(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体の内周面に対向する前記回転ブレードの外端の周方向の形状は、前記誘電体バリア放電が該回転ブレードの外端の周方向に沿って均等に発生するように構成されてなる、請求項1〜5のうちいずか一項記載の流体機械。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のプラズマアクチュエータとしては、例えば、
図40に示すように、誘電体として樹脂、セラミック等の平板状の絶縁体51を挟んで、その両面に表面電極52と裏面電極53を設けたシート状のプラズマアクチュエータが知られている。
このようなプラズマアクチュエータは、表面電極52と裏面電極53に交流電源54を接続し、交流電界を発生させることにより、表面電極52の縁部55から絶縁体51の表面に沿ってプラズマジェット56を発生させるものである。
こうして発生した表面プラズマにより周囲の気体が誘導され、誘起気流57が発生するため、翼の揚力制御等に、この作用を有効に利用する研究がなされている。
【0003】
その一つとして、例えば、
図40の(d)に示すような翼58の表面における、翼面から空気流が剥離しやすい部分に、前述のような表面プラズマ発生装置59を設けるものがあり、同図には翼の表面に上部電極52を1列に形成したものが示されている。
【0004】
表面プラズマ発生装置59を用いると、前述の原理により表面側電極52の縁部55に表面プラズマが生成され、プラズマジェットが発生する。このプラズマジェットが、この翼58の表面を流れる気流に対し,誘導気流の発生原理によって影響を与え、この部分に生じやすい剥離を防止することができる。
特に表面プラズマ発生装置は、機械的な作動部分がないため、故障しにくく長期にわたり安定して作動させることができるものである。
【0005】
このように、プラズマアクチュエータは、翼表面流の剥離防止用デバイスとして採用されている。そのほかにも、流体流を用いる各種機器の剥離防止や乱流防止のため、更には宇宙空間を飛行する飛行体の推進源として、可動部分がないこと、小型軽量であること等の特性を備えていることに着目して、その開発が進められている。
【0006】
プラズマアクチュエータにおいては、特に
図40の(a)に示すように、交流電源54を制御装置60によって制御可能とし、且つセンサ61によって気体速度や温度を検出して、その検出信号に基づいて制御装置60が交流電源94を制御することにより、そのときの条件に対応して表面プラズマを発生させることができるようになっている。
【0007】
このときの制御信号としては、
図40の(b)の例では、交流パルスを図示の例では1/15秒間出力するようにし、その後13/30秒間休止してから同じ交流パルスを出力している。より強いプラズマジェットを発生させ、周囲に流速の早い誘起気流を発生させようとするときには、
図40の(c)に示すようにパルスの供給時間を多くするデューティ比制御を行うことにより対応することができる。
【0008】
なお、特許文献1には、プラズマアクチュエータの電極に印加する電圧の立ち上がり速度を適切に設定することにより、高速の表面プラズマを安定して発生させる技術が、特許文献2には、高温場でも安定して作動可能なプラズマアクチュエータが、特許文献3には、プラズマアクチュエータをオゾン発生装置に利用する技術が、そして、特許文献4には、プラズマアクチュエータを氷結防止装置に用いる技術がそれぞれ開示されている。
【0009】
また、下記特許文献5には、パンタグラフの主要部品を中空箱状の集電用舟体内に収容することにより、また、下記特許文献6には、パンタグラフのアーム部をカバーで覆うことにより、騒音気流の発生を低減することが開示されている。
【0010】
下記特許文献7には、タービンブレードの端部から圧縮空気をチップクリアランスに向けて噴射させ、ブレードを高温から保護するとともに、チップクリアランス渦を低減するためのプレートを設けることにより、最適なチップクリアランスを維持することが示されている。
【0011】
下記非特許文献1には、チップクリアランス内の流れの可視化と翼列出口での圧力測定によって、タービン翼列の先端にプラズマアクチュエータを設置した場合の効果が示されている。このプラズマアクチュエータによって漏れ渦の発生を抑制し、損失を最大で9%低減できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように、平板状の絶縁体51を挟んで、同じく平板状の上部電極52と下部電極53を設けた、シート状プラズマアクチュエータでは、3枚の平板を積層することにより、相応の剛性を有することになる。このため、ガスタービンや風車のタービンブレード等、3次元形状の曲面に適用しようとすると、ねじれによりシワや凹凸が発生するため、気流を乱す原因ともなり、所期のプラズマアクチュエータ効果を得ることができない。
また、積層した3枚の平板は、所要の厚さ、面積を要し、高速流に影響を与える面積が広いため、翼表面を流れる気流に対し、空気抵抗、気流を乱す原因ともなり、シート状プラズマアクチュエータ自体が剥がれてしまうという問題があった。
【0015】
この問題を解決するため、シート状プラズマアクチュエータのうち、電極部近傍のみ切り出し、所望の位置のみに貼付すれば、3次元形状でも、ある程度はシワや凹凸なく設置できる。
しかし、表面電極と裏面電極間の距離を十分保たないと、沿面放電により短絡しやすくなるので、絶縁層をできるだけ広くするとともに、電極間の最短距離をできる限り大きくする必要がある。
【0016】
通常の乾燥空気中に設置され、短絡する環境ではない場合でも、空気に水滴や荷電粒子が混じっている場合には、特に短絡が起こりやすくなり、プラズマアクチュエータ自体からイオンが生成されるため、沿面放電により裏面電極へパスが形成され、短絡する可能性もある。
【0017】
さらに、シート状プラズマアクチュエータを設置する筐体が絶縁性物質の場合、表面電極を接地、裏面電極を高電圧側にすることで安全性を確保できる一方、上記の沿面放電を防止するため、筐体をできる限り絶縁層で覆う必要があり、その結果として重量増を招いてしまう。
シート状プラズマアクチュエータを設置する筺体が導電性物質の場合、すなわち、接地する筐体が導電性物質(金属)である場合、アークの問題はさらに発生しやすくなり、表面電極に高電圧高周波信号を入力して裏面電極を接地する場合、表面を絶縁層でカバーしない限り、荷電粒子、水滴(雨)などにより短絡の危険性が大幅に増加する。
【0018】
表面電極と筐体を接地することで、安全性をある程度改善することができるが、裏面電極と筐体の絶縁を確実に維持することが必要となるため、筐体と裏面電極の間に追加的な絶縁層が必要となる。しかも、この絶縁層は、要求される絶縁性に応じて厚くする必要があるため、その分重量が増加し、気流に対する悪影響がさらに増大する。
また、導電性物質からなる筐体では、すべてが接地側になるため、表面電極の片側だけにプラズマを誘起させることが困難になり、一方向性噴流を誘起するにはさらなる工夫が必要である。さらに、裏面電極と筐体が近いため、プラズマが生成されない配線部でも電気容量が大きくなる。
