【文献】
REGISTRY(STN)[online],2008.09.17[検索日 2018.07.24],CAS登録番号 1049791-91-4
【文献】
REGISTRY(STN)[online],2005.06.16[検索日 2018.07.24],CAS登録番号 852409-86-0
【文献】
REGISTRY(STN)[online],2004.07.13[検索日 2018.07.24],CAS登録番号 708978-88-5
【文献】
REGISTRY(STN)[online],1986.07.26[検索日 2018.07.24],CAS登録番号 103349-77-5
【文献】
Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic chemistry,1998年,No.5,p.915-923
【文献】
The Journal of Organic Chemisry,2004年,Vol.69, No.23,p.8144-8147
【文献】
Journal of Heterocyclic Chemistry,2006年,Vol.43, No.6,p.1497-1503
【文献】
Spectrochimica Acta, Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy,2013年,No.103,p.62-67
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明は、これによって制限されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0019】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1〜C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C1〜C10アルキルシリル基、C3〜C30シクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C1〜C20アルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などのC1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。
【0020】
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、一つの作用基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0021】
本明細書で「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0022】
前記アルキル基は、C1〜C20であるアルキル基であってもよい。より具体的に、アルキル基は、C1〜C10アルキル基またはC1〜C6アルキル基であってもよい。例えば、C1〜C4アルキル基は、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されるものを示す。
【0023】
前記アルキル基は、具体的な例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0024】
本明細書で「アリール(aryl)基」とは、環状である置換基のすべての元素がp−オービタルを有しており、これらのp−オービタルが共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、モノサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)作用基を含む。
【0025】
本明細書で「ヘテロ環」とは、アリール基またはシクロアルキル基のような環化合物内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有し、残りは炭素であるものを意味する。特に、前記アリール基にヘテロ原子が含まれている場合、「ヘテロアリール基」と命名する。前記ヘテロ環が融合環である場合、前記ヘテロ環全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0026】
より具体的に、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基および/または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリレン基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp−ターフェニル基、置換もしくは非置換のm−ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合であってもよいが、これに制限されない。
【0027】
本明細書で、単一結合とは、炭素または炭素以外のヘテロ原子を経由せずに直接連結される結合を意味し、具体的に、Lが単一結合であるという意味は、Lと連結される置換基が中心コアに直接連結されることを意味する。つまり、本明細書で「単一結合」とは、炭素を経由するメチレンなどを意味するものではない。
【0028】
本明細書で、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成することができる特性をいい、HOMO準位に応じて伝導特性を有して陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0029】
また電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けることができる特性をいい、LUMO準位に応じて伝導特性を有して陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る有機化合物を説明する。
【0031】
本発明の一実施形態では、下記の化学式1で表される化合物を提供することができる。
【0033】
前記化学式1中、
X
1〜X
10は、それぞれ独立して、N、CまたはCR
aであり、
X
1〜X
10のうちの少なくとも一つは、Nであり、
Zは、N−L
4−R
b、O、
またはSであり、
L
1〜L
4は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキレン基、置換もしくは非置換のC3〜C30シクロアルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレンアミン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシレン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アリールオキシレン基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルケニレン基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルキニレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R
1〜R
3、およびR
a〜R
