(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563535
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】方位角方向及び半径方向分布制御を備えたマルチゾーンガス注入アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20190808BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20190808BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20190808BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20190808BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C16/455
H05H1/24
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-18875(P2018-18875)
(22)【出願日】2018年2月6日
(62)【分割の表示】特願2016-500194(P2016-500194)の分割
【原出願日】2014年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-113448(P2018-113448A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/777,225
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ロゼンゾン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】タンティウォン カイル
(72)【発明者】
【氏名】ヨウシフ イマッド
(72)【発明者】
【氏名】ニャジク ウラジミル
(72)【発明者】
【氏名】キーティング ボジェンナ
(72)【発明者】
【氏名】バンナ セイマー
【審査官】
佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0221149(US,A1)
【文献】
特開昭57−042362(JP,A)
【文献】
特開平10−242129(JP,A)
【文献】
特開平07−161688(JP,A)
【文献】
特開2012−004196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/455
H01L 21/205
H01L 21/31
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマリアクタの上部ライナリングのノズルポケット内に配置するための側面ガス注入ノズルであって、
外側ノズル面を有する円筒状本体と、
円筒状本体のリング半径方向内側端部にオリフィスを形成するガス注入通路と、
円筒状本体のリング半径方向外側の端部近くで円筒状本体を貫通して延在するリング軸方向に延在するガス送出インサート穴と、
リング軸方向に延在するガス送出インサート穴からガス注入通路まで円筒状本体を貫通して延在する内部リング半径方向ノズルガス流通路と、
前記外側ノズル面内かつ円筒状本体と同心の複数のOリングノズル溝と、
円筒状本体のリング半径方向外側端部からOリングノズル溝まで延在する外側ノズル面内のスロット部を含む軸方向排気スロットとを含む側面ガス注入ノズル。
【請求項2】
軸方向排気スロットは、円筒状本体のリング半径方向外側端部と複数のOリングノズル溝のうちの第1の溝との間に延在する第1の軸方向スロット部を含む、請求項1記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項3】
軸方向排気スロットは、複数のOリングノズル溝のうちの第1の溝から複数のOリングノズル溝のうちの第2の溝まで延在する外側ノズル面内の第2の軸方向スロット部を含む、請求項2記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項4】
軸方向排気スロットは、複数のOリングノズル溝のうちの第2の溝から円筒状本体のリング半径方向内側端部に向かって短い距離だけ延在する外側ノズル面内の第3の軸方向スロット部を含む、請求項3記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項5】
