特許第6563508号(P6563508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧 ▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

特許6563508湿気および放射線硬化性接着剤組成物およびその使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563508
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】湿気および放射線硬化性接着剤組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/07 20060101AFI20190808BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190808BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C09J183/07
   C09J11/06
   C09J11/08
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-547471(P2017-547471)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公表番号】特表2018-509503(P2018-509503A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】CN2015073942
(87)【国際公開番号】WO2016141546
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ルー、 ジシャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ジミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ジンヨウ
(72)【発明者】
【氏名】ルー、 ゼン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ヨン
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−033159(JP,A)
【文献】 特開2011−021175(JP,A)
【文献】 特開平07−216232(JP,A)
【文献】 米国特許第06828355(US,B1)
【文献】 特開平06−009783(JP,A)
【文献】 特表2002−518569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C08F 283/01、290/00−290/14、299/00−299/08
C08G 77/00−77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の式:
【化1】
式中、
5、およびは、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R5、およびの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
mは、1〜1000の整数であり、
は、式(2):
(R10(R11(R1213 (2)
で表され、
式中、
10は、C〜C20アルキレンであり、
11は、C〜C21アリーレンであり、
12は、C〜C20アルキレンであり、
13は、(メタ)アクリルオキシであり、
aは、0〜10の整数であり、
bは、0〜10の整数であり、および
cは、0〜10の整数である、
で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(b)少なくとも1種の式:
【化2】
式中、
1417、20および21は、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R1417、20および21の少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
nは、1〜1000の整数であり、
およびAは、それぞれ独立して式:
(R22(R23(R2425 (4)
で表され、
式中、
22は、C〜C20アルキレンであり、
23は、C〜C21アリーレンであり、
24は、C〜C20アルキレンであり、
25は、(メタ)アクリルオキシであり、
dは、0〜10の整数であり、
eは、0〜10の整数であり、および
fは、0〜10の整数である、
で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(c)光開始剤;
(d)湿気硬化触媒;
(e)任意に鎖伸長剤;および
(f)任意に湿気架橋剤
を含む湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項2】
5、およびが、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cアルケニル、C〜CシクロアルキルおよびC〜C16アラルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項3】
10が、C〜Cアルキレンであり、および/またはR11が、C〜Cアリーレンであり、および/またはR12が、C〜Cアルキレンである、請求項1または2に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項4】
aが、1〜5の整数であり、bが、0〜5の整数であり、cが0〜5の整数である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項5】
1417、20および21が、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cアルケニル、C〜CシクロアルキルおよびC〜C16アラルキルからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項6】
22が、C〜Cアルキレンであり、および/またはR23が、C〜Cアリーレンであり、および/またはR24が、C〜Cアルキレンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項7】
dが、1〜5の整数であり、eが、0〜5の整数であり、fが0〜5の整数である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項8】
成分(a)が、全成分の全重量に基づき、40〜85重量%の量で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項9】
成分(b)が、全成分の全重量に基づき、10〜50重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項10】
成分(e)が、全成分の全重量に基づき、1〜30重量%の量で存在する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項11】
組成物の硬化した反応生成物が、硬化から7日後に25℃でASTM D2240に従って測定される1〜30のショア00硬度を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項12】
組成物の硬化した反応生成物が、硬化から7日後に25℃でASTM D412に従って測定される100%〜300%の伸び率を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項13】
重量百分率は全ての成分の全重量に基づき、
40〜85重量%の成分(a);
10〜50重量%の成分(b);
0.1〜5重量%の成分(c);
0.05〜1重量%の成分(d);
1〜30重量%の成分(e);および
0.05〜1重量%の成分(f)
