(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係る基板の貼合装置及び貼合方法並びに画像表示装置の好ましい実施形態について説明する。
【0018】
まず、実施形態の基板の貼合装置及び貼合方法によって貼合されて組み立てられた画像表示装置について説明する。
【0019】
図1は、画像表示装置100の縦断面図、
図2は、
図1のA部の拡大断面図である。
【0020】
〈画像表示装置100〉
本実施形態の画像表示装置100は、第1の基板である窓ガラス102、第1の粘着層114、透明面材であるガラス板110、第2の粘着層116、及び第2の基板である液晶パネル106の順で積層して構成される。以下、各部材について説明する。
【0021】
(第1の基板)
第1の基板としては、透明部材を例示できる。例えば店舗、オフィス等に用いられる既設の透明部材が挙げられる。透明部材としては、ガラス、アクリルなどの樹脂または、ガラスと樹脂の積層体等が挙げられる。
【0022】
(透明面材)
透明面材は、後述する液晶パネル106を窓ガラス102に貼合する際に、液晶パネル106と窓ガラス102との間に介在される板状体である。透明面材の例として、ガラス板、樹脂板等が挙げられる。液晶パネル106からの射出光や反射光に対して透明性が高い点はもちろん、耐光性、低複屈折性、高い平面精度、耐表面擦傷性、高い機械的強度を有する観点から、透明面材としてガラス板を用いることが最も好ましい。透明面材として、第1の粘着層114及び第2の粘着層116を構成する光硬化性樹脂組成物を硬化させる光に対して高い透過率を有する観点でも、ガラス板の使用が好ましい。
【0023】
ガラス板の例として、ソーダライムガラス等のガラス材料が挙げられる。また、樹脂板の例としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明性の高い樹脂材料が挙げられる。
【0024】
透明面材の形状は、貼合対象である液晶パネル106の平面形状に合わせて決定すればよく、一例として矩形である。透明面材の厚さは、機械的強度、透明性等の点から、ガラス板であれば、0.2〜2.0mm程度が好ましい。観察者に表示画像の奥行き感を強く感じさせないためには、透明面材の厚さは0.2〜1.1mm程度がより好ましい。樹脂板であれば、透明面材の厚さは0.1〜1.0mm程度が好ましい。
【0025】
(遮光部)
透明面材は、周端部に遮光部を有することが好ましい。遮光部を備えることで、液晶パネル106を窓ガラス102に貼合した際に、液晶パネル106に接続されたフレキシブルプリント配線板等の配線部材を隠すことができる。透明面材がガラス板の場合、黒色顔料を含むセラミック印刷等の印刷法を用いて遮光部を形成することが、遮光性が高く好ましい。なお、遮光部は、種々の薄膜形成法を用いて形成できる。
【0026】
(粘着層)
粘着層は、液状の光硬化性樹脂組成物を硬化させた透明樹脂から構成されている。粘着層の原料となる光硬化性樹脂組成物は、光硬化性を有する硬化性化合物、光重合開始剤、及び、必要に応じて非硬化性オリゴマーを含む液状の組成物が好ましい。非硬化性オリゴマーは、光硬化性樹脂組成物の硬化時に組成物中の硬化性化合物と硬化反応を生じない水酸基を有するオリゴマーが好ましい。第1の粘着層114および第2の粘着層116の透明樹脂は同一でも異なってもよい。
【0027】
粘着層の厚さは、0.1〜2.0mm程度が好ましく、0.2〜0.8mm程度がより好ましい。第1の粘着層114および第2の粘着層116の厚は同一でもよく異なってもよい。
【0028】
第1の粘着層114と第2の粘着層116との面積は、透明面材の大きさに応じて調整される。第1の粘着層114および第2の粘着層116の面積は、同一でもよく異なってもよい。面積が異なる場合の例としては、ガラス板110の第2の面110bに遮光部112を有する場合に、第1の粘着層114がガラス板110の第1の面110aの全域に設けられているのに対し、第2の粘着層116がガラス板110の第2の面110bの一部の領域に設けられている。これにより、ガラス板110の第2の面110bは、第2の粘着層116が設けられた領域と、第2の粘着層116が設けられていない領域と、を有する。
【0029】
第2の基板としては、例えば、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)等の画像表示パネルを挙げることができる。
【0030】
図2に示すように、液晶表示ユニット104は、液晶パネル106と、一対の偏光板122、124と、バックライト126と、フレーム128と、ケース130と、を備える。液晶パネル106は、一対のガラス基板132、134と、これらガラス基板132、134の間に封入された液晶(不図示)と、を備える。
【0031】
一対のガラス基板132、134は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を備えたTFT素子基板と、カラーフィルターを備えたカラーフィルター基板と、から構成される。
【0032】
バックライト126は、発光ダイオード等の発光素子136と、導光板138と、プリズムシート(不図示)と、光拡散シート等の複数の光学フィルム140と、ミラー142と、を備える。発光素子136から射出された光は、導光板138に入射して内部を導光する間にミラー142で反射し、複数の光学フィルム140を介して液晶パネル106に向けて射出される。
【0033】
複数の光学フィルム140は、導光板138から射出された光の強度を均一化する機能を有する。そのため、複数の光学フィルム140と液晶パネル106とは、間隔をおいて配置されている。
【0034】
液晶パネル106は、粘着層または粘着層とガラス板110を介して窓ガラス102に支持される。液晶パネル106とバックライト126とは独立しているため、バックライト126は、液晶パネル106とは別に窓ガラス102に支持される。
【0035】
バックライト126は、断面がL字状のアングル144を介して窓ガラス102に支持される。