軸方向排気スロットは、Oリングノズル溝のうちの第1の溝の内側ノズル溝面内に形成された第1溝軸方向スロット部と、Oリングノズル溝のうちの第2の溝の内側ノズル溝面内に形成された第2溝軸方向スロット部とを含み、前記両ノズル溝面内の前記両スロット部は、複数のOリングノズル溝内で複数のOリングの周囲に排気通路を提供する、請求項1記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項6】
側面ガス注入ノズルは、セラミックス材料を含む、請求項1記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項7】
前記複数のOリングノズル溝内に、前記ノズルポケットの対応するものの内部側壁に対して圧縮された複数のOリングを含む、請求項1記載の側面ガス注入ノズル。
【請求項8】
リング軸方向に延在するガス送出インサート穴は、複数のOリングノズル溝のうちの第1の溝と第2の溝との間に配置されている、請求項1記載の側面ガス注入ノズル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本開示は、半導体ウェハ等のワークピースを処理するためのプラズマリアクタ内の処理ガス分布に関する。
【0002】
背景の説明
プラズマリアクタのチャンバ内における処理ガス分布の制御は、プラズマ処理中にワークピース上のエッチング速度分布又は堆積速度分布のプロセス制御に影響を与える。ガス注入ノズルは、チャンバの中央部と周辺部に配置することができる。チャンバの中央部と周辺部の両方でガス注入を制御することが望ましい。1つの課題は、処理ガス流量の半径方向分布を制御するシステムは、一般的に、処理ガス流量の方位角方向分布を制御しないことである。本明細書で用いるように、用語「方位角」は、円筒状の処理チャンバ内の周方向を指す。別の1つの課題は、側壁近くのガス注入器を用いてガス流量の方位角分布を制御するシステムは、方位角方向に沿った圧力降下に苦しむことである。
【0003】
関連する1つの課題は、半径方向及び方位角方向のガス分布の両方の完全な制御を提供すると同時に、ガス分布の非対称性を回避するような方法で、ガス注入器の異なるゾーンに処理ガスをどのように供給したらよいかである。
【0004】
別の1つの課題は、損傷を与えることなくぴったりとした公差で迅速な分解及び再組み立てを提供する構造において上記の問題のすべてを解決するガス分配システムをどのように提供したらよいかである。
【0005】
1つの層のガス分配通路の形成は、一般的に、チャンバのガス注入器の位置をその1つの層に制限し、これは典型的には平坦であり、チャンバ内のガス流に特に影響を与えない。
【0006】
チャンバ内部と、ワークピース支持体と、調整可能なガスノズルとを有するプラズマリアクタは、(a)側面ガスプレナムと、(b)前記側部ガスプレナムに結合された複数のN個のガス入口と、(c)前記プレナムから半径方向内向きに延びる複数の側部ガス出口と、(d)前記N個のガス入口にそれぞれ結合されたN個の出力を有するN個口ガス流量比コントローラと、(e)M個の出力を有するM個口ガス流量比コントローラであって、前記M個の出力のそれぞれは、前記調整可能なガスノズル及び前記N個口ガス流量比コントローラのガス入力に結合されるM個口ガス流量比コントローラとを含む。
【0007】
一実施形態では、調整可能なガスノズルは、2つのガス入力を有し、Nは4であり、Mは3である。リアクタは、三方ガス流コントローラのガス入力に結合されたガス供給パネルを更に含むことができる。一実施形態では、プロセスコントローラは、M個口ガス流量比コントローラとN個口ガス流量比コントローラに結合され、Mウェイのガス流量比コントローラとNウェイガス流量比コントローラに結合され、ユーザインターフェースは、プロセスコントローラに結合される。
【0008】
一実施形態では、側部ガスプレナムは、複数の組のガス流チャネルを含み、組のガス流チャネルの各々1つは、(a)複数の側部ガス出口の対応する一対に結合された一対の端部を有する円弧状ガス分配チャネルと、(b)円弧状ガス供給チャネルであって、円弧状ガス供給チャネルの一端は、複数のN個のガス入口の対応するものに接続され、円弧状ガス供給チャネルの反対端は、ガス分配チャネルの中間点に近接したガス分配チャネルに結合される円弧状ガス供給チャネルとを含む。
【0009】