を含有する、請求項1に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物の硬化生成物。
【請求項15】
少なくとも1つの表面上が、請求項1〜13のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物または請求項14に記載の硬化生成物で被覆された被覆基材。
【請求項16】
ディスプレイパネル、タッチパネルまたは光学デバイスを製造する際の、請求項1〜13のいずれか一項に記載の湿気および放射線硬化性接着剤組成物または請求項14に記載の硬化生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気及び放射線硬化性接着剤組成物及びその使用に関し、特に、ハンドヘルドデバイス及びディスプレイ(HHDD)用の液体光学的透明接着剤(LOCA)として使用される湿気及び放射線硬化性接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
画像品質およびディスプレイの耐久性を改善するために、ディスプレイの異なる層の間のギャップを埋めるために、ディスプレイ産業において光学的に透明な接着剤が使用された。従来の光学的に透明な接着剤を使用する場合の現状の問題は、ムラ効果、層間剥離および耐久性が挙げられる。「ムラ」は、「unevenness(不均一)」の日本語であり、その効果は、特定の条件下でディスプレイパネルに不均一な画面一様性を引き起こす低コントラストの不規則なパターンまたは領域を表すために用いられる。ムラ効果は、一般に、特に長期間の熱サークルの後に、ガラスカバー、接着剤、LCDなどの異なる材料のミスマッチに起因する異なる層における応力の蓄積に起因する。応力の蓄積は、接着の失敗を引き起こし、その結果、層間剥離が起こり、ディスプレイによって提供される画質が低下する。光学特性を改善するためには、異なる基板内の応力を緩和し、熱サイクル中の応力の蓄積を低減することが必要である。一方、接着剤の他の有用な特性、例えば接着性及び透明性が維持されるべきである。
【0003】
国際公開第2013173976号明細書には、ディスプレイパネルに応力が加えられた場合であっても、ムラ効果を大きく低減または除去することのできる液体光硬化性接着剤組成物が記載され、(a)5〜30重量%のウレタンアクリレート、(b)30〜80重量%の可塑剤、(c)0.02〜5重量%の光開始剤、および(d)0〜30重量%のアクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを含む。
【0004】
米国出願公開20130187144号明細書は、少なくとも1種の放射線硬化性エポキシ樹脂、少なくとも1種の酸化防止剤、および少なくとも1種の光開始剤塩を含む硬化性組成物を開示している。このような組成物の生成物は、バルク透湿度が低く、ムラ効果による表示品質の低下を防止することが報告されている。
【0005】
さらに、米国出願公開20130323521号明細書は、アルキル基が4〜18個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートエステル、親水性共重合性モノマーおよびフリーラジカル発生開始剤を含む接着剤組成物を開示しており、約25℃〜約100℃の温度で、約0.5〜約1.0の間のタンデルタ値を有する。そのような組成物の生成物は、ムラ効果を減少させるのに特に有益なディスプレイモジュールアセンブリプロセスの結果として、応力緩和を改善し得ることが報告されている。
【0006】
ムラ効果を低減または除去するための接着剤を提供する試みがなされているが、上記生成物は、高温下での安定性が低く、高湿度下での安定性が低く、黄変などの欠点を有するアクリレートエステル系またはエポキシ系である。
【0007】
このように、硬度、収縮、応力吸収、熱安定性、接着および透過率を含む優れた特性を有する改良された接着剤組成物の開発が依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、以下を含む湿気および放射線硬化性接着剤組成物である。
【0009】
(a)少なくとも1種の式:
【0010】
【化1】
式中、
〜Rは、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R〜Rの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
mは、1〜1000の整数であり、
は、式(2):
(R10(R11(R1213 (2)
で表され、
式中、
10は、C〜C20アルキレンであり、
11は、C〜C21アリーレンであり、
12は、C〜C20アルキレンであり、
13は、(メタ)アクリルオキシであり、
aは、0〜10の整数であり、
bは、0〜10の整数であり、および
cは、0〜10の整数である、
で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
【0011】
(b)少なくとも1種の式:
【0012】
【化2】
式中、
14〜R21は、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R14〜R21の少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
nは、1〜1000の整数であり、
およびAは、それぞれ独立して式:
(R22(R23(R2425 (4)
で表され、
式中、
22は、C〜C20アルキレンであり、
23は、C〜C21アリーレンであり、
24は、C〜C20アルキレンであり、
25は、(メタ)アクリルオキシであり、
dは、0〜10の整数であり、
eは、0〜10の整数であり、および
fは、0〜10の整数である、
で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(c)光開始剤;
(d)湿気硬化触媒;
(e)任意に鎖伸長剤;および
(f)任意に湿気架橋剤
【0013】
別の態様は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の、様々な基材の接着またはラミネート、特に光学部品の組み立て、または光学的に透明な基材の間または光学的に透明な基材と不透明基材との間の接着またはラミネートのための使用である。
【0014】
さらに別の態様は、少なくとも1つの表面上に本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物でコーティングされたコートされた基材である。
【0015】
さらに別の態様は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の硬化生成物である。
【0016】
本主題の他の特徴および態様は、以下により詳細に説明される。
【0017】
<詳細な説明>
本考察は、例示的な実施態様の説明のみであり、本発明のより広い態様を限定するものではないことは、当業者には理解されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「C〜C20アルキル」は、部分中の炭素原子間に単結合のみを含む一価の直鎖又は分岐部分を意味し、例えば、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−またはC〜C−アルキルである。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルおよびn−エイコシルである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「C〜C20アルケニル基」は、少なくとも1つの不飽和を有する、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味し、例えば、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−またはC〜C−アルケニルである。典型的な例は、ビニル、アリル、1−プロペン−2−イル、1−ブテン−4−イル、2−ブテン−4−イルおよび1−ペンテン−5−イルなどの基である。