特許第6563227号(P6563227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563227湯種生地用ベーカリー製品改良材、ベーカリー製品用湯種生地、ベーカリー製品、及び、ベーカリー製品用湯種生地の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563227
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】湯種生地用ベーカリー製品改良材、ベーカリー製品用湯種生地、ベーカリー製品、及び、ベーカリー製品用湯種生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/32 20060101AFI20190808BHJP
   A21D 2/26 20060101ALI20190808BHJP
   A21D 2/34 20060101ALI20190808BHJP
   A21D 2/14 20060101ALI20190808BHJP
   A21D 10/00 20060101ALI20190808BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20190808BHJP
   A21D 13/60 20170101ALI20190808BHJP
【FI】
   A21D2/32
   A21D2/26
   A21D2/34
   A21D2/14
   A21D10/00
   A21D13/00
   A21D13/60
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-68026(P2015-68026)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-187310(P2016-187310A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年12月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 秀将
(72)【発明者】
【氏名】林 智彦
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204130(JP,A)
【文献】 特開2009−201469(JP,A)
【文献】 特開2008−253147(JP,A)
【文献】 特開2003−265094(JP,A)
【文献】 特開2006−304693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00−17/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)を満たすことを特徴とする、湯種生地用ベーカリー製品改良材。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を2〜5.97質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
(C)固形分が5〜40質量%であること。
(D)乳タンパク質の含有量が、前記固形分を基準として20質量%以上であること。
【請求項2】
さらに、固形分中、乳由来のリン脂質の含有量が2質量%以上である、請求項1記載の湯種生地用ベーカリー製品改良材。
【請求項3】
有機酸を含有する、請求項1又は2記載の湯種生地用ベーカリー製品改良材。
【請求項4】
(D)乳タンパク質の含有量が、前記固形分を基準として20〜40質量%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の湯種生地用ベーカリー製品改良材。
【請求項5】
乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を2.84〜5.9質量部含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の湯種生地用ベーカリー製品改良材。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか一項に記載の湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用したベーカリー製品用湯種生地。
【請求項7】
請求項6記載のベーカリー製品用湯種生地を使用したことを特徴とするベーカリー生地。
【請求項8】
請求項7記載のベーカリー生地を焼成及び/又はフライしたベーカリー製品。
【請求項9】
下記(A)〜(D)を満たす湯種生地用ベーカリー製品改良材を含有する種生地材料を、80〜100℃の水の存在下に混捏することを特徴とするベーカリー製品用湯種生地の製造方法。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を2〜5.97質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
(C)固形分が5〜40質量%であること。
(D)乳タンパク質の含有量が、前記固形分を基準として20質量%以上であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もっちりした食感でありながら、歯切れがよいベーカリー製品を製造するための湯種生地用ベーカリー製品改良材、該湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用したベーカリー製品用湯種生地、及びこれを用いたベーカリー製品、並びに、ベーカリー製品用湯種生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、もっちりとした食感のパンや洋菓子等のベーカリー製品を得る方法の1種として、湯種法が最近多く用いられるようになってきている。湯種法とは、ベーカリー製品の製造にあたり、その一部の穀粉材料を高温の水の存在下で混捏して湯種生地とし、これに更に残りの穀粉材料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏してベーカリー生地とし、或いは、湯種生地とは別に、一部の穀粉材料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏した生地を発酵させた中種生地を製造し、湯種生地、残りの穀粉原料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏してベーカリー生地とし、常法によりベーカリー製品を得る方法である。(たとえば特許文献1又は特許文献2参照)
