特許第6562916号(P6562916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562916予測フィルタを用いた基板研磨中の研磨速度の調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562916
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】予測フィルタを用いた基板研磨中の研磨速度の調整
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20190808BHJP
   B24B 37/34 20120101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/304 622R
   B24B37/34
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-533544(P2016-533544)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2016-540383(P2016-540383A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】US2014065241
(87)【国際公開番号】WO2015080863
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】14/092,460
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンヴェニュ, ドミニク ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ダンダパーニ, シヴァクマール
(72)【発明者】
【氏名】リー, ハリー キュー.
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06290572(US,B1)
【文献】 特表2013−529386(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/162857(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0246820(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0280827(US,A1)
【文献】 特開2004−154928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ可読媒体上に存在するコンピュータプログラム製品であって、
基板の領域の厚さに依存する測定された特徴値を、第一の予測フィルタに入力するステップであって、前記第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成し、前記測定された特徴値は、前記基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記測定された特徴値が変化する、測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力するステップであって、前記第二の予測フィルタは、前記基板の前記領域のフィルタリングされた特徴速度を生成し、前記測定された特徴速度は、前記インシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記フィルタリングされた特徴値に基づく前記第一の時間の後の第二の時間に達成されるべき前記領域の要求される特徴値を定めるステップと、
前記要求される特徴値に基づく要求される特徴速度を定めるステップと、
前記要求される特徴速度及び前記フィルタリングされた特徴速度に基づいて、前記第一の時間の後に前記基板の前記領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度への調整を定めるステップと、を、プロセッサに行わせるための命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
前記フィルタリングされた特徴値が、前記インシトゥ測定からの前記測定された特徴値に関連付けられたノイズを表す第一のノイズ値に基づいて定められ、前記フィルタリングされた特徴速度が、前記インシトゥ測定からの前記特徴速度に関連付けられたノイズを表す第二のノイズ値に基づいて定められる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
前記第一の予測フィルタ及び前記第二の予測フィルタが、カルマンフィルタである、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記インシトゥ測定が、光学測定を含み、前記第一の時間に、複数の光学測定が、前記基板の前記領域でなされ、前記領域についての複数の導出された特徴値を提供する、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記複数の導出された特徴値の平均値又は中央値として前記測定された特徴値を定めるように更にされている、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記第一の時間までの期間中の前記領域についての複数の導出された特徴値にフィッティングされた関数に基づいて、前記測定された特徴値を定めるように更にされており、そこにおいて、基板の前記領域を研磨する装置のパラメータは調整されない、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
コンピュータ可読媒体上に存在するコンピュータプログラム製品であって、
基板の領域の厚さに依存する測定された特徴値を、第一の予測フィルタに入力するステップであって、前記第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成し、前記測定された特徴値は、前記基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記測定された特徴値が変化する、測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力するステップであって、前記第二の予測フィルタは、前記基板の前記領域のフィルタリングされた特徴速度を生成し、前記測定された特徴速度は、前記インシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記第一の時間の後の第二の時間に達成されるべき前記領域の要求される特徴値を定めるステップと、
前記フィルタリングされた特徴値及び前記要求される特徴値に基づいて、前記第一の時間の後に前記基板の前記領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度を定めるステップと、を、プロセッサに行わせるための命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記フィルタリングされた特徴速度と前記要求される特徴速度の間の差に基づいて、前記基板の前記領域についての要求される特徴速度の調整を定めるように更にされている、請求項7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記要求される特徴速度の調整を達成するために、前記研磨プロセス中に前記基板の前記領域にかけられる圧力の要求される変化を定めるように更にされている、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記プロセッサが、一連の測定された特徴値に前記第一の予測フィルタを適用させて、一連のフィルタリングされた特徴値を生成するようにされており、前記フィルタリングされた特徴値は、前記第一の時間における前記一連のフィルタリングされた特徴値からの値である、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記プロセッサが、一連の測定された特徴速度に前記第二の予測フィルタを適用させて、一連のフィルタリングされた特徴速度を生成するようにされており、前記フィルタリングされた特徴速度は、前記一連のフィルタリングされた特徴速度に基づく前記第一の時間における速度である、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記プロセッサが、要求される特徴速度を、前記研磨プロセス中の複数の既定の時点において、かつ前記一連のフィルタリングされた特徴値及び前記一連のフィルタリングされた特徴速度に基づいて、定めるようにされている、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
研磨物を支持するための回転可能なプラテンと、
前記研磨物の研磨面と接して基板を保持するためのキャリアヘッドであって、複数の制御可能なゾーンを有するキャリアヘッドと、
前記キャリアヘッドの前記制御可能なゾーンに対応する前記基板上の複数の領域の各々についての一連の特徴値を生成するように構成されたインシトゥモニタシステムと、
コントローラと
を備える、研磨システムであって、前記コントローラは、
プロセッサデバイスと、
前記プロセッサデバイスと通信するメモリと、
前記メモリを用いた前記プロセッサによる実行のための計算命令のプログラムを保存するストレージデバイスと
を含み、前記プログラムは、
基板の領域の厚さに依存する測定された特徴値を、第一の予測フィルタに入力するステップであって、前記第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成し、前記測定された特徴値は、前記基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記測定された特徴値が変化する、測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力するステップであって、前記第二の予測フィルタは、前記基板の前記領域のフィルタリングされた特徴速度を生成し、前記測定された特徴速度は、前記インシトゥ測定に基づいて定められる、ステップと、
前記フィルタリングされた特徴値に基づく前記第一の時間の後の第二の時間に達成されるべき前記領域の要求される特徴値を定めるステップと、
前記要求される特徴値に基づく要求される特徴速度を定めるステップと、
