【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、以下を含む湿気および放射線硬化性接着剤組成物である。
【0009】
(a)少なくとも1種の式:
【0010】
【化1】
式中、
R
1〜R
9は、それぞれ独立して、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R
1〜R
9の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルであり、
mは、1〜1000の整数であり、
A
1は、式(2):
(R
10)
a(R
11)
b(R
12)
cR
13 (2)
で表され、
式中、
R
10は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
11は、C
6〜C
21アリーレンであり、
R
12は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
13は、(メタ)アクリルオキシであり、
aは、0〜10の整数であり、
bは、0〜10の整数であり、および
cは、0〜10の整数である、
で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
【0011】
(b)少なくとも1種の式:
【0012】
【化2】
式中、
R
14〜R
21は、それぞれ独立して、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R
14〜R
21の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルであり、
nは、1〜1000の整数であり、
A
2およびA
3は、それぞれ独立して式:
(R
22)
d(R
23)
e(R
24)
fR
25 (4)
で表され、
式中、
R
22は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
23は、C
6〜C
21アリーレンであり、
R
24は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
25は、(メタ)アクリルオキシであり、
dは、0〜10の整数であり、
eは、0〜10の整数であり、および
fは、0〜10の整数である、
で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(c)光開始剤;
(d)湿気硬化触媒;
(e)任意に鎖伸長剤;および
(f)任意に湿気架橋剤
【0013】
別の態様は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の、様々な基材の接着またはラミネート、特に光学部品の組み立て、または光学的に透明な基材の間または光学的に透明な基材と不透明基材との間の接着またはラミネートのための使用である。
【0014】
さらに別の態様は、少なくとも1つの表面上に本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物でコーティングされたコートされた基材である。
【0015】
さらに別の態様は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の硬化生成物である。
【0016】
本主題の他の特徴および態様は、以下により詳細に説明される。
【0017】
<詳細な説明>
本考察は、例示的な実施態様の説明のみであり、本発明のより広い態様を限定するものではないことは、当業者には理解されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「C
1〜C
20アルキル」は、部分中の炭素原子間に単結合のみを含む一価の直鎖又は分岐部分を意味し、例えば、C
1〜C
18−、C
1〜C
12−、C
1〜C
10−、C
1〜C
8−、C
1〜C
6−またはC
1〜C
4−アルキルである。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルおよびn−エイコシルである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「C
2〜C
20アルケニル基」は、少なくとも1つの不飽和を有する、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味し、例えば、C
2〜C
18−、C
2〜C
12−、C
2〜C
10−、C
2〜C
8−、C
2〜C
6−またはC
2〜C
4−アルケニルである。典型的な例は、ビニル、アリル、1−プロペン−2−イル、1−ブテン−4−イル、2−ブテン−4−イルおよび1−ペンテン−5−イルなどの基である。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「C
1〜C
20アルコキシル」は、基−OR(式中、Rは、上記で定義したC
1〜C
20アルキル)であり、例えば、C
1〜C
18−、C
1〜C
12−、C
1〜C
10−、C
1〜C
8−、C
1〜C
6−またはC
1〜C
4−アルコキシルである。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「C
6〜C
20アリール」は、単環(例えば、フェニル)または多縮合(縮合)環を有する6〜20個の炭素原子の一価の不飽和芳香族炭素環基を意味し、少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニルまたはアントリル)である。好ましい例には、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどが含まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「C
7〜C
22アルキルアリール」は、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチルなどを含む、7〜22個の炭素原子およびアルキル置換基を有するアリール基をいう。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「C
1〜C
20アルキレン」は、部分中の炭素原子間に単結合のみを含む二価の直鎖又は分岐部分を意味し、例えば、C
1〜C
18−、C
1〜C
12−、C
1〜C
10−、C
1〜C
8−、C
1〜C
6−またはC
1〜C
