(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、特に油相を連続相とする場合に、単独で乳化分散性能及び増粘効果に優れた、グリセリン変性シリコーンを提供することをその第1の目的とする。具体的には、本発明は、油相が、シリコーン油、又は、シリコーン油と非シリコーン油(エステル系油等)との混合油からなる場合だけでなく、従来のグリセリン変性シリコーンでは困難であったミネラルオイル、イソヘキサデカン等の非極性有機油から主に構成される場合であっても、水(又はポリオール)相を微細かつ安定に乳化分散して、且つ、高粘度のエマルション形成が可能であり、経時的に又は高温下でも、安定性に優れた組成物を与えることのできる、ジグリセリン誘導体変性シリコーンを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、本発明は、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善することができ、かつ、油相の種類によらず安定で、高粘度な乳化物を形成することが可能な組成物を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を0.5質量%以上の割合で有し、また、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有しないジグリセリン誘導体変性シリコーンにより、上記第1の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
また、本発明者らは、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する組成物により上記第2の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
本発明の第1の態様は、分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有さず、分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上であるジグリセリン誘導体変性シリコーンである。
【0014】
その他の親水性基は、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を除く(ポリ)グリセリン誘導体基、又は、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有するオキシアルキレン誘導体基であることが好ましい。
【0015】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンの数平均分子量は20,000以上であることが好ましい。
【0016】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、下記一般式(1):
R
1aR
2bR
SicL
1dQ
eSiO
(4−a−b−c−d−e)/2 (1)
{一般式(1)中、
R
1は、ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基、アルコキシ基、水素原子又は水酸基である。
R
2は、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基である。
R
Siは、下記一般式(2−1);
【化1】
(式中、R
11はハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R
11のうち少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)、若しくは、下記一般式(2−2);
【化2】
(式中、R
11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基である。
L
1はi=1のときの下記一般式(3);
【化3】
(式中、R
3はハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、R
4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、Zは二価有機基を表し、iはL
iで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、L
i+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはR
4であり、h
iは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qはグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基であり、
a、b、c、d及びeは、0≦a≦2.5、0<b≦1.5、0≦c+d≦1.5、及び、0.001≦e≦1.5となる範囲の数である。}
で表されるものであってよい。
【0017】
前記グリセリン誘導体基は、二価の連結基を介してケイ素原子に結合し、且つ、下記構造式(4−1)〜(4−3)で表される親水性単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位を、その繰り返し数が平均して1.5〜2.4の範囲で含有してなるジグリセリン誘導体基含有有機基(但し、同基中にオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない)であることが好ましい。
【化4】
(式中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基である。)
【化5】
(式中、Wは前記同様の基である。)
【化6】
【0018】
前記グリセリン誘導体基は、下記一般式(5−1)
【化7】
(式中、R
5はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない二価有機基を表す)、又は、下記一般式(5−2)
【化8】
(式中、R
5は上記のとおりである)で表わされるジグリセリン誘導体基含有有機基であることが好ましい。
【0019】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンとしては、下記構造式(1−1)で表されるものが好ましい。
【化9】
{式中、R
1、R
2、R
Si、L
1及びQは前記同様の基であり、Rは、R
1、R
2、R
Si、L
1及びQから選択される基である。(n1+n2+n3+n4+n5)は201〜1200の範囲の数であり、n1は100〜1000、n2は0〜500、n3は0〜100、n4は0〜100、n5は0〜100の範囲の数である。但し、n2=0のとき、Rの少なくとも一方はR
2であり、n5=0のとき、Rの少なくとも一方はQである。}
【0020】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンの分子中に占める前記一価炭化水素基の割合は50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。更に、油剤の種類に応じて、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンの分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が異なる2種類以上のものを組み合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明の第2の態様は、上記の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物である。
【0022】
前記(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、
(A1)分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有さず、分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上である数平均分子量が20,000以上の高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン、及び、
(A2)分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有さず、分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上である数平均分子量が20,000未満である低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン
の混合物であってもよい。
【0023】
本発明の組成物は、界面活性剤、分散剤及び増粘剤からなる群から選択される1つ以上の機能性材料であることができ、特に、油中水型エマルション又は油中ポリオール型エマルション用の増粘性乳化剤として使用することができる。
【0024】
本発明の組成物は、更に、(B)水、及び/又は、(C)油剤を含むことができる。
【0025】
前記(C)油剤は、5〜100℃で液状であって、揮発性非シリコーン油、揮発性シリコーン油、不揮発性非シリコーン油及び不揮発性シリコーン油からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0026】
本発明の組成物は、更に、(D)皮膜形成剤(但し、成分(A)に該当するものを除く)を含むことができる。
【0027】
前記(D)皮膜形成剤は、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックス、有機系皮膜形成性ポリマー、皮膜形成性ポリマーの非水系又は水系分散液からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、更に、(E)粉体又は着色剤、(K)紫外線防御成分、及び、(N)生理活性成分からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0029】
本発明の組成物は、更に、(G)ポリオールを含むことができる。
【0030】
本発明の組成物は、油中水型エマルション又は油中ポリオール型エマルションの形態であることが好ましい。
【0031】
前記(D)、(E)、(K)及び(N)成分から選択される1つ以上は、油、水及びポリオールからなる群から選択される1つ以上の相中又は界面に存在することが好ましい。
【0032】
本発明の組成物は、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有する化合物を含まないことが好ましい。
【0033】
本発明は、上記の組成物を含む外用剤又は化粧料にも関する。
【0034】
本発明の外用剤又は化粧料は油中水型エマルション又は油中ポリオール型エマルションの形態であることが好ましい。
【0035】
本発明の外用剤又は化粧料は、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有する化合物を含まないことが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明のグリセリン変性シリコーンは、特に油相を連続相とする組成物において、単独で乳化分散性能及び増粘効果に優れている。したがって、油相が、シリコーン油、又は、シリコーン油と非シリコーン油(エステル系油等)との混合油からなる場合だけでなく、従来のグリセリン変性シリコーンでは困難であったミネラルオイル、イソヘキサデカン等の非極性有機油から主に構成される場合であっても、水(又はポリオール)相を微細かつ安定に乳化分散して、且つ、高粘度のエマルション形成が可能であり、高温下で長期間保存しても安定な組成物を与えることができる。
【0037】
また、本発明の組成物は、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善することができ、かつ、油相の種類によらず、高温下でも経時的に安定で、しかも、高粘度な乳化物を形成することが可能である。
【0038】
すなわち、本発明の組成物では、ジグリセリン誘導体変性シリコーンが単独での乳化性能に著しく優れるため、様々な油剤を含む組成物において、ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない処方が可能である。したがって、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善することができる。本発明の組成物は、界面活性剤、増粘剤、或いは、両者の機能を備えた増粘性乳化剤として使用することが可能であり、また、外用剤若しくは化粧料として使用することも可能である。
【0039】
特に、本発明では、数平均分子量20,000以上の高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンと、数平均分子量20,000未満である低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンとを、所望の比率で併用することにより、例えば、油中水(又はポリオール)型エマルションでは、油相用増粘剤を別途用いることなく、当該油中水(又はポリオール)型エマルションの粘度を任意且つ容易にコントロールすることができる。
【0040】
更に、本発明では、ジグリセリン誘導体変性シリコーンの使用により組成物の感触改善効果を発揮可能であり、高粘度でありながら感触が柔らかく自然であり、滑らかで軽く伸びのよい、しっとりとした保湿感に優れた高級感ある外用剤又は化粧料を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、まず、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンについて詳細に説明する。
【0042】
[ジグリセリン誘導体変性シリコーン]
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、分子中に、親油性基として、長鎖一価炭化水素基(好ましくは長鎖アルキル基)を含有し、また、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有しないことを特徴とする。すなわち、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、分子内に親油性基として長鎖炭化水素基を含有し、且つ、親水性基としてジグリセリン誘導体基のみを含有することにより、公知の(ポリ)グリセリン変性シリコーン類に比して、単独での乳化性能が著しく優れ、かつ、ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない処方設計が可能であるので、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善することができるものである。
【0043】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、分子内に長鎖炭化水素基を含有し、且つ親水基としてはジグリセリン誘導体基を主として含有し、ポリオキシアルキレン基等その他の親水性基や親水性構造を分子中に有しないことを第1の特徴とする。
【0044】
まず、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーン分子内の長鎖炭化水素基について説明する。本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、その分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を含有する。かかる長鎖炭化水素基が後述するジグリセリン誘導体基を主とする親水基と共に分子内に導入されることにより、本発明に係るグリセリン誘導体変性シリコーンは、シリコーン油だけでなく、アルキル基含有量の多い非シリコーン油に対してもより優れた相溶性を示し、例えば、非シリコーン油を含む熱安定性、経時安定性に優れた乳化物、分散物を得ることができる。この結果、公知の(ポリ)グリセリン変性シリコーン類に比して、油剤に対する単独での乳化性能が著しく改善され、ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない処方設計が可能な程度の高い乳化性能が実現される。
【0045】
炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基は、少なくとも1種類以上の長鎖一価炭化水素基であり、2種類以上の炭素原子数の異なる一価炭化水素基を同一分子内に有するものでもあってもよい。更に、その構造は、直鎖状、分岐状、部分分岐状の中から選択される。本発明においては、特に、非置換且つ直鎖状の一価炭化水素基が好適に用いられる。非置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜24、より好ましくは炭素原子数14〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基が挙げられる。一方、ハロゲン原子置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜24、より好ましくは炭素原子数14〜20のパーフルオロアルキル基が挙げられる。このような一価炭化水素基は、特に、炭素原子数9〜30のアルキル基であることが好ましく、一般式:−(CH
2)
v−CH
3(vは8〜29の範囲、好ましくは9〜23、より好ましくは13〜19の数)で表される基が例示される。炭素原子数9〜30の長鎖一価炭化水素基を有することで、炭化水素基含有量の多い非シリコーン油に対しても相溶性が改善され、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの乳化性能が更に改善される。
【0046】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンでは、分子中に占める、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上であり、好ましくは、1.0質量%以上であり、より好ましくは1〜55質量%であり、更により好ましくは5〜50質量%であり、更により好ましくは10〜45質量%であり、更により好ましくは15〜40質量%である。このように、前記一価炭化水素基の量を制御することにより、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、シリコーン油だけでなく、ミネラルオイル、植物油等の非シリコーン油を含むほぼ全ての油剤について、優れた相溶性、乳化性を示すことができる。なお、例えば、前記一価炭化水素基の分子全体に占める割合を比較的少なくすることでシリコーン油への相溶性、増粘性、乳化性等を優先することができ、また、前記一価炭化水素基の分子全体に占める割合を比較的多くすることで非シリコーン油への相溶性、増粘性、乳化性等を優先することができる。一方、優先的に乳化、分散あるいは増粘すべき油剤が、シリコーン油、又は、シリコーン油と非シリコーン油との混合油であってシリコーン油主体の油剤である場合には、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンの分子中に占める前記一価炭化水素基の割合を抑制することが効果的であり、0.5質量%以上15質量%未満、0.5質量%以上10質量%未満、特に、0.5質量%以上5.0質量%未満であることが好ましい。