前記要求される特徴速度及び前記フィルタリングされた特徴速度に基づいて、前記第一の時間の後に前記基板の前記領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度への調整を定めるステップと、を、前記プロセッサに行わせるように構成された命令を備える、研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、化学機械研磨中に基板上の複数のゾーンをモニタすることに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウェハ上に導電層、半導体層、又は絶縁層を連続して堆積させることによって、基板上に形成される。一つの製造ステップは、非平面表面上に充填層を堆積させること及び充填層を平坦化することを含む。幾つかの応用において、充填層は、パターン形成された層の上面が露出されるまで、平坦化される。例えば、導電性充填層が、パターン形成された絶縁層上に堆積され、絶縁層の中のトレンチ又は孔を充填することができる。平坦化の後、絶縁層の浮き出しパターンの間に残っている導電層の部分が、基板上の薄膜回路の間に導電経路を提供するビア、プラグ及びラインを形成する。酸化物研磨などの他の応用において、充填層は、既定の厚さが非平面表面上に残されるまで、平坦化される。加えて、基板面の平坦化が、フォトリソグラフィのために通常必要とされる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、一つの一般に認められている平坦化方法である。この平坦化方法は、基板がキャリアヘッドに取り付けられることを、通常必要とする。基板の露出面が、耐久性のある粗い面を有する回転する研磨パッドに当接して一般に配置される。キャリアヘッドが、基板に制御可能な荷重を与え、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を伴ったスラリなどの研磨液が、研磨パッドの表面に通常供給される。
【0004】
CMPにおける一つの問題は、例えば、所望の平坦度若しくは厚さに平坦化された基板層、又は所望の量の材料が除去されたなど、所望のプロファイルを達成するために適切な研磨速度を用いることである。基板層の最初の厚さ、スラリの組成、研磨パッド条件、研磨パッドと基板の間の相対速度、及び基板に対する荷重における変動が、一つの基板上で、及び基板と基板の間で、材料除去速度の変動を引き起こし得る。これらの変動は、研磨終点に達するのに必要とされる時間及び除去される量における変動を引き起こす。それ故、単に研磨時間の関数として研磨終点を確定すること、又は単に一定の圧力を加えることによって所望のプロファイルを達成することが、可能でないことがある。
【0005】
幾つかのシステムにおいて、基板が、研磨中にインシトゥ(その場)で、例えば、研磨パッドの窓を通して、光学的にモニタされる。しかしながら、既存の光学モニタ技術は、半導体デバイス製造業者の増大する要求に応えられないことがある。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、コンピュータ可読媒体上にあるコンピュータプログラム製品は、プロセッサに対して、基板の領域の厚さに依存する測定された特徴値を第一の予測フィルタに入力させるための命令を含む。第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成する。測定された特徴値は、基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。また、プロセッサは、測定された特徴値が変化する測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力するように、される。第二の予測フィルタは、基板のその領域のフィルタリングされた特徴速度を生成する。測定された特徴速度は、インシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。プロセッサは、更に、フィルタリングされた特徴値及びフィルタリングされた特徴速度に基づいて、第一の時間の後且つその後の第二の時間の前に基板のその領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度を定めるようにされる。
【0007】
他の態様によれば、研磨システムは、研磨物を支持するための回転可能なプラテンと、複数の制御可能なゾーンを有し、研磨物の研磨面と接するように基板を保持するためのキャリアヘッドと、キャリアヘッドの制御可能なゾーンに対応する基板上の複数の領域の各々について、一連の特徴値を生成するように構成されたインシトゥ(その場)モニタシステムと、コントローラとを含む。コントローラは、プロセッサデバイス、プロセッサデバイスと通信するメモリ、及びメモリを用いたプロセッサによる実行のために計算命令のプログラムを保存するストレージデバイスを含む。プログラムは、プロセッサに、基板の領域の厚さに依存した測定された特徴値を第一の予測フィルタに入力させるように、構成された命令を含む。第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成する。測定された特徴値は、基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。また、プロセッサは、測定された特徴値が変化する測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力するように、される。第二の予測フィルタは、基板のその領域のフィルタリングされた特徴速度を生成する。測定された特徴速度は、インシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。プロセッサは、更に、フィルタリングされた特徴値及びフィルタリングされた特徴速度に基づいて、第一の時間の後且つその後の第二の時間の前に基板のその領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度を定めるようにされる。
【0008】
他の態様によれば、コンピュータ実行方法が、基板の領域の厚さに依存した測定された特徴値を第一の予測フィルタに入力することを含む。第一の予測フィルタは、フィルタリングされた特徴値を生成する。測定された特徴値は、基板の研磨プロセス中の第一の時間以前になされたインシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。また、本方法は、測定された特徴値が変化する測定された特徴速度を、第二の予測フィルタに入力することを含む。第二の予測フィルタは、基板のその領域のフィルタリングされた特徴速度を生成する。測定された特徴速度は、インシトゥ(その場)測定に基づいて、定められる。本方法は、更に、フィルタリングされた特徴値及びフィルタリングされた特徴速度に基づいて、第一の時間の後且つその後の第二の時間の前に基板のその領域を研磨するために用いられるべき要求される特徴速度を定めることを含む。
【0009】
本コンピュータプログラム製品、本システム、及び/又は本方法の実施形態は、以下の特徴のうちの一つ以上を含み得る。フィルタリングされた特徴値は、インシトゥ(その場)測定からの測定された特徴値に関連付けられたノイズを表す第一のノイズ値に基づいて、定められ、フィルタリングされた特徴速度は、インシトゥ(その場)測定からの特徴速度に関連付けられたノイズを表す第二のノイズ値に基づいて、定められる。第一の予測フィルタ及び第二の予測フィルタは、カルマンフィルタ(Kalman filter)である。インシトゥ(その場)測定は、光学測定を含み、第一の時間に、複数の光学測定が、基板の領域でなされ、その領域についての複数の導出された特徴値を提供する。測定された特徴値は、複数の導出された特徴値の平均値又は中央値として定められる。測定された特徴値は、第一の時間までの期間における領域の複数の導出された特徴値にフィッティングされた関数に基づいて、定められ、ここで、基板の領域を研磨する装置のパラメータは、調整されていない。その後の第二の時間に達成されるべき、領域の要求される特徴値が定められ、第一の時間の後且つその後の第二の時間の前に基板の領域を研磨するのに用いられるべき要求される特徴速度が、フィルタリングされた特徴値と要求される特徴値に基づいて、定められる。基板の領域の要求される特徴速度の調整が、フィルタリングされた特徴速度と要求される特徴速度の間の差に基づいて、定められる。要求される特徴速度の調整を達成するために、研磨プロセス中に基板の領域にかけられる圧力の要求される変化が、定められる。第一の時間と第二の時間の間の第三の時間における基板の領域の別のフィルタリングされた特徴速度が定められ、この別のフィルタリングされた特徴速度は、圧力の要求される変化に基づいてなされた圧力の実際の変化に関連して、定められる。第一の予測フィルタが、一連の測定された特徴値に適用され、一連のフィルタリングされた特徴値を生成し、フィルタリングされた特徴値は、第一の時間における一連のフィルタリングされた特徴値からの値である。第二の予測フィルタが、一連の測定された特徴速度に適用され、一連のフィルタリングされた特徴速度を生成し、フィルタリングされた特徴速度は、第一の時間における一連のフィルタリングされた測定された特徴速度からの速度である。研磨プロセス中の複数の既定の時点における要求される特徴速度が、一連のフィルタリングされた特徴値及び一連のフィルタリングされた特徴速度に基づいて、定められる。
【0010】
他の態様において、研磨システム及びコンピュータ可読媒体上に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品が、これらの方法を実行するために提供される。
【0011】
本発明の一つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に述べられる。本発明の他の特徴、目的、及び利点が、詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】2つの研磨ヘッドを有する研磨装置の一例の概略断面図を示す。
図2】複数のゾーンを有する基板の概略上面図を示す。
図3A】研磨パッドの上面図を示し、インシトゥ(その場)測定値が第一の基板上で取得される場所を示す。
図3B】研磨パッドの上面図を示し、インシトゥ(その場)測定値が第二の基板上で取得される場所を示す。
図3C】インシトゥ(その場)測定値が基板の複数のゾーンに関して取得される複数の場所の分布の概略上面図を示す。
図4】コントロールゾーン及び参照ゾーンにおけるインシトゥ(その場)測定値から導き出された厚さのグラフである。
図5】制御ゾーンにおける要求される研磨速度を計算することの例示的なプロセスを示すフロー図である。
図6】測定された研磨速度をフィルタリングすることの例示的なプロセスを示すフロー図である。
図7】制御ゾーン又は参照ゾーンにおける測定された厚さをフィルタリングすることの例示的なプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概観
