【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、経済産業省委託研究「戦略的基盤技術高度化支援事業(ミニマル半導体装置共通プラットフォームの開発)」、及び平成25年度、経済産業省委託研究「エネルギー使用合理化技術開発等委託費(革新的製造プロセス技術開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記床板には、前記製造装置の前記底板を当該床板に対して所定の位置に位置決めするための第1位置決め機構が設けられ、これにより、該位置決め状態において前記装置側コネクタと前記床側コネクタとの嵌合位置が水平方向において互いに合致することを特徴とする請求項1に記載のフリーアクセス型の床構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、半導体製造装置を設置する際には、半導体製造装置を床上に載置し(載置工程)、その後、この半導体製造装置の背面において配管や電線を接続していた(配管・配線工程)。そのため、半導体製造装置の設置に2工程(載置工程、配管・配線工程)が必要となり、必然的に手間と時間がかかるという不都合があった。とりわけ、多品種少量生産においては、製造プロセスの切り替えに応じて複数の半導体製造装置を並べ替える頻度が高いことから、いかに短時間で半導体製造装置を設置できるかが重要になる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、半導体製造装置などの製造装置を短時間で設置することが可能なフリーアクセス型の床構造を提供することを第1の目的とする。また、このようなフリーアクセス型の床構造に適した製造装置を提供することを第2の目的とする
。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明に係るフリーアクセス型の床構造は、底板に装置側コネクタが下向きに設けられた製造装置が設置されるフリーアクセス型の床構造であって、
床面に設置される床板を有し、この床板に床側コネクタが、前記製造装置の下降動作に伴って前記装置側コネクタに接続されるように上向きに設けられて
おり、
前記床板には、前記製造装置を運搬する運搬装置のフレームをその幅方向に位置決めするための第2位置決め機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るフリーアクセス型の床構造は、前記床板には、前記製造装置の前記底板を当該床板に対して所定の位置に位置決めするための第1位置決め機構が設けられ、これにより、該位置決め状態において前記装置側コネクタと前記床側コネクタとの嵌合位置が水平方向において互いに合致することが望ましい。
【0010】
本発明に係るフリーアクセス型の床構造において、前記装置側コネクタ及び前記床側コネクタは、給気ガス管、排気ガス管、電源ケーブルまたはLANケーブルを接続するコネクタであることが望ましい。
【0011】
本発明に係るフリーアクセス型の床構造において、前記床側コネクタは、前記床板の貫通孔に当該床板の上面から上方に突出しないように取り付けられ、前記貫通孔には、カバーが着脱自在に設けられていることが望ましい。
本発明に係るフリーアクセス型の床構造において、前記床側コネクタは、前記製造装置の前記下降動作の方向に直線移動する前記装置側コネクタと嵌合関係を形成するコネクタ形状を有し、前記製造装置は一体として前記下降動作の間に前記床板に向かって下降し、前記製造装置が前記床構造に載置されると同時に、前記装置側コネクタと前記床側コネクタとは前記下降動作によって互いに嵌合し、前記給気ガス管、前記排気ガス管、前記電源ケーブルまたは前記LANケーブルを接続することが望ましい。
【0012】
本発明に係る製造装置は、床板に床側コネクタが上向きに設けられたフリーアクセス型の床構造上に設置される製造装置であって、底板に装置側コネクタが、該製造装置の下降動作に伴って前記床側コネクタに接続されるように、下向きに設けられており、前記底板には、フリーアクセス型の床構造の前記床板に設けられた第1位置決め機構と協働して前記底板を前記床板に対して位置決めする第1被位置決め機構が設けられて