関連する一実施形態では、複数の組のガス流チャネルは、それぞれのガス入口とそれぞれの側部ガス出口との間の経路長が等しい。
【0010】
一実施形態では、円筒状側壁は、ライナエッジを含み、プラズマリアクタは、(a)ライナエッジの上方のガス送出リングであって、複数の組のガス流チャネルは、ガス送出リング内に形成されるガス送出リングと、(b)ガス送出リングの上方の上部ライナリングであって、複数の側部ガス出口は、上部ライナリング内へ延び、上部ライナリングは、チャンバ内部に対向する上部ライナリング面を含む上部ライナリングとを含む。
【0011】
関連する一実施形態では、複数の側部ガス出口の各々は、(a)上部ライナリング内でチャンバ内部へ向かって半径方向に延び、軸方向に延びるガス送出インサート収容穴を含む側部ガス注入ノズルと、(b)ガス送出リングから軸方向へ延びるガス送出インサート収容穴内へ延びるガス送出インサートを含む。
【0012】
プラズマリアクタは、ガス送出インサート内の軸方向内部ガス流路と、軸方向に延びるガス送出インサート穴の側壁を貫通する半径方向内部ガス流ノズル通路を更に含むことができ、軸方向内部ガス流路は、半径方向内部ガス流ノズル通路と整合している。
【0013】
一実施形態では、上部ライナリングは、上部ライナリング面内に複数のノズルポケットを含み、側部ガス注入ノズルは、ノズルポケットの対応するものの中へ延びている。更に、側部ガス注入ノズルは、側部ガス注入ノズルと同心の複数のOリングノズル溝を含み、プラズマリアクタは、複数のOリングノズル溝内にノズルポケットの対応するものの内部側壁に対して圧縮された第1の複数のOリングを更に含む。
【0014】
一実施形態では、側部ガス注入ノズルは、(a)円筒状外側ノズル面であって、Oリングノズル溝が円筒状外側ノズル面に対して窪んでいるノズル溝面を画定する円筒状外側ノズル面と、(b)軸方向排気スロットであって、ノズルポケット内部で側部ガス注入ノズルの一端で始まる円筒状外側ノズル面内のスロット部と、ノズル溝面内のスロット部とを含む軸方向排気スロットとを更に含む。
【0015】
更なる一実施形態では、円筒状外側ノズル面とノズルポケットの対応するものの内部側壁との間にギャップが存在し、ノズル溝面内のスロット部は、第1の複数のOリングの周りに排気経路を提供し、円筒状外側ノズル面内のスロット部は、ギャップへの排気経路を提供する。
【0016】
一実施形態では、上部ライナリングは、ガス送出リングに対向する複数のガス送出インサートポケットを更に含み、ガス送出インサートの一部は、ガス供給インサートポケットの対応するものの中へ延びる。同実施形態では、ガス送出インサートは、ガス送出インサートと同心の複数のOリングインサート溝を含み、プラズマリアクタは、複数のガス送出インサートポケットの対応するものの内部側壁に対して圧縮された複数のOリングインサート溝内の第2の複数のOリングを更に含む。
【0017】
一実施形態では、複数のガス出口の各々は、ガス送出インサートの軸方向内部ガス流路に延びるガス送出リング内の軸方向ポートを更に含む。
【0018】
一実施形態では、側部ガス注入ノズルは、セラミックス材料を含み、ガス送出リング及びガス送出インサートは、鋼を含み、上部ライナ面及び円筒状側壁は、陽極酸化材料又はイットリアを含む保護層を含む。
【0019】
更なる一態様では、複数のノズルポケットを含む上部ライナリングと、ノズルポケット内に延びる複数の側部ガス注入ノズルであって、複数の側部ガス注入ノズルの各々は、(a)外側ノズル面と、外側ノズル面内にあり、側部ガス注入ノズルと同心である複数のOリングノズル溝と、(b)ノズルポケットの対応するものの内部側壁に対して圧縮された複数のOリングノズル溝内の第1の複数のOリングとを含む複数の側部ガス注入ノズルとを含む側部ガス注入キットが提供される。
【0020】
一実施形態では、側部ガス注入ノズルは、(a)外側ノズル面に対して窪んでおり、Oリングノズル溝内に形成されたノズル溝面と、(b)ノズルポケット内部で側部ガス注入ノズルの一端から始まる円筒状外側ノズル面内のスロット部と、ノズル溝面内のスロット部とを含む軸方向排気スロットとを更に含む。
【0021】
関連する一実施形態では、側部ガス注入キットは、円筒状外側ノズル面とノズルポケットの対応するものの内部側壁との間にギャップを更に含み、ノズル溝面内のスロット部は、第1の複数のOリングの周囲に排気経路を提供し、円筒状外側ノズル面内のスロット部は、ギャップへの排気経路を提供する。
【0022】
更なる関連する一実施形態では、側部ガス注入キットは、更に、(a)上部ライナリン
