特許第6565802号(P6565802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565802
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】タンクの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/34 20060101AFI20190819BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20190819BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B08B9/34
   B08B3/04 Z
   B65D90/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-125219(P2016-125219)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-225949(P2017-225949A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】立原 和季
(72)【発明者】
【氏名】後藤 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 篤史
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−133318(JP,U)
【文献】 特開昭56−115690(JP,A)
【文献】 特開昭48−066034(JP,A)
【文献】 米国特許第04509884(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/34
B08B 3/04
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性液を貯蔵する貯蔵タンクの底板から液漏れが発生した際のタンクの洗浄方法であって、
前記貯蔵タンクの底板で前記液漏れが発生していることを検出する液漏れ検出工程と、
前記液漏れを検出した場合に、前記貯蔵タンクの内容物を取り除き、該貯蔵タンクの底板の内面に洗浄用のノズルを設置するノズル設置工程と、
前記ノズルを通して洗浄液を送ることで、前記液漏れの発生箇所を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程で前記液漏れの発生箇所の洗浄が十分に行われていることを確認する確認工程とを有することを特徴とするタンクの洗浄方法。
【請求項2】
前記ノズル設置工程では、前記ノズルが付いたプレートを前記貯蔵タンクの底板の内面に溶接して設置することを特徴とする請求項1に記載のタンクの洗浄方法。
【請求項3】
前記ノズル設置工程では、前記貯蔵タンクの底板に穴を設けて、該穴に対向するように前記ノズルを設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタンクの洗浄方法。
【請求項4】
前記貯蔵タンクは底板の内面に窪み又は亀裂を備え、該窪み又は該亀裂を加工して前記穴を得る請求項3に記載のタンクの洗浄方法。
【請求項5】
前記確認工程では、前記洗浄液のpHと洗浄後の排出液のpHの差の絶対値が0.1以内となった場合に洗浄が十分に行われていると判定する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタンクの洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液は、水又は水溶液であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のタンクの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食性液を貯蔵する貯蔵タンクから液漏れが発生した際のタンクの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニッケル酸化鉱石からニッケル、コバルト等の有価金属を回収する湿式製錬法として、HPAL(High Pressure Acid Leaching)法等の硫酸浸出法が行なわれている。HPAL技術を用いた低品位Ni鉱の製錬では、98%の濃硫酸を用い、濃硫酸添加後のプロセス液はpH2〜4の酸性液となる。
【0003】
このようなプロセス液を貯蔵するために、通常タンクは酸性液を使用出来るよう、外面が炭素鋼であって、内面にラバーライニングや無溶剤エポキシ樹脂ライニングなどの耐食ライニングを施した構造としている。