【0019】
裏面電極から短絡を防ぐためには、その表面を筐体に強力に接着してシールすることが必要となるが、シート状プラズマアクチュエータへ電力供給するための配線が必要であり、その場所での端面の絶縁処理が必要となる。
【0020】
また、プラズマアクチュエータを熱交換器等に適用すれば、剥離抑制や流体の混合促進(乱流化)により、熱伝達率を向上させることが可能であるが、熱交換器にシート状プラズマアクチュエータを貼り付けることで、熱交換部分が覆われ、熱交換効率が悪化し、逆に熱交換器の性能を低下させることになりかねない。
【0021】
ガスタービンのブレードに適用する場合でも、タービン冷却機構等の妨げになり、また、シート状プラズマアクチュエータを貼ることで、ブレード形状そのものが変わることが問題になる。
これを防止するため、筐体に凹部を形成するなどにより、シート状プラズマアクチュエータをフラッシュマウント化しようとすると、表面電極の裏側配線が必要となり、これが局所的に気流を乱す原因ともなり得る。
【0022】
シート状プラズマアクチュエータを翼型全面に貼り付ける場合、シートで翼を形成する筐体全体を覆うことで、翼の曲率を維持した上で、短絡に対して安全性を向上できる反面、膜厚分の形状が変化してしまう。また、局所的にシート状プラズマアクチュエータが破損した場合でも、シート全体を交換する必要があるため、シートをブレード全体に装着することは実用上現実的ではない。
【0023】
一方、例えば、キャブが後端で垂直壁となっているトラックのように、走行中の空気流に対して垂直に落ち込むようなステップ部分を有する自動車では、ステップ部分の後方で空気流が剥離し、ステップ部分の背面で低速域が形成されて、車体正面のよどみ点圧力より低い低圧領域が形成される。
この圧力差により車体には圧力抗力(もしくは形状抗力)が生じ、燃費悪化を招く。
また、ステップ部分の後方では大規模な振動流れが形成されるため、車体のふらつきの原因となり、安定走行に悪影響を与えるだけでなく、渦の発生による抗力(誘導抗力)が生じ、圧力抗力同様に燃費増の原因となる。
したがって、ステップ部分の背面に形成される低圧領域の低減と、後流の振動を抑制させることが車体の空力特性、環境特性を向上させる有効な手段となる。
【0024】
これを実現する手段としてプラズマアクチュエータは非常に有効であるが、低速領域や振動流れを減少させるためには、ステップの電極近傍で流れ方向や上下方向にジェットを導入することが必要であり、ステップ部分、すなわちトラックの場合、キャブ天面部の後端角部にプラズマアクチュエータを設置することが必要である。
このため、シート状プラズマアクチュエータでは、キャブ天面部の後端角部で折り曲げて接着する必要があり、平板状の絶縁体が破損して絶縁破壊が発生したり、走行中の振動で損傷を受けやすい。
【0025】
さらに、高速列車の集電装置(パンタグラフ)も,集電用舟体やこれを架線に向けて上昇させ、集電用舟体を架線に接触させる円柱構造のアームの後方では、空気流が剥離して、振動流れ、カルマン渦が形成される。この現象は高速になるにつれ顕著になり、騒音レベルが増大するため、こうした振動流れやカルマン渦を抑制できれば、騒音を大幅に低減させることが可能になる。
【0026】
そこで、本発明の目的は、風力発電・航空機・ガスタービン等の3次元形状の翼型や、トラック等の自動車外壁や高速列車のパンタグラフに対しても、プラズマアクチュエータを簡単に取り付け可能とし、しかも、取り付け面積を最小限とすることにより、しわ等を発生させることなく、最適位置にピンポイントに搭載可能とすることにより、空力特性やエネルギー効率の向上を図るとともに、プラズマアクチュエータの利用範囲を飛躍的に高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の一態様によれば、回転ブレードと、上記回転ブレードを内蔵する筐体と、上記回転ブレードの外端に対向する上記筐体の内周面に、周方向に沿って形成した凹部に配置された、導電ワイヤと絶縁材料の被覆とを有する絶縁被覆導線と、を備え、上記導電ワイヤと上記回転ブレードとの間にパルス電圧を印加することにより、上記絶縁被覆導線と上記回転ブレードの外端との間に誘電体バリア放電を発生させ、上記筐体の内周面と上記回転ブレードの外端との間のチップクリアランスから作動流体が漏洩するのを防止可能な、流体機械が提供される。
【0028】
上記絶縁被覆導線は、上記筐体の内周面の3次元形状に柔軟に配設可能であることが好ましく、上記凹部内に接触して配置されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)本発明によれば、絶縁被覆を施した導電性ワイヤをプラズマアクチュエータの材料として用いることにより、ワイヤ式プラズマアクチュエータが形成され、従来のシート状プラズマアクチュエータと比較して取付位置の柔軟性が高く、様々な形状の3次元形状の筺体に対しても簡単に装着することが可能となる。
(2)装着する筺体が金属の場合、筺体自体を接地側の電極とすることで安全性を確保できるうえ、高電圧を印加する電極は予め絶縁被覆されているため、短絡の危険性を著しく低減できる。
(3)絶縁被覆を施した導電ワイヤに対し、外側を部分的に導電性塗料を塗布するか、プラズマ生成を阻害する絶縁被膜を設置することにより、一方向流れを生成することができる。
(4)筺体とは別に絶縁被覆されていない導電性ワイヤを表面電極として用いれば、3次元空間で様々な場所で噴流を誘起できる。これは絶縁性の筺体にも応用できる。
例えば一部分だけに流れを誘起したい場合は、絶縁被覆された導電ワイヤと絶縁被覆されていない導電ワイヤの距離を最小化することで、誘電体バリア放電を発生させることができる。
一方、誘電体バリア放電及び流れを誘起することが望ましくない場合には、それぞれの導電ワイヤの距離を離すことで解決でき、また結果として静電容量が減少するためプラズマアクチュエータの駆動電力を低減することができる。
(5)端面には高電圧印加用の電極になっている導電ワイヤが剥き出しになっており、短絡してしまう可能性があるため、端面の絶縁処理が必要であるが、例えばシリコンゴムや絶縁性塗料、レジストなどを塗布することにより低コストで短絡を確実に防ぐことができる。
これまでの2次元シート状のプラズマアクチュエータでは、端面は切り取ったエッジの長さになるのに対し、本発明のワイヤ式プラズマアクチュエータは、導電ワイヤと絶縁被覆の断面積だけであり、シートに比べて端面処理を行うべき面積が圧倒的に少ない。
(6)フラッシュマウントを維持するために、電極の埋め込みを行う場合、絶縁被覆を施した導電性ワイヤであれば、断面積が小さいため、筐体に必要最小限の凹部を形成すること等により、簡単に取り付けることができ、しかも、破損した場合でも容易に交換でき、コスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
【0032】
[実施例1](絶縁材筐体へ適用する場合)