おり、前記第1位置決め機構および前記第1被位置決め機構は、いずれか一方が3本のV溝であるとともに、他方が3個の球面体であり、前記各V溝にそれぞれ前記各球面体が嵌合することにより、前記底板が前記床板に対して位置決めされるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る製造装置において、前記3本のV溝は、平面視で略Y字形に沿うように形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフリーアクセス型の床構造によれば、製造装置の設置工程(載置工程、配管・配線工程)を1工程で行うことができる。その結果、製造装置の設置に要する手間と時間を省き、製造装置を短時間で設置することが可能となる。
【0021】
本発明のフリーアクセス型の床構造において、第1位置決め機構を設けることにより、製造装置の底板を床構造の床板に対して所定の位置に位置決めすることができるので、コネクタ同士の接続を短時間で円滑に実施することが可能となる。
【0022】
本発明のフリーアクセス型の床構造において、第2位置決め機構を設けることにより、製造装置を運搬する運搬装置のフレームを床構造の床板に対して幅方向に位置決めすることができるので、製造装置を精度よく迅速に搬入することが可能となる。
【0023】
本発明のフリーアクセス型の床構造においては、装置側コネクタ及び床側コネクタを用いて、例えば給気ガス管、排気ガス管、電源ケーブルまたはLANケーブルを容易に接続することができる。
【0024】
本発明のフリーアクセス型の床構造において、床側コネクタを床板の上面から上方に突出させないことにより、床構造の非使用時に、床面をほぼ平坦にして床面の安全性および汎用性を高めることが可能となる。
【0025】
本発明の製造装置によれば、上記本発明のフリーアクセス型の床構造と協働して、製造装置の設置工程を1工程で行うことができ、その結果、製造装置の設置に要する手間と時間を省き、製造装置を短時間で設置することが可能となる。
【0026】
本発明の製造装置において、第1位置決め機構および第1被位置決め機構をV溝と球面体とで構成することにより、簡単な構成で位置決めすることができる。
【0027】
また、3本のV溝をY字形に添って形成することで、底板を高精度に位置決めすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態1について説明する。
【0035】
図1乃至
図7には、本発明の実施の形態1を示す。
【0036】
[小型半導体製造装置の構成]
実施の形態1に係る小型の半導体製造装置(製造装置)20は、
図1に示すように、所定の大きさ(例えば、幅30cm、奥行き60cm、高さ144cm)の略直方体状の筐体25を有している。筐体25内には、レジスト塗布装置や露光装置などの処理装置26および装置前室27が収容されており、処理装置26と装置前室27とは、互いに分離可能に構成されている。
【0037】
処理装置26は、図示しないウェハ搬送口を介して装置前室27から半導体ウェハを受け取り、この半導体ウェハに対して、公知のレジスト膜形成処理や露光処理などの処理を行う。この実施の形態1では、半導体ウェハとして、直径が20mm以下(例えば、12.5±0.2mm)の小口径のものを使用する。
【0038】
一方、装置前室27は、ウェハ搬送容器(図示せず)に収容された半導体ウェハを取り出して、処理装置26に搬送するための部屋である。装置前室27の天板27aには、ウェハ搬送容器を載置するための容器載置台28と、この容器載置台28に載置されたウェハ搬送容器を上方から押圧して固定する押さえレバー29とが設けられている。また、装置前室27は、ウェハ搬送容器から下方に取り出した半導体ウェハを処理装置26に搬入するための搬送ロボット(図示せず)を備えている。
【0039】
また、筐体25の底部には、
図2に示すように、長方形板状の底板21が水平に取り付けられており、底板21の四隅近傍には4個の支持柱24が、後述の雄型コネクタ22A、22B、22Cおよび球面体23A、23B、23Cよりも下側に達するように、所定の長さで下向きに装着されている。この底板21には、給気ガス管(窒素ガス、圧縮空気)、排気ガス管、AC電源ケーブルの3個の雄型コネクタ22A−22B(本発明の「装置側コネクタ」に相当)が、それぞれ下向きに取り付けられている。また、底板21には、後述の3つのV溝18と協働して底板21を後述の床板11に対して位置決めする3個の半球状の球面体23A−23C(本発明の「第1被位置決め機構」に相当)が、平面視で二等辺三角形の頂点に位置して、それぞれ下向きに取り付けられている。
