(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学的遅延板、光学的補償板、直線偏光板、円偏光板、ミラー、コリメータ、拡散板、ビームスプリッタ、反射板、カラーフィルタ、単色膜、多色膜、配列層、偏向制御レンズ、またはIR反射板である、請求項11に記載の光学素子。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】
図1aは、球状の形状を有する、本発明によるポリマー粒子を例示的に示す図である。
【
図1b】
図1bは、長球状形状を有する、本発明によるポリマー粒子を例示的に示す図である。
【
図1c】
図1cは、準トロイダル形状を有する、本発明によるポリマー粒子を例示的に示す図である。
【
図2】
図2は、例1によるポリマー粒子を有する緑色シートの反射スペクトルを示すグラフである。
【
図3】
図3は、例2によるポリマー粒子を有する青色シートの反射スペクトルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、例4によるポリマー粒子を有する多色広帯域シートの左および右円偏光に関して記録された、透過スペクトルを示すグラフである。
【0019】
用語の定義
本明細書で用いられる、用語「粒子(単数、複数)」および「ポリマー粒子(単数、複数)」は、互換的に用いられ、均一の形状および規定された寸法を有する、多数の単離された固体粒子を意味し、これは好ましくは、モノマー材料から重合化プロセスにより、好ましくは不均一重合プロセスにより、得られる。本発明による粒子は、光学異方性の特性および好ましくは異方性形状を有する。他に述べなければ、本明細書において議論される粒子は、コレステリックポリマー粒子である。
【0020】
本明細書において用いられる用語「フレーク(単数、複数)」は、それとは対照的に、および従来技術において通常は理解されるように、規定された厚さおよび通常は規定されない横寸法を有する、平坦な(例えば破片のような)粒子を意味し、これは通常は、基板上に重合性材料の層を被覆またはそうでなければ堆積すること、任意に材料を一定な配向へと配列させること、配列した材料を重合化してポリマー箔を形成すること、ポリマー箔を基板から分離することおよびそれをクラッシュし、任意に篩にかけてフレークにすることを含む、多段階プロセスにより得ることができる。
【0021】
本明細書で用いられる、用語「不均一重合」は、エマルション重合および懸濁重合を含むがこれには限定されない、不均一な媒体(つまり2つの非相溶な相)における重合化を意味する。
【0022】
本明細書で用いられる、用語「エマルション重合」は、モノマーは重合媒体において低い溶解性を有するが、重合開始剤は重合媒体において溶解性である、重合を意味する。モノマーを重合媒体中で、例えば、予め重合媒体に添加した界面活性剤などの、乳化剤により、小滴またはミセル中に乳化する。重合化が重合化媒体中で、小滴またはミセルからのモノマーの分散により、開始する。
【0023】
本明細書で用いられる、用語「懸濁重合」は、モノマーおよび開始剤が重合媒体中に不溶性である重合を意味する。エマルションがなされたあとに、両方ともに小滴中に含有される。重合化はモノマー小滴中において開始し、慣用のin-situバルク重合と比較することができる。
【0024】
本明細書で用いられる、用語「均一重合」は、分散重合を含むがこれには限定されない、均一な媒体(つまり、一相のみからなる媒体)中の重合を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる、用語「分散重合」は、モノマーおよび開始剤の両方が重合媒体に可溶である、重合を意味する。重合は重合媒体中で開始し、重合媒体からポリマーが沈殿する。
【0026】
本明細書で用いられる、用語「長球」および「長球状」は、球形であるかまたは、極軸が赤道次元よりも大きい、
図1bにおいて例示的に描かれているような、「ラグビーボール」のようなものである、球状の形状を有する粒子を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる、用語「トロイダル」は、平面幾何学図形を、該図形の外側の、該図形の平面に平行で、かつ該図形と交差しない軸のまわりに回転させることにより作られる、「ドーナツ」形状のような形状を意味する。本明細書で用いられる、用語「準トロイダル」は、トロイダル形状に類似する形状を有するが、トロイドまたは「ドーナツ」により囲まれる領域もまた、粒子を形成する(通常は薄膜の)材料により充填される、
図1cにおいて例示的に描かれているような、「赤血球」形状のような、粒子を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる、用語「連続相」は、本発明によるポリマー粒子が分散する任意の媒体、例えば液体、液晶媒体、溶媒、重合性媒体またはポリマーを含む。連続相は、光学的に等方性であるかまたは異方性であることができ、例えば有機溶媒、液晶媒体、等方性ポリマーまたはポリマーネットワーク、または液晶ポリマーまたはポリマーネットワークである。連続相はまた、そこにおいてポリマー粒子が製造される、重合媒体であることができる。
【0029】
本明細書で用いられる、用語「層」は、剛性またはフレキシブルであり得、かつ本発明によるポリマー粒子を含み、かつポリマー粒子はまた固体または固体化連続相、例えばポリマーネットワークなどに分散し得る、シートまたは箔などの固体の層を含む。用語「層」はさらに、粘性なまたは液体の連続相に分散する、本発明によるポリマー粒子を含む、液体または粘性な相を含む。
【0030】
本明細書で用いられる、用語「物品」は、固体または固体化した連続相、例えばポリマーマトリクスに分散し得る、または物品の形状を有する固体シェルにカプセル化された粘性または液体連続相中に分散し得る、本発明によるポリマー粒子を含む、好ましくは層以外の、任意の形状化した物品または対象物、例えばレンズなどを含む。
【0031】
本明細書で用いられる、用語「光学素子」は、光の性質を改変するために用いられる、任意の膜、コーティングまたは形状化した物品を含み、かかる改変は例えば、透過または反射における変化による光の強度における変化、波長または波長分布における変化、偏向の状態における変化、部分的なまたは全ての光の伝播の方向における変化、または、例えば光を集光、平行化、または分散することによる、強度の空間分布における変化を含むが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で用いられる、用語「反応性メソゲン」(RM(reactive mesogen))は、重合性メソゲン性または液晶化合物を意味し、これは好ましくはモノマー化合物である。
【0033】
本明細書で用いられる、組成物または混合物の、用語「主成分」は、組成物または混合物において、重量%での最も高い濃度を有する化合物を意味する。例えば、本明細書において記載されるRM混合物において、好ましくは、主成分はアキラル二反応性または単反応性RMであるであろう。
【0034】
本明細書において用いられる、用語「液晶」、「メソゲン」および「メソゲン化合物」は、温度、圧力および濃度の好適な条件下で、メソ相として、または特にはLC相として存在することができる、化合物を意味する。
【0035】
本明細書で用いられる、用語「メソゲン基」は、液晶(LC)相挙動を誘導する能力を有する基を意味する。メソゲン基、特に非両親媒性タイプのものは、通常は、カラミティック(つまり棒形状または板形状)またはディスコティックのいずれかである。メソゲン基を含む化合物は必ずしも、LC相を呈する必要はない。それらが、他の化合物との混合物において、またはメソゲン化合物またはその混合物が重合化されたときのみに、LC相挙動を示すこともまた可能である。単純化のため、用語「液晶」は本明細書において、メソゲン性およびLC材料の両方に対して用いる。
【0036】
好ましくは、本発明において用いる、および開示されるメソゲン基および化合物は、カラミティック基および化合物から選択される。
【0037】