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「C〜C20アルコキシル」は、基−OR(式中、Rは、上記で定義したC〜C20アルキル)であり、例えば、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−またはC〜C−アルコキシルである。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「C〜C20アリール」は、単環(例えば、フェニル)または多縮合(縮合)環を有する6〜20個の炭素原子の一価の不飽和芳香族炭素環基を意味し、少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニルまたはアントリル)である。好ましい例には、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどが含まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「C〜C22アルキルアリール」は、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチルなどを含む、7〜22個の炭素原子およびアルキル置換基を有するアリール基をいう。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「C〜C20アルキレン」は、部分中の炭素原子間に単結合のみを含む二価の直鎖又は分岐部分を意味し、例えば、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−またはC〜C−アルキレンである。 それらの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン、n−ヘプチレン、2,4,4−トリメチルペンチレン、2−エチルへキシレン、n−オクチレン、n−ノニレン、n−デシレン、n−ウンデシレン、n−ドデシレン、n−ヘキサデシレン、n−オクタデシレンおよびn−エイコシレンである。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「C〜C20アリーレン」は、単環(例えば、フェニレン)または多縮合(縮合)環を有する6〜20個の炭素原子の二価の不飽和芳香族炭素環基を指し、少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチレン、ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレン、またはアントリレン)である。好ましい例としては、フェニレン、ナフチレン、フェナントレニレンなどが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリルオキシ基」とは、アクリルオキシおよびメタクリルオキシ基の両方を表す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、上記の基は、さらに置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、基上の水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、およびモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、およびそれらの保護された誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置換される。アリールが置換される場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルを含む、アリール基に縮合した非芳香族環を形成することができる。
【0027】
全てのパーセンテージ、部および比率は、特に明記しない限り、本発明の組成物の全重量に基づく。記載された成分に関連するすべてのそのような重量は、活性レベルに基づいており、したがって、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0028】
一態様では、本開示は、一般に、以下の成分を含む湿気および放射線硬化性接着剤組成物に関する:
(a)少なくとも1種の式:
【0029】
【化3】
式中、
〜Rは、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R〜Rの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
mは、1〜1000の整数であり、
は、式(2):
(R10(R11(R1213 (2)
で表され、
式中、
10は、C〜C20アルキレンであり、
11は、C〜C21アリーレンであり、
12は、C〜C20アルキレンであり、
13は、(メタ)アクリルオキシであり、
aは、0〜10の整数であり、
bは、0〜10の整数であり、および
cは、0〜10の整数である、
で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
【0030】
(b)少なくとも1種の式:
【0031】
【化4】
式中、
14〜R21は、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R〜Rの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルであり、
nは、1〜1000の整数であり、
およびAは、それぞれ独立して式:
(R22(R23(R2425 (4)
で表され、
式中、
22は、C〜C20アルキレンであり、
23は、C〜C21アリーレンであり、
24は、C〜C20アルキレンであり、
25は、(メタ)アクリルオキシであり、
dは、0〜10の整数であり、
eは、0〜10の整数であり、および
fは、0〜10の整数である、
で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサン;
(c)光開始剤;
(d)湿気硬化触媒;
(e)任意に鎖伸長剤;および
(f)任意に湿気架橋剤
【0032】
<成分(a)>
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物に含まれる湿気および放射線硬化性接着剤組成物の少なくとも1種のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、以下の式で表される。:
【0033】
【化5】
一実施態様では、R〜Rは、それぞれ独立に、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、ただし、R〜Rの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルである。
【0034】
好ましくは、R〜R、RおよびRの少なくとも1つはC〜Cアルコキシルであり、他のR〜Rは、それぞれ独立に、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、およびC〜C16アラルキルからなる群から選択される。より好ましくは、R〜R、RおよびRの少なくとも1つはC〜Cアルコキシルであり、他のR〜Rは、それぞれ独立してC〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシルであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシなどである。
【0035】
1つの好ましい実施態様では、R〜RはC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり、RおよびRはC〜Cアルコキシル、好ましくはメトキシである。
【0036】
別の実施態様において、指数mは、10〜1800、好ましくは100〜800、より好ましくは200〜600の整数である。
【0037】
さらに別の実施態様において、式(2):