【0047】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、上記の長鎖炭化水素基を分子内に有し、その親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有しないことを特徴とする。なお、親水性基又は親水性構造とは、シリコーン分子に親水性の特性を付与する官能基又は分子構造であり、一般的には親水性化合物から誘導される官能基又は構造である。
【0048】
特に、本発明においては、分子内のグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるという条件に合致することが必要であり、グリセリン誘導体基がこの条件に該当しない場合には、乳化性能が低下する点で好ましくない。また本発明においては、親水基として、分子内のオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有するオキシアルキレン誘導体基又はこれに類する構造が存在しないことが必要である。特に、親水基としてポリオキシアルキレン構造を含有するポリオキシアルキレン変性基又はこれに類する構造が分子中に存在すると、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善するという本発明の目的が達成できず、また、ポリオキシアルキレン変性基を含むと、これを配合した化粧料、特に油中水型エマルション化粧料の油性感やべたつき等が抑制できず、親水性基としてグリセリン誘導体基のみを含む場合に比べ、その感触が顕著に悪化する場合がある。
【0049】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、分子内に、親水性基として、ジグリセリン誘導体基を有することを第2の特徴とする。当該ジグリセリン誘導体基は、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲にあり、好適には繰り返し数の平均値が1.8〜2.2の範囲であり、最も好適には平均2である。グリセリン単位の繰り返し数の平均値が前期下限未満、或いは上限を超えると、グリセリン誘導体変性シリコーンの乳化分散性能が悪化し、特に、有機油を含む油相への対応が困難となり、長期間に亘って安定な組成物、特に油中水型エマルション組成物を得ることができない。
【0050】
グリセリン単位の繰り返し数は、平均値であってよく、グリセリン単位の繰り返し数が2であるジグリセリン誘導体基が、他のグリセリン誘導体基に対して、全体の30質量%を超える量であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。最も好ましいものは、ジグリセリン誘導体基の純度が98質量%を超える純品である。すなわち、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が上記範囲にあり、かつ、その繰り返し数が2であるものが主たる親水性基であってもよいし、高純度のジグリセリン部のみが主たる親水基であってもよい。一方、グリセリン単位の繰り返し数が3である精製トリグリセリン誘導体変性シリコーンと1であるモノグリセリン誘導体変性シリコーンを1:1の物質量比で混合したようなグリセリン誘導体変性シリコーンの混合物は、各成分の乳化分散性能がそもそも悪いため、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンとして好適に用いることができない。
【0051】
かかるジグリセリン誘導体基は、好適には、二価以上の連結基を介してケイ素原子に結合し、かつ下記構造式(4−1)〜(4−3)で表される親水性単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位を、平均して1.5〜2.4の範囲で含有してなるジグリセリン誘導体基含有有機基(但し、同官能基中にオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない)である。なお、各グリセリン単位の繰り返し数の好適範囲は、前記同様である。
【化10】
(式中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基である。)
【化11】
(式中、Wは前記同様の基である。)
【化12】
【0052】
式(4−1)〜(4−3)中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基であり、水素原子であることが好ましい。特に、Wが水素原子である場合、空気下で酸化され難く、保存中にホルムアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸エステル類等のアレルギー抗原性化合物を経時的に生成し難いので環境適合性が高いという利点がある。
【0053】
前記ジグリセリン誘導体基は、グリセリン単位の繰り返し数が平均して1.5〜2.4の範囲であり、より好適には平均して2であって、グリセリン単位の繰り返し構造が分岐を有しないことが好ましいが、その一部がポリグリセロール基又はポリグリシジルエーテル基のように、一部に分岐構造を有する構造であっても良い。
【0054】
2価の連結基は、前記ジグリセリン誘導体基に含まれる、ケイ素原子への結合部位であって、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有しない二価有機基である。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;エチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基等のアルキレンフェニレン基、エチレンベンジレン基等のアルキレンアラルキレン基;エチレノキシフェニレン基、プロピレノキシフェニレン基等のアルキレノキシフェニレン基;メチレノキシベンジレン基、エチレノキシベンジレン基、プロピレノキシベンジレン基等のアルキレノキシベンジレン基が例示される。好適には、下記一般式で示される2価の有機基から選択される基が例示できる。
【化13】
(式中、R
6は、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜22のアリーレン基である。)
【0055】
前記ジグリセリン誘導体基は、より好適には、下記構造式(5):
−R
5−O−X
m−H (5)
で表わされるジグリセリン誘導体基である。式中、R
5はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有しない二価有機基であり、上記の2価の連結基と同様の基が例示される。Xは前記の構造式(4−1)〜(4−3)で表される親水性単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位である。mはグリセリン単位の繰り返し数であり、平均して1.5〜2.4の範囲の数である。なお、各グリセリン単位の繰り返し数の好適範囲は、前記同様である。
【0056】
最も好適には、ジグリセリン誘導体基含有有機基は、下記一般式(5−1)
【化14】
(式中、R
5はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない二価有機基を表す)、又は、下記一般式(5−2)
【化15】
(式中、R
5は上記のとおりである)で表わされるジグリセリン誘導体基含有有機基である。
【0057】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンにおいて、ジグリセリン誘導体基含有有機基は、ジグリセリンモノアリルエーテル,ジグリセリルオイゲノールから誘導されてなる親水性基が好適である。
【0058】
ジグリセリン誘導体含有有機基の結合位置は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖又は末端のいずれであってもよく、ジグリセリン誘導体変性シリコーン1分子中に2以上のジグリセリン誘導体含有有機基を有する構造であってもよく、かつ好ましい。更に、これらの2以上のジグリセリン誘導体含有有機基は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖のみ、末端のみ又は側鎖及び末端に結合する構造であってよい。
【0059】
上記の長鎖一価炭化水素基及び親水性基としてジグリセリン誘導体含有有機基のみを有する、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、そのポリシロキサン主鎖が、直鎖状、分岐鎖状、シリコーンレジン構造のいずれであってもよく、本発明の目的に反しない限り、長鎖一価炭化水素基、親水性基以外の有機基、例えば、アルコキシ基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、アシル基、エステル基、メルカプト基、カルボニル基、エーテル結合含有基等を含む有機基(前記官能基の組み合わせを含む)により更に変性されたジグリセリン誘導体変性シリコーンであってもよいが、好適には、下記一般式(1)で表される、共変性型のジグリセリン誘導体変性シリコーンである。
【0060】
一般式(1):
R
1aR
2bR
SicL
1dQ
eSiO(
4−a−b−c−d−e)/2 (1)
{一般式(1)中、
R
1は、ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基、アルコキシ基、水素原子又は水酸基である。
R
2は、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基である。
R
Siは、下記一般式(2−1);
【化16】
(式中、R
11はハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R
11のうち少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)若しくは下記一般式(2−2);
【化17】
(式中、R
11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基である。
L
1はi=1のときの下記一般式(3);
【化18】
(式中、R
3はハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、R
4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、Zは二価有機基を表し、iはL
iで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、L
i+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはR
4であり、h
iは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qはグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基であり、
a、b、c、d及びeは、0≦a≦2.5、0<b≦1.5、0≦c+d≦1.5及び0.001≦e≦1.5となる範囲の数である。}
【0061】
一般式(1)で表わされる、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンにおいて、上記のR
2で表わされる長鎖型の一価炭化水素基は必須の置換基であり、bは0より大きく、0<b≦1.5の範囲の数である。特に、非シリコーン系油剤に対する乳化性を改善する見地からは、0.0001≦b≦1.5であることが好ましく、0.001≦b≦1.5であることがより好ましい。
【0062】
同様に、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、上記のR
Siで表わされる鎖状のオルガノシロキサン基及び/又は上記のL
1で表わされるシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を有することができる。これらの官能基を有することにより、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンにおいて、これらの官能基は、任意の官能基であり、c+dは0以上の数である。一方、これらの官能基を分子内に有する場合には、c+dは0より大きい数であり、0.0001≦c+d≦1.5であることが好ましく、0.001≦c+d≦1.5であることがより好ましい。
【0063】
このとき、好適なc及びdの値は、0.001≦c+d≦1.5の関係を満たすことに加え、分子内に必須とする官能基により以下のように表わされる。
(1)R
Siで表わされる基を有する場合:0.001≦c≦1.5であり、かつ0≦d≦1.5
(2)L
1で表わされる基を有する場合:0≦c≦1.5であり、かつ0.001≦d≦1.5
(3)R
Siで表わされる基とL
1で表わされる基を両方有する場合:0.001≦c≦1.5であり、かつ0.001≦d≦1.5
【0064】
一般式(1)のR
1は、ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基、アルコキシ基、水素原子又は水酸基である。
【0065】
炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子で置換された基(但し、総炭素原子数は1〜8)が挙げられる。一価炭化水素基は、アルケニル基以外の基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロパノキシ基、高級アルコキシ基等が例示される。
【0066】
特に、R
1は脂肪族不飽和結合を有しない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基又は一価フッ化炭化水素基であることが好ましい。R
1に属する脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基のようなアラルキル基が例示され、一価フッ化炭化水素基は、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基が例示される。工業的には、R
1がメチル基、エチル基、又は、フェニル基であることが好ましく、特に、全てのR
1の90モル%〜100モル%が、メチル基、エチル基、又は、フェニル基から選択される基である
【0067】
一般式(1)のR
2は、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり、炭素原子数9〜30の長鎖一価炭化水素基を有することで、炭化水素基含有量の多い非シリコーン油に対しても相溶性が改善され、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの乳化性能が更に改善される。より具体的には、R
2は、非置換且つ直鎖状の一価炭化水素基が好適に用いられる。非置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜24、より好ましくは炭素原子数14〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基が挙げられる。一方、ハロゲン原子置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜24、より好ましくは炭素原子数14〜20のパーフルオロアルキル基が挙げられる。このような一価炭化水素基は、特に、炭素原子数9〜30のアルキル基であることが好ましく、一般式:−(CH
2)
v−CH
3(vは8〜29の範囲、好ましくは9〜23、より好ましくは13〜19の数)で表される直鎖状または分岐鎖状の基が例示され、特に、R
2として、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基(オクタデシル基)、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基、リシノレイル基、イソステアリル基等のアルキル基またはメチルフェネチル基、フェニルベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0068】
一般式(1)のR
Siで表わされる基は、上記一般式(2−1)若しくは(2−2)で表される鎖状のオルガノシロキサン基であり、ポリシロキサンの主鎖及び/又は側鎖に導入されることにより、外用剤又は化粧料中に配合される油剤、粉体等の各種成分に対する親和性や分散安定性、更には、使用感を調整することができる。特に、R
Siで表わされる鎖状のオルガノポリシロキサン基を分子内に有することにより、シリコーン油に対する相溶性・配合安定性がより改善される点で有用である。
【0069】
一般式(2−1)又は(2−2)で示される鎖状のオルガノシロキサン基は、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基と異なり、直鎖状のポリシロキサン鎖構造を有する。一般式(2−1)又は(2−2)において、R
11は各々独立に、ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子である。ハロゲン原子置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のシクロアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基が例示され、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子で置換されていてもよい基である。R
11として特に好適には、メチル基,フェニル基又は水酸基が上げられ、R
11の一部がメチル基であり、一部が炭素原子数8〜30の長鎖アルキル基であるような形態も好適である。
【0070】
一般式(2−1)又は(2−2)において、tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数であり、rが2〜500の範囲の数であることが好ましい。かかる直鎖状のオルガノシロキサン基は疎水性であり、各種油剤との相溶性の観点から、rは1〜100の範囲の数であることが好ましく、2〜30の範囲の数であることが特に好ましい。
【0071】
一般式(3)で示される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、カルボシロキサン単位がデンドリマー状に広がった構造を包含し、高撥水性を呈する官能基であり、親水性基との組み合わせのバランスに優れ、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを配合した外用剤又は化粧料の使用時に、不快なベトツキ感を抑え、すべり性に優れ、さっぱりした自然な感触を与えることができる。更に、前記シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、化学的に安定であるために幅広い成分と組み合わせて使用することができるという有利な特性を付与する官能基である。
【0072】
一般式(3)のR
3で表される、炭素原子数1〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0073】
一般式(3)のR