【0003】
ところで、湯種法で得られたベーカリー製品はもっちりした食感が特徴ではあるが、ややねちゃつく問題があり、最近はそのような食感の改善についても課題が生じ、もちもちした食感であっても歯切れのよさが求められるようになってきている。
特許文献1には、酸性水中油型乳化脂を添加することにより、湯種生地のカビ発生が防止されソフトでもっちりした食感が得られることが記載され、特許文献2には、特定の乳原料を添加することにより、長時間保存後の湯種生地を用いた時の食感の悪化が防止されることが記載されているが、これらの方法では、とくに十分な効果、とくに歯切れの良さ(とりわけ歯切れの良さと風味との両立)が得られないため、さらに改良が求められていた。また特許文献3、4には湯種法で得られるパンの食感を向上する目的からそば粉を添加する方法が提案されているが、やはり、この方法によっても、十分な効果、とくに歯切れの良さが得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−201468号公報
【特許文献2】特開2009−201469号公報
【特許文献3】特開2013−244013号公報
【特許文献4】特開2014−018202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、もっちりした食感でありながら、歯切れがよく風味もよいベーカリー製品を製造するための湯種生地用ベーカリー製品改良材、該湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用したベーカリー製品用湯種生地、及びこれを用いたベーカリー製品、並びに、ベーカリー製品用湯種生地の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、乳由来のリン脂質と乳タンパク質が一定の割合で存在し、pHが2.5〜6.4である水性液を湯種生地に使用した場合に、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0007】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は下記(A)及び(B)を満たすことを特徴とする、湯種生地用ベーカリー製品改良材である。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
【0008】
また、本発明は、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用したことを特徴とするベーカリー製品用湯種生地を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記ベーカリー製品用湯種生地を使用したことを特徴とするベーカリー生地を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記ベーカリー生地を焼成及び/又はフライしたベーカリー製品を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、下記(A)及び(B)を満たす湯種生地用ベーカリー製品改良材を含有する種生地材料を、80〜100℃の水の存在下に混捏することを特徴とするベーカリー製品用湯種生地の製造方法を提供するものである。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
【発明の効果】
【0012】
本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用することで、ねちゃつきもなく、歯切れがよく、もっちりした食感で風味もよいベーカリー製品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材について詳述する。
本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材は、下記(A)及び(B)を満たすものである。
【0014】
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
ここでいう水性液とは、水溶液のほか、懸濁液や水相を主体として少量の水に不溶の成分が分散した水相を連続相とする液状物を意味するものとする。
【0015】
なお、本発明の湯種用ベーカリー製品改良材は油脂含量が好ましくは0質量%以上3質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上1.5質量%以下、最も好ましくは0質量%以上0.5質量%以下である。本発明の湯種用ベーカリー製品改良材において、油脂の含有量が3質量%以上であると、乳原料中のリン脂質が油脂に配向しやすくなるため、本発明の改良効果が得られにくくなる。
【0016】
まず、上記条件(A)について説明する。
各種動物の乳は、初期発育を助けるために脂質、タンパク質、乳糖、アミノ酸等のエネルギー源を多く含み、これらは水中油型の乳化状態で安定して存在することが知られている。乳の乳化安定性に大きな役割を果たしているのは主にリン脂質と乳タンパク質であり、その含有量は、例えば牛乳では、乳タンパク質が3.3〜3.8質量%、リン脂質が0.03〜0.04質量%である。
【0017】
本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材では、上記条件(A)の水性液は、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質と乳タンパク質との含有比が、上記乳での含量比とは大きく異なる水性液であることが必要である。すなわち、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であり、好ましくは乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1.2〜13質量部、より好ましくは1.5〜10質量部、最も好ましくは2〜5質量部である。
【0018】