【0004】
タンク内のラバーライニングや無溶剤エポキシ樹脂ライニングなどは、経年による劣化、スラリーや溶液内に含まれた異物による衝突などによりピンホールが生じることがある。このピンホールを起点としてタンク外面にも腐食が生じ、プロセス液がタンクから漏洩することがある。
【0005】
このような、タンクからのプロセス液の漏えいに関して、例えば、特許文献1には、厚鋼板表面に、Zn被膜を厚み100μm以上400μm以下溶射形成し、該表面に更に5%以上55%以下のAlを含むZn被膜を10μm以上40μm以下溶射形成することで、原油や石油等の油貯蔵タンク底板の腐食を防止することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、山砂等の基礎土上に設置された油貯蔵タンクにおいて、タンク底の基礎土に非電解質吸水性材料を混入することで、原油、石油等を貯蔵するタンクの底板裏面が腐食するのを防止する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−339696号公報
【特許文献2】特開平8−13174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タンク側壁からの漏洩では外面に漏洩したプロセス液を洗浄するなどして除去することが可能であるが、タンク底から漏れた液は、タンク底板の外面とタンク基礎の間に溜まり、タンク底板の外面やタンク基礎を腐食させる原因となる。したがって、タンク底板の外面やタンク基礎の腐食防止の為、タンク内の液抜きを行った後、タンク底板とタンク基礎間の洗浄を行う必要がある。
【0009】
引用文献1や引用文献2には、底板の腐食を防止する方法については記載されているが、液漏れが発生した場合のタンクの洗浄方法については記載されていない。
【0010】
一般的に、タンク底板の外面とタンク基礎間の液を洗浄する方法としては、タンク底板の外面とタンク基礎間にタンク外周からホースを差し込み、水洗もしくは薬液洗浄する方法がある。しかしながら、この方法ではタンク底板の外周から中心に向けて洗浄することになり、洗浄水や薬液(以下、まとめて洗浄液ともいう)がタンク中心付近に到達するまでに圧力が弱まり十分な洗浄を行うことが出来ず、プロセス液が完全に排出出来ない事象が発生して、タンク底板が腐食することがあるという課題があった。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、腐食性液の液漏れが発生した際に、より確実にタンク底板とタンク基礎間の洗浄を行うことができるタンクの洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、この問題を解決するために詳細に検討を行い、上述した液漏れによるタンクの腐食を防ぐため、補修時に穴あき箇所からタンク底板とタンク基礎間に溜まった腐食性液を洗浄する方法を発明した。
【0013】
すなわち、本発明の一態様は、腐食性液を貯蔵する貯蔵タンクの底板から液漏れが発生した際のタンクの洗浄方法であって、貯蔵タンクの底板で液漏れが発生していることを検出する液漏れ検出工程と、液漏れを検出した場合に、貯蔵タンクの内容物を取り除き、貯蔵タンクの底板の内面に洗浄用のノズルを設置するノズル設置工程と、ノズルを通して洗浄液を送ることで、液漏れの発生箇所を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程で液漏れの発生箇所の洗浄が十分に行われていることを確認する確認工程とを有する。
【0014】
本発明の一態様によれば、貯蔵タンクの底板の内面に洗浄用のノズルを設置することで、タンク底板からタンク外周に向かって放射状に洗浄することができるため、より確実にタンク底板とタンク基礎間の洗浄を行うことができる。
【0015】
このとき、本発明の一態様では、ノズル設置工程において、ノズルが付いたプレートを貯蔵タンクの底板の内面に溶接して設置してもよい。
【0016】
このように、強固にノズルを設置することにより、洗浄時に水圧等でノズルが外れることがなくなる。
【0017】
また、本発明の一態様では、ノズル設置工程において、貯蔵タンクの底板に穴を設けて、該穴に対向するようにノズルを設置するようにしてもよい。
【0018】
このように貯蔵タンクの底板に穴を設けることで、洗浄液を送液しやすくなるため、より効率的に洗浄を行うことができる。
【0019】
また、このとき、本発明の一態様では、貯蔵タンクは底板の内面に窪み又は亀裂を備え、該窪み又は該亀裂を加工して穴を得るようにしてもよい。