4で表される、炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基のうち、炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル等の直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基が挙げられる。
【0074】
一般式(3)において、i=kのとき、R
4はメチル基又はフェニル基であることが好ましい。特に、i=kのときはメチル基であることが好ましい。
【0075】
階層数kは、工業的には1〜3の整数であることが好適であり、より好適には、1又は2である。各階層数において、L
1で示される基は以下のように表される。式中、R
3、R
4及びZは前記と同様の基である。
【0076】
階層数k=1である場合、L
1は下記一般式(3−1)で表される。
【化19】
【0077】
階層数k=2である場合、L
1は下記一般式(3−2)で表される。
【化20】
【0078】
階層数k=3である場合、L
1は下記一般式(3−3)で表される。
【化21】
【0079】
階層数が1〜3の場合における一般式(3−1)〜(3−3)で示される構造において、h
1、h
2及びh
3は各々独立に0〜3の範囲の数である。これらのh
iは特に0〜1の範囲の数であることが好ましく、h
iが0であることが特に好ましい。
【0080】
一般式(3)及び(3−1)〜(3−3)において、Zは、各々独立に、二価有機基であり、具体的には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の不飽和炭化水素基を末端に有する官能基を付加反応させることにより形成される二価の有機基が挙げられるが、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基の導入法に応じて、これらの官能基に限らず、適宜選択することができる。但し、本発明において、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有する基は使用できず、かつ、好ましくない。
【0081】
好ましくは、Zは、各々独立に、下記一般式:
【化22】
で示される二価の有機基から選ばれる基である。特に、L
1におけるZは、好適には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基の反応により導入される一般式−R
7−で示される2価の有機基である。同様に、Zはケイ素結合水素原子と、不飽和カルボン酸エステル基との反応により導入される−R
7−COO−R
8−で示される2価の有機基が好適である。
【0082】
一方、階層数kが2以上であり、L
2〜L
kであるL
iで示されるシリルアルキル基において、Zは炭素原子数2〜10のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基,プロピレン基,メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが特に好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。
【0083】
上記一般式中、R
7は、各々独立に、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の、炭素原子数2〜22のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又は、炭素原子数6〜22のアリーレン基を表す。より具体的には、R
7はエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示され、R
7は、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが好ましい。
【0084】
上記一般式中、R
8は、下記式で示される二価の有機基から選択される基である。
【化23】
【0085】
一般式(1)において、Qはグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基であり、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンの親水性部位を構成する基であって既に述べた通りの親水性基が例示され、かつ好適に選択される。
【0086】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、特に、下記構造式(1−1):
【化24】
{式中、R
1、R
2、R
Si、L
1及びQは前記同様の基であり、RはR
1、R
2、R
Si、L
1及びQから選択される基である。(n1+n2+n3+n4+n5)は1〜1200の範囲の数であり、n1は0〜1000、n2は0〜500、n3は0〜100、n4は0〜100、n5は0〜100の範囲の数である。但し、n2=0のとき、Rの少なくとも一方はR
2であり、n5=0のとき、Rの少なくとも一方はQである。}で表される直鎖状のポリシロキサン構造を有するジグリセリン誘導体変性シリコーンであることが好ましく、特に、全てのR
1がメチル基である、下記構造式(1−1A)で示される直鎖状のポリメチルシロキサン構造を有するジグリセリン誘導体変性シリコーンが好ましい。
【化25】
【0087】
式中、
R
2、R
Si、L
1及びQは、各々独立に、上記のとおりであり、
Xはメチル基、R
2、R
Si、L
1及びQからなる群から選択される基であり、
n1、n2、n3、n4及びn5は、(n1+n2+n3+n4+n5)は1〜1200の範囲の数であり、n1は0〜1000、n2は0〜500、n3は0〜100、n4は0〜100、n5は0〜100の範囲の数である。但し、n2=0のとき、Xの少なくとも一方はR
2であり、n5=0のとき、Xの少なくとも一方はQである)で表される直鎖状のポリシロキサン構造を有するジグリセリン誘導体変性シリコーンであることが好ましい。
【0088】
式(1−1)または式(1−1A)中、(n1+n2+n3+n4+n5)は、1〜1200の範囲であり、シロキサン単位数が1〜200の、比較的低重合度かつ分子量の小さいジグリセリン誘導体変性シリコーンであってもよい。一方、高分子量のジグリセリン誘導体変性シリコーンを使用することによって、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物がエマルションの形態の場合に、当該組成物を安定に乳化することができ、また、その粘度を高い水準に保持することができる利点がある。このような高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、式(1−1)または式(1−1A)中、(n1+n2+n3+n4+n5)が201〜1200の範囲の数であることが特に好ましい。
【0089】
ここで、油中水型エマルション用乳化剤または増粘剤・ゲル化剤として使用する場合の乳化性能又は増粘性の見地から、(n1+n2+n3+n4+n5)は、201〜1000の範囲がより好ましく、201〜800の範囲の数であることが特に好ましい。同様に、n1は100〜1000の範囲の数であり、100〜700の範囲がより好ましく、100〜600の範囲であることが更に好ましい。n2は0〜500の範囲の数であり、1〜500の範囲がより好ましく、1〜300の範囲であることが更に好ましい。n3は、0〜100の範囲の数であることが好ましく、0〜50の範囲の数であることが更に好ましい。n4は、0〜100の範囲の数であることが好ましく、1〜50の範囲の数であることが更に好ましい。n5は、0〜100の範囲の数であることが好ましく、1〜50の範囲の数であることが更に好ましい。
【0090】
R
2が前記長鎖一価炭化水素基、特にアルキル基である場合、界面活性及びシリコーン以外の油剤との相溶性の点から、特にn2>1であることが好ましく、n2が1〜300の範囲であることが好ましい。
【0091】
n4は0〜100の範囲の数であることが好ましく、特にn4>1であって側鎖部分に、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基(−L
1)を1以上有することが特に好ましく、n4が1〜50の範囲であることが好ましい。
【0092】
n5は0〜100の範囲の数であり、1〜50の範囲の数であることが好ましい。但し、n5=0のとき、Xの少なくとも一方はQであることが必要である。
【0093】
上記構造式(1−1A)において、Qはグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基であり、既に述べた通りの親水性基が例示され、かつ好適に選択される。
【0094】
更に、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、上記一般式(1)で示される1種類又は2種類以上のジグリセリン誘導体変性シリコーンの混合物であってもよい。より具体的には、シロキサン主鎖の重合度や変性率、変性基の種類の異なる、2種類以上のジグリセリン誘導体変性シリコーンの混合物であってもよい。
【0095】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンとしては、下記構造式(1−1−1):
【化26】
(式中、
R
2、Q、X、Z、n1、n2、n4及びn5は上記のとおりである)、又は、下記構造式(1−1−2):
【化27】
(式中、
R
2、Q、X、Z、n1、n2、n4及びn5は上記のとおりである)で表されるジグリセリン誘導体変性シリコーンがより好ましい。
【0096】
油中水型エマルション用乳化剤又は油中粉体分散剤という用途を考えた場合、ジグリセリン誘導体含有有機基によるオルガノポリシロキサンの変性率は、主鎖であるポリシロキサンに結合した全ての官能基のうち0.001〜15モル%の範囲であることが好ましく、0.01〜10モル%の範囲であることがより好ましく、0.1〜5モル%の範囲であることが更により好ましい。なお、構造式(1−1)で示されるグリセリン誘導体変性シリコーンにおいて、グリセリン誘導体含有有機基による変性率(モル%)は下式:
変性率(モル%)=(1分子あたりの珪素原子に結合したジグリセリン誘導体含有有機基の数)/{6+2×(n1+n2+n3+n4)}×100
で示される。例えば、1つのジグリセリン誘導体含有有機基を有するトリシロキサンからなるジグリセリン誘導体変性シリコーンの場合には、8個の珪素原子結合官能基のうち、1個がジグリセリン誘導体含有有機基により変性されているから、ジグリセリン誘導体含有有機基による変性率は、12.5モル%である。
【0097】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、数平均分子量が20,000以上の高分子量のものであってもよい。このような高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、シロキサン単位の繰り返し数が、好ましくは100以上であり、より好ましくは200以上であり、更により好ましくは300以上である。このような高分子量のジグリセリン誘導体変性シリコーンを使用することによって、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物がエマルションの形態の場合に、当該組成物を安定に乳化することができ、また、その粘度を高い水準に保持することができる。本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンの数平均分子量は、核磁気共鳴分析(核種29Si,13C,1H)等を用いて容易に特定することができるが、ヒドロシリル化反応によりケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを出発物質として合成する場合、原料であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(メチルハイドロジェンポリシロキサン等)の数平均分子量を、予め核磁気共鳴分析(核種29Si等)により同定し、ヒドロシリル化反応により導入される変性基の分子量の値および導入率から数平均分子量の理論値を計算することもできる。
【0098】
{ジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成}
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、例えば、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、(a1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するグリセリン誘導体、(b1)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、及び、(c1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物、更に必要に応じて(d1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は(e1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサン化合物を反応させることにより、得ることができる。上記の反応性不飽和基は、好適には、炭素−炭素二重結合を有する不飽和性の官能基である、アルケニル基又は不飽和カルボン酸エステル基が例示できる。この場合、成分(b1)に上記の−R
1基が含まれていると考えることができ、成分(c1)により上記の−R
2が導入され、成分(d1)により上記の−L
1が導入される。なお、この際、(b1)成分中の珪素原子結合水素原子に対して、過剰量の成分(a1)を用いることにより、グリセリン誘導体変性シリコーンを得ることもできる。
【0099】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、例えば、更に具体的には、以下のように得ることができる。
【0100】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、ケイ素−水素結合を有するオルガノポリシロキサンに対して、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和長鎖炭化水素化合物、及び、分子中に炭素−炭素二重結合を有するジグリセリン誘導体の不飽和エーテル化合物を付加反応させることにより得ることができる。なお、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に付加反応させてもよい。また、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜8の不飽和短鎖炭化水素化合物(ハロゲン原子置換若しくは非置換)を更に反応させることも任意に可能である。
【0101】
上記の場合、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、前記不飽和長鎖炭化水素化合物、及び、前記ジグリセリン誘導体の不飽和エーテル化合物、並びに、任意に、前記シロキサンデンドロン化合物、及び/又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサン、及び/又は前記不飽和短鎖炭化水素化合物とSiH基含有シロキサンとのヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。これにより、長鎖炭化水素基及びジグリセリン誘導体基含有有機基、並びに、任意に、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基、及び/又は、鎖状オルガノポリシロキサン基、及び/又は、短鎖炭化水素基を前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンのポリシロキサン鎖に導入することができる。この反応は、一括で行うこともできるし、逐次反応の形式をとることもできるが、逐次反応の方が安全面や品質管理の側面から好ましい。
【0102】
例えば、前記グリセリン誘導体変性シリコーンは、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、下記一般式(1’):
R
1aH
b+c+d+eSiO
(4−a−b−c−d−e)/2 (1’)
(式中、
R
1、a、b、c、d及びeは上記のとおりである)で表される(b2)オルガノハイドロジェンシロキサンと、(a2)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するジグリセリン誘導体と、(c2)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物を少なくとも反応させて得ることができる。(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に反応させることが好ましい。
【0103】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、(a1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するジグリセリン誘導体、(c1)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物、及び、任意に、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び/又は、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンが共存する状態として、前記(a2)成分、前記(c2)成分、及び/又は前記(d)成分及び/又は前記(e)成分、並びに、(b2)上記一般式(1’)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンを一緒に反応させるか、或いは、前記(b2)オルガノハイドロジェンシロキサンと任意に前記(d)成分、及び/又は、前記(e)成分とを逐次付加反応させた後、前記(c2)成分を付加反応させ、更に(a2)成分を付加反応させること等により、好適に製造することができる。
【0104】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成に用いる、(b2)オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、例えば、下記構造式(1−1)’:
【化28】
(式中、
R
1は、各々独立に、上記のとおりであり、
X’はR
1又は水素原子から選択される基であり、
n1、n2、n3、n4及びn5は上記のとおりである。但し、n2+n3+n4+n5=0のとき、X’は共に水素原子である)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0105】
前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、好適には、(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するジグリセリン誘導体と、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物と、(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることにより合成されるものであり、この際、成分(b)であるオルガノハイドロジェンシロキサンは、逐次反応付加により、前記(d1)成分、及び/又は、前記(e1)成分を付加させて得たオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。この際、成分(a)と反応させる直前(その他の成分との逐次反応後)のオルガノハイドロジェンシロキサンは、好適には、下記構造式(1−1A’)で示される。