4−アルキレンである。 それらの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン、n−ヘプチレン、2,4,4−トリメチルペンチレン、2−エチルへキシレン、n−オクチレン、n−ノニレン、n−デシレン、n−ウンデシレン、n−ドデシレン、n−ヘキサデシレン、n−オクタデシレンおよびn−エイコシレンである。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「C
6〜C
20アリーレン」は、単環(例えば、フェニレン)または多縮合(縮合)環を有する6〜20個の炭素原子の二価の不飽和芳香族炭素環基を指し、少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチレン、ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレン、またはアントリレン)である。好ましい例としては、フェニレン、ナフチレン、フェナントレニレンなどが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリルオキシ基」とは、アクリルオキシおよびメタクリルオキシ基の両方を表す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、上記の基は、さらに置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、基上の水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、およびモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、およびそれらの保護された誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置換される。アリールが置換される場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルを含む、アリール基に縮合した非芳香族環を形成することができる。
【0027】
全てのパーセンテージ、部および比率は、特に明記しない限り、本発明の組成物の全重量に基づく。記載された成分に関連するすべてのそのような重量は、活性レベルに基づいており、したがって、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0028】
一態様では、本開示は、一般に、以下の成分を含む湿気および放射線硬化性接着剤組成物に関する:
(a)少なくとも1種の式:
【0029】
【化3】
式中、
R
1〜R
9は、それぞれ独立して、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R
1〜R
9の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルであり、
mは、1〜1000の整数であり、
A
1は、式(2):
(R
10)
a(R
11)
b(R
12)
cR
13 (2)
で表され、
式中、
R
10は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
11は、C
6〜C
21アリーレンであり、
R
12は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
13は、(メタ)アクリルオキシであり、
aは、0〜10の整数であり、
bは、0〜10の整数であり、および
cは、0〜10の整数である、
で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
【0030】
(b)少なくとも1種の式:
【0031】
【化4】
式中、
R
14〜R
21は、それぞれ独立して、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R
1〜R
9の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルであり、
nは、1〜1000の整数であり、
A
2およびA
3は、それぞれ独立して式:
(R
22)
d(R
23)
e(R
24)
fR
25 (4)
で表され、
式中、
R
22は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
23は、C
6〜C
21アリーレンであり、
R
24は、C
1〜C
20アルキレンであり、
R
25は、(メタ)アクリルオキシであり、
dは、0〜10の整数であり、
eは、0〜10の整数であり、および
fは、0〜10の整数である、
で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(c)光開始剤;
(d)湿気硬化触媒;
(e)任意に鎖伸長剤;および
(f)任意に湿気架橋剤
【0032】
<成分(a)>
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物に含まれる湿気および放射線硬化性接着剤組成物の少なくとも1種のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、以下の式で表される。:
【0033】
【化5】
一実施態様では、R
1〜R
9は、それぞれ独立に、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、ただし、R
1〜R
9の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルである。
【0034】
好ましくは、R
1〜R
3、R
8およびR
9の少なくとも1つはC
1〜C
8アルコキシルであり、他のR
1〜R
9は、それぞれ独立に、C
1〜C
8アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、およびC
7〜C
16アラルキルからなる群から選択される。より好ましくは、R
1〜R
3、R
8およびR
9の少なくとも1つはC
1〜C
6アルコキシルであり、他のR
1〜R
9は、それぞれ独立してC
1〜C
6アルキルおよびC
1〜C
6アルコキシルであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシなどである。
【0035】
1つの好ましい実施態様では、R
1〜R
7はC
1〜C
6アルキル、好ましくはメチルであり、R
8およびR
9はC
1〜C
6アルコキシル、好ましくはメトキシである。
【0036】