グ内の複数のガス送出インサートポケットと、(b)ガス送出インサートポケット内へ延
びる複数のガス送出インサートと、(c)ガス送出インサートと同心の複数のOリングイ
ンサート溝の各々と、複数のガス送出インサートポケットの対応するものの内部側壁に対
して圧縮される複数のOリングインサート溝内の第2の複数のOリングとを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の例示的な実施形態が達成される方法を詳細に理解することができるように、上
記で簡単に要約した本発明のより詳細な説明を、添付図面に示されるその実施形態を参照
して得ることができる。特定の周知のプロセスは、本発明を不明瞭にしないために、本明
細書で説明されていないことを理解すべきである。
【
図4】
図3の実施形態用の側部ガス送出キットを示す。
【
図5】
図4の側部ガス送出キットの切欠断面図である。
【
図8】底部ライナによって囲まれたワークピース支持台を示す。
【
図13】それぞれガス送出リングの上面図及び底面図である。
【
図17】
図6のガス送出インサートの拡大図である。
【
図19】
図4の実施形態で使用されたガス送出ブロックを示す。
【
図21】
図4のガス分配リング、上部ライナリング、注入ノズル、及びガス分配インサートの分解アセンブリを示す。
【0024】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0025】
図1は、一実施形態の簡略化したブロック図である。
図2の立面図に示されるプラズマリアクタチャンバ100は、チャンバ容積104を画定する円筒状側壁102によって囲まれる。ワークピース支持台106は、チャンバ容積内部にあり、
図2に示される台座リフト機構108上に載る。
図2に示されるように、調整可能なガスノズル110が、チャンバ100の天井112の上に取り付けられ、それぞれチャンバ100の中央及び側部へ向かってガスを注入する中央ガスノズル114及び側部ガスノズル116を有する。中央及び側部ガスノズル114、116は、
図1においてそれぞれ「ノズル1」及び「ノズル2」とラベル付けされたガス供給ライン114a、116aによって独立して提供される。円形側部ガス注入プレナム118は、4つのガス入口120で処理ガスを受け、複数のガス出口122でチャンバ内に処理ガスを注入する。
図1に示されるように、4つのガス入口120は、
図1で「側部ガス1」、「側部ガス2」、「側部ガス3」、及び「側部ガス4」とラベル付けされた4つの供給ラインにそれぞれ接続され、これらは四方ガス流量比コントローラ124の4つの出力によって提供される。四方ガス流量比コントローラ124の入力及びガス供給ライン114a及び116aは、三方ガス流量比コントローラ126のそれぞれの出力から処理ガスを受ける。ガス供給パネル128は、三方ガス流量比コントローラ126の入力へ処理ガスを供給する。ユーザインターフェース132を有するコントローラ130は、ガス流量比コントローラ124及び126を管理する。
【0026】
チャンバ100内のガス注入パターンは、中央ガスノズル114によって管理される中央ゾーン、側部ガスノズル116によって管理される内側ゾーン、及びガス出口122によって管理される周縁ゾーンを含む3つの同心ゾーンを有する。ユーザは、三方ガス流量比コントローラ126を制御することによって、3つの同心ゾーンの間のガス流量比を調整することができる。また、ユーザは、四方ガス流量比コントローラ124を制御することによって、方位角方向(周方向)のガス分布を管理することができる。利点は、ガス流量比コントローラ124及び126は、ガス流の半径方向分布とガス流の方位角方向分布の両方の同時独立制御を提供することである。更なる利点は、チャンバ周縁部のガス出口122は、並列に提供され、圧力損失は、方位角方向に均一に分布されることである。
【0027】
図3は、8つのガス出口122がある一実施形態を示す。他の実施形態では、任意の他の適切な数のガス出口を使用することができる。
図3の実施形態では、
図1のプレナム118は、各々の対が円弧状ガス分配チャネル136及び円弧状ガス供給チャネル138を含む4対の再帰的なガス流チャネル内に具現化される。4対の再帰的なガス流チャネル136、138は、ガス入口120とガス出口122の間に並列な経路を提供する。
