(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パワー素子の温度並びに前記制御ユニット内の温度、および/または前記ファンが運転していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする請求項6に記載のポンプ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータは、制御盤内に設置されるのが一般的である。この制御盤内の主な発熱部品はインバータのパワー素子である。ポンプが揚水する水の流量が少ない場合、電動機にかかる負荷は小さいため、パワー素子に流れる電流も少なく、パワー素子の発熱量は少ない。また、外気温が低く、パワー素子が自然冷却される場合もパワー素子を冷却する必要がない。
【0005】
しかしながら、ポンプの運転に連動させてファンの起動および停止を行うと、パワー素子を冷却する必要がないタイミングでもファンは起動するため、無駄なエネルギーを消費してしまう。また、ファンの寿命は比較的短いため、必要以上にファンを運転すると、予定よりも早期にファンが故障してしまう。ファンが故障すると、故障したファンを交換するために、ポンプ装置の運転を停止しなければならない。
【0006】
制御盤は屋外に設置されることがある。このような環境下では、ポンプが停止中であっても、真夏の直射日光などにより、制御盤内の温度は非常に高くなる。このような状況のときにファンを回転させても、制御盤内の温度は下がりにくい。さらに、最悪の場合、パワー素子の温度トリップ機能、つまり、インバータの保護機能が作動し、ポンプ装置は揚水不能となる。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、省エネルギーを達成しつつ、安定的にポンプの運転を継続することができるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプを回転させる電動機と、前記電動機を変速可能とするインバータ、および該インバータの動作を制御する制御部を含む制御ユニットと、前記制御ユニットを冷却するファンと、前記制御ユニット内の温度を測定する第1の温度センサと、前記インバータのパワー素子の温度を測定する第2の温度センサとを備え、前記制御部は、前記制御ユニット内の温度が第1のしきい値よりも高いとき、または前記パワー素子の温度が第2のしきい値よりも高いときに、前記ファンを起動し、前記パワー素子の温度が第3のしきい値よりも低いとき、または前記制御ユニット内の温度が第4のしきい値よりも低いときに、前記ファンを停止することを特徴とするポンプ装置である。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記第1のしきい値、前記第2のしきい値、前記第3のしきい値、および前記第4のしきい値は、この順に大きいことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1の温度センサは前記制御部に取り付けられており、前記第2の温度センサは前記パワー素子に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記パワー素子の温度並びに前記制御ユニット内の温度、および/または前記ファンが運転していることを表示する表示器をさらに備えていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、外部表示器と有線通信または無線通信で接続することができることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器に接続できることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記外部表示器からの電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部と、前記電力によって駆動される集積回路および記憶部とを備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記パワー素子の温度並びに前記制御ユニット内の温度、および/または前記ファンの運転を示すデータを前記記憶部に記憶し、前記集積回路は、前記記憶部から前記データを読み取り、前記制御部側アンテナ部は前記データを前記外部表示器に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御ユニット内の温度、またはパワー素子の温度に基づいて、ファンが起動される。したがって、パワー素子の過熱に起因してポンプ装置が停止することを防止することができ、安定的にポンプの運転を継続することができる。さらに、パワー素子の長寿命化を図ることができる。
さらに、本発明によれば、制御ユニット内の温度、またはパワー素子の温度に基づいて、ファンが停止される。したがって、必要以上にファンを運転することを防止することができるため、省エネルギーを達成することができ、かつファンの長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、水中ポンプユニットを備えたポンプ装置であるが、本発明は以下の実施形態に限定されない。例えば、本発明は陸上ポンプユニットを備えたポンプ装置にも適用することができる。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るポンプ装置を示す模式図である。
図2は
図1に示すポンプ装置の詳細を示す図である。
図1および
図2に示すように、ポンプ装置は、井戸内などの水中に設置することができる水中ポンプユニット1と、吸込管4を介して水中ポンプユニット1に接続された陸上ユニット5とを備えている。水中ポンプユニット1は、羽根車(図示しない)を有するポンプ2と、このポンプ2を回転させる電動機3とを備えている。電動機3が駆動されると、ポンプ2が回転し、水は吸込管4を通じて陸上ユニット5に送られる。
【0015】
陸上ユニット5は地上に配置されている。陸上ユニット5は、水中ポンプユニット1の動作を制御する制御ユニット10と、吸込管4に接続された配水管11と、配水管11を流れる水の流量が所定の値にまで低下したことを検知するフロースイッチ12と、ポンプ2の吐出側圧力を測定する圧力センサ13とを備えている。フロースイッチ12および圧力センサ13は配水管11に接続されており、圧力センサ13はフロースイッチ12の下流側に設けられている。配水管11の一端は吸込管4に接続され、他端は排出管18に接続されている。排出管18には水栓などの給水器具19が接続されている。吸込管4には、逆止弁21が取り付けられている。この逆止弁21は、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するために設けられている。