別の実施態様において、指数mは、10〜1800、好ましくは100〜800、より好ましくは200〜600の整数である。
【0037】
さらに別の実施態様において、式(2):
(R
10)
a(R
11)
b(R
12)
cR
13 (2)
で表されるA
1に関して、
R
10はC
1〜C
8アルキレン、好ましくはC
1〜C
4アルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R
11は、C
6〜C
9アルキレン、好ましくはフェニレンまたはナフタレンである。R
12はC
1〜C
8アルキレン、好ましくはC
1〜C
4アルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R
13は(メタ)アクリルオキシである。指数aは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、bは0〜5、好ましくは0〜3の整数であり、cは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
【0038】
1つの好ましい実施態様において、R
10は、メチレンであり、aは3であり、bおよびcは0であり、したがってA
1は(メタ)アクリルオキシプロピル基、好ましくはアクリルオキシプロピル基である。
【0039】
別の好ましい実施態様では、R
10はエチレンであり、R
11はフェニレンであり、R
12はメチレンであり、a、bおよびcは1であり、したがってA
1は(メタ)アクリルオキシメチルフェネチル基であり、好ましくはアクリルオキシメチルフェネチル基である。
【0040】
本発明によれば、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、それぞれ式(1)で表される1種以上のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、それぞれ式(1)で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを1種または2種含有する。
【0041】
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物において、成分(a)は、全成分の総重量に基づき、40〜85重量%、好ましくは45〜80重量%の量で存在する。
【0042】
本発明によるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、例えば米国特許第6140444号に開示されている該技術分野で公知の慣用の方法によって調製され、その内容はその全体が参照として援用される。
【0043】
より具体的には、成分(a)を調整する方法は、モノシラノール末端化反応物、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシラン、有機リチウム触媒との混合物を形成し、そしてこの混合物を、所望量のシラノールキャッピングが生じるまで湿気非存在下で撹拌しながら反応させる工程を含む。実質的に完全なキャッピングが望ましい場合、アルコキシシランに対するのシラノール基の当量比は、好ましくは約1:0.95〜約1:1.5、より好ましくは約1:1〜約1:1.2である。キャッピングが所望レベルに達した後に反応混合物中に残っている揮発性物質は、減圧下で穏やかに加熱することによって除去することができる。不活性ガスは、揮発性物質の除去中に反応混合物を通過させることができる。
【0044】
シラノール末端反応物は、式(5)内の実質的に任意の有用なシラノール末端材料であり得る。
【0045】
【化6】
式中、
R
26〜R
28は、それぞれ独立に、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、xは約1〜約1,200であり、たとえば、約10〜約1,000である。
【0046】
好ましくは、R
26〜R
28は、それぞれ独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8アルコキシル、C
2〜C
8アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、およびC
7〜C
16アラルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。より好ましくは、R
26〜R
28は、それぞれ独立に、C
1〜C
6アルキルおよびC
1〜C
6アルコキシルから選択され、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等が挙げられる。最も好ましくは、R
26〜R
28はすべてメチルである。
【0047】
モノ−シラノール末端オルガノポリシロキサンの粘度は、約25℃(室温)の温度でブルックフィールド粘度計を用いて測定して約1cps〜約150,000cps、好ましくは約100cps〜約10,000cpsの範囲内である。
【0048】
(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランとしては、少なくとも2個のアルコキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基を有するシランが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランは、式(5)の少なくとも1つの化合物を含む。
(R
29)
a(R
30)
bSi(OR
31)
4−(a+b) (6)
R
29〜R
31は、それぞれ独立して、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルキルおよびC
6〜20アリールからなる群から選択され、好ましくはC
1〜6アルキル、C
2〜6アルキルおよびC
6〜14アリール、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、フェニル、ビニルおよびアリル基が挙げられる。R
29およびR
30の少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシ基であり、aは0,1または2であり;bは0、1または2であり;a+bは1または2である。
【0049】