【化29】
(式中、
R
2及びL
1は、各々独立に、上記のとおりであり、
Xはメチル基、R
2、L
1及び水素原子(H)からなる群から選択される基であり、n1、n2、n3、n4及びn5は、(n1+n2+n3+n4+n5)は1〜1200の範囲の数であり、n1は0〜1000、n2は0〜500、n3は0〜100、n4は0〜100、n5は0〜100の範囲の数である。但し、n2=0のとき、Xの少なくとも一方はR
2であり、n5=0のとき、Xの少なくとも一方はHである))
【0106】
前記グリセリン誘導体変性シリコーンの合成に用いる、反応性不飽和基を1分子中に1つ有するグリセリン誘導体は、好適には、(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するグリセリン誘導体である。これらは、アリルジグリセロール、アリルジグリシジルエーテル、ジグリセリンモノアリルエーテル等の分子鎖末端にアルケニル基等の反応性官能基を有するジグリセリン誘導体であり、公知の方法により合成することができる。
【0107】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンにおいて、特に油中水型エマルション用乳化剤としての使用等、油剤を連続相とする安定な組成物(油中水型エマルション組成物又は油中粉体分散物)を与えることのできる、界面活性剤又は分散剤としての使用及び化粧料への使用の観点から、成分(a)は、具体的には、ジグリセリンモノアリルエーテル,ジグリセリルオイゲノールである。
【0108】
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する長鎖炭化水素化合物としては、炭素原子数9〜30のモノ不飽和炭化水素が好ましく、1−アルケンがより好ましい。1−アルケンとしては、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が例示され、前記R
2として例示したアルキル基またはアラルキル基を与えるアルケン類を所望により原料として選択することができる。
【0109】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成に用いる、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物としては、下記一般式(3’):
【化30】
{式中、
R
3及びR
4は上記のとおりであり、R
Dは水素原子又はメチル基であり、
Z´は二価有機基を表し、
h
1は0〜3の範囲の数であり、
L´
1は、R
4、又は、j=1のときの下記一般式(3’’):
【化31】
(式中、R
3及びR
4は上記のとおりであり、
Zは二価有機基を表し、
jはL
jで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がk´のとき1〜k´の整数であり、階層数k´は1〜9の整数であり、L
j+1はjがk´未満のときは該シリルアルキル基であり、j=k´のときはR
4である。
h
jは0〜3の範囲の数である)で表されるシリルアルキル基を表す}で表される分子鎖末端に1個の炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン構造を有する化合物が好ましい。
【0110】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成に用いる、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、
下記一般式(2−1);
【化32】
(式中、R
11は前記の通りであり、t’は0〜8の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表す)で表されるモノ不飽和鎖状シロキサン化合物が好ましい。反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、片末端ビニル基封鎖ジメチルポリシロキサン、片末端ビニル基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。
【0111】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成に用いることのできる、(f)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭素数2〜8の不飽和短鎖炭化水素化合物(ハロゲン原子置換若しくは非置換)としては、炭素原子数2〜8のモノ不飽和炭化水素が好ましく、1−アルケンがより好ましい。1−アルケンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましく例示される。
【0112】
ジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物を合成するためのヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下又は不存在下、公知の方法にしたがって行うことができる。ここに、反応溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジオキサン、THF等のエーテル系溶剤;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;四塩化炭素等の塩素化炭化水素系の有機溶剤を挙げることができる。
【0113】
ヒドロシリル化反応は、触媒の不存在下で行ってもよいが、触媒の存在下に行うことにより低温で短時間に反応が進行するので好ましい。かかる触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.0001〜0.1質量%程度であり、0.0005〜0.05質量%の範囲が好適であるが、これに限定されない。ヒドロシリル化反応の反応温度としては、通常30〜120℃であり、反応時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは1〜10時間である。
【0114】
上記のヒドロシリル化反応を行う際に、[グリセリン誘導体基含有化合物中の炭素−炭素二重結合の物質量/オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の、前記グリセリン誘導体基含有化合物の炭素−炭素二重結合に付加させたい珪素結合水素原子の物質量]の比は0.8〜1.5となる範囲が好ましく、1.0〜1.3となる範囲がより好ましい。すなわち、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンを合成する場合には、ジグリセリン誘導体基含有化合物を若干過剰に使用することがより好ましい。上記の比が1.5を超える仕込みも可能であるが、残存原料の割合が増えるために非経済的である。なお、上記の比が0.8〜1.0の場合にはヒドロシリル化反応によって消費される珪素結合水素原子は0.8〜1.0の範囲となり、0〜0.2の比率で珪素結合水素原子が残存する計算となるが、反応条件により、グリセリン誘導体基中に含まれる水酸基や反応溶媒のアルコール性水酸基等との脱水素反応を生じさせ、当該残存珪素結合水素原子を消費することが可能である。
【0115】
一方、上記の比が0.8未満では、未反応のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが残存するおそれがある。このようなジグリセリン誘導体変性シリコーンを外用剤又は化粧料原料として用いた場合には、残存するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが他の原料と反応し、水素ガスが発生する原因となり、配合先の外用剤又は化粧料の変質、火災の原因、容器の膨張等の好ましくない影響をもたらしうる。また、上記の比が0.8未満の状況下で、脱水素反応により残存した珪素結合水素原子を消費しようとした場合、Si−O−C架橋結合の割合が増えるため製造中にゲル化する危険が高まる。したがって、安全にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを完全消費できるように、上記の比が0.8を超える、すなわち、グリセリン誘導体基含有化合物を0.8当量より多い条件で反応させることが好ましい。
【0116】
その他、本願に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンの合成にあたっては、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0110〜0122により開示した反応、精製、及び酸性物質による低臭化処理等と共通の方法を採用することができる。特に、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、その主たる用途が化粧料又は外用剤であるから、安全性及び臭気の観点から、精製、及び酸性物質による低臭化処理等を行うことが特に好ましい。
【0117】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、その低臭化の観点から、25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩(好適には、硫酸水素ナトリウム等)で処理することが好ましい。例えば、上記の通り(1)ヒドロシリル化反応により合成されたジグリセリン誘導体変性ポリシロキサン組成物の反応系(例えば、フラスコ等の反応容器)中に、上記の酸性無機塩を添加して、撹拌する分解処理、(2)酸性無機塩と水若しくは酸性無機塩と水と親水性溶媒を添加して、撹拌する加水分解処理等を意味する。酸性無機塩を用いた処理工程は、水及び/又は親水性媒体の存在下に行うことが好ましい。
【0118】
上記の低臭化処理後には、臭気の原因物質である低沸分(プロピオンアルデヒド等)を除去するストリッピング工程を含むことが好ましく、上記の酸性物質による処理及び臭気の原因物質のストリッピングは、複数回行うことが好ましい。
【0119】
また、前記酸処理工程後に、特に、得られたジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物に対して、更に、100ppm〜50000ppmに相当する量のアルカリ性緩衝剤(リン酸3ナトリウム,リン酸3カリウム,クエン酸3ナトリウム,酢酸ナトリウム等)を添加することが、低臭化の観点から好ましい。
【0120】
{ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物}
本発明は、上記のジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物にも関する。本発明の組成物は、前記(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンの1種を単独で含んでもよく、又は、上記のジグリセリン誘導体変性シリコーンを2種以上含んでいてもよい。
【0121】
例えば、前記(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、
(A1)分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有さず、分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上である数平均分子量が20,000以上の高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン、及び、
(A2)分子中に、炭素原子数9〜30の、ハロゲン原子置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.5〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基のみを有し、その他の親水性基を分子中に有さず、分子中に占める前記一価炭化水素基の割合が0.5質量%以上である数平均分子量が20,000未満である低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン
の混合物であってもよい。このような、高分子量のジグリセリン誘導体変性シリコーンと低分子量のジグリセリン誘導体変性シリコーンとを組み合わせて使用することにより、様々な油剤に対する乳化性を向上させることが可能となり、また、ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含む組成物の粘度を容易に制御することができる。
【0122】
前記(A1):(A2)成分の配合比率は任意であり、例えば、1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20、更により好ましくは30:70〜70:30の重量(質量)比率で組み合わせて使用することができる。
【0123】
本発明の組成物中に占める前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンの量は任意であり、例えば、組成物の全重量(質量)を基準にして、0.1〜99.9重量(質量)%とすることができ、1〜99重量(質量)%が好ましく、5〜80重量(質量)%がより好ましく、10〜70重量(質量)%が更により好ましい。本発明に係る組成物は、水、及び/又は、外用剤及び化粧料用の原料として後述される各種の成分、特に、油剤、皮膜形成剤、粉体又は粉状着色剤、紫外線防御成分、ポリオール等を含むことができる。
【0124】
{ジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物の用途}
次に、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物の用途について詳細に説明する。
【0125】
(界面活性剤、分散剤、増粘剤及びゲル化剤)
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、単独での乳化性能に著しく優れるため、油相がシリコーン油、シリコーン油とエステル系油剤等との混合油の場合だけでなく、従来のグリセリン変性シリコーンでは困難であったミネラルオイル、イソヘキサデカン等の非極性有機油主体の油相であっても、水相や粉体等を微細かつ安定に乳化分散できる結果、経時や熱によっても安定性に優れた組成物を与えることができる。特に、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、長鎖アルキル基を含有し、任意で疎水性の高撥水性を呈するシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基、及び/又は鎖状ポリシロキサン基を含有することができ、これらと親水性基を同一分子内に有することができるため、幅広い油剤系に対して、油剤を連続相とする安定な組成物(油中水型エマルション組成物、油中ポリオール型エマルション組成物、油中極性溶媒型エマルション組成物又は油中粉体分散物)を与えることができ、界面活性剤(若しくは乳化剤)又は分散剤として極めて有用である。特に、油中水型エマルション用乳化剤として好適である。
【0126】
また、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、様々な油剤を含む油中水型エマルション(以下、「W/Oエマルション」と称する場合がある)処方において、有機系乳化剤や4級アンモニウム塩型有機カチオン等で疎水化・油膨潤化した粘土鉱物等の油用増粘剤の助けを必ずしも借りなくとも、幅広い油剤種を含む乳化系を増粘して安定化できるため、増粘剤(又はゲル化剤)としても有用であり、油剤及び当該ジグリセリン誘導体変性シリコーンの感触面での相乗効果が最大限に発揮される結果、柔らかく自然であり、滑らかで軽く伸びのよい、しっとりとした保湿感に優れた油中水型エマルション形態の外用剤又は化粧料を提供することができる。
【0127】
その他、本発明に係る新規なジグリセリン誘導体変性シリコーン及び/又はそれを含有する組成物の界面活性剤としての使用は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0124〜0147に開示した共変性オルガノポリシロキサンの界面活性剤としての使用及び各乳化組成物の調製と共通であり、特に、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンは、油中水型エマルション化粧料に用いる界面活性剤として好適である。
【0128】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、乳化剤及び増粘剤の両者として機能可能であるため、油剤を連続相とする安定な組成物(油中水型エマルション組成物、油中ポリオール型エマルション組成物、油中極性溶媒型エマルション組成物又は油中粉体分散物)を与えることのできる、増粘性乳化剤として用いることができ、特に、油中水型エマルション用乳化剤は、通常の油相中に水相が分散した油中水型エマルションだけでなく、油相中にポリオール相が分散した油中ポリオール型エマルションや、非極性の油相中に極性溶媒が分散した油中極性溶媒型エマルション等の増粘性乳化剤としても好適に使用できる。更に、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンのうち、特に数平均分子量が20,000未満である低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、乳化性能に加えて油相中に各種粉体を均一分散させる分散剤或いは各種粉体の表面処理剤としての性能にも優れるため、油中水型エマルションの調製の際、所望により粉体分散剤或いは処理剤としても使用することができる。
【0129】
(その他の用途)
なお、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物は、特許文献8(WO2011/049248号公報)に記載された共変性オルガノポリシロキサンと共通の用途に適用することが可能であり、界面活性剤(乳化剤)、各種処理剤(粉体分散剤又は表面処理剤)としての使用、特に乳化剤や粉体処理剤としての使用及び化粧料原料としての使用、任意の化粧料原料成分との組み合わせ、外用剤、特に化粧料の剤形、種類及び処方例においても、特許文献8に開示された共変性オルガノポリシロキサンと同様に使用でき、各種化粧料に配合することができる。本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーン及びそれを含む組成物は、優れた感触を有し、更に幅広い油剤に対しても、単独で水相を安定に乳化分散する能力や粉体を安定に分散する能力に著しく優れるため、特許文献8に開示された共変性オルガノポリシロキサンの各用途において、外用剤や化粧料の処方の自由度を更に広げ、化粧の効果を改善し、全体として経時安定性や感触も更に改善し、かつ、必要に応じてPEG−FREE処方に改良した外用剤ないしは化粧料を提供することができる利点がある。また、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンのうち、特に数平均分子量が20,000以上の高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、特許文献9(WO2011/049247号公報)に記載された共変性オルガノポリシロキサンと共通の用途に適用することも可能であり、油性原料の増粘剤としての使用及び外用剤や化粧料原料としての使用、任意の化粧料原料成分との組み合わせ、更に、該共変性オルガノポリシロキサンを含有してなるゲル状組成物およびこれを用いた化粧料等について、特許文献9に開示された共変性オルガノポリシロキサンと同様に使用でき、各種化粧料に配合することができる。