一つの基板が研磨されている、又は複数の基板が、例えば同じ研磨パッド上で同時に研磨されている場合、同じ基板の異なる領域間又は基板間の研磨速度の差異により、同じ基板の異なる領域又は異なる基板が、異なる時間にそれらのターゲット厚に達し得る。一方で、ゾーンの研磨が同時に停止される場合、基板の異なる領域は、要求される厚さに達しないかもしれない。他方で、異なるゾーンの研磨を異なる時間に停止することは、欠陥をもたらし得るし、又は研磨装置のスループットを低下させ得る。
【0014】
各基板の各ゾーンの研磨速度を、インシトゥ(その場)測定から確定することによって、並びに将来のターゲット時間における要求される厚さに基づいて、各ゾーンの要求される研磨速度を決定することができる。一つ以上のゾーンの研磨速度が、それぞれの要求される研磨速度に調整され、基板が、より接近した終点条件を達成するのを促進することができる。「より近い終点条件」により、基板のゾーンが、そのような調整がない場合よりも、より同時に近く、それらのターゲット厚(複数可)に達するであろう、又は基板のゾーンが、そのような調整がない場合よりも、終点時間において、それらのターゲット厚(複数可)により近い厚さを有するであろうということが、意味される。一般に、ターゲット時間は、予測される終点時間より前になるように、選ばれる。一つの基板又は一群の基板の研磨プロセス中に、各基板の様々なゾーンについての研磨速度(複数可)が定められ、繰り返し調整されることができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、基板ゾーンの研磨速度は、基板ゾーンに研磨ヘッドにより加えられる圧力を調整することによって、要求される研磨速度に調整される。圧力調整は、要求される研磨速度と、インシトゥ(その場)測定に基づいて確定された現在の研磨速度との間の差に基づいて、決定されることができる。幾つかの実施形態において、一つのゾーンについての圧力調整の計算は、他のゾーンに対する圧力が、その一つのゾーンの研磨速度に与える影響を、例えばプレストンマトリクス(Preston matrix)を用いて考慮する。
【0016】
例示的なインシトゥ(その場)測定は、基板ゾーンにおける厚さの光学モニタを含む。時間とともに、基板ゾーンの複数の厚さ、すなわち、減少する厚さが、基板ゾーンから集められた光学スペクトルに基づいて確定され、その複数の厚さから、研磨速度を導き出すことができる。光学スペクトルを含むインシトゥ(その場)測定の結果は、ノイズデータを含み、これは、確定された厚さ及び研磨速度の精度、並びにそれ故に、要求される研磨速度及び圧力調整の精度に影響を与え得る。様々なノイズ低減技法が、精度を改善するために適用され得る。
【0017】
幾つかの実施形態において、一つ以上の予測フィルタが、インシトゥ(その場)測定の結果に適用され、フィルタリングされた厚さと研磨速度を提供し、これらは、フィルタリングされていない厚さと研磨速度に対して改善された精度を有し得る。予測フィルタの一例は、カルマンフィルタである。複数の圧力調整、及びそれ故に研磨速度調整を、一つ以上の基板ゾーンについて行うことができ、基板(複数可)についての全体的な研磨精度を改善することができる。幾つかの実施形態において、各圧力調整は、圧力が既定の圧力範囲内にとどまるように、及び/又は圧力調整が既定の圧力調整範囲を超えないように、追加的に制御され、その結果、確定された圧力調整において生じ得る不正確さは、限定的に実際の圧力調整に影響を及ぼすことになる。
【0018】
例示的な研磨システム
図1は、研磨装置100の一例を示す。研磨装置100は、研磨パッド110が載せられている回転可能なディスク形状のプラテン120を含む。プラテンは、軸125の周りに回転するように動作することができる。例えば、モータ121が、ドライブシャフト124を回して、プラテンを回転させることができる。研磨パッド110は、例えば、接着剤の層によって、プラテン120に取外し可能に固定させることができる。研磨パッド110は、外側研磨層112及び柔らかいバッキング層114を有する2層研磨パッドであり得る。
【0019】
研磨装置100は、結合したスラリ/リンスアーム130を含むことができる。研磨中、アーム130は、スラリなどの研磨液132を研磨パッド110上に分配するように動作することができる。一つのスラリ/リンスアーム130のみが示されているけれども、キャリアヘッド当たり一つ以上の専用のスラリアームなどの追加のノズルが、用いられてもよい。研磨装置は、研磨パッド110を摩耗させて、研磨パッド110を安定した摩耗状態に維持するための研磨パッドコンディショナーを含んでもよい。
【0020】
本例において、研磨装置100は、2つ(又は2つ以上)のキャリアヘッド140を含むけれども、本開示全体の議論は、キャリアヘッドを一つしか含まない研磨装置にも当てはまる。各キャリアヘッド140は、基板10(例えば、一方のキャリアヘッドの第一の基板10a及び他方のキャリアヘッドの第二の基板10b)を研磨パッド110に当接して保持するように動作することができる。各キャリアヘッド140は、それぞれの基板と関連付けられた研磨パラメータ(例えば、圧力)を独立に制御することができる。
【0021】
詳細には、各キャリアヘッド140は、基板10をフレキシブル膜144の下に保持するための保持リング142を含むことができる。また、各キャリアヘッド140は、膜によって画定された複数の独立に制御可能な加圧チャンバ(例えば、3つのチャンバ146a〜146c)を含み、それらチャンバは、フレキシブル膜144上及びそれ故に基板10上(図2を参照)の対応するゾーン148a〜148cに、独立に制御可能な圧力をかけることができる。
【0022】
図2を参照すると、中心ゾーン148aは、実質的に円形であり得、残りのゾーン148b〜148cは、中心ゾーン148aの周りの同心円の環状ゾーンであり得る。図を簡単にするため、図1及び図2において、3つのチャンバ/ゾーンのみが示されているけれども、2つのチャンバ/ゾーン、又は4つ以上のチャンバ/ゾーン、例えば、5つのチャンバ/ゾーンがあってもよい。
【0023】
図1に戻って、各キャリアヘッド140は、支持構造150(例えば、カルーセル)から吊り下げられ、軸155の周りに回転できるように、ドライブシャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に連結される。任意選択で、各キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150上の滑動部の上で、又はカルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動し得る。動作中、プラテンは、その中心軸125の周りに回転され、各キャリアヘッドは、その中心軸155の周りに回転され、研磨パッドの上面にわたって横方向に移動される。
【0024】
2つのキャリアヘッド140のみが示されているけれども、研磨パッド110の表面積が、効率的に使用されるように、より多くのキャリアヘッドが、追加の基板を保持するように設けられてもよい。従って、同時研磨プロセスのために基板を保持するように適合されたキャリアヘッドアセンブリの数は、少なくとも部分的に、研磨パッド110の表面積に基づき得る。
【0025】
研磨装置はまた、インシトゥ(その場)モニタシステム160を含み、これは、下記のように、研磨速度を調整すべきか、又は研磨速度に対する調整を調整すべきかを決めるために、用いられ得る。インシトゥ(その場)モニタシステム160は、光学モニタシステム、例えば、分光モニタシステム、又は渦電流モニタシステムを含み得る。
【0026】
一実施形態において、モニタシステム160は、光学モニタシステムである。研磨パッドを通る光アクセスが、開孔(すなわち、パッドを通る孔)又は硬い窓118を含むことによって、提供される。硬い窓118は、例えば、研磨パッドに成型される、又は接着によって研磨パッドに固定される、研磨パッドの開孔を充填するプラグとして、研磨パッド110に固定されることができるが、幾つかの実施形態では、硬い窓は、プラテン120上に支持されて、研磨パッドの開孔の中に突き出ることができる。
【0027】
光学モニタシステム160は、光源162、光検出器164、並びに、リモートコントローラ190(例えば、コンピュータ)と光源162及び光検出器164との間の信号を送受信するための回路166を含むことができる。一つ以上の光ファイバが、光源162から研磨パッドの光アクセスに光を送るために、並びに基板10から反射された光を検出器164に送るために、用いられることができる。例えば、分岐した光ファイバ170が、光を光源162から基板10に送り、検出器164に戻すために、用いられることができる。分岐した光ファイバは、光アクセスに近接して配置された幹線172、並びにそれぞれ光源162及び光検出器164に接続された2つの支線174及び176を含むことができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、プラテンの上面は、分岐したファイバの幹線172の一端を保持する光学ヘッド168がはめ込まれている凹部128を含むことができる。光学ヘッド168は、幹線172の先端と硬い窓118との間の垂直距離を調整するための機構を含むことができる。
【0029】
回路166の出力は、ドライブシャフト124のロータリカプラ129、例えば、スリップリング、を通って、光学モニタシステムのコントローラ190へ進むデジタル電子信号であり得る。同様に、光源は、コントローラ190からロータリカプラ129を通って光学モニタシステム160へ進むデジタル電子信号の中の制御コマンドに応答して、ターンオン又はオフされ得る。代替的に、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信できるであろう。
【0030】
光源162は、白色光を放射するように動作することができる。一つの実施形態において、放射される白色光は、200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適当な白色光は、キセノンランプ又は水銀キセノンランプである。
【0031】
光検出器164は、分光計であり得る。分光計は、電磁スペクトルの一部分にわたっての光の強度を測定する光学機器である。適当な分光計は、格子分光計である。分光計にとっての一般的な出力は、波長(又は周波数)の関数としての光の強度である。
【0032】