図1では、アングル144は、ガラス板110の第2の面110b上の遮光部112に両面粘着テープ146によって固定されている。すなわち、バックライト126はフレーム128に固定され、フレーム128はケース130に固定され、ケース130は、ボルト148によってアングル144に固定され、アングル144が遮光部112に固定されている。
【0036】
これにより、バックライト126は、ガラス板110を介して窓ガラス102に支持される。
【0037】
《本発明の基板の貼合装置及び貼合方法》
次に、本発明の基板の貼合装置及び貼合方法について説明する。
【0038】
本発明は、床面に対して鉛直または鉛直方向から傾斜した方向に設置された第1の基板の貼合面に粘着層を介して第2の基板を貼合する基板の貼合装置及び貼合方法である。第1の基板及び第2の基板を特に限定するものではないが、上述の基板に適用することが好ましい。
【0039】
実施形態では、
図1〜
図2に基づき、第1の基板である建築物に固定された既設の窓ガラス102の貼合面に粘着層を介して第2の基板である液晶パネル106を貼合して、窓ガラス102、第1の粘着層114、ガラス板110、第2の粘着層116および、液晶パネル106の順で有するデジタルサイネージを製造する一例で説明する。また、窓ガラス102は鉛直方向に配置されているものとする。また、貼合される液晶パネル106の画面サイズは、一例として42インチである。なお、実施形態では、窓ガラス102とガラス板110との貼合を省略した貼合方法について説明する。
【0040】
〔第1の実施の形態の貼合装置〕
第1の実施の形態の貼合装置10は、装置の基本構成を示すものである。
【0041】
図3(A)は、実施形態の貼合装置10を用いて矩形状の液晶パネル106を、窓枠(図示せず)に固定された窓ガラス102に貼合するために、貼合装置10を窓ガラス102に着脱自在に支持させた正面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【0042】
図3(A)、(B)に示すように、貼合装置10は、第1の基板を補強する補強部材15と、押圧手段であるローラ16とを備えて構成される。第1の実施形態の貼合装置10では、任意構成である、第2の基板を吸着する板状部材12、および板状部材12を支持するハンガーユニット14を備えた形態として説明する。
【0043】
〈板状部材12〉
板状部材12は、液晶パネル106を吸着する部材である。板状部材12を有すると、湾曲手段や押圧手段が液晶パネル106に接続または押圧されないため、液晶パネルの汚れや破損を防止できる。板状部材12は、可撓性を有することが好ましい。また、板状部材12は液晶パネル106の面積より大きいサイズであることが好ましい。これにより貼合終端部まで泡の巻き込みを防止できる。
【0044】
本実施形態においては、板状部材12は可撓性板状部材で、液晶パネル106よりも大きな面積の例を用いて説明する。さらに、板状部材12が液晶パネル106を吸着保持する例について以下に説明する。
【0045】
図4は、板状部材12の縦断面図である。
【0046】
図4の如く、板状部材12は、矩形状の可撓板26、可撓板26の周面部に貼り合わされた額縁状の独立気泡のスポンジ部材28、及びスポンジ部材28の内周側の可撓板26に貼り合わされた矩形状の多孔性シート30によって構成される。
【0047】
額縁状のスポンジ部材28と多孔性シート30との間は額縁状の隙間32が形成される。スポンジ部材28及び多孔性シート30は、可撓板26に接着剤(又は両面接着テープ)34を用いて貼り付けられる。
【0048】
可撓板26の内部には、一端が隙間32に連通され、他端が複数の吸引ポート36(
図3(A)参照)に連通される吸引路35が備えられる。吸引ポート36は、可撓板26の両端部(液晶パネル106を吸着しない部分)に複数備えられ、これらの吸引ポート36は、吸引ホース38を介して真空ポンプ40に接続される。
【0049】
図4に戻り、板状部材12によって液晶パネル106を吸着保持する場合には、液晶パネル106の周面をスポンジ部材28に載置して、額縁状の隙間32の上面を液晶パネル106によって閉塞する。この状態で、真空ポンプ40を駆動すると、吸引ホース38、吸引ポート36、吸引路35、及び隙間32を介して空気が吸引される。これによって多孔性シート30の吸着面30Aに吸着力が発生するので、吸着面30Aに液晶パネル106が吸着保持される。
【0050】
多孔性シート30の厚さは2mm以下であることが好ましく、1mm以下(例えば0.5mm)であることがより好ましい。また、スポンジ部材28の厚さは多孔性シート30の厚さよりも厚くして、液晶パネル106を吸着保持した際に弾性変形して多孔性シート30の厚さまで弾性変形することが好ましい。これにより、隙間32を確実に閉空間とすることができるので、液晶パネル106を吸着保持する吸着力が増大する。
【0051】
多孔性シート30は導電性を有することが好ましい。後述する粘着層の面に貼り付けられた剥離シートを剥離する際や、貼合後に板状部材12と液晶パネル106とを取り外す際等において、静電気の発生を抑えることができる。
【0052】
また、可撓板26は、適度な可撓性が必要であり、例えば厚さが2mm以上3mm以下の塩化ビニル樹脂板が好適である。この場合、一枚の塩化ビニル樹脂板でもよいが、
図4のように、厚さが2mmの塩化ビニル樹脂板26Aと厚さが0.5mmの塩化ビニル樹脂板26Bとを接着剤(あるいは両面接着テープ)42で貼り合わせて構成することもできる。可撓板26の多孔性シート30を貼り合わせた面の反対側の面に導電性シート(図示しない)を貼り合わせることが好ましい。これにより、貼合時等において、静電気の発生を抑えることができる。
【0053】
〈ハンガーユニット14〉