本発明において、乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1質量部よりも少なかったり、あるいは15質量部よりも多く含まれている場合、もっちりした食感や歯切れの良さが得られない。
本発明の効果を発揮する上で、なぜ乳由来のリン脂質と乳タンパク質が特定の割合で含まれることが必須条件となっているのか明らかではないが、後述するpH条件下によってリン脂質と乳タンパク質が複合体を形成し、その際にリン脂質と乳タンパク質のバランスが重要なのではないかと本発明者らは考えている。
【0019】
上記条件(A)を満たす水性液を得る方法としては、乳由来のリン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部である、乳由来の原料(以下、単に「乳原料」ということもある)を使用する方法のほか、乳由来のリン脂質を多く含有する原料と乳タンパク質を多く含有する原料を条件(A)を満たすように混合する方法、また乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を多く含有する原料へ乳由来のリン脂質及び/又は乳タンパク質を添加し、条件(A)を満たすように調製する方法等が挙げられる。
【0020】
本発明においては上記方法の中でも、上記乳原料を使用することが、風味が良好である点で好ましい。
【0021】
また、条件(A)を満たす水性液中、乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。また、乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、最も好ましくは30質量%以下である。
【0022】
乳由来のリン脂質としてはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、リゾリン脂質等が挙げられる。
【0023】
また、条件(A)を満たす水性液中、乳タンパク質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは20〜40質量%、より好ましくは23〜37質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
【0024】
上記乳タンパク質としては、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、ラクトアルブミン等のホエイタンパク質、カゼイン、またこれらの乳タンパク質を含有する脱脂粉乳、全粉乳、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。
【0025】
また、条件(A)を満たす水性液中、固形分含量は2〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が最も好ましい。また水性液中の水の含有量は、37〜98質量%が好ましく、48〜95質量%がより好ましく、59〜90質量%が最も好ましい。
【0026】
条件(A)を満たす水性液として好ましい原料である、上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものが好ましく、特に牛乳から製造されたものが好ましい。
【0027】
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
【0028】
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
【0029】
本発明では上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能であるが、最終的に得られる湯種生地用ベーカリー製品改良材のより高い効果が得られる点で、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
【0030】
上記乳原料は、均質化処理を行っても良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
【0031】
上記乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
【0032】
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、苦味が生じる場合がある。
なお、該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものや乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
【0033】
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法が挙げられる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
【0034】
本発明におけるリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。
ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法などについては乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
また本発明におけるタンパク質の定量は、例えばキエルダール法にて測定した全窒素含量に、係数6.38を乗じた値を用いる方法によることができる。
【0035】
次に、上記条件(B)について説明する。
本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材は、pHが2.5〜6.4であることが必要である。
【0036】
上記条件(B)を満たす方法としては、上記条件(A)を満たす水性液を酸で調整する方法や、あらかじめ上記条件(A)及び(B)を満たす水性液を使用する方法、上記条件(A)を満たす水性液を乳酸醗酵等によりpHが2.5〜6.4となるように処理する方法等が挙げられる。
【0037】
本発明においては、上記方法の中でも、条件(A)を満たす水性液に酸を添加し、該水性液のpH2.5〜6.4となるように調整する方法が好ましい。他の方法に比べ簡便かつ効率的であるほか、酸の種類を適宜変えることにより風味を調節することも可能となるためである。
【0038】
上記条件(B)のpHは、好ましくはpH3.0〜6.1、より好ましくは4.0〜6.0、最も好ましくは4.7〜5.8である。
