【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:平成26年10月22日 刊行物:IEEE 2014 Biomedical Circuits and Systems Conference Proceedings USBメモリ 発行日:平成26年11月 4日 刊行物:2014 Asia−Pacific Microwave Conference Proceedings USBメモリ
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 先端計測分析技術・機器開発プログラム「乳がん検査用複素誘電率分布計装技術」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のアンテナアレイ装置のように、異なるアンテナの組み合わせで電波の送受信状態を同じにしても、受信信号の遅れなどがアンテナの組み合わせによって異なる場合がある。この受信信号の遅れの違いにより、検出精度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる異常組織検出装置及び信号送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る異常組織検出装置は、
マイクロ波のインパルス信号を送受信する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナから送信されるマイクロ波のインパルス信号
を出力する送信部と、
前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナで受信されたマイクロ波の電気信号
を入力する受信部と、
前記送信部
から出力された前記インパルス信号を入力する第1の入力端及び前記受信部
に前記電気信号を出力する第1の出力端を有し、前記第1の入力端及び前記第1の出力端のいずれかと、前記複数のアンテナのうちの第1のグループに属するアンテナのいずれかとを、切り替え接続す
る第1のCMOSスイッチと、
前記送信部
から出力された前記インパルス信号を入力する第2の入力端及び前記受信部
に前記電気信号を出力する第2の出力端を有し、前記第2の入力端及び前記第2の出力端のいずれかと、前記複数のアンテナのうち、前記第1のグループとは異なる第2のグループに属するアンテナのいずれかとを、切り替え接続す
る第2のCMOSスイッチと、
前記第1のCMOSスイッチと、前記第1のグループに属するアンテナのそれぞれとを結ぶ第1の配線部と、
前記第2のCMOSスイッチと、前記第2のグループに属するアンテナのそれぞれとを結ぶ第2の配線部と、
前記第1のCMOSスイッチ及び前記第2のCMOSスイッチを制御して、信号を送信するアンテナ及び信号を受信するアンテナの組み合わせを切り替えながら、前記送信部に前記マイクロ波のインパルス信号を出力させ、前記アンテナから出力された電気信号を前記受信部に入力させる信号処理部と、
を備える。
【0011】
前記第1、第2の配線部は、
前記第1、第2のCMOSスイッチの複数の入出力端それぞれと、前記第1、第2のグループに属するアンテナのそれぞれとを同じ長さの配線で結ぶ、
こととしてもよい。
【0012】
前記第1の配線部は、
前記第1のCMOSスイッチが実装された基板を有し、
前記第2の配線部は、
前記第2のCMOSスイッチが実装された基板を有し、
前記各基板上には、前記第1のCMOSスイッチ又は前記第2のCMOSスイッチを中心に放射状に実装された同軸ケーブルの複数の接続ポートと、
前記第1のCMOSスイッチ又は前記第2のCMOSスイッチの複数の入出力端のいずれかと、前記複数の接続ポートのいずれかとを接続するために放射状に延びる長さが同じ複数のマイクロストリップラインと、
が実装されている、
こととしてもよい。
【0013】
前記複数の接続ポートのいずれかと、前記複数のアンテナのいずれかとを結ぶ複数の同軸ケーブルの長さが同じである、
こととしてもよい。
【0014】
前記第1のCMOSスイッチ及び前記第2のCMOSスイッチは、
2P8TのCMOSスイッチである、
こととしてもよい。
【0015】
前記
2P8TのCMOSスイッチは、
8つのアンテナのうちのいずれか1つのアンテナを選択するために各アンテナに接続され、それぞれ4つずつのアンテナから成る2つのグループにグループ分けされた8つの選択回路と、
前記送信部と接続され、前記送信部から入力されたマイクロ波のインパルス信号を、前記2つのグループのいずれかに出力する第1の
1P2TのCMOSスイッチと、
前記受信部と接続され、前記2つのグループのいずれかから出力されたマイクロ波の電気信号を前記受信部に出力する第2の
1P2TのCMOSスイッチと、
を備える、
こととしてもよい。
【0016】
前記第1、第2の
1P2TのCMOSスイッチでは、
前記送信部又は前記受信部と、一方のグループの選択回路との間に直列に接続された2つの第1の半導体スイッチング素子と、
前記2つの第1の半導体スイッチング素子の間にソースが接続されるとともに、ドレインが接地され、前記第1の半導体スイッチング素子がオンしたときにオフとなる第2の半導体スイッチング素子と、
を備える回路が、前記選択回路のグループ毎に設けられている、
こととしてもよい。
【0017】
前記複数のマイクロストリップラインのそれぞれには、
前記マイクロ波の中心波長をλとしたときにλ/4の長さを有し、前記各接続ポートのインピーダンスをZ1とし、前記第1、第2のCMOSスイッチの出力端のインピーダンスをZ2としたときに、√(Z1×Z2)の中間インピーダンスを有する伝送線路が挿入されている、
こととしてもよい。
【0018】
前記各アンテナは、
前記各同軸ケーブルの内部導体と接続された裏側導体線と、前記裏側導体線と絶縁層を介して配置された前記各同軸ケーブルの外部導体と接続された表面導体と、を有し、
同一のグループに属するアンテナが、前記裏側導体線で電流の流れる方向が同じとなるように1次元配列され、
前記第1のグループのアンテナの配列と、前記第2のグループのアンテナの配列とが、前記裏側導体線で電流が流れる方向に交互に配列されている、
こととしてもよい。
