特許第6563322号(P6563322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563322
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20190808BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/78 N
   B65G49/07 G
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-242004(P2015-242004)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-108043(P2017-108043A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−163180(JP,A)
【文献】 特開2008−218599(JP,A)
【文献】 特開2011−086875(JP,A)
【文献】 特開2011−040542(JP,A)
【文献】 特開2005−263481(JP,A)
【文献】 実開平5−20885(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に形成された複数の分割予定ラインと該分割予定ラインで区画された各領域に形成された複数のデバイスとを上面に有するパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って分割した後に分割後の複数のデバイスの上面を吸引保持して搬送するための搬送装置であって、
該パッケージ基板の各デバイスは複数種類の厚みで形成されており、
鉛直方向に昇降動及び水平方向に往復動される搬送プレートと、該搬送プレートの下面に全デバイスに対応して配設され該複数のデバイスを吸引保持する複数の吸引パッドと、を備え、
該吸引パッドは、鉛直方向に伸縮可能な蛇腹形状で形成され内部に吸引路を有する側部と該側部の下方に開口し該複数のデバイスの上面に当接して吸引可能な吸引口と、を備え、
該複数のデバイスの該厚みに応じて該側部が縮むことで全デバイスの上面に各吸引パッドが当接して一度に全デバイスを吸引保持して搬送を行う搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板の分割後のデバイスの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパソコン等の電子機器は軽量化、小型化が求められており、半導体デバイスのパッケージについても、CSP(Chip Size Package)と呼ばれる小型化可能なパッケージ技術が開発されている。従来、CSP等のパッケージ基板の分割後に個々のデバイスを搬送する搬送装置として、デバイスを個別搬送するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の搬送装置では、切削ブレードにてパッケージ基板がデバイス毎のペレットに分割された後、デバイスの表面が1ペレットずつピックアップされて保持テーブルからトレイに移し替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−077057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置では、パッケージ基板のデバイスサイズが小さくなると、全てのデバイスをピックアップしてトレイに搬送し終わるまでに相当な時間を要していた。搬送時間を短縮するために、個々のデバイスに対応した位置に吸引口が形成された搬送パッドを用いて、全てのデバイスを同時にピックアップして一括搬送する構成も考えられるが、デバイスの厚みがペレット毎に異なる場合には全てのデバイスを一括搬送することはできない。