図1は、実施例1の全体構成を示している。この実施例は、本発明のワイヤ式プラズマアクチュエータを、絶縁材により形成された筐体に取り付け、その表面に誘起気流を発生させるようにしたものである。
絶縁材筐体1に凹部2を形成し、図において、この凹部2の左端に沿って、例えば、テフロン(登録商標)被覆された銅線からなる絶縁被覆導線3を配置し、これを絶縁パテ4などで凹部2に埋め込み、絶縁材筐体1の周辺表面と均一な面を構成するよう、フラッシュマウント化している。なお、本実施例のように、筐体が絶縁材からなる場合は、テフロン被覆された銅線等、必ずしも、導電ワイヤに絶縁被覆を施す必要はないが、この導電ワイヤには高電圧が印加されるため、内部あるいは絶縁材筐体1からの取り出しの際に短絡が発生する可能性がある場合には、絶縁被覆導線3を採用することが好ましい。
【0033】
一方、絶縁材筐体1における凹部2の左端縁に沿う表面には、銅などの導線性金属で薄膜に形成したテープ状電極5を貼付し、このテープ状電極5と絶縁被覆導線3との間に、高電圧高周波信号を印加する。なお、高電圧高周波信号の電圧、周波数については、従来のプラズマアクチュエータとほぼ同様の値でよく、印加時間やデューティ比制御についても従来の技術を適用できる。
なお、この実施例では、薄膜に形成したテープ状電極を用いたが、絶縁被覆導線3に対する位置を一定に維持できる場合には、幅を最小限にとどめ、線状の薄膜電極を用いてもよい。
【0034】
そうすると、
図2の実際の計測結果に示すように、絶縁被覆導線3とテープ状電極5との間で、プラズマ放電が発生し、右向き(
図1では矢印の方向)、すなわち、絶縁被覆導線3が位置する絶縁材筐体1における凹部2左端から右向きに、表面プラズマによる強力な誘起気流が発生することが実験で確認された。
【0035】
なお、
図3に示すように、絶縁材筐体1に形成した凹部2内に絶縁被覆導線3を左右両端に埋め込み、絶縁材筐体1の周辺表面と均一な面を構成するよう、絶縁パテ4によりフラッシュマウント化し、絶縁パテ4の表面に、両絶縁被覆導線3の内端近傍に到るよう銅などの導線性金属で薄板状に形成したシート状電極6を貼付してもよい。
こうすることで、左右両側の絶縁被覆導線3とシート状電極6との間に高電圧高周波信号を印加すると、左右両側に表面プラズマによる誘起気流が発生させることができる。
【0036】
なお、特に、絶縁材筐体1の表面に対する空力特性に大きな影響を及ぼさない場合、絶縁材筐体1に凹部2を形成することなく、
図4に示すように、絶縁被覆導線3を直接貼付し、その左側下端に接触するように、テープ状電極5を絶縁被覆導線3に貼付すると、
図5に示すように、左向きの表面プラズマによる誘起気流が発生させることができる。この場合でも、絶縁被覆導線3やテープ状電極5として、突出部の少ないものを使用したり、表面との段差部を絶縁パテ4により滑らかな形状とすることにより、絶縁材筐体1の空力特性変化を最小限にとどめることができる。
【0037】
また、
図6に示すように、絶縁被覆導線3を直接貼付し、その左右両側の下端に接触するように、2枚のテープ状電極5を絶縁被覆導線3に貼付すると、
図7に示すように、左右両側に向けてプラズマによる誘起気流が発生させることができる。
【0038】
[実施例2](導電性金属筐体へ適用する場合)
図8は、実施例2の全体構成を示している。この実施例は、本発明のワイヤ式プラズマアクチュエータを導電性金属により形成された筐体に取り付け、その表面に誘起気流を発生させるようにしたものである。
導電性金属筐体7に凹部8を形成し、この凹部8の左端に沿って、例えば、テフロン被覆された銅線からなる絶縁被覆導線3を配置し、これをパテ4などで凹部に埋め込み、導電性金属筐体の凹部周辺の表面と均一な面を構成するよう、フラッシュマウント化した例を示す。
【0039】
アース側に接続された導電性金属筐体7と絶縁被覆導線3の導線との間に、高電圧高周波信号を印加すると、
図8に示すように、絶縁被覆を介して、絶縁被覆導線3と導電性金属筐体7の凹部左側表面との間で、プラズマ放電が発生し、
図9に示すように、導電性金属筐体7の凹部8左側から左向きに、表面プラズマによる誘起気流が発生することが実験で確認された。
なお、この場合も、高電圧高周波信号の電圧、周波数は、従来のプラズマアクチュエータとほぼ同様の値でよく、印加時間やデューティ比制御についても従来の技術を適用できる。
【0040】
なお、導電性金属筐体7に形成する凹部8を絶縁材筐体1の径とほぼ同等にすると、
図10に示されるように、両側に表面プラズマによる誘起気流が発生する。
その他、導電性金属筐体7に凹部8を形成することなく、表面に直接取り付けることもでき、
図11のように、絶縁被覆にガラス管あるいはセラミック管9の内部に、導電性金属筐体7側に偏るように高圧入力用導線11を挿入してもよい。
【0041】
[実施例3](導電性金属筐体表面での位置制御)
この実施例では、導電性金属筐体7の表面に接した状態で、絶縁被覆導線3の位置を制御する。
絶縁被覆導線3は、その両端部が、金属筐体に取り付けたレール等によってスライド可能に支持され、金属筐体の表面に、絶縁被覆導線3の絶縁被覆外面が接した状態を維持して、
図12に示すように、左右に移動可能に設けている。
絶縁被覆導線3の導線と金属筐体との間に高電圧高周波信号を印加することにより、絶縁被覆導線3の両側に発生する表面プラズマによる誘起気流が発生させることができ、絶縁被覆導線3の位置を左右に調整することにより、金属筐体の表面に流れる空気流の向きや速度に応じて、手動あるいは、リニアモータ等の電動モータ等を使用して、最適な位置に調整することが可能となる。なお、絶縁材筐体に適用する場合には、絶縁被覆導線3の下端にテープ状電極5を一体化することによりユニット化して、このユニットを左右に位置調整可能に取り付ければよい。
【0042】
[実施例4](複数配置した絶縁被覆導線の移動)
この実施例では、
図13に示すように、金属筐体の表面に接した状態で、複数の絶縁被覆導線3を配置し、絶縁被覆導線3と金属筐体との間に高電圧高周波信号を印加した状態で、各絶縁被覆導線3を移動させる。そうすると、上方から各絶縁被覆導線3の両側に発生する表面プラズマが発生し、
図13において、隣り合う各絶縁被覆導線3の両側から中心部に向かい、互いに衝突して上昇する誘起気流を発生させることができる。
そして、各絶縁被覆導線3を同一方向に同一移動速度で移動させると、
図13に示すように、t0からδt毎に、金属筐体の表面において発生する誘起気流の方向をシフトさせることができる。
【0043】
例えば、送風ダクトのように、矩形あるいは円形のダクト内部における流れ(平板に囲まれたチャネル流れ)において、流体とダクト内面との摩擦抵抗を低減させ、流体速度の低下を防止することは、広く知られた課題であり、エネルギー効率を改善する上で重要である。
この課題を解決するため、従来より、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)の手法を用い、数値モデルを作成し、ダクト表面及び周辺流れの圧力分布を求め、これらの理想分布をシミュレーションすることが行われている。