上記のように、光源162と光検出器164は、それらの動作を制御し、それらの信号を受信するように動作可能な計算デバイス、例えばコントローラ190、に接続されることができる。計算デバイスは、研磨装置の近くに置かれたマイクロプロセッサ、例えば、プログラマブルコンピュータ、を含むことができる。制御に関して、計算デバイスは、例えば、光源の活性化をプラテン120の回転と同期させることができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、インシトゥ(その場)モニタシステム160の光源162と光検出器164は、プラテン120の中に取り付けられ、プラテン120とともに回転する。この場合、プラテンの運動によって、センサが、各基板を端から端までスキャンするであろう。詳細には、プラテン120が回転するとき、コントローラ190により、光源162は、各基板10が光アクセスの上を通る直前に始まり、直後に終わる一連の閃光を発することができる。代替的に、計算デバイスにより、光源162は、各基板10が光アクセスの上を通る直前に始まり、直後に終わる光を連続的に発することができる。いずれの場合も、検出器からの信号が、サンプリング期間にわたって積分され、サンプリング周波数でスペクトル測定値を生成することができる。
【0034】
例示的なインシトゥ(その場)測定
動作中、コントローラ190は、例えば、光源のある特定の閃光の間に又は検出器のある特定のタイムフレームの間に光検出器によって受け取られた光のスペクトルを記述している情報を運ぶ信号を受信することができる。従って、このスペクトルは、研磨中にインシトゥ(その場)測定されたスペクトルである。
【0035】
図3Aによって示されるように、検出器がプラテンの中に取り付けられている場合、プラテンの回転(矢印204によって示される)により、窓108が、一つのキャリアヘッド(例えば、第一の基板10aを保持するキャリアヘッド)の下を進むときに、あるサンプリング周波数でスペクトル測定を行っている光学モニタシステムにより、スペクトル測定値が、第一の基板10aを横切る円弧の中の場所201で取得されるであろう。例えば、点201a〜201kの各々が、第一の基板10aのモニタシステムによるスペクトル測定値の場所を表す(点の数は例示である。サンプリング周波数に応じて、図示されているよりも多い測定値又は少ない測定値を取得することができる)。示されているように、プラテンの一回転の間に、基板10a上の様々な半径からスペクトルが得られる。すなわち、幾つかのスペクトルは、基板10aの中心に近い場所から得られ、幾つかのスペクトルは、エッジに近い場所から得られる。同様に、図3Bに示されるように、プラテンの回転により、窓が、他方のキャリアヘッド(例えば、第二の基板10bを保持するキャリアヘッド)の下を進むときに、そのサンプリング周波数でスペクトル測定を行っている光学モニタシステムにより、スペクトル測定値が、第二の基板10bを横切る円弧に沿った場所202で取得されるであろう。
【0036】
従って、プラテンの任意の所与の回転に対して、タイミング及びモータエンコーダ情報に基づいて、コントローラは、どちらの基板、例えば、基板10a又は10bが、測定されたスペクトルの源であるかを決定することができる。加えて、基板、例えば、基板10a又は10b、のいたる所にわたる、光学モニタシステムによる任意の所与のスキャンに対して、タイミング、モータエンコーダ情報、並びに基板及び/又は保持リングのエッジの光学的検出に基づいて、コントローラ190は、スキャンからの測定された各スペクトルについて、(スキャンされている特定の基板10a又は10bの中心に対する)半径方向の位置を計算することができる。研磨システムはまた、どの基板か、及び測定されたスペクトルの基板上の位置の決定のための追加データを提供する回転位置センサ、例えば、静止した光学的断続器を通過するプラテンのエッジに取り付けられたフランジ、を含むことができる。このように、コントローラは、種々の測定されたスペクトルを、基板10a及び基板10b上のゾーン148a〜148c(図2参照)と関連付けることができる。幾つかの実施形態において、スペクトルの測定時間は、半径方向位置の正確な計算の代わりとして用いることができる。
【0037】
一例として、図3Cを参照すると、プラテンの一回転で、様々な場所203a〜203oに対応するスペクトルが、光検出器164によって集められる。場所203a〜203oの半径方向位置に基づいて、場所203a〜203b及び203m〜203oで集められた5つのスペクトルが、外側ゾーン148cと関連付けられる。場所203c〜203e及び203k〜203lで集められた5つのスペクトルが、中間ゾーン148bと関連付けられる。場所203f〜203jで集められた5つのスペクトルが、内側ゾーン148aと関連付けられる。この例は、各ゾーンが同じ数のスペクトルと関連付けられることを示しているけれども、ゾーンは、インシトゥ(その場)測定に基づいて、異なる数のスペクトルと関連付けられてもよい。各ゾーンと関連付けられるスペクトルの数は、プラテンの回転ごとに変わってもよい。もちろん、上記の場所の数は、単なる例示であり、各ゾーンと関連付けられるスペクトルの実際の数は、サンプリングレート、プラテンの回転速度、及び各ゾーンの半径方向の幅に少なくとも依存するであろう。
【0038】
いかなる特定の理論にも制限されるわけではないが、研磨が(例えば、基板を横切る単一の掃引の間でなく、プラテンの複数の回転にわたって)進むにつれて、基板10から反射された光のスペクトルは、最も外側の層の厚さの変化のために進化し、従って、一続きの時間変化するスペクトルを生じる。更に、特定のスペクトルが、層スタックの特定の厚さによって表される。
【0039】
各測定されたスペクトルについて、コントローラ190は、特徴値を計算することができる。特徴値は、一般的には、外側層の厚さであるが、除去された厚さなどの関連する特徴であってもよい。加えて、特徴値は、厚さ以外の物理的性質、例えば、金属線抵抗であってもよい。加えて、特徴値は、研磨プロセスを通る基板の進捗のより一般的な表示、例えば、ある既定の進捗に続く研磨プロセスにおいて、そのスペクトルが観察されることが予期されるプラテン回転の時間又は回数を表す指標値であってもよい。
【0040】
特徴値を計算するための一つの技法は、各測定されたスペクトルについて、基準スペクトルのライブラリから整合する基準スペクトルを同定することである。ライブラリの中の各基準スペクトルは、対応する特徴値、例えば、厚さの値又はその基準スペクトルが生じることが予期されるプラテン回転の時間若しくは回数を表す指標値、を有することができる。整合する基準スペクトルについて対応する特徴値を決定することによって、特徴値を生成することができる。この技法は、米国特許出願公開第2010/0217430号に記載されており、本明細書の一部として援用する。
【0041】
他の技法は、測定されたスペクトルに光学モデルをフィッティングさせることである。詳細には、光学モデルのパラメータは、測定されたスペクトルにモデルを最も良くフィッティングさせるように、最適化される。測定されたスペクトルについて生成されたパラメータ値が、特徴値を生成する。この技法は、米国特許出願公開第2013/0237128号に記載されており、本明細書の一部として援用する。光学モデルの可能な入力パラメータは、各層の厚さ、屈折率及び/又は消光係数、基板上の繰り返し特徴の間隔及び/又は幅を含み得る。
【0042】
出力スペクトルと測定されたスペクトルの間の差の計算は、測定されたスペクトルと出力スペクトルの間の差の絶対値のスペクトルにわたっての合計、又は測定されたスペクトルと基準スペクトルの間の差の二乗の合計とすることができる。差を計算する他の技法が可能であり、例えば、測定されたスペクトルと出力スペクトルの間の相互相関を計算することができる。
【0043】
他の技法は、測定されたスペクトルからのスペクトル特徴部の特徴、例えば、測定されたスペクトルの中の山又は谷の波長又は幅、を分析することである。測定されたスペクトルからの特徴部の波長又は幅の値が、特徴値を提供する。この技法は、米国特許出願公開第2011/0256805号に記載されており、本明細書の一部として援用する。
【0044】
他の技法は、測定されたスペクトルのフーリエ変換を実行することである。変換されたスペクトルから山の一つの位置が、測定される。測定されたスペクトルについて生成された位置の値が、特徴値を生成する。この技法は、米国特許出願公開第2013/0280827号に記載されており、本明細書の一部として援用する。
【0045】
プラテンの一回転の間に測定されたスペクトルに基づき、複数の特徴値が、各ゾーンと関連付けられた複数の(例えば、図3Cで示される例では、5つ)スペクトルに基づいて、導き出され得る。以下の議論を簡単にするため、特徴値は厚さの値であると仮定する(以下の議論では、単に「厚さ」と呼ばれる)。しかしながら、その議論は、厚さに依存する他のタイプの特徴値、例えば、スペクトルが観察されることが予期されるプラテン回転の時間又は回数を表す指標値、にも当てはまる。例えば、他のタイプの特徴値も、研磨プロセス中に研磨速度の調整を決めるにあたり、以下で論じられる厚さと同様な仕方で又は同じ仕方で、用いることができる。同様に、研磨速度は、厚さの変化率である必要はないが、特徴値の変化率であってもよい。
【0046】
議論の目的のため、インシトゥ(その場)測定の結果から直接に導き出された厚さは、導出された厚さと名づけられる。光学モニタの例では、導出された厚さの各々が、測定されたスペクトルに対応する。「導出された厚さ(複数可)」という名前は、そのような厚さに対して、いかなる意味を与えることも意図されない。そうではなく、その名前は、ただ単に、これらの厚さを、他のタイプの厚さ、例えば、以下で更に論じられる、他の源から得られた厚さ、又は追加のデータ処理から得られた厚さ、から区別するために、選ばれている。同じ目的で、他の名前を選ぶこともできる。
【0047】
ある一つのゾーンについての複数の導出された厚さは、例えば、その同じゾーンの中の異なる場所での実際の(又は物理的な)厚さの違い、測定誤差、及び/又はデータ処理誤差のために、異なり得る。幾つかの実施形態において、許容誤差の範囲内で、プラテンの所与の回転におけるゾーンのいわゆる「測定された厚さ」が、その所与の回転における複数の導出された厚さに基づいて、計算され得る。所与の回転におけるゾーンの測定された厚さは、その所与の回転における複数の導出された厚さの平均値又は中央値であってもよい。代替的に、所与の回転におけるゾーンの測定された厚さは、関数、例えば多項式関数、例えば線形関数、を複数の回転からの複数の導出された厚さにフィッティングし、その所与の回転における、その関数の値を計算することによって、生成することができる。関数をフィッティングする際、直近の圧力/研磨速度の調整以後の導出された厚さのみを用いて、計算が実行され得る。
【0048】
各基板の各ゾーンについて、プラテンの複数の回転にわたって、測定された「厚さ」を計算するために、どの技法が用いられても、一続きの測定された厚さを、時間とともに得ることができる。幾つかの実施形態において、測定された「厚さ」を計算するための技法は、グラフィカルユーザインターフェース、例えば、ラジオボタン、を通じた研磨装置のオペレータからのユーザ入力によって選択されることができる。
【0049】
インシトゥ(その場)測定に基づく圧力制御