【0019】
前記信号処理部は、
位置関係が同じ複数の異なるアンテナの組み合わせで前記マイクロ波の送受信を行い、
前記送受信の結果得られた受信信号を平均化した信号を基準信号とし、
前記受信信号と前記基準信号との差分に基づいて、異常組織を検出する、
こととしてもよい。
【0020】
本発明の第2の観点に係る信号送受信方法は、
マイクロ波のインパルス信号を送受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナから送信されるマイクロ波のインパルス信号
を出力する送信部と、前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナで受信されたマイクロ波の電気信号
を入力する受信部と、を設け、
前記複数のアンテナを2つのグループに分けて、前記送信部
から出力された前記インパルス信号を入力する第1の入力端及び前記受信部
に前記電気信号を出力する第1の出力端を有する第1のCMOSスイッチを介して、前記第1の入力端及び前記第1の出力端と、一方のグループに属するアンテナと
を接続するとともに、前記送信部
から出力された前記インパルス信号を入力する第2の入力端及び前記受信部
に前記電気信号を出力する第2の出力端を有する第2のCMOSスイッチを介して、前記第2の入力端及び前記第2の出力端と、他方のグループに属するアンテナと
を接続し、
前記第1のCMOSスイッチと
前記一方のグループに属するアンテナとをそれぞれ結ぶ複数の第1の配線と、前記第2のCMOSスイッチと
前記他方のグループに属するアンテナとをそれぞれ結ぶ複数の第2の配線との長さを同じとし、
前記第1のCMOSスイッチ及び前記第2のCMOSスイッチを制御して、前記アンテナの組み合わせを切り替えながら、送信信号を前記第1、第2のCMOSスイッチのいずれか
を介して前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナに出力し、
前記複数のアンテナのうちのいずれかのアンテナから出力された受信信号を前記第1、第2のCMOSスイッチのいずれかを介して入力し、入力した電気信号に対する信号処理を行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、マイクロ波のインパルス信号を送受信する複数のアンテナを2つのグループに分けて、各グループでスイッチングを行う回路構成とすることにより、配線を単純化することができるので、その間の信号の遅れやノイズ成分の混入状態を揃え易くすることができる。このため、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る異常組織検出装置及び信号送受信方法について、乳癌を検出する乳癌センサを例に、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、送受信用のアンテナがアンテナアレイの外周側にあるのか内周側にあるのかなど、各アンテナの周囲の環境の違いによる受信信号の違いを考慮しないものとする。
【0024】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0025】
図1に示すように、異常組織検出装置1は、制御部10と、送信部11と、CMOSスイッチ12と、配線部13と、アンテナアレイ14と、配線部15と、CMOSスイッチ16と、受信部17と、を備える。
【0026】
信号処理部としての制御部10は、CPU、メモリ、外部記憶装置、入出力I/O等を備えるコンピュータである。CPUが外部記憶装置にインストールされ、メモリに読み込まれたプログラムを実行することにより、制御部10の機能が実現される。
【0027】
例えば、制御部10は、プログラムの実行により、送信信号SSを出力させるタイミングを示すタイミング信号を送信部11に出力するとともに、CMOSスイッチ12の制御信号CS1を出力する。制御部10は、CMOSスイッチ16の制御信号CS2を出力するとともに、受信部17から受信信号RSの波形データを入力する。
【0028】
信号処理部としての送信部11は、制御部10から入力されたタイミング信号に従って、例えば、
図2に示すようなインパルス状の電気信号である送信信号SSを出力するハードウエア回路である。
図2に示すように、この電気信号のレベルは、短時間で正の値から負の値に変動するインパルス信号である。
【0029】
第1のCMOSスイッチとしてのCMOSスイッチ12は、双極側の2つの入出力端のいずれかと、8投側の8つの入出力端のいずれかとを、選択的に切り替え接続する双極8投のスイッチである。切り替えは、制御部10から入力する制御信号CS1に基づいて行われる。CMOSスイッチ12の双極側の一方の入出力端が送信部11と接続され、この入出力端から送信信号SSを入力する。また、CMOSスイッチ12の双極側の他方の入出力端は、受信部17と接続され、この入出力端から受信信号RSを、受信部17に出力する。CMOSスイッチ12では、8投側の8つの入出力端が8つのアンテナA1、A2、…、A8と接続されている。CMOSスイッチ12は、制御信号CS1に従って、双極側の一方の入出力端を、アンテナA1、A2、…、A8に接続された8投側の8つの入出力端のいずれかに接続する。これにより、CMOSスイッチ12は、送信信号SSをアンテナA1、A2、…、A8のいずれかに送信可能となる。一方、CMOSスイッチ12は、制御信号CS1に従って、双極側の他方の入出力端を、アンテナA1、A2、…、A8に接続された8投側の8つの入出力端のいずれかに接続する。これにより、CMOSスイッチ12は、アンテナA1、A2、…、A8のいずれかから入力した受信信号RSを受信部17に送信する。
【0030】
図3(A)、
図3(B)には、CMOSスイッチ12の一部の回路構成が示されている。
図3(A)、
図3(B)に示すように、CMOSスイッチ12は、半導体スイッチング素子21(抵抗R
SUB内蔵型)と、半導体スイッチング素子22(抵抗R
SUB内蔵型)と、インバータ25と、インダクタLとを備える。
【0031】