液晶およびメソゲンに関連する用語および定義の概説に関し、Pure Appl. Chem. 73(5), 888 (2001) and C. Tschierske, G. Pelzl and S. Diele, Angew. Chem. 2004, 116, 6340-6368を参照されたい。
【0038】
本明細書においてまた、1つの重合性官能基を有する重合性化合物は「単反応性」化合物と、2つの重合性官能基を有する化合物は「二反応性」化合物と、2つより多い重合性官能基を有する化合物は「多反応性」化合物と称される。重合性官能基を有しない化合物はまた、「非反応性」化合物と称される。
【0039】
「Sp」とも略される、本明細書で用いられる、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、当業者に公知であり、文献に記載され、例えば、Pure Appl. Chem. 73(5), 888 (2001) and C. Tschierske, G. Pelzl, S. Diele, Angew. Chem. 2004, 116, 6340-6368を参照されたい。他に述べなければ、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は本明細書においては、重合性メソゲン化合物(「RM」)においてメソゲン基および重合性基(単数、複数)に結合する、フレキシブルな有機基を示す。
【0040】
本明細書において用いられる、用語「RM混合物」は、2種または3種以上のRMを含み、および任意にさらなる材料を含む、混合物を意味する。
【0041】
本明細書において用いられる、用語「らせんねじれ力(HTP(helical twisting power))」は、キラル化合物が液晶ホスト材料においてらせん的にねじれた分子構造を誘導する、キラル化合物の効力を意味する。HTPは、一次近似において与えられ、これはほとんどの実用的な用途に対して十分であり、以下の式による:
【数1】
式中、cは、ホスト材料におけるキラル化合物の濃度であり、およびpは、らせんピッチである。
【0042】
詳細な説明
本発明によるポリマー粒子は、RMまたは2種もしくは3種以上のRMを含むRM混合物、ここで好ましくは少なくとも1種のRMは2つまたは3つ以上の重合性官能基を有する、を重合化することにより、製造される。その結果、粒子が架橋し、コレステリックメソ相が凍結し、それにより、コレステリック秩序に由来する光学特性が、それぞれの単離された粒子に内在する。
【0043】
原理上、粒子は、好適なRMまたはRM混合物を選択することにより、全スペクトルをカバーする選択的ブラッグ反射を呈することができる。好ましくは、粒子は、主成分としてアキラル二反応性または単反応性メソゲンを有する材料の重合化により得られる。コレステリック秩序は好ましくは、非反応性または反応性キラルドーパントをアキラルRMに添加することにより、提供される。高いらせんねじれ力の値(HTP(helical twisting power))を有するこれらのキラルドーパントが、少量のみで使用するために選択されるが、本発明は高いHTP値の化合物には限定されない。代替的に、または追加的にキラルRMもまた、アキラルRMに加えて、または代替的に、用いることができる。
【0044】
粒子のコレステリック内部分子秩序の結果として、光学的、装飾的またはセキュリティ目的のために用いることができる、顕著な光学的効果を生じさせることができる。例えば、粒子またはこれらを含む層もしくは物品は、セキュリティ文書を識別するために用いることができ、ここでマーキングされた基質が、円偏向した光の両手側を判別することができる光学顕微鏡で読み取ることにより、識別することができる。粒子は、光が該粒子のらせんねじれに関する反対方向で偏向するときに、光の特有な反射パターンを呈する。粒子は、それぞれの粒子のトップにおける中心スポットとして、右手側円偏向した光(RHP)に対して光の反射を、および反対方向に対してそれぞれの粒子のトップにおいてリング様パターン化された反射を示す。コレステリックフレークの通常の挙動は、らせんねじれに関して反対方向を有する光を透過し、暗いテクスチャを誘導するようになっているので、後者の反射のパターンは追加のセキュリティレベルとして用いることができる。
【0045】
分子ディレクタの放射状配置のため、それぞれの分子の他のものに対する位置は重要ではなく、反射された光は常にシートに対して垂直であろう。このため、コーティングされた層またはシートの、粒子からの製造においては、配列層は必要ではない。
【0046】
本発明によるポリマー粒子は好ましくは、本明細書に記載されるRMまたはRM混合物から製造される。
【0047】
好ましい態様において、RM混合物は、単反応性、二反応性または多反応性重合性非メソゲン化合物から選択される、1種または2種以上の添加剤を含む。単反応性重合性非メソゲン化合物の典型的な例は、アルキルアクリラート類およびアルキルメタクリラート類である。二反応性非メソゲン化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子を有する、アルキルジアクリラート類またはアルキルジメタクリラート類である。多反応性非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリラートまたはペンタエリトリトールテトラアクリラートである。
【0048】
単一のRMが用いられる場合、それは単反応性または二反応性もしくは多反応性RMであり得るが、好ましくは二反応性または多反応性RMから選択される。
【0049】
RM混合物が用いられる場合、それは好ましくは1種または2種以上の単反応性RM、および1種または2種以上の
二反応性または多反応性RMを含む。
【0050】
二反応性および多反応性RMは好ましくは、式Iから選択され、
P
1−Sp
1−MG−Sp
2−P
2 I
式中、P
1およびP
2はそれぞれ互いに独立して、重合性基を示し、Sp
1およびSp
2はそれぞれ互いに独立して、スペーサー基または単結合を示し、およびMGはメソゲン性基であり、これは好ましくは式IIから選択される、
−(A
1−Z
1)
n−A
2− II
式中
A
1およびA
2は、多数回出現の場合においては互いに独立して、芳香族または脂環式の基、これは任意に、N、OおよびSから選択される1つまたは2つ以上のヘテロ原子を含み、およびLにより任意に単置換または多置換されている、を示し、
【0051】
Lは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
00R
000、−C(=O)X
0、−C(=O)OR
00、−C(=O)R
0、−NR
00R
000、−OH、−SF
5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有する任意に置換されたシリル、アリールもしくはヘテロアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有する、直鎖または分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、ここで1つまたは2つ以上のH原子は、FまたはClにより任意に置き換えられていてもよい、であり、
R
00およびR
000はそれぞれ互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
X
0は、ハロゲン、好ましくはFまたはClであり、
【0052】
Z
1は、多数回出現の場合においては互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR
00−、−NR
00−CO−、−NR
00−CO−NR
000、−NR
00−CO−O−、−O−CO−NR
00−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
n1、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