一般に、要求される厚さプロファイルは、研磨プロセスの終わりに(又は研磨プロセスが止まる終点時間に)一つ以上の基板の各々について達成されるべきである。各基板について、要求される厚さプロファイルは、基板10の全ゾーンについて同じ既定の厚さを含んでもよいし、又は基板10の異なるゾーンについて異なる既定の厚さを含んでもよい。複数の基板が同時に研磨される場合、複数の基板は、同じ要求される厚さプロファイルを有してもよいし、異なる要求される厚さプロファイルを有してもよい。
【0050】
要求される厚さプロファイルは、終点時間における全基板の全ゾーンの相対的な厚さの関係を示す。研磨プロセス中、より近い終点状態を達成するために、同じ又は類似の相対的な厚さの関係を有するように、同時点における異なるゾーンの即時の実際の(又は物理的な)厚さを有することが望ましい。例えば、複数の基板の要求される厚さプロファイルが、全基板の全ゾーンが終点時間に同じ厚さに達するべきであるということを示す場合、全ゾーンの即時の実際の(又は物理的な)厚さを、研磨プロセス中同じに維持することが望ましいであろう。実際の(又は物理的な)厚さは、導出された厚さ及び/又は測定された厚さによって一般に表される。表示の精度は、測定、導出、及び計算の精度を含む要因によって影響され得、要求される厚さプロファイルが終点時間に到達され得る精度に影響し得る。
【0051】
研磨プロセス中、複数のゾーンの測定された厚さ及び測定された研磨速度は、完了した回転(複数可)のインシトゥ(その場)測定に基づいて、プラテンの各回転についてインシトゥ(その場)で確定されることができる。測定された厚さの間の関係が、相対的な厚さの関係と比較されることができ、実際の(又は物理的な)厚さが、その後の回転(複数可)において変わり、相対的な厚さの関係により接近して従うように、実際の研磨速度を調整することができる。実際の厚さ及び測定された/導出された厚さと同様に、実際の研磨速度が、測定された研磨速度によって表される。一例において、あるゾーンの実際の研磨速度は、対応するチャンバの圧力を変えることによって変えることができ、以下で更に説明されるように、圧力変化の量は、変えられるべき研磨速度の量から導き出すことができる。
【0052】
幾つかの実施形態において、一つ以上の基板の一つのゾーンが選択され、いわゆる基準ゾーンになる。基準ゾーンは、最も信頼できるインシトゥ(その場)厚さ測定を与え、及び/又は研磨に対して最も信頼できる制御を行うゾーンであるように、選択され得る。例えば、基準ゾーンは、プラテンの各回転から最も多くの数のスペクトルが集められるゾーンとすることができる。基準ゾーンは、インシトゥ(その場)測定データに基づいて、コントローラ又はコンピュータによって選択されることができる。基準ゾーンの測定された厚さは、相対的に高い精度で、基準ゾーンの実際の厚さを表すとみなすことができる。そのような測定された厚さは、制御ゾーン(複数可)と呼ぶことのできる、一つ以上の基板の他の全てのゾーンについての基準厚さ点を与える。例えば、プラテンの所与の回転における基準ゾーンの測定された厚さに基づいて、プラテンの所与の回転についての全ての制御ゾーンの要求される厚さが、基準ゾーンに対するそれらの相対的な厚さの関係に基づいて、定められることができる。
【0053】
幾つかの実施形態において、制御ゾーンと基準ゾーンの間の測定された厚さの関係を、研磨プロセスの間中、終点時間における要求される厚さプロファイル(複数可)によって示される厚さの関係と類似又は同じに維持するために、コントローラ及び/又はコンピュータが、既定の度合で、例えば、所与の回転数ごとに、例えば、5〜50回転ごとに、又は所与の秒数ごとに、例えば、3〜30秒ごとに、制御ゾーンの研磨速度を調整することを予定することができる。幾つかの理想的な状況では、事前に予定された調整時間において、調整がゼロであることもある。他の実施形態において、調整は、インシトゥ(その場)で決められた度合で行うことができる。例えば、様々なゾーンの測定された厚さが、要求される厚さの関係と非常に違っている場合、コントローラ及び/又はコンピュータは、研磨速度に対して頻繁な調整を行うことを決めてもよい。
【0054】
図4を参照すると、基準ゾーン及び制御ゾーンに対する導出された厚さ(又は光学スペクトルなどのインシトゥ(その場)測定から導き出された厚さ)がプロットされ、制御ゾーンのチャンバ圧力及び研磨速度を調整するプロセスの視覚化を容易にする。任意の他の制御ゾーンのチャンバ圧力及び研磨速度が、同様に実行され得る。データを処理するコントローラ及び/又はコンピュータが、図4に示された図を作製又は表示してもよいし、しなくてもよい。
【0055】
詳細には、時間軸(水平軸)に沿って、3つの既定の圧力更新時間t,t,及びtが、印し付けられている。時間軸はまた、プラテンによって完了した回転数に対してマッピングすることもできる。図に示された研磨速度の現在の時点は、tであり、その時点で、プラテンは、k+n回転を完了しており、そのうちの(n+1)が、2つの圧力更新時間t(除く)とt(含む)の間に完了した。図に示された例において、nは9であり、合計10回転が、期間t〜tに完了した。もちろん、nは、調整が実行される度合及びプラテンの回転速度に応じて、9以外の値、例えば、5又はそれより大きい値であってもよい。
【0056】
期間t〜tの間に制御ゾーンが調整された研磨速度で研磨されるように、制御ゾーンのためのチャンバ圧力調整及び研磨速度調整が決められる。圧力更新時間tの前に、1回以上のチャンバ圧力/研磨速度の更新が、tで決められ行われるべき調整と類似の仕方で、制御ゾーンに対して実行されており、圧力更新時間tの後に、ゼロ又は1回以上の追加の圧力更新が、同様にtで決められ行われるべき調整と類似の仕方で、研磨プロセスの終点時間まで、実行されてもよい。
【0057】
期間t〜t内でのプラテンのn+1回転の間の制御ゾーン及び基準ゾーンの導出された厚さが、各回転における測定された厚さ、各回転における測定された研磨速度、t後の要求される研磨速度、期間t〜tに制御ゾーンの研磨速度に対してなすべき調整の量、及びそれ故に、チャンバ圧力調整の量、を決めるのに用いられる。各回転k,…,k+nに対して、制御ゾーン及び基準ゾーンの導出された厚さは、それぞれ、図中の円及び正方形によって表される。例えば、回転kに対して、4つの導出された厚さが、制御ゾーン及び基準ゾーンの各々に対してプロットされる。回転k+1に対して、4つの導出された厚さが、制御ゾーンに対してプロットされ、3つの導出された厚さが、基準ゾーンに対してプロットされる。等々である。
【0058】
1.測定された厚さ及び研磨速度
以前に手短に説明したように、各ゾーンに対して、各回転における測定された厚さが、その回転における全ての導出された厚さの平均値又は中央値として決められることができ、又はフィッティングされた値であってもよい。各ゾーンについての測定された研磨速度が、各ゾーンの導出された厚さをフィッティングさせる関数を用いて、各回転において定められることができる。
【0059】
幾つかの実施形態において、既知の次数の多項式関数、例えば、線形関数が、期間t〜tの間の各ゾーンの全ての導出された厚さに対してフィッティングされ得る。例えば、フィッティングは、ロバストラインフィッティング(robust line fitting)を用いて、実行することができる。幾つかの実施形態において、関数は、全てよりも少ない導出された厚さにフィッティングされる、例えば、関数は、各回転からの中央値にフィッティングされ得る。最小二乗法計算が、フィッティングのために用いられる場合、これは、「最小二乗中央値フィッティング」と呼ぶことができる。
【0060】
制御ゾーン又は基準ゾーンに対して関数Fcontrol(time)又はFref(time)と表すことができるフィッティングされた関数に基づいて、プラテンの(k+i)番目の回転(i=0,…,n)における測定された研磨速度が、制御ゾーン及び基準ゾーンに対して、それぞれ、
及び
と計算することができる。
【0061】
任意選択で、測定された厚さは、フィッティングされた関数に基づいて、計算することができる。例えば、(k+i)番目の回転の測定された厚さは、制御ゾーン又は基準ゾーンに対して、Fcontrol(t=(k+i)プラテン回転)又はFref(t=(k+i)プラテン回転)である。しかしながら、測定された研磨速度は、フィッティングされた関数に基づいて決められるけれども、測定された厚さは、フィッティングされた関数に基づいて決められる必要はない。その代わりに、上記のように、それらは、プラテンの対応する回転における導出された厚さの平均値又は中央値として決めることができる。
【0062】
図4に示された例において、一次関数、すなわち、線400、402が、各ゾーンについて厚さデータの各組にフィッティングするために用いられる。線400、402の傾きは、期間t〜tの間の、それぞれ制御ゾーン及び基準ゾーンに対する、一定の研磨速度rcontrol及びrrefを表す。プラテンのk,…,又はk+n回転に対応する各時点における2つの線400、402の厚さの値は、対応する回転におけるそれぞれのゾーンの測定された厚さを表す。一例として、プラテンのk+n回転における制御ゾーン及び基準ゾーンの測定された厚さが、それぞれ、拡大された円404及び拡大された正方形406で強調される。代替的に、n+1個の回転についての測定された厚さは、線400、402から独立に、例えば、それぞれの回転の導出された厚さの平均値又は中央値として、計算され得る。
【0063】
一般に、任意の適当なフィッティング方法が、時間tと時間tの間の複数の回転における測定された厚さ及び測定された研磨速度を定めるために用いられることができる。幾つかの実施形態において、フィッティング方法は、測定におけるノイズ、データ処理及び/又は研磨装置の動作におけるノイズに由来し得る導出された厚さにおけるノイズに基づいて選択される。一例として、導出された厚さが、比較的大きな量のノイズを含む場合には、最小二乗フィッティングが、測定された研磨速度及び/又は測定された厚さを決めるために、選択されることができる。導出された厚さが、比較的小さな量のノイズを含む場合には、多項式フィッティングが、選択されることができる。
【0064】
幾つかの実施形態において、測定された「研磨速度」を計算するための技法は、グラフィカルユーザインターフェース、例えば、ラジオボタン、を通じた研磨装置のオペレータからのユーザ入力によって選択されることができる。
【0065】
2.測定された厚さ及び測定された研磨速度に基づく要求される研磨速度
各ゾーンの測定された厚さ及び測定された研磨速度に基づいて、tからtまでの期間の要求される研磨速度を決定することができる。例示的プロセス500が、図4に示される例示的データと関連して、図5に示される。最初に、コントローラ及び/又はコンピュータが、時間tからの計画対象期間(TH)における基準ゾーンの予期される厚さを決める(502)。計画対象期間は、その間に、時間tにおける制御ゾーンの測定された厚さによって表される実際の厚さが、修正されて、計画対象期間の終わりに(すなわち、時間t+THに)、制御ゾーンの測定された厚さと基準ゾーンの測定された厚さの間の関係が、終点時間における要求される厚さプロファイルにおける厚さの関係と同じ又は類似するような、既定の長さの時間であり得る。
