特許第6562454号(P6562454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562454
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】咀嚼感覚フィードバック装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20190808BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20190808BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61C19/00 Z
   A61B5/11 300
   G09B9/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-117022(P2015-117022)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2016-93476(P2016-93476A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-228180(P2014-228180)
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 博史
(72)【発明者】
【氏名】井野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 和香
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−034343(JP,A)
【文献】 特開2011−188334(JP,A)
【文献】 特開2006−320735(JP,A)
【文献】 特開2004−242893(JP,A)
【文献】 特開2006−227021(JP,A)
【文献】 特開平10−011560(JP,A)
【文献】 特開2010−137015(JP,A)
【文献】 特開2011−137781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61B 5/11
G09B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の閉口筋に貼付した筋電センサの検出信号が、当該利用者が実際に咀嚼を行った際の閾値であって、当該利用者の咀嚼能力に合わせた閾値を越えたときにのみ咀嚼を検出する咀嚼検出手段と、
利用者に擬似的な咀嚼感覚を音声で提示する咀嚼感覚提示装置と、
前記咀嚼検出手段からの検出信号に基づいて、前記咀嚼感覚提示装置への出力信号を生成する出力信号処理部を備えていることを特徴とする咀嚼感覚フィードバック装置。
【請求項2】
前記出力信号処理部が、前記咀嚼感覚提示装置へ出力する出力信号の出力レベルあるいは波形の少なくとも一方を調整する調整部を備えていることを特徴とする請求項1に記載された咀嚼感覚フィードバック装置。
【請求項3】
前記調整部からの指令に基づいて、前記咀嚼感覚提示装置が、波形データベースを参照し、前記咀嚼感覚提示装置への出力信号の波形を選定することを特徴とする請求項に記載された咀嚼感覚フィードバック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錯覚等を利用して、咀嚼時の食感に大きく関係する咀嚼音を装着者に擬似的に体感させるための咀嚼感覚フィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として特許文献1が知られており、多関節機構の先端を利用者に咬合させ、咬合力を検出し、食感に対応する咬合力を多関節機構で再現する食感呈示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−34343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高齢化に伴い、咀嚼・嚥下力が低下した高齢者や患者でも、食事が楽しめるよう、視覚上、そして味覚上、通常の料理と区別がつかない介護食の開発が進んでいる。これにより、視覚、味覚の楽しみを再現することができる。
しかし、食の楽しみには、視覚、味覚だけでなく、例えば、カリッ、パリッ、シャキッといった食感も大きく影響する。ここでいう食感とは、いわゆる歯ごたえや噛みごたえのほか、鮮度やなめらかさ、粒感、とろみ、こく、みずみずしさなど、食知覚全般を含む。
【0005】
また、ゲームなどで仮想現実を再現する際、視覚、聴覚のみならず、振動、香りといった様々な感覚を再現するための開発が盛んに行われている。
しかし、特許文献1の食感呈示装置では、利用者が多関節機構の先端を咬合する必要があり、日常的な使用は困難である。
