(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563410
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】o−キシロールおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物に酸化する触媒系
(51)【国際特許分類】
B01J 35/02 20060101AFI20190808BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20190808BHJP
B01J 27/198 20060101ALI20190808BHJP
C07D 307/89 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
B01J35/02 P
B01J23/22 Z
B01J27/198 Z
C07D307/89 C
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-552559(P2016-552559)
(86)(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公表番号】特表2017-512127(P2017-512127A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2015053267
(87)【国際公開番号】WO2015121483
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】14155332.1
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ニコ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ガレアノ ヌネス,ディアナ,カロリナ
(72)【発明者】
【氏名】クレマー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】チュールケ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】アルマン,ハンス−マルティン
【審査官】
壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−089726(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0018550(US,A1)
【文献】
特表2013−539407(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/014154(WO,A1)
【文献】
U-A SCHUBERT; ANDERLE F; SPENGLER J; ET AL,POSSIBLE EFFECTS OF SITE ISOLATION IN ANTIMONY OXIDE-MODIFIED VANADIA/TITANIA CATALYSTS FOR SELECTIVE OXIDATION OF O-XYLENE,TOPICS IN CATALYSIS,2001年 6月 1日,PAGE(S):195-200,URL,http://dx.doi.org/10.1023/A:1016693514135
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C07D307/00−307/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
o−キシレンおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物に酸化する触媒系であって、反応管内に連続して配置された、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、10%〜80質量%が200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモン、および少なくとも酸化バナジウムと二酸化チタンとを使用して焼成を介して製造される複数の触媒領域を含む、触媒系。
【請求項2】
少なくとも50質量%の方安鉱含有量を有する三酸化アンチモンが使用される、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記方安鉱一次結晶子が二峰性の粒径分布を有する、請求項1または2に記載の触媒系。
【請求項4】
前記方安鉱一次結晶子の10%〜80質量%が、200nm未満の一次結晶子径および100nm未満の中央一次結晶子径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項5】
前記方安鉱一次結晶子の10%〜50質量%が、200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項6】
前記方安鉱一次結晶子の10%〜50質量%が200nm未満の一次結晶子径および100nm未満の中央一次結晶子径を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項7】
o−キシレンおよび/またはナフタレンのフタル酸無水物への気相酸化反応であって、
少なくともo−キシレンおよび/またはナフタレンと分子状酸素とを含むガス流に、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、10%〜80質量%が200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモン、および少なくとも酸化バナジウムと二酸化チタンとを使用して焼成を介して製造された触媒を通過させる、気相酸化方法。
【請求項8】
o−キシレンおよび/またはナフタレンのフタル酸無水物への気相酸化方法であって、少なくともo−キシレンおよび/またはナフタレンおよび分子状酸素を含むガス流に、反応管内に連続して配置された、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、10%〜80質量%が200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモン、および少なくとも酸化バナジウムと二酸化チタンとを使用して焼成を介して製造された複数の触媒領域を含む触媒系を通過させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、o−キシレンおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物(PA)に酸化する触媒系であって、反応管内に連続して配置された複数の触媒領域を含み、顕著な割合で方安鉱を含みかつ一次結晶子の一部が200nm未満の粒径を有する三酸化アンチモンを使用して製造される、触媒系に関する。さらに、本発明は、少なくとも1種の炭化水素および分子状酸素を含むガス流に、反応管内に連続して配置された複数の触媒領域を含み、顕著な割合で方安鉱を含みかつ一次結晶子の一部が200nm未満の粒径を有する三酸化アンチモンを使用して製造された触媒系を通過させる、気相酸化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定層反応器中でベンゼン、キシレン、ナフタレン、トルエン、またはデュレンなどの炭化水素の接触気相酸化を行うことにより、多数のカルボン酸および/またはカルボン酸無水物が工業的に製造されている。このようにして、例えば、安息香酸、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、またはピロメリト酸無水物を得ることが可能である。一般に、酸素含有ガスと酸化される出発物質との混合物に、触媒層が設けられた管を通過させる。温度調節のため、管は熱搬送媒体、例えば溶融塩で囲まれている。