【0066】
一般に、計画対象期間は、全研磨時間、終点時間、及び/又は研磨速度/チャンバ圧力の調整と調整の間の期間(t−tなど)とは独立に選択される。しかしながら、計画対象期間は、一般に、圧力更新の周期より長く(例えば、t−tより長い)、予期される全研磨時間より短くあるべきである。計画対象期間の長さは、制御ゾーンの厚さが、基準ゾーンの厚さとの要求される関係に達するために、どのくらい速く変化するかに影響し得る。幾つかの実施形態において、研磨プロセスが、終点時間に比較的近い、例えば、tにおける基準ゾーンの測定された厚さが、最終的な要求される厚さに近い、場合、及び/又はtにおける2つのゾーンの測定された厚さの間の関係が、要求される関係と大きく異なる場合、計画対象期間は、tにおいてなされる研磨速度調整を大きくして、制御ゾーンの厚さを、基準ゾーンに関して要求される値に速く至らせることができるように、比較的短く選択される。
【0067】
幾つかの実施形態において、計画対象期間は、研磨速度/チャンバ圧力の調整と調整の間の期間と同じ長さ又はそれより長くなるように選択され、制御ゾーンの研磨速度が、その期間に過度に修正されないようにされる。時間t+THにおける基準ゾーンの予期される厚さは、フィッティングされた厚さ曲線402を延長すること、又は時間tにおける測定された研磨速度を一定の研磨速度としてtからt+THまでの期間に延長することによって、決定することができる。図4に示される例において、線402は、一定の傾きrrefで時間t+THまで延長され、基準ゾーンの予期される厚さは、その時間における曲線の縦軸の値として定められる。
【0068】
次に、コントローラ及び/又はコンピュータが、時間tからの計画対象期間における制御ゾーンの要求される厚さを決める(504)。この決定は、時間t+THにおける基準ゾーンの予期される厚さ及び時間t+THにおける2つのゾーンの厚さの間の要求される厚さの関係に基づいて、なされ得る。上記のように、要求される厚さの関係は、終点時間に達成されるべき要求される厚さプロファイルに示された厚さの関係と同じであってもよい。図4に示された例では、時間t+THにおける制御ゾーンの要求される厚さは、基準ゾーンの予期される厚さと同じである。
【0069】
その後、コントローラ及び/又はコンピュータが、tから始まる期間THの間の制御ゾーンの要求される研磨速度を計算する(506)。簡単にするため、要求される研磨速度rdesは、以下に等しい定数とすることができる:
(t+THにおける制御ゾーンの要求される厚さ−tにおける制御ゾーンの測定された厚さ)/TH
【0070】
図4において、点線408の傾きは、制御ゾーンの要求される研磨速度rresを表す。t後の(k+n+1)番目の回転に対して調整されるべき研磨速度の量は、
であり、ここで、
は、tにおける制御ゾーンの測定された研磨速度である。この例では、計画対象期間は、研磨速度の調整と調整の間の期間より長くなるように選択されている。従って、制御ゾーンが、期間tからtまでの間、要求される研磨速度及び要求される厚さの減少に従って実行する場合、時間tにおいて、制御ゾーンの測定された厚さ(又は実際の厚さ)は、基準ゾーンの測定された厚さ(又は実際の厚さ)と異なることが予期される。しかしながら、時間tにおける2つのゾーンの測定された厚さ又は実際の厚さの間の差は、tにおける差よりも小さいことが予期される。
【0071】
において、及び任意選択で、t後の一つ以上の更新時間において、制御ゾーンの研磨速度は、2つのゾーンの間の厚さの差を更に減らすように、更に調整される。研磨プロセス中の制御ゾーンの多数回研磨速度調整は、基準ゾーンに対する漸進的な厚さ調整を提供し、これは、単一の調整よりも信頼でき安定であり得る。例えば、2つの研磨速度調整の間の期間におけるインシトゥ(その場)測定が、比較的ノイズがあり、不正確である場合、研磨速度に対してなされる調整の量もまた、不正確となり得る。しかしながら、そのような不正確は、比較的正確である測定に基づいてなされ得る次の研磨速度調整によって修正され得る。
【0072】
制御ゾーンの研磨速度は、その対応するチャンバの圧力を調整することにより、調整される。圧力調整の量は、プレストンマトリクスを用いて研磨速度調整の量に基づいて、決めることができ、その詳細は以下で更に論じられる。
【0073】
3.フィルタリングされた厚さ及び研磨速度
幾つかの実施形態において、各ゾーンの測定された厚さと研磨速度が、フィルタリングされた厚さと研磨速度が、実際の厚さと研磨速度をより正確に表すように、例えば、予測フィルタを用いて、フィルタリングされる。一般に、フィルタの効果は、ノイズを減少させることである。圧力更新時間におけるフィルタの出力、すなわち、フィルタリングされた厚さとフィルタリングされた研磨速度は、その後、研磨速度と圧力に対する調整を決めるために、用いられる。
【0074】
幾つかの実施形態において、予測フィルタは、カルマンフィルタである。フィルタリングプロセスは、Rによって表される測定ノイズ、Qによって表されるプロセスノイズを考慮に入れる。ゾーンの測定された研磨速度に対する例示的なフィルタリングプロセス600が、図4に示された例示的なデータに関連して、図6に示される。このプロセスが、各ゾーンに対して実行されることができる。このプロセスが、プラテンの各回転において実行されることができる。
【0075】
詳細には、測定された研磨速度、例えば、図4のtからtまでの期間の回転k,…,k+nに対する測定された研磨速度をフィルタリングするために、最初に、コントローラ及び/又はコンピュータは、推定されたプロセスノイズ値Qrate及び推定された測定ノイズRrateを受け取る(602)。ユーザは、ノイズを推定し、各ノイズに対し、ノイズの程度を表すための正の値を割り当てることができる。例えば、0は、ノイズがないこと、及びそれ故に、対応するプロセス又は測定における高い信頼度を表すであろうし、一方、10などの大きな数は、非常に大きなノイズ、及びそれ故に、対応するプロセス又は測定における低い信頼度を表す。
【0076】
フィルタリングを実行するために、m番目の回転(mは少なくとも2である)に対する予測された研磨速度
が、以下のように計算される(604):
ここで、
は、(m−1)番目の回転に対するフィルタリングされた研磨速度であり、
は、(m−1)番目の回転からm番目の回転までの研磨速度の変化である。図4の例において、m=k,…,k+nである。
【0077】
一般に、研磨速度が、例えば圧力更新時間において、直前の回転に対して実際に回転されなかった場合、
は0である。例えば、研磨速度が、図4の(k−1)番目の回転からk番目の回転への移行において圧力更新時間tに調整されると仮定すると、
は、k番目の回転に対して非ゼロであろう。同様に、研磨速度が、図4の(k+n)番目の回転から(k+n+1)番目の回転への移行において圧力更新時間tに調整されると仮定すると、
は、(k+n+1)番目の回転に対して非ゼロであろう。
【0078】
速度が、ある回転から次の回転へと調整される場合、
は、以下のように計算することができる:
ここで、ρは、ゾーンの名目研磨速度であり、Pは、以下で更に論じられるプレストンマトリクスであり、
は、対応するチャンバでなされる圧力変化である。
【0079】
(m−1)番目の回転に対してフィルタリングされた研磨速度が存在する場合、
は、その速度に設定される。そうではなく、フィルタリングプロセスが、m番目の回転から始まる場合、
は、(m−1)番目の回転に対する測定された研磨速度に初期化される。
【0080】
コントローラ及び/又はコンピュータはまた、m番目の回転についての予測された誤差共分散Pを計算する(606):
ここで、Pm−1は、(m−1)番目の回転についてのフィルタリングされた誤差共分散である。フィルタリングプロセスが、(m−1)番目の回転についてのフィルタリングされた誤差共分散なしで、m番目の回転に対して始まる場合、Pm−1は、1、10などの任意の正の数になるように初期化することができる。幾つかの実施形態において、誤差共分散の初期値は、ユーザから受け取ることができる。多数の回転に対して反復されるフィルタリングプロセスは、フィルタリングされた誤差共分散を、初期値にかかわらず、小さな値に低下させるので、誤差共分散の実際の初期値は、フィルタリングされた誤差共分散に対して大きな影響を及ぼさないかもしれない。
【0081】
m番目の回転についての予測された誤差共分散Pに基づいて、コントローラ及び/又はコンピュータは、m番目の回転についてのカルマンの重み(Kalman weight)、Kを計算する(608):
【0082】
測定ノイズRrateが、予測された誤差分散Pに対して非常に小さい、又はプロセスノイズQrateが、測定ノイズRrateに対して非常に大きい場合、Kは1に近づく。測定ノイズが、予測された誤差分散Pに対して非常に大きい場合、Kは、0に近づく。
【0083】
m番目の回転についてのフィルタリングされた研磨速度
が、m番目の回転についての予測された研磨速度
及びm番目の回転についての測定された研磨速度rateに基づいて、
と計算される(610)。
【0084】
測定ノイズRrateが非常に大きく、カルマンの重みが0に近づく場合、フィルタリングされた研磨速度は、予測された研磨速度に近づく。これは、測定された研磨速度rateが、信頼できないと見なされ、フィルタリングされた研磨速度においてほとんど考慮されていないことを意味する。プロセスノイズQrateが非常に大きく、カルマンの重みが1に近づく場合、フィルタリングされた研磨速度は、測定された研磨速度に近づく。これは、予測された研磨速度が、信頼できないと見なされ、フィルタリングされた研磨速度においてほとんど考慮されていないことを意味する。フィルタリングされた研磨速度はまた、測定ノイズRrateが非常に小さい場合、測定された研磨速度に近づき、これは、測定された研磨速度rateにおける信頼度が高く、予測された研磨速度が安全に無視できることを意味する。一般に、フィルタリングされた研磨速度は、予測された研磨速度と測定された研磨速度の重み付けされた組合せである。
【0085】
コントローラ及び/又はコンピュータはまた、m番目の回転についてのフィルタリングされた誤差共分散Pを決定する(612):
は、0と1の間の値を持つので、Pは、P以下である。
【0086】
コントローラ及び/又はコンピュータは、その後、研磨が停止されたかどうか、例えば、終点に達したかどうかを決める(614)。YESの場合、研磨速度に対するフィルタリングプロセスは終了する(616)。NOの場合、mが1だけ増加され(618)、フィルタリングプロセスが、次の回転に対して、ステップ604から始まり、繰り返される。異なる繰り返し(すなわち異なるmの値)に対して、同じQrate及び/又はRrateが用いられてもよい。幾つかの実施形態において、異なるQrate及び/又はRrateが、フィルタリングプロセスの少なくとも幾つかの異なる繰り返しに対して用いられるように、Qrate及び/又はRrateは、時間とともに変化してもよい。