湯種生地用ベーカリー製品改良材のpHが6.4よりも高いと酸処理が不十分となり本発明の効果が見られない。pHが2.5よりも低いと、雑味が生じる、かつ凝集物が発生し、不均一な湯種生地が形成される。
【0039】
pHが2.5〜6.4となるように酸を使用する場合、使用する酸は、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸、グルコン酸、乳酸を使用することが好ましく、フィチン酸、グルコン酸を使用することがより好ましい。
【0040】
湯種生地用ベーカリー製品改良材のpHを2.5〜6.4とするために酸を使用する場合、酸の使用量には特に制限はなく、風味を考慮しながら、湯種生地用ベーカリー製品改良材のpHが2.5〜6.4となるように使用すればよい。上記条件(B)となるように酸で調整する場合の温度条件、反応時間は特に制限なく任意の条件を設定することができるが、好ましくは0〜70℃条件下で30秒以上攪拌することが好ましい。しかしながら、本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材のpHは25℃において2.5〜6.4の範囲であればよい。
【0041】
本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材には、さらにカルシウム塩を添加することが好ましい。カルシウム塩の添加量は湯種生地用ベーカリー製品改良材に含まれるリン脂質1質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
上記範囲でカルシウム塩を含有することで、乳化力をより向上させることができる。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
なお、本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材には、上記(A)及び(B)の条件を満たす範囲内において、必要により以下のその他の原料を含有することができる。
上記のその他の原料としては、油脂、糖類、糖アルコール類、甘味料、乳蛋白質以外の乳や乳原料、酵素、セルロースやセルロース誘導体、金属イオン封鎖剤、澱粉類、穀類、無機塩類、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、デキストリン類、乳清ミネラル、卵製品、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、臭素酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸カリウムなどの酸化剤、システイン、グルタチオンなどの還元剤、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノールなどの保存料、着香料、苦味料、調味料などの呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤などがあげられる。本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材において、水、タンパク質、リン脂質及び酸以外の成分の合計量は、該改良材基準で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が最も好ましい。
【0043】
本発明では、湯種生地用ベーカリー製品改良材を調製する途中及び/又は調製した後、均質化機にて均質化するのが好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
【0044】
さらに必要に応じてUHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜160℃、さらに好ましくは130〜150℃、最も好ましくは139〜146℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒、さらに好ましくは2〜6秒、最も好ましくは4〜6秒である。
【0045】
上記の均質化処理とUHT加熱処理は、均質化処理のみを行っても良く、UHT加熱処理のみを行って良く、UHT加熱処理の前及び/または後に均質化処理を行っても良い。
そして急速冷却、徐冷却などの冷却操作を行っても良い。
【0046】
次に本発明のベーカリー製品用湯種生地について述べる。
本発明のベーカリー製品用湯種生地は、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材を使用したベーカリー製品用湯種生地である。
本発明のベーカリー製品用湯種生地における、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材の含有量は、湯種生地に含まれる穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、上記の湯種生地用ベーカリー製品改良材を、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材に含まれるリン脂質と乳蛋白質の合計量が、固形分として好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜3質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部である。
【0047】
なお、本発明に使用される穀粉類及び/又は澱粉類は、ベーカリー製品用湯種生地における主成分であり、穀粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、フランス粉、薄力粉、デュラム粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等が挙げられ、また、本発明で使用される澱粉類としては、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉等の澱粉や、それらの化工澱粉等が挙げられるが、本発明では特に強力粉が好ましく用いられる。
【0048】