しかも、利用者に違和感を与えるため、再現された食感も非現実なものにならざるを得ないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、食感に乏しい介護食を咀嚼しているときも、利用者に違和感を与えることなく、擬似的に噛み応えのある食感を与えることで、食事の満足感や楽しさの向上、さらに、利用者に自らが咀嚼していることを実感させることにより、誤嚥防止、咀嚼回数の確保、咀嚼能力の維持向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の咀嚼感覚フィードバック装置は、利用者の閉口筋に貼付した筋電センサの検出信号が、当該利用者が実際に咀嚼を行った際の閾値であって、当該利用者の咀嚼能力に合わせた閾値を越えたときにのみ咀嚼を検出する咀嚼検出手段と、利用者に擬似的な咀嚼感覚を音声で提示する咀嚼感覚提示装置と、前記咀嚼検出手段からの検出信号に基づいて、前記咀嚼感覚提示装置への出力信号を生成する出力信号処理部を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者の閉口筋付近に装着された筋電センサ等により、咀嚼動作を検出し、この検出信号に基づいて、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の咀嚼感覚提示装置への出力信号が生成される。
これにより、咀嚼・嚥下力が低下した高齢者や、器質的障害(例えば癌で口腔から食道までの嚥下関連器官の機能の一部を失うなど)により普通食を食べることができなくなった者が、柔らかい介護食を採る場合でも、咀嚼に違和感を与えることなく、咀嚼に同期して、通常食の肉類や、根菜類、葉物等の野菜を咀嚼しているような食感を擬似的に再現することができる。これにより、自分が咀嚼していることを実感させ、十分な咀嚼回数を確保させ、食の楽しさの再現、誤嚥防止、さらには、咀嚼・嚥下機能の低下防止に資することもできる。
【0009】
また、擬似的な咀嚼感覚を提示することで、咀嚼に対する意識を高めることができ、誤嚥防止などの効果を奏するばかりでなく、医療従事者や介護者にとっても、咀嚼状態をモニタリングすることが可能となる。
さらに、食材に応じて、咀嚼感覚提示装置から提示される擬似的な咀嚼感覚を調整することで、例えば、カリッ、パリッ、シャキッといった食感を楽しむことが可能となり、ゲームなど、バーチャルな世界でも、例えば映像に合わせてプレーヤが噛む動作をするだけで、食感を楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1の全体構成図である。
図2図2は、筋電センサから出力される検出信号の一例を示す図である。
図3図3は、実験で用いた咀嚼感覚フィードバック装置の全体構成図である。
図4図4は、筋電センサの周波数特性と、ヘッドフォンに出力した周波数特性の関係を示す図である。
図5図5は、実験協力者に対し行ったアンケートの集計結果(味、食感、全体的な感想)を示す図である。
図6図6は、実験協力者に対し行ったアンケートの集計結果(違和感、うるささ、食材の種類の多さ、リズムカルな咀嚼)を示す図である。
図7図7は、実施例2の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
図1は、本実施例の基本構成図である。
本実施例の咀嚼感覚フィードバック装置は、咀嚼検出部として、利用者の閉口筋上面に貼着する、表面筋電用の電極等からなる筋電センサ1を用い、咀嚼感覚提示装置として、耳に装着するイヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2を用いる。
【0013】
筋電センサ1は、皮膚表面上に筋肉の活動電位計測用の電極と、必要に応じて接地電極を貼付し、これらの電極が、咀嚼感覚信号処理部3の筋電センサ信号増幅部4に接続されている。
【0014】
咀嚼した場合の左右閉口筋に発生する筋電は、食材の硬軟、利用者特有の咀嚼能力、習慣、癖などにより異なるが、左右片側で咀嚼した場合でも、筋電は常に左右両側に発生する。筋電センサ1は、非咀嚼側に装着された場合、出力される筋電振幅は、咀嚼側に装着した場合と比較して小さくなるため、利用者の左右閉口筋の上面にそれぞれ装着することが好ましい。
しかし、後述するように、利用者にとって自然な咀嚼感が得られるよう、音提示装置2からの出力レベルを調整すれば、片側のみに装着してもよい。
【0015】
筋電センサ信号増幅部4を経由した筋電センサ1からの検出信号は、周波数帯域の調整、音圧調整を行うイコライザ機能、ミキサ機能を備えた出力信号処理部5を介して音提示装置2から出力される。なお、筋電センサ信号増幅部4には、パソコンを用いたデータ収録部6が接続され、筋電センサ1の出力信号と出力信号処理部5への出力信号を経時的に記録することが可能である。
【0016】
ここで、筋電センサ1の検出信号の例は、図2のとおりであり、主要な周波数帯域が、一般的な可聴域の20〜20kHzに含まれていることが分かる。
そこで、筋電センサ1の検出信号をそのまま増幅することで、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2には、筋電センサ1からの咀嚼タイミングに同期して、しかも、咀嚼の強さに比例するフィードバック音が得られる。
