特許第6565276号(P6565276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565276
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20190819BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20190819BHJP
   C09D 175/16 20060101ALI20190819BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20190819BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   C08F290/06
   C09D201/06
   C09D175/16
   C09D7/40
   B32B27/30 A
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-72735(P2015-72735)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-190998(P2016-190998A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 知一
(72)【発明者】
【氏名】尾上 真人
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/064610(WO,A1)
【文献】 特開2009−091399(JP,A)
【文献】 特開2012−149228(JP,A)
【文献】 特開2010−070602(JP,A)
【文献】 特開2009−272025(JP,A)
【文献】 特表2007−510792(JP,A)
【文献】 特開2013−199609(JP,A)
【文献】 特開2013−053280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/00−290/14
C08F 299/00−299/08
C09D 7/40−7/65
C09D 11/00−11/54
C09D 133/00−133/26
C09D 175/16
C09D 201/00−201/10
C08J 7/40
B32B 27/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)及び下記成分(B)を含み、かつ成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、成分(B)の含有量が1〜30重量%である硬化性組成物。
成分(A):デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレート
成分(B):個以上30個以下の(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有し、かつ40℃での粘度が3,000〜0,000mPa・sである(メタ)アクリレート
【請求項2】
成分(B)がヌレート構造を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
成分(A)の重量平均分子量(Mw)が500〜5,000である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
成分(B)が8〜30個の(メタ)アクリロイル基を有する、求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
有機溶媒を含まないか、又は有機溶媒を含み、固形分濃度が90重量%以上である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
重合開始剤を含み、かつその含有量が成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
単官能(メタ)アクリレートを含まないか、又は単官能(メタ)アクリレートを含み、かつその含有量が硬化性組成物全体に対して10重量%以下である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させてなる、硬化物。
【請求項9】
基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成されたものである積層体。
【請求項10】
前記基材がプラスチック基材である、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリメチルメタクリレート樹脂から選ばれる1種以上である、請求項10に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に有機溶剤を含まなくとも塗工性、硬化性に優れ、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性等に優れた硬化物を与えることのできる硬化性組成物に関する。また、本発明は、この硬化性組成物を用いて得られる硬化物及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン−メチルメタクリレート(MS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂等のスチレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;トリアセチルセルロース等の酢酸セルロース樹脂等の各種樹脂基材を用いたプラスチック製品は、軽量性、易加工性、耐衝撃性等が優れているため、容器、インストルメントパネル、包装材、各種ハウジング材、光デイスク基板、プラスチックレンズ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示機器の基材等、種々の用途に用いられている。一方、これらのプラスチック製品は一般に硬度が低いために傷付きやすく、耐摩耗性も十分ではないため、これらの性能が要求される分野での利用が困難となる。このため、プラスチック製品の表面に硬度や耐摩耗性を付与するハードコート材(被覆材)が広く用いられている。
【0003】
ハードコート材の代表的な例として、多官能(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の活性エネルギー線硬化性を有する化合物、重合開始剤、各種添加剤等を有機溶剤に分散させて得られるハードコート材が挙げられる。このような有機溶剤系のハードコート材は、有機溶剤により塗液粘度が低い状態で塗布することが可能であるため、平滑な塗膜外観を確保しやすいという利点がある。しかしながら、近年では環境負荷に対する懸念等から有機溶剤をはじめとする揮発性有機化合物(VOC)の排出を抑制することが重要な課題となっている。
【0004】