本発明に有用な(メタ)アクリルオキシ基を有する代表的なアルコキシシランには、(γ−アクリルオキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシメチル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリルオキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシメチルフェネチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシメチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリス(メトキシエトキシ)シラン、および(γ−メタクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0050】
好ましくは、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランは、(γ−アクリルオキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシメチル)トリメトキシシランおよびこれらの組み合わせから選択される。
【0051】
有機リチウム試薬は、好ましくは、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、2−エチルヘキシルリチウムおよびn−オクチルリチウムなどのアルキルリチウムである。他の有用な触媒には、フェニルリチウム、ビニルリチウム、リチウムフェニルアセチリド、リチウム(トリメチルシリル)アセチリド、リチウムシラノレートおよびリチウムシロキサノレートが含まれる。有機基は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなどのアミン含有基、またはシリコーン含有基であってもよい。
【0052】
一般に、反応混合物中のリチウムの量は、反応物の重量に基づいて、1ppm〜約1000ppm、好ましくは約5ppm〜約500ppm、例えば約8ppm〜約200ppmである。
【0053】
触媒系に使用される有機リチウム触媒の量は、シラノール基含有反応物の反応性および重合可能なエチレン性不飽和基を含有するアルコキシシランの反応性に依存する。選択される量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0054】
反応後、有機リチウム触媒を二酸化炭素と反応させ、炭酸リチウムとして沈殿させ、遠心分離、濾過などの液体−固体分離手段によって反応混合物から除去することができる。低分子量ヒドロキシルアミンおよび他の低沸点物質は、反応混合物を減圧下で加熱することによって分離することができる。
【0055】
この方法は、ほぼ室温(約25℃)〜約150℃の温度で行うことができる。プロセスが実施される温度は、選択される特定の反応物、触媒系の成分の同一性および量、および反応が進行し得る時間の長さに依存する。
【0056】
<成分(b)>
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物に含まれる湿気および放射線硬化性接着剤組成物の少なくとも1種のジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、式:
【0057】
【化7】
で表される。
【0058】
一実施態様では、R
14〜R
21は、それぞれ独立して、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R
1〜R
9の少なくとも1つは、C
1〜C
20アルコキシルである。
【0059】
好ましくは、R
14、R
15、R
20およびR
21の少なくとも1つは、C
1〜C
8アルコキシルであり、他のR
14〜R
21は、好ましくはそれぞれ独立に、C
1〜C
8アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、およびC
7〜C
16アラルキルからなる群から選択される。より好ましくは、R
14、R
15、R
20およびR
21の少なくとも1つは、C
1〜C
6アルコキシルであり、他のR
14〜R
21は、それぞれ独立して、C
1〜C
6アルキルおよびC
1〜C
6アルコキシルであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシなどである。
【0060】
1つの好ましい実施態様では、R
16〜R
19は、C
1〜C
6アルキル、好ましくはメチルであり、R
14、R
15、R
20およびR
21は、C
1〜C
6アルコキシル、好ましくはメトキシである。
【0061】
別の実施態様において、指数nは、10〜1800、好ましくは100〜800、より好ましくは200〜600の整数である。
【0062】
さらに別の実施態様において、式(7):
(R
32)
d(R
33)
e(R
34)
fR
35 (7)
で表されるA
2およびA
3に関して、
R
32はC
1〜C
8アルキレン、好ましくはC
1〜C
4アルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R
33は、C
6〜C
9アルキレン、好ましくはフェニレンまたはナフタレンである。R
34はC
1〜C
8アルキレン、好ましくはC
1〜C
4アルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R
35は(メタ)アクリルオキシである。指数dは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、eは0〜5、好ましくは0〜3の整数であり、fは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
【0063】
1つの好ましい実施態様において、R
32は、メチレンであり、dは3であり、eおよびfは0であり、したがってA
2およびA
3の少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシプロピル基、好ましくはアクリルオキシプロピル基である。
【0064】
別の好ましい実施態様では、R
32はエチレンであり、R
33はフェニレンであり、R
34はメチレンであり、d、eおよびfは1であり、したがってA
2およびA
3の少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシメチルフェネチル基であり、好ましくはアクリルオキシメチルフェネチル基である。
【0065】