00−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を、好ましくは−COO−、−OCO−または単結合を示し、
Y
1およびY
2はそれぞれ独立して、H、F、ClまたはCNを示し、
nは、1、2、3または4、好ましくは1または2、最も好ましくは2であり、
n1は、1〜10の整数、好ましくは1、2、3または4である。
【0053】
好ましい基A
1およびA
2は、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、フルオレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセン、フェナントレンおよびジチエノチオフェン、これらの全ては非置換であるか、または上に定義される1つ、2つ、3つまたは4つの基Lにより置換されている、を含むがこれらには限定されない。
【0054】
特に好ましい基A
1およびA
2は、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4−シクロヘキシレン、ここで1つまたは2つの非隣接のCH
2基は、Oおよび/またはSにより任意に置き換えられており、ここでこれらの基は、上に定義される1つ、2つ、3つまたは4つの基Lにより置換されている、から選択される。
【0055】
式Iで表される好ましいRMsは、式Iaから選択される、
【化1】
式中、
P
0は、多数回出現の場合においては互いに独立して、重合性基、好ましくはアクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Z
0は、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−C≡C−、−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−COO−、または単結合であり、
Lは、それぞれの出現において独立してまたは異なって、式IにおいてL
1に対して与えられた意味の1つを有し、および好ましくは、多数回出現の場合においては互いに独立して、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有する任意にハロゲン化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは互いに独立して、0であるかまたは同一であるかもしくは異なって1〜12の整数であり、
zは、0または1、ここで隣接するxまたはyが0である場合はzは0である、である。
【0056】
式Iで表される非常に好ましいRMは、以下の式から選択される:
【化2】
【0057】
【化3】
式中、P
0、L、r、x、yおよびzは、式Iaにおいて定義されるとおりである。
【0058】
式Ia1、Ia2およびIa3で表される化合物、特に式Ia1で表されるものが、特に好ましい。
【0059】
RM混合物における、二反応性または多反応性RMs、好ましくは式Iおよびその副次式で表されるものの濃度は好ましくは、5%wt〜95%wtである。単反応性RMsは好ましくは、式IIIから選択される:
P
1−Sp
1−MG−R III
式中P
1、Sp
1およびMGは式Iにおいて与えられる意味を有し、
Rは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
00R
000、−C(=O)X、−C(=O)OR
0、−C(=O)R
00、−NR
00R
000、−OH、−SF
5,1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有する、任意に置換されているシリル、直鎖または分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニル、ここで1つまたは2つ以上のH原子はFまたはClにより任意に置換されている、を示し、
Xは、ハロゲン、好ましくはFまたはClであり、および
R
00およびR
000は互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0060】
好ましくは、式IIで表されるRMは、以下の式から選択される。
【化4】
【0061】
【化5】
【0062】
【化6】
【0063】
【化7】
【0064】
式中、P
0、L、r、x、yおよびzは、式Iaにおいて定義されるとおりであり、
R
0は、1つまたは2つ以上の、好ましくは1〜15個のC原子を有する、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、これは任意にフッ素化されている、であるか、Y
0またはP−(CH
2)
y−(O)
z−を示し、
X
0は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
01−、−NR
01−CO−、−NR
01−CO−NR
01−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
01−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
【0065】
Y
0は、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、OCN、SCN、SF
5、1〜4個のC原子を有する、任意にフッ素化されているアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニル、または1〜4個のC原子を有する、一フッ素化、オリゴフッ素化または多フッ素化されているアルキルまたはあるルコキシであり、
Aは、多数回出現の場合においては互いに独立して、非置換であるか、または1つ、2つ、3つもしくは4つの基Lにより置換されている1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
R
01、02は互いに独立して、H、R
0またはY
0であり、
uおよびvは互いに独立して、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
およびここで該ベンゼンおよびナフタレン環は追加的に、1つまたは2つ以上の、同一であるかまたは異なる基Lで置換されていることができる。
【0066】
式II1、II2、II3、II4、II5、II6、II7、II8、II9およびII10で表される化合物、特には式II1、II4、II6、II7およびII8で表されるものが、特に好ましい。
【0067】
RM混合物における単反応性RMsの濃度は好ましくは、5%wt.〜95%wt.である。
【0068】
式I、II、IIIおよびこれらの好ましい副次式において、LおよびL
1〜3は好ましくは、F、Cl、CN、NO
2または1〜12個のC原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、ここで該アルキル基は任意にパーフッ素化されている、またはP−Sp−から選択される。
【0069】
非常に好ましくLおよびL
1〜3は、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5またはP−Sp−、特にはF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、COCH
3またはOCF
3、最も好ましくはF、Cl、CH
3、C(CH
3)
3、OCH
3またはCOCH
3、またはP−Sp−から選択される。
【0070】
式
【化8】
で表される置換ベンゼン環は好ましくは、
【化9】
ここでLは互いに独立して、上に与えられる意味の1つを有する、
である。
【0071】
式I、II、IIIおよびそれらの好ましい副次式において、アルキルまたはアルコキシラジカル、つまり末端CH
2基が−O−により置き換えられている、は、直鎖または分枝であることができる。それは好ましくは直鎖であり、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、さらにはメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0072】