【0020】
このように、窪みや亀裂が発生している箇所に穴を設ければ貯蔵タンクの底板を余分に傷つけずにすむ。
【0021】
また、本発明の一態様では、確認工程において、洗浄液のpHと洗浄後の排出液のpHの差の絶対値が0.1以内となった場合に洗浄が十分に行われていると判定してもよい。


【0022】
このように、洗浄液のpHが洗浄の前後を通じて略同一であれば、十分に腐食性液が洗浄されているといえる。
【0023】
また、本発明の一態様では、洗浄液は、水又は水溶液でもよい。
【0024】
水又は水溶液を用いることで十分に腐食性液を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、腐食性液の液漏れが発生した際に、より確実にタンク底板とタンク基礎間の洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法のプロセスの概略を示す工程図である。
図2】(A)は、液漏れ発生時の貯蔵タンクの概略的な断面図であり、(B)は、本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法を適用した時の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.タンクの洗浄方法
1−1.液漏れ検出工程
1−2.ノズル設置工程
1−3.洗浄工程
1−4.確認工程
【0028】
<1.タンクの洗浄方法>
図1に、本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法のプロセスの概略を示す。本発明の一実施形態は、腐食性液を貯蔵する貯蔵タンクから液漏れが発生した際のタンクの洗浄方法であって、貯蔵タンクで液漏れが発生していることを検出する液漏れ検出工程S1と、液漏れを検出した場合に、貯蔵タンクの内容物を取り除き、貯蔵タンクの底板の内面に洗浄用のノズルを設置するノズル設置工程S2と、ノズルを通して洗浄液を送ることで、液漏れを洗浄する洗浄工程S3と、洗浄工程で液漏れの洗浄が十分に行われていることを確認する確認工程S4とを有する。
【0029】
このようにすることで、洗浄液はタンク底板の外面とタンク基礎間で挟まれた(囲まれた)狭い領域に直接的に供給されるので、洗浄液の圧力をかけることができ、洗浄液の圧力をかけることでプロセス液が滞留せず外周方向に排出することができる。また、ノズルの取り付けを確実に行うことにより洗浄液の供給口からの漏洩が無くなり供給圧力を損なうことなく、タンク底板の外面とタンク基礎間の洗浄を行える。これにより、タンク底板とタンク基礎間にタンク外周からホースを当てて洗浄する方法よりも効果的に洗浄が出来、腐食を防止することができる。
【0030】
本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法が適用される貯蔵タンクの一例を図面を参照しながら説明する。図2(A)は、液漏れ発生時の貯蔵タンクの概略的な断面図であり、図2(B)は、本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法を適用した時の概略的な断面図である。
【0031】
貯蔵タンク10は、タンク本体11の内面にライニング12処理が施されたものであり、腐食性液13を貯蔵している。貯蔵タンク10は、タンク基礎20の上に設置される。タンク本体11は、例えば、炭素鋼等の材質でできており、ライニング12としては、ラバーライニングや無溶剤エポキシ樹脂ライニングが挙げられる。また、腐食性液13としては、硫酸や、鉱石の硫酸浸出によるスラリー等が挙げられる。
【0032】
このような貯蔵タンク10内のライニング12は、経年による劣化や、上述したスラリーや溶液内に含まれた異物による衝突などによりピンホールが生じることがある。このピンホールを起点としてタンク本体11にも腐食が生じ、やがて亀裂14が発生して腐食性液が貯蔵タンク10から漏洩して、液漏れ15となることがある。本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法は、このような場合に適用される。以下、各工程を順にそれぞれ説明する。
【0033】
(1−1.液漏れ検出工程)
液漏れ検出工程S1では、貯蔵タンク10で液漏れが発生していることを検出する。
【0034】