図3に示すハンガーユニット14は、液晶パネル106を吸着保持した板状部材12を吊り下げ支持する冶具である。ハンガーユニット14を設けることで、貼合前に決めた位置から第2の基板がずれることなく貼合を完了できる。ハンガーユニット14は、窓ガラス102の貼合位置に対し所定の貼合隙間を介して、液晶パネル106を正対させた状態で、板状部材12の鉛直方向の位置、傾き、及び水平方向の位置を調整できる冶具であることが好ましい。本実施の形態では、ハンガーユニット14が、水平方向の位置と鉛直方向の位置及び傾きを調整する冶具として説明する。
【0054】
図3(A)の如く、ハンガーユニット14は、鉛直方向に設置された窓ガラス102の面に沿って、板状部材12の水平方向の位置を調整する水平方向位置調整部44、及び窓ガラス102の面に沿って、板状部材12の鉛直方向の位置及び傾きを調整する鉛直方向位置調整部46を備える。また、ハンガーユニット14は、一対のハンド吸着盤48を備えている。これらのハンド吸着盤48を、窓ガラス102に吸着させることにより、ハンガーユニット14が窓ガラス102に着脱自在に支持される。なお、ハンド吸着盤48に代えて、真空ポンプ(図示せず)に連結した吸着盤も使用可能であるが、現場貼合の場合にはハンドリング性のよいハンド吸着盤48が好ましい。ハンド吸着盤48としては、シンワ測定株式会社製の許容荷重が25kgf/1個のものを好適に使用することができる。また、ハンド吸着盤48の吸着位置は、窓ガラス102に限定されるものではなく、窓ガラス102を支持する建築物の壁(支持体)に吸着してもよい。
【0055】
(水平方向位置調整部44)
水平方向位置調整部44は、レール状部材44Aに2台のリニアスライダ44B、44Bが、レール状部材44Aの長手方向に沿ってスライド自在に支持されることにより構成される。2台のリニアスライダ44B、44Bにそれぞれハンド吸着盤48が設けられる。
【0056】
(鉛直方向位置調整部46)
鉛直方向位置調整部46は、一対のターンバックル50、50によって構成される。一対のターンバックル50、50は、その上端がレール状部材44Aの両端部に取り付けられることにより、レール状部材44Aに吊設される。
【0057】
(ハンガーユニット14の作用)
ハンガーユニット14を使用する場合には、まず、レール状部材44Aの長手方向が水平方向を向くように2台のハンド吸着盤48を窓ガラス102の面に吸着させる。ハンド吸着盤48の吸着位置は、液晶パネル106の所望の貼合位置に対応した大まかな位置である。そして、一対のターンバックル50、50の下端に設けたフック50Aに、板状部材12の上端に取り付けられたリング12Aを着脱自在に係合させる。これにより、液晶パネル106を吸着保持した板状部材12が、ハンガーユニット14に吊り下げ支持される。そして、レール状部材44Aを水平方向に移動させる作業、及び一対のターンバックル50、50の鉛直方向の長さを個別に調整する作業を行う。これにより、窓ガラス102に対する液晶パネル106の貼合位置を所望の位置に容易に調整することができる。ターンバックル50、50の長さを同じだけ伸ばすと液晶パネル106の位置は鉛直方向に下降し、同じだけ縮めると鉛直方向に上昇し、鉛直方向の位置を調整できる。ターンバックル50、50の一方を伸ばし他方を縮めると傾きを調整することができる。
【0058】
なお、水平方向位置調整部44、及び鉛直方向位置調整部46の構成は、上記の例に限定されるものではなく、液晶パネル106の水平方向の位置及び鉛直方向の位置及び傾きを調整可能な機能を有するものであれば適用できる。
【0059】
〈補強部材15〉
図3(B)に示すように、補強部材15は、窓ガラス102の非貼合面に着脱自在に取り付け、窓ガラス102を補強することにより、窓ガラス102の変形を抑制する部材である。
【0060】
補強部材15は、窓ガラス102に付与される貼合荷重に対抗する剛性を有するフレーム15Bと、フレーム15Bに複数設けられ、窓ガラス102の非貼合面に着脱自在に吸着するハンド吸着盤(吸着部)15Cと、で構成される。
【0061】
フレーム15Bの材料は、アルミ合金等の金属、セラミックス、FRP等の強化プラスチックを使用できる。特に、現場貼合では補強部材15の持ち運び易さ、および窓ガラス102への取り付け易さの観点から、フレーム15Bの材料は軽量化を図りやすいアルミ合金、FRP等の強化プラスチックが特に好ましい。
【0062】
ハンド吸着盤15Cを使用することにより、建築物に鉛直方向に設置された窓ガラス102の非貼合面にフレーム15Bを確実に保持し、重力により脱落したり、保持位置がずれたりすることを防止できる。ハンド吸着盤15Cは、例えば、ハンガーユニット14で説明したシンワ測定株式会社製の許容荷重が25kgf/1個のものを複数使用することができる。
【0063】
なお、ハンド吸着盤15Cを用いる例で示したが、吸着パッドを真空源に接続するものでもよい。
【0064】
図5(A)〜(C)は、補強部材15の3態様と、補強部材15が取り付けられる窓ガラス102の非貼合面位置との一例を示したものである。
【0065】
図5(A)の第1の形態の補強部材15は、長尺細板状のフレーム15Bに4個のハンド吸着盤15Cを設けたものであり、フレーム15Bの長さLは矩形状の液晶パネル106の幅Wよりも長く形成される。そして、
図5(A)は、液晶パネル106の4個のコーナ部(角部)に対応する位置の窓ガラス102の非貼合面に4つのハンド吸着盤15Cが位置するように、2本の補強部材15を平行に配置した形態である。なお、
図5(A)では、2本の補強部材15を水平方向に配置したが、鉛直方向に配置してもよい(
図3(B)参照)。また、1本の補強部材15に4個のハンド吸着盤15Cを設けたが窓ガラス102の反り矯正作用の点から3個以上であることが好ましい。
【0066】
このように、窓ガラス102よりも高い平坦度の平坦面15Aを有するとともに窓ガラス102に付与される貼合荷重に対抗する剛性を有するフレーム15Bを、複数のハンド吸着盤15Cによって窓ガラス102の非貼合面に取り付けることにより、窓ガラス102を補強することができる。
【0067】