【0016】
陸上ユニット5は、ポンプ2の吐出側圧力を保持するための圧力タンク15をさらに備えている。圧力タンク15は配水管11に接続されており、圧力センサ13の下流側に設けられている。圧力タンク15は、その耐圧容器の内部にゴム製のブラダを有している。ポンプ2の吐出側圧力が上昇すると、ブラダの外側の空気は圧縮され、水が加圧状態で貯留される。配水管11内の圧力が低下すると、ブラダに保持された水は圧縮された空気によって配水管11内に押し出される。このようにして、ポンプ2が停止しても、しばらくの間、圧力タンク15から配水管11に水が供給される。
【0017】
制御ユニット10は、電動機3を変速可能とするインバータ22と、インバータ22の動作を制御する制御部20とを備えている。インバータ22は制御部20に接続されている。制御部20は、インバータ22を構成するパワー素子(例えば、IGBTなどのスイッチング素子)22aのスイッチング動作を制御することで、電動機3の回転速度、すなわちポンプ2の回転速度を制御する。
【0018】
フロースイッチ12および圧力センサ13は信号線を介して制御部20に接続されている。配水管11を流れる水の流量が所定の値にまで低下したことをフロースイッチ12が検出すると、制御部20はポンプ2の回転速度を一時的に上げ、圧力タンク15に蓄圧してからポンプ2の運転を停止させる。ポンプ2の吐出側圧力が所定の始動圧力まで低下したことを圧力センサ13が検出すると、制御部20はポンプ2を始動させる。
【0019】
ポンプ装置は、制御ユニット10を冷却するファン28をさらに備えている。ファン28は制御ユニット10の近傍に配置されている。ファン28が回転すると、空気がファン28から吐出され、制御ユニット10に接触する。この空気の流れは、制御ユニット10、特に発熱源であるパワー素子22aを冷却する。
【0020】
図2に示すように、ポンプ装置は、制御ユニット10内の温度を測定する第1の温度センサ24と、インバータ22のパワー素子22aの温度を測定する第2の温度センサ26とを備えている。第1の温度センサ24は制御部20に取り付けられており、第2の温度センサ26はパワー素子22aに取り付けられている。ただし、第1の温度センサ24は制御ユニット10内の温度を測定できればよいので、必ずしも制御部20に取り付けられる必要はない。例えば、第1の温度センサ24は、制御部20およびインバータ22を覆う保護カバー(図示しない)に取り付けられてもよい。
【0021】
第1の温度センサ24および第2の温度センサ26は信号線を介して制御部20に接続されている。制御ユニット10内の温度の測定値は、第1の温度センサ24から制御部20に送られる。同様に、パワー素子22aの温度の測定値は、第2の温度センサ26から制御部20に送られる。
【0022】
制御部20は、制御ユニット10内の温度およびパワー素子22aの温度に関する複数のしきい値を予め記憶している。
図3乃至
図6は制御ユニット10内の温度およびパワー素子22aの温度と時間との関係を示す図である。
図3乃至
図6において、縦軸は温度[℃]を示しており、横軸は時間を示している。
【0023】
図3乃至
図6に示す例では、第1のしきい値〜第4のしきい値および上限値が示されている。第1のしきい値および第2のしきい値はファン28を起動させるためのしきい値である。第3のしきい値および第4のしきい値はファン28を停止させるためのしきい値である。上限値はポンプ2を非常停止させたり、警報を発したりするためのしきい値である。第1のしきい値、第2のしきい値、第3のしきい値、および第4のしきい値は、この順に大きく、上限値は第1のしきい値よりも大きい。
【0024】
第1のしきい値および第4のしきい値は制御ユニット10内の温度に関するしきい値であり、第2のしきい値および第3のしきい値はパワー素子22aの温度に関するしきい値である。制御部20は、第1の温度センサ24から送られてくる制御ユニット10内の温度の測定値と、第1のしきい値および第4のしきい値とを比較する。同様に、制御部20は、第2の温度センサ26から送られてくるパワー素子22aの温度の測定値と、第2のしきい値および第3のしきい値とを比較する。
【0025】
制御部20は、制御ユニット10内の温度が第1のしきい値よりも高いとき、または、パワー素子22aの温度が第2のしきい値よりも高いときに、ファン28を起動するように構成されている。さらに、制御部20は、パワー素子22aの温度が第3のしきい値よりも低いとき、または制御ユニット10内の温度が第4のしきい値よりも低いときに、ファン28を停止させるように構成されている。
【0026】
図3に示すように、制御ユニット10内の温度が第1のしきい値よりも低く、かつパワー素子22aの温度が第2のしきい値よりも低いときは、制御ユニット10を冷却する必要がないので、ファン28は起動されない。
【0027】
ポンプ2が運転するにつれて、インバータ22のパワー素子22aが発熱し、パワー素子22aの温度が上昇する。
図4に示すように、制御ユニット10内の温度が第1のしきい値よりも低い場合でも、パワー素子22aの温度が第2のしきい値よりも高いときは、制御部20はファン28を起動する。ファン28が回転し始めると、制御ユニット10、特にインバータ22のパワー素子22aが冷却される。制御ユニット10が冷却された結果、パワー素子22aの温度が第3のしきい値よりも低くなった場合、または制御ユニット10内の温度が第4のしきい値よりも低くなった場合には、制御部20はファン28を停止する。
【0028】
ポンプ2の停止中は、パワー素子22aの温度は通常は低い状態にある。しかしながら、真夏の直射日光などにより、ポンプ2が停止中にもかかわらず。制御ユニット10内の温度が上昇することがある。
図5に示すように、パワー素子22aの温度が第2のしきい値よりも低いときでも、制御ユニット10内の温度が第1のしきい値よりも高くなると、制御部20はファン28を起動する。
【0029】
