(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部を形成する工程では、異方性エッチングによる一連の工程で前記第1金属層の除去と前記絶縁層の掘り下げを行う請求項5乃至7の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
[配線基板の構造]
図1は、本実施の形態に係る配線基板を例示する断面図であり、
図1(a)は配線層と絶縁層が交互に複数積層された配線基板の一部を示した図、
図1(b)は
図1(a)のA部の部分拡大図である。
【0012】
図1(a)を参照するに、配線基板1は、絶縁層10と、配線層20と、絶縁層30と、配線層40と、保護絶縁層50とを有している。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、配線基板1の保護絶縁層50側を上側又は一方の側、絶縁層10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の保護絶縁層50側の面を上面又は一方の面、絶縁層10側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層10の上面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
絶縁層10は、例えば、多層配線の層間絶縁層として、ビルドアップ工法を用いて多層配線を形成することができる絶縁層である。絶縁層10としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた絶縁樹脂等を用いることができる。絶縁層10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた絶縁樹脂等を用いてもよい。熱硬化性の絶縁性樹脂からなる絶縁層10の厚さは、例えば、10〜1000μm程度とすることができる。
【0015】
又、絶縁層10の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の感光性の絶縁樹脂を用いることができる。感光性の絶縁樹脂からなる絶縁層10の厚さは、例えば、5〜10μm程度とすることができる。絶縁層10は感光性の絶縁樹脂を主成分とするが、必要に応じシリカやアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。
【0016】
絶縁層10は、上面10aと下面10bを備えている。下面10bは、下層の絶縁層及び下層の配線層を覆うように形成されている(図示せず)。又、絶縁層10は、配線層20と下層の配線層を電気的に接続するためのビア配線を備えている(図示せず)。
【0017】
絶縁層10は、一方の側に、凸部10xと、凹部10yが形成されている。 具体的には、絶縁層10の上面10aは、配線層20が形成される領域が凸部10xに、それ以外の領域が凹部10yに形成されている。すなわち、配線層20の外側(隣接する配線層20の間)に位置する(露出する)絶縁層10の上面10aは、他方の側(下面10b側)に向かって掘り下げられて凹部10yが形成されている。
【0018】
絶縁層10の上面10aにおいて、凸部10xの一方の側に位置する面を上端面10a−1、凹部10yの一方の側に位置する面を底面10a−2と称する。又、凸部10xを構成する側壁面及び凹部10yを構成する内壁面は、同一面から構成される。すなわち、凸部10xと凹部10yは、連続するように設けられている。凹部10yの底面10a−2は、凸部10xの上端面10a−1よりも他方の側(下面10b側)に低い位置にある。凸部10xの幅(凹部10y間に位置する絶縁層10の幅)W
1は、例えば、2〜5μm程度することができる。凹部10yの深さD
1は、例えば、0.5〜2μm程度とすることができる。
【0019】
絶縁層10の凸部10xの上端面10a−1には、配線層20が形成されている。配線層20は、金属膜21と、金属層24と、金属層25とを有している。配線層20は、微細配線層(高密度の配線パターンを備えた配線層)である。ここで、微細配線層とは、ライン/スペースが10μm/10μm以下の配線層を指す。配線層20のライン/スペースは、例えば、2μm/2μm〜5μm/5μm程度とすることができる。配線層20の厚さ(金属層25の下面から金属層25の上面までの総厚)は、例えば、1〜3μm程度とすることができる。
【0020】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μmと記載されていた場合、配線幅が10μmで隣り合う配線同士の間隔が10μmであることを表す。
【0021】
金属膜21は、上面21aと下面21bと側面21cとを備えている。金属膜21は、凸部10xの上端面10a−1の外周部を除く領域(外周部よりも内側の領域)に形成されている。具体的には、上面21aは、金属層24の下面24bの外周部を除く領域(外周部よりも内側の領域)と接している。また、下面21bは、凸部10xの上端面10a−1の外周部を除く領域(外周部よりも内側の領域)と接している。側面21cは、金属層25と接している。
【0022】
金属膜21は、金属層24よりも絶縁層10との密着性が高い金属により形成されている。金属膜21は、所謂、密着層である。金属層24の材料が銅である場合には、金属膜21の材料としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム等を用いることができる。金属膜21の厚さは、例えば、20〜100nm程度とすることができる。
