示すように、本体部10の内面10fは、その底部近傍において段差が形成されており、上部よりも内径が小さい縮径部10gが設けられている。この縮径部10gの内面10fに、気体噴出孔10bが設けられている。この気体噴出孔10bは、本体部10の周方向に沿って伸びた長孔であり、本体部10の内面周方向に沿って複数設けられている。例えば、複数の気体噴出孔10bは、本体部10の内面周方向に沿って等角度間隔で設けられている。なお、気体噴出孔10bは、ブロア等の気体供給手段ASに連通されている(図2参照)。
【0027】
図1に示すように、本体部10の内面において、気体噴出孔10bと排出口10aとの間には、突起状部材11が設けられている。つまり、突起状部材11は、気体噴出孔10bから排出された気泡Gが排出口10aに向かって移動する径路に位置するように設けられている。この突起状部材11も、本体部10の内面周方向に沿って複数設けられている。例えば、複数の突起状部材11は、本体部10の内面周方向に沿って等角度間隔で設けられている。
【0028】
以上のような構成であるので、本体部10内にスラリー等の流体Lが入っている状態で、気体供給手段ASから気体噴出孔10bに気体を供給すれば、気体噴出孔10bから噴き出した気体は気泡Gとなって、本体部10内の流体Lを排出口10aに向かって移動する。
【0029】
このとき、気体噴出孔10bと排出口10aの間には突起状部材11が存在しているので、気泡Gは、排出口10aから排出される前に突起状部材11と衝突する。すると、衝突の影響により、気泡Gが分裂などによって微細な気泡gとなり、その微細な気泡gを、排出口10aから反応槽R内に供給することができる。つまり、気体噴出孔10bの大きさをある程度大きくしても、排出口10aから反応槽R内に供給される気泡gは小さくできる。
【0030】
したがって、液体Lが固形分を含むスラリーなどであっても、気体噴出孔10bの詰り等を防止しつつ、排出口10aからは、微細な気泡gを安定して供給することができる。
【0031】
しかも、気体噴出孔10bが本体部10の内面周方向に沿って複数設けられており、突起状部材11も本体部10の内面周方向に沿って複数設けられている。すると、複数の気体噴出孔10bから吹き出される気泡G同士の影響により、本体部10内に旋回流を発生させることができる。つまり、気泡Gを、旋回させながら排出口10aに向かって移動させることができる。すると、突起状部材11も本体部10の内面周方向に沿って複数設けられているので、旋回しながら移動する気泡Gを複数の突起状部材11と複数回衝突させることができる。したがって、気泡Gの微細化を促進することができるので、より微細な気泡gを排出口10aから反応槽R内に供給することができる。
【0032】
例えば、気体噴出孔10bから排出される気泡Gの径が10〜15mm程度であっても、排出口10aから反応槽R内に供給する気泡gの径を1mm以下の大きさにすることが可能となる。なお、気体噴出孔10bから排出される気泡Gの径と、排出口10aから反応槽R内に供給する気泡gの径は、気体噴出孔10bから気体を噴き出する流量や気体噴出孔10bの形状や大きさ、液体Lの性質、突起状部材11の形状等によって変化する。したがって、反応槽R内における気泡gの役割に応じて、排出口10aから反応槽R内に供給する気泡gの径が適切な大きさになるように、各パラメータを適切に設定すればよい。
【0033】
(本体部10について)
本体部10は、内部に中空な空間を有していればよく、必ずしも筒状である必要はない。しかし、筒状とすれば、後述するような気泡Gを内部で旋回移動させやすくなるという利点が得られる。
【0034】
上記例では、本体部10の底部近傍に縮径部10gを設けて、この縮径部10gに気体噴出孔10bを設けている。しかし、縮径部10gは必ずしも設けなくてもよい。しかし、縮径部10gを設けて、この縮径部10gに気体噴出孔10bを設ければ、本体部10から反応槽Rに噴出する気泡gの噴出速度を確保できるという利点が得られる。
【0035】
(気体噴出孔10bについて)
気体噴出孔10bは、必ずしも本体部10の周方向に沿って伸びた長孔でなくてもよく、通常の円形の孔でもよい。しかし、本体部10の周方向に沿って伸びた長孔としておけば、本体部10が円周状になっているので気体が気体噴出孔10b内を均一に流れるため、流体L中のスラリー等による気体噴出孔10bの閉塞を生じにくくできるので、気泡Gを安定して流体Lに供給することができる。
【0036】