半導体スイッチング素子21のソースは、送信号ポート(Tx/Rx Port)に接続されている。また、半導体スイッチング素子21のドレインは、インダクタLを介してCMOSスイッチ12の8投側の入出力端Tn(n=1、2、3、4、・・・)と接続されている。入出力端Tnは、アンテナAnと接続されている。このように、半導体スイッチング素子21は、アンテナA1〜A8のいずれかと、送信部11と接続された信号ポート(Tx/Rx Port)、すなわち双極側の一方の入出力端との間に挿入されている。また、半導体スイッチング素子21のゲートは、抵抗R
Gを介して、制御信号の信号ポートに接続されている。制御信号の信号ポートからは制御信号CTn(n=1、2、3、4、・・・)が出力される。
【0032】
半導体スイッチング素子22のソースは、半導体スイッチング素子21のドレインに接続されている。また、半導体スイッチング素子22のドレインは、接地されている。すなわち、半導体スイッチング素子22は、半導体スイッチング素子21のドレイン側と入出力端Tnとの間と、グラウンドとの間にそれぞれ挿入されている。また、半導体スイッチング素子22のゲートは、インバータ25及び抵抗R
Gを介して、制御信号の信号ポートに接続されている。したがって、半導体スイッチング素子22のゲートには、制御信号CTnの反転信号が入力される。
【0033】
図3(A)に示すように、制御信号CTnがハイレベル(CTn=1)となると、半導体スイッチング素子21はオンとなり、半導体スイッチング素子22はオフとなる。この状態であれば、送信部11の送信ポート(Tx Port)から出力されたマイクロ波の電気信号は、入出力端TnからアンテナAnに出力され、アンテナAnからマイクロ波が放射される。
【0034】
図3(B)に示すように、送信部11から出力される制御信号CTnがローレベル(0)となると、半導体スイッチング素子21はオフとなり、半導体スイッチング素子22はオンとなる。この状態であれば、送受信ポート(Tx/Rx Port)と、入出力端Tnとは非接続となり、アンテナAnではマイクロ波の送受信は行われない。仮に、送信部11から半導体スイッチング素子21を通してアンテナAnの方へリーク電流が流れたとしても、そのリーク電流は、半導体スイッチング素子22を通ってグラウンドに流れるようになる。これにより、リーク電流に起因する諸問題、例えばノイズの混入などを防ぐことができる。
【0035】
半導体スイッチング素子21のドレインは、インダクタLを介して入出力端Tn(アンテナAn)と接続されている。これにより、回路の負荷容量を小さくして、送信信号の帯域幅を広げることができる。
【0036】
CMOSスイッチ12は
図3(A)、
図3(B)に示されるような入出力端Tn(アンテナAn)に接続される回路を基本回路としている。以下では、この回路構成を基本回路30とする。
【0037】
図4には、CMOSスイッチ12の全体回路の回路構成が示されている。
図4に示すように、CMOSスイッチ12は、入出力端T1〜T8(アンテナA1〜A8)に接続する8個の基本回路30を有している。8個の基本回路30は4つずつの2つのグループに分かれている。
【0038】
CMOSスイッチ12は、1P2Tスイッチ31A、31Bをさらに備えている。1P2Tスイッチ31Aは、インダクタ23Aを介して送信部11の送信ポート(Tx Port)と接続されている。1P2Tスイッチ31Bは、インダクタ23Bを介して受信部17の受信ポート(Rx Port)と接続されている。
【0039】
1P2Tスイッチ31Aは、送信ポートから出力された送信信号SSを入力する。1P2Tスイッチ31Aは、2つの送信ポートの出力A、Bを有している。
【0040】
1P2Tスイッチ31Aの送信ポートの出力A、Bは、インダクタ24A、24Bを介して対応するグループを構成する4つの基本回路30にそれぞれ接続されている。例えば、送信ポートの出力Aから送信信号SSが出力された場合には、
図4の左側のグループの各基本回路30に送信信号SSが入力される。また、送信ポートの出力Bから送信信号SSが出力された場合には、
図4の右側のグループの各基本回路30に送信信号SSが入力される。
【0041】
図5には、CMOSスイッチ12の1P2Tスイッチ31Aの構成が示されている。1P2Tスイッチ31Aには、半導体スイッチング素子40A、41A、42A及びインバータ43Aを備える回路と、半導体スイッチング素子40B、41B、42B及びインバータ43Bを備える回路と、で構成されている。半導体スイッチング素子40A、41Aは、送信ポート(Tx Port)の入力端子と、送信ポートの出力Aとの間に直列に挿入され、半導体スイッチング素子42Aは、半導体スイッチング素子40Aと半導体スイッチング素子41Aとの間と、グラウンド(GND)との間に挿入されている。また、半導体スイッチング素子40B、41Bは、送信ポート(Tx Port)の入力と、送信ポートの出力Bとの間に直列に挿入され、半導体スイッチング素子42Bは、半導体スイッチング素子40Bと半導体スイッチング素子41Bとの間と、グラウンド(GND)との間に挿入されている。半導体スイッチング素子40A、41Aのゲートへの入力と、半導体スイッチング素子42Aのゲートへの入力との間には、インバータ43Aが挿入され、半導体スイッチング素子40B、41Bのゲートへの入力と、半導体スイッチング素子42Bのゲートへの入力との間には、インバータ43Bが挿入されている。半導体スイッチング素子40A、41A、42A、40B、41B、42Bのゲートと外部入力との間には、抵抗R
Gが挿入されている。
【0042】
送信ポートの出力Aから送信信号を出力する場合には、送信ポートの出力Aに接続された半導体スイッチング素子40A、41Aをオンとする。この場合、インバータ43Aにより、半導体スイッチング素子42Bはオフとなる。送信ポート出力Bに接続された半導体スイッチング素子40B、41Bについてはオフとする。この場合、インバータ43Aにより、半導体スイッチング素子42Bについてはオンとなる。送信ポートの出力Bから送信信号を出力する場合には、半導体スイッチング素子40A、41Aをオフとする。この場合、インバータ43Aにより、半導体スイッチング素子42Aはオンとなる。送信ポート出力Bに接続された半導体スイッチング素子40B、41Bについてはオンとする。この場合、インバータ43Bにより、半導体スイッチング素子42Bについてはオフとなる。
