特許第6564138号(P6564138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564138
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】アライメントシステムの光学システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20190808BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G03F9/00 H
   H01L21/30 502D
   G03F7/20 521
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-524536(P2018-524536)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公表番号】特表2018-522292(P2018-522292A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2016067102
(87)【国際公開番号】WO2017021131
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年4月2日
(31)【優先権主張番号】62/199,567
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ショメ、クリシャヌ
(72)【発明者】
【氏名】クロイツァー、ジャスティン、ロイド
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−226222(JP,A)
【文献】 特開2003−324058(JP,A)
【文献】 特開平10−141915(JP,A)
【文献】 特開平09−034011(JP,A)
【文献】 特開平03−232216(JP,A)
【文献】 特開2007−264064(JP,A)
【文献】 特開2008−192957(JP,A)
【文献】 特開2000−003855(JP,A)
【文献】 特表2016−539356(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/051970(WO,A1)
【文献】 特開平05−226224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/30、
21/027、
21/46、
G03F 7/20−7/24、
9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光状態を有する第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される第1光学素子と、
前記第2ビームの全反射を提供し、前記第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される第2光学素子と、を備え、
前記第1偏光状態前記第2偏光状態、および前記第3偏光状態が互いに異なり、
前記第1偏光状態が直線偏光状態であり、
前記第2偏光状態が楕円偏光状態であり、
前記第3偏光状態が円偏光状態であることを特徴とする光学システム。
【請求項2】
前記第1光学素子が色収差補正波長板であることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記第1光学素子が複屈折波長板を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記第2光学素子が反射面を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学システム。
【請求項5】
前記第2光学素子が全反射ミラーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学システム。
【請求項6】
第1偏光状態を有する第1ビームを提供するよう構成される照明システムと、
光学システムであって、
前記第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される第1光学素子と、
前記第2ビームの全反射を提供し、前記第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される第2光学素子と、を備え、
前記第1偏光状態前記第2偏光状態、および前記第3偏光状態が互いに異なる光学システムと、
を備え
前記第1偏光状態が直線偏光状態であり、
前記第2偏光状態が楕円偏光状態であり、
前記第3偏光状態が円偏光状態であることを特徴とするアライメントシステム。
【請求項7】
前記第1光学素子が複屈折波長板を備えることを特徴とする請求項に記載のアライメントシステム。
【請求項8】
前記第2光学素子が反射面を備えることを特徴とする請求項6または7に記載のアライメントシステム。
【請求項9】
パターニングデバイスのパターンを照明するよう構成される照明システムと、
基板のターゲット部分に前記パターンの像を投影するよう構成される投影システムと、
アライメントシステムであって、
第1偏光状態を有する第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される第1光学素子と、
前記第2ビームの全反射を提供し、前記第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される第2光学素子と、を備え、
前記第1偏光状態前記第2偏光状態、および前記第3偏光状態が互いに異なるアライメントシステムと、
を備え
前記第1偏光状態が直線偏光状態であり、
前記第2偏光状態が楕円偏光状態であり、