【0040】
[床構造の構成]
また、床構造10は、
図3に示すように、床面に施工される長方形板状の床板11(例えば、縦60cm、横60cm)を有している。この床板11上には、2台の半導体製造装置20を並べて設置することができる。床板11には、2台の半導体製造装置20に対応して2つの載置領域A1、A2が並んで形成されている。各載置領域A1、A2にはそれぞれ、3つの貫通孔12が上下方向に貫通して形成されており、各貫通孔12にはそれぞれ、これを覆うカバー17が着脱自在に冠着されている。これらの貫通孔12には、半導体製造装置20の3個の雄型コネクタ22A−22Bに接続される3個の雌型コネクタ13A、13B、13C(本発明の「床側コネクタ」に相当)が、いずれも上向きに取り付けられている。雌型コネクタ13A、13Bには、それぞれ給気ガス管40A、排気ガス管40Bが接続されている。また、各貫通孔12にはそれぞれ、半導体製造装置20の各球面体23A−23Cに対向してV溝台14A、14B、14Cが配設されており、各V溝台14A−14Cにはそれぞれ、V溝18(本発明の「第1位置決め機構」に相当)が形成されている。ここで、これら3つのV溝18は、平面視で略Y字形に沿うように形成されている。また、これらの雌型コネクタ13A−13CおよびV溝台14A−14Cは、すべて床板11内に仕込まれて、床板11の上面から上方に突出しないように構成されている。さらに、床板11の表面には、載置領域A1、A2ごとに、3本ずつのガイド溝15(本発明の「第2位置決め機構」に相当)が形成されている。また、床板11の表面には、載置領域A1、A2ごとに2個ずつの差し込み式のストッパー16が着脱自在に取り付けられており、各ストッパー16はそれぞれ、合成樹脂製の接触部16aを備えている。
【0041】
[運搬装置の構成]
図4、
図5、
図6A及び
図6Bには、実施の形態1に係る運搬装置を示す。
【0042】
実施の形態1に係るリフトアップ固定式の運搬装置30は、フレーム31を有している。このフレーム31には、2個の前輪34および2個の後輪35が回転自在に取り付けられているとともに、把手37が取り付けられている。また、フレーム31の左右両側には、それぞれ、第1アーム38がその一方の端部38aを中心として同期的に回転自在に支持されるとともに、第2アーム39がその一方の端部39aを中心として同期的に回転自在に支持されている。ここで、各第1アーム38の一方の端部38aは、それぞれフレーム31に回転自在に取り付けられており、各第2アーム39の一方の端部39aは、それぞれフレーム31に回転自在かつ運搬装置30の前後方向(
図6A、
図6Bの左右方向)に移動自在に取り付けられている。また、第1アーム38および第2アーム39は、そのほぼ中央部で丸棒状の水平な連動軸45を介して回転自在に連結されている。さらに、一対の第1アーム38の他方の端部38bおよび一対の第2アーム39の他方の端部39bの上側には、昇降板33が水平に載置されている。また、フレーム31の左右両側には、それぞれ、くさびガイド40が、
図6A及び
図6Bに示すように、ハンドル36の正逆方向の回転により、ベルト43およびボールねじ44を介して、運搬装置30の前後方向(
図6A、
図6Bの左右方向)に移動するように構成されている。
【0043】
フレーム31には、昇降板33が昇降自在に取り付けられており、ハンドル36を正逆方向に回すことにより、タイミングベルト、ボールねじ等からなる動力伝達機構43を介して昇降板33を昇降させることができるように構成されている。さらに、フレーム31の底面には、下方に向けて、3本のガイド溝15と協働してフレーム31をその幅方向(半導体製造装置20の搬入方向に直交する方向)に位置決めする3枚の合成樹脂製のガイド板32(本発明の「第2被位置決め機構」に相当)が、コイルスプリング(図示せず)を介して昇降自在に取り付けられている。
【0044】
また、各くさびガイド40の上部には、
図6Aおよび
図6Bに示すように、それぞれ水平部40bが斜面部40aに連設されて形成されている。さらに、各第1アーム38の他方の端部38bの近傍には、それぞれ曲面凸形状の接触部38cが形成されている。
【0045】
そして、一対のくさびガイド40が運搬装置30の前方(
図6A及び
図6Bの右方)に移動すると、