このように、ポンプ2の停止中であっても、制御ユニット10内の温度に基づいてファン28を起動させることにより、制御ユニット10内の温度上昇を防止することができる。したがって、その後、ポンプ2を運転してもパワー素子22aの温度トリップ機能、つまり、インバータ22の保護機能の作動を回避することができる。制御ユニット10が冷却された結果、パワー素子22aの温度が第3のしきい値よりも低くなった場合、または制御ユニット10内の温度が第4のしきい値よりも低くなった場合には、制御部20はファン28を停止する。
【0030】
制御部20は、ポンプ2の運転中において、制御ユニット10内の温度またはパワー素子22aの温度が上限値よりも高くなったときは、ポンプ2を非常停止するように構成されている。
図6に示すように、例えば、ポンプ2の運転中において、パワー素子22aの温度が上限値よりも高くなったとき、制御部20はポンプ2を非常停止する。ポンプ2の運転中において、制御ユニット10内の温度が上限値よりも高くなっても、制御部20はポンプ2を非常停止する。このとき、制御部20は警報を発することが望ましい。
【0031】
ポンプ装置は第1の温度センサ24および第2の温度センサ26を備えているので、これら2つの温度センサ24,26のうちの一方が故障した場合でも、制御部20は、他方の温度センサによって測定された温度に基づいて、ファン28の起動および停止を行うことができる。
【0032】
制御部20は、ポンプ2の起動および停止に関係なく、制御ユニット10内の温度またはパワー素子22aの温度に基づいて、ファン28の起動および停止を行う。本実施形態によれば、ポンプ2の停止中において、直射日光等によって制御ユニット10内の温度が上昇した場合でも、ファン28によって制御ユニット10を冷却することができる。さらに、パワー素子22aを含むインバータ22の温度上昇を抑えることができるので、パワー素子22aの長寿命化を図ることができる。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、制御部20は、制御ユニット10内の温度が第4のしきい値よりも低いとき、またはパワー素子22aの温度が第3のしきい値よりも低いときに、ファン28を停止するので、必要以上にファン28が運転することを防止して、省エネルギーを達成することができる。さらには、比較的寿命が短いとされるファン28の長寿命化を図ることができる。ファン28の長寿命化により、ファン28の故障によるポンプ2の停止の回数を低減することができる。
【0034】
次に、上述したポンプ装置のより詳細な構成について
図7を参照して説明する。
図7に示すように、ポンプ装置は、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を含む運転情報を表示する表示器49をさらに備えている。制御部20は、設定部46、記憶部47、演算部48、I/O部50、および運転パネル51を備えている。運転パネル51は、ヒューマンインターフェースとして機能する。設定部46には、ポンプ2の運転制御に関する各種設定値が入力される。設定部46および表示器49は、運転パネル51に設けられている。表示器49は液晶パネルであり、設定部46はタッチパネル式操作器でもよい。本実施形態では、表示器49は制御部20に取り付けられているが、表示器49は制御部20から離れて配置されてもよい。また、表示器49は液晶パネルと7セグメントLEDや表示灯を組み合わせた構成でもよい。
【0035】
記憶部47は、上述したしきい値(すなわち、第1のしきい値〜第4のしきい値、および上限値)を記憶する。しきい値は、記憶部47に予め記憶されてもよいし、あるいは設定部46を通じて記憶部47に入力されてもよい。演算部48は、第1の温度センサ24および第2の温度センサ26から送られてくる温度を監視し、測定された温度と第1のしきい値〜第4のしきい値および上限値とを比較する。演算部48としては、CPUが使用される。表示器49は、ヒューマンインターフェースとして機能し、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を含む運転情報を表示する。ユーザーは、設定部46上のクリアボタン53を押すことにより、表示器49での表示を消去することができる。
【0036】
図8は記憶部47の詳細を示す図である。
図8に示すように、記憶部47は、不揮発性メモリから構成された不揮発性記憶領域47aと、揮発性メモリから構成された揮発性記憶領域47bを備えている。不揮発性記憶領域47aは、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の履歴、ポンプ2の運転に必要な各種設定値、故障履歴、運転履歴などを記憶する領域である。揮発性記憶領域47bは、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転、圧力信号、ポンプ回転数、電流値、故障、警報などを記憶する領域である。
【0037】
図9はポンプ装置の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、表示器49に加えて、外部表示器61がさらに設けられている。
図9に示すように、制御部20は通信部60をさらに備えている。制御部20は有線通信または無線通信によって外部表示器61に接続されている。外部表示器61として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。本実施形態では、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器であり、外部表示器61は液晶画面と液晶画面のタッチ入力方式や押圧ボタン方式用いた高機能表示器である。簡易な表示器49に比べて外部表示器61は表示できる情報量が格段に多いため、外部表示器61にパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転していることを表示することによって、ポンプ装置に不慣れなユーザーは誤解することなく、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転していることを認識することが出来る。
【0038】