前記第3偏光状態が円偏光状態であることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記第1光学素子が複屈折波長板を備えることを特徴とする請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記第2光学素子が反射面を備えることを特徴とする請求項9または10に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2015年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/199,567号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、例えばリソグラフィ装置に用いられるアライメントシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。その状況では、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々のレイヤに対応する回路パターンを作成することができ、このパターンは、放射感応性材料(レジスト)の層を有する基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば一つまたは複数のダイの一部を含む)に結像することができる。一般に、単一の基板は、連続して露光される隣接するターゲット部分のネットワークを含む。既知のリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を一度に露光することで各ターゲット部分が照射されるいわゆるステッパと、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査する一方、この方向と平行にまたは逆平行に基板を同期して走査することで各ターゲット部分が照射されるいわゆるスキャナとを含む。パターンを基板上にインプリントすることで、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。別のリソグラフィシステムは、干渉リソグラフィシステムである。干渉リソグラフィシステムでは、パターニングデバイスは存在せず、光ビームが2つのビームに分けられ、反射システムを用いて2つのビームが基板のターゲット部分で干渉する。干渉は、基板のターゲット部分にラインを形成させる。
【0004】
リソグラフィ工程の巻に、異なる処理ステップは異なる層を基板上に連続して形成することを要求する。したがって、基板に形成された前のパターンに対して高い精度で基板を位置づける必要がある。一般的に、回折格子を備えるアライメントマークが位置合わせされるべき基板上に設置され、第2のオブジェクトを参照して位置づけられる。リソグラフィ装置は、アライメントマークの位置を検出して、マスクからの正確な露光を確保するようアライメントマークを用いて基板を調整するために、アライメントシステムを用いることができる。
【0005】
アライメントシステムは通常、アライメント測定の間にアライメントマークを照明するために用いられるそれ自身の照明システムを有する。照明されたアライメントマークから回折した放射が検出され、アライメントマークの位置を決定するために用いられる。照明されたアライメントマークから回折した回折信号の精度および特性は、アライメントマークを照明するのに用いられる放射ビームの偏光状態に依存する。この依存状態は、放射ビームの偏光状態に関連するアライメントマークの回折効率に起因する。
【0006】
放射ビームは、直線偏光状態、円偏光状態、または楕円偏光状態をとる可能性がある。各偏光状態は、2つの直交偏光状態により特徴付けることができる。例えば、直線偏光状態は、水平および垂直偏光状態により特徴付けることができ、円偏光は、右回りおよび左回り偏光状態により特徴付けることができる。垂直線または水平線から成る水平または垂直偏光の放射ビームをアライメントマークのために用いることができる。偏光は、垂直線または水平線に対して平行または垂直となり得る。円偏光放射ビームは、水平および垂直方向の両方の線または格子を有する、または未知の方向の格子を有するアライメントマークに役立つ。円偏光放射ビームは、互いに位相が+90°または−90°ずれた同じ振幅の2つの垂直偏光成分と見なすことができ、その成分の回転に基づいて右回りおよび左回り偏光状態と特徴付けることができる。2つの円偏光状態の一方または両方をアライメント測定のために用いることができる。
【0007】
アライメント測定用の円偏光放射ビームを提供するために、いくつかの現行のアライメントシステムは、例えば4分の1波長板を用いて、照明システムからの直線偏光放射ビームを円偏光放射ビームに変換している。これらの円偏光放射ビームは、その後、フォールドミラーを用いてアライメントマーク上に導かれる。いくつかのアライメントシステムでは、フォールドミラーは金属層を含む。このようなフォールドミラーを使用することの不都合な点は、アライメントマーク上に導かれる間に、少なくとも一部の放射ビームがフォールドミラーにより吸収されることである。このような吸収による放射の損失は、例えば、アライメントマークの回折効率の低下およびアライメントマークから回折する回折信号強度の低下をもたらす可能性がある。別の不都合な点は、放射ビームの少なくとも一部の吸収のために、工程の間にフォールドミラーが加熱することである。このようなフォールドミラーの加熱は、例えば、アライメントマークから反射する放射ビームの波面エラーを引き起こす可能性があり、これはアライメントシステムの不正確なアライメント測定をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、アライメントシステムにおけるアライメント測定の精度を向上する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態によれば、光学システムは、第1および第2光学素子を含む。第1光学素子は、第1偏光状態を有する第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される。第2光学素子は、第2ビームの全反射を提供し、第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される。第1、第2、および第3偏光状態は互いに異なる。
【0010】
別の実施形態では、アライメントシステムは、照明システムおよび光学システムを含む。照明システムは、第1偏光状態を有する第1ビームを提供するよう構成される。光学システムは、第1および第2光学素子を含む。第1光学素子は、第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される。第2光学素子は、第2ビームの全反射を提供し、第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される。第1、第2、および第3偏光状態は互いに異なる。
【0011】