したがって、窓ガラス102の反りに起因して、窓ガラス102と液晶パネル106との密着貼合が阻害されて気泡が巻き込まれ易くなるという現場貼合の問題点を、フレーム15Bに複数のハンド吸着盤15Cを設けた補強部材15を窓ガラス102の非貼合面に取り付けるという極めて簡単な構成で解決することができる。
【0068】
しかも、補強部材15は窓ガラス102の非貼合面に支持されるので、補強部材15を空中に維持するための特別な支持装置も不要となる。
【0069】
図5(B)の補強部材15は、2本の平行な横フレーム15Dと4本の平行な縦フレーム15Eとによって、梯子状に構成される。フレーム15Bの横フレーム15Dと縦フレーム15Eとの交差部には、それぞれハンド吸着盤15C(合計8個)が設けられている。なお、
図5(B)の補強部材15は、梯子を水平方向の姿勢で使用する形態であるが、鉛直方向の姿勢でも使用することもできる。また、縦フレーム15Eの数は4本に限定されるものでもない。
【0070】
補強部材15の長さLは、液晶パネル106の幅Wよりも長く形成され、補強部材15の幅Dは略液晶パネルの幅Wと同等に形成される。
図5(B)の補強部材15は、矩形状の液晶パネル106の4個のコーナ部(角部)に対応する窓ガラス102の非貼合位置に4つのハンド吸着盤15Cが位置することが好ましい。
【0071】
これにより、
図5(B)の補強部材15についても、上記説明した
図5(A)の補強部材15と同様の作用効果を得ることができる。更に、フレーム15Bを梯子状のフレームとしたことによって、
図5(A)の補強部材15よりも更に、貼合荷重に対抗する剛性を得ることができる。
【0072】
図5(C)の補強部材15は、3本の平行な横フレーム15Dと4本の平行な縦フレーム15Eとによって、格子状に構成される。フレーム15Bの横フレーム15Dと縦フレーム15Eとの交差部には、それぞれハンド吸着盤15C(合計12個)が設けられている。なお、
図5(C)の補強部材15は、長手方向を水平方向に向けて使用する形態であるが、長手方向を鉛直方向に向けた形態で使用することもできる。また、横フレーム15Dと縦フレーム15Eの本数は、3本及び4本に限定されるものではない。
【0073】
補強部材15の長さLは液晶パネル106の幅Wよりも長く形成され、補強部材15の幅Dは略液晶パネルの幅Wと同等に形成される。
図5(C)の補強部材15は、矩形状の液晶パネル106の4個のコーナ部(角部)と、鉛直方向におけるコーナ部同士の中央位置にハンド吸着盤15Cが位置することが好ましい。
【0074】
これにより、
図5(C)の補強部材15についても、上記説明した
図5(A)の補強部材15と同様の作用効果を得ることができる。更に、フレーム15Bを格子状のフレームとし、ハンド吸着盤を12個としたことによって、
図5(B)の補強部材15よりも更に、貼合荷重に対抗する剛性を得ることができる。
【0075】
図6及び
図7は、補強部材15の第2の態様であり、吸着構造を有する定盤15F(吸着定盤)で構成される。吸着定盤15Fとは、定盤自体に吸着のための構造が具備されたものを言う。吸着には、真空吸着、静電気による吸着、粘着による吸着等を用いることができるが、大きな吸着力が得られるため真空吸着が好ましい。真空吸着式の吸着定盤15Fとしては、例えば、定盤内部に形成した空間部に連通させて定盤吸着面に複数の吸引孔又は吸引溝を形成し、空間部を真空源に繋ぐことで構成することができる。吸着定盤の材料としては、軽量化を図りやすいセラミックス、FRP等の強化プラスチックが好ましく、金属製の場合には、アルミ合金等の軽量金属が好ましい。
【0076】
図8及び
図9は、補強部材15の第3の態様であり、定盤15Fと、定盤15Fを保持する保持フレーム15Gと、保持フレーム15Gを窓ガラス102の非貼合面に着脱自在に取り付けるハンド吸着盤(吸着部)15Cと、保持フレーム15Gに保持された定盤15Fを窓ガラス102の非貼合面に当接させる当接手段15Hと、で構成される。
【0077】
定盤15Fの材料は、吸着定盤15Fと同様の材料を使用できる。
【0078】
図9に示すように、保持フレーム15Gは、上部と下部とに定盤15Fを保持する爪部15Jを有する平行な3本の保持アーム15Kを、2本の平行な連結アーム15Mによって連結したフレーム構造に構成される。保持フレーム15Gは、定盤15Fを窓ガラス102に当接可能に保持できれば、どのような構造でもよいが、軽量化の観点からは複数の開口部を有するフレーム構造であることが好ましい。また、保持フレーム15Gの材料としても、軽量化を図りやすいセラミックス、FRP等の強化プラスチックが特に好ましく、金属製の場合にはアルミニウム等の軽量金属が好ましい。
【0079】
ハンド吸着盤15Cは、保持アーム15Kの上端部と下端部とにそれぞれ設けられ、合計で6個設けられる。ここで使用するハンド吸着盤15Cも、上記したシンワ測定株式会社製の許容荷重が25kgf/1個のものを好適に使用できる。なお、ハンド吸着盤15Cに替えて、吸着パッドを真空源に接続するものでもよい。
【0080】
当接手段15Hは、3本の保持アーム15Kに等間隔で貫通するように穿設された雌ねじと、雌ねじに螺合する雄ねじとで構成され、雄ねじの先端が雌ねじから突出することで定盤15Fの裏面を押圧するように構成される。
【0081】
図8、
図9の補強部材15によれば、まず、定盤15Fを保持した保持フレーム15Gを、ハンド吸着盤15Cによって窓ガラス102の非貼合面に取り付ける。これにより、定盤15Fと窓ガラス102とが対向する。次に、複数の雄ねじを、トルクレンチ(図示せず)を用いて、それぞれ等しいトルク値になるまで回動させる。これにより、定盤15Fの全面が窓ガラス102の非貼合面に均一な力で当接される。この際のトルクレンチのトルク値については、予備試験等によって求めた値である。
【0082】
〈押圧手段:ローラ16〉
本実施形態の貼合装置10は、第1の基板と第2の基板との貼合における押圧手段としてローラ16を備えている。ローラ16は、液晶パネル106の幅と同等かそれ以上の軸長を有している。これにより、第2の基板に均一に荷重をかけることができる。ローラ16は、液晶パネル106の上端である貼合開始端から、液晶パネル106の下端である貼合終了端へ向けて連続的に移動される。また、本実施形態の貼合装置10はガイド手段を有しており、貼合時に生じる窓ガラス102からの反力がガイド手段をとおしてローラ16に伝達される。
