(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準点が半導体デバイスの表面上に配置されており、前記基準点がまた、回転可能なシャフトに固定される磁場源の回転軸上にある、請求項1に記載の磁気角度感知システム。
前記回転角度が、前記ポインタと、前記Sx座標または前記Sy座標に沿った前記方向との間の角度に任意の定数を加えたものである、請求項13に記載の角度センサ検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において説明される例は、特に永久磁石が回転可能シャフトに取り付けられており、磁場センサが回転軸上に磁石に隣接して配置されている磁気角度センサに言及する。磁気角度センサは、軸方向に向いた回転可能磁場を検出し、センサは、磁場からシャフトの回転位置を推測する。磁石は直径方向に均一に磁化され得るが、それはまた、例えば弓形に不均一に磁化され得、または磁石の半分が軸方向に磁化され得、磁石の残りの半分が反対方向に磁化され得る。磁石はまた、一体に接着されたいくつかの独立部分を含んでもよく、またはそれは他の方法で組み立てられてもよい。
【0011】
図1は例示的な配置を示す。シャフト101が回転軸106の周りに回転可能に配置されている。磁石102、例えば、永久磁石がシャフト101に接続されている、例えば、固定されている。磁石102は直径方向の磁化103を示す。いくつかの磁場センサ104を含むシリコンダイ105が磁石102の近傍に、本例では磁石102の下方に配置されている。各磁場センサは感知要素と呼ばれる場合もある。
【0012】
z成分は、シャフトの回転軸と平行な(またはシャフト自体に沿った)成分と呼ばれ、x−y平面はシャフトの回転軸と垂直である。x−y−z成分はデカルト座標系にわたる。
【0013】
したがって、回転軸106はz軸と平行であり、磁場センサ104はx−y平面内に配置されている。軸方向磁場センサ104は、特に磁石102によって放射される磁場のz成分に応答する。
【0014】
様々なセンサ、例えば異方性磁気抵抗器(AMR)、巨大磁気抵抗器(GMR)、トンネル磁気抵抗器(TMR)、ホール効果デバイス(例えば、ホールプレート、垂直ホール効果デバイス)またはMAG−FET(例えば、分割ドレインMAG−FET)を用いることができる。
【0015】
本明細書において言及される例は、特に磁場のz成分を検出する磁場センサに言及する。したがって、磁場センサは、決定されるべき磁場に感応するx−y平面を有するホールプレート(Hホールとも呼ばれる)および/またはMAG−FETを含んでもよい。
【0016】
単一のチップ上の4つのホールデバイスを用いる例示的な非接触角度測定デバイスが、[(非特許文献1)]に記載されている。
【0017】
軸方向角度センサの例示的なレイアウトが、[(非特許文献2)]に開示されている。軸方向C4角度センサは、回転軸を中心として半径R0を有するホール円に均等に離間された4つのホールプレートで構成されている。軸方向C8角度センサは、互いに対して45°±回転された2つの軸方向C4セルからなる。軸方向C8角度センサの出力は両方の軸方向C4セルの出力の平均である。軸方向C8角度センサは軸方向C4角度センサよりも正確であり、より一般的な磁石形状を用いて機能する。
【0018】
しかし、このような軸方向C8角度センサは、センサが多数の8つの感知要素を必要とし、これらの感知要素の全てが、オフセット誤差を相殺するためにスピニング電流法に従って周期的に交換される給電線および信号線を用いて給電およびタッピングされる必要があるという問題に直面する。これはかなりの量のMOSスイッチを必要とし、相当量のチップ空間を生じさせる。これにより、寄生キャパシタンス、インダクタンスおよび抵抗が助長され、その結果、相当量の追加の電力が消費される。
【0019】
本明細書において提供される実施例は、より効率的なアプローチ、具体的には、必要な感知要素(すなわち、磁場センサ)をより少数にしつつ、回転角度を高精度で決定するためのレイアウトおよびアルゴリズムを提供する。
【0020】
有利には、本明細書において提示される解決策は外乱磁場に対して堅牢である。回転角度は、様々な場所における磁場の差から導出することができ、これらの差は、特に均一な外乱を低減または相殺し得る。
【0021】
一実施形態によれば、磁場のz成分(これは、感知要素を含むチップの主表面と垂直である成分である)を感知するための3つの磁気感知デバイスが、回転軸と(実質的に)同軸の半径R0の読み取り円上に配置または載置されている。隣り合う磁気感知デバイスの試験点は120°だけ離れて離間されている。
【0022】
各磁気感知デバイスは、少なくとも1つの磁気感知要素を含み得る。磁場のz成分を決定する磁気感知デバイスは、磁気感知システム(「システム」)と呼ばれる。
【0023】
磁気感知システムが、例えば、全て読み取り円上に配置されており、(実質的に)120°だけ互いに分離されている、3つの磁気感知デバイスを用いることが利点である。3つの磁気感知デバイスを用いて、それぞれの磁気感知デバイスによって決定される、測定されたBz磁場からシャフトの回転角度を再現することができる(後述のアルゴリズムを参照)。