オキサアルキル、つまり1つのCH
2基が−O−により置き換えられている、は好ましくは、例えば、直鎖の2−オキサプロピル(= メトキシメチル)、2−(エトキシメチル)または3−オキサブチル(= 2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0073】
1つまたは2つ以上のCH
2基が−CH=CH−により置き換えられている、アルキル基は、直鎖または分枝であることができる。それは好ましくは直鎖であり、2〜10個のC原子を有し、従って好ましくはビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノン−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノン−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0074】
特に好ましいアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニル、特にはC
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニルおよびC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基に関する例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が、一般的には好ましい。
【0075】
1つのCH
2基が−O−によりかつ1つが−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらのラジカルは好ましくは隣り合っている。従ってこれらにラジカルはともに、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくはこれらの基は直鎖であり、かつ2〜6個のC原子を有する。従ってそれは好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0076】
2つまたは3つ以上のCH
2基が−O−および/または−COO−により置き換えられているアルキル基は、直鎖または分枝であることができる。それは好ましくは直鎖であり、かつ3〜12個のC原子を有する。従ってそれは好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0077】
CNまたはCF
3により単置換されているアルキルまたはアルケニル基は好ましくは、直鎖である。CNまたはCF
3による置換は、任意の所望の位置においてであり得る。
【0078】
ハロゲンにより少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニル基は好ましくは、直鎖である。ハロゲンは好ましくはFまたはCl、複数の置換の場合においては好ましくはFである。結果生じる基はまた、パーフッ素化基も含む。単置換の場合において、FまたはCl置換基は任意の位置においてであることができるが、好ましくはω位においてである。末端F置換基を有する特に好ましい直鎖の基に関する例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかし、他の位置のFは除外されない。
【0079】
R
00およびR
000は好ましくは、H、1〜12個のC原子を有する直鎖または分枝のアルキルである。
−CY
1=CY
2−は好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0080】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClである。
【0081】
R、R
0、R
1およびR
2は、アキラルまたはキラル基であることができる。特に好ましいキラル基は例えば、2−ブチル(= 1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特には2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロルプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシが、非常に好ましい。
【0082】
好ましいアキラル分枝基は、イソプロピル、イソブチル(= メチルプロピル)、イソペンチル(= 3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0083】
式I、II、IIIおよびそれらの好ましい副次式において、重合性基P、P
1、P
2およびP
0は、重合反応、例えばラジカル性もしくはイオン性の、連鎖重合、重付加もしくは重縮合に関与することができる、または例えば縮合もしくは付加により、ポリマー類似反応においてポリマー骨格へとグラフトすることができる基を示す。連鎖重合反応、例えばラジカル性、カチオン性またはアニオン性重合などのための重合性基が、特に好ましい。C−C二重結合または三重結合を含む重合性基、および開環反応により重合化することができる重合性基、例えばオキセタンまたはエポキシドなどが、非常に好ましい。
【0084】
好適かつ好ましい重合性基P、P
1、P
2およびP
0は、
【化10】
およびW
4W
5W
6Si−、ここでW
1はH、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にはH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W
7およびW
8は互いに独立して、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheは、好ましくは1つまたは2つ以上の上に定義されるL(P−Sp−の意味は除く)により、任意に置換されている1,4−フェニレンであり、ならびにk
1およびk
2は互いに独立して、0または1である、を含むがこれらに限定されない。
【0085】
非常に好ましい重合性基P、P
1、P
2およびP
0は、
【化11】
およびW
4W
5W
6Si−、ここでW
1はH、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、F、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W
7およびW
8は互いに独立して、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheは、好ましくは1つまたは2つ以上の上に定義されるL(P−Sp−の意味は除く)により、任意に置換されている1,4−フェニレンであり、ならびにk
1およびk
2は互いに独立して、0または1である、から選択される。
【0086】
最も好ましい重合性基P、P
1、P
2およびP
0は、
【化12】
から選択される。
【0087】
さらに好ましくは、P、P
1、P
2およびP
0は、ビニルオキシ、アクリラート、メタクリラート、フルオロアクリラート、クロロアクリラート、オキセタンおよびエポキシド基からなる群から選択され、および特に好ましくはアクリラート、メタクリラートまたはオキセタン基を示す。
【0088】
重合は、通常の専門家に公知の、および文献、例えばD. J. Broer; G. Challa; G. N. Mol, Macromol. Chem, 1991, 192, 59において記載される、方法に従って、実行することができる。
【0089】
式I、II、IIIおよびそれらの好ましい副次式において、スペーサー基Sp、Sp
1およびSp
2は好ましくは、式Sp’−X’−から選択され、そのため例えば、P−Sp−はP−Sp’−X’−であり、ここで
Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレン、これはF,Cl、Br、IまたはCNにより任意に単置換または多置換されており、およびここで1つまたは2つ以上の非隣接のCH