さらに別の実施形態では、リソグラフィ装置は、照明システム、投影システムおよびアライメントシステムを含む。照明システムは、パターニングデバイスのパターンを照明するよう構成され、投影システムは、基板のターゲット部分にパターンの像を投影するよう構成される。アライメントシステムは、第1および第2光学素子を含む。第1光学素子は、第1偏光状態を有する第1ビームを第2偏光状態を有する第2ビームに変換するよう構成される。第2光学素子は、第2ビームの全反射を提供し、第2ビームを第3偏光状態を有する第3ビームに変換するよう構成される。第1、第2、および第3偏光状態は、互いに異なる。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施の形態の構造および作用とともに、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。本発明は、本書で説明される特定の実施形態に限定されないことに注意する。このような実施形態は、例証目的で本書に提示されているに過ぎない。本書に含まれる教示に基づけば、さらなる実施形態は関連分野の当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本書に包含され明細書の一部をなす添付の図面は本発明を例証し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明し、関連分野の当業者が本発明を実施し使用できるようにする役割を有する。
【0014】
図1A】本発明の実施形態に係る反射型リソグラフィ装置を模式的に示す図である。
【0015】
図1B】本発明の実施形態に係る透過型リソグラフィ装置を模式的に示す図である。
【0016】
図2】本発明の実施形態に係る反射型リソグラフィ装置をより詳細に模式的に示す図である。
【0017】
図3】本発明の実施形態に係るリソグラフィセルを模式的に示す図である。
【0018】
図4】本発明の実施形態に係るアライメントシステムを模式的に示す図である。
【0019】
図5】本発明の実施形態に係るアライメントシステムの光学システムを模式的に示す図である。
【0020】
図6】本発明の実施形態に係る、波長板を伝播する放射ビームの偏光状態を模式的に示す図である。
【0021】
図7】本発明の実施形態に係る、放射ビームの偏光状態を模式的に示す図である。
【0022】
本発明の特徴および利点は、同様の参照符号が全文書を通して対応する要素を特定する図面とともに以下で述べられる詳細な説明からより明らかになるだろう。一般に、図面において同様の参照符号は、同一の、機能的に類似の、および/または構造が類似の要素を表している。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の左端の数字で表される。他に特に規定がなければ、本開示を通じて提供される図面は、縮尺どおりの図と解釈するべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書は本発明の特徴を組み入れた一つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は開示された実施形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
【0024】
説明される実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への明細書内での言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造または特性を備えてもよいが、必ずしもあらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。また、このような表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものではない。さらに、実施形態とともに特定の特徴、構造または特性が記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態とともに実現することは当業者の知識内であると理解されたい。
【0025】
この種の実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実装可能である例示的な環境を提示することが有益である。
【0026】
(例示的な反射型および透過型リソグラフィシステム)
図1Aおよび図1Bは、本発明の実施形態を実装することのできる、リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す図である。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば深紫外放射または極端紫外放射)を調整する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、または動的パターニングデバイス)MAを支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成された第1ポジショナPMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構成されるとともに、基板を正確に位置決めするよう構成された第2ポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、を備える。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも備える。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが透過型である。
【0027】
照明システムILは、放射ビームBの向きや形状を変え、または放射ビームBを統制するために、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
支持構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの姿勢、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも1つの設計、およびパターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスMAを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持構造MTは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。センサを用いることにより、支持構造MTは、例えば投影システムPSに対して所望の位置にパターニングデバイスMAを位置決めすることを保証してもよい。
【0029】
「パターニングデバイス」MAなる用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するために放射ビームBの断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを指すものと広義に解釈される。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0030】
パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のような)透過型であってもよいし、(図1Aのリソグラフィ装置100のような)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAには例えばマスク、プログラム可能ミラーアレイ、及びプログラム可能LCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクなどのマスク種類が含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、微小ミラーのマトリックス配列で構成される。各微小ミラーは、入射する放射ビームを異なる複数の方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。小ミラーのマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0031】
「投影システム」なる用語は、使用されている露光放射に適切な、または基板W上の浸液の使用や真空の使用などのその他の因子に適切な、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組み合わせを含む何らかの投影システムを包含することができる。過剰な放射または電子を他の気体が吸収するので、EUVまたは電子ビーム放射のために真空環境を使用してもよい。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境が与えられてもよい。
【0032】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルWT(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他の基板テーブルWTで準備工程が実行されるようにしてもよい。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。
【0033】
図1Aおよび図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源SOとリソグラフィ装置100、100’とは別個の物理的実体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置100、100’の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームBは光源SOからビーム搬送システムBD(図1B)を介してイルミネータILへと到達する。ビーム搬送システムBDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含む。あるいは例えば光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置100、100’に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送システムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されることがある。
【0034】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタAD(図1B)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外径及び/または内径の値(通常それぞれ「σouter」、「σinner」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素(図1B)を備えてもよい。イルミネータILはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームBを調整するために用いられる。
【0035】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、基板テーブルWTは、(例えば、放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように)正確に移動される。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wを位置合わせすることができる。
【0036】
図1Bを参照すると、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターンが付与される。マスクMAの通過後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSが基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。投影システムは、照明システムの瞳IPUと共役の瞳PPUを有する。放射の一部は、照明システムの瞳IPUにおける強度分布から生じ、マスクパターンにおいて回折の影響を受けることなくマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUにおいて強度分布の像を作り出す。
【0037】
第2ポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリからのマスク交換後または走査の間に)第1ポジショナPMと別の位置センサ(図1Bに図示せず)により、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0038】
一般に、マスクテーブルMTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。これらモジュールは、第1ポジショナPMの一部を構成する。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現される。ステッパの場合には(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークモジュールにのみ接続されていてもよいし、マスクテーブルMTは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされる。(図示されるように)基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間の領域に配置されていてもよい(スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークがダイ間に配置されてもよい。
【0039】
マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバ内に位置することができる。真空内ロボットIVRを用いて、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内および外に移動することができる。あるいは、マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバの外側にあり、真空内ロボットIVRと似た様々な輸送作業のために真空外ロボットを用いることができる。真空中および真空外ロボットは、中継ステーションの固定されたキネマティックマウントへの任意のペイロード(例えばマスク)のスムーズな輸送ために較正される必要がある。
【0040】
リソグラフィ装置100、100’は以下のモードのうち少なくとも一つで使用することができる。
【0041】
1.ステップモードにおいては、放射ビームBに付与されたパターンの全体が1回の照射で一つのターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。
【0042】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。
【0043】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。パルス放射源SOが用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続するパルスとパルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラム可能ミラーアレイなどのプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに適用可能である。
【0044】
上記のモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードを用いてもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、リソグラフィ装置100は、極端紫外(EUV)放射源を含む。極端紫外放射源は、EUVリソグラフィのためにEUV放射ビームを発生させるよう構成される。一般に、EUV放射源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV放射源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0046】
図2は、リソグラフィ装置100をより詳細に示す。EUVリソグラフィ装置100は、放射コレクタ装置SO、照明システムIL、および投影システムPSを含む。放射コレクタ装置SOは、放射コレクタ装置SOの密閉構造220内で真空環境を維持できるように構成および配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電プラズマ源により形成される。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気、またはSn蒸気等の気体または蒸気により生成される。この気体または蒸気中に高温プラズマ210が形成されて、EUV領域の電磁放射スペクトルの放射が発せられる。この高温プラズマ210は、例えば放電により少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することにより形成される。効率的に放射を生成するためには、Xe、Li、Sn蒸気またはその他の適する気体または蒸気の例えば10Paの分圧が必要である。一実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマがEUV放射を生成するために提供される。
【0047】
高温プラズマ210により放出された放射は、ソースチャンバ211からオプションのガスバリアまたは汚染物質トラップ230(ある場合には、汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも称される)を通じてコレクタチャンバ212へと向かう。ガスバリアまたは汚染物質トラップ230は、ソースチャンバ211の開口またはその後方に配置されている。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230は、少なくとも技術的に知られたチャネル構造を含む。
【0048】
コレクタチャンバ212は、放射コレクタCOを含む。放射コレクタCOは、いわゆる斜入射型コレクタであってよい。放射コレクタCOは、放射コレクタ上流側251および放射コレクタ下流側252を有する。放射コレクタCOを通過した放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射され、コレクタチャンバ48の開口に位置する仮想点源IFに集束する。仮想点源IFは、一般的に中間焦点と称され、放射源コレクタ装置は、中間焦点IFが密閉構造220の開口219またはその近くに位置するように配置される。仮想点源IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0049】
その後、放射は照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおける所望の放射強度均一性とともに、パターニングデバイスMAにおける所望の放射ビーム221の角度分布を提供するよう配置されるファセットフィールドミラーデバイス222およびファセット瞳ミラーデバイス224を含む。支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAにおける放射ビーム221の反射により、パターンが付与されたビーム226が形成され、パターンが付与されたビーム226は、投影システムPSによって、反射素子228,230を介してウェハステージまたは基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0050】
通常、図示されているよりも多くの素子が照明光学ユニットILおよび投影システムPSに存在してよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じてオプション的に存在してよい。さらに、図示されるよりも多くのミラーが存在してよい。例えば、図2に示すよりも多くの、1つ乃至6つの追加の反射素子が投影システムPSに存在してもよい。
【0051】