ポンプ装置は機械室やポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。本実施形態によれば、ポンプ装置に組み込まれる表示器49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器を使用することにより、外部環境から発生される電気的なノイズにより外部表示器61の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示器49によりポンプ装置の運転に必要な最低限度の表示や操作を行うことが可能なため、ポンプ装置を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。さらに、外部表示器61として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットなどの汎用端末機器を使用すると、ユーザーは専用のアプリケーションソフトウエアを用いて、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転していることを表示させることができるため、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意し使い分けることによりユーザーのレベルに沿ったパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転していることの表示を提供することが可能である。
【0039】
図10はポンプ装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20に表示器49は設けられていなく、代わりに外部表示器(高機能表示器)61のみが設けられる。その他の構成は、
図9に示す実施形態と同様である。
図10に示す実施形態によれば、ポンプ装置には表示器自体を設ける必要がなくなるので、ポンプ装置全体のコストを更に下げることが可能である。
【0040】
図11はポンプ装置のさらに他の実施形態を示す図である。
図11において、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器である。通信部60は公衆回線を介して保守管理会社または管理人室に設けられた外部表示器65に接続されている。制御部20は、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転していることを判断し、外部表示器65は制御部20に公衆回線を通じて定期的に通信し、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転しているか否かを制御部20に問い合わせる。そして、外部表示器65はパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を表示する。外部表示器65はパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を他の情報に追加的に表示してもよい。
【0041】
本実施形態の制御部20は、
図7に示すクリアボタン53を備えていなく、代わりに、外部表示器65は、
図11に示すように、クリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、外部表示器65上に表示されているパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の表示が消去される。
【0042】
図12はポンプ装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態の制御部20の基本的構成は
図10に示す実施形態の制御部20の構成と同じであるが、制御部20が通信部60に代えて、制御部側アンテナ部67を備えている点、および制御部側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で異なっている。集積回路68は、不揮発性記憶領域47a、揮発性記憶領域47bを有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、本実施形態の制御部20は表示器49を備えていないが、制御部20に表示器49を設けてもよい。
【0043】
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示器側アンテナ部71で受信したデータを読み取るデータリーダー74と、データリーダー74によって読み取られたデータ(例えば、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転、ポンプ2の運転状態、吐出し圧力など)を表示する表示部72と、データリーダー74、表示器側アンテナ部71、および表示部72に電力を供給するバッテリー73とを備えている。外部表示器70として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器でもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器でもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、ポンプ装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器にパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を表示させることができるので、マンションやビルの管理人のようなポンプ装置に関する専門知識のないユーザーに対しても、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28が運転したことを分かり易く知らせることができるポンプ装置を安価に提供することができる。
【0044】
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部20と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御部20に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部67が受け取り、制御部側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部67にデータを送る。制御部側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
【0045】