2基は、それぞれの場合において互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR
0−CO−O−、−O−CO−NR
0−、−NR
0−CO−NR
0−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いにへと直接的に結合しないように置き換えられている、であり、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R
0およびR
00は互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、ならびに
Y
1およびY
2は互いに独立して、H、F、ClまたはCNである。
【0090】
X’は好ましくは、−O−、−S −CO−、−COO−、−OCO−,−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−または単結合である。
【0091】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH
2)
p1−、−(CH
2CH
2O)
q1 −CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
0R
00−O)
p1−、ここでp1は2〜12の整数であり、q1は1〜3の整数であり、ならびにR
0およびR
00は上で与えられる意味を有する、である。
【0092】
好ましい基Sp’は例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシ−ブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0093】
重合性基がスペーサー基Spなしでメソゲン基に直接的に結合している化合物が、さらに好ましい。
【0094】
多数の基P−Sp−、P
1−Sp
1−などを有する化合物の場合において、多数の重合性基P、P
1および多数のスペーサー基Sp、Sp
1は、互いに同一または異なり得る。
【0095】
もう1つの好ましい態様において、反応性基は、2つまたは3つ以上の重合性基PまたはP−Sp−により置換されている、1つまたは2つ以上の末端基R
0,1,2または置換基LまたはL
1〜3を含む(多官能性重合性基)。このタイプの好適な多官能性重合性基は、例えばUS 7,060,200 B1またはUS 2006/0172090 A1において開示されている。以下の式から選択される1つまたは2つ以上の多官能性重合性基を含む化合物が、非常に好ましい:
【化13】
【0096】
式中、
alkylは、1〜12個のC原子を有する直鎖または分枝のアルキレン、これは非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNにより単置換または多置換されており、およびここで1つもしくは2つ以上の非隣接のCH
2基はそれぞれの場合において互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO
2−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
00−、−CY
1=CY
2−もしくは−C≡C−、ここでR
0およびR
00は上で与えられる意味を有する、により、Oおよび/またはS原子が互いにへと直接的に結合しないように置き換えられている、または単結合であり、
aaおよびbbは互いに独立して、0、1、2、3、4、5または6であり、
X’は、上に定義するとおりであり、および
P
1〜5は互いに独立して、上でPに対して与えられる意味の1つを有する。
【0097】
本発明によるコレステリックポリマー粒子の製造のために、キラルRMまたはRM混合物が用いられる、および/またはキラル添加剤がアキラルまたはキラルRMまたはRM混合物に添加される。キラル添加剤は、非重合性であるかまたは重合性であり得る、キラル化合物である。好適なキラル添加剤は、キラルRMおよびキラルドーパントから選択することができ、これらの多くは当業者に周知であり、および商業的に利用可能である。
【0098】
好適な非重合性キラル化合物は例えば、R−またはS−811、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011、R−またはS−5011、またはCB 15(全てMerck KGaA, Darmstadt, Germanyから利用可能)などのキラルドーパントである。
【0099】
好適な重合性キラル化合物は例えば、以下に一覧するキラルRM(R1)〜(R10)、または重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF AG, Ludwigshafen, Germanyから)である。
【化14】
【0100】
【化15】
式中、Pは上のP
0に対して与えられる意味の1つを有し、Z
0、u、v、x、y、R
0およびAは上に定義されるとおりであり、およびL
1およびL
2は互いに独立して上に与えられるLの意味の1つを有する。
【0101】
高いHTPを有するキラル化合物、特には、例えばWO 98/00428に記載される、ソルビトール基を含む化合物、例えばGB 2,328,207に記載される、ヒドロベンゾイン基を含む化合物、例えばWO 02/94805に記載される、キラルビナフチル誘導体、例えばWO 02/34739に記載される、キラルビナフチルアセタール誘導体、例えばWO 02/06265に記載される、キラルTADDOL誘導体、および例えばWO 02/06196またはWO 02/06195に記載される、少なくとも1つのフッ素化結合基および末端または中心キラル基を有するキラル化合物である。
【0102】
40μm
−1以上、非常に好ましくは60μm
−1以上、最も好ましくは80μm
−1以上のHTPを有するキラル化合物が、特に好ましい。
【0103】
式(R8)および(R9)で表されるものなどの重合性ソルビトールおよび式(R10)で表されるものなどの重合性ヒドロベンゾイが、特に好ましい。
【0104】
下の式M1およびM2で表される非重合性ソルビトールおよびヒドロベンゾインが、さらに好ましい。下の式M3およびM4で表されるキラルビナフトールが、さらに好ましい。
【化16】
【0105】
【化17】
式中、P、Z
0、A L
1、L
2、vおよびxは上に与えられる意味を有し、R
1は上に与えられるR
0の意味の1つを有するか、またはP−Sp−であり、RはR
0の意味の1つを有し、mは0、1、2または3であり、ならびにr1およびr2は0、1、2、3または4である。
【0106】
式M3で表される化合物であって、式中R
1がP−Spである該化合物が、非常に好ましい。式M3で表される化合物であって、式中、mが0または1であり、Z
0が−COO−、−OCO−または単結合であり、Aが、任意に1つまたは2つの基L
1により置換されている1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンである、該化合物が、さらに好ましい。
【0107】
RMまたはRM混合物は、キラル添加剤なしでは、好ましくは、ネマチックLCを、またはスメクチックLC相およびネマチックLC相を、非常に好ましくは室温においてネマチックLC相を呈する。
RMまたはRM混合物は、キラル添加剤があれば、好ましくは、コレステリックLC相を、非常に好ましくは室温においてコレステリックLC相を呈する。
【0108】
RMおよびRM混合物はさらに、重合開始剤、界面活性剤、安定化剤、触媒、増感剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性モノマーまたは表面活性化合物からなる群から選択される、1種または2種以上の添加剤を含んでもよい。
【0109】