図3の8つのガス出口122の各々の対は、再帰的なガス流チャネル136、138の対応する対を介して対応するガス入口120から供給される。各ガス分配チャネル136は、ガス出口122の対応する対に接続された端部の対を有し、対応する円弧状ガス供給チャネル138の一端、対応するガス入口120に接続されたガス供給チャネル138の他端によってその中央で供給される。
【0028】
図4は、
図3の実施形態のための側部ガス送出キットを示し、上部ライナリング140、底部ライナ142、及び上部ライナリング140と底部ライナ142の間のガス送出リング144を含む。底部ライナ142は、
図3の側壁102を含む。ガス送出リング144は、より詳細に後述するように、
図3の再帰的なガス流チャネル136、138を含む。
図5は、
図4の側部ガス送出キットの切欠断面図であり、ガス送出リング144から上部ライナリング140内へ延びるガス送出インサート146を示し、上部ライナリング140内に注入ノズル148を更に示す。
【0029】
図6は、
図5の一部の拡大図であり、ガス送出インサート146及び注入ノズル148をより詳細に示している。ガス送出インサート146は、ガス送出リング144上に支持される。ガス送出インサート146は、以下でより詳細に説明するように、対応するガス分配チャネル136の一端に結合された内部軸方向インサートガス流通路150を有する。ガス送出インサート146の最上部は、注入ノズル148の半径方向外端部近くの注入ノズル148内側で受けられる。注入ノズル148は、内部軸方向インサートガス流通路150と連通する内部半径方向ノズルガス流通路152を有する。注入ノズル148の半径方向内端部は、チャンバ100の内部に開放している。
図3の実施形態内の各ガス出口122は、
図6の対応する注入ノズル148及び対応するガス送出インサート146によって実施される。
【0030】
図7は、底部ライナ142を示す。
図8は、ワークピース支持台が底部ライナ142によってどのように囲まれるかを示す。底部ライナ142は、ウェハ搬送のための3つの対称的に配置されたスリット開口部154を有する。
【0031】
図9は、上部からの上部ライナリング140の図を示し、一方、
図10は、底部からの上部ライナリング140の図を示す。上部ライナリング140は、環状底面156を有し、そこから注入ノズル148がチャンバ100内に開放する。環状底面156は、凹面であり、上部ライナリング140の上部で、底部ライナ142に従う尾根部158の半径と開口部160の内径との間に推移部を提供する。環状底面156の曲率は、各注入ノズル148からワークピースへ向かうガス流を促進することができる。
【0032】
図11は、
図10の一部の拡大図であり、上部ライナリング140内に形成された8つの中空ノズルポケット164のうちの1つと、上部ライナリング140内に形成された8つの中空ガス送出インサートポケット166のうちの1つを示す。
図6に示される注入ノズル148は、後述するように、ノズルポケット164の内部に保持されている。
図6に示されるガス送出インサート146の一部は、後述するように、ガス送出インサートポケット166の内部に保持されている。
図11に示されるように、ノズルポケット164は、円筒形であり、半径方向に延び、環状底面156内に開口部164aを形成する。ガス送出インサートポケット166は、上部ライナリング140の周縁部172から外向きに延びる棚部170内に形成される。
【0033】
図12及び
図13は、それぞれガス送出リング144の上面図及び底面図である。
図12は、ガス送出リング144内の4つのガス分配チャネル136及び4つのガス供給チャネル138の構成を示す。各ガス供給チャネル138は、対応するガス入口120からガスを受ける。各ガス入口120(
図3)は、ガス送出リング144の周縁部144−2から延びるタブ144−1内に形成された軸方向ポート120−1(
図13)を含む。軸方向ポート120−1は、タブ144−1の底面を貫通して開放する。半径方向に延びるガス入口チャネル120−2(
図12)は、軸方向ポート120−1とガス供給チャネル138の一端138−1との間に結合される。ガス供給チャネル138の反対端138−2は、ガス分配チャネル136の中間に結合される。ガス分配チャネル136の各端部136−1及び136−2は、軸方向ガス出口122’で終端を迎える。軸方向ガス出口122’は、
