特許第6565734号(P6565734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6565734廃ガス処理設備の停止装置および操業方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565734
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】廃ガス処理設備の停止装置および操業方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20190819BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20190819BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B01D53/50 200
   B01D53/78ZAB
   F23J15/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-32569(P2016-32569)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-148718(P2017-148718A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 秋宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 茂
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 泰輔
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−114970(JP,A)
【文献】 特開2009−95696(JP,A)
【文献】 特開平11−104448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/50
B01D 53/78
B01D 53/14
F23J 15/00
C01B 17/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収塔設備を備える廃ガス処理設備の停止装置であって、
前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する入口濃度測定器と、
前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する出口濃度測定器と、
前記吸収塔設備で用いられる廃ガスの中和剤のpHを測定するpH計と、
前記入口濃度測定器、前記出口濃度測定器、および前記pH計の測定値が入力される制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記入口濃度測定器、前記出口濃度測定器、および前記pH計の測定値のうち2つ以上が、それぞれに設けられた基準値を超えた場合に、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止する
ことを特徴とする廃ガス処理設備の停止装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機に代えてまたは加えて、前記廃ガス処理設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止する
ことを特徴とする請求項1記載の廃ガス処理設備の停止装置。
【請求項3】
前記入口濃度測定器は、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の廃ガス処理設備の停止装置。
【請求項4】
前記出口濃度測定器は、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を測定する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の廃ガス処理設備の停止装置。
【請求項5】
吸収塔設備を備える廃ガス処理設備の操業方法であって、
前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度である入口濃度を測定し、
前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度である出口濃度を測定し、
前記吸収塔設備で用いられる廃ガスの中和剤のpHを測定し、
前記入口濃度、前記出口濃度、および前記中和剤のpHの測定値のうち2つ以上が、それぞれに設けられた基準値を超えた場合に、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止する
ことを特徴とする廃ガス処理設備の操業方法。
【請求項6】
前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機に代えてまたは加えて、前記廃ガス処理設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止する
ことを特徴とする請求項5記載の廃ガス処理設備の操業方法。
【請求項7】
前記入口濃度として、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を用いる
ことを特徴とする請求項5または6記載の廃ガス処理設備の操業方法。
【請求項8】
前記出口濃度として、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を用いる