重合性粒子を形成するための重合は、RMまたはRM混合物を熱または化学線へと曝露することにより、達成することができる。化学線は光、例えばUV光、IR光もしくは可視光などでの照射、X線もしくはγ線での照射、または高いエネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子などでの照射を意味する。好ましい重合は、UV照射により実行される。化学線のためのソースとして、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプパワーを用いるとき、硬化時間は低減することができる。化学線のためのもう1つの可能なソースは、レーザー、例えばUV、IRまたは可視レーザーなどである。
【0110】
ポリマー粒子は好ましくは、好ましくは重合性開始剤の存在における、光開始または熱的に開始の重合により、重合される。両方のタイプの重合のために好適な開始剤は、当業者に周知である。熱的な開始が、大規模な粒子の生産には好ましいが、本発明はこの種の重合には限定されない。
【0111】
好ましい光開始剤は、周囲条件において安定であるものであるが、空気なし安定な光開始剤もまた用いることができる。光開始剤の好適かつ好ましい例は、商業的に利用可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)シリーズから選択されるもの、例えばIrgacure(登録商標)651、Darocure(登録商標)1173もしくはDarocure(登録商標)4265、Darocure(登録商標)4265など、またはBAPOタイプ光開始剤、例えばIrgacure(登録商標)819などである。
【0112】
好適かつ好ましい熱開始剤の例は、ポリマーをチャージするために用いられるもの、例えば2,2’−アジビスシアノ吉草酸(ACVA)(Wako Chemicals)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド(V−50)(Wako Chemicals)、アンモニウムパーオキソジスルファート(APS)、または通常の熱開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Vazo59)(Wako Chemicals、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)などである。
【0113】
合成手順に依存して、RM混合物における添加剤のタイプおよび濃度、例えばより高いまたは低い開始剤の含有量または特定のタイプの開始剤の使用を、および追加の処理およびプロセス条件、例えば圧力または光照射などの外部刺激などに依存して、粒子の形状を制御して例えば、長球状もしくは準トロイダル粒子などの、異方性形状を有する粒子、または球状粒子などの、等方性形状を有する粒子を得ることができる。
【0114】
粒子形状に影響をいかに及ぼすかの、好適なやり方は、WO 2012/152409 A1に開示されている。
【0115】
本発明によるポリマー粒子は好ましくは、エマルション重合、懸濁重合または分散重合により製造される。
【0116】
好ましい態様において、ポリマー粒子は、以下を含むエマルションまたは懸濁重合により製造される:
a)RM(または2種もしくは3種以上のRM)、キラル添加剤、および懸濁重合の場合においては開始剤を、互いに混合し、該混合物をその等方相へと加熱し、コレステリック相を呈する温度へと混合物を冷ますこと、
b)混合物を、例えば溶媒中の界面活性剤の溶液を混合物へと添加することにより、またはその逆で、溶媒および界面活性剤(連続相)とともに混ぜ合わせること、
c)RMを、例えば混合物を乳化剤とともに攪拌すること、およびエマルション重合の場合においては開始剤を添加して、乳化すること、
d)RMを、好ましくは熱重合または光重合により、重合すること。
本発明はまた、本明細書に記載される、ポリマー粒子の製造方法に関する。
【0117】
液体溶媒の性質は、用いられる界面活性剤の性質に相関し、これは粒子における分子のアンカー化(つまり、粒子の表面に対する、分子の平行、垂直、および不完全平行または垂直配置)および光学特性を決定するであろう。
【0118】
好ましい態様において、連続相は、溶媒に溶解した少なくとも1種の界面活性剤を含む。界面活性剤(また、モノマーに対して乳化剤としても作用する)は、重合化後に液体の連続相において最終ポリマー粒子を分散する、極性ブロックおよび非極性ブロックを含有していなければならない。界面活性剤が液晶相を変えないが、同時にエマルションを安定化させることが、非常に重要である。単一の界面活性剤または2種もしくは3種以上の界面活性剤のブレンドを、用いることができる。
【0119】
非イオン性界面活性剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、グリセロールアルキルエステル、芳香族ブロック、例えばポリスチレンまたはポリビニルナフタレンなど、およびポリオレフィンブロック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンまたはポリブタジエンなどでのブロックコポリマーが、が好ましい(Kraton(登録商標)およびSepton(登録商標)界面活性剤が商業的な例である)。しかし、他のタイプの界面活性剤、例えばカチオン性(例えば塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化セトリモニウムまたは塩化ベンズエトニウム)またはアニオン性界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLS)またはスルホン酸パーフルオロオクタン(PFOS)、これらは当業者には周知である、もまた、粒子の製造プロセスにおける使用に好適である。
【0120】
連続相(つまり、重合媒体)は、合成のために用いられる媒体中の少なくとも1種の界面活性剤の溶液、例えばエタノール中のドデカンまたはPVP溶液中のKraton溶液などであるべきである。重合媒体として用いられる連続相はまた、最終ポリマー粒子のための分散媒体として用いることができる。そして適切な選択により、連続相は、粒子ならびにそれらを含む層または物品のさらなる用途における、追加的な目的を果たす。
【0121】
例えば、本発明の好ましい態様において、連続相は、好ましくは<10、より好ましくは<5の、低い誘電率を有する有機溶媒を含む。このタイプの好適な溶媒は例えば、非極性炭化水素溶媒、例えばIsoparシリーズ(Exxon-Mobil)、Norpar、Shell-Sol(Shell)、Sol-Trol(Shell)、ナフサ、および他の石油系溶媒、ならびに長鎖アルカン、例えばドデカン、テトラデカン、デカンおよびノナンなどである。これらの溶媒に分散した粒子は、電気光学デバイスの活性層における使用に好適である。電界に対する垂直方向における、粒子の均質な切替が、低電圧において観察される。
【0122】
本発明のもう1つの態様において、連続相は水を含む。水における粒子の最終分散は、それらは生体適合性溶媒に分散し、かつ洗浄プロセスを必要としないため、バイオ用途において使用することができる。薬物送達のためのポリマー粒子の使用の例は、US 5302397AおよびUS8367116 B2において見出すことができる。
【0123】
好ましい態様において、
図1aにおいて例示的に描かれるように、ポリマー粒子は球状の形状を有する。もう1つの好ましい態様において、ポリマー粒子は異方性形状を、非常に好ましくは、
図1bにおいて例示的に描かれるように、長球状の形状を、または
図1cにおいて例示的に描かれるように、準トロイダル形状を有する。
【0124】
ポリマー粒子は、単分散(つまり、単一様式のサイズを有する)、または多分散(つまり二峰性以上のサイズ分布を有する)であり得る。二峰性サイズを有する球状粒子は、例えば
図1aにおいて示されている。
【0125】
ポリマー粒子のサイズは、所望の用途に従って変化させることができる。15〜50ミクロンからの、より好ましくは6〜10ミクロンからの、最も好ましくは1〜5ミクロンからの径を有するポリマー粒子が、特に好ましい。
【0126】
球状の形状を有する粒子は、上に記載するステップa)〜d)を含む不均一重合により、直接的に製造することができる。