【0023】
又、金属膜21の幅W
2は、凸部10xの幅W
1よりも狭く形成されている。具体的には、金属膜21の幅W
2は、例えば、凸部10xの幅W
1よりも0.2〜0.4μm程度狭く形成されている。言い換えれば、例えば、凸部10xの上端面10a−1の外周部の0.1〜0.2μm程度が、金属膜21の周囲に露出している。
【0024】
金属層24は、金属膜21の上面21aに形成されている。具体的には、金属層24は、金属膜22と金属膜23から構成されている。金属膜22は、下面の外周部が金属膜21の上面21aの外側に露出するように金属膜21上に形成されている。金属膜22は、金属膜23を形成するための所謂、シード層である。
【0025】
金属膜23は、金属膜22上に積層されている。金属膜22及び金属膜23の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。金属膜22の厚さは、例えば、100〜500nm程度とすることができる。金属膜23の厚さは、例えば、1〜6μm程度とすることができる。
【0026】
金属層24は、上面24aと下面24bと側面24cとを備えている。金属層24は、下面24bの外周部(金属膜22の下面の外周部)が金属膜21の上面21aの外側に露出するように金属膜21上に形成されている。又、金属層24の幅W
3は、凸部10xの上端面10a−1の幅W
1よりも広く形成されている。具体的には、金属層24の幅W
3は、例えば、凸部10xの上端面10a−1の幅W
1よりも0.1〜0.3μm程度幅広に形成されている。
【0027】
金属層25は、金属膜21の側面21c、並びに、金属層24の上面24a、側面24c、及び下面24bの外周部、を被覆するように形成されている。又、金属層25は、凸部10xの上端面10a−1と金属層24の下面24bの外周部とが対向する領域(空間)を充填するように形成されている。
【0028】
金属層25は、金属層24よりもイオンマイグレーションを発生させ難い金属により形成されている。金属層24の材料が銅である場合には、金属層25の材料としては、例えば、ニッケルリン(Ni−P)を用いることができる。金属層25の材料として、例えば、ニッケルタングステンホウ素(NiWB)やコバルトタングステンリン(CoWP)等を用いてもよい。金属層25の厚さは、例えば、20〜200nm程度とすることができる。
【0029】
絶縁層30は、絶縁層10上に、配線層20を被覆すると共に、凹部10yを充填するように形成されている。絶縁層30の材料としては、例えば、絶縁層10と同様のものを用いることができる。絶縁層10上に、絶縁層10と同一材料で絶縁層30を形成してもよいし、絶縁層10とは異なる材料で絶縁層30を形成してもよい。
【0030】
配線層20と絶縁層30は、絶縁層10上に交互に複数積層することができる。複数積層した場合、最上層の絶縁層30に配線層40が形成される。
【0031】
配線層40は、絶縁層30の一方の側に形成されており、必要に応じて、密着層及びシード層(図示なし)を介して配線層20と電気的に接続されている。配線層40は、絶縁層30を貫通し配線層20の上面を露出するビアホール30x内に充填されたビア配線、及び絶縁層30の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層40の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。配線層40を構成する配線パターンは、絶縁層30の上面から突出する金属ポスト又はパッドである。又、必要に応じて、絶縁層30の上面に金属ポスト又はパッド間を接続する引き回し配線パターンを含んでいてもよい。配線層40の絶縁層30の上面から突出量は、例えば、1〜10μm程度とすることができる。
【0032】
保護絶縁層50は、絶縁層30上に配線層40を被覆するように形成されている。保護絶縁層50の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする絶縁性の感光性樹脂を用いることができる。保護絶縁層50は感光性樹脂を主成分とするが、必要に応じシリカやアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。保護絶縁層50の厚さは、例えば、5〜30μm程度とすることができる。
【0033】
保護絶縁層50は、開口部50xを有し、開口部50xの底部には配線層40の一部が露出している。開口部50xの底部に露出する配線層40は、例えば、半導体チップ等と電気的に接続されるパッドとして機能する。又、配線層40を構成する配線パターンが金属ポストの場合、保護絶縁層50は、金属ポストの側面を覆うように形成してもよい。又、保護絶縁層50を形成しなくてもよい。
【0034】
なお、開口部50xの底部に露出する配線層40の上面(金属ポストの場合は上面のみ又は上面及び側面)に、表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、開口部50xの底部に露出する配線層40の上面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
【0035】
[配線基板の製造方法]
次に、本実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2〜