【0043】
例えば、送信ポートの出力Aから送信信号を出力する場合には、半導体スイッチング素子40A、41Aを介して太線のように、送信信号が流れる。その際、点線のようなリーク電流が送信ポートの出力Bから入ったとしても、そのリーク電流は、半導体スイッチング素子42Bからグラウンドに流れるようになる。
【0044】
図4に戻り、1P2Tスイッチ31Bは、インダクタ23Bを介して受信部17の受信ポート(Rx Port)と接続されている。1P2Tスイッチ31Bは、受信信号RSを入力する。1P2Tスイッチ31Bは、2つの受信ポートの入力C、Dを有している。
【0045】
1P2Tスイッチ31Bの受信ポートの入力C、Dは、インダクタ24A、24Bを介して対応するグループを構成する4つの基本回路30にそれぞれ接続されている。例えば、
図4の左側のグループの各基本回路30にアンテナAnから入力された受信信号RSは、受信ポートの入力Cに入力される。また、
図4の右側のグループの各基本回路30にアンテナAnから入力された受信信号RSは、受信ポートの入力Dに入力される。
【0046】
1P2Tスイッチ31Bの構成も、
図5に示す1P2Tスイッチ31Aの構成と同じである。1P2Tスイッチ31Aにおける半導体スイッチング素子のスイッチングにより、受信信号RSを入力するアンテナAnのグループが決定される。
【0047】
CMOSスイッチ12は、2つのデマルチプレクサ33をさらに備える。デマルチプレクサ33は、基本回路30のグループ毎に設けられている。2つのデマルチプレクサ33には、制御部10から出力される制御信号CS1が入力されている。制御信号CS1には、どのアンテナA1〜A8を送信用として選択すべきか否かを示す情報が含まれている。各デマルチプレクサ33は、この制御信号CS1に基づいて、選択されたアンテナに接続された基本回路30が、接続するグループに含まれているか否かを判定し、制御信号CTnを出力する。
【0048】
デマルチプレクサ33は、選択されたアンテナAnに接続された基本回路30が、接続するグループに含まれている場合には、そのアンテナAnに接続された基本回路30に出力する制御信号CTnをハイレベルとし、他の基本回路30に出力される制御信号CTnについてはローレベルとする。
図4では、アンテナA1に対応する制御信号がハイレベルとなり、他の制御信号がローレベルとなって、アンテナA1に接続される入出力端T1が選択される様子が示されている。
【0049】
また、デマルチプレクサ33は、選択されたアンテナA1〜A8に接続された基本回路30が、接続するグループに含まれていない場合には、すべての基本回路30に出力される制御信号CTnをローレベルとする。
【0050】
デマルチプレクサ33は、制御信号CS1に基づいて、1P2Tスイッチ31A、31Bを制御する制御信号CTA、CTB、CTC、CTDも出力する。例えば、デマルチプレクサ33は、アンテナA1〜A4のいずれかが送信用として選択された場合には、1P2Tスイッチ31Aの送信ポートの出力Aから送信信号が出力されるような制御信号CTAを出力する。デマルチプレクサ33は、アンテナA5〜A8のいずれかが送信用として選択された場合には、1P2Tスイッチ31Aの送信ポートの出力Bから送信信号が出力されるような制御信号CTBを出力する。また、デマルチプレクサ33は、アンテナA1〜A4のいずれかが受信用として選択された場合には、1P2Tスイッチ31Bの受信ポートの入力Cに受信信号が出力されるような制御信号CTCを出力する。デマルチプレクサ33は、アンテナA5〜A8のいずれかが受信用として選択された場合には、1P2Tスイッチ31Bの受信ポートの入力Dから送信信号が出力されるような制御信号CTDを出力する。
【0051】
図4の場合、送信部11から出力された送信信号SSはインダクタ23A、1P2Tスイッチ31A及びインダクタ24Aを介してグループAの各基本回路30に入力される。ここで、アンテナA1に接続された各基本回路30がハイレベルの制御信号CT1を入力している。この結果、送信信号SSに基づくマイクロ波は、入出力端T1から出力され、アンテナA1から放射される。
【0052】
第1の配線部としての配線部13は、CMOSスイッチの8つの入出力端T1〜T8のいずれかと、アンテナA1〜A8のいずれかとを、同じ長さの配線で結ぶ8つの伝送線路を備えている。
【0053】
第2のCMOSスイッチとしてのCMOSスイッチ16は、双極8投のスイッチである。CMOSスイッチ16も
図3(A)、
図3(B)及び
図4に示す構成と同様の構成を有する。CMOSスイッチ16は、8投側の8つの入出力端T1〜T8を有し、複数のアンテナA9〜A16と接続されている。CMOSスイッチ16では、双極側の2つの入出力端が送信部11及び受信部17と接続されている。CMOSスイッチ16は、制御信号CS2に従って複数のアンテナA9、A10、…、A16のいずれかに切り替えるとともに、1P2Tスイッチ31A、31Bの切り替えを行う。これにより、CMOSスイッチ16を介して、アンテナA9〜A16における信号の送受信が行われる。
【0054】
第2の配線部としての配線部15は、CMOSスイッチ16の8つの入出力端T1〜T8のいずれかと、アンテナA9〜A16のいずれかとを、同じ長さの配線で結ぶ8つの伝送線路を備えている。
【0055】
アンテナアレイ14は、複数のアンテナA1、A2、…、A16を備える。送信用として選択された複数のアンテナA1、A2、…、A16のいずれかは、入力した送信信号SSに従ってマイクロ波のインパルス信号MWを送信する。インパルス信号MWは、被検者の体内の異常組織CAで反射し、反射信号RWとなる。受信用として選択された複数のアンテナA1、A2、…、A16のいずれかは、マイクロ波を受信する。なお、アンテナA1〜A8が送信用として選択された場合には、アンテナA9〜A16が受信用となり、アンテナA1〜A8が受信用として選択された場合には、アンテナA9〜A16が送信用となる。
【0056】
受信部17は、CMOSスイッチ16から入力した受信信号RSを制御部10に出力するハードウエア回路である。