【0003】
これらの酸化反応に有用な触媒は、触媒活性材料がステアタイトなどの不活性な担体材料上にシェル状に塗布された、いわゆる被覆触媒であることがわかっている。一般に、これらの触媒は、基本的に均一な化学組成の、シェル状に塗布された活性材料を有する。また、2種以上の異なる活性材料を、順に担体に塗布することも可能である。その場合、二層シェルまたは多層シェル触媒について言及される(例えば、DE19839001A1を参照)。
【0004】
これらの被覆触媒の触媒活性材料に使用される触媒活性成分は、一般に、二酸化チタンおよび五酸化バナジウムである。また、酸化セシウム、酸化リン、および酸化アンチモンが含まれる、助触媒として触媒の活性および選択性に影響を与える他の多数の酸化物化合物が、触媒活性材料中に少量存在してもよい。
【0005】
特定のV
2O
5/Sb
2O
3比が達成され、三酸化アンチモンが規定の中央粒径を有する場合、EP1636161によれば、特に高いPA収率を有する触媒を得ることができる。
【0006】
この場合、酸化アンチモンが存在するとPA選択性が高くなる。その理由は、バナジウム中心の孤立であると考えられる。触媒の活性材料に使用される酸化アンチモンは、異なるアンチモン(III)、アンチモン(IV)、および/またはアンチモン(V)化合物を含んでもよく、通常、三酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンが使用される。EP522871には五酸化アンチモンの使用が記載され、US2009/306409およびEP1636161には三酸化アンチモンの使用が開示されている。
【0007】
四酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンと比較して、三酸化アンチモンは二酸化チタン上で広がりやすい性質を持ち、触媒上での著しく良い分布が達成される。一般的には、使用される三酸化アンチモンは、単相の方安鉱である(Schubert,U.−A.ら、Topics in Catalysis、2001、15(2−4)巻、195〜200ページ参照)。立方晶系の方安鉱に加えて、三酸化アンチモンにはバレンチン鉱と呼ばれる斜方晶系の多形も存在する(Golunski,S.E.ら、Appl.Catal.、1989、48巻、123〜135ページ)。
【0008】
高い選択性と同時に最大の転化率を有する気相酸化触媒が常に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE19839001A1
【特許文献2】EP1636161
【特許文献3】EP522871
【特許文献4】US2009/306409
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Schubert,U.−A.ら、Topics in Catalysis、2001、15(2−4)巻、195〜200ページ
【非特許文献2】Golunski,S.E.ら、Appl.Catal.、1989、48巻、123〜135ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、低い塩浴温度で、低いo−キシレンおよびフタリド含有量と同時に高いフタル酸無水物収率を可能にする、o−キシレンおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物に酸化する触媒を開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、o−キシレンおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物に酸化する触媒系であって、反応管内に連続して配置された複数の触媒領域を含み、顕著な割合で方安鉱を含みかつ一次結晶子の一部が200nm未満の粒径を有する三酸化アンチモンを使用して製造される、触媒系によって達成される。
【0013】
したがって、本発明は、o−キシレンおよび/またはナフタレンをフタル酸無水物に酸化する触媒系であって、反応管内に連続して配置された複数の触媒領域を含み、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、10%〜80質量%の、200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモンを使用して製造される、触媒系を提供する。
【0014】
本発明において使用する、前述の性質を持つ三酸化アンチモンを、1つまたは複数の触媒領域の製造に使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、触媒系は、3つ、4つ、または5つの領域を有し、少なくとも1つの領域は、前述の性質を持つ三酸化アンチモンを使用して製造されている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明の触媒系の製造に使用される三酸化アンチモンは、少なくとも50質量%の方安鉱含有量を有する。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明の触媒系の製造に使用される三酸化アンチモン中の方安鉱一次結晶子は、二峰性の粒径分布を有する。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の触媒系の製造に使用される三酸化アンチモン中の方安鉱一次結晶子の10〜80質量%は、200nm未満の一次結晶子径および100nm未満、最も好ましくは50nm未満の中央一次結晶子径を有する。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明の触媒系の製造に使用される三酸化アンチモン中の方安鉱一次結晶子の10〜50質量%は、200nm未満の一次結晶子径および150nm未満の中央一次結晶子径を有する。
【0019】
本発明の特に非常に好ましい実施形態では、本発明の触媒系の製造に使用される三酸化アンチモン中の方安鉱一次結晶子の10〜50質量%は、200nm未満の一次結晶子径および100nm未満、特に50nm未満の中央一次結晶子径を有する。
【0020】