【0130】
本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーン又はそれを含む組成物は、特に、界面活性剤、乳化剤、(粉体)分散剤、増粘剤として優れた材料であるが、この他にも、感触改良剤、保湿剤、バインダー、表面処理剤、皮膚用の付着・粘着剤(Skin Adhesive)としての効果も有する。また、水と組み合わせることにより皮膜剤、粘度調整剤として機能させることもできる。
【0131】
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、従来のポリエーテル変性シリコーンとは異なり、空気中の酸素により酸化されて変質する傾向が本質的に少ない。したがって、酸化劣化を防止するためフェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類等の酸化防止剤を入れ、酸化安定性を増加させる操作は必須ではない。しかしながら、このような酸化防止剤、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンE等を添加すると更に安定性が向上する。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は、その重量(質量)においてジグリセリン誘導体変性シリコーンに対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmとなる範囲である。
【0132】
(外用剤又は化粧料用原料)
本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンは、人体に使用される外用剤及び化粧料の原料として好適に利用することができる。
【0133】
外用剤及び化粧料用の原料中に占める本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンの割合は、原料の全重量(質量)を基準にして、10〜100重量(質量)%が好ましく、20〜100重量(質量)%がより好ましく、30〜100重量(質量)%が更により好ましい。これは、本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンをシリコーン油や有機油、アルコール類等適当な媒体で希釈して外用剤及び化粧料用の原料として扱うことができるためである。外用剤又は化粧料に配合される原料の割合は特に限定されるものではないが、例えば、外用剤又は化粧料の全重量(質量)を基準にして、0.1〜40重量(質量)%、好ましくは1〜30重量(質量)%、より好ましくは2〜20重量(質量)%、更により好ましくは3〜10重量(質量)%の範囲で使用することができる。
【0134】
(外用剤・化粧料)
本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーン及び/又はそれを含有する組成物は、外用剤又は化粧料に好適に配合することができ、本発明の外用剤又は化粧料を構成することができる。特に、本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、単独での乳化性能に著しく優れるため、油相がシリコーン油、エステル油やトリグリセライドの場合だけでなく、従来のグリセリン変性シリコーンでは困難であったミネラルオイルやイソドデカン等非極性有機油主体の油相であっても、水相や粉体等を微細かつ安定に乳化分散できる結果、経時や熱によっても安定性に優れた組成物を与えることができるので、油中水型エマルション又は油中ポリオール型エマルションの形態である外用剤又は化粧料に好適に配合しうる。
【0135】
また、本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、従来のグリセリン変性シリコーンに比して、単独での乳化性能に著しく優れるため、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有する化合物、具体的には、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン系の界面活性剤を配合することなく、安定な化粧品の剤形及び製剤を設計しうるという利点がある。更に、ジグリセリン誘導体含有基は、ポリオキシエチレン(PEG)構造を有しないために酸化劣化の問題を生じることがなく、かつ、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン系の界面活性剤(例えばポリエーテル変性シリコーン類)と異なり、油中水型エマルションの形態である外用剤又は化粧料の油性感やべとつきを抑制し、感触が柔らかく自然であり、滑らかで軽く伸びのよい、しっとりとした保湿感に優れたW/Oエマルション型外用剤ないしは化粧料を与えることができる。
【0136】
このため、本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する外用剤又は化粧料においては、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善して、優れた感触を有し、化粧品等最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方とする選択をする場合には、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有する化合物を配合しないことが極めて好ましい。また、本発明の(A)ジグリセリン誘導体変性シリコーン以外の従来のグリセリン変性シリコーンでは、かかる目的を達成することは困難である。
【0137】
外用剤は人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであり、例えば、医薬有効成分を配合して各種疾患の治療に使用することができる。化粧料も人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであるが、美容目的で使用されるものである。外用剤又は化粧料としては、制限は無いが、制汗剤、皮膚洗浄剤、皮膚外用剤若しくは皮膚化粧料、メイクアップ料、油性化粧料、スキンケア化粧料又は、毛髪洗浄剤、毛髪外用剤又は毛髪化粧料が好ましい。
【0138】
本発明に係る制汗剤、皮膚洗浄剤、皮膚外用剤又は皮膚化粧料は、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する油中水型エマルション用乳化剤、粉体分散剤を含有しており、その形態は特に限定されないが、溶液状、乳液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、油中水型或いは水中油型の乳化組成物(エマルション組成物)のいずれであってもよい。具体的には、本発明に係る皮膚外用剤又は皮膚化粧料等として、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム、ハンドクリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤、制汗剤、脱臭剤等の基礎化粧品;ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ネールエナメル等のメーキャップ化粧品等が例示される。
【0139】
同様に、本発明に係る毛髪洗浄剤、毛髪外用剤又は毛髪化粧料は、本発明のジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有しており、様々な形態で使用できる。例えば、それらをアルコール類、炭化水素類、揮発性環状シリコーン類等に溶解又は分散させて用いてもよいし、更には乳化剤を用いて水に分散させてエマルションの形態で用いることもできる。また、プロパン、ブタン、トリクロルモノフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤を併用してスプレーとして用いることもできる。この他の形態としては、乳液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状等が例示される。これらの様々な形態でシャンプー剤、リンス剤、コンディショニング剤、セットローション剤、ヘアスプレー剤、パーマネントウエーブ剤、ムース剤、染毛剤等として使用できる。
【0140】
その他の本発明に係る化粧料又は外用剤組成物の種類、形態及び容器は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0230〜0233等に開示したものと共通である。
【0141】
本発明の外用剤又は化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の外用剤又は化粧料に使用される成分、水、粉体又は着色剤、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、油剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、界面活性剤、樹脂、紫外線吸収剤、塩類、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等、生理活性物質、医薬有効成分、香料を添加することができ、これらは特に限定されるものではない。
【0142】
〔(B)水〕
本発明の化粧料又は外用剤には、更に、(B)水を配合することができ、本発明の化粧料又は外用剤は、例えば、油中水型エマルションの形態をとることができる。この場合、本発明の化粧料又は外用剤は優れた乳化安定性及び使用感を示す。含水化粧料及びエマルション化粧料の調製については、出願人らが上記の特許文献8(国際公開特許 WO2011/049248号公報)の段落0128〜0147等に開示したものと共通である。
【0143】
〔(C)油剤〕
本発明に係る化粧料又は外用剤に用いる油剤は、好適には、(C)5〜100℃で液状である、揮発性シリコーン油、揮発性非シリコーン油(有機油)、不揮発性シリコーン油及び不揮発性シリコーン油から選択される少なくとも1種以上の油剤であり、非シリコーン油としては、炭化水素油及び脂肪酸エステル油及び液状脂肪酸トリグリセライドが好ましい。これらは、特に化粧料の基材として広く用いられている成分であるが、これらの油剤には、公知の植物性油脂類、動物性油脂類、高級アルコール類、脂肪酸トリグリセライド、人工皮脂、フッ素系油から選択される1種類又は2種類以上を併用してもよい。前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤、粉体分散剤はこれらの非シリコーン系油剤に対しても優れた相溶性・分散性を示すので、炭化水素油及び脂肪酸エステル油を安定に化粧料に配合でき、これらの非シリコーン系油剤による保湿特性をも活かすことができる。したがって、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤、粉体分散剤は、これら非シリコーン系油剤の化粧料中における配合安定性を改善することができる。
【0144】
また、炭化水素油、脂肪酸エステル油等の非シリコーン油をシリコーン油と併用することにより、シリコーン油特有のさっぱりとした感触に加えて、肌上の水分を保持し、化粧料に肌や毛髪が潤うような保湿感(「しっとりした感触」ともいう)や滑らかな感触を付与することができ、しかも、化粧料の経時安定性を損なわないという利点がある。更に、非シリコーン油とシリコーン油を含有する化粧料は、これらの保湿成分(炭化水素油、脂肪酸エステル油等の非シリコーン油)を肌上又は毛髪上により安定かつ均一な状態で塗布することができるので、保湿成分の肌上の保湿効果が向上する。したがって、非シリコーン油(炭化水素油、脂肪酸エステル油等)のみを含む化粧料に比して、非シリコーン油と共にシリコーン油を含む化粧料は、より滑らかでしっとりした感触を付与することができるという利点がある。
【0145】
これらの油剤は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0130〜0135、段落0206等に開示したものと共通である。なお、フッ素系油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0146】
〔(D)皮膜形成剤〕
本発明に係る化粧料又は外用剤に用いる皮膜形成剤の種類は任意(但し、成分(A)に該当するものを除く)であるが、シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックス、ノルボルネン変性シリコーン、シリコーン変性プルラン、有機系皮膜形成性ポリマー、皮膜形成性ポリマーの非水系又は水系分散液からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。シリコーン樹脂、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスについては、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0170〜0173、段落0177〜0194等に開示したものと共通である。
【0147】
皮膜形成性ポリマーとしては、脂溶性及び脂肪分散性の皮膜形成性ポリマー及びそれらの混合物を使用することができ、脂溶性の皮膜形成性ポリマーは、オレフィン、環状オレフィン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエーテル、エステル又はアミド、又は直鎖、分岐状又は環状のC
4〜C
50のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステル又はアミドの、脂溶性の、アモルファスのホモポリマー及びコポリマー;アモルファスの、脂溶性の重縮合物;アルキル(エーテル又はエステル)側鎖を含む脂溶性の、アモルファスの多糖類;ビニルピロリドン(VP)コポリマー;アクリル骨格及びシリコーングラフトを含む、又はシリコーン骨格及びアクリルグラフトを含むアクリルシリコーングラフト化ポリマー;及びそれらの混合物であることが好ましい。また、皮膜形成性ポリマーが少なくとも1のジブロック又はトリブロックコポリマーであることもできる。トリブロックコポリマーは、ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型或いはポリスチレン/コポリ(エチレン−ブチレン)又はポリスチレン/コポリ(エチレン−プロピレン)型であることが好ましい。また、皮膜形成性ポリマーはポリイソブチレン、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル、ロジン酸樹脂、キャンデリラ樹脂、置換シリルアルキルカルバミド酸ポリビニルアルコール、グリセリンとロジンのエステル化物、ロジン酸ペンタエリスリット、水添アビエチン酸グリセリル、ポリビニルイソブチルエーテル、ニトロセルロース、アシル化多糖類、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、シリコーン変性オレフィンワックス、シリコーン変性ヒアルロン酸、テルペン系樹脂、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、αオレフィンオリゴマー、炭化水素樹脂、セラック、ポリエチレンワックス、イヌリン脂肪酸エステル、固形状ジアルキルケトン、シリコーン変性セルロース、アルキッド樹脂、長鎖アルコキシ変性シリコーン、非晶質ポリ(シクロオレフィン)、ポリエステル系オリゴマーであることができる。
【0148】
また、脂肪分散性の皮膜形成性ポリマーは、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレア、ポリウレア−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、アルキド、アクリル及び/又はビニルポリマー又はコポリマー、アクリル−シリコーンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリウレタン−シリコーンポリマー、ポリウレタンアクリレート−シリコーンポリマー、ポリエーテルポリウレタン−シリコーンポリマー及びフルオロポリマー及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。脂肪分散性ポリマー及びそれらの混合物は、40℃以下(より好ましくは−10℃〜30℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。また、その分子構造中にやわらかい(Tgの低い)ブロックと硬い(Tgの高い)ブロックとを少なくとも含有していることが好ましい。そして、フィルム形成性ポリマーは、組成物の合計重量(質量)に対して0.1〜25重量(質量)%(好ましくは1〜20重量(質量)%、より好ましくは5〜16重量(質量)%)の範囲の固体含有量で存在することが好ましい。
【0149】
皮膜形成性ポリマーの非水系分散液としては、前記フィルム形成性ポリマーの微粒子がシリコーン系オイル媒体或いは有機系オイル媒体或いはこれらの混合油媒体中に分散したものが好ましく使用できる。また、これらのフィルム形成性ポリマー粒子はコア・シェル型構造をとってもよく、例えば内部のアクリル系コポリマー粒子の表面がオレフィン系コポリマーにより被覆されて安定化された構造であって、このコアシェル型粒子がオイル媒体中に分散している形態であってもよい。あるいは、逆に、内部のオレフィン系コポリマー粒子の表面がアクリル系(コ)ポリマーにより被覆されて安定化された構造であって、このコアシェル型粒子がオイル媒体中に分散している形態であってもよい。
【0150】
皮膜形成性ポリマーの水性分散液としては、当該ポリマーの不溶性粒子の水性分散物であって、例えば水性分散物が、スチレン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、ビニルトルエン、ビニルプロピオナート、ビニルアルコール、アクリロニトリル、クロロプレン、ビニルアセタート、ウレタン、イソプレン、イソブテン、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、及び、アクリル酸又はメタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸又はイタコン酸、これらのエステル又はアミドから選択されたモノマーの重合又は共重合から得られたもの等が挙げられ、ヒドロキシエチルメタクリラート/メチルメタクリラート/メタクリル酸/ブチルアクリラートコポリマー、エチルアクリラート/メタクリル酸/t−ブチルアクリラートコポリマー、及びメチルメタクリラート/アクリル酸/ブチルアクリラートコポリマーの水性分散液が好ましい。皮膜形成性ポリマーの水性分散液としては、前記フィルム形成性ポリマーの微粒子が水性媒体(水を含む媒体)中に分散したものが好ましく使用できる。また、これらのフィルム形成性ポリマー粒子はコア・シェル型構造をとってもよく、例えば内部のオレフィン系コポリマー粒子の表面がアクリル系コポリマーにより被覆されて安定化された構造であって、このコアシェル型粒子が水性媒体中に分散している形態であってもよい。あるいは、逆に、内部のアクリル系コポリマー粒子の表面がオレフィン系(コ)ポリマーにより被覆されて安定化された構造であって、このコアシェル型粒子が水性媒体中に分散している形態であってもよい。