【0044】
本実施例をこうしたダクトに適用すれば、ダクト内部の流れに与える影響を最小限にした上で、ダクトの形状・大きさ、屈曲部、合流部、分岐部、さらには、流体の種別、速度等に応じて、数値流体力学の手法に基づいてダクト表面及び周辺流れの理想分布を求め、複数の絶縁被覆導線3の配置、上流側あるいは下流側に向けた移動方向、移動速度を設定すれば、これまで困難とされていた理想分布を現実のものとして再現させることが可能となる。
【0045】
(導電ワイヤ、絶縁被覆の素材の選択)
以上の実施例で使用する絶縁被覆導線3は、導電ワイヤ素材とこれを被覆する絶縁被覆素材とからなるが、これらの素材として様々なものを組み合わせることができる。
導電ワイヤ素材として好適な金属素材の代表例を挙げると
図14の表のとおりである。
また、こうした特性の中から、費用対効果、温度、衝撃などの環境に基づいて、最適な導電ワイヤ素材、絶縁被覆素材を選択することが必要である。
【0046】
導電ワイヤ素材として、例えば、銅は材料が安価で、抵抗率が低く導電性がよい。また、絶縁材がポリマー等の柔軟な素材の場合、圧延により両面銅張板を形成できるため、両面エッチング可能によりプラズマアクチュエータが形成できるといった利点がある。さらに、低温環境で使用する場合には、電源供給ケーブルと半田接続することも可能である。
一方、さらに強力な表面プラズマを発生するとともに、消費電力を低減するためには、抵抗率の低いプラチナ、金などが理想的である。しかし、これらは非常に高価であり、耐久性にも問題があるので、銅などの母材表面にこれらの素材をメッキあるいは蒸着することも有効である。
【0047】
また、絶縁被覆素材として好適な金属素材の代表例を挙げると、
図15の表のとおりである。
特に、ポリイミドは、電子回路基板にも使用されており、信頼性がきわめて高く、高温環境でも高い耐久性を有している。また、内径20μm〜2500μmの石英ガラスチューブが開発されている。こうした石英ガラスチューブには、空洞の内部、外部をポリイミド、アクリルなどの絶縁性樹脂で被覆したものもあり、この空洞に導電ワイヤを通すことで、絶縁被覆導線を形成することができる。石英ガラスは、融点が1700℃以上であることから、ガスタービンの燃焼室などにも使用することができる。しかも、石英チューブの一方の開口端を送風機に接続することで、内部に冷却風を循環させた後、他方の開放端から排出することで、一定の温度に管理することも可能で、さらに高温の環境にも使用することができる。
【0048】
サファイアガラスチューブは、石英チューブと比較して、さらに高価となるが、曲げ強度が大きく、しかも、ある程度の柔軟性を有しており、しかも、耐熱温度が1700℃以上であることから、曲面への取り付けを行うガスタービンの燃焼器側をはじめ、様々な機器に適用することができる。
その他、対象物への貼着性、導電ワイヤとの加工性、さらには導電ワイヤと電源供給ケーブルとの接続性などを考慮して、絶縁被覆素材を選択することが必要である。また、絶縁被覆素材を柔軟なシート状とし、複数本の導電ワイヤを所定のパターンで配置し、サンドイッチ状に積層することも有効である。
【0049】
以下、実施例1〜4で説明した、本発明によるワイヤ式プラズマアクチュエータの具体的な適用例について説明する。
【0050】
[実施例5](翼への適用1)
実施例5は、本発明によるワイヤ式プラズマアクチュエータを導電性筐体からなる翼12に適用したもので、
図16、
図17は、翼前端に幅方向に、本発明のワイヤ式プラズマアクチュエータを設置した例を示している。
この場合、翼12は、ジュラルミン等の導電性金属で形成されているため、実施例2が適用され、この実施例では、翼前端に幅方向に沿って、凹部13が形成されている。
【0051】
図17に示されるように、翼12を側方からみたとき、絶縁被覆導線3を凹部13の上端側に沿って配置し、設計上の翼前端形状に合わせて、絶縁パテなどで凹部に埋め込み、フラッシュマウント化している。
そして、絶縁被覆導線3と翼12との間に高電圧高周波信号を印加すると、
図18に示されるように、翼12から翼の上面に沿って、表面プラズマによる誘起気流が発生し、気流の剥離を防止して、安定した揚力制御を得ることができる。なお、絶縁被覆導線3の導線の一端には高電圧高周波信号が印加されている。なお、図では、高電圧高周波信号発生装置が翼12の外部に表示されているが、実際には、翼12の内部、あるいは機体内部に配置されている。
【0052】
[実施例6](翼への適用2)
実施例6は、絶縁材からなる翼12のスパン方向両側に誘導気流を発生させる場合を示し、この例では、
図19の破線に示すように、溝が翼12の表面にジグザグ状に形成されている。
図20は、ひとつの溝をスパン方向の断面図でみたものであり、2本の絶縁被覆導線3がこの溝の幅方向両端に沿って挿入配置され、絶縁パテ4などにより固定、フラッシュマウント化されている。
そして、実施例1の
図3と同様に、絶縁パテ4の表面に、両絶縁被覆導線3の内端近傍に到るよう銅などの導線性金属で形成したシート状電極6を貼付している。
このように構成することで、各絶縁被覆導線3の導線とシート状電極6との間に高電圧高周波信号を印加することにより、スパン方向両側に左右両側に表面プラズマによる誘起気流が発生させることができる。
【0053】
[実施例7](自動車のステップ部分への適用)
この実施例では、自動車のステップ部分における後端角部にワイヤ式プラズマアクチュエータ3を取り付ける。
図21は、トラックに適用した例を示し、キャビンの後端がステップ部分14となっており、これに近接するよう、(a)では、キャビン天井部分の後端付近に、車体幅方向にプレス成形した溝の後端側に沿って、ワイヤ式プラズマアクチュエータを構成する絶縁被覆導線3が配設され、パテによりフラッシュマウントされている。
そして、導電性金属筐体であるキャビンと絶縁被覆導線3の導線との間に高電圧高周波信号を印加することにより、走行風の主流方向に表面プラズマによる誘起気流が発生させることができる。
これにより、キャビンの後端での走行風の剥離流れが低減され、キャビン後壁に形成される低圧領域とキャビン後流の振動流れを低減させることができ、空力特性を改善することができる。
なお、(b)は、導電ワイヤ3を、キャビンの背面上方の凹部下端に取り付けた場合に発生する誘起気流を(c)は、導電ワイヤ3を、キャビンの背面上方の凹部上端に取り付けた場合に発生する誘起気流をそれぞれ示しており、キャビンの空力特性に応じて最適なものを選択すればよい。
【0054】
[実施例8](パンタグラフへの適用)
この実施例では、本発明のプラズマアクチュエータを、パンタグラフに適用し、気流音を低減する。
パンタグラフの集電用舟体としては、絶縁材筐体で形成されたもの、導電性金属で形成されたものがあるが、本実施例では、導電性金属筐体に本発明のワイヤ式プラズマアクチュエータを取り付けた場合を例にして、誘起流が発生する原理を基本構成例を用いて説明する。
【0055】
本実施例では、