(R10(R11(R1213 (2)

で表されるAに関して、
10はC〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R11は、C〜Cアルキレン、好ましくはフェニレンまたはナフタレンである。R12はC〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R13は(メタ)アクリルオキシである。指数aは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、bは0〜5、好ましくは0〜3の整数であり、cは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
【0038】
1つの好ましい実施態様において、R10は、メチレンであり、aは3であり、bおよびcは0であり、したがってAは(メタ)アクリルオキシプロピル基、好ましくはアクリルオキシプロピル基である。
【0039】
別の好ましい実施態様では、R10はエチレンであり、R11はフェニレンであり、R12はメチレンであり、a、bおよびcは1であり、したがってAは(メタ)アクリルオキシメチルフェネチル基であり、好ましくはアクリルオキシメチルフェネチル基である。
【0040】
本発明によれば、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、それぞれ式(1)で表される1種以上のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、それぞれ式(1)で表されるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを1種または2種含有する。
【0041】
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物において、成分(a)は、全成分の総重量に基づき、40〜85重量%、好ましくは45〜80重量%の量で存在する。
【0042】
本発明によるモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、例えば米国特許第6140444号に開示されている該技術分野で公知の慣用の方法によって調製され、その内容はその全体が参照として援用される。
【0043】
より具体的には、成分(a)を調整する方法は、モノシラノール末端化反応物、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシラン、有機リチウム触媒との混合物を形成し、そしてこの混合物を、所望量のシラノールキャッピングが生じるまで湿気非存在下で撹拌しながら反応させる工程を含む。実質的に完全なキャッピングが望ましい場合、アルコキシシランに対するのシラノール基の当量比は、好ましくは約1:0.95〜約1:1.5、より好ましくは約1:1〜約1:1.2である。キャッピングが所望レベルに達した後に反応混合物中に残っている揮発性物質は、減圧下で穏やかに加熱することによって除去することができる。不活性ガスは、揮発性物質の除去中に反応混合物を通過させることができる。
【0044】
シラノール末端反応物は、式(5)内の実質的に任意の有用なシラノール末端材料であり得る。
【0045】
【化6】
式中、
26〜R28は、それぞれ独立に、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、xは約1〜約1,200であり、たとえば、約10〜約1,000である。
【0046】
好ましくは、R26〜R28は、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、およびC〜C16アラルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。より好ましくは、R26〜R28は、それぞれ独立に、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシルから選択され、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等が挙げられる。最も好ましくは、R26〜R28はすべてメチルである。
【0047】
モノ−シラノール末端オルガノポリシロキサンの粘度は、約25℃(室温)の温度でブルックフィールド粘度計を用いて測定して約1cps〜約150,000cps、好ましくは約100cps〜約10,000cpsの範囲内である。
【0048】
(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランとしては、少なくとも2個のアルコキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基を有するシランが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランは、式(5)の少なくとも1つの化合物を含む。
(R29(R30Si(OR314−(a+b) (6)
29〜R31は、それぞれ独立して、C1〜20アルキル、C2〜20アルキルおよびC6〜20アリールからなる群から選択され、好ましくはC1〜6アルキル、C2〜6アルキルおよびC6〜14アリール、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、フェニル、ビニルおよびアリル基が挙げられる。R29およびR30の少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシ基であり、aは0,1または2であり;bは0、1または2であり;a+bは1または2である。
【0049】
本発明に有用な(メタ)アクリルオキシ基を有する代表的なアルコキシシランには、(γ−アクリルオキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシメチル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリルオキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ−メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシメチルフェネチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシメチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−メタクリルオキシプロピル)トリス(メトキシエトキシ)シラン、および(γ−メタクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0050】
好ましくは、(メタ)アクリルオキシ基を有するアルコキシシランは、(γ−アクリルオキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ−アクリルオキシメチル)トリメトキシシランおよびこれらの組み合わせから選択される。
【0051】
有機リチウム試薬は、好ましくは、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、2−エチルヘキシルリチウムおよびn−オクチルリチウムなどのアルキルリチウムである。他の有用な触媒には、フェニルリチウム、ビニルリチウム、リチウムフェニルアセチリド、リチウム(トリメチルシリル)アセチリド、リチウムシラノレートおよびリチウムシロキサノレートが含まれる。有機基は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなどのアミン含有基、またはシリコーン含有基であってもよい。
【0052】
一般に、反応混合物中のリチウムの量は、反応物の重量に基づいて、1ppm〜約1000ppm、好ましくは約5ppm〜約500ppm、例えば約8ppm〜約200ppmである。
【0053】