【0017】
なお、筋電センサ信号増幅部4の入力部に、電源ノイズをカットするためノッチフィルタ、環境における電磁波ノイズをカットするためのバンドストップフィルタを設けると、筋電センサ1からの検出信号をより正確に抽出することができる。
また、咀嚼をしない場合でも、左右閉口筋が微妙に動き、その都度微少な筋電が発生し、意図しない咀嚼音が発生し、利用者に違和感を感じさせる要因となり得る。
そこで、こうした左右閉口筋の微妙な動きと、咀嚼の際の筋電とを、装着者の咀嚼能力に合わせた最適の閾値で判別し、実際に咀嚼を行った場合のみ、出力信号処理部5から音提示装置2にフィードバック音を出力することができる。
【0018】
また、電磁波ノイズを低減するため、信号系を早期にデジタル化したり、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2を装着していても会話ができるよう、補聴器機能を内蔵させることも可能である。
【0019】
この実施例では、音提示装置2として、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置を用いており、筋電センサ1の検出信号をそのまま増幅し、イヤフォンあるいはヘッドフォンを駆動している。
しかし、出力信号処理部5により、筋電センサ1からの出力信号に調整を加えることで、イヤフォンあるいはヘッドフォンから出力されるフィードバック音の波形、すなわち、周波数帯域や音圧を変化させることができる。これにより、例えば、特定の周波数帯域を増幅したり、減衰させることで、自然な咀嚼感覚が得られるよう調整することができる。さらに利用者の聴覚特性に合わせて調整することも可能である。
【0020】
なお、音提示装置としては、市販のものを利用でき、開放型、密封型、差し込み型、骨伝導タイプ等、利用者の聴力や年齢、障害に応じて最適なものを選択できる。以下に説明するように、例えば、食感としてバリバリ感を強調したいときは、2kHz以上を強調するものなど、特殊な周波数特性を備えたものを選定してもよい。
また、BLUETOOTH(登録商標)など、ケーブルレスタイプのイヤフォンも好ましい。
【0021】
発明者らは、本発明の効果を検証するため、20歳から58歳、男女30人の実験協力者に対し、実験を行った。
介護食として、それぞれ食材の異なる5種類の介護食(1:5種野菜のきんぴら、2:かぼちゃの鶏そぼろ、3:大根の鶏そぼろあんかけ、4:肉じゃが、5:海老と貝柱のクリーム煮)を用意し、味覚、食感、全体的な感想、違和感等の観点で、咀嚼フィードバック音の有無によりどのように異なるかをアンケート調査した。なお、介護食は、いずれも日本介護食品協議会が定めた介護食品区分2(歯ぐきでつぶせる)あるいは3(舌でつぶせる)に分類されるものである。
【0022】
実験では、図3に示すように、筋電センサ1として、パッシブ型の表面電極を用い、実験協力者の右側の閉口筋に差動電極、額に接地電極を貼付した。
これらの電極から得られる筋電は、筋電センサ信号増幅部4として用いる生体アンプ(生体信号増幅器)に入力され、音圧調整、ミキサ、イコライザ等の調整部を備えた出力信号処理部5で咀嚼タイミングに合わせてフィードバック音を生成し、咀嚼感覚提示装置2としてヘッドフォンを採用した。
【0023】
また、図4に示すように、出力信号処理部5により、上側に示されるような筋電センサ1の検出値の周波数特性電圧に対し、下側に示されるように、250Hz〜1kHzについては+15db、その他の帯域については−15dbの音圧調整を行ってヘッドフォンに出力している。最終的な音圧は、実験協力者各自の意見を聞きながら、出力信号処理部5により音圧調整を行い、耳障りでなく、しかもはっきり聞こえる程度の音圧に調整した。
【0024】
その後、5種類の介護食を、フィードバック音の有無別に咀嚼してもらい、その都度、それぞれについてアンケート調査を行った。
アンケートは、味、食感、全体的な感想に関するもので、図5に、各実験協力者の主観評価値を嚥下食品1〜5毎に集計した集計結果を示す。図5のグラフは、フィードバック音があることにより、無い場合と比較して主観値がどのくらい変化したかを表しており、例えば、食感については、硬さ、しっとり感、新奇感、噛みごたえ感、面白さ、ざらざら感、全体的な食感の7項目についてアンケート調査を行い、各項目毎に、左から順に介護食品1〜5毎の集計値を示している。
フィードバック音があることにより、食感や感想が多くの項目で有意に上昇しており、本発明に効果があることが示されている。
なお、各介護食品1〜5について、フィードバック音の有無にかかわらず、実際に行われた咀嚼リズム、筋電センサ1の出力レベルには大差はなく、フィードバック音による咀嚼動作への悪影響は見られなかった。
【0025】
また、図6は、音の違和感、うるささ、食材の種類の多さ、リズムカルに咀嚼が行われたかの観点でアンケート調査を行い、各主観評価値を介護食品1〜5毎に集計した結果を示している。