図6Bに示すように、これらのくさびガイド40の斜面部40aが一対の第1アーム38の他方の端部38b近傍の接触部38cを上方へ押し上げることにより、一対の第1アーム38が正方向(他方の端部38bが上昇する方向)に回転するとともに、これらの第1アーム38と連動して、一対の第2アーム39が正方向(他方の端部39bが上昇する方向)に回転すると同時に、これらの第2アーム39の一方の端部39aが運搬装置30の前方(
図6A及び
図6Bの右方)に移動する。その結果、一対の第1アーム38および一対の第2アーム39は、側面視でX字形に交差した状態を維持しつつ他方の端部38bおよび他方の端部39bが同期的に上昇するため、昇降板33が水平状態のまま上昇する。
【0046】
逆に、一対のくさびガイド40が運搬装置30の後方(
図6A及び
図6Bの左方)に移動すると、
図6Aに示すように、第1アーム38、第2アーム39および昇降板33の重量により、一対の第1アーム38が逆方向(他方の端部38bが下降する方向)に回転するとともに、これらの第1アーム38と連動して、一対の第2アーム39が逆方向(他方の端部39bが下降する方向)に回転し、これと同時に、これらの第2アーム39の一方の端部39aが運搬装置30の後方(
図6A及び
図6Bの左方)に移動する。その結果、一対の第1アーム38および一対の第2アーム39は、側面視で一直線上に重なる状態に近付きつつ他方の端部38bおよび他方の端部39bが同期的に下降するため、昇降板33が水平状態のまま下降する。
【0047】
さらに、フレーム31には、
図5に示すように、後述する半導体製造装置20に対してフレーム31をX方向(奥行き方向)に位置決めするための半球状の位置決め凸部41(本発明の「嵌合部」に相当)およびダンパー(すなわち、ショックアブソーバー)42(本発明の「当接部」に相当)が、運搬装置30の前方へ向けて設けられている。
【0048】
[設置作業の手順]
半導体製造装置20、床構造10および運搬装置30は以上のような構成を有するので、
図7に示すように、複数(
図7では、3台)の半導体製造装置20を床上に設置する際には、次の手順により、運搬装置30を用いて各半導体製造装置20を順に床構造10に設置する。
【0049】
まず、搬入工程で、床構造10の各貫通孔12から各カバー17が取り外されると共に、床板11に各ストッパー16が装着される(
図3参照)。
【0050】
そして、以下のような昇降板挿入工程及び挿入板上昇工程を行うことで、半導体製造装置20を運搬装置30に搭載して、運搬可能にする。
【0051】
まず、昇降板挿入工程を行う。この昇降板挿入工程では、
図6Aに示すように、運搬装置30の昇降板33が最下位にある状態で、この運搬装置30の把手37を押して半導体製造装置20の底板21の下方に運搬装置30の昇降板33を挿入する。すると、運搬装置30のフレーム31は、位置決め凸部41(
図5参照)が半導体製造装置20のV溝27(
図2参照)に嵌合してX方向(奥行き方向)に正確に位置決めされる。その結果、後述する昇降板上昇工程において、昇降板33上の所定の位置に半導体製造装置20を安定して搭載することが可能となる。
【0052】
このとき、運搬装置30にはダンパー42が設けられているため、位置決め凸部41がV溝27に嵌合する直前にダンパー42が半導体製造装置20の押し当て部28に当接し、運搬装置30から半導体製造装置20に加わる衝撃を緩和することができる。その結果、半導体製造装置20の運搬に伴って、この半導体製造装置20が衝撃による損傷を受ける事態の発生を抑制することが可能となる。
【0053】
次に、昇降板上昇工程を行う。この昇降板上昇工程では、運搬装置30の昇降板33を上昇させるべく、運搬装置30のハンドル36を正方向に回す。すると、一対のくさびガイド40が運搬装置30の前方(
図6A及び
図6Bの右方)に移動し、各くさびガイド40の斜面部40aが各第1アーム38の他方の端部38bを上方へ押圧するため、運搬装置30の昇降板33が上昇する。
【0054】
そして、運搬装置30の昇降板33が最上位に達すると、
図6Bに示すように、一対の第1アーム38の接触部38cが一対のくさびガイド40の斜面部40aから水平部40bに乗り上げる。そのため、半導体製造装置20の運搬中に運搬装置30の昇降板33が半導体製造装置20の重量を受けて下降する事態は生じない。したがって、この運搬装置30を用いることにより、半導体製造装置20を安全かつ円滑に運搬することが可能となる。