【0151】
また、皮膜形成性ポリマーは、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキル共重合体、オキサゾリン変性シリコーン或いは水溶性高分子であってもよい。水溶性高分子としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。これらの水溶性高分子等は、含水成分或いは水相、ポリオール相の増粘効果を有するため、特にゲル状の含水化粧料、油中水(ポリオール)型エマルション化粧料、水中油型エマルション化粧料を得る場合に有用である。
【0152】
天然の水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、ゲランガム等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。また、半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル系高分子、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL 940,941;日本ルーブリゾール社)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、ポリエチレングリコール6,000、ポリエチレングリコール4,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、PEG/PPGメチルエーテル等の共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が例示される。水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種であり、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物及び合成物のいずれであってもよい。
【0153】
特に毛髪化粧料に好適に配合できる皮膜形成性ポリマー或いは水溶性高分子として、カチオン性の水溶性高分子を挙げることができる。カチオン性水溶性高分子としては、具体的に、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0154】
また、特に毛髪化粧料に好適に配合できる皮膜形成性ポリマー或いは水溶性高分子として、両性の水溶性高分子を挙げることができる。両性水溶性高分子としては、具体的には、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0155】
〔(E)粉体又は着色剤〕
本発明に係る化粧料又は外用剤に用いる、粉体又は着色剤は、化粧料の成分として一般に使用されるものであり、白色及び着色顔料、並びに、体質顔料を含む。白色及び着色顔料は化粧料の着色等に使用され、一方、体質顔料は、化粧料の感触改良等に使用される。本発明における「粉体」としては、化粧料に通常使用される白色及び着色顔料、並びに、体質顔料を特に制限なく使用することができる。本発明において、1種類又は2種類以上の粉体を配合することが好ましい。粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状、繭状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、及び、粒子構造(多孔質、無孔質等)は何ら限定されるものではないが、平均一次粒子径が1nm〜100μmの範囲にあることが好ましい。特に、これらの粉体又は着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0156】
粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等が挙げられ、これらを複合化したものを使用することができる。更に、これらの表面に撥水化処理を行ったものを挙げることができる。
【0157】
これらの具体例は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0150〜0152に開示した粉体又は着色剤と共通である。
【0158】
例示された粉体のうち、シリコーンエラストマー粉体について特に説明する。シリコーンエラストマー粉体は、主としてジオルガノシロキシ単位(D単位)からなる直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、側鎖若しくは末端に珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと側鎖若しくは末端にアルケニル基等の不飽和炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応触媒下で架橋反応させることによって好適に得ることができる。シリコーンエラストマー粉体は、T単位及びQ単位からなるシリコーン樹脂粉体に比して、柔らかく、弾力があり、また、吸油性に優れるため、肌上の油脂を吸収し、化粧崩れを防ぐことができる。そして、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤又は分散剤により表面処理を行うと、シリコーンエラストマー粉体のスエード調の感触を減じることなく、しっとりした感触を付与することができる。更に、シリコーンエラストマー粉体と共に前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤又は分散剤を化粧料に配合する場合は、化粧料全体における当該粉体の分散安定性が改善され、経時的に安定な化粧料を得ることができる。
【0159】
シリコーンエラストマー粉体は、球状、扁平状、不定形状等種々の形状を取りうる。シリコーンエラストマー粉体は油分散体の形態であってもよい。本発明の化粧料には、粒子形状を有するシリコーンエラストマー粉体であり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析/散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、且つ、一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉体を好適に配合することができる。シリコーンエラストマー粉体を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下のものが好ましく、65以下のものがより好ましい。
【0160】
かかるシリコーンエラストマー粉体のうち、特にシリコーンエラストマー球状粉体の具体例は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0168に開示したものと共通であり、同段落0150〜0152にも例示の通り、各種撥水化処理を行ったシリコーンエラストマー粉体でも良い。
【0161】
本発明の化粧料又は外用剤には、更に、(F)その他の界面活性剤を配合することができる。これらの界面活性剤は、皮膚や髪の洗浄成分或いは油剤の乳化剤として機能する成分であり、化粧料の種類及び機能に応じて所望のものを選択しうる。より具体的には、他の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び、半極性界面活性剤からなる群より選択することができるが、特に、シリコーン系のノニオン性界面活性剤を併用することが好ましい。
【0162】
これらの界面活性剤は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0162,0163,0195〜0201等に開示したものと共通である。本発明で使用されるジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤は分子内に親水性部分と疎水性部分を有するため、粉体分散剤としての機能を有する。このため、シリコーン系のノニオン性界面活性剤と併用した場合に、ノニオン性界面活性剤の安定性を向上させる助剤として機能して、製剤全体としての安定性を改善できる場合がある。特に、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンは、3以上のポリグリセリン変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、糖アルコール変性シリコーンと併用することが好適であり、これらのシリコーン系のノニオン性界面活性剤は、アルキル分岐、直鎖シリコーン分岐、シロキサンデンドリマー分岐等が親水基と同時に必要に応じ施されていているものも好適に用いることができる。なお、ポリオキシアルキレン変性シリコーンや、有機系のポリオキシアルキレン基含有界面活性剤と併用することも可能ではあるが、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、非ポリエーテル構造の界面活性剤を選択することが好ましい。
【0163】
本発明の化粧料又は外用剤には、その目的に応じて、1種又は2種以上のアルコール、好ましくは、(G)多価アルコール(ポリオール)及び/又は低級一価アルコールを用いることができる。これらのアルコール類は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0159,0160等に開示したものと共通である。但し、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、非ポリエーテル構造の多価アルコール及び/又は低級一価アルコールを選択することが好ましい。本発明の化粧料又は外用剤は、例えば、油中ポリオール型エマルションの形態をとることができる。
【0164】
本発明の化粧料又は外用剤には、その目的に応じて、(H)成分として1種又は2種以上の無機塩類及び/又は有機酸塩を用いることができる。これらの塩類は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0161等に開示したものと共通である。
【0165】
本発明の化粧料又は外用剤には、その目的に応じて、(I)成分:架橋性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーン生ゴム、からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。これらのシリコーン系成分は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0165〜0169、段落0174〜0176等に開示したものと共通である。
【0166】
本発明の化粧料又は外用剤には、その目的に応じて、(J)成分:J−1)WO2007/109240号公報、WO2009/006091号公報に開示された、ポリオキシプロピレン基の導入により各種有機成分との相溶性向上や安定した増粘効果が発揮される、シリコーンポリエーテルエラストマーゲル、市販品としてDow Corning EL−8050 ID SILICONE ORGANIC ELASTOMER BLEND,Dow Corning EL−8051 IN SILICONE ORGANIC ELASTOMER BLEND、Dow Corning EL−7040 HYDRO ELASTOMER BLEND、J−2)WO2011/028765号公報、WO2011/028770号公報に開示された、PITUITOUS SILICONE FLUIDSを用いることができる。更に、本出願人が、日本特許出願(特願2010−289722)及びそれに基づく優先権主張出願で提案した液状かつ微架橋性のオルガノポリシロキサンも、本発明において使用することができる。
【0167】
本発明の化粧料又は外用剤には、その目的に応じて、(K)成分として1種又は2種以上の紫外線防御成分を用いることができる。これらの紫外線防御成分は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0202〜0204等に開示した有機系及び無機系の紫外線防御成分と共通であるが、特に、好適に使用できる紫外線防御成分は、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン」{INCI:オクチルトリアゾン}、2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン {INCI:ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、商品名:登録商標チノソルブS}等のトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの紫外線防御成分は、汎用されており、入手が容易で、かつ紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することが更に好ましい。
【0168】
本発明の化粧料又は外用剤において、前記ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する乳化剤又は分散剤と紫外線防御成分を併用することにより、化粧料全体の感触及び保存安定性を改善しつつ、紫外線防御成分を化粧料中に安定に分散させることができるので、化粧料に優れた紫外線防御機能を付与することができる。
【0169】
本発明の化粧料又は外用剤には、上記の各成分の他に、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、防菌防腐剤、(N)生理活性成分、美肌用成分、pH調整剤、酸化防止剤、溶媒、キレート剤、保湿成分、香料等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。これらの化粧品用任意成分は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0207,0208,0220〜0228等に開示したものと共通である。
【0170】
また、本発明に係る化粧料又は外用剤が制汗剤である場合、或いは、その目的に応じて、制汗活性成分、デオドラント剤を配合することができる。これらの制汗成分、デオドラント成分は、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0209〜0219等に開示したものと共通である。同様に、本発明に係る化粧料又は外用剤が制汗剤組成物である場合、各種制汗剤組成物の調製、用法等については、本出願人が特許文献8(WO2011/049248号公報)の段落0234〜0275等に開示したものと共通である。
【実施例】
【0172】
以下、本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、下記組成式において、Meはメチル(−CH
3)基を表し、Me
3SiO基(又は、Me
3Si基)を「M」、Me
2SiO基を「D」、MeHSiO基を「D
H」と表記し、M及びD中のメチル基をいずれかの置換基によって変性した単位を「M
R」及び「D
R」と表記する。また、製造例中、IPAはイソプロピルアルコールを示す。また、各実施例において得られた変性シリコーンの数平均分子量は、核磁気共鳴分析(核種29Siおよび1H)により出発原料であるメチルハイドロジェンポリシロキサンの平均組成式および数平均分子量を同定し、各実施例におけるヒドロシリル化反応に用いた各原料の分子量および反応率から計算された理論値(設計値)である。
【0173】
[実施例1]<長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.1の合成>
ステップ1:
反応器に平均組成式:MD
400D
H10Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン180g、平均組成式:CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン6.1g、IPA60gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら60〜65℃で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.4wt%)0.1gを添加した。反応液を65〜80℃に加温し1時間反応を行った後、1g採取してアルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応率は目標に達していた。
【0174】
ステップ2:
反応液に、ジグリセリンモノアリルエーテル7.8gとIPA10gとの混合液を添加し、上記と同じ白金触媒溶液を0.1g追加投入した。75〜80℃で1.5時間反応を行ない、同様の方法で確認したところ、反応率は目標に到達していた。
【0175】
ステップ3:
反応液にデセン(αオレフィン純度=95%)2.0gを添加し、上記と同じ白金触媒溶液0.2gを追加投入した。4.5時間後に反応液を1g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応は完結していた。
【0176】
ステップ4:
反応器の内容物を75〜100℃に加温して減圧し、IPAの除去を行った。その後、希釈剤としてジメチルポリシロキサン(2cst)を193g投入して攪拌混合し、全体を均質化した。この結果、平均組成式:MD
400D
R*112D
R*313D
R*225Mで表される長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンと、ジメチルポリシロキサン(2cst)とを質量比1:1で含有する組成物388gを、淡褐色不透明均一な粘稠液体として得た。
式中、
R
*11= −C
10H
21
R
*31= ―C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*22= ―C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−Hの平均組成式で表されるジグリセリン部分
【0177】
[実施例2]<長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.2の合成>
ステップ1:
反応器に平均組成式:MD
147D
H80Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン67.1g、ヘキサデセン(αオレフィン純度=91.7%)11.7g(1回目)を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら室温で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.4wt%)0.17gを添加したところ、発熱が起こり18→37℃まで温度上昇した。更に、同様にしてヘキサデセン11.7g(2回目)を添加したところ37→50℃まで温度上昇した。以後、30―40℃まで自然に反応液の温度が下がったところで同量のヘキサデセンを添加して反応させる操作を更に2回繰り返した。その後、反応液を加温して60〜70℃に保持し、反応開始から3時間後に反応液を0.5g採取してアルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応率は目標に到達していた。
【0178】
ステップ2:
反応液にジグリセリンモノアリルエーテル24.5g、天然ビタミンE0.02g、IPA150g、イソヘキサデカン150gを添加し、上記と同じ白金触媒溶液0.51gを追加投入した。60〜70℃で5時間反応を行ない、同様の方法で確認したところ反応率は目標に到達していた。
【0179】
ステップ3:
反応液にヘキサデセン(αオレフィン純度=91.7%)13.2g(5回目)を添加し、上記と同じ白金触媒溶液0.17gを追加投入して60〜70℃で5時間反応を行ない、同様の方法で確認したところ反応は完結していた。
【0180】
ステップ4:
反応器の内容物に対し、硫酸水素ナトリウム一水和物0.027gを精製水2.3gに溶かした水溶液を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら65〜70℃で酸処理を行った。その後、減圧下70℃で水及びIPA等の低沸分を溜去し、系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理1回目)。次いで、水2.3gを添加して同様に処理を行った後、水その他の低沸分を溜去し、系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理2回目)。再度同じ操作を繰り返し(酸処理3回目)た。この結果、平均組成式:MD
147D
R*1355D
R*2225Mで表される長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンと、イソヘキサデカンとを質量比1:1で含有する組成物295gを、淡褐色不透明均一な粘稠液体として得た。
式中、
R
*13= −C
16H
33
R
*22=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−Hの平均組成式で表されるジグリセリン部分
【0181】
[実施例3]<長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.3の合成>
ステップ1:
反応器に平均組成式:MD
28。7D
H7.3Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン3989g、平均組成式CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン495gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.4wt%)7.5gを添加したところ、発熱により70℃まで温度上昇した。反応液を55℃に保温して3時間反応を行った後、0.5g採取してアルカリ分解ガス発生法により反応率に問題がないことを確認した。
【0182】
ステップ2:
反応液にヘキサデセン(αオレフィン純度=91.7%)469g(1回目)を添加したところ、発熱が起こり50℃→68℃まで温度上昇した。発熱が収まったところで、ヘキサデセン(2回目)469gを添加したところ、再度発熱が起こり48℃→65℃まで温度上昇した。2時間後に反応液を1g採取し、同様の方法で確認したところ反応率は目標に到達していた。
【0183】
ステップ3:
反応液にジグリセリンモノアリルエーテル439g、天然ビタミンEを0.69g、IPAを1020g添加し、上記と同じ白金触媒溶液7.5gを追加投入した。30〜65℃で3時間反応を行ない、同様の方法で確認したところ、反応率は目標に到達していた。
【0184】
ステップ4:
反応液にヘキサデセン(αオレフィン純度=91.7%)469g(3回目)を添加したところ、62→68℃まで温度上昇した。1時間後にヘキサデセン(4回目)469gを添加して60−70℃で3.5時間の反応を行い、同様の方法で確認したところ反応は完結していた。
【0185】
ステップ5:
減圧によってIPAを反応系から除去した後、反応器の内容物に対し、硫酸水素ナトリウム一水和物1.02gを精製水102gに溶かした水溶液を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら60〜70℃で30分間の酸処理を行った。その後、減圧下に水及び低沸分を溜去し系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理1回目)。次いで、水102gを添加して同様に30分間の処理を行った後、水その他の低沸分を溜去し、系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理2回目)。再度同じ操作を繰り返し(酸処理3回目)た。次いで、1wt%重曹水62.1gを添加して中和を行った後、60−70℃で再度減圧脱水処理を行った。最後にろ過を行うことによって、平均組成式MD
28。7D
R*135。0D
R*311D
R*221。3Mで表される長鎖アルキル基を含有する低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する組成物6700gを、微褐色ほぼ透明な均一液体として得た。
式中、
R
*13= −C
16H
33
R
*31= ―C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*22=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−Hの平均組成式で表されるジグリセリン部分
【0186】
[実施例4]<長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.4の合成>
反応器に平均組成式:MD
42.9D
H6.7Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 137.7g、下記平均組成式:
【化33】
で表される3−メタクリロキシプロピル(トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ)シラン 14.9gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.12mlを添加し、80−90℃で3時間反応を行なった。反応液を少量採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi−H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積から反応率を計算する)により反応率が目標に達したことを確認した。次いで、反応混合物にヘキサデセン(αオレフィン純度91.7%) 38.4gを添加し、85〜105℃で1時間反応を行った後、同様の方法で反応率が目標に達したことを確認した。次いで、反応混合物にジグリセリンモノアリルエーテル9.3gとIPA120gを添加して、上記の白金触媒を0.20ml投入した。70〜85℃で1時間反応を行った後にサンプリングを行い、反応率を計算した結果、平均組成式:MD
42.9D
R*320.3D
R*220.8D
R*134.4D
H1.2Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。
ここで、R
*11及びR
*21及びR
*32は下記のとおりである。
R
*13= −C
16H
33
R
*22=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−Hの平均組成式で表されるジグリセリン部分
R
*32=
【化34】
【0187】
反応液を50℃まで冷却し、ここに、1,5−ヘキサジエン 2.1gを添加して50〜75℃で4時間反応を行った。ここで、架橋時のVi/Hモル比は1.17であった。サンプリングを行い、反応率を計算したところ、反応はほぼ完結していた。引き続き、減圧下80〜90℃で低沸分を溜去することによって、グリセリン誘導体基及び架橋部を有し、その架橋部がSi−C結合によりオルガノポリシロキサン部と有機部とを連結している、液状の有機変性オルガノポリシロキサンを190g得た。本品は、25℃で淡褐色〜灰白色の均一な粘稠液体であった。
【0188】
実施例4で得られた液状オルガノポリシロキサンの平均的構造式(模式図)を以下に示す。
【化35】
(式中、Me=メチル基、[]n中のZ=−CH
2CH
2−、[]n外のZ=−C
3H
6−COO−C
3H
6−、R=−C
16H
33、Y=−(CH
2)
6−、a=42.9、b=0.8、c=1.2、d=0.3、e=4.4、m=3、n=3である)、X=(C
3H
6O
2)
2H
【0189】
[比較例1]<シリコーン化合物RE−1の合成>
反応器に平均組成式:MD
406D
H4Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン212.5g、構造式CH
2=CH−CH
2−OCH
2CH(OH)CH
2OHで表されるグリセリンモノアリルエーテル4.9g、IPA90gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら70℃まで加温した。白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度4.5wt%)を0.053g添加し、80℃で3時間反応を行なった。次いで反応液を2g採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応が完結したことを確認した。反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD
406D
R*214Mで表される長鎖アルキル基を含有しない高分子量モノグリセリン変性シリコーンを得た。
式中、
R
*21= ―C
3H
6OCH
2CH(OH)CH
2OH
この生成物は、淡黄褐色の半透明均一な粘稠液体であった。
【0190】
[比較例2]<シリコーン化合物RE−2の合成>
ステップ1:
反応器に平均組成式:MD
400D
H10Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン180g、平均組成式CH
2=CH−Si(OSiMe
3)
3で表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン6.1g、IPA60gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら60−65℃で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.4wt%)0.15gを添加した。反応液を60〜80℃に加温し3時間反応を行った後、1g採取してアルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応率は目標に達していた。
【0191】
ステップ2:
反応液に、トリグリセリンモノアリルエーテル10.6gとIPA10gとの混合液を添加し、上記と同じ白金触媒溶液を0.1g追加投入した。75〜80℃で1時間反応を行ない、同様の方法で確認したところ、反応率は目標に到達していた。
【0192】
ステップ3:
反応液にデセン(αオレフィン純度=95%)1.9gを添加し、上記と同じ白金触媒溶液0.15gを追加投入した。3.5時間後に反応液を1g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応は完結していた。
【0193】
ステップ4:
反応器の内容物を75−105℃に加温して減圧し、IPAの除去を行った。その後、希釈剤としてジメチルポリシロキサン(2cst)を193g投入して70〜80℃で4時間攪拌混合し、全体を均質化した。この結果、平均組成式:MD
400D
R*112D
R*313D
R*235Mで表される長鎖アルキル基含有高分子量トリグリセリン誘導体変性シリコーンと、ジメチルポリシロキサン(2cst)とを質量比1:1で含有する組成物390gを、淡褐色不透明均一な水飴状の粘稠液体として得た。
式中、
R
*11= −C
10H
21
R
*31=−C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*23=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
3−Hの平均組成式で表されるトリグリセリン部分
【0194】
[比較例3]<シリコーン化合物RE−3の合成>
反応器に平均組成式:MD
61D
H15Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン111.6gを仕込み、構造式CH
2=CHSiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3で表される片末端ビニル変性ジメチルポリシロキサン30.9gと白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.5wt%)0.10gの混合物を滴下して、室温下で攪拌しリニアシロキサン分岐型ポリシロキサン中間体を得た。
【0195】
また、別の反応器にトリグリセリンモノアリルエーテル7.0g、ドデセン(αオレフィン純度=95.4%)50.4g、IPA100g、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.5wt%)0.40gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら先に合成したリニアシロキサン分岐型ポリシロキサンを溶剤の還流下に滴下を行った。滴下終了後に3時間の加熱攪拌を継続し、反応液を2g採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応が完結したことを確認した。
【0196】
次いで、反応液をオートクレーブに移し、スポンジニッケル触媒4.0g、水2.0g、及びIPA2.0gを添加後、水素ガスを導入して110℃、0.9MPaの条件で6時間にわたり水素添加処理を行った。次いで、処理後の反応混合物を60℃まで冷却して水素ガスをブローした後、窒素ガスによる置換を3回行った。次いで、スポンジニッケル触媒を精密ろ過により除去し、無色透明な濾液204gを得た。
【0197】
この濾液を別の反応器に仕込み、窒素流通下100℃,20Torrの条件で1時間維持することにより低沸分を溜去し、平均組成式:MD
61D
R*1212D
R*332D
R*231Mで表される長鎖アルキル基含有低分子量トリグリセリン誘導体変性シリコーンを含有する組成物138gを、ほぼ無色の半透明均一液体として得た。
式中、
R
*12= −C
12H
25
R
*33=−C
2H
4SiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3
R
*23= ―C
3H
6O−X,Xはトリグリセリン部分。
【0198】
[比較例4]<シリコーン化合物RE−4の合成>
ステップ1:
反応器に平均組成式:MD
360D
H18Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン86.6g、ジグリセリンモノアリルエーテル14.0g、天然ビタミンEを0.01g、カプリリルメチコン(FZ−3196)を100g、IPA100gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら室温で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のIPA溶液(Pt濃度0.4wt%)を0.40g添加した。68℃にセットしたオイルバスで加温しながら5時間反応を行なった。反応液を2g採取し、アルカリ分解ガス発生法により確認したところ、反応は完結していた。
【0199】
ステップ2:
反応器の内容物に対し、硫酸水素ナトリウム一水和物0.015gを精製水1.5gに溶かした水溶液を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら70〜80℃で30分間の酸処理を行った。その後、減圧下70℃で水及び低沸分を溜去し、系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理1回目)。次いで、水1.5gを添加して同様に30分間の処理を行った後、水その他の低沸分を溜去し、系内の水滴が消失したところで復圧した(酸処理2回目)。再度同じ操作を繰り返す(酸処理3回目)ことによって、平均組成式:MD
360D
R*2218Mで表される長鎖アルキル基を含有しない高分子量ジグリセリン変性シリコーンと、カプリリルメチコンとを質量比1:1で含有する組成物196gを、淡褐色不透明粘稠液体として得た。
式中、R
*22=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−Hの平均組成式で表されるジグリセリン部分
【0200】
上記の方法で合成した本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.1及びNo.2」、「長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.3及びNo.4」、並びに、比較例に係る「シリコーン化合物RE−1」〜「シリコーン化合物RE−4」の平均組成式等を表1に示す。
【0201】
【表1】
【0202】
表1中、官能基の分類及び構造は以下の通りである。
<シロキサン分岐基:R
*3>
R
*31= ―C
2H
4Si(OSiMe
3)
3
R
*33= −C
2H
4SiMe
2(OSiMe
2)
6OSiMe
3
R
*32=
【化36】
<親水性基:R
*2>
R
*21= ―C
3H
6OCH
2CH(OH)CH
2OH
R
*22=−C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
2−H
R
*23= −C
3H
6O−(C
3H
6O
2)
3−H
<その他の疎水性有機基:R
*1>
R
*11= −C
10H
21
R
*12= −C
12H
25
R
*13= −C
16H
33【0203】
[実施例5〜15及び比較例5〜17]
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたシリコーン化合物を用いて、表2〜表4に示す組成の油中水型エマルション組成物を下記のとおり調製し、以下の評価基準により、油相の均質性(油剤と乳化剤との相溶性)、エマルション組成物の粘度(各シリコーン化合物の増粘性乳化剤としての効果)、乳化粒子径及びその安定性を評価した。結果を表2〜表4に併せて示す。なお、表中、部は重量(質量)部を示す。また、表3および表4において、他の実施例又は比較例との対比および一覧性の見地から、実施例7と比較例12を重複して記載している。
【0204】
[油中水型エマルション組成物の調製方法]
1.200ml容器に、油剤及び乳化剤としてのシリコーン化合物を仕込んだ。
2.撹拌と必要に応じて加温を行い、乳化剤を油剤中に均一分散又は溶解させた(油相A)。
3.別の容器に食塩とイオン交換水とを仕込み、スパチュラで混合して溶解させた。更に、1,3−ブチレングリコールを混合して溶解させた(水相B)。
4.ホモディスパーの鋸歯を油相Aに浸し、1000rpmで攪拌しながら、室温下に水相Bをほぼ定速で約45秒かけて油相A中に注ぎ込んだ。
5.ホモディスパーの回転数を3500rpmまで上げ、2分間撹拌し内容物を均質に乳化した。
6.ホモディスパーを一旦止め、容器の内壁に付着した油分をへらで掻き落とし、エマルションと混合した。
7.ホモディスパーの回転数3500rpmで3分間攪拌を行い、内容物を均質に乳化した。
【0205】
[油相Aの均質性の確認]
以下の評価基準で、油相Aの均質性すなわち乳化剤と油剤系との相溶性を評価した。
◎: 透明〜ほぼ透明な均一液体