図22に示すパンタグラフの集電用舟体15は導電性金属製であり、この集電用舟体15にワイヤ式プラズマアクチュエータとなる絶縁被覆導線3を取り付けた例を示す。なお、鉄道車両の進行方向は、
図22において右向きとする。
集電用舟体15の進行方向前壁には、上方に凹部8(
図6参照)が形成され、その内部上端に絶縁被覆導線3が配置され、凹部8の隙間にパテ4が充填されフラッシュマウント化している。絶縁被覆導線3の一端に、架線から供給された20kV程度の高電圧と接地側とを切り換える高電圧スイッチ16が、集電用舟体15の内部に配置されている。
【0056】
これにより、絶縁被覆導線3が高電圧スイッチ16、アーム17、車体、車輪を介してレールに接地されたとき、表面プラズマにより、矢印の方向に誘起流が発生させることができる。
鉄道車両が高速で走行する際、集電用舟体15の後流には、気流の剥離に伴い、振動流れ、カルマン渦が形成され、騒音レベルは、速度の6乗に比例することが知られている。
図12に示すように、集電用舟体15の前縁からその上面に向けて、進行方向に沿う誘起流を発生させることにより、集電用舟体15の後流で発生する気流の剥離を防止することができ、振動流れ、カルマン渦の発生を抑止し、騒音を低減させることが可能になる。
【0057】
なお、高電圧スイッチ16は、
図23に示すように、車体内部に配置してもよい。
ただし、いずれの場合でも、高電圧スイッチ16と車体間の絶縁を確実に確保する必要がある。この例では、集電用舟体15の進行方向前壁にのみ、絶縁被覆導線3を埋め込んでいるが、一般的には、鉄道車両はターミナルで折り返し運転を行うため、図において、左側の集電用舟体15の後壁にも絶縁被覆導線3を埋め込み、進行方向に応じて切り換えるようにする。
なお、絶縁被覆導線3に印加する電圧として、架線電圧20kV−接地間としたが、架線電圧を変換し、±10kVとすることもできる。
【0058】
なお、この高電圧スイッチ16については、半導体素子などにより高速スイッチングを行うことが好適であり、例えば、100Hz〜100kHzの範囲で基本周波数を定め、この基本周波数の10〜90%程度の駆動周波数により、間欠的に絶縁被覆導線3に架線からの高電圧を印加するようにするとよい。
例えば、基本周波数を10kHz、駆動周波数をその10%に定めた場合、1秒間に基本周波数のうち1kHz分が、架線からの高電圧を絶縁被覆導線3に印加するスイッチングに利用された後、残りの9kHz分は、架線から絶縁被覆導線3への高電圧印加が停止されることになる。一般に、基本周波数が高いほど高速の誘起流が得られ、駆動周波数の比率が高いほどより強力な誘起流が得られることになるが、基本周波数、駆動周波数の比率が高いほど消費電力が増大するため、集電用舟体15の大きさ、形状、さらには、鉄道車両運行時の最高速度等の条件に応じて、発生する剥離が効果的に抑止できるよう、これらを最適値に選定する。
【0059】
例えば、上記のように、基本周波数を10kHzに固定した場合、カルマン渦の周波数は一般的に速度に比例するから、列車の速度が100km/hのときは、駆動周波数を55Hz〜550Hz、200km/hのときは、110Hz〜1.1kHz、300km/hのときは165Hz〜1.7kHzといった範囲で、駆動周波数を選択すればよい。
【0060】
図24は、集電用舟体15の前縁と後縁に、鉄道車両の車体幅方向に絶縁被覆導線3−1、3−2をそれぞれ取り付けるとともに、集電用舟体15の上面に、絶縁被覆導線3−3をジグザグ状に配置し、車体の幅方向に誘起流が発生させるようにした例を示す。
集電用舟体15の上面に、ジグザグ状の凹部を形成し、絶縁被覆導線3−3をこの凹部に沿って配置し、集電用舟体15の上面が均一平面となるよう絶縁パテなどで凹部に埋め込み、フラッシュマウント化している。
【0061】
そして、絶縁被覆導線3−3と集電用舟体15との間に高電圧高周波信号を印加すると、
図24に示すように、集電用舟体15の上面に沿って表面プラズマにより車体幅方向に誘起される誘起流が発生し、集電用舟体15の上面全体にわたり、気流の剥離を防止して、安定した揚力制御を得ることができる。
このとき、
図10に示すように、絶縁被覆導線3−3の軸方向からみて、上方から集電用舟体15の上面に向かい、左右に振り分けられる誘起流が発生する。鉄道車両が高速走行する際、上方から誘起流による大きな運動量を有する流れが集電用舟体15の上面全体にわたり供給され、この上面近傍の小さな運動量の流体が上方に移送されることにより、剥離を効果的に防止することが可能となる。
【0062】
なお、集電用舟体15の前縁(
図24右側端面の上方)においては、絶縁被覆導線3−1を凹部の上端側に、集電用舟体15の後縁(
図24左側端面の上方)においては、絶縁被覆導線3−2を凹部の下端側に取り付けることにより、図示のように、誘起流を発生させることができ、高速走行時に気流の剥離を効果的に防止し、振動流れ、カルマン渦による騒音を低減することが可能となる。
鉄道車両が折り返し運転を行う場合には、各凹部の上端と下端にそれぞれ2本の絶縁被覆導線を配置し、進行方向に応じて切り換えるようにすればよい。
【0063】
剥離の発生する箇所や、その範囲は、集電用舟体15の大きさ、形状、さらには、鉄道車両運行時の最高速度等の条件により異なるため、これらの絶縁被覆導線3−1〜3−3は、設計条件に基づいてシミュレーションを行い、最適配置を行うことが効果的である。
例えば、集電用舟体15の上面と同様に、左右両端面の全面にわたり、絶縁被覆導線をジグザグ状に配置したり、前後両端面の下方側に、鉄道車両の車体幅方向に絶縁被覆導線をそれぞれ取り付けて、集電用舟体15の底面側を回り込むように誘起流を形成することが有効な場合などがあるので、設計条件に適したものを選択すればよい。また、絶縁被覆導線は、スペースを必要としないため、集電用舟体15の上面、底面、前後両端面、左右両端面を配置し、車両の設計条件や、車両速度に応じて、最適なものを選択するようにしてもよい。
【0064】
図25は、アーム17に絶縁被覆導線3を取り付けた例を示しており、アーム17を横向きにした状態で表示したものである。
図において、アーム17の上端と下端に、長さ方向に絶縁被覆導線3を配置することにより、図示のように誘起流を発生させることができ、高速走行時に、アーム17の両端で発生する気流の剥離を効果的に防止し、振動流れ、カルマン渦による騒音を低減することが可能となる。
なお、パンタグラフの集電用舟体が絶縁材筐体で形成された場合には、
図1、
図3、
図6で説明した形態を採用することにより、同様の効果を得ることができる。
【0065】
[実施例9](タービンへの適用)
以下、このようなワイヤ式プラズマアクチュエータを用いて、漏れ渦の制御を可能とした流体機械の圧力損失低減装置の実施例を図面を用いて説明する。
本実施例は、ガスタービンエンジンに適用した例であり、
図26に示すように、導電性の金属製ケーシング(筐体)21の内周に、回転軸22を中心に回転するタービンブレード23と対向するチップクリアランス形成部を覆うよう、回転軸22の軸方向に沿って、絶縁被覆導線24を備えたワイヤ式プラズマアクチュエータ25を所定の幅にわたり設けたものである。なお、この例では、金属製ケーシング21を有するガスタービンにワイヤ式プラズマアクチュエータ25を搭載しているが、もちろん、絶縁性素材で形成されたケーシングを有するガスタービン等の流体機械にも、適用できることはいうまでもない。