介護食品2については、音と食品との間に違和感があり、音をうるさく感じているが、図5に示されているように、噛みごたえや食べている実感は有意に上昇している。
【0026】
以上の結果から、咀嚼音を提示することで、次の事項が判明した。
(1)フィードバック音により、硬さに関する食感(噛みごたえや食品の硬さ)を変化させることが可能であり、たとえ音と食品との間に違和感があっても、硬さに関する食感を変化させる効果があること。
(2)違和感が大きすぎると音をうるさく感じ、食感は変わっても、精神的な満足感は変化しないが、音と食材との一致感が高い場合には、食感だけでなく、楽しさ・満足感などの精神的な効果も得られやすくなること。
(3)音と食品との組み合わせによっては、味や高級感、含まれる食材の種類など、硬さに関する食感以外の食品の性質も変化させることが可能であること。
(4)音と食品との組み合わせによってはリズムカルに噛めている感じが強くなること。
【0027】
以上の結果から、介護食品の食材や調理名に応じて、フィードバック音の周波数帯域毎の音圧調整や、ピーク周波数やその時間変化の調整を行うことにより、フィードバック音と食材との一致感を高め、食感のない介護食を食べている場合でも、咀嚼の実感、満足感を向上できることを示唆している。
例えば、これまでにも実際の咀嚼音の高周波数帯域成分(約2kHz以上)の音量が増強されると、食品のパリパリ感や新鮮さが増し、逆に減弱されるとパリパリ感や新鮮さが減ることが確認されていたが、本実験により、咀嚼音がしない食品に関しても、適切に咀嚼音を提示することで食感を向上できることが示された。
【0028】
[実施例2]
実施例1では、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2に出力するフィードバック音を、筋電センサ1の検出信号に基づいて生成したが、本実施例では、利用者の主観や、咀嚼能力の程度、さらには、介護食の種類に応じて、より自然な咀嚼感覚が得られるよう、図7に示されるように、様々な波形のフィードバック音を生成するための波形データベース7を設けている。
波形データベース7では、筋電センサ信号増幅部4を介して入力される筋電センサ1から筋電振幅を常時モニターし、出力信号処理部5を介して、利用者の咀嚼に同期して、波形データベース7から選択した周波数特性のフィードバック音を音提示装置2に出力する。
その際、出力信号処理部5の調整部により、利用者の咀嚼力の程度や、聴力に応じて、増幅率を調整可能として、音提示装置2へ最適レベルのフィードバック音を出力できるようにする。
【0029】
また、視覚的に模した食品や料理を介護食として用いる場合、食品あるいは料理毎に最適な咀嚼感が得られるフィードバック音を波形データベース7に予め登録しておき、選んだ食品あるいは料理を画像処理や周辺に取り付けたICチップやバーコードにより判定し、フィードバック音を自動的に選択するようにしてもよい。
【0030】
以上、本発明を実施するための態様を実施例1、2に基づいて説明したが、様々な変形が可能である。
すなわち、実施例1、2では、咀嚼を検出する咀嚼検出手段として筋電センサを用いたが、表情を画像処理することや、マーカーを貼付し、下顎の位置を光学的に計測することでも、利用者に違和感を与えることなく、咀嚼動作を判別することが可能である。
また、咀嚼感覚提示装置としてイヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2を用いたが、骨伝導装置を利用してもよい。
【0031】
さらに、ヘッドフォンと筋電センサを一体化したり、筋電センサ1と信号増幅部4や出力信号処理部5との間をワイヤレス化することで、イヤフォンあるいはヘッドフォン等の音提示装置2を装着するだけで、閉口筋の活動を測定し、最適なフィードバック音が出力されるようにしてもよい。
利用者の閉口筋の筋電を検出する表面筋電センサ1についても、例えば、送信機能を備えた圧力センサを義歯や入れ歯に組み込むようにしてもよい。さらに、特開2015−93050号公報に開示されているような、外耳の形状変化により咀嚼を検出するセンサをイヤフォンに組み込むことで、咀嚼検出手段と、咀嚼感覚提示装置としての音提示装置を一体化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、咀嚼検出手段からの検出信号に基づいて、咀嚼感覚提示装置への出力信号を生成することで、咀嚼していること実感させ、咀嚼回数の確保、食の楽しさの再現、誤嚥防止、さらには、咀嚼・嚥下機能の低下防止に資することができるので、例えば、介護施設やリハビリ施設等で広く採用されることが期待できる。さらには、仮想現実での咀嚼感覚再現装置としての利用も期待できる。
【符号の説明】
【0033】
1;筋電センサ
2;音提示装置
3;咀嚼感覚信号処理部
4;筋電センサ信号増幅部
5;出力信号処理部
6;データ収録部
7;波形データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7