【0057】
制御部10は、入力した受信信号RSに基づいて、信号処理を行って、異常組織CAを検出する。
【0058】
図1に示すように、制御信号CS1により、アンテナA2が選択された場合には、CMOSスイッチ12は、送信信号SSをアンテナA2に出力するように切り変わる。制御信号CS2により、アンテナA10が選択された場合には、CMOSスイッチ16は、アンテナA10で受信された受信信号RSを受信部17に出力するように切り変わる。この場合、アンテナA2、アンテナA10の組み合わせでマイクロ波のインパルス信号MWの送受信が行われる。
【0059】
信号処理部としての制御部10、送信部11、受信部17は、制御信号CS1、CS2によりCMOSスイッチ12、16を制御して、アンテナA1〜A16の組み合わせを切り替えながら、送信信号SSをCMOSスイッチ12、16のいずれかに出力し、アンテナA1〜A16のいずれかから出力された受信信号RSを、CMOSスイッチ12、16のいずれかを介して入力し、入力した電気信号に対する信号処理を行う。
【0060】
図6には、
図1のCMOSスイッチ12、配線部13、アンテナアレイ14、配線部15、CMOSスイッチ16の具体的な構成が模式的に示されている。
図6に示すように、配線部13は、CMOSスイッチ12が実装された基板18Aを有する。配線部15は、CMOSスイッチ16が実装された基板18Bを有する。基板18Aの大きさは、34mm×44mmである。
【0061】
図6に示すように、基板18A上には、送信部11から同軸ケーブルAX20を介して送信信号SSを受信する接続ポートSMP9が設けられている。接続ポートSMP9とCMOSスイッチ12との間には、
図7、
図8及び
図9に示すように、送信信号SSを送信するためのマイクロストリップラインMS0が設けられている。また、基板18A上には、受信部17に同軸ケーブルAX22を介して受信信号RSを受信する接続ポートSMP10が設けられている。接続ポートSMP10とCMOSスイッチ12との間には、送信信号SSを送信するためのマイクロストリップラインMS10が設けられている。なお、
図8、
図9では、マイクロストリップラインMS10の図示は省略されている。
【0062】
また、基板18A上には、CMOSスイッチ12を中心に放射状に実装された同軸ケーブルAX1〜AX8の複数の接続ポートSMP1〜SMP8が設けられている。CMOSスイッチ12は、線幅65nmのCMOSスイッチである。CMOSスイッチ12のチップ領域は、例えば3mm×3mmである。
図7、
図8に示すように、基板18A上には、マイクロストリップラインMS1〜MS8が実装されている。マイクロストリップラインMS1〜MS8は、CMOSスイッチ12を中心に放射状に延びている。マイクロストリップラインMS1〜MS8は、CMOSスイッチ12の複数の入出力端T1〜T8(
図4参照)のいずれかと、端子o/p Port1〜o/p Port8との間を接続する。端子o/p Port1〜o/p Port8が、複数の接続ポートSMP1〜SMP8に対応する。マイクロストリップラインMS1〜MS8は、CMOSスイッチ12を中心に放射状に延びているので、マイクロストリップラインMS1〜MS8の長さが無理なく等しくなるように、かつ、長くなりすぎないように設計することができる。基板18Bも基板18Aと同様の構成を有する。
【0063】
図9に示すように、マイクロストリップラインMS1〜MS8は同じ長さであり、幅も同じである。CMOSスイッチ12の各パッドの間隔は200μmであるため、マイクロストリップラインMS1〜MS8の幅も200μmより小さくなる。ライン間の最小ギャップは75μmであるため、マイクロストリップラインMS1〜MS8のライン幅は125μmとなっている。CMOSスイッチ12の複数の入出力端T1〜T8でのインピーダンスは、同じZ2となっている。各接続ポートSMP1〜SMP8のインピーダンスは、Z1である。マイクロストリップラインMS1〜MS8のインピーダンスは、Z1とZ2との間のZ4となるような中間インピーダンスが挿入されている。
【0064】
より具体的には、
図10(A)に示すように、複数のマイクロストリップラインMS1〜MS8のそれぞれには、マイクロ波の中心波長をλとしたときにλ/4の長さを有し、各接続ポートSMP1〜SMP8のインピーダンスをZ1とし、CMOSスイッチ12、16の出力端T1〜T8のインピーダンスをZ2としたときに、√(Z1×Z2)=Z4の中間インピーダンスを有する伝送線路が挿入されている。これにより、各マイクロストリップラインMS1〜MS8の反射係数を低減することができる。例えば、
図10(A)に示すように、Z1=50Ω、Z2=64Ωの場合には、中間インピーダンスZ4は、56.5Ωとなる。
【0065】
また、
図10(B)に示すように、マイクロストリップラインMS0、MS10にも、マイクロ波の中心波長をλとしたときにλ/4の長さを有する中間インピーダンスが挿入されている。接続ポートSMP9、SMP10のインピーダンスをZ1とし、CMOSスイッチ12の入出力端のインピーダンスをZ3としたときに、√(Z1×Z3)=Z5の中間インピーダンスを有する伝送線路が挿入されている。例えば、
図10(B)に示すように、Z1=50Ω、Z3=44Ωの場合には、中間インピーダンスZ5は、47Ωとなる。
【0066】
なお、マイクロストリップラインMS1〜MS8の長さは同一であることが望ましいが、それらの長さを完全に同一にするのが困難な場合もある。この場合には、マイクロストリップラインMS1〜MS8の長さの差は、生体組織中の電波の伝播速度、異常組織の位置検出精度等を考慮して、許容される範囲内とするのが望ましい。好ましくは、長さの差は、全体の長さに対して10%以下とするのがよい。また、マイクロストリップラインMS1〜MS8の幅についても、信号伝送路のインピーダンスのばらつきを考慮して、許容される範囲内とするのが望ましい。好ましくは、幅の差は、全体の幅に対して10%以下とするのがよい。
【0067】
また、