本発明の触媒系は、例えば、適した上流および/または下流層、および中間領域と共に、高いホットスポット温度を回避するためにも使用できる。ここで、上流および/または下流層および中間領域は、一般に、触媒不活性または活性の少ない材料から成ってもよい。
【0021】
一般に、本発明の触媒は、触媒活性材料が不活性な担体材料にシェル状に塗布された、いわゆる被覆触媒である。
【0022】
使用される不活性な担体材料は、芳香族炭化水素をアルデヒド、カルボン酸、および/またはカルボン酸無水物に酸化する被覆触媒の製造において好適に使用されるような、実質的に全ての従来技術の担体材料であってよく、例えば、石英(SiO
2)、磁器、酸化マグネシウム、二酸化スズ、炭化ケイ素、ルチル、アルミナ(Al
2O
3)、ケイ酸アルミニウム、ステアタイト(ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸セリウムまたはこれらの担体材料の混合物である。触媒担体は、例えば、球状、リング状、タブレット状、らせん状、管状、押出物、またはチップ状の形態で使用することができる。これらの触媒担体の寸法は、芳香族炭化水素の気相反応用被覆触媒の製造に通常使用される触媒担体の寸法に対応する。ステアタイトを、直径3〜6mmの球状、または外径5〜9mm、長さ3〜8mm、壁厚1〜2mmのリング状の形態で使用することが好まれる。
【0023】
本発明の触媒は触媒活性材料を含む。この触媒活性材料は、三酸化アンチモンに加えて、少なくとも酸化バナジウムと二酸化チタンも含み、1層または複数層のシェルとして担体材料に塗布することができる。異なるシェルの組成は異なってもよい。
【0024】
好ましくは、触媒活性材料は、触媒活性材料の総量に対して、V
2O
5換算で1〜40質量%の酸化バナジウムと、TiO
2換算で60〜99質量%の二酸化チタンとを含む。好ましい実施形態では、触媒活性材料は、Cs換算で最大1質量%のセシウム化合物と、P換算で最大1質量%のリン化合物と、Sb
2O
3換算で最大10質量%の酸化アンチモンとをさらに含んでもよい。触媒活性材料の組成における全ての数字は、その焼成された状態、例えば触媒を450℃で1時間焼成した後の状態に基づく。
【0025】
一般的には、アナターゼ変態の二酸化チタンが触媒活性材料に使用される。二酸化チタンは、好ましくは15〜60m
2/g、特に15〜45m
2/g、より好ましくは13〜28m
2/gのBET表面積を有する。使用される二酸化チタンは、1種の二酸化チタンまたは複数種の二酸化チタンの混合物から成ってもよい。後者の場合、BET表面積の値は、個々の二酸化チタンの寄与の加重平均として求められる。使用される二酸化チタンは、例えば、5〜15m
2/gのBET表面積を有するTiO
2と15〜50m
2/gのBET表面積を有するTiO
2との混合物から成ることが好適である。
【0026】
適したバナジウム源は、特に五酸化バナジウムまたはメタバナジン酸アンモニウムである。適したアンチモン源は種々の三酸化アンチモンであり、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有する三酸化アンチモンが、上述のように、本発明において使用される。有用なリン源には、特に、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸アンモニウムまたはリン酸エステル、特にリン酸二水素アンモニウムが含まれる。有用なセシウム源には、酸化物もしくは水酸化物、または熱的に酸化物に変換可能な、カルボン酸塩、特に酢酸塩、マロン酸塩もしくはシュウ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、または硝酸塩などの塩が含まれる。
【0027】
セシウムおよびリンの任意の添加と同様に、例えばその活性を低下または上昇させることにより、助触媒として触媒の活性および選択性に影響を与える他の多数の酸化物化合物が触媒活性材料中に少量存在してもよい。このような助触媒の例として、アルカリ金属、また、より詳細には(既に述べたセシウムを除いて)、通常酸化物または水酸化物の形態で使用されるリチウム、カリウム、およびルビジウムが挙げられ、また、酸化タリウム(I)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化スズ、酸化銀、酸化銅、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ヒ素、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、および酸化セリウムが挙げられる。
【0028】
また、上述の助触媒の中でも、有用な添加剤には、好ましくは触媒活性材料に対して0.01〜0.50質量%の量で、ニオブおよびタングステンの酸化物も含まれる。
【0029】
被覆触媒のシェルは、任意に上述の助触媒元素源を含むTiO
2およびV
2O
5の懸濁液を、流動化した担体にスプレー塗布することにより適宜塗布される。被覆する前に、懸濁液を、好ましくは十分に長い時間、例えば2〜30時間、特に12〜25時間撹拌し、懸濁物の凝集体をバラバラにして均一な懸濁液を得る。懸濁液は、一般的には20〜50質量%の固形分を含む。懸濁媒体は一般に水性であり、例えば水そのもの、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムアミドなどの水混和性有機溶媒との水性混合物である。
【0030】
一般に、懸濁液には有機バインダー、好ましくはアクリル酸/マレイン酸、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/アクリレート、スチレン/アクリレート、および酢酸ビニル/エチレンコポリマーが、好適には水分散液の形態で加えられる。バインダーは、例えば35〜65質量%の固形分を含む水分散液として市販されている。使用されるこのようなバインダー分散液の量は、懸濁液の質量に対して一般に2〜45質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは7〜20質量%である。
【0031】
担体は、例えば流動層装置において、上昇ガス流、特に空気で流動化される。装置は、通常、埋設した管を通して流動化ガスが底部からまたは頂部から導入される、円錐形または球形の容器から成る。懸濁液は、ノズルを介して上から、横に、または下から流動層中に噴霧される。好適には、中心にまたは埋設した管の周りに同心円状に配置された上昇管が使用される。上昇管内のガス速度は速く、これが担体粒子を上方へ輸送する。外輪内では、ガス速度は流動化速度よりも少しだけ速い。これにより、粒子は垂直に円を描くように動かされる。適した流動層装置は、例えばDE−A 4006935に記載されている。
【0032】
触媒活性材料で触媒担体を被覆する際、20℃〜500℃の被覆温度が一般に採用され、被覆は大気圧または減圧下で行うことができる。一般に、被覆は0℃〜200℃、好ましくは20〜150℃、特に60〜120℃で行う。
【0033】
触媒活性材料のシェルの厚さは、一般に0.02〜0.2mm、好ましくは0.05〜0.15mmである。触媒中の活性材料含有量は、一般的には5〜25質量%、通常は7〜15質量%である。
【0034】