【0127】
異方性形状、例えば長球状または準トロイダル形状を有する粒子は、WO 2012/152409 A1に開示されるように、上に記載されるステップa)〜d)を含む不均一重合、ここで形状異方性は開始剤を変えることにより得ることができる、により、直接的に製造することができる。
【0128】
層または物品を製造するために、または貯蔵の目的のために、本発明によるポリマー粒子は好ましくは、連続相に分散する。連続相は好ましくは、液体、溶媒、例えば水または有機溶媒、液晶媒体、重合性媒体またはポリマーである。連続相はまた、ポリマー粒子の製造のために用いられる重合媒体であることができる。
【0129】
連続相は、光学的に等方性または異方性、例えば有機溶媒、液晶媒体、等方性ポリマーまたはポリマーネットワーク、または液晶ポリマーまたはポリマーネットワークであることができる。好ましくは連続相は、光学的に等方性または透明である。
【0130】
液体の好適かつ好ましい例は、ドデカン、エタノール、水、ヘプタン、ガソリン、トルエン、イソプロパノール、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、メタメチルメタクリラート、反応性メソゲン混合物(RMMs(reactive mesogen mixtures))または単一の液晶、例えばMerckからの5CBまたはBL006など、である。異なる液体の異なる比率での混合物もまた、可能である。
【0131】
好ましくは、連続相は、ケトン類、アルコール類、芳香族溶媒、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類またはハロゲン化炭化水素類から、非常に好ましくはドデカン、メタノール、エタノールおよび水から選択される。
【0132】
本発明の好ましい態様において、連続相は、低い誘電率(ε)(例えばドデカン(ε=2)またはヘプタン(ε=1.9))を有する、1種または2種以上の有機溶媒を含むか、または、からなっている。
【0133】
本発明のもう1つの好ましい態様において、連続相は、水または水性相である。
【0134】
もう1つの好ましい態様において、連続相は、極性ブロックおよび非極性ブロックを含み、ポリマー粒子を分散させる界面活性剤を、好ましくは5〜10%wt.の濃度で含む。好ましい界面活性剤は、ブロック、グラフト、分枝または櫛様構造のある形態を有し、粒子の表面への物理的または化学的吸着を最大化する。長い、または分枝した脂環族末端は、界面活性剤の立体安定化を増加させるのに好ましい。好ましい界面活性剤は、タイプA−BまたはA−B−Aのブロック共重合体、好ましくかつ芳香族性のブロック、例えばポリスチレンまたはポリビニルナフタレン、および他方はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンまたはポリブタジエンを有する。商業的に利用可能なKraton G 1701およびSepton 1001が、好適な例である。しかし、他の界面活性剤、例えば自明な極性または非極性ブロックを有する、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコールなどが、上述のように用いることができる。界面活性剤が用いられる溶媒に溶けなければならず、かつメソ相に影響を及ぼすべきではないことが、重要である。
【0135】
本発明によるポリマー粒子は、例えば等方性または異方性液体である、連続相中に、または等方性または異方性液体中に分散させることができる粉体として、貯蔵することができる。
【0136】
好ましい態様において、ポリマー粒子は1種または2種以上の溶媒中、これは好ましくは有機溶媒から選択される、に分散させる。溶媒は好ましくは、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなど;酢酸塩類、例えば酢酸メチル、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルまたはアセト酢酸メチルなど;アルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなど;芳香族溶媒類、例えばトルエンまたはキシレンなど;脂肪族炭化水素類、例えばシクロペンタンまたはシクロヘキサンなど;ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタンまたはトリクロロメタンなど;グリコール類またはそれらのエステル類、例えばPGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセタート)、γ−ブチロラクトンなど、から選択される。上記溶媒の、二元の、三元のまたはより高次の物混合物用いることもまた、可能である。溶媒または溶媒の混合物は、界面活性剤、RM類および開始剤、用いられる合成手順および誘電定数要件に応じて選択されるであろう。
【0137】
本発明によるポリマー粒子は、慣用の技術、例えば被覆、印刷、押出または延伸技術などにより得られる、任意の種類の物品または被覆層の製造において、投入することができる。
【0138】
層、膜、箔またはシートの製造のために、ポリマー粒子は好ましくは、液体中に、例えば溶媒または溶媒混合物中に分散させ、次いでこれを基板上に堆積させる。
【0139】
本発明はまた、層、物品、膜、箔またはシートの製造方法であって、コレステリックポリマー粒子を液体中に分散させること、分散したコレステリックポリマー粒子を有する液体を基板上に堆積させること、および任意に液体を除去することによる、前記方法に関する。
【0140】
基板として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチック膜を用いることができる。好適なプラスチック基板は例えば、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエチレン−ナフタレン(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボナート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)などの膜、非常に好ましくはPETまたはTAC膜である。複屈折物質として、例えば、一軸延伸されたプラスチック膜を用いることができる。PET膜は、例えばDuPont Teijin Filmsから、商品名Melinex(登録商標)のもとに、商業的に利用可能である。
【0141】
液体は基板上に、慣用のコーティング技術、例えばスピンコーティング、ブレードコーティング、スプレーコーティング、プッシュコーティング、キャスティングコーティング、ロールコーティング、ディップコーティングまたはバーコーティングにより堆積させることができる。液体はまた基板に、慣用の印刷技術、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、オープンリール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、フレキソグラフィック印刷、凹版印刷、パッド印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷またはスタンプ、ホットスタンプ、ダイプレートまたは印刷プレートによる印刷などにより、堆積させることができる。
【0142】
次いで液体または溶媒は好ましくは、例えば加熱または低圧を掛ける、ポリマー粒子の層を基板に残すことにより、蒸発させる。
【0143】
本発明のもう1つの好ましい態様において、ポリマー粒子を、重合性材料を含むまたはからなる連続相中に分散させ、層を基板状へと堆積させたのちに、これを重合化する。その結果として、固形のシートまたは箔が形成され、ここにポリマー粒子が重合化したマトリクス中に分散され、これを基板から除去させること、または除去させないことが可能である。
【0144】