【0083】
図10は、ローラ16によって、液晶パネル106が窓ガラス102に貼合されている時の貼合荷重分布Pを示した説明である。
図10の符号52は粘着層である。なお、
図10は窓ガラス102に粘着層52を設けた場合であるが、液晶パネル106に粘着層52を設けた場合も同様である。また、
図10では、図面の煩雑さを避けるため、板状部材12の図示を省略している。
【0084】
窓ガラス102と液晶パネル106との間の粘着層界面に気泡が入り込まないように貼合するためには、貼合荷重分布Pの幅Wを可能な限り狭くするとともに、分布中央部Qの貼合荷重が可能な限り大きくなるようにすることが好ましい。換言すると、ローラ16がヘルツ接触(線接触)した状態で貼合荷重を液晶パネル106に付与することが好ましい。
【0085】
このため、ローラ16は、ローラ表面が硬く且つローラ直径が細い方が貼合荷重を線接触状態で付加させ易くなるので好ましいが、気泡が入り込まないようにするためには、窓ガラス102の反りに追従するようにローラ16は可撓性を有することが好ましい。この条件を満足するローラ16としては、例えば外径10〜30mm(例えば20mm)、肉厚が0.3〜3.0mm(例えば1mm)のステンレス製又はアルミニウム製の円筒管を好適に使用することができる。この場合、ローラ表面に薄膜状にゴム等の弾性部材を被服させてもよい。
【0086】
また、粘着層52の層厚が厚く、粘着層52の弾性率が大きく、かつ粘着層52が貼合荷重によって弾性変形し易い方が窓ガラス102と液晶パネル106との間の粘着層界面に気泡が入り込み難い。このため、粘着層52の厚さは、0.1〜2.0mm程度に設定され、好ましくは0.2〜0.8mm程度に設定されている。粘着層52の厚さが0.1mm以上であれば、外力による衝撃等を粘着層が効果的に緩衝し、画像表示パネルを保護できる。また、窓ガラス102と液晶パネル106との間に粘着層52の厚さを超えない異物が混入しても、粘着層52の厚さが大きく変化することがなく、光透過性能への影響が少ない。粘着層52の厚さが2.0mm以下であれば、画像表示パネルの厚さが不要に厚くならない。
【0087】
また、粘着層52のせん断弾性率は、10
2〜10
5Paの範囲にあることが好ましく、10
3〜10
4Paの範囲にあることがより好ましい。
【0088】
〈湾曲手段24〉
本実施形態の貼合装置10は湾曲手段24としてプッシャ(
図11(A))を備えているので、液晶パネル106と板状部材12とが上端部から下端部にかけて、窓ガラス102から退避する方向に円弧状に湾曲させられ、液晶パネル106が窓ガラス102に対して凸上に湾曲させられる。
【0089】
これにより、第2の基板の押圧していない場所と第1の基板とが接触せず、その結果、貼合面に気泡の巻き込みを防止できる。
【0090】
(湾曲手段24の形態)
図11(A)、(B)に示した貼合状況を示す説明図の如く、2形態の湾曲手段24が示されている。
【0091】
湾曲手段24は、板状部材12の下端部であって板状部材12の幅方向の少なくとも2か所に着脱自在に設けられる。なお、
図3(A)では、4か所に湾曲手段24が備えられている。
【0092】
本実施形態に用いている湾曲手段24(プッシャ)は、
図11(A)に示すとおり、板状部材12の下端部を、スプリング24Dの付勢力によって窓ガラス102から退避する方向に押し上げる押上方式である。この湾曲手段24(
図11(A))は、板状部材12の下端部にプレート24Aが着脱自在に固定され、このプレート24Aの開口部(不図示)に支持棒24Bが挿抜自在に取り付けられている。支持棒24Bの先端部には、窓ガラス102に当接される弾性体24Cが取り付けられ、スプリング24Dは、プレート24Aと弾性体24Cとの間に介在され、スプリング24Dに支持棒24Bが挿通されている。
【0093】
図11(B)は、湾曲手段24の別形態である。
図11(B)の湾曲手段24は、板状部材12の下端部を窓ガラス102から退避する方向に、ウエイト部材24Eの自重によって牽引する牽引方式である。この湾曲手段は、プレート24Aに牽引ロープ24Fを介してウエイト部材24Eを吊り下げて構成される。また、ウエイト部材24Eの自重をプレート24Aに水平方向に付与するために、牽引ロープ24Fはプーリ24Gに巻き掛けられている。
【0094】
これらの湾曲手段24によれば、液晶パネル106とともに可撓性板状部材12をその上端部から下端部にかけて、窓ガラス102から退避する方向に円弧状に湾曲させることができる。また、ローラ16によって板状部材12を窓ガラス102側に押圧した場合であっても、湾曲手段24により、ローラ16による貼合中の位置よりも下流側の板状部材12は貼合進行方向に沿って上向きに湾曲が保たれる。したがって、貼合中の位置より下流側の液晶パネル106が窓ガラス102に先貼りされるのを防止できる。
【0095】
板状部材12に対するプレート24Aの固定形態は、特に限定されない。例えばクランプ方式やハンド吸着盤方式等を採用することにより板状部材12に対して着脱自在に取り付けることができる。
【0096】
(粘着層52)
図10に示した粘着層52は、窓ガラス102と液晶パネル106とのいずれかに設けられていてもよい。貼合位置の調整のし易さの観点から、液晶パネル106に粘着層52を設ける方が好ましい。粘着層52は上述した粘着層が使用される。
【0097】
上記した板状部材12、ハンガーユニット14、補強部材15、ローラ16、及び湾曲手段24は、それぞれ独立したユニットとして構成され、それぞれのユニットは最大重量が15kg以下に構成されている。これにより、各ユニットを容易に取り扱うことができる。したがって、現場貼合する場合には、各ユニットを現場に運び込み、現場で貼合装置10を容易に組み立てることができる。
【0098】