図2に示すように、コレクタ光学システムCOは、コレクタ(またはコレクタミラー)のほんの一例として、斜入射リフレクタ253,254および255を伴う入れ子状のコレクタとして図示されている。斜入射リフレクタ253,254および255は、光軸Oの周りに軸対称に配置されており、このタイプのコレクタ光学システムCOは、DPP源と称される放電プラズマ源と組み合わせて好適に用いられる。
【0052】
(例示的なリソグラフィセル)
図3に示すリソグラフィセル300は、たまにリソセルまたはクラスタとも称される。リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成してよい。リソグラフィセル300は、基板上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含んでよい。従来、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板を入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに基板を運ぶ。これらの装置(しばしば集合的にトラックと称される)は、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、異なる装置がスループットおよびプロセス効率を最大化させるように動作しうる。
【0053】
(実施形態に係るアライメントシステム)
図4は、実施形態に係るリソグラフィ装置100または100’の一部として実装可能なアライメントシステム400の断面図を模式的に示す。この実施形態の例では、アライメントシステム400は、パターニングデバイス(例えばパターニングデバイスMA)に対して基板(例えば基板W)を整列させるよう構成される。アライメントシステム400はさらに、基板上のアライメントマークの位置を検出し、アライメントマークの検出位置を用いてリソグラフィ装置100または100’のパターニングデバイスまたは他の構成要素に対して基板を整列させるよう構成される。そのような基板のアライメントにより、確実に基板上に1つ以上のパターンの露光を正確に行うことができる。
【0054】
実施形態によれば、アライメントシステム400は、照明システム412、光学システム414、対物システム417、像回転干渉計426、検出器428、および信号解析器430を含む。照明システム412は、直線偏光状態などの第1偏光状態を有する電磁狭帯域放射ビーム413を提供するよう構成される。実施例では、狭帯域放射ビーム413は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトルの範囲内であってよい。別の実施例では、狭帯域放射ビーム413は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトルの範囲内に離散的な狭通過帯域を備える。さらに別の実施例では、放射ビーム413は、例えば、照明システム412中のレーザ光源などの、単色光源により提供される単色であってもよい。しかし、多色放射ビーム413を提供するようにLEDなどの多色光源が照明システム412に用いられてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、光学システム414は、第1偏光状態を有する放射ビーム413を受け取り、それを円偏光状態などの第2偏光状態を有する放射ビーム415に変換するよう構成される。この実施形態の例では、光学システムは、図4に示すように、現行のアライメントシステムに対して上述の問題を生じることなく、放射ビーム415を基板420上に方向づけるよう構成される。すなわち、光学システム414は、実質的にその一部を吸収することなく、且つ光学システム414の構成要素を実質的に加熱することなく、放射ビーム415を方向づけるよう構成される。
【0056】
基板420は、方向424に沿って移動可能なステージ422上に設置される。放射ビーム415は、基板420上に位置するアライメントマーク418を照明するよう構成される。アライメントマーク418は、この実施形態の例では、放射感受性フィルムでコーティングされる。別の例では、アライメントマーク418は、180度の対称性を有してよい。すなわち、アライメントマーク418をアライメントマーク418の面と垂直な対称軸まわりに180度回転したときに、回転されたアライメントマーク418は、回転されていないアライメントマーク418と実質的に全く一致する。
【0057】
実施形態によれば、図4に示すように、対物システム417は、回折放射ビーム419を像回転干渉計426に向かわせるよう構成される。対物システム417は、回折放射ビーム419を方向づけるのに適した適切な数の光学素子を備えてよい。例示的な実施形態では、回折放射ビーム419は、アライメントマーク418から回折する放射ビーム415の少なくとも一部であってよい。図4では、回折放射ビーム419が光学システム414の外側を通るように図示されているが、本開示はそのように限定するものではないことを留意すべきである。光学システム414は、回折放射ビーム419に対して実質的に透明であってよく、回折放射ビーム419の特性を実質的に変えることなく、回折放射ビーム419が光学システム414を通過することを可能とする。対物システム417は放射ビーム419を像回転干渉計426に向かわせるよう図示されているが、本開示はそのように限定するものではないことをさらに留意すべきである。アライメントマーク418から回折信号を検出する類似の結果を得るために、他の光学的配置が用いられてよいことは当業者にとって明らかである。
【0058】
さらなる実施形態では、像回転干渉計426は、任意の適切な一連の光学素子、例えば、受光した回折放射ビーム419に基づいて2つのアライメントマーク418の像を形成するよう構成されるプリズムの組み合わせを備えてよい。良質の像が形成される必要はないが、アライメントマーク418の特徴は解像されなければならないことを理解すべきである。像回転干渉計426はさらに、2つの像の一方を2つの像の他方に対して180度回転させ、回転像と非回転像とを干渉法によって再結合するよう構成されてよい。
【0059】
検出器428は、アライメントシステム400のアライメント軸421がアライメントマーク418の対称中心(図示せず)を通過するときに、再結合された像を受け取り、再結合された像の結果として干渉を検出するよう構成される。例示的な実施形態によれば、このような干渉は、180度の対称性を有するアライメントマーク418と、建設的または破壊的に干渉する再結合された像に起因するものである。検出された干渉に基づいて、検出器428はさらに、アライメントマーク418の対称中心の位置を決定して、その結果として基板420の位置を検出するよう構成されてよい。一例によれば、アライメント軸421は、基板420と垂直で且つ像回転干渉計426の中心を通る光ビームと一直線になってよい。