触媒系に使用される有機リチウム触媒の量は、シラノール基含有反応物の反応性および重合可能なエチレン性不飽和基を含有するアルコキシシランの反応性に依存する。選択される量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0054】
反応後、有機リチウム触媒を二酸化炭素と反応させ、炭酸リチウムとして沈殿させ、遠心分離、濾過などの液体−固体分離手段によって反応混合物から除去することができる。低分子量ヒドロキシルアミンおよび他の低沸点物質は、反応混合物を減圧下で加熱することによって分離することができる。
【0055】
この方法は、ほぼ室温(約25℃)〜約150℃の温度で行うことができる。プロセスが実施される温度は、選択される特定の反応物、触媒系の成分の同一性および量、および反応が進行し得る時間の長さに依存する。
【0056】
<成分(b)>
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物に含まれる湿気および放射線硬化性接着剤組成物の少なくとも1種のジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンは、式:
【0057】
【化7】
で表される。
【0058】
一実施態様では、R14〜R21は、それぞれ独立して、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、
ただし、R〜Rの少なくとも1つは、C〜C20アルコキシルである。
【0059】
好ましくは、R14、R15、R20およびR21の少なくとも1つは、C〜Cアルコキシルであり、他のR14〜R21は、好ましくはそれぞれ独立に、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、およびC〜C16アラルキルからなる群から選択される。より好ましくは、R14、R15、R20およびR21の少なくとも1つは、C〜Cアルコキシルであり、他のR14〜R21は、それぞれ独立して、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシルであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシなどである。
【0060】
1つの好ましい実施態様では、R16〜R19は、C〜Cアルキル、好ましくはメチルであり、R14、R15、R20およびR21は、C〜Cアルコキシル、好ましくはメトキシである。
【0061】
別の実施態様において、指数nは、10〜1800、好ましくは100〜800、より好ましくは200〜600の整数である。
【0062】
さらに別の実施態様において、式(7):
(R32(R33(R3435 (7)
で表されるAおよびAに関して、
32はC〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R33は、C〜Cアルキレン、好ましくはフェニレンまたはナフタレンである。R34はC〜Cアルキレン、好ましくはC〜Cアルキレン、より好ましくはメチレンまたはエチレンである。R35は(メタ)アクリルオキシである。指数dは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、eは0〜5、好ましくは0〜3の整数であり、fは0〜5、好ましくは0〜3の整数である。
【0063】
1つの好ましい実施態様において、R32は、メチレンであり、dは3であり、eおよびfは0であり、したがってAおよびAの少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシプロピル基、好ましくはアクリルオキシプロピル基である。
【0064】
別の好ましい実施態様では、R32はエチレンであり、R33はフェニレンであり、R34はメチレンであり、d、eおよびfは1であり、したがってAおよびAの少なくとも1つは、(メタ)アクリルオキシメチルフェネチル基であり、好ましくはアクリルオキシメチルフェネチル基である。
【0065】
本発明によれば、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、それぞれ式(2)で表される1種以上のジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、それぞれ式(1)で表されるジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを1種または2種含有する。
【0066】
本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物において、成分(b)は、全成分の総重量に基づき、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%の量で存在する。
【0067】
ジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンの調製方法は、モノシラノール末端反応物を式(8)で表されるジシラノール末端反応物に置き換えることによって、上述のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンの調製方法に類似し得る。
【0068】
【化8】
式中、
36およびR37は、それぞれ独立に、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキルおよびC〜C22アラルキルからなる群から選択され、yは約1〜約1,200であり、たとえば、約10〜約1,000である。
【0069】
好ましくは、R36およびR37は、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、およびC〜C16アラルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。より好ましくは、R36およびR37は、それぞれ独立して、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシルから選択され、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等が挙げられる。最も好ましくは、R32およびR33はすべてメチルである。
【0070】
モノ−シラノール末端オルガノポリシロキサンの粘度は、約25℃(室温)の温度でブルックフィールド粘度計を用いて測定して約1cps〜約150,000cps、好ましくは約100cps〜約10,000cpsの範囲内である。
【0071】
<成分(c)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、放射線硬化、好ましくは、十分なUV照射を受けたとき組成物のUV硬化を開始させるための光開始剤をさらに含む。
【0072】
本発明に有用な光開始剤は特に限定されない。適する光開始剤は、限定はされないが、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキサイド、アルファヒドロキシルケトン、アルファアミノケトン、上記化合物の誘導体およびそれらの混合物が含まれる。
【0073】