【0024】
例示的なシナリオでは、3つの磁気感知デバイスは平行な主軸を有する。すなわち、磁気感知デバイスは、x−y平面内において、z軸の周りに回転されていない同じ配向を有する。電流がシリコン結晶の<100>方向に流れる場合、ホールプレートは著しく低いオフセットを与えるため、これは有利である。
【0025】
図は、十字形ホールプレートを部分的に示す。しかし、例えば、中間接点または終端接点を有する八角形、円盤または正方形のような任意の他の形状も適切に機能する。十字形ホールプレートは、2つの交差した方向の一方に沿った電流の流れの方向を指示する。
【0026】
図2は、回転軸z106の周りに半径R0において同軸に配置された、いわゆる読み取り円204上に配置された3つの磁気感知デバイス201〜203の例示的な配置を示す。磁気感知デバイス201〜203は、x−y平面内に横たわる表面を有するシリコンダイ205上に載置されている。x軸、y軸およびz軸はデカルト座標系にわたる。
【0027】
図2に係る例では、磁気感知デバイス201〜203の各々は、各磁気感知デバイスの可能な電流の流れの方向を指示する2つの方向206および207を有する十字として描かれた単一の磁気感知要素を含む。磁気感知デバイス201〜203の2つの間には、回転軸zから見て120°の角度が存在する。したがって、磁気感知デバイス201〜203は読み取り円204上に等しく分布している。磁気感知デバイス201〜203の各々は磁場成分Bz(磁場成分のz方向)を感知することが可能である。
【0028】
シリコンダイ205は
図1のシリコンダイ105に対応し得る。したがって、シリコンダイ205は磁石102の近傍に(例えば、その下方に)配置されていてもよく、それにより、磁気感知デバイス201〜203によって供給される信号を介して軸101の回転(すなわち、位置または回転角度)を決定することができる。シリコンダイ205は、好ましくは(100)シリコンである。
【0029】
図3は、回転軸z106の周りに半径R0において同軸に配置された読み取り円204上に配置された3つの磁気感知デバイス301〜303を含む代替的な配置を示す。磁気感知デバイス301〜303はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス301〜303は読み取り円204上に等しく分布している。
【0030】
磁気感知デバイス301〜303の各々は、相対配向を指示するための矩形ホールプレートを含む。この点において、磁気感知デバイス301は磁気感知デバイス302に対して120°だけ回転されており、磁気感知デバイス303は磁気感知デバイス302に対して240°だけ回転されている。
【0031】
磁気感知デバイスは、矩形、正方形、十字形、円形、八角形またはクローバーの葉形の形状を有し得ることに留意されたい。また、さらなる均等な形状も用いられ得る。このような均等な形状には、等角写像を介して達することができる。均等な形状は、同じ電気特性(特に一次近似に関する、すなわち、ピエゾ効果または温度依存電圧効果を有しない特性)を有する。
【0032】
磁気感知デバイスは、具体的には、4つの電気接点を有するホールプレートであって、2つの電気接点の第1のセットが第1の直線上に配置されており、2つの電気接点の第2のセットが第2の直線上に配置されており、第1の直線と第2の直線とが互いに垂直である、ホールプレートであってもよい。したがって、電流を第1の直線に印加することができ、第2の直線にわたって出力電圧をタッピングすることができる。
【0033】
チップ(すなわち、シリコンダイ205)のサイズは数ミリメートルのオーダーのものであり得、半径R0は、例えば、0.5mm〜2mmの範囲であり得ることに留意されたい。半径R0の好ましいサイズは0.8mmであり得る。(各磁気感知デバイスの部分である)磁場感知要素の各々は、半径R0の1/10であり得る20μm〜200μmの範囲のサイズを有し得る。磁気感知要素の好ましいサイズは80μmであり得る。
【0034】
磁気感知要素が、120°の整数倍において等距離を隔てて、かつ(実質的に)同じ読み取り半径において磁場をサンプリングすることを確実にするために、それぞれの磁気感知要素を規定の対称またはパターンに載置することが有利である。
【0035】
いくつかの実施形態では、単一の磁気感知要素のみの代わりに、2つ以上の(特に4つの)磁気感知要素、例えば、ホールプレートの配列が配置されていてもよい。この場合、各磁気感知デバイスは少なくとも2つの磁気感知要素を含み得る。
【0036】
磁気感知デバイスの磁気感知要素、すなわち、それらの入力およびそれらの出力を電気的に並列に接続し、それにより、四つ組(すなわち、磁気感知デバイスごとの4つの磁気感知要素)の入力および出力抵抗が、単一の磁気感知要素を有する磁気感知デバイスの入力および出力抵抗の4分の1に減少するようにすることが1つの選択肢である。したがって、四つ組の4つの磁気感知要素における電流の流れの方向は、方向ψ0、ψ0+90°、ψ0+180°、ψ0+270°(任意の角度ψ0を有する)に沿っており、四つ組のオフセット(=ゼロ点)誤差は、平均すると、磁気感知デバイスごとに単一の磁気感知要素のみを用いることから生じるオフセット誤差よりも小さい。