fは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールアミン基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルコキシカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のC7〜C30アリールオキシカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のC1〜C30スルファモイルアミノ基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2〜C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC3〜C40シリル基、置換もしくは非置換のC3〜C40シリルオキシ基、置換もしくは非置換のC1〜C30アシル基、置換もしくは非置換のC1〜C20アシルオキシ基、置換もしくは非置換のC1〜C20アシルアミノ基、置換もしくは非置換のC1〜C30スルホニル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキルチオール基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールチオール基、置換もしくは非置換のC1〜C30ウレイド基、置換もしくは非置換のC5〜C40融合環、ハロゲン基、ハロゲン含有基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フェロセニル基、またはこれらの組み合わせであり、
R
1〜R
3は、それぞれ独立して存在したり、R
1〜R
3のうちの隣接したいずれか二つの基が互いに融合して環を形成する。
【0034】
前記本発明の一実施形態に係る化合物は、アクリジン誘導体と6角環が融合された構造を含むことによって、分子内で正孔と電子の流れを調節可能になり、そのため、前記化合物を適用した有機光電子素子の高効率、長寿命の長所および低電圧で駆動可能な特性を有することができる。
【0035】
特に前記化合物は、優れた電荷輸送特性を有し、ドーパントの吸収スペクトルと重畳(overlap)が良好に行われるため、高効率、長寿命、そして低電圧で駆動可能な特性が極大化することができる。
【0036】
具体的に、前記前記X
2〜X
10のうちの少なくとも一つは、Nであってもよい。
【0037】
前記化学式1は、例えば、下記の化学式2〜化学式14のうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0039】
前記化学式2〜14中、X
1〜X
10はCまたはCR
aであり、
Zは、N−L
4−R
bであり、L1〜L
4、R
1〜R
3、R
a、およびR
bは、前述したとおりである。
【0040】
正孔と電子のバランスは、X
1〜X
10のうちの少なくとも二つがNである場合にさらに優れているため、前記化学式2〜5で表される化合物が適用された有機光電子素子の場合、効率、駆動電圧の面で特にさらに優れた特性を示す。
【0041】
前記化学式1は、例えば、下記の化学式15〜化学式27のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0043】
前記化学式15〜化学式27中、
Zは、N−L
4−R
bであり、
L
1およびL
4は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
1およびR
bは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC5〜C40融合環、またはこれらの組み合わせである。
【0044】
L
1およびL
4は、それぞれ独立して、単一結合であるか、または下記グループIに羅列された置換もしくは非置換の基から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0046】
前記グループI中、*は、連結地点である。
【0047】
前記R
1およびR
bは、それぞれ独立して、水素、重水素、または下記グループIIに羅列された置換もしくは非置換の基から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0049】
前記グループII中、
RおよびR’は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、*は、連結地点である。
【0050】
前記化学式1のZは、N−L
4−R
bであり、前記R
bは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC5〜C40融合環、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
前記化合物は、例えば、下記グループIIIに羅列された化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0064】
前述した化合物は、有機光電子素子用であってもよい。
【0065】
以下、前述した化合物を適用した有機光電子素子について説明する。
【0066】
本発明の他の一実施形態では、互いに向き合う陽極および陰極と、前記陽極と前記陰極との間に位置する少なくとも一層の有機層と、を含み、前記有機層は、前述した化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0067】
前記有機層は、発光層を含み、前記発光層は、本発明の化合物を含むことができる。
【0068】
具体的に、前記化合物は、前記発光層のホストとして含まれてもよい。
【0069】
また、本発明の一実施形態で、前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも一つの補助層を含み、前記補助層は、前記化合物を含む有機光電子素子であってもよい。
【0070】
前記有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーを相互変換することができる素子であれば特に限定されず、例えば、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0071】
ここでは、有機光電子素子の一例である有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0072】
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子を示す断面図である。
【0073】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機発光素子00は、互いに向き合う陽極120および陰極110と、陽極120と陰極110との間に位置する有機層105と、を含む。
【0074】
陽極120は、例えば、正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が高い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陽極120は、例えば、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金が挙げられ、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物が挙げられ、ZnOとAlまたはSnO
2とSbのような金属と酸化物の組み合わせが挙げられ、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されない。
【0075】
陰極110は、例えば、電子注入が円滑に行われるように仕事関数が低い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陰極110は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金が挙げられ、LiF/Al、LiO
2/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF
2/Caのような多層構造の物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0076】