【0055】
また、第1アーム38は、上述したとおり、接触部38cが曲面凸形状を呈し、くさびガイド40は、水平部40bが斜面部40aに連設されているので、くさびガイド40の水平部40bおよび斜面部40aに対する第1アーム38の接触部38cの摺動抵抗が小さくなり、第1アーム38の接触部38cは、運搬装置30の昇降板33が最上位に達したときに、くさびガイド40の斜面部40aから水平部40bに乗り上げやすくなる。
【0056】
以上で、リフトアップ固定式の運搬装置30による半導体製造装置20の持ち上げ作業が終了する。
【0057】
このようにして運搬装置30の昇降板33に半導体製造装置20を搭載した後、この運搬装置30の把手37を押して、半導体製造装置20を床構造10の上方まで搬送する。このとき、床構造10の床板11に対する運搬装置30のY方向(幅方向)の位置決めは、運搬装置30のガイド板32が床構造10のガイド溝15に係合する形で正確に行われる。一方、床構造10の床板11に対する運搬装置30のX方向(奥行き方向)の位置決めは、半導体製造装置20の背面が床構造10の左右一対のストッパー16の接触部16aに当たることで正確に行われる。これらの結果、半導体製造装置20を精度よく迅速に搬入することが可能となる。
【0058】
次に、設置工程に移行し、運搬装置30のハンドル36を回して昇降板33を下降させることにより、半導体製造装置20を下降させる。すると、半導体製造装置20が床構造10上に載置されると同時に、半導体製造装置20の各雄型コネクタ22A−22Bが床構造10の各雌型コネクタ13A−13Cに接続され、配管および電線の接続動作が完了する。したがって、半導体製造装置20の設置工程(載置工程、配管・配線工程)が1工程で行われ、半導体製造装置20の設置に要する手間と時間を省くことができる。その結果、半導体製造装置20を短時間で設置することが可能となる。また、こうして半導体製造装置20を設置した後も、給気ガス管40Aおよび排気ガス管40Bが半導体製造装置20の筐体25の背面から突出するようなことは生じず、邪魔にならない。
【0059】
なお、床構造10の床板11に対する半導体製造装置20の底板21の位置決め(X方向およびY方向)は、各球面体23A−23Cが各V溝台14A−14CのV溝18に嵌合することで正確に行われる。そのため、雄型コネクタ22A−22Bと雌型コネクタ13A−13Cとの接続動作は、両者の嵌合位置が水平方向において互いに合致する形で短時間で円滑に行われる。しかも、3個のV溝台14A−14CのV溝18は、上述したとおり、平面視で略Y字形に沿うように形成されているので、これらのV溝18が協働して各球面体23A−23Cを所定の位置に正確に位置決めしうることから、床構造10の床板11に対して半導体製造装置20の底板21を高精度に位置決めすることが可能となる。
【0060】
以上で、半導体製造装置20の設置作業が終了する。
【0061】
半導体製造装置20には、上述したとおり、底板21の四隅近傍に4個の支持柱24が所定の長さで下向きに設けられているため、半導体製造装置20を床構造10以外の平坦な床面上に仮置きしても、雄型コネクタ22A−22Bや球面体23A−23Cがこの床面に接触して損傷を受ける恐れはない。
【0062】
床構造10は、上述したとおり、雌型コネクタ13A−13CおよびV溝台14A−14Cが床板11の上面から上方に突出していない。従って、床構造10を使用しないとき(床面に半導体製造装置20を設置しないとき)には、すべてのストッパー16を抜き取り、すべての貫通孔12にカバー17を被せることにより、床面をほぼ平坦(面一)にすることができる。したがって、床構造10の非使用時に床面の安全性および汎用性を高めることが可能となる。
【0063】
なお、上述した実施の形態1では、第1位置決め機構が3本のV溝18であるとともに、第1被位置決め機構が3個の球面体23A−23Cである場合について説明したが、逆に、第1位置決め機構を3個の球面体とするとともに、第1被位置決め機構を3本のV溝としてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態1では、半導体製造装置20に雄型コネクタ22A−22Bを設けると共に、床構造10に雌型コネクタ13A−13Cを設けた場合について説明したが、逆に、半導体製造装置20に雌型コネクタを設けると共に、床構造10に雄型コネクタを設けることとしても構わない。