【0037】
図4は、読み取り円204上に配置された3つの磁気感知デバイス401〜403を含む代替的な配置を示す。磁気感知デバイス401〜403はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス401〜403の重心は読み取り円204上に等しく分布している。磁気感知デバイス401は磁気感知デバイス402に対して120°だけ回転されており、磁気感知デバイス403は磁気感知デバイス402に対して240°だけ回転されている。
【0038】
磁気感知デバイス401〜403の各々は4つの磁気感知要素を含む。例えば、磁気感知デバイス401は、合成重心が読み取り円204上にあるように配置された磁気感知要素404〜407を含む。
【0039】
図4に示される例では、磁気感知要素404〜407は、(磁気感知要素ごとに)x軸およびy軸と平行である読み取り方向(可能な電流の流れの方向を指示する方向)を示す。これは、磁気感知デバイス402および403の磁気感知要素に相応に当てはまる。それぞれの磁気感知デバイス401〜403内における磁気感知要素の配置は実質的に同一である。すなわち、磁気感知デバイス401〜403は、回転を伴わない平行移動によって互いへ写像され得る。
【0040】
図5は、重心が読み取り円204上に配置された3つの磁気感知デバイス501〜503を含む代替的な配置を示す。磁気感知デバイス501〜503はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス501〜503の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0041】
磁気感知デバイス501〜503の各々は4つの磁気感知要素を含む。例えば、磁気感知デバイス501は磁気感知要素504〜507を含み、それぞれの感知要素504〜507の重心は正方形の隅部上にあり、この正方形の重心は読み取り円204上にある。
図4に示される実施形態とは対照的に、
図5の正方形は回転されている。すなわち、磁気センサデバイス501の正方形は磁気センサデバイス502の正方形に対して120°だけ回転されており、磁気センサデバイス503の正方形は磁気センサデバイス502の正方形に対して240°だけ回転されている。
【0042】
しかし、磁気感知要素504〜507は、(磁気感知要素ごとに)x軸およびy軸と平行である読み取り方向(可能な電流の流れの方向を指示する方向)を示す。これは、磁気感知デバイス502および503の磁気感知要素に相応に当てはまる。
【0043】
図6は、重心が読み取り円204上に配置された3つの磁気感知デバイス601〜603を含む代替的な配置を示す。磁気感知デバイス601〜603はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス601〜603の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0044】
磁気感知デバイス601〜603の各々は4つの磁気感知要素を含む。例えば、磁気感知デバイス601は磁気感知要素604〜607を含み、感知要素604〜607の重心は正方形の隅部上にあり、この正方形の重心は読み取り円204上にある。磁気センサデバイス601の正方形は磁気センサデバイス602の正方形に対して120°だけ回転されており、磁気センサデバイス603の正方形は磁気センサデバイス602の正方形に対して240°だけ回転されている。
【0045】
正方形の隅部上に座する磁気感知要素も正方形自体と同じ量だけ回転されている。これは、磁気センサデバイス601〜603の磁気センサ要素に相応に当てはまる。
【0046】
図4、
図5、および
図6に示される実施形態では、各磁気センサデバイスは、正方形の隅部上に配置された4つの磁気感知要素を含み、正方形の隅部はそれぞれの磁気センサ要素の重心に対応する。磁気センサデバイスの4つの磁気センサ要素が、実質的に(読み取り円204上に接線方向に接した)直線上または読み取り円204上に配置されていることも1つの選択肢である。以下においてこれが説明される。
【0047】
図7は、各磁気感知デバイスが、直線上に配置された4つの磁気感知要素を含む、3つの磁気感知デバイス701〜703を含む配置を示す。この直線は、読み取り円204に接線方向に接するように配置されており、それにより、それぞれの磁気感知デバイス701〜703の重心(または4つの磁気センサ要素の中央)が読み取り円204に接触している。
【0048】
磁気感知デバイス701〜703はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス701〜703の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0049】