有機層105は、前述した化合物を含む発光層130を含む。
【0077】
発光層130は、例えば、前述した化合物を単独で含むこともでき、前述した化合物のうちの少なくとも2種類を混合して含むこともでき、前述した化合物と他の化合物を混合して含むこともできる。前述した化合物と他の化合物を混合して含む場合、例えば、ホスト(host)とドーパント(dopant)の形態で含まれてもよく、前述した化合物は、例えば、ホストとして含まれてもよい。前記ホストは、例えば、燐光ホストまたは蛍光ホストであってもよく、例えば燐光ホストであってもよい。
【0078】
前述した化合物がホストとして含まれる場合、ドーパントは無機、有機、有無機化合物であってもよく、公知のドーパントの中から選択されてもよい。
【0079】
図2を参照すると、有機発光素子200は、発光層230以外に正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、陽極120と発光層230との間の正孔注入および/または正孔移動性をさらに高め、電子を遮断することができる。正孔補助層140は、例えば正孔輸送層、正孔注入層および/または電子遮断層であってもよく、少なくとも1層を含むことができる。前述した化合物は、発光層230および/または正孔補助層140に含まれてもよい。
【0080】
図1または
図2の有機層105は、図示してはいないが、電子注入層、電子輸送層、補助電子輸送層、正孔輸送層、補助正孔輸送層、正孔注入層またはこれらの組み合わせ層を追加的にさらに含むことができる。本発明の化合物は、これらの有機層に含まれてもよい。有機発光素子100、200は、基板上に陽極または陰極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法、またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)のような湿式成膜法などで有機層を形成した後、その上に陰極または陽極を形成して製造することができる。
【0081】
前述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用され得る。
【実施例】
【0082】
[実施例]
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0083】
(化合物の製造)
実施例1:化合物B−17の合成
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物B−17を下記4段階の経路を通じて合成した。
【0084】
【化19】
【0085】
第1段階:中間体生成物(L−1)の合成
2000mLフラスコに2,4−ジクロロキナゾリン39.0g(195.9mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(2−ニトロフェニル)1,3,2−ジオキサボロラン(4,4,5,5−tetramethyl−2−(2−nitrophenyl)−1,3,2−dioxaborolane)53.7g(215.5mmol)、炭酸カリウム67.7g(489.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム11.3g(9.8mmol)を1,4−ジオキサン650mL、水300mLに入れた後、窒素気流下で12時間にかけて60℃で加熱した。これから得られた混合物をメタノール2000mLに加えて結晶化された固形分を濾過した後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトで濾過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して中間体L−1(29.1g、51%の収率)を得た。
calcd. C14H8ClN3O2 : C, 58.86; H, 2.82; Cl, 12.41; N, 14.71; O, 11.20; found : C, 58.30; H, 2.92; Cl, 12.13; N, 14.21; O, 10.82。
【0086】
第2段階:中間体生成物(L−2)の合成
1000mLフラスコに中間体L−1 29.0g(101.5mmol)、フェニルホウ酸14.2g(116.73mmol)、炭酸カリウム35.1g(253.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム5.9g(5.1mmol)を1,4−ジオキサン350mL、水150mLに入れた後、窒素気流下で12時間にかけて60℃で加熱した。これから得られた混合物をメタノール1000mLに加えて結晶化された固形分を濾過した後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトで濾過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して中間体L−2(23.6g、71%の収率)を得た。
calcd. C20H13N3O2 : C, 73.38; H, 4.00; N, 12.84; O, 9.78; found : C, 72.99; H, 3.96; N, 12.81; O, 9.77。
【0087】
第3段階:中間体生成物(L−3)の合成
500mLフラスコに中間体L−2 26.0g(79.43mmol)をトリエチルホスファイト200mLに入れた後、窒素気流下で12時間にかけて170℃で加熱した。これから得られた混合物を分別蒸溜を用いて溶媒を除去させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて中間体L−3(14.1g、60.0%の収率)を得た。
calcd. C20H13N3 : C, 81.34; H, 4.44; N, 14.23; found : C, 81.12; H, 4.39; N, 14.16。
【0088】
第4段階:化合物B−17の合成
500mLの丸いフラスコに中間体L−3 8.4g(28.5mmol)、1−クロロ−3,5−ジフェニルピリミジン8.0g(29.97mmol)、ソジウムt−ブトキシド5.5g(57.1mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.6g(2.9mmol)、トリt−ブチルホスフィン2.3mL(50% in トルエン)をキシレン200mLに入れて窒素気流下で15時間加熱して還流した。これから得られた混合物をメタノール500mLに加えて結晶化された固形分を濾過した後、ジクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトで濾過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して化合物B−17(10.0g、67%の収率)を得た。
【0089】
calcd. C36H23N5 : C, 82.26; H, 4.41; N, 13.32; found : C, 82.25; H, 4.34; N, 13.02。
【0090】
実施例2:化合物B−33の合成
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物B−33を下記1段階の経路を通じて合成した。
【0091】
第1段階:化合物B−33の合成