ことを特徴とする請求項5、6または7記載の廃ガス処理設備の操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃ガス処理設備の停止装置および操業方法に関する。さらに詳しくは、二酸化硫黄を含む廃ガスの処理設備において、二酸化硫黄濃度異常の排ガスの排出を防止するための停止装置および操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化硫黄を含む廃ガスは廃ガス処理設備で処理された後に排出される(例えば、特許文献1)。廃ガス処理設備は大気中に排出される排ガスの二酸化硫黄濃度が管理基準値を下回るように操業される。しかし、設備トラブルなどが発生すると、排ガスの二酸化硫黄濃度が管理基準値を超える場合がある。このような二酸化硫黄濃度異常が発生した場合には、廃ガス処理設備の操業を停止し、排ガスの排出を停止する必要がある。そうすると、二酸化硫黄の系外への流出を防止するため、プラント全体の操業を実質的に停止させなければならない。なお、管理基準値は法定の排出基準値よりも十分に低く設定される。
【0003】
以上の事情から、二酸化硫黄濃度異常を検知した場合には、設備トラブルを解消する時間を確保するため、また、早期に設備トラブルを解消するため、なるべく早く廃ガス処理設備への廃ガスの供給を停止することが求められる。
【0004】
ここで、廃ガス処理設備への廃ガスの供給停止は例えば以下のように行われる。排ガスの二酸化硫黄濃度を測定器で測定し、測定値が管理基準値を超えた場合に警報を発する。作業員が警報を確認したら、廃ガス処理設備へ廃ガスを供給する送風機の停止スイッチを押す。
【0005】
上記の方法ではつぎの問題がある。瞬間的な計器異常により警報が発せられる場合がある。この場合に廃ガス処理設備への廃ガスの供給を停止すると、実際には二酸化硫黄濃度異常が発生していないにもかかわらず、設備トラブルの原因究明作業が行われ、操業効率が低下する。したがって、警報が発せられた場合に、二酸化硫黄濃度異常が発生しているか否かを作業員が判断する必要がある。しかし、特に経験の浅い作業員はこの判断に時間がかかる。判断に時間を要して対応の開始が遅れると、プラント全体の操業効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−028855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、二酸化硫黄濃度異常が発生している場合にのみ廃ガスの供給を停止できる廃ガス処理設備の停止装置および操業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の廃ガス処理設備の停止装置は、吸収塔設備を備える廃ガス処理設備の停止装置であって、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する入口濃度測定器と、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する出口濃度測定器と、前記吸収塔設備で用いられる廃ガスの中和剤のpHを測定するpH計と、前記入口濃度測定器、前記出口濃度測定器、および前記pH計の測定値が入力される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記入口濃度測定器、前記出口濃度測定器、および前記pH計の測定値のうち2つ以上が、それぞれに設けられた基準値を超えた場合に、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止することを特徴とする。
第2発明の廃ガス処理設備の停止装置は、第1発明において、前記制御装置は、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機に代えてまたは加えて、前記廃ガス処理設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止することを特徴とする。
第3発明の廃ガス処理設備の停止装置は、第1または第2発明において、前記入口濃度測定器は、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定することを特徴とする。
第4発明の廃ガス処理設備の停止装置は、第1、第2または第3発明において、前記出口濃度測定器は、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を測定することを特徴とする。
第5発明の廃ガス処理設備の操業方法は、吸収塔設備を備える廃ガス処理設備の操業方法であって、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度である入口濃度を測定し、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度である出口濃度を測定し、前記吸収塔設備で用いられる廃ガスの中和剤のpHを測定し、前記入口濃度、前記出口濃度、および前記中和剤のpHの測定値のうち2つ以上が、それぞれに設けられた基準値を超えた場合に、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止することを特徴とする。
第6発明の廃ガス処理設備の操業方法は、第5発明において、前記吸収塔設備へ廃ガスを供給する送風機に代えてまたは加えて、前記廃ガス処理設備へ廃ガスを供給する送風機の運転を停止することを特徴とする。
第7発明の廃ガス処理設備の操業方法は、第5または第6発明において、前記入口濃度として、前記吸収塔設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を用いることを特徴とする。
第8発明の廃ガス処理設備の操業方法は、第5、第6または第7発明において、前記出口濃度として、前記吸収塔設備から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度に代えて、前記廃ガス処理設備から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つ以上の測定値が基準値を超えた場合に廃ガスの供給を停止するので、瞬間的な計器異常により廃ガスの供給を停止することを防止できる。その結果、二酸化硫黄濃度異常が発生している場合にのみ廃ガスの供給を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る停止装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る停止装置20は、図1に示す廃ガス処理設備10に設けられる。廃ガス処理設備10は、二酸化硫黄を含む廃ガスの処理設備であり、硫酸製造設備11と、吸収塔設備12とを備えている。硫酸製造設備11の入側には配管13が接続されている。硫酸製造設備11の出側と吸収塔設備12の入側とは配管14で接続されている。硫酸製造設備11の出側には配管15が接続されている。配管13には廃ガスを廃ガス処理設備10に供給する送風機16が設けられている。配管14には廃ガスを吸収塔設備12に供給する送風機17が設けられている。