磁気感知デバイス701は磁気感知要素704〜707を含み、磁気感知要素704〜707の中心は直線上に配置されており、磁気感知要素704〜707は同じ配向(回転)を有する。これは、磁気センサデバイス702および703ごとの磁気センサ要素の各セットに相応に当てはまる。
【0050】
磁気センサデバイス701の磁気センサ要素704〜707は磁気センサデバイス702の磁気センサ要素に対して120°だけ回転されており、磁気センサデバイス703の磁気センサ要素は磁気センサデバイス702の磁気センサ要素に対して240°だけ回転されている。
【0051】
図8は、各磁気感知デバイスが、直線上に配置された4つの磁気感知要素を含む、3つの磁気感知デバイス801〜803を含む配置を示す。この直線は、読み取り円204に接線方向に接するように配置されており、それにより、それぞれの磁気感知デバイス801〜803の重心(または4つの磁気センサ要素の中央)が読み取り円204に接触している。
【0052】
磁気感知デバイス801〜803はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス801〜803の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0053】
磁気感知デバイス801は磁気感知要素804〜807を含み、磁気感知要素804〜807の中心は直線上に配置されており、磁気感知要素804〜807は同じ配向(回転)を有する。
図7に示される実施形態とは対照的に、全ての磁気感知デバイス801〜803の磁気感知要素は同じ配向を有し、回転を全く示さない。
図8の例では、全ての磁気感知要素の(可能な電流の流れの方向を指示する)読み取り方向がx軸およびy軸と平行である。
【0054】
図9は、各磁気感知デバイスが4つの磁気感知要素を含む、3つの磁気感知デバイス901〜903を含む配置を示す。
図8に示される実施形態とは対照的に、各磁気感知デバイスの4つの磁気感知要素は、直線上ではなく、読み取り円204上に配置されている。具体的には、磁気感知要素の重心が読み取り円204上に配置されている。
【0055】
図10は、各磁気感知デバイスが、直線上に配置された4つの磁気感知要素を含む、3つの磁気感知デバイス1001〜1003を含む配置を示す。この直線は、読み取り円204に接触する接線と垂直に配置されており、それにより、それぞれの磁気感知デバイス1001〜1003の重心(または4つの磁気センサ要素の中央)が読み取り円204に接触している。
【0056】
磁気感知デバイス1001〜1003はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス1001〜1003の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0057】
磁気感知デバイス1001は磁気感知要素1004〜1007を含み、磁気感知要素1004〜1007の中心は直線上に配置されており、磁気感知要素1004〜1007は同じ配向(回転)を有する。これは磁気センサデバイス1002および1003ごとの磁気センサ要素の各セットに相応に当てはまる。
【0058】
磁気センサデバイス1001の磁気センサ要素1004〜1007は磁気センサデバイス1002の磁気センサ要素に対して120°だけ回転されており、磁気センサデバイス1003の磁気センサ要素は磁気センサデバイス1002の磁気センサ要素に対して240°だけ回転されている。
【0059】
図11は、各磁気感知デバイスが、直線上に配置された4つの磁気感知要素を含む、3つの磁気感知デバイス1101〜1103を含む配置を示す。この直線は、読み取り円204に接触する接線と垂直に配置されており、それにより、それぞれの磁気感知デバイス1101〜1103の重心(または4つの磁気センサ要素の中央)が読み取り円204に接触している。
【0060】
磁気感知デバイス1101〜1103はシリコンダイ205上に載置されている。磁気感知デバイス1101〜1103の重心は読み取り円204上に等しく分布している。
【0061】
磁気感知デバイス1101は磁気感知要素1104〜1107を含み、磁気感知要素1104〜1107の中心は直線上に配置されており、磁気感知要素1104〜1107は同じ配向(回転)を有する。
図10に示される実施形態とは対照的に、全ての磁気感知デバイス1101〜1103の磁気感知要素は同じ配向を有し、互いの間の回転を全く示さない。
図11の例では、全ての磁気感知要素の(可能な電流の流れの方向を指示する)読み取り方向がx軸およびy軸と平行である。
【0062】
上述の実施形態は、例示的に、磁気センサデバイスごとに4つの磁気センサ要素を示している。例えば、2つまたは5つ以上の磁気センサ要素が磁気センサデバイスごとに用いられることも1つの選択肢である。
【0063】
本明細書に記載されている実施形態は、特に磁場のz成分に感応する任意の種類の磁気感知要素を利用し得る。例えば、ホールプレートまたはMAG−FETを、本明細書に記載されているレイアウトトポロジと組み合わせて用いることができる。
【0064】
回転(角度)の決定