なお、このワイヤ式プラズマアクチュエータ25は、高温の燃焼ガスにより回転駆動されるタービンブレード23側のみならず、圧縮機側に設置してもよいが、
図26は、金属製ケーシング21のうち、タービンブレード23との間でチップクリアランスを形成する箇所の内周にワイヤ式プラズマアクチュエータ25を取り付けた例を示している。
【0066】
金属製ケーシング21の内周面には、タービンブレード23の外周に沿って、円弧状の凹部、この実施例ではリング状の凹部26が形成されている。この凹部26は、回転軸22の軸方向に沿って、所定の幅を有しており、回転軸22の軸方向からみて、ブレード3の上流側から下流側の領域を覆うようになっている。この凹部26の内部に、絶縁被覆導線24が配置され、耐熱性の高い接着剤や、絶縁性の材料で形成されたリング状の固定具により固定されている。
【0067】
なお、
図27に示すように、金属製ケーシング21の内周に形成された凹部26に、例えば、絶縁性、耐熱性の高い、アルミナあるいは窒化ケイ素等を原材料としたファインセラミック製あるいは石英ガラスやサファイヤ製の絶縁ガイド27を装着してもよい。
ガスタービンの圧縮機側など、さほど温度条件が厳しくない環境にワイヤ式プラズマアクチュエータ25を設置する場合は、エポキシやウレタン樹脂などを充填することにより、絶縁ガイド27を形成することもできる。
【0068】
なお、絶縁ガイド27の軸方向両端は、その周面が金属製ケーシング21の周面と面一となり、段差が生じることのない形状となっており、軸方向両端間の凹部8にワイヤ式プラズマアクチュエータ25を構成する絶縁被覆導線24が配置される。この実施例では、絶縁被覆導線24は、絶縁ガイド27内側の凹部26内において、軸方向両端間に螺旋状に巻回されているが、後述するように、軸方向に分断して複数配置してマルチチャンネル化し、回転軸22の軸方向に発生させる誘電体バリア放電の発生分布を最適化するのも好適である。
【0069】
また、絶縁被覆導線24は、流体機械の運転中に発生する振動、流速、温度等、取り付け位置の環境に応じて耐久性を確保する必要がある。このため、適用する流体機械に応じて、前述のように、金属製ケーシング21の内周面に形成されたリング状の凹部26や、絶縁ガイド27の軸方向両端間に形成した凹部26に直接に取り付けてもよいし、絶縁ガイド27により凹部26に圧着するようにしてもよい。
さらに、絶縁ガイド27をアルミナあるいは窒化ケイ素等を原材料としたファインセラミックで形成する場合は、絶縁被覆導線24を原材料に埋め込んだ後、円弧状あるいはリング状に成形し焼結を行うことでユニット化し、金属製ケーシング21の内周面に嵌入するようにすれば、装着、交換を容易に行うことができる。
【0070】
また、
図28に示すように、金属製ケーシング21の内周に形成された凹部26を、絶縁ガイド27と同様の素材で成型した絶縁性プレート28により閉鎖してフラッシュマウント化するようにしてもよい。
なお、絶縁ガイド27は、絶縁被覆導線24を保護し、耐久性を高めるとともに、金属製ケーシング21の裏側に発生するプラズマを抑止し、金属製ケーシング21等の破損や、エネルギーロスを防止するため、絶縁被覆導線24の絶縁性をより確実にする機能を奏する。
絶縁ガイド27のみにより十分な絶縁性を確保できる場合には、必ずしも、絶縁皮膜導線24を使用する必要はなく、導電ワイヤをそのまま配置して、絶縁ガイド27自体を絶縁被覆として利用することもできる。ただし、絶縁ガイド27からの取り出し部の絶縁性を確保する観点から、やはり、絶縁被覆導線24を使用することが有利である。
【0071】
高温の燃焼ガスにより回転駆動されるタービンブレード23の翼端に対向するように、絶縁被覆導線24を金属製ケーシング21に配置する場合、絶縁ガイド27を、例えば、耐熱温度1000℃以上のマシナブルセラミックで形成する。圧縮機側の翼端に対向するよう配置する場合は、例えば、耐熱温度200℃程度のテフロン・ベークライトで形成する。
その他、一般的な軸流タイプの送風機、圧縮機、タービン、遠心タイプの送風機、圧縮機、タービンなどの流体機械に配置する場合には、前述のように、エポキシやウレタン樹脂等で形成してもよい。
【0072】
図26〜
図28において、絶縁被覆導線24は、金属製ケーシング21の内周面に形成された凹部26の両端において、金属製ケーシング21の内部を通る裏側配線を介して、高電圧高周波信号を出力する電源回路に接続されている。要は、アースされた金属製ケーシング21、そして回転軸22を介してアースされたタービンブレード23に対し、絶縁被覆導線24に高電圧高周波信号が印加されればよく、各図では、単純な接続構造で絶縁性を確保するため、絶縁被覆導線24の両端が高電圧高周波信号を出力する電源回路に接続されているが、一端は、絶縁プラグ等で絶縁性を確保した上で、金属製ケーシング21の内部に封止するようにしてもよい。
【0073】
このように、タービンブレード23は、回転軸22を介して接地されているので、金属製ケーシング21の内周面に形成されたリング状の凹部26に、周方向に沿って複数配置した絶縁被覆導線24に高電圧高周波信号を印加することで、ワイヤ式プラズマアクチュエータ25とこれに対向するタービンブレード23の外周端との間で誘電体バリア放電が発生し、
図29に示すように、金属製ケーシング21の内周面側に配置された絶縁被覆導線24から、タービンブレード23の外周端に向かう誘起流が発生する。
図29の例では、チップクリアランス形成部を覆うよう、絶縁被覆導線24を螺旋状に9本巻回している。
【0074】
図30の(a)に、絶縁被覆導線24を環状タービン翼列に対向するよう金属製ケーシング21に周方向に設け、可視化するため、金属製ケーシング21の一部をガラス窓とした実際の実験装置を示す。なお、タービンブレード(回転翼)23の翼列と、その上流側のタービン静翼の翼列の画像や、プラズマ発生状態が不鮮明であるため、破線、矢印で明示している。
タービンブレード23を回転させ、絶縁被覆導線24に高電圧高周波信号を印加した際に、
図30の(b)に示されるように、タービンブレード23の外周端にプラズマが発生し、これに伴い、絶縁被覆導線24から、タービンブレード23の外周端に向かう誘起流が発生していることが確認できた。
【0075】
なお、ガスタービンの場合、通常、ブレード先端の周速度は、衝撃波が発生しないように音速(マッハ1)より小さくなるよう設計するのが一般的で、この場合のブレード先端の周速度は300〜400m/s程度である。
そして、チップクリアランスを経由してバイパスしようとする漏れ流れの量は、主流の量に対して数%程度である。絶縁被覆導線24と対向するタービンブレード23の外周端の間に、こうした漏れ渦がチップクリアランスの下流側に漏れるのを抑止するのに十分な誘起流を形成できるよう、絶縁被覆導線24の両端間に印加する電圧、周波数を選定する。