【0060】
さらなる実施形態では、信号解析器430は、決定された対称中心の情報を含む信号429を受信するよう構成される。信号解析器430はさらに、ステージ422の位置を決定し、ステージ422の位置をアライメントマーク418の対称中心の位置と関連づけるよう構成される。したがって、アライメントマーク418の位置およびその結果として基板420の位置は、ステージ422を参照して正確に知ることができる。あるいは、信号解析器430は、アライメントマーク418の対称中心をアライメントシステム400または任意の他の基準要素を参照してしることができるように、アライメントシステム400または任意の他の基準要素の位置を決定するよう構成されてもよい。
【0061】
(実施形態に係る光学システム)
図5は、実施形態に係る光学システム514の断面図を模式的に示す。光学システム514は、図4に示す光学システム414の例示的な実施形態を表す。放射ビーム513および515は、図4を参照して上述した放射ビーム413および415と同様である。
【0062】
この実施形態の例では、光学システム514は、波長板540および光学素子542を備える。波長板540は、複屈折材料を有する1つ以上の波長板を備える。複屈折材料は例えば石英、マグネシウム、サファイアなどであるがこれらに限定されない。例えば、波長板540は、一組の石英波長板およびフッ化マグネシウム波長板または一組の石英波長板およびサファイア波長板を含んでよい。これらの波長板540を構成する波長板の組または波長板の任意の他の組み合わせは、互いに接着されてもよいし、互いに空隙を有して取り付けられてもよいし、互いに光学的に接触してもよいし、互いに光学的に結合されてもよい。
【0063】
波長板540は、波長板540の向きおよび波長板540を構成する複屈折材料の種類に基づいて、波長板540を通過する放射ビーム(例えば放射ビーム513)に対して、所望の色収差補正または高次波長補正を提供するよう構成される。波長板540はさらに、第1偏光状態を有する放射ビームを第2偏光状態を有する放射ビームに変換するよう構成される。例えば、図5に示すように、波長板540は、第1偏光状態を有する入力放射ビーム513を受光し、放射ビーム513を第2偏光状態を有する入力放射ビーム544に変換するよう構成される。図6に示すように、第1偏光状態は、直線偏光状態であってよく、第2偏光状態は、楕円偏光状態であってよい。波長板540の複屈折材料の複屈折特性は、この第1偏光状態と第2偏光状態との間の変換に役立つ。複屈折材料は通常、それを通過する光の方向によって決まる屈折率値を有する。このような材料を伝播する偏光は、異なる伝播方向および偏光方向に対して異なる屈折率値を経験する。このような現象減少は、複屈折とも称される。しかしながら、複屈折材料の光軸に沿って伝播する偏光は、その偏光方向にかかわらず1つだけの屈折率値に直面する可能性がある。
【0064】
図6は、波長板540通過後に放射ビーム513の放射ビーム544への変換を模式的に示す。この実施形態の例では、図6に示すように、放射ビーム513は、X軸に沿って信号する電界成分Exを有するZ軸に沿って伝播する直線偏光した電磁波を備える。波長板540の複屈折効果に起因して、直線偏光した放射ビーム513は、波長板540を通って進むときに、2つの直線偏光した直交成分、例えば、波長板540の通常軸(例えばX軸)に沿って方向づけられた電界成分(Ex)と、波長板540の異常軸(例えばY軸)に沿って方向づけられた電界成分(Ey)、に変換される。これらの成分のそれぞれの移動速度は、複屈折効果に起因して波長板540内で互いに対して異なる。波長板540を通って進むときのこの2つの直交成分間の速度差は、それらの間の相対位相シフトをもたらす可能性があり、結果として第1位相値φ1および放射ビーム513の第1偏光状態と異なる第2偏光状態を有する放射ビーム544をもたらす可能性がある。図6に示すように、放射ビーム544が約±90°より大きいまたはそれ未満の第1位相値φ1を有し、且つ放射ビーム544がZ軸に沿って伝播しながら、放射ビーム544の電界成分ExおよびEyが完全な波の周期の間にXY平面上で楕円650を描くとき、放射ビーム544は楕円偏光状態を有する。放射ビーム544は完全偏光していると見なすことができる。
【0065】
波長板540によりもたらされる楕円率および位相シフトは、放射ビーム513の入射面(例えばXZ平面)に対する波長板540の方向によって決まる。一例では、直線偏光した放射ビーム513を楕円偏光放射ビーム544に変換するために、波長板540の光軸652は、XZ平面に対して角度θで方向づけられる。角度θは、約45°より大きいまたはそれ未満である。位相シフトは、波長板540の厚さおよびその内部の屈折率値の変動によっても決まる。これらのパラメータ間の関係の適切な選択により、楕円偏光状態の楕円の大きさおよび方向を制御することができる。
【0066】
図5に戻り、実施形態では、光学素子542は、放射ビーム544の伝播方向に対して角度αで方向づけされ、波長板540から放射ビーム544を受光するように構成される。実施形態によれば、光学素子542はさらに、放射ビーム544の全反射を提供するよう構成される。このような放射ビーム544の全反射は、光学素子542による放射ビーム544の吸収を防止するまたは最小限にし、従って、光学素子542の加熱を防ぐまたは最小限にするのに役立つ。全反射は、放射ビーム544の直交成分に位相シフトをもたらし、その結果、第2位相値φ2および第1および第2偏光状態と異なる第3偏光状態を有する出力放射ビーム515を生じさせる。第3偏光状態は、(図7に示すように)円偏光状態であってよい。放射ビーム515が約±90°に等しい第2位相値φ2を有し、且つ放射ビーム515がZ軸方向に伝播しながら、放射ビーム515の電界成分Ex,Eyが完全な波の周期の間に円754を描くとき、放射ビーム515は、右回りまたは左回り円偏光状態を有する(図7参照)。
【0067】
実施形態によれば、光学素子542は、反射面を有する素子(例えば全反射フォールドミラー)であってよく、ガラス材料(例えばSCHOTTにより製造されたSF2ガラス)から成ってよい。放射ビーム544によりもたらされる位相シフトは、光学素子542の屈折率値および/または放射ビーム544に対する光学素子542の方向(角度α)によって決まる。波長板540に関する複屈折材料および厚さおよび方向の選択は、放射ビーム515の所望の偏光状態を得るために、この光学素子542の屈折率値に基づいてなされる。一例によれば、1.635の屈折率値を有し、全反射フォールドミラーとして機能する光学素子542に対して、放射ビーム515の所望の円偏光状態を達成するために、波長板540は、一組の複屈折材料の波長板(例えば約664.8μmの厚さを有する石英波長板と約531.5μmの厚さを有するフッ化マグネシウムの波長板)を有するよう設計されてよく、放射ビーム544に対して約130.9°の位相シフト値をもたらすように約64.5°、約115.5°、約244.5°、または295.5°の角度θで方向づけられてよい。波長板540に関する波長板の複屈折材料の一例がここで述べられているが、本開示はそのように限定するものではないことを留意すべきである。放射ビーム515の所望の円偏光状態を達成するために、同一または異なる屈折率および方向の光学素子542に対する波長板540に関して、他の複屈折材料の波長板または複屈折材料の波長板の組み合わせが選択されてよい。