例示的な光開始剤は、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 651の商標で入手可能)などのベンジルケタール;2,2−ジエトキシアセトフェノン(「DEAP」、First Chemical Corporationから入手可能)などのアセトフェノン誘導体;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(「HMPP」、Ciba Specialty ChemicalsからDarocur 1173の商標で入手可能);1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure184の名で入手可能);2−ベンジル−2−N、N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 369の商標で入手可能);2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 907の商標で入手可能);または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(「TPO」、HMPP(Irgacure 4265)と50/50重量%ブレンドのCiba Specialty Chemicalsから入手可能)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な、Irgacure 1700としてのHMPPと比率に応じてIrgacure 1850または1800としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(または、HCPK)との25/75重量%のブレンド)、またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Ciba Specialty ChemicalsからIrgacure 819の商標で入手可能)などのアシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0074】
好ましい一実施態様では、本発明に有用な光開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、光開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである。
【0075】
本発明による湿気及び放射線硬化性接着剤組成物において、成分(d)は、成分の総重量に基づき、0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の量で存在する。
【0076】
<成分(d)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、湿気の存在下で組成物の湿気硬化を開始させる湿気硬化触媒をさらに含む。
【0077】
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物において典型的に使用される湿気硬化触媒は、湿気硬化を促進するために有用であることが知られているものを含む。触媒は、金属触媒および非金属触媒を含む。本発明に有用な金属触媒の金属部分の例は、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、コバルト鉄、アンチモン、マンガン、ビスマスおよび亜鉛化合物を含む。
【0078】
一実施態様では、組成物の湿気硬化を促進するのに有用なスズ化合物は、これには限定されないが、ジメチルジネオデカノエートスズ(Momentive Performance Materials Inc.からFOMREZ UL−28Aの商品名で入手可能)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトエート、イソブチルスズトリセロエート(isobutyltintriceroate)、ジブチルスズオキサイド、可溶化ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス−トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビスアセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキサイド、カルボメトキシフェニルスズトリスウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジネオデカノエート、酒石酸トリエチルスズ、ジブチルスズジベンゾエート、オレイン酸スズ、ナフテン酸スズ、ブチルスズトリ−2−エチルヘキシルヘキソエート、スズブチレート、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンが含まれる。
【0079】
1つの好ましい実施態様では、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノエートスズ(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−28で入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−32で入手可能)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−38で入手可能)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(Momentive Performance Materials Inc.から商品名FOMREZ UL−50で入手可能)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。より好ましくは、湿気硬化触媒は、FOMREZ UL−28である。
【0080】
本発明による湿気及び放射線硬化性接着剤組成物において、成分(d)は全成分の総重量に基づき、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の量で存在する。
【0081】
<成分(e)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、任意に鎖伸長剤をさらに含むことができる。
【0082】
本発明において有用な鎖伸長剤は、特に限定はなく、メトキシ、エトキシ、トリエトキシシリルエチル末端ポリジメチルシロキサンなどを含むが、これに限定されない。例示的な鎖伸長剤は、DMS−XM11(Gelest、Inc.、Morrisville、Pa。から入手可能)などのメトキシ末端ポリジメチルシロキサン、DMS−EX21(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのジメトキシ(エポキシプロポキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、DMS−XE11(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのエトキシ末端ジメチルシロキサン、およびDMS XT11(Gelest、Inc.、Morrisville、PAから入手可能)などのトリエトキシシリルエチル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0083】
成分(e)は、本発明による湿気および放射線硬化性接着剤組成物の全成分の総重量に基づき、0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%の量で存在する。
【0084】
<成分(f)>
湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、任意に湿気架橋剤を含んでもよい。
【0085】
例示的な湿気架橋剤は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)デカン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール、γ−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートおよびヘキシルトリメトキシシランである。
【0086】
好ましくは、湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、湿気架橋剤を含み、ビニルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、湿気架橋剤は、Dynasylan VTMOの商品名でEvonikから入手可能なビニルトリメトキシシランである。
【0087】
成分(f)は、全成分の総重量に基づき、0〜1重量%、好ましくは0〜0.5重量%の量で存在する。
【0088】
一実施態様では、本発明は、
重量百分率は全ての成分の全重量に基づき、