図6に示されるように、ガス送出インサート146の内部軸方向インサートガス流通路150の底部に結合される。このようにして、4つのガス分配チャネル136は、8つのガス送出インサート146を供給する。図示の実施形態では、ガス流チャネル136、138のそれぞれの組に供給する各々のタブ144−1内に2つの軸方向ガスポート120−1がある。図示の実施形態では、ガス分配チャネル136とガス供給チャネル138は、円筒状側壁102と同心である円弧状経路をたどる。ガス分配チャネル136、ガス供給チャネル138、及び半径方向ガス入口チャネル120−2は、ガス入口120とガス出口122の間に長さの等しいそれぞれの経路を提供する。等しい経路長の利点は、様々な経路の間のガス流抵抗の不均一性の削減であり、より良好なプロセス制御を与える。
【0034】
図14は、
図12の線14−14に沿った拡大断面図であり、ガス送出リング144内に形成され、ガスチャネルカバー171によって覆われるガス分配チャネル136のうちの1つを示す。
図14は、ガス分配チャネル136の一端とガス出口122’との間の交点を更に示す。
【0035】
図6の注入ノズル148は、
図15に詳細に示され、
図16に断面が示される。注入ノズル148は、内部半径方向ノズルガス流路152が円筒状本体180の半径方向内端部180aでオリフィス184を形成するガス注入通路182まで貫通して延びる円筒状本体180を有する。軸方向に延びるガス送出インサート穴186は、その半径方向外端部180bの近くで円筒状本体180を貫通して形成の近くに形成される。ガス送出インサート146は、ガス送出インサート穴186内で受けられる。円筒状本体180と同心の第1のOリング溝188は、円筒状本体180の半径方向外端部180bの近くに形成され、第1のOリング溝内面188aを画定する。円筒状本体180と同心の第2のOリング溝190は、第1のOリング溝188と半径方向内端部180aとの間の円筒状本体180内に形成され、第2のOリング溝内面190aを画定する。軸方向排気スロット192は、円筒状本体180の表面に形成され、半径方向外端部180bと第1のOリング溝188との間の第1スロット部192−1、第1及び第2のOリング溝188及び190間の第2のスロット部192−2、及び第2のOリング溝190から半径方向内端部180aに向かって短い距離延びる第3のスロット部192−3を含む。軸方向スロット192は、第1のOリング溝内面188a内の第1溝軸方向スロット部192−4と、第2のOリング溝内面190b内の第2溝軸方向スロット部192−5を更に含む。
図6に示されるように、Oリング194は、第1及び第2のOリング溝188及び190内に挿入される。円筒状本体180とノズルポケット164の内面との間には、ノズル−ポケット間の小さなクリアランス又はギャップがある。軸方向スロット192は、注入ノズル148の半径方向外端部180bとノズルポケット164の後壁部164b(
図11)の間に閉じ込められたガスのノズル−ポケット間ギャップを介した排気を可能にする。軸方向スロット192は、排気される空気がOリング194を迂回することを可能にする。
【0036】
図17は、
図6に示されるガス送出インサート146を示す。
図18は、
図17に対応する断面図である。
図17及び
図18を参照すると、ガス送出インサート146は、ほぼ平坦なインサートベース204上に支持される円筒状インサートポスト202を含む。
図6に示される内部軸方向インサートガス流路150は、円筒状インサートポスト202を貫通して延びる。円筒状インサートポスト202を貫通するガス出口205a及び205bは、内部軸方向インサートガス流路150と交差する。
図6の組立体を形成する際に、円筒状インサートポスト202(
図18)は、ガス出口205a及び205bが
図6の内部半径方向ノズルガス流路152と整合するまで、
図16の注入ノズル148のガス送出インサート穴186内に挿入される。
【0037】
円筒状インサートポスト202は、Oリング209(
図6)を内部で受ける円筒状インサートポスト202と同心であるOリング溝206、208を有する。ガス入口穴186(
図16)の内面186aは、インサートポスト202をガス入口穴186内へ挿入する際に、Oリング209が押圧されるOリングシール面である。Oリング溝210(
図18)は、円筒状インサートポスト202の底部の周りでインサートベース204の上面に形成されている。Oリング溝212(
図18)は、円筒状インサートポスト202と同心のインサートベース204の底面に形成されている。Oリング216(
図6)は、上部ライナリング140に対してガス送出インサート146を取り付けるためのOリング溝212内に保持される。Oリング214(
図6)は、ガス送出リング144上にインサートベース204を取り付けるためのOリング溝210内に保持される。