よって、個々のデバイスの厚みが異なる場合には、1ペレットずつデバイスをピックアップして搬送する必要があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、デバイスの厚みが異なるパッケージ基板であっても、全てのデバイスを一括搬送することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、格子状に形成された複数の分割予定ラインと該分割予定ラインで区画された各領域に形成された複数のデバイスとを上面に有するパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って分割した後に分割後の複数のデバイスの上面を吸引保持して搬送するための搬送装置であって、該パッケージ基板の各デバイスは複数種類の厚みで形成されており、鉛直方向に昇降動及び水平方向に往復動される搬送プレートと、該搬送プレートの下面に全デバイスに対応して配設され該複数のデバイスを吸引保持する複数の吸引パッドと、を備え、該吸引パッドは、鉛直方向に伸縮可能な蛇腹形状で形成され内部に吸引路を有する側部と該側部の下方に開口し該複数のデバイスの上面に当接して吸引可能な吸引口と、を備え、該複数のデバイスの該厚みに応じて該側部が縮むことで全デバイスの上面に各吸引パッドが当接して一度に全デバイスを吸引保持して搬送を行う。
【0007】
この構成によれば、搬送プレートをデバイスに近づけると、デバイスの上面に接触した吸引パッドから順に蛇腹形状の側部が縮み始めるため、全ての吸引パッドにデバイスの上面を吸引保持させることができる。このように、デバイスの厚みが複数種類であっても、各吸引パッドの蛇腹形状の側部が縮むことでデバイスの厚みの違いが吸収される。よって、複数の吸引パッドで厚みの異なる全てのデバイスを同時に吸引保持して一括搬送することができ、搬送時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分割後の複数のデバイスに対応した各吸引パッドが鉛直方向に収縮可能に形成されているため、複数の吸引パッドで厚みの異なる全てのデバイスを同時に吸引保持して一括搬送することができ、搬送時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態のパッケージ基板及び保持テーブルの斜視図である。
図2】比較例の搬送パッドによるデバイス搬送の説明図である。
図3】本実施の形態の搬送装置の斜視図である。
図4】本実施の形態の搬送装置の模式図である。
図5】本実施の形態の搬送装置によるデバイス搬送の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態のパッケージ基板及び保持テーブルの斜視図である。なお、パッケージ基板は、CSP(Chip Size Package)基板や、ウェーハレベルCSP(Wafer Level Chip Size Package)基板等の小型のパッケージ基板に限られず、CSP基板等よりもサイズが大きなパッケージ基板でもよい。
【0011】
図1に示すように、搬送対象となるパッケージ基板Wは、矩形状の上面に形成された複数の分割予定ラインLによって格子状に区画され、これら分割予定ラインLで区画された各領域には複数のデバイスDが形成されている。パッケージ基板Wは、保持テーブル20上に吸引保持された状態で、分割予定ラインLに沿って切断されることでデバイスD毎に個々のペレットP(図2B参照)に分割される。なお、パッケージ基板WのデバイスDとしては、半導体デバイスが配設されていてもよいし、LED(Light Emitting Diode)デバイスが配設されていてもよい。
【0012】
ところで、パッケージ基板Wの上面には、同じ厚みのデバイスDが配設されているとは限らない。例えば、LED用のパッケージ基板では、キャップ付きのLEDチップ、剥き出しのLEDチップ、LEDチップの未実装箇所がパッケージ基板の上面で混在して配設される場合がある。このように、パッケージ基板WのデバイスDが複数種類(図1では2種類のデバイスDa、Db)の厚みで形成されていると、通常は分割後のデバイスDを搬送するために、ピックアップ装置(不図示)でデバイスDを1ペレットずつ個別に搬送しなければならない。このため、全デバイスDを搬送し終えるまでの搬送時間が長くなって装置全体のスループットが低下する。
【0013】
図2Aの比較例に示すように、パッケージ基板WcのデバイスDcの厚み差が誤差程度であれば、搬送パッド31の下面に各デバイスDcに対応した複数の吸引口32を空けた搬送装置30を用意すればよい。各デバイスDcの厚み差が誤差程度であるため、搬送パッド31を各デバイスDcの上面に近づけたときに、各吸引口32と各デバイスDcのそれぞれ距離が大きく変わることがない。したがって、搬送パッド31の各吸引口32の吸引力によって、全てのデバイスDcを同時に引き寄せて吸引保持して一括搬送することができる。