【0087】
図7を参照すると、例示的なフィルタリングプロセス700において、tからtまでの期間のゾーンの測定された厚さが、プロセス600と関連して、フィルタリングされる。例えば、フィルタリングされた研磨速度が、フィルタリングされた厚さを計算する際に用いらる。このプロセスが、各ゾーンに対して、プラテンの各回転において、実行されることができる。
【0088】
詳細には、コントローラ及び/又はコンピュータは、プロセスノイズQthicknessと測定ノイズRthicknessを受け取り(701)、m番目の回転についての予測された厚さを計算する(702):
ここで、
は、(m−1)番目の回転についてのフィルタリングされた厚さであり、
は、各回転の期間であり、
は、(m−1)番目の回転についてのフィルタリングされた研磨速度である。

の両方とも正の値を持つ。フィルタリングプロセスがm番目の回転から始まるので、フィルタリングされた値(厚さ又は研磨速度)が存在しない場合、
は、(m−1)番目の回転の測定された厚さになるように初期化され、
は、(m−1)番目の回転の測定された研磨速度になるように初期化される。
【0089】
ステップ701で厚さに対して受取られたノイズRthickness及びQthicknessの値は、研磨速度に対してプロセス600のステップ602で受け取られたノイズRrate及びQrateの値と異なり得る。また、異なる制御ゾーンは、ノイズR及びQに対して異なる値を有し得る。プロセス600のステップ606と同様に、コントローラ及び/又はコンピュータは、m番目の回転に対して予測された誤差共分散Pを計算する(704):
ここで、Pm−1は、(m−1)番目の回転についてのフィルタリングされた誤差共分散である。
【0090】
プロセス600のステップ608と同様に、m番目の回転についての予測された誤差共分散Pに基づいて、コントローラ及び/又はコンピュータは、m番目の回転についてのカルマンの重み、Kを計算する(706):
【0091】
m番目の回転についてのフィルタリングされた厚さ
が、m番目の回転についての予測された厚さ
及びm番目の回転についての測定された厚さthicknessに基づいて、以下のように計算される(708):
【0092】
フィルタリングされた研磨速度と同様に、フィルタリングされた厚さは、測定ノイズRthicknessが非常に大きく、カルマンの重みが0に近づく場合、予測された厚さに近づく。これは、測定された厚さthicknessが、信頼できないと見なされ、フィルタリングされた厚さにおいてほとんど考慮されていないことを意味する。プロセスノイズQthicknessが非常に大きく、カルマンの重みが1に近づく場合、フィルタリングされた厚さは、測定された厚さに近づく。これは、予測された厚さが、信頼できないと見なされ、フィルタリングされた厚さにおいてほとんど考慮されていないことを意味する。フィルタリングされた研磨厚さはまた、測定ノイズRthicknessが非常に小さい場合、測定された研磨厚さに近づき、これは、測定された研磨厚さthicknessにおける信頼度が高く、予測された厚さが安全に無視できることを意味する。他の状況では、フィルタリングされた厚さは、予測された厚さと測定された厚さの重み付けされた組合せである。
【0093】
プロセス600のステップ612と同様に、コントローラ及び/又はコンピュータは、m番目の回転に対してフィルタリングされた誤差共分散Pを決定する(710):
【0094】
コントローラ及び/又はコンピュータは、その後、研磨が停止されたかどうか、例えば、終点に達したかどうかを決める(712)。YESの場合、厚さに対するフィルタリングプロセスは終了する(714)。NOの場合、mが1だけ増加され(716)、フィルタリングプロセスが、次の回転に対して、ステップ702から始まり、繰り返される。プロセス600と同様に、異なる繰り返し(すなわち異なるmの値)に対して、同じQthickness及び/又はRthicknessが用いられてもよい。又は、異なるQrate及び/又はRrateが、フィルタリングプロセスの少なくとも幾つかの異なる繰り返しに対して用いられるように、Qthickness及び/又はRthicknessは、時間とともに変化してもよい。
【0095】
プロセス600、700は、変形して実施することができる。例えば、各プロセスのステップの幾つかは、異なる順序で実施することができ、プロセスに対して示された例示的なフローによって制限されない。同様に、2つのプロセスが組み合わされて、測定された厚さ及び測定された研磨速度がフィルタリングされる単一のプロセスとされ得る。
【0096】
一般に、フィルタリングされた厚さ及び研磨速度は、測定された厚さ及び研磨速度よりも正確に実際の厚さ及び研磨速度を表すことができる。従って、フィルタリングされた厚さ及び研磨速度に基づいてなされた研磨速度の調整は、終点時間において要求される厚さプロファイルを達成するために、測定された厚さ及び研磨速度に基づいてなされた調整よりも高い正確さを有することができる。
【0097】
4.フィルタリングされた厚さ及びフィルタリングされた研磨速度に基づく要求される研磨速度
図4及び図5を再び参照し、時間tから時間tまでの期間における制御ゾーンの要求される研磨速度を計算するプロセス500は、2つのゾーンのフィルタリングされた厚さ及びフィルタリングされた研磨速度を用いて、同様に実施されることができる。フィルタリングされた厚さ(複数可)及びフィルタリングされた研磨速度(複数可)が、それぞれ「測定された厚さ(複数可)」及び「測定された研磨速度(複数可)」の代わりに用いられるということを除いて、「2.測定された厚さ及び測定された研磨速度に基づく要求される研磨速度」の節でなされた議論が、ここで適用可能である。
【0098】
例えば、時間t+THでの基準ゾーンの予期される厚さが、測定された厚さの代わりに、フィルタリングされた厚さに見出される厚さの減少傾向に基づいて、決定され得る。時間t+THでの制御ゾーンの要求される厚さが、それに応じて、変わる。加えて、時間tから時間tまでの期間における制御ゾーンの要求される研磨速度が、以下のように計算される:
(t+THにおける制御ゾーンの要求される厚さ−tにおける制御ゾーンのフィルタリングされた厚さ)/TH
【0099】
更に、制御ゾーンに対してなされるべき研磨速度の調整の量は、以下になる:
ここで、
は、tにおける制御ゾーンのフィルタリングされた研磨速度である。そのように決定された要求される研磨速度及び研磨速度の調整は、測定された厚さ及び測定された研磨速度に基づいて決定されたものより高い正確さを有することができる。
【0100】
5.圧力調整
コントローラ及び/又はコンピュータは、研磨装置の中のチャンバの圧力を調整して、予め計画された時間、例えば図4のtにおいて、対応する制御ゾーンの研磨速度を、要求される研磨速度に調整することができる。圧力変化の量は、上記のように、フィルタリングされた厚さ及びフィルタリングされた研磨速度に基づいて決定することができる、調整されるべき研磨速度の量に基づいて、計算することができる。
【0101】
詳細には、現在の圧力p、圧力変化
、現在の研磨速度r、及び研磨速度変化
は、以下の関係を有する:
ここで、Pは、プレストンマトリクスである。時折、項
は、上記のように、名目研磨速度ρとも呼ばれる。
【0102】
図4に示された例において、(k+n+1)番目の回転に対してなされるべき圧力変化
は、
と計算することができ、ここで、pは、コントローラ及び/又はコンピュータに対して既知であり、
は、tからtまでの期間におけるインシトゥ(その場)測定を用いて決定されており、rは、tにおけるフィルタリングされた研磨速度である。
【0103】
プレストンマトリクスは、研磨プロセスに用いられる研磨装置、例えば図1の研磨装置100に対して、経験的に決定することができる。プレストンマトリクスは、研磨ヘッド、研磨パッドなどの装置の特徴を特徴付ける。幾つかの実施形態において、ある研磨装置に対して決定された一つのプレストンマトリクスは、その装置の特徴が著しく変更されない限り、その研磨装置によって実行される全ての研磨プロセスに対して用いることができる。
【0104】
チャンバの中で調整された圧力の実際の量は、プロセス600のステップ604で論じたように、予測された研磨速度を、
と計算するのに用いることができる。ここで、Δpは、圧力の実際の変化量である。Pは、同じプレストンマトリクスであり、ρは、名目研磨速度である。換言すると、(m−1)番目の回転からm番目の回転への制御ゾーンの研磨速度における、予測されるが必ずしも実際ではない要求される調整は、(m−1)番目の回転からm番目の回転への対応するチャンバ圧力における、同じく予測されるが必ずしも実際ではない要求される調整を決定するのに用いることができる。チャンバ圧力が、決定された要求される圧力調整に基づいて、コントローラ又はコンピュータによって実際に調整された後に、その圧力調整の実際の量が、次に、m番目の回転における予測され要求される研磨速度を計算するのに、用いられる。
【0105】
本明細書で用いられる場合、基板という用語は、例えば、製品基板(例えば、多数のメモリ又はプロセッサダイを含む)、テスト基板、ベア基板、及びゲーティング基板(gating substrate)を含むことができる。基板は、集積回路製造の様々な段階であってよく、例えば、基板は、ベアウェハであってもよく、又は一つ以上の堆積された及び/又はパターン形成された層を含んでもよい。基板という用語は、円形ディスク及び長方形シートを含むことができる。
【0106】
上記の研磨装置及び方法は、様々な研磨システムに適用できる。研磨パッド又はキャリアヘッドのいずれか、又はその両方が、研磨面と基板との間の相対運動を与えるように移動することができる。例えば、プラテンは、回転するのではなく、軌道を描いて回ってもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何か他の形状の)パッドであってもよい。終点検出システムの幾つかの態様は、例えば、研磨パッドが、直線的に移動する連続的又はリールツーリールのベルトである、直線的研磨システムに適用可能であり得る。研磨層は、標準的な(例えば、フィラーを有する又は有しないポリウレタン)研磨材料、柔らかい材料、又は固定研磨材料であってよい。相対的な位置決めについての用語が用いられる。研磨面及び基板が、垂直方向又は他のある方向に保持され得る、ということが理解されるべきである。
【0107】
上記は、化学機械研磨システムの制御に注目したけれども、インシーケンス計測ステーションは、他のタイプの基板処理システム、例えば、エッチングシステム又は堆積システム、に適用可能であり得る。