【0012】
廃ガスは配管13を通して硫酸製造設備11に供給される。硫酸製造設備11では、廃ガスを触媒と接触させて廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化し、ついで廃ガスを水と接触させて硫酸を製造する。硫酸製造設備11により廃ガスに含まれる大部分の二酸化硫黄が除去される。
【0013】
硫酸製造設備11から排出された廃ガスは、送風機17の駆動により配管14を通して吸収塔設備12に供給される。吸収塔設備12では、廃ガスを中和剤と接触させて中和することで、廃ガスに残留するわずかな二酸化硫黄を除去する。中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、式1に示す中和反応が生じる。すなわち、二酸化硫黄と水酸化ナトリウムとが接触して、亜硫酸ナトリウムと水とが生成される。これにより、二酸化硫黄が除去される。
SO2+2NaOH→Na2SO3+H2O・・・(式1)
【0014】
中和剤は中和反応によって二硫化硫黄を除去することが可能であれば特に限定されず、水酸化ナトリウムのほか、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムなどでもよい。ただし、中和反応によって石膏などの沈澱物が生成される場合には、反応後の中和剤を濾過するなどの対応が必要である。
【0015】
吸収塔設備12で処理された廃ガスは配管15を通して大気中に排出される。大気中に排出されるガス、すなわち廃ガス処理設備10から排出されるガスを排ガスと称する。
【0016】
停止装置20は、入口濃度測定器21と、出口濃度測定器22と、pH計23と、制御装置24とを備えている。
【0017】
入口濃度測定器21は配管14に設けられており、吸収塔設備12へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する。本実施形態において、吸収塔設備12へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を「入口濃度」と称する。
【0018】
出口濃度測定器22は配管15に設けられており、吸収塔設備12から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定する。本実施形態において、吸収塔設備12から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度を「出口濃度」と称する。なお、本実施形態において吸収塔設備12は廃ガス処理設備10の最終段の設備であるので、出口濃度は廃ガス処理設備10から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度ともいえる。
【0019】
吸収塔設備12の内部では中和剤が循環しており、廃ガスの中和に繰り返し用いられる。pH計23は吸収塔設備12の内部を循環する中和剤の循環配管に設けられている。pH計23は吸収塔設備12で用いられる廃ガスの中和剤のpHを測定する。
【0020】
吸収塔設備12の内部を循環している中和剤は、二酸化硫黄との中和反応が進行するにしたがいpHが低下する。中和剤のpHが低下しすぎると良好な中和反応を維持できず、二酸化硫黄を十分に除去できなくなる。そこで、吸収塔設備12には中和剤のpHを回復する機構が設けられている。例えば、吸収塔設備12の内部を循環している中和剤のpHが予め設定された下限値を下回る場合に、供給装置から新規の中和剤を供給してpHを上昇させる。これにより、中和剤のpHが所定の範囲に維持されている。
【0021】
pH計23は中和剤の供給設備の下流側であって、廃ガスと接触する前の中和剤のpHを測定する。廃ガス処理設備10の定常的な操業が維持されている場合には、吸収塔設備12で吸収すべき二酸化硫黄の濃度が所定の範囲で推移するため、中和剤のpHは所定の範囲に維持される。しかし、なんらかの異常により吸収塔設備12に供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度が大幅に高くなると、中和剤のpHが低下する。このような場合、吸収塔設備12における二酸化硫黄の除去が不十分となる可能性がある。
【0022】
制御装置24はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータである。制御装置24には、入口濃度測定器21、出口濃度測定器22、およびpH計23の測定値が入力されている。また、制御装置24は送風機17を起動、停止する機能を有する。
【0023】
入口濃度、出口濃度、中和剤のpHのそれぞれに基準値が定められている。例えば、入口濃度の基準値(以下、「入口濃度基準値」と称する。)は、吸収塔設備12の処理能力を考慮した二酸化硫黄濃度の上限値として定められる。出口濃度の基準値(以下、「出口濃度基準値」と称する。)は、吸収塔設備12から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度の上限値として定められる。本実施形態の場合、出口濃度基準値は排ガスの二酸化硫黄濃度の管理基準値として定められる。中和剤のpHの基準値(以下、「pH基準値」と称する。)は、吸収塔設備12において二酸化硫黄を十分除去するのに必要な中和剤のpHの下限値として定められる。
【0024】
制御装置24には予め上記3つの基準値が記憶されている。制御装置24は、入口濃度測定器21、出口濃度測定器22、およびpH計23の測定値と、それぞれの基準値とを比較する。そして、3つの測定値のうち、2つ以上の測定値がそれぞれの基準値を超えた場合に、二酸化硫黄濃度異常と判定する。
【0025】