ポリマーマトリクスを形成する、好適な重合性材料の例は、透明で、高抵抗性な材料であり、かついくつかの有機溶媒、例えばガソリン、トルエン、ヘプタンまたはドデカンなどに相溶性である、メタクリラート類またはメタクリラート混合物である。Acrifix(登録商標)化合物が、商業的に利用可能な例である。
【0145】
連続相の重合化は、重合化方法を含む、当業者に公知の慣用の方法、ならびにポリマー粒子の製造に関し上に記載されるような、そこにおいて用いられる試薬および条件により、達成することができる。
【0146】
ポリマー粒子はまた、粘性な材料中に高温で分散させることもでき、例えばそのガラス温度より上のポリマーは、室温へと冷ますことにより、凝固またはガラス質化される。
【0147】
本発明によるポリマー粒子を含む、層またはシートの厚さは、好ましくは0.1〜100ミクロン、非常に好ましくは15〜60ミクロンである。
【0148】
層以外の、例えばレンズなどの形状を有する物品は例えば、重合性の、重合化した、凝固した、またはガラス質化した連続相中のポリマー粒子の分散系から、成形技術を用いることにより、製造することができる。
【0149】
本発明はまた、コレステリックポリマーの、重合性、重合した、凝固した、またはガラス質化した連続相におけるコレステリックポリマー粒子の分散の成形による、製造方法に関する。
【0150】
好適かつ好ましい成形技術は例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、所望の形状を有する型の中への粒子の単純な閉じ込め、または回転成形である。
【0151】
ポリマー粒子に加えて、連続相はまた、重合開始剤、界面活性剤、安定剤、触媒、増感剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性モノマーまたは、表面活性化化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着剤、流動性改善剤、脱ガスまたは消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色料、色素、顔料およびナノ粒子からなる群から選択される1種または2種以上を含んでもよい。
【0152】
本発明の層または物品は、光学的、電気光学的または電子的なデバイスまたはそのコンポーネントにおいて、用いることができる。例えば、それらは光学素子、例えば光学遅延板、光学補償板、直線偏光板、円偏光板、ミラー、コリメータ、拡散器、ビームスプリッタ、反射板、カラーフィルタ、単色または多色膜などにおいて、または配列層として、オートステレオスコピック3Dディスプレイのための偏向制御レンズにおいて、または窓用の断熱シートまたはIR反射膜において、用いることができる。
【0153】
本発明の層または物品は、例えば電気光学ディスプレイ、特に液晶ディスプレイ(LCDs)、オートステレオスコピック3Dディスプレイ、有機発光ダイオード(OLEDs)、光学データ記憶デバイスから選択されるデバイス、および窓用途において、用いることができる。
【0154】
LCディスプレイは、垂直配列を有するディスプレイ、例えばDAP(配列層の変形(deformation of aligned phases))、ECB(電気的制御複屈折(electrically controlled birefringence))、CSH(カラースーパーホメオトロピック(colour super homeotropic))、VA(垂直配列(vertically aligned))、VANまたはVAC(垂直配列ネマチック(vertically aligned nematic)またはコレステリック(holesteric))、MVA(多領域垂直配列(multi-domain vertically aligned))、PVA(パターン化垂直配列(patterned vertically aligned))またはPSVA(ポリマー安定化垂直配列(polymer stabilised vertically aligned))方式など;ベンドまたはハイブリッド配列を有するディスプレイ、例えばOCB(光学補償ベンドセル((optically compensated bend cell)または光学補償複屈折(optically compensated birefringence))、R−OCB(反射型OCB(reflective OCB))、HAN(ハイブリッド配列ネマチック)またはπセル(π-cell)方式など;ねじれ配列を有するディスプレイ、例えばTN(ねじれネマチック(twisted nematic))、HTN(高度ねじれネマチック(highly twisted nematic))、STN(スーパーねじれネマチック(super twisted nematic))、AMD−TN(アクティブマトリクス駆動(active matrix driven)TN)方式など;IPS(平面内切り替え(in plane switching))方式のディスプレイ、または光学的等方相における切り替えを有するディスプレイを含むが、それらに限定されない。
【0155】
本明細書において百分率は、他に述べられない限りは、重量パーセントである。全ての温度は、セルシウス度において与えられる。m.p.は融点を示し、cl.p.は透明点を示し、T
gはガラス転移温度を示す。さらには、C=結晶状態、N=ネマチック相、S=スメクチック相、およびI=等方相である。これらの符号の間のデータは、転移温度を表わす。Δnは、589nmおよび20℃において測定された、光学異方性または複屈折を示す(Δn=n
e−n
0、式中n
0は分子の長軸に対し平行な屈折率を示し、およびn
eはそれに垂直な屈折率を示す)。光学および電気光学データは、他に明示的に述べられない限り、20℃において測定する。「透明点」および「透明化温度」は、LC相から等方相への転移の温度を意味する。
【0156】
他に述べられない限り、本明細書において記載されるRM混合物(単数)またはRN混合物(複数)における固形成分の百分率は、混合物における固体の合計量、つまり溶媒なし、に言及する。
【0157】
他に述べられない限り、全ての光学的、電気光学的特性および物理的パラメーター、例えば複屈折率、誘電率、電気伝導性、電気抵抗性およびシート抵抗は、20℃の温度に言及する。
【0158】
他に述べられない限り、本明細書の用語の、本明細書において用いられる複数形は単数形を含むものと解釈され、逆も同様である。
【0159】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲をとおして、用語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」および該単語の変化形、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むがそこには限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の成分を除外するこを意図せず(かつ除外しない)。
【0160】
本発明の前述の態様に対する変化形を為すことができる一方で、なお本発明の範囲に属すると考えられるであろう。本明細書に開示される夫々の特徴は、他に述べられなければ、同様の、均等のまたは類似の目的の役割をする代替の特徴により置き換えられ得る。それゆえ、他に述べられなければ、開示されるそれぞれの特徴は、一般的な一連の均等または類似の特徴の一例に過ぎない。
【0161】
本明細書に開示される特徴の全ては、かかる特徴および/またはステップの少なくともいくつかが互いに排他的な組み合わせを除く、任意の組み合わせで組みわせてもよい。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての側面に適用可能であり、任意の組み合わせで用いられ得る。同様に、必須でない組み合わせで記載される特徴は、(組み合わせではなく)分離して用いてもよい。
【0162】
以下の例は、本発明をそれに限定することなく説明することを意図されている。以下に記載される方法、構造および特性はまた、本発明において特許請求されているが、前述の明細書においてまたは実施例において明示的には記載されていない材料に、適用または移入することができる。