【0014】
しかしながら、図2Bに示すように、本実施の形態のパッケージ基板Wについては、デバイスDの厚みが明らかに異なるため、搬送装置30の搬送パッド31では全てのデバイスDを同時に吸引保持することができない。すなわち、搬送パッド31を各デバイスDの上面に近づけて厚みの厚いデバイスDaを吸引したときに、この一部のデバイスDaによって残りの厚みの薄いデバイスDbに対する吸引パッド31の接近が規制される。このため、搬送パッド31の各吸引口32によって全デバイスDの上面を同時に吸引保持することができず、吸引エラーが起こって一括搬送することができない。
【0015】
このように、厚みが明らかに異なるデバイスD、すなわち異なる種類のデバイスDが混在したパッケージ基板Wを分割後に搬送する際には、ピックアップ装置によって1ペレットずつ個別にデバイスDをピックアップして搬送することが常識となっていた。そこで、本実施の形態の搬送装置10では、パッケージ基板Wの個々のデバイスDに対応した蛇腹形状の複数の吸引パッド12を用意し、この吸引パッド12によってパッケージ基板WのデバイスDの厚みの違いを吸収するようにしている。これにより、パッケージ基板Wの全てのデバイスDが同時に吸引保持され、一括搬送によって搬送時間が大幅に短縮される。
【0016】
以下、図3及び図4を参照して、本実施の形態の搬送装置について説明する。図3は、本実施の形態の搬送装置の斜視図である。図4は、本実施の形態の搬送装置の模式図である。なお、図3では、2種類の厚みのデバイスが配設されたパッケージ基板が、保持テーブル上で個々のペレットに分割されているものとする。
【0017】
図3及び図4に示すように、搬送装置10は、切削装置等の加工装置の保持テーブル20上で分割されたパッケージ基板Wの複数のデバイスDを同時にピックアップして、搬送先となるトレイ(不図示)に向けて一括搬送するように構成されている。搬送装置10は、搬送プレート11の下面に複数のデバイスDに対応した複数の吸引パッド12が配設されている。搬送プレート11は、昇降機構18(図5参照)と水平機構19(図5参照)に連結されており、昇降機構18及び水平機構19によって鉛直方向に昇降動及び水平方向に往復動される。この搬送プレート11の移動によって、複数の吸引パッド12が複数のデバイスDに対して位置決めされる。
【0018】
複数の吸引パッド12は、搬送プレート11から下方に延びる軸部13の先端に蛇腹筒14を設けて構成されている。各吸引パッド12の蛇腹筒14は、鉛直方向に伸縮可能な蛇腹形状の側部15で、側部15の内側に吸引路16を形成している。また、側部15の下方、すなわち蛇腹筒14の先端には、複数のデバイスDの上面に当接して吸引可能な吸引口17が開口されている。各吸引口17は、吸引パッド12及び搬送プレート11内に形成された吸引路16を通じて吸引源(不図示)に接続されている。吸引源からの吸引力によって吸引パッド12の吸引口17が負圧になることで、吸引パッド12に複数のデバイスDが吸引保持される。
【0019】
蛇腹形状の側部15は、吸引パッド12の先端とデバイスDの上面との接触によって蛇腹が畳まれることで長さが可変される。このとき、側部15の最大収縮量は、最大厚みのデバイスD(Da)と最小厚みのデバイスD(Db)の厚み差よりも大きく、複数のデバイスD間の厚みのバラツキを吸収可能に形成されている。複数のデバイスDの厚み応じて側部15が縮むことで、全デバイスDの上面に吸引パッド12を当接させて、一度に全デバイスDを吸引保持することが可能になっている。また、側部15の蛇腹形状はクッション性を有しているため、吸引パッド12がデバイスDの上面に当接したときの衝撃が吸収される。
【0020】
また、保持テーブル20は、基台となるベース部材21にパッケージ基板Wの分割後の各デバイスDを個別に保持可能な保持ブロック22を配設して構成されている。保持ブロック22の上面は、パッケージ基板Wの分割予定ラインL(図1参照)に対応した溝23によって格子状に区画され、溝23で区画された各領域に吸引口24が形成されている。各吸引口24は、保持ブロック22及びベース部材21内に形成された吸引路25を通じて吸引源(不図示)に接続されている。吸引源からの吸引力によって保持ブロック22の吸引口24が負圧になることで、保持ブロック22に分割後のデバイスDが個別に吸引保持される。