このようにして得られたプレ触媒を200℃超〜500℃の温度で熱処理すると、塗布されたシェルから熱分解および/または燃焼によりバインダーが放出される。気相酸化反応器内でin situで熱処理を行うことが好まれる。
【0035】
さらに、本発明は、少なくとも1種の炭化水素と分子状酸素とを含むガス流に、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、その10〜80質量%が200nm未満の一次結晶子径および150nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモンを使用して製造された触媒を通過させる、気相酸化方法を提供する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、o−キシレンおよび/またはナフタレンのフタル酸無水物への気相酸化方法であって、少なくともo−キシレンおよび/またはナフタレンおよび分子状酸素を含むガス流に、反応管内に連続して配置された複数の触媒領域を含み、少なくとも20質量%の方安鉱含有量を有し、方安鉱一次結晶子が多峰性の粒径分布を有し、その10〜80質量%が200nm未満の一次結晶子径および150nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満の中央一次結晶子径を有する三酸化アンチモンを使用して製造された触媒系を通過させる、方法である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0037】
三酸化アンチモンの方安鉱含有量における一次結晶子径の決定:
一次結晶子径は、3つの空間方向で平均した一次結晶子の最大寸法を意味するものと理解される。決定は粉末X線回折法により行った。このために、三酸化アンチモン粉末を、Bruker「D8 Advance」粉末X線回折計で分析した。測定パラメータは以下の通りとした。
【0038】
【表1】
【0039】
Topas 4.2ソフトウェア(TOPAS 4.2 User Manual、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe)によって得られた粉末ディフラクトグラムのリートベルト解析において、結晶性の方安鉱相を2度挿入した。解析開始時に、初期値として異なる一次結晶子径を設定した(例えば一次結晶子径200nmの方安鉱と一次結晶子径10nmの方安鉱)。リートベルト解析の収束後、多峰性の一次結晶子径分布の場合には、数個の画分および対応する中央一次結晶子径がわかり、総方安鉱含有量におけるそれらの割合を定量的に読み取ることができる。非多峰性の分布の場合には、方安鉱相は収束して誤差の範囲で同一の一次結晶子径を与える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、粉末X線ディフラクトグラムにおける計算および測定した2θ=27.7°の方安鉱ピーク、および40nmおよび200nm超の一次結晶子径についてシミュレートした値の一例を示す。
【0041】
四領域触媒系の製造
触媒領域CZ1:
炭酸セシウム2.94g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)388.67g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)166.57g、五酸化バナジウム43.47g、および三酸化アンチモン(実施例ごとに異なる種類の三酸化アンチモン)11.13gを、脱塩水1587.96gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー93.1gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液820gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450℃で1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は9.1質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.1質量%、Sb
2O
31.8質量%、Cs0.38質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0042】
触媒領域CZ2:
炭酸セシウム2.40g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)468.64g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)76.32g、五酸化バナジウム48.67g、および三酸化アンチモン(実施例ごとに異なる種類の三酸化アンチモン)16.69gを、脱塩水1587.96gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー93.1gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液765gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450℃で1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は8.5質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.95質量%、Sb
2O
32.7質量%、Cs0.31質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0043】
触媒領域CZ3:
炭酸セシウム0.77g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)414.96g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)138.32g、五酸化バナジウム43.47g、および三酸化アンチモン(実施例ごとに異なる種類の三酸化アンチモン)14.84gを、脱塩水1587.96gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー88gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液775gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450°Cで1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は8.5質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.1質量%、Sb
2O
32.4質量%、Cs0.09質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0044】
触媒領域CZ4:
リン酸水素アンモニウム8.04g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)387.05g、二酸化チタン(Fuji TA 100CT、アナターゼ、BET表面積27m