また、複数の気体噴出孔10bは、必ずしも等角度間隔で配置しなくてもよい。また、複数の気体噴出孔10bは、本体部10の軸方向において同じ位置(つまり同じ高さ)に設けなくてもよく、若干高さを変化させてもよい。複数の気体噴出孔10bを同じ高さに設ければ気体噴出孔10bにかかる圧力を均一にできる等の利点が得られる。
【0037】
さらに、本体部10の内面に気体噴出孔10bと突起状部材11を設けるようにすれば、本実施形態の気体噴出孔10bの数を従来に比べて少なくすることができる。具体的には、従来の気体供給装置の気体噴出孔の数(約30個)に比べて、はるかに少ない気体噴出孔10bの数(例えば、3〜4個程度)で十分な効果が得られる。つまり、3〜4個程度の気体噴出孔10bを本体部10の内面周方向に沿って設ければ、上述したような効果(旋回移動)が得られるし、反応槽Rに供給する気泡gを微細なものとすることができるという効果が得られる。
【0038】
(突起状部材11について)
突起状部材11は、必ずしも等角度間隔で配置しなくてもよい。また、複数の突起状部材11は、本体部10の軸方向において同じ位置(つまり同じ高さ)に設けなくてもよく、若干高さを変化させてもよい。複数の突起状部材11を同じ高さに設ければ設備の構造が簡便になる等の利点が得られる。
【0039】
また、突起状部材11は複数設けなくてもよい。しかし、突起状部材11を本体部10の内面周方向に沿って複数設ければ、気泡Gと突起状部材11が接触する確率を高くすることができるので、気泡Gの微細化を促進しやすくなるという利点が得られる。
【0040】
さらに、突起状部材11の形状や大きさはとくに限定されない。例えば、本体部10の内径の20〜35%の直径を有する球状障害物を配置してもよい。この場合には、本体部10内を気泡Gや気泡gが通過しやすくなり、排出口10aから反応槽Rへの気泡gの供給がスムースになるという利点が得られる。
【実施例】
【0041】
本発明の気体供給装置によって、液体やスラリーに含有される物質の酸化を促進できることを実験により確認した。
【0042】
実験では、高圧硫酸浸出設備の最終中和工程において、スラリーが収容された槽内へのガスの供給を、従来の気体供給装置のみで実施する場合(比較例)と、本発明の気体供給装置と従来の気体供給装置を併用した場合(実施例)と、について、始液と終液の鉄濃度を比較した。なお、始液とは、最終中和工程における第一段階に供給する液のことであり、終液とは、第一段階終了後の液(図3(A)の第二槽における処理終了後の液)のことである。
【0043】
実施例と比較例は、実施例において気体供給装置の一部を本発明の気体供給装置に変更した以外は同じ条件で実験した。実施例で処理された最終中和工程の始液(スラリー)の性質は以下のとおりである。
スラリーpH:2.5〜3.0
スラリー密度:1.2〜1.3g/ml
スラリー中の液比率:70〜85重量%
始液流量:200〜350m/hr
液中の鉄濃度(始液中濃度):2.2〜3.6g/l
操業期間:10日間
【0044】
なお、実施例では、流量比率で約75%を本発明の気体供給装置から供給し、残り(約25%)を従来の気体供給装置から供給した。
【0045】
実験結果を以下に説明する。
まず、従来の気体供給装置のみから、940〜970m/hrの空気をスラリーに供給したところ、図3(B)に示すように、始液と終液の鉄濃度は比例関係となった。この比較例における鉄の除去率は、77〜91%(平均83.9%)となった(表1参照)。
【0046】
実施例では、本発明の気体供給装置から740〜760m/hr、従来の気体供給装置から230〜240m/hr、合計970〜990m/hrの空気を供給した。図3(B)に示すように、比較例と同様に、始液と終液の鉄濃度は比例関係となった。
一方、実施例における鉄の除去率は、始液中の鉄濃度により差はあるものの、84〜95%(平均89.0%)となった(表1参照)。

【表1】
【0047】
以上の結果より、本発明の気体供給装置を使用することによって、最終中和工程の第一段階において、鉄の除去率が向上できることが確認された。つまり、本発明の気体供給装置を使用することによって、始液中の鉄の酸化が促進されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の気体供給装置は、液体中の鉄やマグネシウム、マンガン等の物質に気体を接触させて処理する工程において、気体を液体に供給する装置として適している。
【符号の説明】
【0049】
1 気体供給装置
10 本体部
10a 排出口
10b 気体噴出孔
G 気泡
L 流体
R 反応槽

図1
図2
図3
図4