こうした背景から、ハードコート材の塗液から有機溶剤を除くことも検討されているが、有機溶剤を除いた結果、液の粘度が高くなり塗工に支障をきたすことがある。この問題を解決するために、無溶剤系のハードコート材が種々検討されている。特に、無溶剤系で塗布性を確保するためのハードコート材において粘度を下げる方法として、デンドリマーやハイパーブランチポリマーと呼ばれる多分岐骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを使用するという方法が近年用いられている。このような多分岐骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを用いた無溶剤系のハードコート材の例として、例えば特許文献1においては多分岐骨格を有する多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタンアクリレート、重合性単量体を含む無溶剤系ハードコート材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−272025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者の検討により、上記特許文献1において開示されているハードコート材では硬化性、耐傷付性が不十分であるという問題があることが見出された。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決することを目的とするものである。
即ち、本発明の課題は、実質的に有機溶剤を含まなくとも塗工性、硬化性に優れ、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性等に優れた硬化物を与えることのできる硬化性組成物と、この硬化性組成物を用いて得られる硬化物及び積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の技術の問題点を鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレートと、特定のウレタン(メタ)アクリレートを特定量含む硬化性組成物が上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0009】
[1] 下記成分(A)及び下記成分(B)を含み、かつ成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、成分(B)の含有量が1〜45重量%である硬化性組成物。
成分(A):デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレート
成分(B):3個以上の(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有し、かつ40℃での粘度が30,000〜100,000mPa・sである(メタ)アクリレート
【0010】
[2] 成分(B)がヌレート構造を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【0011】
[3] 成分(A)の重量平均分子量(Mw)が1000〜20,000である、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
【0012】
[4] 成分(B)が8〜30個の(メタ)アクリロイル基を有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0013】
[5] 有機溶媒を含まないか、又は有機溶媒を含み、固形分濃度が90重量%以上である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0014】
[6] 重合開始剤を含み、かつその含有量が成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部である、[1]乃至[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0015】
[7] 単官能(メタ)アクリレートを含まないか、又は単官能(メタ)アクリレートを含み、かつその含有量が硬化性組成物全体に対して10重量%以下である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0016】
[8] [1]乃至[7]のいずれかに記載の硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させてなる、硬化物。
【0017】
[9] 基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が[1]乃至[7]のいずれかに記載の硬化性組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成されたものである積層体。
【0018】
[10] 前記基材がプラスチック基材である、[9]に記載の積層体。
【0019】
[11] 前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリメチルメタクリレート樹脂から選ばれる1種以上である、[10]に記載の積層体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、実質的に有機溶剤を含まなくとも塗工性、硬化性に優れ、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性等に優れた硬化物を与えることのできる硬化性組成物が提供される。また、本発明によれば、この硬化性組成物を用いて、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性等に優れた硬化物や、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性等に優れたハードコート層を有する積層体を良好な作業性のもとに製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
【0022】
本発明において、「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」についても同様の意味をもつこととする。
また、本発明において、「(メタ)アクリロイル基官能基数」とは、(メタ)アクリレート1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数をさす。
【0023】
本発明において、成分(A)及び成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の値であり、例えば、以下の条件で測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
<重量平均分子量(Mw)の測定条件>
機器 :東ソー社製「HLC−8120GPC」