【0076】
図31に、アルミナあるいは窒化ケイ素等を原材料としたファインセラミック製絶縁ガイド27の内部に絶縁被覆導線24を埋め込んで、ユニット化した場合の具体例を示す。
金属製ケーシング21は、チップクリアランス形成部の中央付近で、回転軸22の軸方向に垂直の面内で分割できるよう結合されており、この図の例では、分割された金属製ケーシング21のうち、下流側の端部に切り欠き部が形成されている。
一方、絶縁ガイド27の外周には凸部が形成されており、この凸部を、金属製ケーシング21の切り欠き部に嵌入し、絶縁ガイド27の軸方向下流側の端部を、金属製ケーシング21の内周面に周方向に形成した凹部の端面に接合する。これにより、金属製ケーシング21の内周面の面一化を図る。
その後、分割された金属製ケーシング21のうち、上流側の端部を下流側の端部と連結することで、チップクリアランス形成部にワイヤ式プラズマアクチュエータ25を簡単に取り付けることができ、交換も容易である。
【0077】
なお、絶縁ガイド27の外周に形成した凸部から、絶縁被覆導線24の両端を取り出すことで、絶縁被覆導線24の取り出し部を強固な構造とすることもできる。
また、絶縁ガイド27は、必ずしも円周方向に一体的なものでなくてもよく、周方向に複数に分割し、それぞれに、絶縁被覆導線24の両端を取り出す凸部を設け、金属製ケーシング21の対応する切り欠き部に嵌入するようにしてもよい。
その他、ガスタービン等、流体機械の仕様によっては、金属製ケーシング21を、回転軸22の軸方向に平行な面内で分割できるよう連結して、絶縁被覆導線24を埋め込んだ絶縁ガイド27を上下方向に装着可能とするのも好適である。
【0078】
図32は、金属製ケーシング21の内周面に装着される分割型ワイヤ式プラズマアクチュエータを示している。この例では、絶縁被覆導線24を埋め込んだファインセラミック製絶縁ガイド27を27a〜27hの8個に分割し、各絶縁ガイド27の周方向端部側から絶縁被覆導線24を埋め込んで蛇行させ、同じ側から引き出したものである。各絶縁ガイド27a〜27hを同一ユニットとし、各絶縁ガイド27a〜27hを、金属製ケーシング21の内周面に形成した凹部に順次嵌め込んでいくことで、コストを低減し、しかも、定期的なメンテナンスの際、交換作業を簡単に行うことができる。
なお、各絶縁ガイド27a〜27hから引き出された2本の絶縁被覆導線24は、金属製ケーシング21の外周に配したターミナルを介して高電圧高周波信号発生装置にそれぞれ接続される。
【0079】
また、絶縁被覆導線24をガスタービンブレードに対し、どのような向きに配置するかによって、漏れ流に対する誘起流の発生パターンが異なる。
図33は、絶縁被覆導線24をガスタービンの回転軸に対し直交方向に配置した例、
図34は、絶縁被覆導線24をガスタービンの回転軸に対し平行に配置した例をそれぞれ示している。
その他、ガスタービンの回転軸に対し斜め方向に配置したり、蛇行させる等様々な配置を選択することにより、ガスタービンの仕様や定格回転時に最大の漏れ流低減効果が得られる配置を選択するのが好適である。
【0080】
図35は、タービンブレードの転向角に沿うように配置した例を示している。この図では、タービンブレードとの関係を示すため透視図を示しているが、金属製ケーシング21のタービンブレード端側の内周には、タービンブレードの転向角に沿うよう斜め方向に凹部が形成されている。絶縁被覆導線24を埋め込んだファインセラミック製絶縁ガイド27の形状は、金属製ケーシング21の内周面に形成された凹部に嵌着するように設定されており、ファインセラミック製絶縁ガイド27を装着することで、フラッシュマウント化が図られるようにしている。なお、この図では、絶縁被覆導線24を埋め込んだファインセラミック製絶縁ガイド27が一箇所のみに示されているが、周方向に沿って複数箇所に設置することが好ましい。
【0081】
さらに、絶縁被覆導線24からなるワイヤ式プラズマアクチュエータ25の配置については、
図36に示すように、例えば、チップクリアランスの軸方向に沿って上流側、中央側、下流側の3組に独立して多チャンネル化し、それぞれに、個別の高電圧高周波電源を接続し、チップクリアランスから漏洩する作動流体に対する抑制効果の観点で、各ワイヤ式プラズマアクチュエータ25の絶縁被覆導線24に印加する高電圧高周波の電圧、周波数を最適なものにそれぞれ調整あるいは制御することができる。
【0082】
また、
図37に示すように、ワイヤ式プラズマアクチュエータ25を、チップクリアランスの軸方向に沿って、例えば、上流側、中央側、下流側に3組設置し、それぞれをスイッチを介して高電圧高周波電源に接続することで、チップクリアランスを経由する漏洩する作動流体の抑制効果の観点で、効果的な各ワイヤ式プラズマアクチュエータ25の絶縁被覆導線24のみに高電圧高周波の電圧、周波数を印加すれば消費電力を低減することができる。
【0083】
一方、絶縁被覆導線24と対向するタービンブレード23の外周端の間に発生するプラズマによる誘起流は、タービンブレード23の外周端の形状によっても変化する。
すなわち、
図38の(a)に示すように、回転軸22の軸方向からみて、タービンブレード23の外周端が、周方向両端部に角部を有するような形状では、この角部に電界が集中するため誘電体バリア放電が生じやすく、プラズマの発生状態が、タービンブレード23の外周端周方向に断続的になり、強力な誘起流を形成することができない。
【0084】
そこで、
図38の(b)に示すように、タービンブレード23の周方向両端部の角部を丸めて円弧状にするなど、周方向の外端形状を選択することにより、タービンブレード23の外周端に沿って、周方向に均一にプラズマを発生させることができる。
これにより、ケーシング内周面とブレード外端との間で、周方向に均一に強力な誘起流が発生し、チップクリアランスを経由してバイパスしようとする漏れ渦抑止効果を高めることが可能となる。
【0085】
以上の実施例では、ガスタービンを中心に説明したが、ガスタービン以外にも、遠心圧縮機、ラジアルタービンなど、様々な流体機械に本発明を適用することができる。
遠心圧縮機、ラジアルタービンなどの遠心型ターボ機械は、自動車用ターボチャージャーや発電用小型ガスタービンに使用されている。
このような遠心型ターボ機械では、流れの方向が軸方向から半径方向に曲がり、ブレードおよびケーシングの径が変化する。この場合にも、
図39に示されるように、ブレード外端に対向するケーシング内周面にリング状の凹部を設け、その凹部内に絶縁被覆導線を配置することにより、軸流型ターボ機械と同様な圧力損失低減効果が得られる。
【0086】
一般に、漏れ渦による漏れ量はチップクリアランスにほぼ比例して増大するため、ガスタービン等の効率を最大限高めるためには、タービンブレード23、軸受け等の設計精度を極限まで高めたり、熱膨張率の少ない高価な材質を選定する必要があり、非常に大きなコストを要する。
しかし、上述したプラズマアクチュエータは、非常に低コストで種々の流体機械に装着することができ、例えば、漏れ渦による漏れ量を1/3程度に抑止するものでも、十分な費用対効果を得ることができる。