〔貼合方法〕
次に、上記の如く構成された第1の実施の形態の貼合装置10を用いて現場貼合する際に、貼合装置10を現場で組み立てて、組み立てた貼合装置10によって窓ガラス102の非貼合面に液晶パネル106を貼合する貼合方法を説明する。
【0099】
なお、窓ガラス102は、鉛直方向に設置されたものとし、また、粘着層52は液晶パネル106に設けられているものとし、液晶パネル106は、粘着層52の面に剥離シート(図示せず)が貼り付けられた形態で貼合現場に搬入されるものとする。
【0100】
〈貼合装置10の組立手順〉
まず、
図12〜
図16に従って貼合装置10の組立手順を説明する。
【0101】
図12(A)の正面図、(B)の側面図に示すように、建築物の窓枠に設置されている窓ガラス102の貼合面に、ハンガーユニット14のハンド吸着盤48をレール状部材44Aがほぼ水平になるように吸着させる。
【0102】
(板状部材12による保持工程)
次に、
図13に示すように、現場貼合する建築物の床面等において平置き状態で板状部材12に液晶パネル106の非貼合面を吸着保持する。その後、板状部材12に湾曲手段24を取り付け、液晶パネル106から前記剥離シートを剥離する。
【0103】
この時、液晶パネル106の粘着層52は露出しているため、液晶パネル106を吸着保持した板状部材12を、窓ガラス102に対して位置調整する際には、粘着層52が窓ガラス102に誤って接触するのを防止する必要がある。
【0104】
このためには、粘着層52が窓ガラス102から離れる位置に板状部材12を吊り下げれば良い。貼合時には、ターンバックル下端が窓ガラス102へ近づくように移動して、粘着層52と窓ガラス102とが密着する。
【0105】
さらに、このような誤接触を防止するため、
図13(B)及び
図14(A)に示すように、厚さが液晶パネル106の厚さよりも厚い帯状のスポンジ部材84を用いてもよい。このスポンジ部材84は、液晶パネル106を囲むように、板状部材12に着脱自在に貼り付けられる。
【0106】
なお、スポンジ部材84は、液晶パネル106を囲むように必ずしも設ける必要はない。スポンジ部材84は、前記位置調整において、粘着層52が窓ガラス102に接触するおそれのある液晶パネル106の上縁に沿って設ければよい。これにより、
図14(A)に示すように、前記位置調整の際に前記誤接触を防止できる。
【0107】
また、
図14(B)に示すように、スポンジ部材84は、貼合時にはローラ16による貼合荷重によって液晶パネル106の厚さまで圧縮されるので、液晶パネル106は窓ガラス102に問題なく貼合される。
【0108】
また、
図13(B)及び
図14に示すように、貼合開始位置よりも上流側の板状部材12の窓ガラス102側の面には、液晶パネル106と同じ厚さのダミーシート86を貼り付けておくことが好ましい。
【0109】
ダミーシート86の機能について説明する。貼合工程においてローラ16が板状部材12を押圧する開始位置は、板状部材12に保持された液晶パネル106の上端位置よりも更に上部に位置する。したがって、貼合開始位置よりも上流側の板状部材12にも、ローラ16からの貼合荷重が付加される。ここで、
図14(B)の如く、ダミーシート86を介在させると、貼合開始位置において、板状部材12の剛性の差を解消できるので、貼合開始時の貼合を円滑に実施することができる。
【0110】
(ハンガーユニット14による支持工程)
次に、
図15(A)、(B)に示すように、ハンガーユニット14の一対のターンバックル50のフック50Aに、液晶パネル106を吸着保持した板状部材12のリング12Aを着脱自在に係合させ、液晶パネル106とともに板状部材12を、ハンガーユニット14を介して窓ガラス102に吊り下げ支持する。
【0111】
この後、ハンガーユニット14によって、板状部材12を水平方向及び鉛直方向に移動させることによって、窓ガラス102の貼合位置に液晶パネル106を位置調整する。
【0112】
(湾曲手段24による湾曲工程)
板状部材12を湾曲手段24によって湾曲する。支持工程では、板状部材12が湾曲された状態で液晶パネル106の貼合位置が調整されることが好ましい。
【0113】
(補強部材15の取付け工程)
次に、
図16(A)、(B)に示すように、窓ガラス102の非貼合面で液晶パネル106の貼合エリアに、補強部材15を取り付ける。すなわち、窓ガラス102よりも高い平坦度の平坦面15Aを有するとともに窓ガラス102に付与される貼合荷重に対抗する剛性を有するフレーム15Bを、複数のハンド吸着盤15Cにより窓ガラス102の非貼合面に取り付ける。
【0114】
図16(A)、(B)は、
図5(A)で示した2本の補強部材15を縦向きに平行配置した例で図示しているが、
図5(B),
図5(C),
図6、
図7、及び
図8、
図9で示した補強部材15を取り付けてもよい。この場合、窓ガラス102の貼合面に、液晶パネル106を保持した板状部材12を吊り下げる工程と、窓ガラス102の非貼合面に補強部材15を取り付ける補強工程のいずれを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0115】
次に、
図17に示すように、湾曲手段24による板状部材12の湾曲に抗してローラ16により板状部材12を窓ガラス102に向けて押圧する。そして、貼合荷重を付与しながらローラ16を、板状部材12の上端から下端に向けて転動させて窓ガラス102と液晶パネル106とを順次貼合する。
【0116】
なお、上記貼合動作は、貼合開始位置から貼合終了位置までローラ16を1回移動させる貼合動作であるが、更に貼合終了位置から貼合開始位置までローラ16を上昇移動させ、上下一往復の貼合動作で貼合を実施してもよい。
【0117】
以上の手順により窓ガラス102に対する液晶パネル106の貼合作業が終了する。この時点で、板状部材12による液晶パネル106の吸着保持を解除する。
【0118】
以上の手順により、窓ガラス102に対する液晶パネル106の貼合作業が終了する。貼合作業の終了後、貼合装置10を窓ガラス102から取り外す。