ここで、測定値が基準値を超えるとは、基準値が上限値の場合には測定値が基準値よりも大きくなることを意味し、基準値が下限値の場合には測定値が基準値よりも小さくなることを意味する。
【0026】
制御装置24は、二酸化硫黄濃度異常と判定した場合に、送風機17の運転を停止する。すなわち、吸収塔設備12への廃ガスの供給を停止する。これにより、二酸化硫黄濃度が管理基準値を超える排ガスを大気中に排出することを防止できる。
【0027】
吸収塔設備12への廃ガスの供給が停止した場合、作業員は吸収塔設備12を点検し、設備トラブルの解消作業を行う。吸収塔設備12の設備トラブルが解消すれば吸収塔設備12への廃ガスの供給を再開する。なお、この間、吸収塔設備12に供給されるはずだった廃ガスは、図示しない配管を通して硫酸製造設備11に繰り返し供給される。
【0028】
以上のように、停止装置20は、2つ以上の測定値が基準値を超えた場合に、吸収塔設備12への廃ガスの供給を停止するよう構成されている。瞬間的な計器異常が2つ以上の測定器で同時に発生することは稀であるため、瞬間的な計器異常により廃ガスの供給が停止することを防止できる。その結果、二酸化硫黄濃度異常が発生している場合にのみ廃ガスの供給を停止できる。
【0029】
また、自動的に廃ガスの供給を停止できることから、作業員の判断に頼る必要がなく、適切なタイミングで廃ガスの供給を停止できる。適切なタイミングで廃ガスの供給を停止できることから、設備トラブルを解消する時間を確保でき、また、早期に設備トラブルを解消することができる。
【0030】
〔その他の実施形態〕
制御装置24は、二酸化硫黄濃度異常と判定した場合に、吸収塔設備12へ廃ガスを供給する送風機17に代えてまたは加えて、廃ガス処理設備10へ廃ガスを供給する送風機16の運転を停止してもよい。すなわち、廃ガス処理設備10への廃ガスの供給を停止してもよい。ただし、この場合、廃ガスを発生する設備を含む多数の設備を停止させる必要がある。
【0031】
廃ガス処理設備10は少なくとも吸収塔設備12を備えていればよい。また、廃ガス処理設備10は硫酸製造設備11に限らずその他の設備を備えてもよい。廃ガス処理設備10を構成する設備の接続順は特に限定されない。
【0032】
入口濃度測定器21は廃ガス処理設備10へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を測定してもよい。すなわち、入口濃度として廃ガス処理設備10へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度を用いる。この場合、入口濃度基準値は、廃ガス処理設備10の処理能力を考慮した二酸化硫黄濃度の上限値として定められる。
【0033】
吸収塔設備12が廃ガス処理設備10の最終段の設備でない場合であっても、出口濃度測定器22は廃ガス処理設備10から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を測定してもよい。すなわち、出口濃度として廃ガス処理設備10から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度を用いる。この場合、出口濃度基準値は、排ガスの二酸化硫黄濃度の管理基準値として定められる。
【0034】
入口濃度、出口濃度、中和剤のpHの3つの指標に他の指標を加えて二酸化硫黄濃度異常を判断してもよい。入口濃度として、吸収塔設備12へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度と、廃ガス処理設備10へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度との2つを用いてもよい。出口濃度として、吸収塔設備12から排出される廃ガスの二酸化硫黄濃度と、廃ガス処理設備10から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度との2つを用いてもよい。
【0035】
制御装置24により送風機16、17を自動停止する構成に代えて、作業員が送風機16、17を停止してもよい。この場合、作業員は、入口濃度、出口濃度、および中和剤のpHの測定値のうち2つ以上が、それぞれに設けられた基準値を超えた場合に、送風機16、17の運転を停止する。このように、廃ガスの供給を停止する判断基準が明確であるので、経験の浅い作業員にとっても判断に時間がかからない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
図1に示す構成の廃ガス処理設備10に停止装置20を設けて操業を行った。ここで、入口濃度は吸収塔設備12へ供給される廃ガスの二酸化硫黄濃度であり、出口濃度は廃ガス処理設備10から排出される排ガスの二酸化硫黄濃度である。
【0037】
操業の途中で、出口濃度および中和剤のpHがそれぞれの基準値を超えたため、送風機17が自動停止した。吸収塔設備12の設備トラブルの解消作業を迅速に開始することができ、吸収塔設備12の運転を早期に再開できた。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様の構成で操業を行った。
操業の途中で、中和剤のpHが基準値を超えたたが、送風機17は自動停止しなかった。その後の調査で、中和剤のpHが基準値を超えたのは、瞬間的な計器異常によるものであったことが確認された。
【0039】
(比較例1)
図1に示す構成の廃ガス処理設備10の操業を行った。停止装置20は用いなかった。
出口濃度が基準値を超えたことから、作業員が送風機17の運転を停止させた。しかし、その後の調査で、出口濃度が基準値を超えたのは、瞬間的な計器異常によるものであり、送風機17の停止は不要であったことが判明した。
【0040】
以上より、実施例1、2によれば、二酸化硫黄濃度異常が発生している場合にのみ吸収塔設備12への廃ガスの供給を停止できるので、設備トラブルを解消する時間を確保でき、また、早期に設備トラブルを解消することができることが分かった。
【符号の説明】
【0041】
10 廃ガス処理設備
11 硫酸製造設備
12 吸収塔設備
16 送風機
17 送風機
20 停止装置
21 入口濃度測定器
22 出口濃度測定器
23 pH計
24 制御装置
図1