なお、本発明のベーカリー製品用湯種生地における水の含有量は、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材をはじめ下記のその他の原料に含まれる水の含量も含め、穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して好ましくは50〜300質量部、より好ましくは50〜200質量部、さらに好ましくは70〜150質量部である。
【0049】
また、本発明のベーカリー製品用湯種生地において、上記以外に必要に応じて、従来ベーカリー製品用湯種生地に用いられているその他の原料を使用することができる。
該その他の原料としては、増粘安定剤、食用油脂、乳化剤、金属イオン封鎖剤、糖類、甘味料、上記乳原料以外の乳や乳製品、卵製品、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(βガラクトシダーゼ)、αアミラーゼ、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストリン・環状デキストリン等のデキストリン類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等が挙げられる。
【0050】
次に、本発明のベーカリー製品用湯種生地の製造方法について述べる。
本発明のベーカリー製品用湯種生地の製造方法は、下記(A)及び(B)を満たす湯種生地用ベーカリー製品改良材を含有する種生地材料を、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の水の存在下に混捏するものである。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
【0051】
なお、本発明のベーカリー製品用湯種生地の製造方法における本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材の添加量は、上述のとおり、湯種生地に含まれる穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、上記湯種生地用ベーカリー製品改良材に含まれるリン脂質と乳蛋白質の合計量が、固形分として好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜3質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部となる量である。
【0052】
なお、食用油脂や糖類などの糊化を阻害する原材料は含有しない方が好ましいが、もし使用する場合は、80〜100℃の水と接触させる前ではなく、混捏の後段で添加することが好ましい。
混捏方法は、従来湯種法に用いられている方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、種生地材料に熱湯を加えて混捏する方法、あるいは種生地材料に常温の水又は温湯を加え、加熱しながら混捏する方法等が挙げられ、混捏後の生地温度(捏上温度)が50〜80℃、好ましくは55〜70℃となるようにすれば良い。混捏時間は何ら限定されるものではなく、従来の湯種法において通常用いられている範囲であればよく、例えば、2〜20分である。
【0053】
本発明のベーカリー生地は、上記ベーカリー製品用湯種生地を使用したものである。
本発明のベーカリー生地における、上記ベーカリー製品用湯種生地の使用量は、ベーカリー生地中の全穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対し、ベーカリー製品用湯種生地に含まれる穀粉類及び/又は澱粉類の割合が好ましくは10〜90質量部、より好ましくは10〜50質量部となる量である。
【0054】
なお、上記ベーカリー生地の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、食パン、バラエティブレッド、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、ライ麦パン、デニッシュ・ペストリー、イングリッシュマフィン、グリッシーニ、コーヒーケーキ、ブリオッシュ、シュトーレン、パネトーネ、クロワッサン、イーストパイ、ピタ、ナン、マフィン、蒸しパン、イーストドーナツ、ワッフル、パイ等のパン類生地や、スナックカステラ、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、サンドケーキ等のケーキ生地、さらにはこれらの冷凍品や冷蔵品が挙げられる。
【0055】
なかでも本発明では、湯種生地を使用することで大きな食感改良効果が得られることからパン類生地であることが好ましく、より好ましくは、食パン生地、バラエティブレッド生地、菓子パン生地、フランスパン生地である。
なお、該ベーカリー生地の製造方法は、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができ、パン類であれば中種法、ストレート法等、ケーキ類であれば、オールインミックス法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等を適宜選択可能である。
【0056】
たとえば、パン類の製造方法を例に挙げると、従来公知の湯種法によるパン類の製造方法において用いられている方法は全て用いることができる。例えば、ベーカリー製品用湯種生地に、小麦粉、イースト、その他副原料、常温の水を加えて常法により混捏する方法、ベーカリー製品用湯種生地とは別に、小麦粉、イースト、その他副原料、常温の水を加えて常法により混捏した中種生地を得、ベーカリー製品用湯種生地と中種生地とを(必要に応じて、更に小麦粉、その他副原料とともに)混合して常法により混捏する方法等を挙げることができる。
【0057】
本発明のベーカリー製品は上記ベーカリー生地を焼成及び/又はフライしてなるものであり、もっちりした食感でありながら、歯切れがよいという特徴を有するものである。
焼成方法やフライ方法は、とくに制限されず、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができる。
【実施例】
【0058】
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0059】
<湯種生地用ベーカリー製品改良材の製造>