【0087】
なお、ガスタービンのケーシングが絶縁材料で形成されている場合には、必ずしも、縁被覆導線24を採用する必要はなく、導電ワイヤをケーシングに取り付けることも可能である。しかし、タービンブレード23の翼端をアースすることが必要となり、特に、タービンブレード23自体も絶縁材料で形成されているときには、例えば、翼端に導電性の金属チップを取り付け、ボス部、軸受け部等を経由して導線でアースする必要がある。
なお、このワイヤ式プラズマアクチュエータ25は、高温の燃焼ガスにより回転駆動されるタービンブレード23側のみならず、圧縮機側に設置してもよいが、
図29は、金属製ケーシング21のうち、タービンブレード23との間でチップクリアランスを形成する箇所の内周にワイヤ式プラズマアクチュエータ25を取り付けた例を示している。
【0088】
(付記1)絶縁材料からなる対象物の表面に、導電ワイヤと、導電性の薄膜あるいは薄板からなる電極を互いに対向するよう取り付け、前記導電ワイヤと前記電極との間にパルス電圧を印加することにより、前記導電ワイヤの周囲に沿って表面プラズマを発生させ、当該表面プラズマにより誘起気流を発生させるようにしたことを特徴とする表面プラズマアクチュエータ。
(付記2)前記導電ワイヤを前記対象物に形成した凹部あるいは溝部の内部に配置し、該凹部あるいは溝部に絶縁パテを埋め込むことによりフラッシュマウント化するとともに、前記対象物の表面のうち前記凹部あるいは溝部の端縁に沿って、少なくともひとつの前記電極を取り付けたことを特徴とする付記1に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記3)前記導電ワイヤを前記対象物の表面に直接取り付け、前記導電ワイヤの長さ方向に沿って、少なくとも一方の側に前記電極を前記対象物の表面に取り付けたことを特徴とする付記1に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記4)導電性材料からなる対象物の表面に、絶縁被覆を施した導電ワイヤからなる絶縁被覆導線を取り付け、前記対象物と前記導電ワイヤとの間にパルス電圧を印加することにより、前記絶縁被覆導線の周囲に沿って表面プラズマを発生させ、当該表面プラズマにより誘起気流を発生させるようにしたことを特徴とする表面プラズマアクチュエータ。
(付記5)前記絶縁被覆導線を前記対象物に形成した凹部あるいは溝部の内部に配置し、該凹部あるいは溝部に絶縁パテを埋め込むことによりフラッシュマウント化したことを特徴とする付記4に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記6)前記絶縁被覆導線を、前記導電性材料からなる対象物の表面に沿って移動可能に設けたことを特徴とする付記4に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記7)前記導電ワイヤを、鉄道車両のパンタグラフを構成する集電用舟体及びアーム部の少なくとも一方の表面に配置し、該導電ワイヤの一端に高電圧スイッチを介して架線電圧を周期的に印加することにより、前記導電ワイヤの周囲に沿って表面プラズマを発生させ、当該表面プラズマにより誘起流を発生させるようにしたことを特徴とする付記1から付記5のいずれか一項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記8)前記集電用舟体の進行方向前縁と後縁に、鉄道車両の車体幅方向に前記導電ワイヤを配置したことを特徴とする付記7に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記9)前記集電用舟体の進行方向前縁と後縁に凹部を形成し、各凹部に鉄道車両の車体幅方向に前記導電線を上下2本ずつ配置し、鉄道車両の進行方向に合わせて、前記高電圧スイッチを介して架線電圧を周期的に印加する前記導電ワイヤを切り換えるようにしたことを特徴とする付記8に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記10)前記集電用舟体の上面に、前記導電ワイヤをジグザグ状に配置したことを特徴とする付記7から付記9のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記11)前記高電圧スイッチを前記集電用舟体の内部に配置し、前記導電ワイヤの一端に周期的に架線電圧を印加するようにしたことを特徴とする付記7から付記10のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記12)前記高電圧スイッチを鉄道車両の車体内部に配置し、前記導電ワイヤの一端に周期的に架線電圧を印加するようにしたことを特徴とする付記7から付記10のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記13)流体機械のケーシング内周面において、該流体機械の回転ブレード外端に対向する位置に形成した円弧状の凹部に前記導電ワイヤを配置し、該導電ワイヤにパルス電圧を印加するとともに、前記ブレード外端をアースすることにより、前記導電ワイヤと前記ブレード外端との間で誘電体バリア放電を発生させ、該誘電体バリア放電に伴う誘起気流により、前記チップクリアランスを経由して作動流体が漏洩するのを防止する付記1から付記5のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記14)前記導電ワイヤを、前記リング状の凹部の内部に直接設置したことを特徴とする付記13に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記15)前記リング状の凹部の内部に絶縁ガイドを装着し、前記導電ワイヤを、前記絶縁ガイド内周面において、ブレード外端に対向する位置に形成した第2のリング状の凹部に設置したことを特徴とする付記13に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記16)前記絶縁ガイドを耐熱性ファインセラミックで構成し、前記導電ワイヤを内部に配置した状態で焼成されたものであることを特徴とする付記15に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記17)前記ケーシング内周面に対向する前記ブレード外端形状を周方向に変化させ、前記誘電体バリア放電が前記ブレード外端形状の周方向に沿って、均等に発生させるようにしたことを特徴とする付記13から付記16のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。
(付記18)前記導電ワイヤを、前記ケーシング内周面に形成した周方向の凹部に、流体機械の軸方向に沿って分割して配置し、各導電ワイヤに、印可するパルス電圧の電圧値、周波数を個別に設定できるようにしたことを特徴とする付記13から付記17のいずれか1項に記載の表面プラズマアクチュエータ。