【0021】
このように構成された搬送装置10では、保持テーブル20上の複数のデバイスDのそれぞれに対して複数の吸引パッド12が位置付けられ、各吸引パッド12が各デバイスDに近づけられる。そして、厚みが大きなデバイスD(Da)から順に吸引パッド12が接触し、デバイスDの厚みに応じて側部15の蛇腹が畳まれる。これにより、複数のデバイスDの厚み差が吸収され、明らかに厚みが異なる全デバイスDを同時に吸引保持することが可能になっている。この場合、スプリング等を用いた収縮機構であっても、蛇腹構造と同様に厚み差を吸収することができるが、小型(例えば、5×5mm角以下)のデバイスDに対応した収縮機構を形成することが難しい。これに対し、本実施の形態の搬送装置10は、吸引パッド12の先端を蛇腹形状にするという簡易な構成で、小型のデバイスDにも対応させることが可能になっている。
【0022】
次に、図5を参照して、搬送装置による搬送動作について説明する。図5は、本実施の形態の搬送装置によるデバイス搬送の説明図である。なお、搬送装置によるデバイス搬送は、図5に示す一例に限定されず、適宜変更が可能である。また、ここでは、説明の便宜上、厚みが大きなデバイスを第1のデバイス、厚みの薄いデバイスを第2のデバイスとして説明する。
【0023】
図5Aに示すように、保持テーブル20上には、パッケージ基板Wを分割予定ラインL(図1参照)に沿って分割した個々のペレットPが載置されている。個々のペレットPには厚みの厚い第1のデバイスDa又は厚みの薄い第2のデバイスDbが配設されており、ペレットPによってデバイスDの上面高さが異なっている。搬送装置10が保持テーブル20の上方に移動されると、搬送プレート11の下面に配設された複数の吸引パッド12が、それぞれ保持テーブル20上の第1、第2のデバイスDa、Dbの真上に位置付けられる。このとき、保持テーブル20によるペレットPの吸引が停止されている。
【0024】
図5Bに示すように、搬送装置10が保持テーブル20に向けて下降されると、複数の吸引パッド12が第1、第2のデバイスDa、Dbに近づけられる。そして、厚みの厚い第1のデバイスDaの上面に吸引パッド12の先端が接触されて、吸引パッド12の吸引口17に第1のデバイスDaの上面だけが吸引保持される。この吸引パッド12が第1のデバイスDaの上面に接触した時点では、吸引パッド12の先端と第2のデバイスDbの上面とに十分な間隔が空いており、吸引パッド12の吸引口17に第2のデバイスDbの上面が引き寄せられることがない。
【0025】
図5Cに示すように、さらに搬送装置10が保持テーブル20に向けて下降されると、第1のデバイスDaを吸引保持した吸引パッド12の蛇腹が畳まれて、他の吸引パッド12が厚みの薄い第2のデバイスDbに近づけられる。そして、第2のデバイスDbの上面に他の吸引パッド12の先端が接触されて、吸引パッド12の吸引口17に第2のデバイスDbの上面が吸引保持される。このようにして、各吸引パッド12の蛇腹形状が第1、第2のデバイスDa、Dbの厚みに応じて収縮することで、全ての第1、第2のデバイスDa、Dbの上面が複数の吸引パッド12によって同時に吸引保持される。
【0026】
図5Dに示すように、複数の吸引パッド12で第1、第2のデバイスDa、Dbの上面が吸引保持されると、搬送装置10が上昇して保持テーブル20から全ての第1、第2のデバイスDa、Dbがピックアップされる。そして、搬送装置10が水平方向に移動して、搬送先となるトレイ(不図示)に向けて、第1、第2のデバイスDa、Dbが一括搬送される。よって、複数のデバイスDa、Dbの搬送時間が大幅に改善されてスループットが向上されている。また、個々の吸引パッド12の先端に蛇腹筒14を設けるという簡易な構成で、厚みが異なる第1、第2のデバイスDa、Dbの一括搬送を実現することができる。
【0027】
また、複数の吸引パッド12は、第1のデバイスDaと第2のデバイスDbの厚み差を吸収するだけでなく、セットアップ時の誤差を吸収することもできる。よって、吸引パッド12の収縮量に十分に余裕を持たせることで、セットアップ精度に誤差があったとしても、第1、第2のデバイスDa、Dbを適切にピックアップすることができる。このように、搬送装置10に高いセットアップ精度が求められないため、頻繁にセットアップを繰り返す必要がなく、セットアップ回数を減らすことが可能である。