本発明によれば、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、それぞれ式(2)で表される1種以上のジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、それぞれ式(1)で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを1種または2種含有する。
【0066】
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物において、成分(b)は、全成分の総重量に基づき、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%の量で存在する。
【0067】
ジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンの調製方法は、モノシラノール末端反応物を式(8)で表されるジシラノール末端反応物に置き換えることによって、上述のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンの調製方法に類似し得る。
【0068】
【化8】
式中、
R
36およびR
37は、それぞれ独立に、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシル、C
2〜C
20アルケニル、C
3〜C
20シクロアルキルおよびC
7〜C
22アラルキルからなる群から選択され、yは約1〜約1,200であり、たとえば、約10〜約1,000である。
【0069】
好ましくは、R
36およびR
37は、それぞれ独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8アルコキシル、C
2〜C
8アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、およびC
7〜C
16アラルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。より好ましくは、R
36およびR
37は、それぞれ独立して、C
1〜C
6アルキルおよびC
1〜C
6アルコキシルから選択され、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等が挙げられる。最も好ましくは、R
32およびR
33はすべてメチルである。
【0070】
モノ−シラノール末端オルガノポリシロキサンの粘度は、約25℃(室温)の温度でブルックフィールド粘度計を用いて測定して約1cps〜約150,000cps、好ましくは約100cps〜約10,000cpsの範囲内である。
【0071】
<成分(c)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、放射線硬化、好ましくは、十分なUV照射を受けたとき組成物のUV硬化を開始させるための光開始剤をさらに含む。
【0072】
本発明に有用な光開始剤は特に限定されない。適する光開始剤は、限定はされないが、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキサイド、アルファヒドロキシルケトン、アルファアミノケトン、上記化合物の誘導体およびそれらの混合物が含まれる。
【0073】
例示的な光開始剤は、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 651の商標で入手可能)などのベンジルケタール;2,2−ジエトキシアセトフェノン(「DEAP」、First Chemical Corporationから入手可能)などのアセトフェノン誘導体;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(「HMPP」、Ciba Specialty ChemicalsからDarocur 1173の商標で入手可能);1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure184の名で入手可能);2−ベンジル−2−N、N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 369の商標で入手可能);2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 907の商標で入手可能);または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(「TPO」、HMPP(Irgacure 4265)と50/50重量%ブレンドのCiba Specialty Chemicalsから入手可能)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な、Irgacure 1700としてのHMPPと比率に応じてIrgacure 1850または1800としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(または、HCPK)との25/75重量%のブレンド)、またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 819の商標で入手可能)などのアシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0074】
好ましい一実施態様では、本発明に有用な光開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、光開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである。
【0075】
本発明による湿気及び放射線硬化性接着剤組成物において、成分(d)は、成分の総重量に基づき、0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の量で存在する。
【0076】
<成分(d)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、湿気の存在下で組成物の湿気硬化を開始させる湿気硬化触媒をさらに含む。
【0077】
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物において典型的に使用される湿気硬化触媒は、湿気硬化を促進するために有用であることが知られているものを含む。触媒は、金属触媒および非金属触媒を含む。本発明に有用な金属触媒の金属部分の例は、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、コバルト鉄、アンチモン、マンガン、ビスマスおよび亜鉛化合物を含む。