図6に示すように、基板18Aの複数の接続ポートSMP1〜SMP8と、アンテナアレイ14における複数のアンテナA1〜A8との間は、それぞれ同軸ケーブルAX1〜AX8で接続されている。同軸ケーブルAX1〜AX8の長さはそれぞれ同じである。これは、アンテナアレイ14のアンテナA9〜A16と基板18Bとを結ぶ同軸ケーブルAX9〜AX16についても同様である。なお、同軸ケーブルAX1〜AX8の長さは同一であることが望ましいが、それらの長さを完全に同一にするのが困難な場合もある。この場合には、同軸ケーブルAX1〜AX8の長さの差は、生体組織中の電波の伝播速度、異常組織の位置検出精度等を考慮して、許容される範囲内とするのが望ましい。好ましくは、長さの差は、全体の長さに対して10%以下とするのがよい。
【0068】
図11(A)にはアンテナアレイ14の表面が示され、
図11(B)にはアンテナアレイ14の裏面が示されている。アンテナアレイ14では、
図11(A)、
図11(B)に示すように、複数のアンテナが4×4のマトリクス状に配列されている。アンテナアレイ14の大きさは、例えば、55.4mm×47mmであり、厚みは、0.635mmである。各アンテナは、11mm×13.1mmである。また、アンテナ間のギャップは、1mmに設定されている。アンテナアレイ14では、アンテナA1〜A4がX軸方向に並んで配置され、アンテナA9〜A12がX軸方向に並んで配置され、アンテナA5〜A8がX軸方向に並んで配置され、アンテナA13〜A16がX軸方向に並んで配置されている。アンテナA1〜A4、アンテナA9〜A12、アンテナA5〜A8、アンテナA13〜A16は、Y軸方向にこの順で並んでいる。
【0069】
図12(A)に示すように、アンテナA1には、裏側導体線50と、表面導体51とが設けられている。裏側導体線50と、表面導体51とは、絶縁層を介して向かいあっている。フォーク型の裏側導体線50は、同軸ケーブルAX1の内部導体40と接続されている。表面導体51は、同軸ケーブルAX1の外部導体41と接続されている。アンテナA2〜A16についても、同様な構成を有している。複数のアンテナA1〜A16は、裏側導体線50で電流の流れる方向が同じとなるように1次元配列されている。複数のアンテナの配列(A1〜A4、A5〜A8)と、複数の受信アンテナの配列(A9〜A12、A13〜A16)とは、裏側導体線50で電流が流れる方向(Y軸方向)に交互に配列されている。
【0070】
図12(A)に示すように、同軸ケーブルAX1の内部導体40から送信されるインパルス信号により、裏側導体線50に+Y方向、−Y方向の電流が流れる。一方、誘電体を挟んで表面導体51には、容量結合により、裏側導体線50に流れる電流に対応した電流Iが流れる。表面導体51には矩形のスロットが切ってあり、電流はスロットの周辺を流れる。言い換えると、裏側導体線50の電流の向きに対応して表面導体51のスロットの周辺電極に容量結合で時計回り、反時計回りに電流が生じる。この電流により、スロットの中を貫通するようにスロットの長さに比例する波長の磁界が発生する。磁界Bは、スロットを垂直に通過し、振幅はスロットの長手方向に平行に振動する。電界Eは磁界Bに直交して発生するため、電界Eが矩形スロットの短手方向に平行に振動する。したがって、電磁波はアンテナ面に垂直に、すなわちスロットのある表面導体51の法線方向に放射される。そのとき、電磁波は球状に(等方的に)放射されるのではなく、X方向の角度依存性(90度が最大強度を有する指向性)を有し、Y方向に等方的なドーナツ状の立体を持つ電磁波が広がっていく。すなわち、アンテナA1は、矩形スロットのX方向を磁気ダイポールとするアンテナである。アンテナアレイ14では、
図12(B)に示すように、スロットのある表面導体51の法線方向に指向性を持ち、
図12(C)に示すように、Y方向に等方性の電磁波が放射される。従って、アンテナA1〜A4、A9〜A12、A5〜A8、A13〜A16を等方性のあるY軸方向に配列し、角度依存性を抑制している。
【0071】
アンテナアレイ14では、アンテナAm(m=1〜16)とアンテナAn(n=1〜16)との相対距離が同じとなる送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ(Am、An)でのマイクロ波のインパルス信号の受信環境が同じになるように形成されている。
【0072】
図13に示すように、アンテナA1からマイクロ波のインパルス信号を放射する。放射されたマイクロ波の一部は、生体内に伝播する。一般に、癌組織等の異常組織CAは、通常の生体組織に比して、5〜10倍程度の高い誘電率を有することが知られている。したがって、異常組織CAが存在する場合には、誘電率の異なる領域の界面、即ち、異常組織CAの表面で、マイクロ波が反射され、アンテナA1〜A16で受信される。
【0073】
ここで、マイクロ波のインパルス信号を放射してからアンテナA2が反射波を受信するまでの時間をT
12[s]とすると、T
12・c(c:生体中の光の速度)が、マイクロ波のインパルス信号の行程距離となる。
【0074】
従って、異常組織CAは、アンテナA1とアンテナA2を焦点とし、アンテナA1とアンテナA2からの距離の和がT
12・cとなる楕円E
12上に位置することになる。
【0075】
アンテナA3
、A4が受信したマイクロ波についても同様の処理を行い、複数の楕円E
12〜E
14(E
14については不図示)の交点を求めることにより、異常組織CAの位置を求めることができる。
【0076】
さらに、インパルス信号を送信するアンテナをアンテナA2に切り換えて、アンテナA2からマイクロ波を放射し、これをアンテナA2〜A4で受信して、同様の処理を行う。以後、送信用のアンテナを順次切り換えながら、マイクロ波を放射し、受信用のアンテナで反射波を受信し、同様の処理を行うことにより、異常組織CAの位置をより正確に特定することが可能となる。
【0077】
なお、上述の例では、理解を容易にするため、2次元で説明したが、実際は、3次元で上述の処理を行うことになる。
【0078】
図14(A)は、従来の異常組織検出装置における異なる送信アンテナから送信されるインパルス信号の時間変化を示すグラフである。
図14(A)に示すように、従来は、異なる送信アンテナへ信号を送信する伝送線路の長さがまちまちであるため、送信される信号には大きな時間差が生じている。
【0079】