【0108】
本明細書に記載された主題及び機能的動作についての、フィルタリングプロセスなどの実施形態は、デジタル電子回路に、有形に表現されたコンピュータソフトウェア若しくはファームウェアに、本明細書に開示された構造及びそれらの構造上の等価物を含むコンピュータハードウェアに、又はそれらのうちの一つ以上の組合せにおいて、実施され得る。本明細書に記載された主題の実施形態は、一つ以上のコンピュータプログラムとして、すなわち、データ処理装置によって実行されるための、又はデータ処理装置の動作を制御するための、有形の非一時的ストレージ媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の一つ以上のモジュールとして、実施され得る。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、適当な受信装置へ伝送され、データ処理装置によって実行される情報をエンコードするために生成される、人工的に生成された伝搬信号、例えば、コンピュータによって生成された電気的、光学的、又は電磁的信号にエンコードされ得る。コンピュータストレージ媒体は、コンピュータ可読ストレージデバイス、コンピュータ可読ストレージ基板、ランダム又はシリアルアクセスメモリデバイス、又はそれらのうちの一つ以上の組合せであってよい。
【0109】
「データ処理装置」という言葉は、データ処理ハードウェアを指し、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及び機械を包含し、例として、プログラマブルデジタルプロセッサ、デジタルコンピュータ、又は複数のデジタルプロセッサ又はコンピュータを含む。装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレー)又はASIC(特定用途向け集積回路)であってもよいし、又は更に含んでもよい。装置は、任意選択で、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラム用の実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらのうちの一つ以上の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0110】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとも呼ばれ得る、又はそれらと称され得るコンピュータプログラムは、コンパイルされた若しくは解釈された言語、又は宣言型若しくは手続型言語を含む、任意の形のプログラミング言語に書くことができ、スタンドアロンプログラム、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適切な他のユニットを含む、任意の形に展開できる。コンピュータプログラムは、ファイルシステムの中のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、例えば、マークアップ言語ドキュメントの中に保存された一つ以上のスクリプトなどの、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部に、問題になっているプログラム専用の単一のファイルに、又は、例えば、一つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの一部分を保存するファイルなどの、複数の連携したファイルに保存することができる。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上で、又は一つの場所に置かれている、若しくは複数の場所にわたって分散され、データ通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータ上で実行されるように、展開され得る。
【0111】
本明細書に記載されたプロセス及び論理フローは、入力データに操作を行い、出力を生成することによって機能を実行する一つ以上のコンピュータプログラムを実行する一つ以上のプログラム可能なコンピュータによって実行されることができる。プロセス及び論理フローは、特定目的の論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレー)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、装置もまた、専用論理回路として実施することができる。一つ以上のコンピュータのシステムが、ある特定の操作又は動作を実行するように「構成されている」とは、動作中にその操作又は動作をそのシステムに実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組合せが、そのシステムにインストールされていることを意味する。一つ以上のコンピュータプログラムが、ある特定の操作又は動作を実行するように構成されているとは、データ処理装置によって実行されたときに、その操作又は動作をその装置に実行させる命令を、その一つ以上のプログラムが含むことを意味する。
【0112】
コンピュータプログラムの実行に適当なコンピュータは、例として、汎用若しくは専用のマイクロプロセッサ又はその両方、又は任意の他の種類の中央処理装置を含み、それらに基づくことができる。一般に、中央処理装置は、命令及びデータを、読出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその両方から受け取るであろう。コンピュータの必須要素は、命令を実施又は実行するための中央処理装置並びに命令及びデータを保存するための一つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを保存するための一つ以上の大容量ストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクをも含む、又は大容量ストレージデバイスからデータを受け取る若しくは大容量ストレージデバイスにデータを送る又はその両方を行うように、動作的に接続されるであろう。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、他のデバイス、例えば、少しだけ例を挙げると、移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モバイルオーディオ又はビデオプレーヤー、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又は携帯用ストレージデバイス、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブに組み込むことができる。
【0113】
コンピュータプログラム命令及びデータを保存するのに適当なコンピュータ可読媒体は、あらゆる種類の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスを含み、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク又は取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD ROM及びDVD−ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補助され、又はその中に組み込まれることができる。
【0114】
本明細書に記載された様々なシステム及びプロセス、又はそれらの一部分の制御は、一つ以上の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に保存され、一つ以上の処理デバイスで実行可能である命令を含むコンピュータプログラム製品で実施することができる。本明細書に記載されたシステム、又はそれらの一部分は、一つ以上の処理デバイス及び本明細書に記載された作業を行うための実行可能な命令を保存するメモリを含み得る装置、方法又は電子システムとして実施することができる。
【0115】
本明細書は、多くの具体的な実施詳細を含むが、これらは、いかなる発明の範囲に対しても、又は特許請求され得るものの範囲に対して限定とみなすべきでなく、むしろ、ある特定の発明のある特定の実施形態に特有であり得る特徴の記述とみなすべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載した幾つかの特徴は、単一の実施形態においてコンビネーションで実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている種々の特徴は、複数の実施形態において別々に又は任意の適当なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、特徴は、あるコンビネーションで働くものとして上記で記載され、そのようなものとして最初に特許請求すらされ得るけれども、特許請求されるコンビネーションからの一つ以上の特徴が、場合によっては、そのコンビネーションから削除されることができ、特許請求されるコンビネーションは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に向けられ得る。
【0116】
同様に、作業は、ある特定の順序で図面に描かれているけれども、このことは、所望の結果を達成するために、そのような作業が、示されたその特定の順序若しくは連続した順序で実行されること、又は示された全ての作業が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。幾つかの状況において、マルチタスキング及び並行処理が有利であり得る。更に、上記の実施形態における種々のシステムモジュール及びコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とすると理解すべきでなく、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品の中に統合することができ、又は複数のソフトウェア製品にまとめることができるということが、理解されるべきである。
【0117】
本主題の特定の実施形態が、記述された。他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲で説明される動作は、異なる順序で実行され、それでもなお、所望の結果を達成することができる。一例として、添付の図面に描かれたプロセスは、所望の結果を達成するために、示されている特定の順序又は連続した順序を必ずしも要求しない。場合によっては、マルチタスキング及び並行処理が有利である。
【0118】
他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7