【0078】
一実施態様では、組成物の湿気硬化を促進するのに有用なスズ化合物は、これには限定されないが、ジメチルジネオデカノエートスズ(Momentive Performance Materials Inc.からFOMREZ UL−28Aの商品名で入手可能)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトエート、イソブチルスズトリセロエート(isobutyltintriceroate)、ジブチルスズオキサイド、可溶化ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス−トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビスアセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキサイド、カルボメトキシフェニルスズトリスウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジネオデカノエート、酒石酸トリエチルスズ、ジブチルスズジベンゾエート、オレイン酸スズ、ナフテン酸スズ、ブチルスズトリ−2−エチルヘキシルヘキソエート、スズブチレート、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンが含まれる。
【0079】
1つの好ましい実施態様では、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノエートスズ(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−28で入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−32で入手可能)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−38で入手可能)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−50で入手可能)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。より好ましくは、湿気硬化触媒は、FOMREZ UL−28である。
【0080】
本発明による湿気及び放射線硬化性接着剤組成物において、成分(d)は全成分の総重量に基づき、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の量で存在する。
【0081】
<成分(e)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、任意に鎖伸長剤をさらに含むことができる。
【0082】
本発明において有用な鎖伸長剤は、特に限定はなく、メトキシ、エトキシ、トリエトキシシリルエチル末端ポリジメチルシロキサンなどを含むが、これに限定されない。例示的な鎖伸長剤は、DMS−XM11(Gelest、Inc.、Morrisville、Pa。から入手可能)などのメトキシ末端ポリジメチルシロキサン、DMS−EX21(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのジメトキシ(エポキシプロポキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、DMS−XE11(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのエトキシ末端ジメチルシロキサン、およびDMS XT11(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのトリエトキシシリルエチル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0083】
成分(e)は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の全成分の総重量に基づき、0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%の量で存在する。
【0084】
<成分(f)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、任意に湿気架橋剤を含んでもよい。
【0085】
例示的な湿気架橋剤は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)デカン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール、γ−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートおよびヘキシルトリメトキシシランである。
【0086】
好ましくは、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、湿気架橋剤を含み、ビニルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、湿気架橋剤は、Dynasylan VTMOの商品名でEvonikから入手可能なビニルトリメトキシシランである。
【0087】
成分(f)は、全成分の総重量に基づき、0〜1重量%、好ましくは0〜0.5重量%の量で存在する。
【0088】
一実施態様では、本発明は、
重量百分率は全ての成分の全重量に基づき、
40〜85重量%、好ましくは45〜80重量%の成分(a);
10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%の成分(b);
0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の成分(c);
0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(d);
1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%の成分(e);および
0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(f)
を含有する湿気および放射線硬化性接着剤組成物を提供する。
【0089】
<その他の成分>
湿気及び放射線硬化性接着剤組成物は、流動性、調剤性、貯蔵安定性、硬化性及び硬化した生成物の物理的性質などのシーラント組成物の特性を改良又は改質するための1種以上の任意の添加剤、樹脂成分などをさらに含んでもよい。