図4は、本実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、単品の配線基板を形成する工程を示すが、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程としてもよい。
【0036】
まず、
図2(a)に示す工程では、絶縁層10を準備し、絶縁層10の一方の面にスパッタ法や無電解めっき法等により金属膜21及び金属膜22を順次積層する。絶縁層10の材料や厚さ等は前述の通りである。
【0037】
金属膜21の材料としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム等を用いることができるが、ここではチタンを用いる例を示す。金属膜21の厚さは、例えば、20〜100nm程度とすることができる。金属膜22の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。金属膜22の厚さは、例えば、100〜500nm程度とすることができる。なお、金属膜21は、絶縁層10と金属層24との密着性を向上するために設ける密着層である。又、金属膜22は、金属膜23を形成するためのシード層である。
【0038】
次に、
図2(b)に示す工程では、金属膜22の上面に開口部300xを有するレジスト層300(ドライフィルムレジスト等)を形成する。そして、金属膜22を給電層に利用した電解めっき法により、開口部300x内に露出する金属膜22上に、銅等からなる金属膜23を形成する。金属膜23の厚さは、例えば、1〜6μm程度とすることができる。
【0039】
次に、
図2(c)に示す工程でレジスト層300を剥離液により除去し、
図2(d)に示す工程では、例えば、金属膜23をマスクとするウェットエッチングにより金属膜23に被覆されていない部分の金属膜22を除去する。金属膜22が銅からなる場合には、例えば、酸性の酸化性液体の水溶液により除去できる。
図2(d)に示す工程により、金属膜21の上面に、金属膜22及び金属膜23から構成される金属層24が選択的に形成される。
【0040】
次に、
図3(a)に示す工程では、金属層24の間から露出する金属膜21を除去する。更に金属膜21が除去されて露出した絶縁層10の上面10aを除去(掘り下げ)して金属膜21及び金属層24の積層体の周囲に凹部10yを形成する。
【0041】
言い換えれば、金属膜21が除去されて露出した絶縁層10の上面10aを除去(掘り下げ)することで金属膜21及び金属層24の積層体が形成された領域が突出する凸部10xを形成する。すなわち、金属膜21及び金属層24が形成されている絶縁層10の上面10aは、凸部10xとなり、それ以外の絶縁層10の上面10aは、凹部10yとなる。なお、絶縁層10の上面10aにおいて、10a−1は凸部10xの一方の側に位置する上端面、10a−2は凹部10yの一方の側に位置する底面を示している。
【0042】
チタンからなる金属膜21及び絶縁層10は、例えば、異方性エッチングによる一連の工程で除去することができる。異方性エッチングとしては、例えば、CF
4やSF
6等のガスを用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching; RIE)を用いることができる。
【0043】
次に、
図3(b)に示す工程では、金属膜21の外周側を除去して金属膜21の幅を金属層24の幅よりも狭くし、金属層24の下面24bの外周部を金属膜21の上面21aの外側に露出させる。又、絶縁層10の凸部10xの上端面10a−1の外周部を金属膜21の周囲に露出させる。金属膜21の側面21cは、金属層24の側面24c(金属膜22及び金属膜23の側面)及び絶縁層10の凹部10yの内壁面よりも中央部に向かって窪んだ位置にある。金属層24が銅からなる場合には、チタンからなる金属膜21は、例えば、アルカリ性の酸化性液体の水溶液を用いたウェットエッチングにより、金属層24に対して選択的に除去できる。
【0044】
次に、
図3(c)に示す工程では、絶縁層10に形成された凹部10yの底面側及び内壁面側を更に除去し、凹部10yを深くすると共に、凸部10xの幅を金属膜21の幅W
2よりも広く、かつ金属層24の幅W
3よりも狭くする。凹部10yは、例えば、等方性エッチングにより形成することができる。等方性エッチングとしては、例えば、O
2やN
2等のガスを用いたプラズマ処理を用いることができる。なお、プラズマ処理等の等方性エッチングにより、凹部10yの底面及び内壁面が粗化される。これにより、絶縁層10と後工程で形成される絶縁層30との密着性を向上できる。
【0045】
次に、
図3(d)に示す工程では、金属膜21の側面21c、並びに、金属層24(金属膜22及び金属膜23の積層体)の上面24a、側面24c、及び露出している下面24bの外周部、を被覆すると共に、凸部10xの上端面10a−1と金属層24の下面24bの外周部とが対向する領域(空間)を充填する金属層25を形成する。金属層25は、例えば、無電解めっき法で、ニッケルリン(Ni−P)によりを形成することができる。ここで、絶縁層10の凸部10xの幅が金属層24の幅よりも狭いため、無電解めっきを行う際に金属層25となる液体の金属が凸部10xの上端面10a−1と金属層24の下面24bの外周部(金属膜22の下面の外周部)とが対向する領域に流れ込み易くなり、この領域を容易に充填することができる。