○: 半透明な均一液体
△: 不透明〜僅かに半透明感のある概ね均一な分散液で、若干の分離傾向にある
×: 乳化剤が油剤と全く相溶せずに、分離沈降或いはスカム状となり浮遊している
【0206】
[粘度の測定]
乳化剤としてのシリコーン化合物のエマルションの増粘安定化効果を評価するため、各油中水型エマルション組成物の25℃における粘度測定をE型粘度計により行った。
【0207】
[乳化粒子径の測定と安定性評価]
各油中水型エマルション組成物を、調製した翌日、及び、50℃で1ヶ月静置した後に、光学顕微鏡で観察(1000倍)及び写真撮影を行い、重量平均粒子径を画像解析ソフトを用いて算出した。これにより、初期と経時での乳化粒子径の安定性を評価した。なお、粒子合一が認められた場合には、その旨を表中に記載した。
◎: 乳化粒子径の変化が少なく、合一の兆侯も認められない。
○: 乳化粒子径が若干増大している可能性があるが、はっきりした合一は認められない。または、乳化粒子径の増大があっても全体的に粒子サイズが小さく、乳化系は保持されている。
△: 一部で粒子合一があったと考えられ、最大サイズの乳化粒子径が明確に増大している。
×: 多くの粒子で合一が生じており、乳化が壊れつつある(乳化自体ができてない場合も×とした)。
【0208】
[エマルションの増粘或いは粘度評価]
自在に可能:乳化剤により、エマルション粘度を高いレベルに保持できる。或いは、分子量の異なる2種乳化剤の組み合わせ使用によりエマルション粘度を低粘度〜高粘度まで調節が可能。
困難:乳化剤により低粘度のエマルションのみが得られる。高粘度エマルションを得るためには、別途オイル増粘剤やゲル化剤の併用が必要である。
×:そもそも安定なエマルションが形成できていない。
【0209】
【表2】
【0210】
【表3】
【0211】
【表4】
【0212】
以上の結果より、本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンNo.1及びNo.2は、油相を連続相とする場合の純粋な乳化分散性能及び増粘効果に著しく優れており、特に、油相が、シリコーン油、又は、シリコーン油とエステル系油剤との混合油の場合だけでなく、従来のグリセリン変性シリコーンによっては安定化が極めて困難であったミネラルオイル、イソヘキサデカン等の非極性有機油が主体の場合であっても、水(又はポリオール)相を微細かつ安定に乳化分散し、高粘度エマルションを形成することが可能であり、経時や熱によっても安定性に優れた信頼性の高い組成物を与えることのできるという、優れた特性を有することが分かる。ここで、実施例8において、乳化物粘度が他の実施例に比べて低い値(32[Pa・s])であるが、これは、乳化されるイソヘキサデカン(軽質流動イソパラフィン)が非極性かつ極めて低粘度(25℃において、4[mPa・s])であるためであり、このように低粘度の非極性油剤であっても、安定な高粘度エマルションを形成できることが分かる。また、これらの結果より、本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン2種類、すなわち数平均分子量はほぼ同じであるがアルキル基含有量の異なる(対応可能な油剤種のレンジが異なる)No.1及びNo.2を適当な比率で併用して乳化に用いることも可能であり、好ましい手法であると言える。
【0213】
更に、本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンと、数平均分子量20,000未満である特定の長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンであるシリコーン化合物No.3又はNo.4とを、所望の比率で併用する手法{すなわち、単独での乳化性能に著しく優れた、分子量の異なる2種類の前記乳化剤を組み合わせて油中水(或いはポリオール)型エマルション組成物の処方設計を行う手法}により、別途オイル用増粘剤を用いることなく当該エマルションの粘度領域を任意かつ容易にコントロールすることができると共に、従来のグリセリン変性シリコーンによっては安定化が極めて困難であったミネラルオイル、イソヘキサデカン等の非極性有機油が主体の系であっても、水(又はポリオール)相を微細かつ安定に乳化分散させた、経時や熱によっても安定性に優れた信頼性の高い組成物が得られることがあわせて実証された。すなわち、この手法によって、油剤種への幅広い対応力に加えて、得られる乳化物の粘度領域に関しても幅広い対応力を発揮できる、ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない実用的なW/O乳化剤(或いは乳化剤組成物)を提供することができる。
【0214】
したがって、本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等を含有する油中水(又はポリオール)型エマルション用乳化剤は、その優れた特性により化粧品や外用剤等最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流に合致し、ポリオキシエチレン部を含有する化合物を含まないにもかかわらず優れた安定性と使用性、感触とを兼ね備えた油中水型(或いは油中ポリオール型)エマルション外用剤乃至は化粧料、或いは当該エマルション組成物を含有する信頼性の高い外用剤ないしは化粧料を実現することを可能とする。乳化剤とは、エマルション処方の基本骨格を成す重要な位置づけの材料であることから、本技術の完成はPEG−FREEの実用的なW/O乳化システムが完成したことを意味する。
【0215】
なお、実施例15の技術{乳化剤として、単独での乳化性能に著しく優れかつ低粘度で安定な乳化物を与えることの出来る、特定の長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンを2種類用いて、油中水(ポリオール)型エマルション組成物或いは化粧料等を設計及び製造する技術}は、これ単独ではエマルション組成物の粘度を高い領域にコントロールする自由度が低いことが分かる。しかし、化粧料や外用剤の用途により低粘度で安定な乳化物が求められるケースや、乳化工程中に粉体成分の油相中への微分散も同時に実施が求められるケース(所謂、乳化剤を粉体表面処理剤や粉体分散剤としても機能させたいケース)もあり、こうした場合には実施例15の技術を利用することが適している。主たる乳化剤に補助的乳化剤を併用する従来の考え方ではなく、2種類の優れた乳化剤を組み合わせて乳化システムに配合する手法に大きな利点があると考えられる。これにより、最終製品である化粧料や外用剤の安定性不良(分離や凝集等、消費者にも容易に判別できる外観上の明白な異常)による製品回収リスクを低減させることができる。2種以上の乳化剤を使用する場合は、1種のみを使用する場合に比べて、ある乳化剤が原因となって最終製品の品質全体に影響を与える可能性をより低減することができる。このような観点からは、2種類の長鎖アルキル基含有ジグリセリン誘導体変性シリコーンの配合比を、概ね4:6〜6:4の範囲内とすることが望ましい。
【0216】
以下、本発明に係る化粧料及び外用剤についてその処方例を示して説明するが、本発明に係る化粧料及び外用剤はこれらの処方例に記載の種類、組成に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0217】
本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等は、様々な外用剤、化粧料に用いることができる。その具体的な処方例としては、特許文献8(WO2011/049248号公報)の実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.16に相当する成分を、上記の本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2又はこれらの適当な比率の混合物)で置き換えたものが挙げられる。更に、特許文献8の実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.16に相当する成分を、上記の本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」と「長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」との混合物(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2と、シリコーン化合物No.3又はNo.4との適当な配合比による組み合わせ)で置き換えたもの等も、本発明に係る化粧料・外用剤の処方例として、本発明の範囲に包含されるものである。
【0218】
なお、界面活性剤や乳化剤に粉体表面処理剤や粉体分散剤の機能をも求める場合には、比較的低分子量の化学構造を有するものを使用するのが好ましい。したがって、特許文献8においてシリコーン化合物No.9〜No.12,No.14,No.15を配合している実施例及び処方例に関しては、これらの化合物を本発明に係る「長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」(一例として、シリコーン化合物No.3又はNo.4又はこれらの適当な比率による混合物)により置き換えて使用するのが最も適している。一方、特許文献8においてシリコーン化合物No.1〜No.8,No.13,No.16を配合している実施例及び処方例に関しては、これらの化合物を本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2又はこれらの適当な比率の混合物)により、又は、当該長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンと本発明に係る「長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」との混合物(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2と、シリコーン化合物No.3又はNo.4との適当な配合比による組み合わせ)により置き換えて使用するのが最も適している。これにより、各種化粧料や外用剤の効果の向上が期待されると共に、長期保存安定性という観点での信頼性も向上する。
【0219】
また、特許文献8(WO2011/049248号公報)に記載した実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.16に相当する成分を、上記の本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等で置き換え、更に当該処方中にポリオキシエチレン基やポリオキシエチレン部を含有する化合物が使用されている場合にはそれらを非PEG構造の任意の代替材料又は本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等に置き換えて得られる処方も、本発明に係る化粧料・外用剤の処方例として、好適に本発明の範囲に包含されるものである。例えば、当該処方例においてポリエーテル変性シリコーンを用いている組成においては、当該材料を本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンにより、又は、これと本発明に係る長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンとの混合物により置き換えることによって、PEG−FREE処方を設計及び実用化することができる。
【0220】
具体的には、特許文献8は、本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等により置き換え可能あるいは追加可能な組成として、乳液、リップグロス、油性ファンデーション、油中水型エマルション透明制汗剤組成物、非水のスティック状制汗剤組成物が実施例等に開示されている他、段落0459〜0501に、以下の処方例が開示されている。本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等を用いることにより、剤型がW/Oエマルションの場合には経時や温度に対する安定性が更に向上する。また、シリコーン油のみならず幅広い有機油への対応力に優れることから、非水の処方や粉を含む処方においても均質性や配合安定性が更に向上し、化粧料としての効果や品位が高まる。特に特許文献8に開示された用途、処方については、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンであって、比較的低分子量または低重合度〜高重合度のポリシロキサン鎖を有する広い範囲の構造でも、幅広く組成上の置き換えあるいは追加が可能な点で有用である。
【0221】
[例1 乳化ファンデーション][例2 液状ファンデーション][例3 ファンデーション][例4 油中水型クリーム][例5 油中水型乳化組成物][例6 油中水型乳化口紅(液状)][例7 液状口紅][例8 口紅][例9 日焼け止め乳液][例10 乳液][例11 サンカットクリーム][例12 UVカット油中水型乳液][例13 サンスクリーン剤][例14 油中水型乳化サンスクリーン][例15 O/Wクリーム][例16 アイシャドウ][例17 マスカラ][例18 マスカラ][例19 固形パウダーアイシャドウ][例20 プレストパウダー化粧料][例21 パウダーファンデーション][例22 プレスドファンデーション][例23 クリーム][例24 ファンデーション][例25 油中水乳化型日焼け止め料][例26 リップスティック][例27 口紅][例28 ファンデーション][例29 制汗エアゾール化粧料][例30 非水加圧制汗剤製品][例31 エアゾール型制汗剤組成物][例32 制汗ローション組成物][例33 W/Oエマルション型皮膚外用剤][例34 非水制汗デオドラントスティック組成物][例35 W/O固形制汗スティック組成物][例36 W/Oエマルション型制汗クリーム組成物][例37 マスカラ][例38 アフターシェーブクリーム][例39 固形状ファンデーション][例40 日中用美白クリーム][例41 サンタンクリーム][例42 ポリオール/O型非水エマルション皮膚外用剤][例43 ポリオール/O型非水エマルション皮膚外用剤]
【0222】
また、特許文献9(WO2011/049247号公報)の実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.14に相当する成分を、上記の本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2又はこれらの適当な比率の混合物)で置き換えたものも、本発明に係る化粧料・外用剤の処方例として、本発明の範囲に包含されるものである。これにより、各種化粧料や外用剤の効果の向上が期待されると共に、長期保存安定性という観点での信頼性も向上する。
【0223】
更に、特許文献9(WO2011/049247号公報)の実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.14に相当する成分を、上記の本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」で置き換え、更に当該処方中にポリオキシエチレン基やポリオキシエチレン部を含有する化合物が使用されている場合にはそれらを非PEG構造の任意の代替材料に置き換えて得られる処方も、本発明に係る化粧料・外用剤の処方例として、好適に本発明の範囲に包含されるものである。例えば、当該処方例においてポリエーテル変性シリコーンを用いている組成においては、当該材料を本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーンにより、或いは、これと本発明に係る「長鎖アルキル基含有低分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」との混合物により置き換えることによって、PEG−FREE処方を設計及び実用化することができる。
【0224】
具体的には、特許文献9は、本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等により置き換え可能な組成として、リップスティック、ゲル状組成物、乳化化粧料、油中水エマルション型透明ソフトゲル制汗剤が実施例等に開示されている他、段落0375〜0400に、以下の処方例が開示されている。本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等を用いることにより、剤型がW/Oエマルションの場合には経時や温度に対する安定性が更に向上する。また、シリコーン油のみならず幅広い有機油への対応力に優れることから、非水の処方や粉を含む処方においても均質性や配合安定性が更に向上し、化粧料としての効果や品位が高まる。特に特許文献9に開示された用途、処方については、本発明に係るジグリセリン誘導体変性シリコーンであって、比較的高分子量または高重合度のポリシロキサン鎖を有する構造において、好適に組成上の置き換えあるいは追加が可能な点で有用である。
【0225】
[例1 口紅][例2 リップスティック][例3 口紅][例4 口紅][例5 油性固形アイシャドウ][例6 アイライナー][例7 ファンデーション][例8 ファンデーション][例9 ゲル状化粧料][例10 クリーム状乳化化粧料][例11 ペースト状乳化化粧料][例12 エアゾール制汗剤組成物][例13 ゲル状制汗スティック][例14 油性ジェル型クレンジング剤][例15 ゲル状制汗剤スティック][例16 ゲル状消臭剤スティック][例17 ゲル状クリーム][例18 ゲル状リップクリーム][例19 マスカラ][例20 ゲル状アフターシェーブクリーム][例21 固形状ファンデーション][例22 ゲル状日中用美白クリーム][例23 ポリオール/O型非水ゲルエマルション皮膚外用剤][例24 ポリオール/O型非水ゲルエマルション皮膚外用剤]
【0226】
更に、特許文献10(特開2012−046507号公報)の実施例等に開示された各種化粧料・外用剤の処方例中のシリコーン化合物No.1〜No.8に相当する成分を、上記の本発明に係る「長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン」(一例としてシリコーン化合物No.1又はNo.2又はこれらの適当な比率の混合物)で置き換えたものも、本発明に係る毛髪化粧料・外用剤の処方例として、本発明の範囲に包含されるものである。これにより、各種毛髪化粧料・外用剤の効果の向上が期待されると共に、長期保存安定性という観点での信頼性も向上する。
【0227】
具体的には、特許文献10は、本発明に係る長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等により置き換え可能な組成として、ヘアコンディショナー、シャンプー、ヘアクリーム(セットタイプ)が実施例等に開示されている他、段落0275〜0307に、以下の処方例が開示されている。本発明の長鎖アルキル基含有高分子量ジグリセリン誘導体変性シリコーン等を用いることにより、各種毛髪化粧料・外用剤の効果の向上が期待されると共に、長期保存安定性という観点での信頼性も向上する。
【0228】
[例1 シャンプー][例2 コンディショナー][例3 ヘアトリートメント リンスタイプ][例4 ヘアトリートメント リーブオンタイプ][例5 ヘアミスト][例6 ヘアフォーム][例7 ヘアスプレー][例8 ヘアワックス][例9 ヘアクリーム][例10 ヘアローション][例11 ヘアオイル][例12 ヘアカラー 酸化タイプ][例13 ヘアマニキュア][例14 パーマ]