500mLの丸いフラスコに中間体L−3 8.3g(28.3mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニルピリミジン11.5g(29.7mmol)、ソジウムt−ブトキシド5.4g(56.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.6g(2.8mmol)、トリt−ブチルホスフィン2.3mL(50% in トルエン)をキシレン200mLに入れて窒素気流下で15時間加熱して還流した。これから得られた混合物をメタノール500mLに加えて結晶化された固形分を濾過した後、ジクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトで濾過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して化合物B−33(11.2g、66%の収率)を得た。
calcd. C42H27N5 : C, 83.84; H, 4.52; N, 11.64; found : C, 83.57; H, 4.44; N, 11.51。
【0092】
実施例3:化合物A−105の合成
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物A−105を下記1段階の経路を通じて合成した。
【0093】
第1段階:化合物A−105の合成
500mLの丸いフラスコに中間体L−3 8.3g(28.0mmol)、9−フェニル−3−ブロモ−カルバゾール10.8g(29.4mmol)、ソジウムt−ブトキシド5.4g(56.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)1.6g(2.8mmol)、トリt−ブチルホスフィン2.3mL(50% in トルエン)をキシレン190mLに入れて窒素気流下で15時間加熱して還流した。これから得られた混合物をメタノール500mLに加えて結晶化された固形分を濾過した後、ジクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトで濾過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して化合物A−105(9.5g、63%の収率)を得た。
calcd. C38H24N4 : C, 85.05; H, 4.51; N, 10.44; found : C, 85.01; H, 4.47; N, 10.32。
【0094】
比較例1:CBPの合成
国際公開公報WO 2013032035に記載された方法と同様な方法で下記の化学式aを合成した。
【0095】
【化20】
【0096】
(製造された化合物のシミュレーション特性の比較)
スーパーコンピュータGAIA(IBM power 6)を用いてGaussian09方法で各材料のエネルギー準位を計算し、その結果を下記表1に示した。
【0097】
【表1】
【0098】
前記表1から分かるように、シミュレーション上で所望のHOMO/LUMOエネルギーレベルは、HOMOは−5.0〜−5.5とLUMOは−1.4〜−2.2が電子輸送特性を良好に示すと予想しており、本願の実施例1、2、3と比較例1を比較してみると、比較例1はHOMOレベルは満たすが、LUMOレベルが満たされず、正孔と電子のバランスが合わないと予想される。
【0099】
本願の化合物が比較例1に比べて適当なエネルギーレベルを有しており、効率および寿命に優れていると予想される。
【0100】
(有機発光素子の製作)
実施例4
実施例1で得たB−17をホストとして用い、(piq)
2Ir(acac)をドーパントとして用いて有機発光素子を製作した。
【0101】
陽極としては、ITOを1000Åの厚さに用い、陰極としてはアルミニウム(Al)を1000Åの厚さに用いた。具体的に、有機発光素子の製造方法を説明すると、陽極は15Ω/cm
2の面抵抗値を有するITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさで切断してアセトンとイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄して用いた。
【0102】
前記基板上部の真空度650×10−7Pa、蒸着速度0.1〜0.3nm/sの条件でN4,N4’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(N4,N4’−di(naphthalene−1−yl)−N4,N4’−diphenylbiphenyl−4,4’−diamine:NPB)(80nm)を蒸着して800Åの正孔輸送層を形成した。次に、同一の真空蒸着条件で実施例1でB−17を用いて膜の厚さ300Åの発光層を形成し、この時、燐光ドーパントである(piq)
2Ir(acac)を同時に蒸着した。この時、燐光ドーパントの蒸着速度を調節して、発光層の全体量を100重量%とした時、燐光ドーパントの配合量が3重量%になるように蒸着した。
【0103】
前記発光層の上部に同一の真空蒸着条件を用いてビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(bis(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolato)aluminium:BAlq)を蒸着して膜厚さ50Åの正孔阻止層を形成した。次に、同一の真空蒸着条件でAlq3を蒸着して膜厚さ200Åの電子輸送層を形成した。前記電子輸送層の上部に陰極としてLiFとAlを順次に蒸着して有機発光素子を製作した。
【0104】
前記有機発光素子の構造は、ITO/NPB(80nm)/EML(B−17(97重量%)+(piq)
2Ir(acac)(3重量%)、30nm)/Balq(5nm)/Alq3(20nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)の構造で製作した。
【0105】
実施例5
実施例4のB−17の代わりに実施例2のB−33を用いたことを除き、実施例4と同様な方法で有機発光素子を製造した。
【0106】
実施例6
実施例4のB−17の代わりに実施例3のA−105を用いたことを除き、実施例4と同様な方法で有機発光素子を製造した。
【0107】
比較例2
実施例4のB−17の代わりに下記の構造のCBPを用いたことを除き、実施例4と同様な方法で有機発光素子を製造した。
【0108】
前記有機発光素子の製作に使用されたNPB、BAlq、CBPおよび(piq)
2Ir(acac)構造は以下のとおりである。
【0109】
【化21】
【0110】
(有機発光素子の性能測定)
実施例4、5、6と比較例2を有機発光素子の電圧に応じた電流密度の変化、輝度の変化および発光効率を測定した。
【0111】
具体的な測定方法は以下のとおりであり、その結果は表2に示した。
【0112】
(1)電圧変化に応じた電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0113】
(2)電圧変化に応じた輝度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0114】
(3)発光効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一の電流密度(10mA/cm
2)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0115】
(4)寿命の測定
輝度(cd/m
2)を5000cd/m
2に維持し、電流効率(cd/A)が90%に減少する時間を測定して結果を得た。
【0116】
【表2】
【0117】
前記表2から分かるように、比較例2に比べて実施例4〜6による有機発光素子の場合、駆動電圧、発光効率および/または電力効率の側面から改善された特性を示すことが分かる。
【0118】
本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できることを理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。