以下は、3つの磁気センサデバイスを介して回転角度をどのように決定することができるかを示す。これらの磁気センサデバイスは、上述されたように配置することができる。
【0065】
角度φは、120°の整数倍において3つの磁気センサデバイスを有するシステムにおいて次式のように決定することができる。
S(φ)=B
z(φ+0°)+B
z(φ+120°)×exp(2πi/3)+B
z(φ+240°)×exp(4πi/3)
ここで、磁場のz成分B
zは、磁石に固定された座標系において測定される。
【0066】
実数部は、
になり、虚数部は、
になる。
【0067】
したがって、回転角度φは次式によって決定される。
φ=arctan
2(Re(S),Im(S))
【0068】
arctan関数は360°にわたって一義的であることに留意されたい。arctan関数は−90°〜+90°のみの範囲である。用いられている実施例では、−180°〜+180°の範囲が好ましいことができる。これは、x<0である場合にarctan(y/x)と同一である、関数arctan
2(x,y)を介して達成することができる。しかし、x<0である場合、次式が適用される。
これはラジアン(rad)単位で指示される。
【0069】
提示された解決策は磁場の第三高調波および第五高調波に対して特に堅牢であり、これにより、回転角度を決定するための安定した方法を提供する。
【0070】
本明細書において提案されている実施例は、特に以下の解決策の少なくとも1つに基づき得る。具体的には、所望の結果に達するために以下の特徴の組み合わせを利用することができるであろう。本方法の特徴は、デバイス、装置またはシステムの任意の特徴と組み合わせることができ、またはその逆も同じであり得る。
【0071】
磁気角度感知システムであって、
− 第1の磁気感知デバイスと、
− 第2の磁気感知デバイスと、
− 第3の磁気感知デバイスと、
− 第1の磁気感知デバイス、第2の磁気感知デバイスおよび第3の磁気感知デバイスを含む基板と
を含み、
− 第1の磁気感知デバイス、第2の磁気感知デバイスおよび第3の磁気感知デバイスが、基板の主表面と垂直である磁場成分に応答するように各々配置されており、
− 第1の磁気感知デバイス、第2の磁気感知デバイスおよび第3の磁気感知デバイスの各々が同数の磁気感知要素を含み、
− 第2の磁気感知デバイスが、半導体表面上において、第1の磁気感知デバイスから見て基準点の周りで時計回りに120°だけ回転されて配置されており、
− 第3の磁気感知デバイスが、半導体表面上において、第1の磁気感知デバイスから見て基準点の周りで反時計回りに120°だけ回転されて配置されている、磁気角度感知システムが提供される。
【0072】
磁気感知デバイスは基板上に配置されていてもよいことに留意されたい。基板は、特にシリコン(半導体)チップもしくはダイであるか、またはそれを含む半導体基板であってもよい。
【0073】
一実施形態によれば、基準点は半導体デバイスの表面上に配置されており、基準点はまた、回転可能シャフトに固定される磁場源の回転軸上にある。
【0074】
角度感知システムは、この回転可能シャフトの回転角度を検出するように構成されている。
【0075】
一実施形態によれば、
− 第2の磁気感知デバイスは半導体表面上に配置されており、その重心が第1の磁気感知デバイスの重心から見て基準点の周りで時計回りに120°だけ回転されており、
− 第3の磁気感知デバイスは半導体表面上に配置されており、その重心が第1の磁気感知デバイスの重心から見て基準点の周りで反時計回りに120°だけ回転されている。
【0076】
一実施形態によれば、磁気感知デバイスの磁気感知要素は、それらの関連する磁気感知デバイスと同じ方法で回転されている。
【0077】
一実施形態によれば、いくつかの磁気感知デバイスのいくつかの磁気感知要素は、同じ配向および回転を示す。
【0078】
したがって、いくつかの磁気感知デバイスの全ての磁気感知要素は互いに平行であり得る。
【0079】
一実施形態によれば、磁気感知要素は、ホールプレートまたはMAG−FETの少なくとも1つである。
【0080】
一実施形態によれば、磁気感知デバイスの各々は、1つの磁気感知要素、2つの磁気感知要素または4つの磁気感知要素を含む。
【0081】
一実施形態によれば、磁気感知デバイスの磁気感知要素は、矩形内、直線上、または読み取り円上に配置されている。
【0082】
一実施形態によれば、各磁気感知デバイスの磁気感知要素は相互接続層を介して並列に接続されている。
【0083】
したがって、磁気感知要素の群全体の入力抵抗または出力抵抗は、単一の磁気感知要素のそれぞれの入力抵抗または出力抵抗よりも大きくない。
【0084】
また、角度センサ検出システムであって、
− 基板上に配置された複数の磁気感知デバイスであって、磁気感知デバイスの各々が、基板の主表面と垂直である磁場成分を感知することが可能である、複数の磁気感知デバイスを含み
− 複数の磁気感知デバイスが読み取り円上において3つの異なるかつ等距離の場所に配置されており、
− 磁気感知デバイスの方位角座標が互いに120°だけ異なり、
− 角度センサ検出システムが、処理ユニットであって、