上述したように、貯蔵タンク10内のラバーライニングや無溶剤エポキシ樹脂ライニングなどのライニング12は、経年による劣化、スラリーや溶液内に含まれた異物による衝突などによりピンホールが生じることがあり、このピンホールを起点としてタンク本体11にも亀裂14が生じ、腐食性液13が貯蔵タンクから漏洩して液漏れ15(腐食性液13それ自体のほか、腐食性液13が乾燥したり、腐食性液13が空気やタンク基礎20などと化学反応したりして生じた生成物)となる。
【0035】
したがって、これらの液漏れ15をいち早く検出し、洗浄、補修を行うことが必要となる。貯蔵タンク10の液漏れ15を検出する方法としては、センサー等によりタンク内の溶液の水位の変化や圧力の変化等により検知してもよいが、例えば、日常的に目視で点検を行い、貯蔵タンク10の底部11Aから腐食性液13の液漏れ15がないかを確認するという方法でもよい。
【0036】
(1−2.ノズル設置工程)
ノズル設置工程S2では、液漏れ15を検出した場合に、貯蔵タンク10の内容物(腐食性液)13を取り除き、貯蔵タンク10の底板11Aの内面に洗浄用のノズル16を設置する。
【0037】
ノズル設置工程S2では、まず、貯蔵タンク10の内容物13を取り除く。本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法では、貯蔵タンク10の内部で作業をする必要があるからである。したがって、腐食性液13をすべて除くだけでなく、貯蔵タンク10内に有害ガス等が発生していないことも確認することが望ましい。
【0038】
貯蔵タンク10内から腐食性液13を除き、貯蔵タンク10内で作業ができるようになれば、次に、貯蔵タンク10の底板11Aの内面から外面に向けて(貯蔵タンク10の内側から外側へ向けて)洗浄用のノズル16を設置する。ノズル16を設置するに際しては、設置箇所のライニング12を除去しておくことが好ましい。ライニング12上にノズル16を設置するとノズル16が不安定となり、洗浄水の送液時にノズル16が外れてしまう恐れがあるためである。洗浄用のノズル16には、例えば、ホース18を接続し、洗浄水21を貯蔵タンク10の外部から送液する。
【0039】
本発明の一態様では、ノズル16が付いたプレート17を貯蔵タンク10の底板11Aの内面に溶接して設置してもよい。ノズル16が付いたプレート17を溶接することにより、強固にノズル16を貯蔵タンク10の底板11Aの内面に設置することができるため、洗浄時に水圧等でノズル16が外れることがなくなる。
【0040】
また、本発明の一態様では、ノズル16を設置する貯蔵タンク10の底板11Aに穴19を設けてもよい。この穴19に対向するようにノズル16を配置することで、洗浄液を送液しやすくなるため、より効率的に洗浄を行うことができる。穴19の大きさは、ノズル16と同径以上とすることにより、ノズル16を挿入して洗浄液の散逸を防止することができる。また、穴19の大きさは、ノズル16の直径の2倍以下とすることにより、ノズル16の位置の時間的変化も抑制できる。
【0041】
穴19の設置箇所は、窪みや亀裂14が発生している箇所にすれば底板11Aを傷つけずにすむ。窪みや亀裂14の発生箇所が発見しづらい場合には、貯蔵タンク10の底板11Aのいずれかの箇所に穴19を設けることで、発見を試みる手間を省くことができる。てもよい。穴19は、貯蔵タンク10の底板11Aの中央部に設けた方が、洗浄液をタンク底板からタンク外周に向かって放射状に送液することができるため好ましい。
【0042】
(1−3.洗浄工程)
洗浄工程S3では、ノズル16を通して洗浄液を送ることで、液漏れ15を洗浄する。
【0043】
洗浄液としては、水を用いることができる。水の温度としては、20〜40℃のものが容易に入手できる点で好ましいが、溶解度を高めるために40〜100℃の水や、希釈熱を冷却するために0〜20℃の水を用いることもできる。このような洗浄液を用いることにより、タンク底板11Aとタンク基礎20間の液漏れ15や、タンク底板11Aの亀裂14周囲の析出物等を溶かし込んで希釈化して、排出液21として洗い流す。なお、液漏れ15に重金属等の有価物や酸・アルカリ等の有害物質が含まれている場合には、排出液21は回収する。
【0044】
洗浄液としては、各種の水溶液を用いることができる。特に、排出液21を洗浄液として再度用いることで、節水ができると同時に、回収した排出液21の保管費用も低減できる。洗浄液として排出液21を用いる場合は、排出液21の濃度(腐食性液と共通する溶質の濃度)を定期的に確認しながら、濃度が高止まりした時点(一定になった時点)で洗浄効果が落ちたと判断して、洗浄液を新たな水に切り替えることが望ましい。
【0045】