【0090】
必要に応じてシーラント組成物に含まれ得る成分は、例えば、有機または無機充填剤、チキソトロープ剤、希釈剤、改質剤、顔料および染料などの着色剤、防腐剤、安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤などを含有していてもよいが、これに限定されない。
【0091】
本発明に任意に用いることができる適する充填剤は、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、石こう、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性化白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機充填材;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプロピレンなどの有機充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0092】
本発明で任意に用いることができる適するチキソトロピック剤には、タルク、ヒュームシリカ、表面処理された超微粒炭酸カルシウム、アルミナ微粒子、板状アルミナ、モンモリロナイト等の層状化合物、ホウ酸アルミニウムホイスカー等の針状化合物が挙げられるが、これらに限定されない。 タルク、ヒュームシリカおよび微細アルミナが好ましいチキソトロープ剤である。
【0093】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物>
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物は液体の形態であり、組成物のブルックフィールド粘度は好ましくは25℃で約50cps〜約40,000cpsである。このような粘度範囲の液状接着剤組成物は、良好な流動性を有し、基板への塗布や注入が容易である。ここでのブルックフィールド粘度は、25℃でスピンドルを備えたブルックフィールド回転粘度計(BROOKFIELD、USから入手可能なデジタルブルックフィールド粘度計、DV−II+)を用いてASTM D1084−1997によって測定される。試験のためのスピンドルの選択は、接着剤組成物の粘度レベルに依存する。
【0094】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物の調製>
メカニカルスターラー、コンデンサー、温度計、加熱マントル、窒素導入口および添加漏斗を備えたミキサーに成分(a)および(b)を入れ、80℃まで加熱する。内容物を真空下で120rpmで3時間混合し、次いで真空下で室温まで冷却する。次いで成分(c)、成分(d)および任意に(e)および(f)を真空下でミキサーに添加する。すべての成分について1時間混合した後、窒素で真空を中止する。
【0095】
<基板貼り合わせ工程>
本発明の別の態様は、基板を結合する方法であって、
(i)本発明の湿気および放射線接着剤組成物を被接合基板上に塗布する工程、
(ii)結合される基板をラミネートまたは積み重ねてアセンブリを形成する工程、
(iii)アセンブリを光照射する工程;および
(iv)アセンブリを室温に置く工程
を含む方法を提供する。
【0096】
具体的には、本発明による接着剤組成物は、自動ディスペンシングシステムのニードルシリンダーによって所定の経路に従って基材の表面上に加圧下でコーティングすることができる。次に、別の基板を接着剤上にラミネートし、ディスペンサー、例えば、ディスペンサーKAR03(飯沼ゲージ製作所製)を用いて両基板の高低差を制御する。接着剤が接着領域全体で自己平坦化された後、硬化のために光照射が上から下へ行われる。本明細書では、光の照射には、光源(紫外線、可視光など)や高エネルギー線(電子線、α線、γ線、X線など)を用いることができ、好ましくは、約200nm〜約400nmの波長範囲の紫外線である。エネルギー線量は3000mJ/cm
2以上であり、出力密度は約50〜約100mW/cm
2である。使用されるUVランプは、Loctite UVALOC 1000のようなものであってもよく、照射時間は、一般に、約5秒〜約120秒であってもよい。
【0097】
周辺領域は不透明部分内にあるので、UV照射によって硬化させることはできない。本発明の接着剤組成物の湿気硬化性に応じて、室温で約24時間保存することにより、さらなる装置および加工の必要もなく、接着部分を完全に硬化させることができる。
【0098】
<硬化した接着剤生成物>
本発明の別の態様はまた、湿気および放射線硬化性接着剤組成物から製造された硬化接着剤生成物を提供する。
【0099】
驚くべきことに、本発明の接着剤組成物の硬化接着剤生成物は、非常に軟質であり、特に、ショア00硬度が低く、伸びが改善され、それと同時に、高温高湿下での良好な安定性および高い透明性を含む良好な特性を有する。このように、硬化接着剤生成物は、ディスプレイパネル、タッチパネルおよび光学デバイスに使用するのに適しており、収縮を大きく減少させ、ムラ効果を引き起こすことが知られている基板に蓄積された応力を吸収することができる。
【0100】
一実施態様では、組成物の硬化反応生成物は、ASTM D2240に従って測定して25℃で、硬化から7日後に1〜30、好ましくは5〜25のショア00硬度を有する。
【0101】
別の実施態様では、組成物の硬化反応生成物は、ASTM D412に従って測定して25℃で硬化から7日後に100%〜300%、好ましくは110%〜250%の伸び率を有する。
【0102】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物の使用>
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、ハンドヘルドデバイスおよびディスプレイ(HHDD)用の液体光学透明接着剤(LOCA)として、特に、ディスプレイパネル、タッチパネルおよび光学デバイスの製造における様々な素子の接着またはラミネートに用いることができる。
【0103】
例えば、本発明の湿気及び放射線硬化性接着剤組成物は、透明基板を別の透明基板と接着又はラミネートすること、又は透明基板を不透明基板と接着又はラミネートすることに使用することができる。透明基板は、ガラス及び透明プラスチック等を含み、不透明基板は、金属、不透明プラスチック、セラミック、石、革及び木材等を含む。プラスチックは、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)などであってもよい。