− 第1の磁気感知デバイスおよび第2の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第1の信号を決定することと、
− 第2の磁気感知デバイスおよび第3の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第2の信号を決定することと、
− 第1の信号および第2の信号に基づいて回転角度を決定することと
を行うように構成される処理ユニットを含む、角度センサ検出システムが提案される。
【0085】
前記処理ユニットは、プロセッサ、マイクロコントローラ、ハードワイヤード回路、ASIC、FPGA、論理デバイスの少なくとも1つを含み得る。
【0086】
一実施形態によれば、処理ユニットは、
− 第3の磁気感知デバイスおよび第1の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第3の信号を決定することと、
− 第1の信号、第2の信号および第3の信号に基づいて回転角度を決定することと
を行うようにさらに構成されている。
【0087】
一実施形態によれば、磁気感知デバイスによって感知される磁場成分は回転軸と平行であり、シャフトが回転軸の周りに回転可能に配置されており、磁場源がシャフトに接続されている。
【0088】
シャフトおよび特に磁石は、複数の磁気感知デバイスの近傍に配置されていてもよい。
【0089】
一実施形態によれば、回転角度を決定することは、以下のステップ:
− (Sx,Sy)平面内のポインタから回転角度を決定するステップであって、Sxは、第1の信号に比例する座標であり、Syは、第2の信号と第3の信号との加重和に比例する座標である、ステップを
さらに含み、
− 回転角度は、ポインタと、Sx座標に沿った方向またはSy座標に沿った方向との間の角度である。
【0090】
加重和はまた、差であってもよいことに留意されたい。これは、係数が、それらの量によれば等しいが、異なる算術符号を有する場合に特に当てはまる。
【0091】
一実施形態によれば、回転角度は、ポインタと、Sx座標またはSy座標に沿った方向との間の角度に任意の定数を加えたものである。
【0092】
任意定数は、零点を調整するために用いられてもよい。任意定数は23°、90°または180°となり得る。
【0093】
また、シャフトの回転角度を決定するための方法であって、
− シャフトが回転軸の周りに回転可能に配置されており、磁場源がシャフトに接続されており、
− 本方法が、基板上に配置された複数の磁気感知デバイスであって、磁気感知デバイスの各々が、基板の主表面と垂直である磁場源の磁場成分を感知することが可能である、複数の磁気感知デバイスを含み、
− 複数の磁気感知デバイスが読み取り円上において3つの異なるかつ等距離の場所に配置されており、
− 磁気感知デバイスの方位角座標が互いに120°だけ異なり、
− 本方法が、
− 第1の磁気感知デバイスおよび第2の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第1の信号を決定するステップと、
− 第2の磁気感知デバイスおよび第3の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第2の信号を決定するステップと、
− 第1の信号および第2の信号に基づいて回転角度を決定するステップと
を含む、方法が提供される。
【0094】
一実施形態によれば、本方法は、
− 第3の磁気感知デバイスおよび第1の磁気感知デバイスによって提供される磁場成分の差に比例する第3の信号を決定するステップと、
− 第1の信号、第2の信号および第3の信号に基づいて回転角度を決定するステップと
をさらに含む。
【0095】
デジタル処理デバイスのメモリ内に直接ロード可能であり、本明細書に記載されているとおりの方法のステップを実行するためのソフトウェアコード部分を含む、コンピュータプログラム製品が提案される。
【0096】
コンピュータシステムに、本明細書に記載されているとおり方法のステップを実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0097】
1つ以上の例では、本明細書に記載されている機能は、特定のハードウェア構成要素またはプロセッサなどのハードウェアの形態で少なくとも部分的に実装され得る。より一般的には、技法は、ハードウェア、プロセッサ、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせの形態で実装され得る。ソフトウェアの形態で実装される場合、機能は1つ以上の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、またはそれを通じて伝送され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形の媒体、または例えば、通信プロトコルに従ってある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝達を促進する任意の媒体を含む通信媒体に対応する、コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。