【0068】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。基板は露光前または露光後においてトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味する。
【0069】
以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィによって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスのトポグラフィを基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0070】
本明細書の表現または専門用語は、説明を目的としており限定のためではなく、本明細書の専門用語または表現は、本明細書の教示を考慮して当業者によって解釈されるべきものであることを理解されたい。
【0071】
本明細書に記載の実施例において、「レンズ」「レンズ素子」なる用語は文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁的光学素子、および静電的光学素子を含むさまざまな種類の光学素子のいずれかまたは任意の組み合わせを示してもよい。
【0072】
さらに、本明細書における「放射」及び「ビーム」なる用語は、(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長λを有する)紫外(UV)放射、(例えば5乃至20nmの範囲に含まれる波長(例えば13.5nm)を有するか、5nm未満で作動する硬X線)極紫外(EUVまたは軟X線)放射を含むあらゆる電磁放射、及びイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含む。一般に、約400乃至約700nmの間の波長を有する放射は可視放射と見なされ、約780乃至3000nm(またはそれ以上)の間の波長を有する放射は赤外放射とみなされる。UVとはおよそ100乃至400nmの波長を有する放射をいう。リソグラフィにおいては「UV」なる用語も水銀放電ランプにより生成される波長に用いられる。436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線である。真空UV(VUV、つまり気体に吸収されるUV)とはおよそ100乃至200nmの波長を有する放射をいう。深紫外(DUV)とは一般に126nmから428nmの波長を有する放射をいう。一実施形態においては、エキシマレーザが、リソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成可能である。なお、例えば5乃至20nmの波長を有する放射とは、5乃至20nmの範囲の少なくとも一部のある波長域を有する放射を言うものと理解されたい。
【0073】
本明細書で用いられる「基板」という用語は一般に、次の材料層が上に追加される材料を言い表す。実施形態では、基板自体がパターニングされてもよく、その上に追加される材料もパターニングされてもよく、又はパターニングされずに保たれてもよい。
【0074】
本明細書で用いられる「実質的に接触する」という用語は一般に、通常はミスアライメントの許容差の結果である互いのわずかな離間のみで互いに物理的に接触する要素又は構造を言い表す。本明細書で用いられる1つ以上の特定の特徴、構造又は特性(例えば、「垂直に位置合わせされ」、「実質的に接触する」など)は説明目的のためだけに用いられ、本明細書に記載の構造の実際の実施には、本開示の精神及び範囲から逸脱することなくミスアライメントの許容差が含まれてもよいことを理解されたい。
【0075】
本明細書で用いられる「光学的に結合される」という用語は一般に、一方の結合素子が光をもう一方の結像素子に直接的または間接的に与えるよう構成されていることを指す。
【0076】
本明細書で用いられる「光学材料」という用語は一般に、光または光エネルギーがその中でまたはそれを通って伝播することを可能とする材料を指す。
【0077】
本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は説明したもの以外の態様で実施されてもよいことを理解されたい。上記説明は本発明を限定することを意図していない。
【0078】
発明の概要および要約の部分ではなく、詳細な説明の部分が特許請求の範囲を解釈するために用いられることを意図されていることを理解すべきである。発明の概要および要約の部分は、発明者によって考案された本発明の実施形態のうち一つまたは複数について述べているが、全ての例示的な実施形態について述べている訳ではない。したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定する意図はない。
【0079】
特定の機能および関係の実現を例証する機能的な構成要素の助けを用いて本発明を上記で説明してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、適宜定義されている。それらの特別な機能および関係が適切に実行される限り、別の境界も定義することができる。
【0080】
特定の実施形態についての上記説明は本発明の一般的性質を完全に公開しており、したがって、当分野の能力に含まれる知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、および本発明の一般概念から逸脱することなく、種々の応用に対してそのような特定の実施形態を直ちに修正しおよび/または適応させることができる。したがって、そのような適応および修正は、本書に提示された教示および助言に基づき、開示された実施形態の意義および等価物の範囲内であると意図されている。
【0081】
本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物にしたがってのみ規定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7