カラム :東ソー社製
「TSKgel superH1000+H2000+H3000」
検出器 :示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量 :10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
また、本発明において、成分(A)及び成分(B)の40℃における粘度は、E型粘度計を用いて、例えば、以下の測定条件で測定することができるが、市販品については、カタログ値を採用することができる。
<粘度の測定条件>
固形分:100重量%
温度:40℃
機器:TOKIMEC社製 E型粘度計TV−20
【0024】
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)及び下記成分(B)を含み、かつ成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、成分(B)の含有量が1〜45重量%であることを特徴とする。
成分(A):デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレート
成分(B):3個以上の(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有し、かつ40℃での粘度が30,000〜100,000である(メタ)アクリレート
【0025】
[成分(A)]
本発明の硬化性組成物に用いる成分(A)は、デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレートであり、主として硬化性組成物の塗工性、得られる硬化物(硬化膜)の屈曲性の向上に寄与する成分である。
【0026】
デンドリマー構造とは、分岐した構造がさらに分岐して多重の分岐構造を形成し、該分岐構造が放射状に広がった構造をいう。ハイパーブランチポリマー構造とは、該多重の分岐構造が放射状ではなく、所定の一方向或いは二以上の方向に分岐状に延びる構造であり、ハイパーブランチポリマー構造をも含む概念でデンドリマー構造と称される場合もある。デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレートは、反応性の官能基を分子の最外面に数多く、高密度に導入することが可能であるため、硬化性に優れる上に、一般的に直鎖状のポリマーに比べて低粘度であるため硬化性組成物の塗工性の向上に寄与し、また、分子中心の架橋密度が疎となる構造を有しているため、硬化物の屈曲性の向上や反りの抑制に寄与する。
【0027】
上記の通り、デンドリマー構造は、広義にはハイパーブランチポリマー構造をも包含する概念で用いられることが多い。以下において、デンドリマー構造及び/又はハイパーブランチポリマー構造を有する(メタ)アクリレートを「デンドリマー(メタ)アクリレート」と総称する場合がある。
【0028】
成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの製造方法は特に制限されないが、例えば下記式(1)で表される反応を繰り返すことによって多重の分岐構造を形成し、その後、下記式(2)で表される反応に従って、コアとなる化合物と反応させてデンドリマー構造を形成した後、デンドリマーの枝先の置換基Rと(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させることによって製造することができる。
【0029】
【化1】
【0030】
上記の製造方法の他に、成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの製造方法は、次のような製造方法により得ることもできる。
【0031】
まず、アルコールに対し、少なくとも2個以上の水酸基を有するヒドロキシ酸を逐次反応させることにより、多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物を得る。この逐次反応における反応時間は通常3〜60時間、好ましくは5〜40時間であり、また、反応温度は通常50〜200℃、好ましくは60〜150℃である。なお、この反応は通常、有機溶媒中、酸触媒の存在下で実施することができる。
【0032】
上記の方法において用いることのできるアルコールとしては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのアルコールは1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、規則正しい構造を有するデンドリマー(メタ)アクリレートを得る観点からは1種のアルコールを用いることが好ましい。
【0033】
また、2個以上の水酸基を有するヒドロキシ酸としては、特に制限されないが、例えば、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン酸、メバロン酸、パントイン酸等が挙げられる。これらのヒドロキシ酸は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、規則正しいデンドリマー(メタ)アクリレートを得る観点からは1種のヒドロキシ酸を用いることが好ましい。
【0034】
更に、この反応で用いることのできる有機溶媒としては特に制限されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。また、酸触媒としては特に制限されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸;硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸が挙げられる。
【0035】
なお、以上の反応をより厳密に制御する方法として、特開2008−81725号公報に開示されているように、多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物の水酸基を、ベンジリデン等により保護する方法が挙げられる。なお、保護した水酸基を次工程のために脱保護するためには、塩酸等の酸により洗浄する方法が挙げられる。
【0036】
上記の反応により得られた多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物に対し、水酸基に反応することの可能な官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させ、末端に複数の(メタ)アクリロイル基を導入することにより、デンドリマー(メタ)アクリレートを得ることができる。この反応において反応時間は、通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間であり、また、反応温度は通常50〜200℃、好ましくは60〜150℃である。なお、この反応は先の工程における逐次反応と同様の有機溶媒中、同様の酸触媒の存在下で実施することができる。