外部表示器70は、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の表示を消去するためのクリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、表示部72に表示されているパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の表示が消去される。本実施形態のクリアボタン66は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン66は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。本実施形態の制御部20はクリアボタンを備えていないが、制御部20にクリアボタンを設けてもよい。なお、これらの操作には、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器70にクリアボタン66を設け、メンテナンス員が主に使用する制御部20にリセットボタン52を設ける。このように制御部20にのみリセットボタン52を設けることで、ユーザーのリセットボタン52の誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器70を設けることで、ユーザーの誤操作によるパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転のクリアを防止することができる。
【0046】
本実施形態では、外部表示器70と制御部20との間で無線通信が行われ、記憶部47に記憶されているパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転などを含むデータは、制御部20から外部表示器70に送られる。本実施形態によれば、ポンプ装置の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部67は外部表示器70から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、ポンプ装置のメンテンナンス中などにおいて制御部20に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御部20の記憶部47からパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を含むデータを取得し、該データを表示することができる。
【0047】
制御部20が故障した場合には新制御部20に交換する必要がある。この制御部20の交換時に、故障した旧制御部20はすでに電源が入らない状態においても、本実施形態では、旧制御部20のパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転に関するデータを新制御部20の記憶部47に継承することが可能となる。具体的には、旧制御部20の記憶部47の該データを外部表示器70にて表示し、その表示を確認しながらメンテナンス員が新制御部20の操作部より入力し、新制御部20の記憶部47に該データを記憶させてもよいし、旧制御部20の該データを外部表示器70にて取得し、外部表示器70から新しい制御部20の記憶部47へと通信手段にて書き込んでもよい。制御部20が電源が入らない状態で故障しても、不揮発性記憶領域47aに記憶されているデータを新制御部20の記憶部47に継承できるので、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転のデータが損失されることない。これは、ポンプ装置が新制御部20にて自動運転を開始した後でも、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の履歴を表示することができることを意味する。
【0048】
本実施形態によれば、ポンプ装置に電力が供給されていないときでも、ユーザーやメンテナンス員が外部表示器70を制御部20に近づけるだけで、記憶部47からパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を含む情報を取得することが可能である。
【0049】
本実施形態で採用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)は、数cmの近距離でのみ相互通信が可能な技術である。したがって、外部表示器70にパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転やその他の各種情報を表示させるためには、ユーザーやメンテナンス員は外部表示器70を制御部20に近づける必要がある。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーやメンテナンス員はポンプ装置の近くにいることを意味する。したがって、ユーザーやメンテナンス員はポンプ装置を目視しながら外部表示器70を操作することになり、誤操作に起因したポンプ装置の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数のポンプ装置が設置された現場では、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を表示したいポンプ装置の近距離でのみ通信可能となる為、無線通信にてよくある意図しない別のポンプ装置のパワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
【0050】
図13はポンプ装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20は通信部60を備えている。通信部60は、有線通信または無線通信によって外部表示器75の通信部76に接続されている。外部表示器75は制御部80を備えており、制御部80は通信部76、記憶部77、演算部78、および表示部79を備えている。制御部20は、表示器49を備えていてもよい。また、記憶部77は記憶部47と同様に
図8の構成とする。
【0051】
図14はポンプ装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態では、制御部20には表示器は設けられておらず、代わりに、外部表示器75に表示部79と設定部82が設けられている。その他の構成は
図13に示す実施形態と同様である。本実施形態では、パワー素子22aの温度並びに制御ユニット10内の温度、および/またはファン28の運転の状態は表示部79に表示され、その他各種設定値の入力は、外部表示器75の設定部82を通じて行われる。
【0052】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。