洗浄液は、腐食性液の性質に合わせて選定することができる。例えば、腐食性液が酸の場合にはアルカリ性の水溶液を、塩基性の場合は酸性の水溶液を洗浄液として用いて中和したり、腐食性液が有害な場合には、化学的に無害化するような溶液を洗浄液として用いたりすることが考えられる。腐食性液が有機物の場合は、洗浄液として有機溶媒(アルコール、アセトン、シクロヘキサンなど)を用いたり、界面活性剤を併用したりすることもできる。
【0046】
(1−4.確認工程)
確認工程S4では、洗浄工程S3で液漏れの洗浄が十分に行われていることを確認する。
【0047】
確認の方法は特に限定はされないが、タンク底板11Aとタンク基礎20間に溜まった腐食性液が十分に洗い流され、腐食の恐れがなくなっていることを確認する必要がある。
【0048】
確認の方法としては、洗浄液のpHと洗浄後の洗浄液のpHが略同一となった場合に洗浄が完了したことを確認するとしてもよい。洗浄液のpHが洗浄の前後を通じて略同じであれば、十分に腐食性液が洗浄されているといえる。略同一とは、例えば、洗浄液のpHと洗浄後の洗浄液のpHの差の絶対値が0.1以内の場合とする。
【0049】
この確認方法を用いる場合、洗浄液として排出液21以外の水(水溶液)を用い、その後、腐食性液が広がる速度を考慮し洗浄液の流量を弱めるか供給を一時停止し、pHの測定に臨むことが望ましい。
【0050】
pHの測定は、1箇所ではなく、貯蔵タンクを囲むように(貯蔵タンクより低い位置では、貯蔵タンクの鉛直延在領域を囲むように)複数個所で測定することが好ましい。具体的には、タンクに対して前後左右の4方向の地点、より好ましくは8方向の地点、さらに好ましくは16方向の地点と、できる限りタンクの全方向で測定することが好ましい。様々な方向からpHを確認することで、洗浄が十分か否かを高い精度で判定することができる。なお、確認工程S4で洗浄が不十分であると判断した場合には、洗浄工程S3での洗浄を継続する。
【0051】
以上、本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法について説明したが、洗浄が終わった後の貯蔵タンク10に対しては補修を行う。すなわち、タンク底板11Aのノズル16設置部分周辺を切り抜き、切り抜いた部分に同形状・同材質・同厚みの板を溶接して取り付け、その後にライニング処理を実施する。亀裂14の箇所が他にもある場合には、併せて亀裂14も補修する。
【0052】
なお、本発明は、タンク底板に適用するのと同様にして、タンク側面に適用することも可能である。タンク側面に適用すれば、タンク側面が冷却ジャケットなどの二重構造(多重構造)になっている場合や、タンクが壁面に近接している場合などに容易に洗浄をすることができる。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
実施例1では、液漏れを目視で確認した貯蔵タンクにおいて、内容物(硫酸ニッケル等の各種硫酸塩の溶解した硫酸)を除去し、タンク底板の内面にマーキングした後、ノズル取り付けの為に当該箇所のライニングを除去した。タンク底板にノズル径と同じ25mm寸法の穴をあけ、ノズルを溶接にてタンク底板の内面に取り付けた。ノズルにホースを接続し、流量20L/分の水により洗浄を2時間行った。洗浄が完了した後、ノズル取り付け部周辺のタンク底板を約100mm角で切り抜き、切り抜いた箇所には新たに底板と同じ材質・厚みの板を溶接して取り付けた。その後ライニング処理を実施した。洗浄の前後での液のpHを測定した。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
比較例1では、液漏れを目視で確認した貯蔵タンクにおいて、内容物を除去し、タンク底板とタンク基礎間にタンク外周からホースを当てて、水による洗浄を行った。洗浄の前後での液のpHを測定した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例1では、液のpHは洗浄前は4であったが、洗浄後ではpHが7となった。すなわち、洗浄液である水と略同じpHであるため、十分に腐食性液を洗い流すことができていることが分かる。一方で、比較例1では、液のpHは洗浄前は4であり、洗浄後ではpHが5となった。すなわち、腐食性液を十分に洗い流すことができておらず、腐食性液が残留していることが分かる。
【0058】
これらの結果より、本発明の実施の一形態に係るタンクの洗浄方法を適用することにより確実にタンク底板とタンク基礎間の洗浄を行うことができることが分かる。
【符号の説明】
【0059】
10 貯蔵タンク、11 タンク本体、11A タンク底板、12 ライニング、13 腐食性液、14 亀裂、15 液漏れ、16 ノズル、17 プレート、18 ホース、19 穴、20 タンク基礎、21 排水液
図1
図2