【0119】
その取り外し作業は、まず、補強部材15を窓ガラス102から取り外す。次に、ハンガーユニット14を窓ガラス102から取り外す。これにより、窓ガラス102に液晶パネル106が貼合された画像表示装置を構成することができる。
【0120】
〔第1の実施形態の特徴:貼合工程〕
本発明の一態様の貼合装置及び貼合方法によれば、液晶パネル106を板状部材12に吸着保持し、板状部材12をハンガーユニット14で窓ガラス102に吊り下げ支持できるようにした。これにより、建築物に鉛直方向に設置された窓ガラス102の貼合面に対して、液晶パネル106の面を対向配置させることができる。
【0121】
また、窓ガラス102の非貼合面に窓ガラス102の剛性を増加させる補強部材15を着脱自在に取り付けた。これにより、窓ガラス102の剛性を飛躍的に増加させることができるので、貼合荷重によって窓ガラス102が押圧されても窓ガラス102に反りを発生させないようにできる。したがって、建築物の窓枠に鉛直方向に設置された窓ガラス102に液晶パネル106を貼合する、いわゆる現場貼合であっても窓ガラス102と液晶パネル106とを密着貼合することができる。これにより、窓ガラス102と液晶パネル106との間の粘着層52に気泡が巻き込まれることを防止できる。
【0122】
更に、第1の態様による補強部材15は、フレーム15Bの平坦面15Aに複数のハンド吸着盤15Cを設け、窓ガラス102を吸着するようにしたので、窓ガラス自体に反りがある場合でも、反りを矯正することができる。特に、第2の態様による補強部材15は、定盤15Fを窓ガラス102の非貼合面に当接させるので、窓ガラス自体に反りがある場合でも、反りを矯正することができる。
【0123】
しかも、補強部材15を窓ガラス102によって支持する形態なので、補強部材15を支持するための特別な支持装置が不要になる。
【0124】
更には、湾曲手段24によって、ローラ16で貼合中の液晶パネル106より下流側の未だ貼合していない液晶パネル106の部分が窓ガラス102に先に貼合されないようにしたので、貼合時に気泡が巻き込まれることを一層確実に防止できる。
【0125】
[第2の実施の形態の貼合装置]
第2の実施の形態の貼合装置10は、上記した第1の実施の形態の貼合装置10に、ローラ支持部18、及びローラ16の軸芯方向において貼合荷重を調整する貼合荷重調整機構部20を備えた押圧部22を押圧手段21に更に備えるように構成したものである。
【0126】
〈ローラ支持部18〉
図18(A)、(B)に示すように、ローラ支持部18は、ローラ16及び貼合荷重調整機構部20等を有する押圧部22を、窓ガラス102に着脱自在に支持させる工程にて使用される部材である。
【0127】
なお、
図18(A)では、図を見やすくするために補強部材15を描いていない。
【0128】
ローラ支持部18は、レールフレーム54、及びレールフレーム54を窓ガラス102に吸着保持させる4個のハンド吸着盤48によって構成される。レールフレーム54は、板状部材12の幅よりも広い間隔で縦方向に平行に配置された一対のレール56、56と、レール56、56を連結する2本の連結材58、58から構成される。
【0129】
レールフレーム54の材料としては、鋼等の金属、セラミックス、FRP等の強化プラスチック等の剛性材料を好適に使用できる。なお、ハンド吸着盤48の個数は5個以上でもよい。
【0130】
図19は、
図18(A)のC−C’線からみた矢視図であり、ローラ16による貼合状況を示す説明図である。
図20は、ローラ16による貼合状況を示した要部側面図である。
【0131】
〈押圧部22〉
本実施形態の貼合装置10は、
図19、
図20に示すように、押圧部22を備えている。押圧部22を備えることにより、第2の基板に均一な貼合荷重をかけることができる。その結果、貼合面に泡が入ることを防止できる。
【0132】
本実施形態において、押圧部22は、ローラ16の軸方向に平行に配置された角材のローラ操作バー60、ローラ操作バー60の両端部に設けられ、対向する一対のレール56、56にスライド自在に係合される係合部62、及びローラ操作バー60の軸方向に沿って設けられた貼合荷重調整機構部20によって構成される。
【0133】
係合部62は、車輪軸が直交方向に配置された車輪64と車輪ユニット66とからなる。
【0134】
図19に示す車輪64は、ローラ操作バー60の端部から側方に延設されたL字形状のブラケット68に軸64Aを介して回転自在に支持され、レール56の内壁面56Aに転接される。また、車輪ユニット66は、
図6の如く一対の車輪66Aを備えている。これらの車輪66Aは、ブラケット68に軸66Bを介して回転自在に支持され、レール56のローラガイド面56Bに転接される。レール56の内壁面56Aとローラガイド面56Bとは、互いに直交する面であり、内壁面56Aに車輪64が転接され、かつローラガイド面56Bに一対の車輪66Aが転接されることにより、押圧部22が可撓性ローラ支持部18に対して鉛直方向に沿って移動自在に支持される。
【0135】
車輪ユニットには、さらにディスクダンパー(図示しない)を備えることが好ましい。これにより、車輪66Aの回転速度を制御でき、貼合中にローラ操作バー60を離しても押圧部22が高速で下降することを防止できる。その結果、貼合面に泡が入ることを防止できる。ディスクダンパーには、例えば、不二ラテックス株式会社製FDN−47A−R(L)163を用いることができる。
【0136】
図19は、
図18(A)のC−C’線からみた矢視図であり、ローラ16による貼合状況を示す説明図である。
図20は、ローラ16による貼合状況を示した要部側面図である。
【0137】
図20に示すように、ローラガイド面56Bの上端(
図20の右端)には、傾斜したテーパ形状のスロープ70が備えられる。また、ローラガイド面56Bには、スロープ70に連続して窓ガラス102に平行な水平面72が備えられる。スロープ70を利用して係合部62の車輪66Aを、