2/g)96.76g、および五酸化バナジウム126.12gを、脱塩水1582.03gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー93.1gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液820gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450°Cで1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は9.1質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
520質量%、P0.35質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0045】
o−キシレンのフタル酸無水物への触媒酸化を、塩浴冷却した管内径25mm、長さ350cmの管状反応器内で行った。反応器入口から反応器出口へ向かって、CZ1を130cm、CZ2を70cm、CZ3を60cm、CZ4を60cm導入した。温度調節のため、管状反応器を溶融塩で囲んだ。張力要素が取り付けられた外径4mmのサーモウェルを触媒温度測定に役立てた。30〜100g
o−xylene/m
3(標準温度と標準気圧)
airの99〜99.4質量%o−キシレンを充填した4.0m
3(標準温度と標準気圧)/hの空気流に、管状反応器を通過させた。
【実施例1】
【0046】
(本発明)
CZ1、CZ2、およびCZ3には、方安鉱99質量%およびバレンチン鉱1質量%から成る、Gredmann、Taiwan(バッチ番号CAK111T2)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は、27質量%が200nm未満の一次結晶子径および35nmの中央一次結晶子径を有する、二峰性の粒径分布を特徴とする。
【0047】
【表2】
【実施例2】
【0048】
(本発明)
CZ1、CZ2、およびCZ3には、方安鉱78質量%およびバレンチン鉱22質量%から成る、Gredmann、Taiwan(バッチ番号B4K021T2)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は、14質量%が200nm未満の一次結晶子径および32nmの中央一次結晶子径を有する、二峰性の粒径分布を特徴とする。
【0049】
【表3】
【実施例3】
【0050】
(本発明)
CZ1、CZ2、およびCZ3には、方安鉱67質量%およびバレンチン鉱33質量%から成る、Gredmann、Taiwan(バッチ番号CBK101T2)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は、11質量%が200nm未満の一次結晶子径および27nmの中央一次結晶子径を有する、二峰性の粒径分布を特徴とする。
【0051】
【表4】
【実施例4】
【0052】
(本発明でない)
CZ1、CZ2、およびCZ3には、方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%から成る、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は二峰性の粒径分布を有さないが、156nmの中央一次結晶子径を有する。
【0053】
【表5】
【実施例5】
【0054】
(本発明でない)
CZ1、CZ2、およびCZ3には、方安鉱99質量%およびバレンチン鉱1質量%から成る、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K43228935)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は二峰性の粒径分布を有さないが、200nm超の中央一次結晶子径を有する。
【0055】
【表6】
【0056】
五領域触媒系の製造
触媒領域CZ1:
アンチモン酸バナジウムの製造:
最初に、サーモスタットを備えたジャケット付ガラス容器に脱塩水を5L充填し、方安鉱99質量%およびバレンチン鉱1質量%から成り、方安鉱一次結晶子は27質量%が200nm未満の一次結晶子径および35nmの中央一次結晶子径を有する二峰性の粒径分布を有する、Gredmann、Taiwan(バッチ番号CAK111T2)からの使用される三酸化アンチモン1566.1gを、90℃で18時間撹拌することにより、脱塩水中に懸濁させた。そして、五酸化バナジウム2446.9gおよびさらに1Lの脱塩水を加え、混合物を90℃で25時間撹拌した。その後、懸濁液を80℃に冷却し、噴霧乾燥により乾燥させた。入口温度は340℃、出口温度は120℃であった。こうして得られた噴霧粉末は、32質量%のバナジウム含有量および30質量%のアンチモン含有量を有していた。
【0057】
懸濁液の作製および被覆:
炭酸セシウム3.87g、二酸化チタン(Fuji TA 100CT、アナターゼ、BET表面積27m
2/g)349.69g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)188.29g、およびアンチモン酸バナジウム(バレンチン鉱を1質量%含むGredmann三酸化アンチモン(バッチ番号CAK111T2)から上述のように合成)76.07gを、脱塩水1583gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー85gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液750gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450°Cで1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は8.5質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.1質量%、Sb
2O
34.5質量%、Cs0.50質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0058】
触媒領域CZ2:
炭酸セシウム2.86g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)427.54g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)127.71g、五酸化バナジウム43.47g、および三酸化アンチモン(方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%を含む、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの材料)11.13gを、脱塩水1588gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー103gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液910gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450℃で1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は10質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.1質量%、Sb