【0037】
ここでいう水酸基に反応することの可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアナート基等が挙げられる。また、水酸基に反応することの可能な官能基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸付加物等のカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は500〜10,000であることが好ましい。成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)が5,000以下であると、硬化性組成物の粘度を下げて、塗工性を良好なものとすることができる。また、この観点から、成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは7,000以下、更に好ましくは4,000以下である。一方、成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)の下限は、屈曲性向上の観点から、好ましくは500以上であり、より好ましくは800以上、更に好ましくは1,000以上である。
【0039】
また、成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートは、上記のように、多分岐構造の先端部分に(メタ)アクリレートを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入することで、複数の(メタ)アクリロイル基を有するものとすることができ、その(メタ)アクリロイル基官能基数は硬化性の観点から3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることが更に好ましい。一方、屈曲性の観点から、(メタ)アクリロイル基官能基数は30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、20以下であることが更に好ましい。
【0040】
前述の通り、デンドリマー(メタ)アクリレートは、通常、デンドリマー構造ではない多官能(メタ)アクリレートと比較して、分子量が同程度の場合、その粘度が低くなる傾向にある。成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートは、硬化性組成物の塗工性の観点から40℃の粘度が、好ましくは10,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以下であり、更に好ましくは4,000mPa・s以下であり、また、硬化性の観点から好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは50mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
【0041】
成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートとしては市販品を用いることもでき、デンドリマー(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば大阪有機化学工業株式会社製のビスコートV#1000、SIRIUS−501、SUBARU−501等が挙げられる。また、成分(A)のデンドリマー(メタ)アクリレートの中でも、ハイパーブランチポリマー構造を有するものとしては、巴工業株式会社製SARTOMER(登録商標)CN2302、CN2303、CN2304等が挙げられる。
【0042】
成分(A)としては、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
[成分(B)]
本発明の硬化性組成物に用いる成分(B)は、3個以上の(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有し、かつ40℃での粘度が30,000〜100,000mPa・sである(メタ)アクリレート(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート」と称す場合がある。)であり、主として、硬化性組成物の硬化性、得られる硬化物(硬化膜)の耐傷付性の向上に寄与する成分である。
【0044】
上記の通り、成分(B)は3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであり、このために、本発明の硬化性組成物は硬化性、屈曲性、耐傷付性等が良好なものとなる。これらの観点から、成分(B)における(メタ)アクリロイル基数は、好ましくは6個以上であり、より好ましくは8個以上であり、更に好ましくは10個以上である。一方、成分(B)における(メタ)アクリロイル基数は、塗工性の観点から、好ましくは30個以下であり、より好ましくは20個以下である。
【0045】
本発明において、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートにはウレタン構造を有するものとヌレート構造を有するものとの両方が含まれるものとし、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートはウレタン構造及びヌレート構造の少なくとも一方と3個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、特定の粘度を有するものであれば特に制限はない。
【0046】
成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートのうち、ウレタン構造を有するものとしては、例えば、イソシアネート化合物にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソシアネート化合物に多価アルコールを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の鎖状脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;又はテトラメチルキシリレンジイソシアネート等のアルキレンアリーレンアルキレンジイソシアネート(ここで、「アルキレンアリーレンアルキレン」とは、脂肪族炭化水素基−芳香族炭化水素基−脂肪族炭化水素基の順で結合した基を意味する。)等が挙げられる。
【0048】
これらの中でも脂環族ジイソシアネートが好ましい。
【0049】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0050】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類;トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等の高分子量ポリオール類などが挙げられる。
【0051】