【0065】
また、上述した実施の形態1では、給気ガス管、排気ガス管、AC電源ケーブルを接続するための雄型コネクタ22A−22Bおよび雌型コネクタ13A−13Cについて説明した。しかし、これらの雄型コネクタ22A−22Bおよび雌型コネクタ13A−13Cは、その用途が限定されるわけではなく、例えば、LANケーブル(信号ケーブル)等を接続するためのものであってもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態1では、床板11上に2台の半導体製造装置20を設置できる床構造10について説明したが、床板11上に1台または3台以上の半導体製造装置20を設置できる床構造10に本発明を同様に適用することも可能である。
【0067】
また、上述した実施の形態1では、本発明を小口径半導体ウェハ用の製造装置に適用した場合について説明したが、8インチや12インチ等の大口径半導体ウェハ用の製造装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0068】
さらに、上述した実施の形態1では、半導体製造装置20に適用する場合を例に採って説明したが、本発明は、他の種類の基板(例えば、サファイア基板等の絶縁性基板や、アルミニウム基板などの導電性基板)や、非円盤形状(例えば、矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも同様に適用することができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態1では、半導体製造装置20を安全かつ円滑に運搬することができるようにするため、運搬装置30の昇降板33の昇降機構に工夫を凝らすこと(具体的には、運搬装置30の昇降板33が最上位に達すると、一対の第1アーム38の接触部38cが一対のくさびガイド40の斜面部40aから水平部40bに乗り上げるようにすること)により、半導体製造装置20の運搬中に運搬装置30の昇降板33が半導体製造装置20の重量を受けて下降する事態を未然に防止する場合について説明した。しかし、これに加えて、運搬装置30の昇降板33上に半導体製造装置20が搭載された状態でハンドル36が不用意に回らないようロックするハンドルロック機構(図示せず)を付加しても勿論よい。
【0070】
また、上述した実施の形態1では、運搬装置30の半球状の位置決め凸部41が嵌合部であるとともに、半導体製造装置20のV溝27が被嵌合部である場合について説明した。しかし、半球状の位置決め凸部41以外の嵌合部や、V溝27以外の被嵌合部を代用することもできる。例えば、運搬装置30の嵌合部としてV溝(図示せず)を設けるとともに、半導体製造装置20の被嵌合部として半球状の位置決め凸部(図示せず)を設けることも可能である。
【0071】
また、上述した実施の形態1では、運搬装置30のダンパー42が当接部であるとともに、半導体製造装置20の押し当て部28が被当接部である場合について説明した。しかし、ダンパー42以外の当接部や、押し当て部28以外の被当接部を代用することもできる。例えば、運搬装置30の当接部として押し当て部(図示せず)を設けるとともに、半導体製造装置20の被当接部としてダンパー(図示せず)を設けることも可能である。
【0072】
また、上述した実施の形態1では、運搬装置30において、ハンドル36の回転を一対のくさびガイド40の前後動に変換する動力伝達機構として、タイミングベルト43およびボールねじ44を用いた場合について説明したが、他の動力伝達機構(例えば、ドライブシャフト、チェーン、歯車列(ギアトレーン)など)を代用または併用することもできる。
【0073】
また、上述した実施の形態1では、一対の第1アーム38、一対の第2アーム39および一対のくさびガイド40を備えた運搬装置30について説明したが、第1アーム38、第2アーム39、くさびガイド40は、必ずしも一対でなくても良く、1個や3個以上でも構わない。
【0074】
また、上述した実施の形態1では、車輪(前輪34および後輪35)の転動によって床面上を移動可能とされたフレーム31を有する運搬装置30について説明した。しかし、運搬装置30は、フレーム31が床面上を移動可能である限り、必ずしも車輪の転動によるものでなくてもよい。