2O
31.8質量%、Cs0.38質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0059】
触媒領域CZ3:
炭酸セシウム2.40g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)468.67g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)76.29g、五酸化バナジウム48.67g、および三酸化アンチモン(方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%を含む、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの材料)16.69gを、脱塩水1588gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー88gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液770gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450°Cで1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は8.5質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.95質量%、Sb
2O
32.7質量%、Cs0.31質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0060】
触媒領域CZ4:
炭酸セシウム0.77g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)414.96g、二酸化チタン(Fuji TA 100、アナターゼ、BET表面積7m
2/g)138.32g、五酸化バナジウム43.47g、および三酸化アンチモン(方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%を含む、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの材料)14.84gを、脱塩水1588gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー88gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液775gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450°Cで1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は8.5質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
57.1質量%、Sb
2O
32.4質量%、Cs0.09質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0061】
触媒領域CZ5:
リン酸水素アンモニウム8.04g、二酸化チタン(Fuji TA 100C、アナターゼ、BET表面積20m
2/g)387.05g、二酸化チタン(Fuji TA 100CT、アナターゼ、BET表面積27m
2/g)96.76g、および五酸化バナジウム126.12gを、脱塩水1582gに懸濁させ、18時間撹拌し、均一な分布を得た。この懸濁液に、酢酸ビニルとラウリン酸ビニルとのコポリマーから成る有機バインダー93gを、50質量%水分散液の形態で加えた。流動層装置において、この懸濁液820gを、7mm×7mm×4mmの寸法を有するリング状のステアタイト(ケイ酸マグネシウム)2kgに噴霧し、乾燥させた。この触媒を450℃で1時間焼成した後、ステアタイトリングに塗布された活性材料は9.1質量%であった。分析した活性材料の組成は、V
2O
520質量%、P0.35質量%、残りがTiO
2から成るものであった。
【0062】
o−キシレンのフタル酸無水物への触媒酸化を、塩浴冷却した管内径25mm、長さ350cmの管状反応器内で行った。反応器入口から反応器出口へ向かって、CZ1を80cm、CZ2を60cm、CZ3を70cm、CZ4を50cm、CZ5を60cm導入した。温度調節のため、管状反応器を溶融塩で囲んだ。張力要素が取り付けられた外径4mmのサーモウェルを触媒温度測定に役立てた。30〜100g
o−xylene/m
3(標準温度と標準気圧)
airの99〜99.4質量%o−キシレンを充填した4.0m
3(標準温度と標準気圧)/hの空気流に、管状反応器を通過させた。
【実施例6】
【0063】
(本発明)
CZ1のアンチモン酸バナジウム合成に、方安鉱99質量%およびバレンチン鉱1質量%から成る、Gredmann、Taiwan(バッチ番号CAK111T2)からの三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は、27質量%が200nm未満の一次結晶子径および35nmの中央一次結晶子径を有する、二峰性の粒径分布を特徴とする。CZ2、CZ3、およびCZ4には、方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%から成る、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの材料である三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は二峰性の粒径分布を有さないが、156nmの中央一次結晶子径を有する。
【0064】
【表7】
【実施例7】
【0065】
(本発明でない)
CZ1のアンチモン酸バナジウム合成に、方安鉱99質量%およびバレンチン鉱1質量%から成る、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K43228935)からの三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は二峰性の粒径分布を有さないが、200nm超の中央一次結晶子径を有する。CZ2、CZ3、およびCZ4に、方安鉱77質量%およびバレンチン鉱23質量%から成る、Merck KGaA、Germany(バッチ番号K40961235)からの三酸化アンチモンを使用した。これらの方安鉱一次結晶子は二峰性の粒径分布を有さないが、156nmの中央一次結晶子径を有する。
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】