上記ウレタン構造を有するウレタン(メタ)アクリレートの中でも、イソシアネート化合物に多価アルコールを反応させて得られる化合物に、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0052】
これらの中でも硬化性と耐傷付性の観点から、脂環族ジイソシアネートと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなどのジオール/トリオールなどの炭素数1〜6のアルキルジオール/トリオールのうちの少なくとも1種の多価アルコールとを反応させて得られる化合物を、更にヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートからなる群のうちの少なくとも1つのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0053】
ウレタン(メタ)アクリレートのうち、ヌレート構造を有するものとしては、具体的には、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート等を例示することができ、これらは1種で、又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも好ましいのは、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。
【0054】
成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートのうち、好ましいのは、耐傷付性、硬化性向上の観点から、ウレタン構造及びヌレート構造を有するウレタン(メタ)アクリレートである。ウレタン構造及びヌレート構造を有するウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、先に挙げたイソシアネート化合物が3量体となったヌレート構造を有する化合物に多価アルコールを反応させて得られる化合物が挙げることができる。更にこのようにして得られる化合物にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるものが好ましい。
【0055】
ここで用いることのできる多価アルコールとヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートについては上記のウレタン構造を有するウレタン(メタ)アクリレートの説明において挙げたものと同様である。
【0056】
また、イソシアネートが3量体となったヌレート構造を有する化合物としては、具体的には、ポリヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアヌレート型)等のヌレート構造を有する脂肪族ポリイソシアネート、ポリイソホロンジイソシアネート(イソシアヌレート型)等のヌレート構造を有する脂環族ポリイソシアネート等が好ましいものとして挙げられる。
【0057】
成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの40℃における粘度は、30,000〜100,000mPa・sである。この粘度が30,000mPa・s以上であると、硬化性が良好である。この観点から、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの40℃の粘度は30,000mPa・s以上であることが好ましく、35,000mPa・s以上であることがより好ましい。一方、粘度が100,000mPa・s以下のウレタン(メタ)アクリレートであれば塗工性を確保するのに好適である。この観点から、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの40℃の粘度は90,000mPa・s以下であることが好ましく、85,000mPa・s以下であることがより好ましい。
【0058】
また、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、1000〜20,000であることが好ましい。成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)が20,000以下であると、成分(A)との相溶性の面で好ましく、この観点から、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは14,000以下、更に好ましくは8,000以下である。一方、成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)の下限は、粘性を得る観点から、好ましくは800以上であり、より好ましくは400以上、更に好ましくは1,000以上である。
【0059】
成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートとしては市販品を用いることもでき、例えば新中村化学工業株式会社製U−10HA、U15HA、UA−53H,UA−33H等を用いることができる。
【0060】
成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
[成分(A)と成分(B)との含有割合]
本発明の硬化性組成物は、成分(B)を、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、1〜45重量%含む。成分(B)は、硬化性組成物の硬化性と硬化物(硬化膜)の耐傷付性に寄与するものであり、成分(B)を、成分(A)と成分(B)との合計量に対して1重量%以上含むことにより、この効果を有効に得ることができる。硬化性と耐傷付性の観点から、本発明の硬化性組成物は、成分(B)を、成分(A)と成分(B)との合計量に対して3重量%以上含むことが好ましく、5重量%以上含むことがより好ましく、7重量%以上含むことが更に好ましい。一方、本発明の硬化性組成物の成分(B)の含有量が成分(A)と成分(B)との合計量に対して45重量%以下であることにより、硬化性組成物の塗工性と硬化物(硬化膜)の屈曲性の向上に寄与する成分(A)の含有量を確保して、良好な塗工性と屈曲性の向上効果を得ることができる。この観点から、本発明の硬化性組成物は、成分(B)を、成分(A)と成分(B)との合計量に対して45重量%以下含むことが好ましく、40重量%以下含むことがより好ましく、35重量%以下含むことが更に好ましく、30重量%以下含むことが特に好ましい。
【0062】
[重合開始剤]
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線により硬化させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、本発明の硬化性組成物中の前記成分(A)と前記成分(B)との合計100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは2.0重量部以上、また、通常10重量部以下、好ましくは5.0重量部以下加えることができる。