図20の実線の如く水平面72に転接させることにより、ローラ16を貼合開始位置に円滑に位置させることができる。
【0138】
〈貼合荷重調整機構部20〉
本実施形態の貼合装置10は、
図19に示すように、貼合荷重調整機構部20がローラ16の軸方向の中央位置、両端位置、及び中央位置と両端位置との中間位置の5か所に設けられる。貼合装置10は、貼合荷重調整機構部20を有するので、ローラ16にかかる荷重を調整できる。
【0139】
本実施形態において、貼合荷重調整機構部20は、一対のスライダ74、ブラケット76、スプリング78、及び一対のバックアップローラ80から構成される。貼合荷重調整機構部20は、回転支持ピン等によって首振りが可能となっていることが好ましい。ローラ16が窓ガラス102の反りに追従して変形する際に、一対のバックアップローラ80をローラ16に密着させることができ、精度よく窓ガラス102の反りに追従することができる。
【0140】
スライダ74は、ローラ操作バー60の窓ガラス102に対向する面から窓ガラス102の面に対して直交方向に突没自在に設けられ、この2本のスライダ74の先端にブラケット76が固定される。スプリング78は、ローラ操作バー60とブラケット76との間に介在され、スプリング78の付勢力によってブラケット76が窓ガラス102に向けて付勢されている。
【0141】
一対のバックアップローラ80は、軸80Aを介してブラケット76に回動自在に支持され、同方向に回転されるローラ16に転接されてローラ16の回転を支持する。
【0142】
ローラ16は、
図19の如く、ブラケット68から突設されたピン82が内部に挿入されることにより、ローラ操作バー60からの脱落が防止されている。一対のバックアップローラ80は、クラウン形状であることが好ましい。クラウン形状のバックアップローラを使用すれば、ローラ16が窓ガラス102の反りにさらに精度よく追従できる。両端に位置する一対のバックアップローラ80の端は、液晶パネル106の端よりはみ出ていることが好ましい。これにより、液晶パネル106の端にまで十分な貼合圧力を加えることができる。
【0143】
貼合荷重調整機構部20によれば、
図20の二点鎖線で示すように、押圧部22がローラ操作バー60のスロープ70の部分に位置する時には、スプリング78が伸長した状態でローラ16が板状部材12に当接される。この後、
図20の実線で示すように、押圧部22がスロープ70から水平面72に移動すると、ローラ16が板状部材12を押圧し、その反力によってスプリング78が収縮し、スプリング78に付勢力が発生する。この付勢力がローラ16に付与される貼合荷重となる。
【0144】
そして、貼合装置10の第2の実施の形態による貼合方法では、第1の実施の形態における補強部材15の取付け工程の後に、次のローラ支持工程と、貼合工程とを行う。
【0145】
(ローラ支持工程)
図18(A)、(B)に示すように、吊り下げ支持した板状部材12を囲むようにローラ支持部18を窓ガラス102に装着する。すなわち、ローラ支持部18のレールフレーム54に設けられた4個のハンド吸着盤48を窓ガラス102に吸着させる。これにより、ローラ支持部18が窓ガラス102に支持される。
【0146】
この場合、第1の実施の形態の貼合装置10では、補強部材15の4つのハンド吸着盤15Cを液晶パネル106の4つのコーナ部に対応する窓ガラス102の非貼合位置に配置することが好ましいとした。しかし、貼合装置10の第2の実施の形態のように、ローラ支持部18を設ける場合には、次のようにすることが好ましい。
【0147】
即ち、ローラ支持部18のレールフレーム54に設けられた4個のハンド吸着盤48と、補強部材の剛性板に設けられた4個のハンド吸着盤15Cとが窓ガラス102を挟んで対向する位置関係になるようにすることが好ましい。これにより、剛性材料で形成されたレールフレーム54と剛性板とで窓ガラス102をサンドイッチする構造になるので、窓ガラス102の剛性を一層高めることができる。
【0148】
次に、
図18(A)、(B)に示すように、押圧部22をローラ支持部18のレール56のスロープ70部分から装着する。これにより、貼合装置10が組み立てられ、窓ガラス102に液晶パネル106を貼合するための準備が終了する。
【0149】
そして、ローラ支持部18のレール56に沿ってローラ16を板状部材12の上端から下端に向けて転動させ、液晶パネル106を窓ガラス102に貼合する。
【0150】
以上の手順により窓ガラス102に対する液晶パネル106の貼合作業が終了する。
【0151】
〔第2の実施形態の特徴:貼合工程〕
第2の実施形態の貼合装置10によれば、ローラ支持部18と、貼合荷重調整機構部20を備えた押圧部22とを更に備えるようにしたので、ローラ16の転動をスムーズに且つ貼合開始から貼合終了までの貼合荷重のバラつきをなくすことができる。
【0152】
また、上記したように、ハンド吸着盤15Cを介して、剛性材料で形成されたレールフレーム54と剛性板とで窓ガラス102をサンドイッチする構造になるので、窓ガラス102の剛性を一層高めることができる。
【0153】
これにより、窓ガラス102と液晶パネル106とを第1の実施の形態よりも一層密着貼合することができるので、気泡が巻き込まれることを防止できる。
【0154】
したがって、第1及び第2の実施形態の貼合装置10及び貼合方法によれば、窓ガラス102に反りがある場合、貼合時に反りが発生した場合であっても、窓ガラス102と液晶パネル106との間の粘着層界面に気泡が入り込むことなく窓ガラス102に液晶パネル106を精度良く貼合することができる。よって、建築物の窓ガラス102に液晶パネル106を貼合し、デジタルサイネージを構成する現場貼合において有効である。
【0155】
上記説明した実施形態では、本発明の基板の貼合装置及び貼合方法を、建築物の窓ガラス(第1の基板)に液晶パネル(第2の基板)を現場貼合する一例で説明したが、これに限定されず、第1の基板が建築物に縦方向に設置された状態で第2の基板を現場貼合する場合の何れにも適用することができることは言うまでもない。