40〜85重量%、好ましくは45〜80重量%の成分(a);
10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%の成分(b);
0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の成分(c);
0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(d);
1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%の成分(e);および
0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(f)
を含有する湿気および放射線硬化性接着剤組成物を提供する。
【0089】
<その他の成分>
湿気及び放射線硬化性接着剤組成物は、流動性、調剤性、貯蔵安定性、硬化性及び硬化した生成物の物理的性質などのシーラント組成物の特性を改良又は改質するための1種以上の任意の添加剤、樹脂成分などをさらに含んでもよい。
【0090】
必要に応じてシーラント組成物に含まれ得る成分は、例えば、有機または無機充填剤、チキソトロープ剤、希釈剤、改質剤、顔料および染料などの着色剤、防腐剤、安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤などを含有していてもよいが、これに限定されない。
【0091】
本発明に任意に用いることができる適する充填剤は、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、石こう、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性化白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機充填材;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプロピレンなどの有機充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0092】
本発明で任意に用いることができる適するチキソトロピック剤には、タルク、ヒュームシリカ、表面処理された超微粒炭酸カルシウム、アルミナ微粒子、板状アルミナ、モンモリロナイト等の層状化合物、ホウ酸アルミニウムホイスカー等の針状化合物が挙げられるが、これらに限定されない。 タルク、ヒュームシリカおよび微細アルミナが好ましいチキソトロープ剤である。
【0093】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物>
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物は液体の形態であり、組成物のブルックフィールド粘度は好ましくは25℃で約50cps〜約40,000cpsである。このような粘度範囲の液状接着剤組成物は、良好な流動性を有し、基板への塗布や注入が容易である。ここでのブルックフィールド粘度は、25℃でスピンドルを備えたブルックフィールド回転粘度計(BROOKFIELD、USから入手可能なデジタルブルックフィールド粘度計、DV−II+)を用いてASTM D1084−1997によって測定される。試験のためのスピンドルの選択は、接着剤組成物の粘度レベルに依存する。
【0094】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物の調製>
メカニカルスターラー、コンデンサー、温度計、加熱マントル、窒素導入口および添加漏斗を備えたミキサーに成分(a)および(b)を入れ、80℃まで加熱する。内容物を真空下で120rpmで3時間混合し、次いで真空下で室温まで冷却する。次いで成分(c)、成分(d)および任意に(e)および(f)を真空下でミキサーに添加する。すべての成分について1時間混合した後、窒素で真空を中止する。
【0095】
<基板貼り合わせ工程>
本発明の別の態様は、基板を結合する方法であって、
(i)本発明の湿気および放射線接着剤組成物を被接合基板上に塗布する工程、
(ii)結合される基板をラミネートまたは積み重ねてアセンブリを形成する工程、
(iii)アセンブリを光照射する工程;および
(iv)アセンブリを室温に置く工程
を含む方法を提供する。
【0096】
具体的には、本発明による接着剤組成物は、自動ディスペンシングシステムのニードルシリンダーによって所定の経路に従って基材の表面上に加圧下でコーティングすることができる。次に、別の基板を接着剤上にラミネートし、ディスペンサー、例えば、ディスペンサーKAR03(飯沼ゲージ製作所製)を用いて両基板の高低差を制御する。接着剤が接着領域全体で自己平坦化された後、硬化のために光照射が上から下へ行われる。本明細書では、光の照射には、光源(紫外線、可視光など)や高エネルギー線(電子線、α線、γ線、X線など)を用いることができ、好ましくは、約200nm〜約400nmの波長範囲の紫外線である。エネルギー線量は3000mJ/cm以上であり、出力密度は約50〜約100mW/cmである。使用されるUVランプは、Loctite UVALOC 1000のようなものであってもよく、照射時間は、一般に、約5秒〜約120秒であってもよい。
【0097】
周辺領域は不透明部分内にあるので、UV照射によって硬化させることはできない。本発明の接着剤組成物の湿気硬化性に応じて、室温で約24時間保存することにより、さらなる装置および加工の必要もなく、接着部分を完全に硬化させることができる。
【0098】
<硬化した接着剤生成物>
本発明の別の態様はまた、湿気および放射線硬化性接着剤組成物から製造された硬化接着剤生成物を提供する。
【0099】
驚くべきことに、本発明の接着剤組成物の硬化接着剤生成物は、非常に軟質であり、特に、ショア00硬度が低く、伸びが改善され、それと同時に、高温高湿下での良好な安定性および高い透明性を含む良好な特性を有する。このように、硬化接着剤生成物は、ディスプレイパネル、タッチパネルおよび光学デバイスに使用するのに適しており、収縮を大きく減少させ、ムラ効果を引き起こすことが知られている基板に蓄積された応力を吸収することができる。
【0100】
一実施態様では、組成物の硬化反応生成物は、ASTM D2240に従って測定して25℃で、硬化から7日後に1〜30、好ましくは5〜25のショア00硬度を有する。
【0101】
別の実施態様では、組成物の硬化反応生成物は、ASTM D412に従って測定して25℃で硬化から7日後に100%〜300%、好ましくは110%〜250%の伸び率を有する。
【0102】
<湿気および放射線硬化性接着剤組成物の使用>
本発明の湿気および放射線硬化性接着剤組成物は、ハンドヘルドデバイスおよびディスプレイ(HHDD)用の液体光学透明接着剤(LOCA)として、特に、ディスプレイパネル、タッチパネルおよび光学デバイスの製造における様々な素子の接着またはラミネートに用いることができる。
【0103】
例えば、本発明の湿気及び放射線硬化性接着剤組成物は、透明基板を別の透明基板と接着又はラミネートすること、又は透明基板を不透明基板と接着又はラミネートすることに使用することができる。透明基板は、ガラス及び透明プラスチック等を含み、不透明基板は、金属、不透明プラスチック、セラミック、石、革及び木材等を含む。プラスチックは、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)またはポリエステル(PET)などであってもよい。
【実施例】
【0104】
<例>
<MDMA−1000の合成>