【0063】
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
[単官能(メタ)アクリレート]
本発明の硬化性組成物は、単官能(メタ)アクリレートを含まないか、又は単官能(メタ)アクリレートを含む場合であっても、その含有量が硬化性組成物全体に対して10重量%以下であることが好ましい。
【0065】
即ち、前掲の特許文献1では、重合性単量体としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートを好ましくは10〜60重量%含むとしているが、このような単官能(メタ)アクリレートを含むと、形成される硬化物(硬化膜)の硬度が低下する傾向がある。本発明は、高硬度の硬化物(硬化膜)を得ることを目的としており、このような単官能(メタ)アクリレートは含まないか、含む場合には、その含有量が硬化性組成物全体に対して10重量%以下、特に10重量%以下、とりわけ0〜5重量%であることが好ましい。
【0066】
[有機溶媒]
本発明の硬化性組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。
【0067】
有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、成分(A)及び成分(B)の種類や、本発明の硬化性組成物を適用する基材の種類、基材への塗布方法等を考慮して適宜選択することができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フエネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0068】
ただし、本発明の硬化性組成物の塗工性は、前述の成分(A)により調整、改善することができることから、本発明の硬化性組成物は、有機溶媒を含まない無溶媒系であることが好ましく、有機溶媒を含む場合であっても、その固形分濃度が90重量%以上となるように含むことが好ましく、固形分濃度が95重量%以上となるように含むことがより好ましい。固形分濃度の上限は100重量%、即ち有機溶媒を含まないものである。本発明の硬化性組成物は上記のような実質的に有機溶媒を含まない無溶媒系として好適に用いることができるものであるが、固形分濃度が90重量%の有機溶媒系においても良好に用いることができるものであり、本発明の硬化性組成物における実施態様は無溶媒系に限定されるものではない。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
【0069】
このように、本発明の硬化性組成物が有機溶媒を含まないか、或いは、有機溶媒を含む場合であっても、その固形分濃度が90重量%以上であるような少量であることにより、本発明の硬化性組成物を基材に塗布した後、有機溶媒除去のための乾燥工程を不要ないしは短縮することができ、生産性を高めることができる。
【0070】
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記の成分(A)、(B)、重合開始剤等以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、レベリング剤(表面調整剤)、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0071】
本発明の硬化性組成物にレベリング剤を配合するとハードコート層に更に、防汚性、滑り性を付与することができるために好ましい。レベリング剤としては例えば、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤等が挙げられ、これらは適宜組み合わせて用いることができる。また、本発明の硬化性組成物において、レベリング剤を用いる場合、その含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、0.01〜30重量部であることが好ましく、0.05〜20重量部であることがより好ましく、0.1〜10重量部であることが更に好ましく、0.5〜5重量部であることが特に好ましい。
【0072】
また、本発明の硬化性組成物に充填材を配合することが好ましい。充填材としては、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうち、無機フィラー、特に、平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子を含有することが好ましい。このような無機粒子を含有することにより、硬度が更に優れたハードコート層を形成し得る硬化性組成物を得ることができる。また、上記レベリング剤と併用した場合、ハードコート層表面の防汚性、滑り性等を更に向上させることもできる。
【0073】
無機粒子の例としては、シリカ(オルガノシリカゾルを含む)、アルミナ、チタニア、ゼオライト、雲母、合成雲母、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、スメクタイト、合成スメクタイト、バーミキュライト、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられ、これらの中でもシリカが好ましい。また、以上に挙げた無機粒子は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
本発明の硬化性組成物が上記のような無機粒子を含む場合、その含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、0.05重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、0.8重量部以上であることが更に好ましく、1重量部以上であることが特に好ましく、一方、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、100重量部以下であることが好ましく、80重量部以下であることがより好ましく、60重量部以下であることが更に好ましく、40重量部以下であることが特に好ましい。無機粒子の含有量が上記下限値以上であると無機粒子を用いることによる効果を十分に得ることができるために好ましく、また、上記上限値以下であると透明性の観点から好ましい。
【0075】
[硬化性組成物の製造方法]
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)、(B)及び必要により重合開始剤、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
【0076】
〔硬化物・積層体〕