これに対して、
図14(B)は、本実施の形態に係る異常組織検出装置1のアンテナA1〜A16から送信されるインパルス信号の時間変化を示すグラフである。
図14(B)に示すように、配線部13でアンテナA1〜A16に信号を送信する伝送線路の長さが同じであるため、各信号の時間差がほとんどなくなっている。
【0080】
上述のように、異常組織検出装置1では、アンテナA1〜A16間で送受信されるインパルス信号の伝搬時間に基づいて、異常組織CAを検出する。そのため、本実施の形態のように、回路上のインパルス信号の遅れを解消することにより、異常組織CAの位置を精度良く検出することができる。
【0081】
本実施の形態に係る異常組織検出装置1によれば、アンテナA1〜A8を送信用とし、アンテナA9〜A16を受信用とすることもできるし、アンテナA9〜A16を送信用とし、アンテナA1〜A8を受信用とすることもできる。このようにすれば、アンテナA1〜A8を送信用として固定し、アンテナA9〜A16を受信用として固定するよりも、アンテナの組み合わせを増やすことができる。本実施の形態に係る異常組織検出装置1によれば、送受信のアンテナの組み合わせは、96通りとなる。
【0082】
次に、本実施の形態1に係る異常組織検出装置1の動作について説明する。
図15には、異常組織検出装置1の動作のフローチャートが示されている。
【0083】
図15に示すように、制御部10は、すべてのアンテナの組み合わせでマイクロ波を送受信し、受信信号を取得する(ステップS1)。続いて、制御部10は、受信信号から基準信号を差分して差分信号を求める(ステップS2)。基準信号は、異常組織CAがないときに、各アンテナで受信される受信信号と同等の信号を用いることができる。続いて、制御部10は、差分信号に基づいて、異常組織CAを検出する(ステップS3)。
【0084】
図16(A)及び
図16(B)には、このようにして求められた体内組織のXY画像、YZ画像が示されている。
図16(C)には、これらのXY画像、YZ画像によって構成された3次元画像が示されている。
図16(A)から
図16(C)に示すように、深さ20mmに10mm×10mmの異常組織CAの像(明るい部分)が検出されている。
【0085】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0086】
図17には、制御部10の処理の流れが示されている。
図17に示すように、まず、制御部10は、相対距離が同じアンテナの全ての組み合わせ(Am、An)でマイクロ波のインパルス信号を送受信し、受信信号をそれぞれ取得する(ステップS11)。
【0087】
続いて、制御部10は、取得した複数の受信信号の平均信号パターンを基準信号として算出する(ステップS12)。
【0088】
相対距離が同じ送受信用のアンテナの組み合わせとして、(A1、A9)、(A5、A13)、(A7、A15)などと相対距離が同じアンテナの組み合わせでは、異常組織CAがなければ、受信信号のパターンは同じになる。
【0089】
また、生体には、受信信号を変化させる異常組織CAが含まれている場合がある。異常組織CAがあると、各アンテナAnで受信される受信信号の信号パターンは変化する。各アンテナAnで受信される受信信号が、異常組織CAによってどのように変化するかは、アンテナAnと異常組織CAとの位置関係によって決まる。例えば、アンテナA1を送信用とし、アンテナA9を受信用とした場合の受信信号における異常組織CAの成分の出現位置と、アンテナA6を送信用としアンテナA14を受信用とした場合の受信信号における異常組織CAの成分の出現位置とは、それぞれ異なっている。
【0090】
各アンテナAnで受信される受信信号における異常組織CAの成分の出現位置はそれぞれ異なるため、各アンテナAnで受信された受信信号の平均をとれば、受信信号から、異常組織CAの成分を抑圧することができる。本実施の形態では、異常組織CAの成分が抑圧され、かつ、生体を用いて実際に測定された受信信号を基準信号として、異常組織CAの成分を検出する。
【0091】
図18(A)に示すように、本実施の形態に係る異常組織検出装置1では、アンテナAn、アンテナAnにつながる伝送線路の長さが同じとなっているので、すべての組み合わせでの受信信号の波形が類似しており、平均信号との一致度が高くなっている。これに対し、
図18(B)に示すように、従来の異常組織検出装置では、各アンテナにつながる伝送線路の長さがまちまちであるため、受信信号の波形がばらついているので、各受信信号と平均化された信号との乖離が大きく、基準信号を精度良く求めるのが困難になる。
【0092】
図17に戻り、続いて、制御部10は、基準信号とアンテナアレイ14の各アンテナAnで受信されたマイクロ波のインパルス信号との違いに基づいて、生体内の異常組織CAを検出する(ステップS13)。ステップS13終了後、制御部10は、処理を終了する。
【0093】
図19(A)には、本実施の形態に係る異常組織検出装置1で検出された生体の3次元画像が示され、
図19(B)には、信号伝送線路の長さを同一としていない従来の異常組織検出装置で検出された生体の3次元画像が示されている。
図19(A)に示すように、本実施の形態に係る異常組織検出装置1では、異常組織CAが検出されたのに対し、
図19(B)に示すように、従来の異常組織検出装置では、異常組織CAが検出されなかった。
【0094】
このように、本実施の形態によれば、相対距離が同じ(位置関係が同じ)アンテナの組み合わせでそれぞれ受信される受信信号の平均パターンを基準とする。このようにすれば、生体内に異常組織CAが有ると無いとに関わらず、生体の特性に沿った受信信号(基準信号)の信号パターンを実質的に得ることができる。この結果、異常組織CAを高精度に検出することができる。
【0095】
以上詳細に説明したように、上記各実施の形態によれば、CMOSスイッチ12の複数の入出力端と複数のアンテナA1〜A8との間の配線と、複数のアンテナA1〜A8とCMOSスイッチ16の複数の入出力端との間の配線とを分けることで、配線を単純化することができるので、その間の信号の遅れやノイズ成分の混入状態を揃え易くすることができる。このため、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる。