このように、コンピュータ可読媒体は、概して、(1)非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体または(2)信号もしくは搬送波などの通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、1つ以上のコンピュータまたは1つ以上のプロセッサにより、本開示に記載されている技法の実装のための命令、コードおよび/またはデータ構造を取得するためにアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0098】
例として、限定ではなく、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、もしくは他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリ、または所望のプログラムコードを命令もしくはデータ構造体の形態で記憶するために用いることができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続がコンピュータ可読媒体、すなわち、コンピュータ可読伝送媒体と相応に呼ばれる。例えば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、もしくは他のリモートソースから伝送される場合、このとき、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術が媒体の定義に含まれる。しかし、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、または他の一時的媒体を含まず、その代わりに、非一時的な有形の記憶媒体に関することを理解されたい。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において使用するとき、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含む。ここで、ディスク(disk)は、通例、データを磁気的に再現し、その一方でディスク(disc)はレーザを用いてデータを光学的に再現する。上述のものの組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0099】
命令は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPGA)、または他の均等な集積もしくはディスクリート論理回路機構などの1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、用語「プロセッサ」は、本明細書において使用するとき、上述の構造、または本明細書に記載されている技法の実装のために適した任意の他の構造の任意のものに言及し得る。加えて、いくつかの態様では、本明細書に記載されている機能性は、符号化および復号のために構成された専用ハードウェアおよび/もしくはソフトウェアモジュール内に提供されるか、または複合コーデック内に組み込まれ得る。また、技法は1つ以上の回路または論理要素内に完全に実装され得るであろう。
【0100】
本開示の技法は、無線ハンドセット、集積回路(IC)、またはICのセット(例えば、チップセット)を含む、多様なデバイスまたは装置内に実装され得る。様々な構成要素、モジュール、またはユニットが、本開示において、本開示の技法を実行するように構成されたデバイスの機能的態様を強調するために記載されているが、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要とするわけではない。むしろ、上述されたように、様々なユニットは、単一のハードウェアユニット内で組み合わせられるか、または上述されたとおりの1つ以上のプロセッサを含む相互動作可能なハードウェアユニットの集合により、好適なソフトウェアおよび/またはファームウェアと併せて提供されてもよい。
【0101】
本発明の様々な例示的な実施形態が開示されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の利点のいくつかを達成する様々な変更形態および修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。同じ機能を実行する他の構成要素が適宜に置換され得ることが当業者に明白であろう。特定の図を参照して説明された特徴は、たとえこれが明示的に述べられていなかった場合であっても、他の図の特徴と組み合わせられ得ることが言及されるべきである。さらに、本発明の方法は、適切なプロセッサ命令を用いる全てのソフトウェア実装形態、または同じ結果を達成するためにハードウェア論理とソフトウェア論理との組み合わせを利用するハイブリッド実装形態のいずれかにおいて達成され得る。本発明の概念に対するこのような変更形態は、添付の請求項によって網羅されることが意図される。