本発明の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射するなどして硬化させることにより、本発明の硬化物を得ることができる。特に、本発明の硬化性組成物を基材の上などに塗布して硬化させることにより、本発明の硬化性組成物よりなる硬化層を基材上に形成してなる積層体とすることができる。また、このように、本発明の硬化性組成物を基材の上などに塗布し、フィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルム(ハードコート層)を得ることができる。また、基材として他の樹脂フィルム上に本発明の硬化性組成物を塗布し、硬化させてハードコートフィルムを成形することで、他の樹脂フィルム上にハードコートフィルムを積層してなるフィルム積層体が得られる。
なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
【0077】
上記の積層体に用いる基材としては、プラスチック基材等の有機材料;金属基材、ガラス基材等の無機材料が挙げられる。プラスチック基材の構成材料としては、各種合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリオフィン樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。金属基材としては、特に限定はないが、例えば、熱延板、冷延板等の鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、ブリキ、ティンフリースチール、その他各種のめっき、あるいは合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等の金属板が挙げられる。さらにはこれらをリン酸塩処理、クロメート処理、有機リン酸塩処理、有機クロメート処理、ニッケル等の重金属置換処理等、各種の表面処理を施したものであってもよい。ガラス基材としては、通常のガラスのほか、各種の化学処理を施したガラス(例えば、コーニング社のゴリラガラス(登録商標)や旭硝子社のドラゴントレイル(登録商標)等)や多成分系のガラスを用いてもよい。
【0078】
特に、本発明の硬化性組成物は、透明性、屈曲性を損なうことなく、基材に対して耐傷付性に優れた高硬度のハードコート層を形成するのに適しており、この観点から、基材としては、耐傷付性、耐摩耗性の改善が望まれるプラスチック基材が好ましく、プラスチック基材の中でも透明性に優れたポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂よりなるものが好適である。
【0079】
前記基材上に形成されるハードコート層は、例えば、本発明の硬化性組成物を基材上に塗布(塗工)し、これに活性エネルギー線を照射して形成することができる。本発明の硬化性組成物を基材上に塗布(塗工)する方法としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられる。また、本発明の硬化物の形態は特に制限されないが、通常、基材上で活性エネルギー線を照射して硬化させて得られた硬化物は基材の少なくとも片面の一部に硬化被膜(硬化膜)の状態として得ることができる。
【0080】
本発明の硬化性組成物を硬化させる際に用いることのできる活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から好ましいのは紫外線及び電子線である。
【0081】
本発明の硬化性組成物を紫外線照射により硬化させる場合には、種々の紫外線照射装置を用いることができ、その光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。紫外線の照射量(単位はmJ/cm)は、通常10〜10,000mJ/cmであり、本発明の硬化性組成物の硬化性、硬化物(硬化膜)の可撓性等の観点から好ましくは100〜5,000mJ/cmであり、より好ましくは150〜3,000mJ/cmである。特に、本発明の硬化性組成物は硬化性に優れることから、200mJ/cm以下の照射量でも良好な硬化物(硬化膜)を得ることができる。
【0082】
また、本発明の硬化性組成物を電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量(Mrad)は、通常、0.5〜20Mradであり、本発明の硬化性組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から好ましくは1〜15Mradである。
【0083】
このようにして形成されるハードコート層としての本発明の硬化物の膜厚は、用途によっても異なるが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、一方、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは70μm以下であり、更に好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。
【0084】
プラスチック基材等の基材上に本発明の硬化性組成物によるハードコート層を形成してなる本発明の積層体は、他の機能層を有するものであってもよい。他の機能層は、基材のハードコート層形成面と反対側の面や、基材とハードコート層との間、ハードコート層表面に設けることができる。機能層としては、例えば、導電機能、クッション機能、反射防止機能、接着機能を有する導電層、クッション層、反射防止層、接着層などが挙げられる。これらの層は、1つの層で異なる2つの機能を発現させてもよい。
【0085】
〔用途〕
本発明の硬化性組成物を硬化させて得られるハードコート層を有する積層体は、高硬度で耐傷付性、透明性、屈曲性等に優れることから、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオードディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネセンスディスプレイ)、VFD(蛍光ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等のフラットパネルディスプレイとして利用することができる。特に画面上の表示を押さえることによって機器を操作するタッチパネル用のフィルムに好適であり、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館およびデパート等の施設に設置される案内表示装置、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置等に有用である。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
【0087】
[原料]
以下の実施例、比較例において使用した原料は以下の通りである。
【0088】
<成分(A)>
A−1:デンドリマーアクリレート
大阪有機化学工業株式会社製 ビスコート1000(V#1000)
(メタ)アクリロイル基官能基数:≧14
重量平均分子量(Mw):2,000
粘度:220mPa・s(40℃)
【0089】
<成分(B)>