【0046】
次に、
図4(a)に示す工程では、絶縁層10上に配線層20を被覆すると共に、凹部10yを充填する絶縁層30を形成する。絶縁層30の材料や厚さは前述の通りである。例えば、絶縁層30の材料として、液状又はペースト状の樹脂を用い、配線層20を被覆すると共に凹部10yを充填するように、絶縁層10上に液状又はペースト状の樹脂をスピンコート法等により塗布し、硬化させる。
【0047】
次に、
図4(b)に示す工程では、絶縁層30を露光及び現像又はレーザ加工により絶縁層30を貫通し配線層20の上面を露出するビアホール30xを形成する。そして、絶縁層10上に配線層40を形成する。配線層40は、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まず、スパッタ法や無電解めっき法により、絶縁層30の上面及びビアホール30xの内壁面及び底面を連続的に被覆する密着層及びシード層を形成する。密着層は金属膜21と、シード層は金属膜22と同様の材料を用いることができる。密着層やシード層の厚さは、例えば、金属膜21や金属膜22と同様である。
【0048】
次に、密着層及びシード層上に感光性レジストを塗布し、露光及び現像し、配線層40に対応する開口部を備えたレジスト層を形成する。次に、密着層及びシード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる電解めっき層を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分の密着層及びシード層をエッチングにより除去する。これにより、密着層及びシード層上に電解めっき層が積層された配線層40が形成される。
【0049】
次に、
図4(c)に示す工程では、絶縁層30の上面に、配線層40を被覆する保護絶縁層50を形成する。保護絶縁層50は、絶縁層30と同様にして絶縁性の感光性樹脂により形成することができる。次に、保護絶縁層50を露光及び現像して開口部50xを形成する。開口部50xの底部には配線層40の一部が露出する。開口部50xの底部に露出する配線層40の上面に、無電解めっき法やOSP処理により前述の表面処理層を形成してもよい。以上により、
図1に示す配線基板1が完成する。
【0050】
ここで、比較例を示しながら、配線基板1の奏する効果について説明する。
図5は、比較例に係る配線基板を例示する図である。
【0051】
図5(a)に示す比較例1に係る配線基板1Xでは、絶縁層10上に配線層20Aが形成されている。配線層20Aは、略同一幅の金属膜21Aと金属層24A(金属膜22A及び23A)が順次積層された構造である。配線基板1Xは、配線基板1の金属層25に相当する層は有していない。ここで、金属層24Aは、銅からなるとする。
【0052】
配線基板1Xにおいて、隣接する配線層20Aの一方をアノード(+)、他方をカソード(−)として電圧を印加して絶縁性試験を行う。その結果、金属層24Aを形成する銅がアノード(+)からイオンマイグレーションを起こし、隣接するカソード(−)においてデンドライトや金属銅20Mとして析出する。これにより、配線基板1Xの絶縁信頼性が低下する。
【0053】
図5(b)に示す比較例2に係る配線基板1Yでは、絶縁層10上に配線層20Bが形成されている。配線層20Bは、略同一幅の金属膜21Bと金属層24B(金属膜22B及び23B)が順次積層された積層体の上面及び側面を金属層25Bが被覆した構造である。又、隣接する配線層20B間には凹部10zが形成されている。ここで、金属層24Bは、銅からなるとする。又、金属層25Bは、金属層24Bよりもイオンマイグレーションを発生させ難い金属により形成されているとする。
【0054】
配線基板1Yにおいて、配線基板1Xと同様に、隣接する配線層20Bの一方をアノード(+)、他方をカソード(−)として電圧を印加して絶縁性試験を行う場合を考える。
【0055】
金属層24Bは、イオンマイグレーション防止のために金属層25Bで被覆されているが、配線層20Bの下方のB部において金属層25Bの被覆性が悪い。そのため、絶縁性試験を行うと、金属層24Bを形成する銅が、絶縁層10と絶縁層30との界面に沿ってアノード(+)からイオンマイグレーションを起こす(
図5(b)の矢印C)。これにより、配線基板1Yの絶縁信頼性が低下する。
【0056】
このように、配線基板1Xや1Yでは、イオンマイグレーションに対する対策が十分ではない。
【0057】
これに対して、配線基板1では、凸部10xの幅W
1よりも金属膜21の幅W
2の方が狭く、金属層24の幅W
3が凸部10xの幅W
1及び金属膜21の幅W
2よりも広い。そのため、イオンマイグレーション防止のための金属層25が、マイグレーションを起こしやすい金属からなる金属層24の下面に回り込んで被覆することができる。又、金属層25は凸部10xの上端面10a−1の外周部にも形成されるため、凸部10xの縁辺となる絶縁層10と絶縁層30との界面が金属層25で被覆される。
【0058】
これらにより、絶縁層10と絶縁層30との界面においてイオンマイグレーションを起こすことを防止でき、すなわち、デンドライトや金属銅の析出を防止でき、絶縁信頼性の低下を抑制可能な配線基板1を実現できる。特に、配線層20の高密度化を行う際(ライン/スペースが10μm/10μm以下の配線層20を形成する場合)に有効である。
【0059】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。