【0028】
以上のように、本実施の形態の搬送装置10は、搬送プレート11をデバイスDに近づけると、デバイスDの上面に接触した吸引パッド12から順に蛇腹形状の側部15が縮み始めるため、全ての吸引パッド12にデバイスDの上面を吸引保持させることができる。このように、デバイスDの厚みが複数種類であっても、各吸引パッド12の蛇腹形状の側部15が縮むことでデバイスDの厚みの違いが吸収される。よって、複数の吸引パッド12で厚みの異なる全てのデバイスDを同時に吸引保持して一括搬送することができ、搬送時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0030】
例えば、上記した実施の形態において、搬送装置10が単一パッケージ基板Wで厚みの異なるデバイスDを同時に吸引保持する構成について説明したが、この構成に限定されない。搬送装置10は、複数のパッケージ基板Wで厚みの異なるデバイスDを同時に吸引保持する構成にしてもよい。この場合、搬送装置10には、複数のパッケージ基板Wを一度に搬送可能な搬送プレート11と、搬送プレート11の下面に複数のパッケージ基板Wの全デバイスDに対応した吸引パッド12とを設けるようにする。これにより、パッケージ基板W毎にデバイスDの厚みが異なっていても、複数のパッケージ基板Wの分割後の全デバイスDを一括搬送することができる。
【0031】
また、上記した実施の形態において、吸引パッド12への吸引力の供給を個別に制御できるように構成されてもよい。例えば、各吸引パッド12の吸引路のそれぞれに電磁弁を設けて、電磁弁によって個々の吸引パッド12への吸引力の供給と停止を切り替えるようにする。これにより、吸引パッド12の個数とデバイスDの個数が必ずしも一致していなくても、一部の吸引パッド12の吸引力を停止することで、複数のデバイスDを同時に保持することができる。また、電磁弁を設ける代わりに未使用の吸引パッド12の先端にキャップを取り付けるようにしてもよい。
【0032】
また、上記した実施の形態において、吸引パッド12への吸引力の供給をエリア別に制御できるように構成されてもよい。例えば、各吸引パッド12の吸引路をエリア別に分けて、エリア毎に吸引パッド12の吸引路を合流した共通路に電磁弁を設けるようにする。電磁弁によってエリア内の吸引パッド12への吸引力の供給と停止を切り替えることで、複数の吸引パッド12で吸引可能なエリアが可変される。これにより、搬送装置10で複数のエリアで複数のパッケージ基板WのデバイスDを搬送したり、1つのエリアで単一のパッケージ基板WのデバイスDを搬送したりすることができる。
【0033】
また、上記した実施の形態において、吸引パッド12が軸部13の先端に蛇腹筒14が設けられる構成にしたが、この構成に限定されない。吸引パッド12は、鉛直方向に伸縮可能な蛇腹形状の側部15を有していればよく、例えば、吸引パッド12が全長に亘って蛇腹形状の側部15で形成されていてもよいし、吸引パッド12の延在方向の基端側に蛇腹形状の側部15を有していてもよい。
【0034】
また、上記した実施の形態において、搬送装置10が保持テーブル20から複数のデバイスDをピックアップして一括搬送する構成にしたが、この構成に限定されない。搬送装置10はトレイから複数のデバイスDをピックアップして一括搬送する構成にしてもよい。
【0035】
また、上記した実施の形態において、搬送装置10は切削装置やレーザ加工装置等の加工装置に搭載されてもよいし、その他、分割後のデバイスDの搬送が必要な装置に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、デバイスの厚みが異なるパッケージ基板であっても、全てのデバイスを一括搬送することができるという効果を有し、特に、キャップ付きのLEDチップ、剥き出しのLEDチップが混在したパッケージ基板の分割後のデバイス搬送に有用である。
【符号の説明】
【0037】
10 搬送装置
11 搬送プレート
12 吸引パッド
15 吸引パッドの側部
16 吸引路
17 吸引パッドの吸引口
L 分割予定ライン
D デバイス
W パッケージ基板
図1
図2
図3
図4
図5