B−1:(メタ)アクリロイル基を15個有する多官能ウレタンアクリレート(下記の
方法により製造したもの)
(メタ)アクリロイル基官能基数:15
重量平均分子量(Mw):5,900
粘度:64,600mPa・s(40℃)
【0090】
((B−1)の製造)
以下の原材料を用いて、以下の通り行った。
・トロネートHDT:ヘキサメチレンジイソシアネート3量体(ローディア社製)
・IRGANOX(登録商標)1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(水酸基価50mgKOH/g)(日本化薬社製 KAYARAD DPHA)
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート(日東化成社製 ネオスタン U−810)
【0091】
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、トロネートHDT:63.00gを仕込み、系内を80℃に昇温して溶解させた。続いて液中に空気を導入後、重合禁止剤としてIRGANOX(登録商標)1010:0.14g、DPHA:400.0g、DBTDL:0.019gを仕込み、同温度で8時間反応を行った。さらにDBTDL:0.1gを追加添加し、同温度で8時間反応を行った。反応終了後冷却し、固形分100重量%の、下記式で表される15官能のウレタンアクリレートを得た。
【0092】
【化2】
【0093】
b−1(比較例用):(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタンアクリレート
新中村化学工業株式会社製 UA160TM
(メタ)アクリロイル基官能基数:2
粘度:26100mPa・s(40℃)
【0094】
b−2(比較例用):(メタ)アクリロイル基を3個有する多官能アクリレート
大阪有機化学工業株式会社製 ビスコート300(V#300)
(メタ)アクリロイル基官能基数:3
粘度:143mPa・s(40℃)
【0095】
<重合開始剤>
C−1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
BASFジャパン株式会社製 イルガキュア(登録商標)184
【0096】
[評価方法]
以下の実施例、比較例における各種評価は以下の通り行った。
【0097】
1.塗工性
A4サイズのPETフィルム基材にバーコーターを置き、塗工液を適量フィルム基材にたらした。次いで、バーコーターを毎秒1センチ程のスピードで引き、塗工を実施した際の塗工適性を下記の基準で評価した。
○:塗り広げることが可能。
×:塗り広げることが不可能。
【0098】
2.硬化性
塗工後の塗膜を、紫外線照射により硬化させた。紫外線照射は出力120Wの高圧水銀灯(アイグラフィック社製「EYE UV METER UVPF−A1、PD365」)を使用し、照度100mW/cmに設定した。この条件のもと、照射量を100〜400mJ/cmの範囲で変更した時の硬化のしやすさを下記の基準で評価した。
○:タック感がなくなる。
×:タック感がある。
【0099】
3.透明性(全光線透過率・ヘーズ)
紫外線で硬化させた硬化膜の全光線透過率とヘーズを、JIS K7136に従ってヘーズメーターにより測定した。使用したヘーズメーターは村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」である。
【0100】
4.硬度(鉛筆硬度)
JIS K5600に準拠し、荷重750gの条件下、紫外線で硬化させた硬化膜の鉛筆硬度を測定し、以下の基準で評価した。
○:鉛筆硬度がH以上である。
△:鉛筆硬度がFである。
×:鉛筆硬度がHB以下である。
【0101】
5.耐傷付性(耐スチールウール性)
紫外線で硬化させた硬化膜の表面を、スチールウール(ボンスター社製#0000)で荷重200g/cmで20往復擦った後の傷付を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:100本より少ない傷が入るが、透明性はほとんど損なわれていない。
△:100本以上の多数の傷が見える。
×:無数の傷のため、硬化膜が白化して見える
【0102】
6.屈曲性
JIS K5600に準拠し、マンドレルにより硬化膜を形成したPETフィルムの屈曲試験を行い、以下の基準で評価した。
○:硬化膜にクラックを生じるマンドレルの最小直径が2mmφ未満である。
△:硬化膜にクラックを生じるマンドレルの最小直径が2mmφ以上、3mmφ未満である。
×:塗膜にクラックを生じるマンドレルの最小直径が3mmφ以上である。
【0103】
[実施例・比較例]
(実施例1)
200mLのナスフラスコに(A−1)を90.0g、(B−1)を10.0g、(C−1)を2.5g配合し、撹拌しながら40℃で1時間かけて分散させて硬化性組成物を得た。この硬化性組成物について、塗工性の評価を行った。また、この硬化性組成物を125μmのPETフィルム(三菱樹脂株式会社製321 E125)にバーコーター(#1)を使用して塗膜の厚みが5μmとなるよう塗布し、紫外線硬化を行った。硬化性を評価するにあたっては、出力120Wの高圧水銀灯(アイグラフィック社製「EYE UV METER UVPF−A1、PD365」)を使用し、照度100mW/cmに設定した。この条件のもと、照射量を、100mJ/cm、150mJ/cm、200mJ/cm、250mJ/cm、300mJ/cm、350mJ/cm、400mJ/cmでそれぞれ硬化膜を作製した。硬化性以外の硬化膜の物性評価にあたっては、出力120W、照度450mW/cmに設定し、照射量を500mJ/cmで硬化膜を作製した。
硬化性組成物及び硬化膜の評価結果を表−1に示す。
【0104】
(実施例2及び比較例1〜8)
実施例1の配合における操作を、表−1に示すように配合組成を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物及び硬化膜を製造し、各種評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表−1より成分(A)と成分(B)を所定の配合組成で含む本発明の硬化性組成物は、有機溶剤を含まなくとも塗工性、硬化性に優れ、耐傷付性、透明性、硬度、屈曲性に優れた硬化物を与えることができることが分かる。
これに対して、成分(A)のみで成分(B)を含まない比較例1は、硬化性が悪く、耐傷付性にも劣ったものであることがわかる。成分(B)のみで成分(A)を含まない比較例2では、塗工性が悪く、塗膜を形成することができなかった。成分(B)の代わりに、(メタ)アクリロイル基が2個で粘度の低いウレタンアクリレートを用いた比較例3,4では硬化性が悪く、硬度、耐傷付性も劣り、ヘーズ値が高い結果となった。また、このウレタンアクリレートのみを用いた比較例5では塗工性が悪く、塗膜を形成することができなかった。
比較例6〜8は、成分(B)の代りに、(メタ)アクリロイル基を3個有する多官能アクリレートを用いたものであるが、硬化性が悪く、耐傷付性や屈曲性が劣る結果となった。