メカニカルスターラー、加熱マントル、スパージチューブおよび温度計を備えた5リットルの4つ口丸底フラスコに、2425gのω−ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(粘度が1000cpsであり、AB Specialty SiliconesからMOH 1000の商品名で市販されている)を入れた。流体を60℃の温度に加熱し、窒素で30分間スパージした後、さらに30分間真空にして、水および二酸化炭素などの揮発性成分を除去した。γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(「APTMS」、36g、Gelestから市販されている)およびヘキサン溶液中のn−ブチルリチウム(1.6M;1.89ml、Sigma−Aldrichから市販されている)を順次反応器に添加した。混合物を60℃の温度で3時間真空下に維持した。次いで、ドライアイス(1g)を反応混合物に添加して触媒をクエンチした。混合物を真空ストリッピングして揮発性成分を除去した。最終生成物はモノアクリルオキシプロピルジメトキシシリル末端PDMSであり、本発明ではMDMA−1000と称する。
【0105】
<MDMA−100の合成>
メカニカルスターラー、加熱/冷却ジャケットを備えた1ガロンの反応器に2500gのω−ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(粘度100cpsを有し、AB Specialty Siliconesから商品名MOH100として市販されている)を充填した。流体を80℃の温度に加熱し、60分間真空にし、水および二酸化炭素などの揮発性成分を除去した。APTMS(111g、Gelestから市販されている)およびヘキサン溶液中のn−ブチルリチウム(1.6M;2.0ml、Sigma−Aldrichから市販されている)を順次反応器に添加した。混合物を真空下、3時間80℃の温度に維持した。次いで、ドライアイス(1g)を反応混合物に添加して触媒をクエンチした。混合物を真空ストリッピングして揮発性成分を除去した。最終生成物はモノアクリルオキシプロピルジメトキシシリル末端PDMSであり、本発明ではMDMA−100と称する。
【0106】
<DMA−4000の合成>
メカニカルスターラー、加熱/冷却ジャケットを備えた1ガロンの反応器に2300gのα、ω−ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(4000cpsの粘度を有し、Emerald Performance MaterialsからMasil SFR 3500の商品名で市販されている)を入れた。流体を60℃の温度に加熱した。60分間真空にし、水および二酸化炭素などの揮発性成分を除去した。APTMS(65g、Gelestから市販されている)およびヘキサン溶液中のn−ブチルリチウム(1.6M;1.8ml、Sigma−Aldrichから市販されている)を順次反応器に添加した。混合物を60℃の温度で3時間真空下に維持した。次いで、ドライアイス(1g)を反応混合物に添加して触媒をクエンチした。混合物を真空ストリッピングして揮発性成分を除去した。最終生成物は、ジアクリルオキシプロピルジメトキシシリル末端PDMSであり、本発明ではDMA−4000と呼ばれる。
【0107】
<DMA−6000の合成>
メカニカルスターラー、加熱/冷却ジャケットを備えた2ガロンの反応器に、4932.5gのα,ω−ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(6000cpsの粘度を有し、Emerald Performance MaterialsからMasil SFR 6000の商品名で市販されている)を入れた。流体を50℃の温度に加熱し、60分間真空にし、水および二酸化炭素などの揮発性成分を除去した。APTMS(65g、Gelestから市販されている)およびヘキサン溶液中のn−ブチルリチウム(1.6M;3.9ml、Sigma−Aldrichから市販されている)を順次反応器に添加した。混合物を真空下、50℃の温度で4時間維持した。次いで、ドライアイス(1g)を反応混合物に添加して触媒をクエンチした。混合物を真空ストリッピングして揮発性成分を除去した。最終生成物は、ジアクリルオキシプロピルジメトキシシリル末端PDMSであり、本発明では、DMA−6000と称される。
【0108】
<鎖伸長剤の合成>
メカニカルスターラー、加熱/冷却ジャケットを備えた2ガロンの反応器に4400gのα,ω−ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(粘度70cpsを有し、Masil SFR 70の商品名でEmerald Performance Materialsから市販されている)を入れた。流体を60℃の温度に加熱し、60分間真空にし、水および二酸化炭素などの揮発性成分を除去した。ジメチルジメトキシシラン(320g、Gelestから市販されている)およびヘキサン溶液中のn−ブチルリチウム(1.6M;3.64ml、Sigma−Aldrichから市販されている)を順次反応器に添加した。混合物を窒素保護下、60℃の温度で3時間維持した。次いで、ドライアイス(1g)を反応混合物に添加して触媒をクエンチした。混合物を真空ストリッピングして揮発性成分を除去した。実施例では、最終生成物を鎖伸長剤として使用する。
【0109】
上記の調製方法に従って、本発明による接着剤組成物および比較例を得た。成分の名前と量は表1に記載する。
【0110】
【表1】
光開始剤:Darocur 1173の商品名でCiba Specialty Chemicalsから市販されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
湿気触媒:Momentive Performance Materials Inc.からFOMREZ UL−28の商品名で市販されているジメチルジネオデカノエートスズ
鎖伸長剤:上記のように合成されたメトキシ基でエンドキャップされた直鎖状構造のPDMS
湿気架橋剤:Dynasylan VTMOの商品名でEvonikから入手可能なビニルトリメトキシシラン
【0111】
テストのために、全ての成分(総量約50グラム)をプラスチックジャーに添加し、次いで毎回3000rpmで30秒間スピードミキサーで3回スパンした。32グラムの材料を両側面にポリエチレンフィルムとガラスの一片を有する6インチ×6インチの金属フレームに注ぎ、続いて75mW/cmのUVA強度で両面から60秒間UV暴露した。ポリエチレンフィルムを剥がし、テストすべき硬化生成物を25℃、50%相対湿度の部屋に7日間保持した。
【0112】
表1の組成物の硬化生成物のASTM D2240による硬度およびASTM D412による伸びを表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
表1に示すように、例A〜Fは、少なくとも1種のモノ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンおよび少なくとも1種のジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンを有する接着剤組成物の本発明の例である。例Gは、1つのジ(メタ)アクリルオキシ末端ポリオルガノシロキサンのみを含み、従来の接着剤配合物の典型的な例である比較例として記載される。
【0115】
表2に示すように、例A〜Fの硬化生成物のショア00硬度の結果は、従来のUVおよび湿気硬化性シリコーン系接着剤、例えば例Gの範囲(50〜70)よりも著しく低い5〜25の範囲内である。
【0116】
表2において、例A〜Fの硬化生成物の伸長率結果が例Gのものよりもはるかに大きいことも明らかであり、これは本発明の接着剤組成物が従来の配合物よりもはるかに軟質であることを示している。
【0117】
このような優れた結果は、異なる硬化密度を有するシリコーンを組合わせることで、ポリマー中の自由体積をもたらし、二重硬化が完了した後であってもポリマー鎖が動くことを可能にするという仮定に起因すると考えられる。したがって、アセンブリ中および長時間の熱サイクル中に基板に蓄積された応力は、本発明の接着剤によって大きく吸収され、減少することができ、ムラ効果が、回避される。加えて、より柔軟な接着剤は、衝撃吸収材としてディスプレイに使用され、デバイスの耐久性を高めることができる。
【0118】
さらに、本発明の接着剤は、異なる基材に対する良好な接着性、良好な透過率、室温、高温および高湿度下での良好な安定性を含む特性も示した。