【0038】
上記
図12及び
図13の記載は、各々のタブ144−1がタブ144−1の底面で開放している一対のガス入口ポート120−1を支持するガス送出リング144の2つのタブ144−1を指す。
図19及び
図20は、タブ144−1の底面に締結し、ガス送出ブロック220のタブ144−1への接合の際に、ガス入口ポート120−1の対に合う一対のガス入口ステム222を有するガス送出ブロック220を示す。ガス入口ステム222の図示の対は、四方ガス流量比コントローラ124の2つの出力への接続を提供する。
【0039】
ガス流の半径方向分布は、三方ガス流量比コントローラ126を制御することによって調整される。独立して、方位角方向ガス分布は、四方ガス流量比コントローラ124を制御することによって調整される。利点は、ガス流量比コントローラ124及び126は、ガス流の半径方向分布とガス流の方位角方向分布の両方の同時独立制御を提供することである。更なる利点は、チャンバ周辺部のガス出口122は並列に供給され、圧力損失が方位角方向に均一に分布することである。この後者の特徴は、方位角方向のガス分布の制御を簡素化する。
【0040】
ガス注入インサート146は、上部ガスリング140の凹面156内で注入ノズル148の位置を促進する。側部からのガス注入は、注入ノズル148が上部ライナリング140の凹面156内に位置し、注入されたガスは凹面156によって導かれるので、最適化される。上部ガスリング140及び注入ノズル148は、4つの対の再帰的なガス流チャネル136、138を含むガス送出リング144の上方の平面内に位置する。注入ノズル148の平面とガス送出リング144との間のギャップに及ぶガス流路は、ガス送出インサート146によって提供される。
【0041】
図21及び
図22を参照すると、上部ライナリング140、ガス送出リング144、8つのガス送出インサート146、及び8つの注入ノズル148は、別々の部品であり、これは、材料の選択が各々の個々の部品に対して最適化されることを可能にし、効率的なモジュール組み立てを促進する。一実施形態では、ガス送出リング144は、処理ガスに接触するが、プラズマには接触しない。したがって、それらは、いくつかの例として、プラズマプロセス(例えば、プラズマ強化反応性イオンエッチングプロセス、又はプラズマ強化化学気相堆積プロセス)内で使用される処理ガスに適合性のあるセラミックス材料(又はステンレス鋼又は他の適当な材料)で形成される。注入ノズル148は、チャンバのプラズマ処理ゾーンに面し、したがって、プラズマへの曝露に適合性のある材料(例えば、セラミックス材料)で形成される。上部ライナリング140と底部ライナ142は、プラズマへの曝露に一般的に適合性の無い材料で形成することができる。材料のプラズマへの曝露を避けるために、側壁102の内側表面と上部ライナリング140の環状底面156は、プラズマへの曝露に適合性のある保護層で覆われている。側壁102及び上部ライナリング140は、アルミニウムで形成することができ、それらの保護コーティングは、イットリアを含むことができるか、陽極酸化により形成することができる。
【0042】
モジュラー部品は、部分的に上述のOリングにより生じる保護のため、部品間の密接な嵌合を可能にしながら、様々な部品を損傷することなく、
図21及び
図22に描かれた方法で、簡便かつ反復的に組み立てられ、分解されることができる。具体的には、
図6のOリング194は、ノズルポケット164内へのそれらの挿入の間、注入ノズル148を保護する。ガス送出インサート146上のOリング209は、注入ノズル148内のインサート収容穴186内へのインサート146の挿入中に注入ノズル148をガス送出インサートから保護する。Oリング194及び209は、一実施形態では、弾性的に圧縮可能である。
【0043】
図21及び
図22内の組み立て手順は、上部ライナリング140内のノズルポケット1
64内に注入ノズル148を挿入する工程と、ガス送出リング144上にガス送出インサ
ート146を取り付ける工程と、その後、ガス送出インサート146をそれぞれのインサ
ート収容穴186内に挿入するようにガス送出リング140と上部ライナリング140を
一緒にする工程を伴う。
【0044】
図示された実施形態は、8つの注入ノズル148を含む四方対称性を例示しているが、異なる数の注入ノズル148を含む他の対称性を採用してもよい。
【0045】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。