【0096】
具体的には、CMOSスイッチ12、16の複数の入出力端T1〜T16と複数のアンテナA1〜A16との間の配線の長さを同一とするので、その間の信号の遅れやノイズ成分の混入状態を均一にすることができる。このため、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる。
【0097】
また、上記各実施の形態によれば、CMOSスイッチ12、16が実装された基板では、CMOSスイッチ12、16を中心に放射状に接続ポートSMP1〜SM8が配置されている。このようにすれば、その間のマイクロストリップラインMS1〜MS8の長さを同じとすることができるので、その間の信号の遅れやノイズ成分の混入状態を均一にすることができる。このため、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる。
【0098】
また、同軸ケーブルAX1〜AX16の長さも同じとするので、その間の信号の遅れやノイズ成分の混入状態を均一にすることができる。このため、マイクロ波のインパルス信号の受信効率を向上し、検出精度を向上することができる。
【0099】
また、上記各実施の形態によれば、CMOSスイッチ12、16は、双極8投のCMOSスイッチである。マイクロストリップラインMS1〜MS8が長すぎることのないように、送信ポート等を放射状に配置するのに好都合であるためである。
【0100】
また、上記各実施の形態によれば、マイクロストリップラインMS1〜MS8には中間インピーダンスを有する伝送線路が挿入されている。このようにすれば、インピーダンス特性を向上することができる。
【0101】
また、上記各実施の形態によれば、電波の飛ぶ方向にアンテナA1〜A4、A9〜A12、A5〜A9、A13〜A16が配置されている。このようにすれば、電波の受信効率を向上することができる。
【0102】
また、上記各実施の形態によれば、位置関係が同じアンテナA1〜A16の組み合わせで送受信された受信信号の平均を、基準信号として異常組織CAを検出する。上記各実施の形態では、アンテナA1〜A8、A9〜A16とCMOSスイッチ12、16の間の配線の長さが同じであり、受信信号が良く一致しているので、受信信号のばらつきを抑え、基準信号を精度良く求めることができる。
【0103】
なお、アンテナA1〜A8、A9〜A16とCMOSスイッチ12、16の間の配線の長さを同じとしたが、多少長さが違っていても、位置関係が同じアンテナA1〜A16の組み合わせで送受信された受信信号に対してキャリブレーションを行って配線の長さの違いによる受信信号の差を調整してもよい。
【0104】
上記各実施の形態では、CMOSスイッチ12として、双極8投(2P8T)スイッチを採用しており、さらに
図4に示すように、CMOSスイッチ12では、8つの基本回路30をそれぞれ4つずつの2つのグループにグループ分けし、そのグループの一方を選択する1P2Tスイッチ31A、31Bで接続している。CMOSスイッチ12をこのような構成とすれば、1P2Tスイッチ31A、31Bを用いず、グループ分けしていない場合に比べ、挿入損失を改善し、入力と出力とがマッチングする周波数帯域を改善することができる。例えば、
図5に示すように、1P2Tスイッチ31Aにおいて、半導体スイッチング素子40A、41Aがオンして半導体スイッチング素子42Aがオフし、半導体スイッチング素子40B、41Bがオンして半導体スイッチング素子42Bがオフすると、送信ポートの出力Aのグループのもれ電流が、送信ポートの出力Bに接続するグループのもれ電流よりも大きくなるためである。このことは、1P2Tスイッチ31Bでも同様である。
【0105】
図20には、1P2Tスイッチ31A、31Bを用いて送信ポートを2つのグループに分けた場合と、グループ分けしない場合とについての挿入損失、反射損失の違いが示されている。
図20では、2つのグループに分けた場合の透過係数S21が、S21_2Groupsとして示され、1グループとした場合の透過係数S21が、S21_1GroupSとして示されている。また、2つのグループに分けた場合のリターン損失S11、S22が、S11_2Groups、S22_2Groupsとして示され、1つのグループとした場合のリターン損失S11、S22が、S11_1Group、S22_1Groupとして示されている。
図20に示すように、挿入損失は、Tx portから出力ポートまで、15GHzで0.7dB減少した。また、リターン損失S11、S22が−10dB以下となる周波数帯域を、それぞれ9GHz、9.5GHz広げることができた。すなわち、入出力がマッチングする周波数帯域を約9GHzだけ増加することができた。
【0106】
上記各実施の形態では、アンテナの数を16個としたが、本発明はこれには限られず、アンテナの数は任意でよい。これに合わせて、第1、第2のCMOSスイッチも、双極8投でなくてもよく、他の双極多投のスイッチでよい。その数は、送信アンテナ、受信アンテナの数に合わせることになる。最も、CMOSスイッチ12の入出力端、CMOSスイッチ16の入出力端は、配線の長さが等しくなるように、かつ長すぎないように、円状に配置できる数とするのが望ましい。
【0107】
その他、制御部10のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0108】
制御部10の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する制御部10を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで制御部10を構成してもよい。
【0109】
制御部10の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0110】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0111】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。