[表1]に記載した配合のうち、酸(フィチン酸、グルコン酸、乳酸)以外の成分を55℃条件下で攪拌しながら混合し、続いて酸(フィチン酸、グルコン酸、乳酸)を添加してそれぞれpHを調整した後、3MPaの圧力で均質化し、製造例1〜12からそれぞれ本発明の湯種生地用ベーカリー製品改良材A〜Lを得た。また、比較製造例1〜3からそれぞれ湯種生地用ベーカリー製品改良材M〜Oを得た。均質化後、湯種生地用ベーカリー製品改良材A〜L及びM〜Oについて25℃におけるpHを再度測定した。測定したpHを表1に示す。pHの測定には、HORIBA社製のカスタニーACTpHメータD−21を用いた。均質化後の湯種生地用ベーカリー製品改良材中のリン脂質及びタンパク質の含有量を上述した方法で測定した。
フィチン酸としては、50%フィチン酸[=50質量%フィチン酸水溶液]を用い、グルコン酸としては、50%グルコン酸[=50質量%グルコン酸水溶液]を用い、乳酸としては、50%乳酸[=50質量%乳酸水溶液]を用いた。
【0060】
なお、各原料中の乳リン脂質、乳タンパク質含有量は以下の通りである。
乳原料A:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%、油脂1質量%)
乳リン脂質高含有成分:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物900g及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の噴霧乾燥物650gに対して、ヘキサン2100ml、エタノール4300mlを加えて混合した後、3時間攪拌し、濾過を行って濾液を回収した。続いて、得られた濾液をエバポレーターで濃縮した後、窒素雰囲気下で溶媒を完全に除去し、リン脂質高含有成分200gを得た。(リン脂質含有量19.5質量%、タンパク質含有量0質量%、乳固形分100質量%、油脂0質量%)
【0061】
バターミルクパウダー:リン脂質含有量1.67質量%、乳タンパク質含有量32.7質量%、油脂0質量%
【0062】
バターミルク濃縮物:生クリーム(油分:47質量%)100質量部を10℃条件下でチャーニングし、続いて濾過を行って濾液(43質量部)を回収し、バターミルクを得た。続いて、得られたバターミルクを液量がおおよそ三分の一程度になるように濃縮し、バターミルク濃縮物を得た。(バターミルク濃縮物のリン脂質含有量0.53質量%、タンパク質含有量10.9質量%、乳固形分33質量%、油脂0質量%)
卵黄由来レシチン(油脂65質量%)
カゼインナトリウム(油脂0質量%)
【0063】
【表1A】
【0064】
【表1B】
【0065】
<湯種生地、及びベーカリー製品の製造>
〔実施例1〕
強力粉100質量部に、湯種生地用ベーカリー製品改良材1質量部、及び熱水(95℃)100質量部を加えて混捏(90rpm×2分)し、ベーカリー製品用湯種生地(a)を得た。捏上温度は65℃であった。
一方、強力粉60質量部、イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、及び水(常温)35質量部を加えて混捏(90rpm×2分+180rpm×2分)し、中種生地を得た。この中種生地を温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。
中種発酵終了後の上記中種生地に、5℃で18時間保存後の上記ベーカリー製品用湯種生地(a)30質量部、強力粉25質量部、砂糖5質量部、食塩2質量部、及び水(常温)25質量部を加えて混捏(90rpm×3分+180rpm×4分)し、ここでマーガリン5質量部を加え、更に混捏(90rpm×3分+180rpm×5分)してベーカリー生地(a)(本捏生地)を得た。得られたベーカリー生地(a)を、フロアタイム30分とった後、220gに分割・丸めをおこない、ベンチタイム15分とった後、モルダーを使用して成形を行い、4個を2斤パン型に入れてホイロ45分として発酵させ、200℃で40分焼成してベーカリー製品(a)を得た。
得られたベーカリー製品(食パン)の食感及び風味について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0066】
[実施例2〜12]
湯種生地用ベーカリー製品改良材Aに代えて、それぞれ湯種生地用ベーカリー製品改良材B〜Lを使用した以外は実施例1と同様にして、ベーカリー製品用湯種生地(b〜l)、ベーカリー生地(b〜l)、およびベーカリー製品(b〜l)を得た。
得られたベーカリー製品(食パン)の食感及び風味について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0067】
[比較例1〜3]
湯種生地用ベーカリー製品改良材Aに代えて、それぞれ湯種生地用ベーカリー製品改良材M〜Oを1質量部使用した以外は実施例1と同様にして、比較例のベーカリー製品用湯種生地(m〜o)、ベーカリー生地(m〜o)、およびベーカリー製品(m〜o)を得た。
得られたベーカリー製品(食パン)の食感及び風味について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0068】
〔実施例13〕
実施例1で使用した、湯種生地用ベーカリー製品改良材A1質量部を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例13のベーカリー製品用湯種生地(p)、ベーカリー生地(p)、およびベーカリー製品(p)を得た。
得られたベーカリー製品(食パン)の食感及び風味について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0069】
〔実施例14〕
実施例1で使用した、湯種生地用ベーカリー製品改良材A1質量部を5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例14のベーカリー製品用湯種生地(q)、ベーカリー生地(q)、およびベーカリー製品(q)を得た。
得られたベーカリー製品(食パン)の食感及び風味について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0070】
<食感の評価基準>
◎:もっちりとした食感でありながら良好な歯切れが感じられる。
○:もっちりとした食感でありながらやや歯切れが感じられる。
△:もっちりとした食感であるが、歯切れは感じられない。
×:ねちゃつきが感じられる。
××:ねちゃつきが激しい。
【0071】
<風味の評価基準>
◎:きわめて良好である。
○:良好である。
△:やや異味が感じられる。
×:異味が感じられる。
【0072】
【表2】