特許第6566904号(P6566904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566904
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20190819BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20190819BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190819BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   C23C16/44 B
   C23C16/455
   H01L21/324 R
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-65250(P2016-65250)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-183380(P2017-183380A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】似鳥 弘弥
(72)【発明者】
【氏名】小池 悟
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−207435(JP,A)
【文献】 特開平06−302533(JP,A)
【文献】 特開平04−026115(JP,A)
【文献】 特開平11−233447(JP,A)
【文献】 特開2004−140320(JP,A)
【文献】 特開平06−084864(JP,A)
【文献】 特開平11−067668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/26−21/268、21/31、
21/322−21/326、21/365、
21/42−21/428、21/469、
21/477−21/479、21/67−21/683、
21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を鉛直方向に間隔を有して多段に積載可能であり、前記複数の基板が積載される領域を鉛直方向に仕切る複数の円板形状の仕切板を有する基板保持具と、
該基板保持具を収容可能な処理容器と、
該処理容器内の前記仕切板の外周側面と対向する内周壁面から前記仕切板の外周側面に向かって内側に突出するように延び、突出した先端に形成された内周側面と前記仕切板の外周側面との間に隙間を形成する突出部と、
該突出部の前記内周側面と前記仕切板の外周側面との間に形成された前記隙間に不活性ガスを供給して前記複数の基板が積載される領域よりも圧力が高い環状陽圧部を形成可能なガス供給手段と、を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給手段は、前記仕切板及び前記突出部の少なくとも一方の内部を貫通して設けられている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記突出部の前記内周側面及び前記仕切板の外周側面の少なくとも一方にはラビリンス構造が設けられている請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ラビリンス構造は、対向面に向かって突出する複数の突出構造を有し、
該複数の突出構造は、前記突出部の前記内周側面及び前記仕切板の外周側面の少なくとも一方の上面と、前記突出部の前記内周側面及び前記仕切板の外周側面の少なくとも一方の下面に沿って設けられた突出構造を含む請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の仕切板及び前記突出部は、前記基板が積載される領域の上端及び下端を囲むように設けられる仕切板及び突出部を含む請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理容器内の鉛直方向に亘って横方向に処理ガスを吐出する処理ガス供給手段を更に有し、
前記処理容器内の前記内周壁面の前記突出部の間の領域には排気口が設けられ、前記仕切板の間の領域でサイドフローの形成が可能に構成された請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理容器は縦長の反応管であり、
前記処理容器内の前記内周壁面は前記反応管内に設けられたインナー管の内周壁面であり、
前記処理容器の周囲には、前記複数の基板を加熱するヒータが設けられた請求項1乃至のいずれか一項に記載された基板処理装置。
【請求項8】
前記突出部の前記内周側面と前記仕切板の外周側面との間に形成された前記隙間は、前記ガス供給手段が前記不活性ガスを供給する箇所の上下において間隔が狭い部分が構成され、前記環状陽圧部は前記隙間の間隔が狭い部分に上下から挟まれた領域に形成される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱装置によって外周を囲うように設けられた反応管の内部に設けられた処理室に基板処理面に対して垂直方向に複数枚配置された基板を搬入する工程と、反応管の内部であって基板を処理する領域における反応管の側面に少なくとも加熱装置の外側まで達するように設けられたガス導入管にガスを導入し、基板処理面に対して垂直方向に少なくとも複数枚の基板に跨るような大きさでスリット状に設けられた噴出口から処理室にガスを噴出し、基板を処理する工程とを有する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる半導体装置の製造方法においては、基板処理工程で、ガス導入管内に設けられた基板処理面に対して垂直方向に区画壁によって区画された複数のガス導入区画部にガスを導入し、複数のガス導入区画部それぞれに設けられた噴出口から処理室にガスを噴出し、複数のガス導入区画部毎にサイドフローを形成し、基板間に入るガス量を均一にし、複数枚の基板の面内・面間の均一性を向上させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、ガス導入区画部が区画壁によって区画されていても、区画壁と基板との間には、垂直方向に区画されていない隙間があり、その隙間を通じてガスが上下に行き来できる状態となっているため、ガス導入区画部内に均一なガス量を有するサイドフローを形成することは困難であるという問題があった。
【0006】
また、処理室内では、上部と下部にパーティクルが発生し易いが、そのようなパーティクルも上述の隙間で上下に自由に移動可能であるため、基板上にパーティクルが散布することを効果的に抑制することは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、ガス及びパーティクルの区画領域間の往来を抑制でき、面間均一性及び面内均一性が良好であるとともに、パーティクルの基板上への散布を抑制できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理装置は、複数の基板を鉛直方向に間隔を有して多段に積載可能であり、前記複数の基板が積載される領域を鉛直方向に仕切る複数の円板形状の仕切板を有する基板保持具と、
該基板保持具を収容可能な処理容器と、
該処理容器内の前記仕切板の外周側面と対向する内周壁面から前記仕切板の外周側面に向かって内側に突出するように延び、突出した先端に形成された内周側面と前記仕切板の外周側面との間に隙間を形成する突出部と、
該突出部の前記内周側面と前記仕切板の外周側面との間に形成された前記隙間に不活性ガスを供給して前記複数の基板が積載される領域よりも圧力が高い環状陽圧部を形成可能なガス供給手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の基板に均一な基板処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の全体構成を示した図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置のウエハボート及びインナー管の対向面付近の構成を拡大して示した断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。
図5】本発明の第4の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0012】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の全体構成を示した図である。図1を参照すると、基板処理装置は、内部に複数枚の基板(以下、ウエハW)が上下方向に所定の間隔で積層されて収容される処理容器4と、処理容器4の側面及び上面を覆う加熱装置48とを有している。
【0013】
処理容器4は、有蓋の円筒形状を有するアウター管6と、有蓋の円筒形状を有し、アウター管6の内側に同心状に配置されるインナー管8と、から構成される。アウター管6及びインナー管8は、耐熱性を有する材料、例えば石英から形成される。また、アウター管6及びインナー管8は、その下端部から、例えばステンレススチールやアルミニウムなどの金属から作製されるマニホールド10により保持される。また、マニホールド10は、ベースプレート12に固定される。
【0014】
マニホールド10の下端部の開口部には、例えばステンレススチールやアルミニウムなどの金属から作製される円盤状のキャップ部14が、Oリング等のシール部材16を介して気密に取り付けられている。また、キャップ部14の中心部には、例えば磁性流体シール18により気密で回転可能な回転軸20が挿通されている。この回転軸20の下端は、回転機構22に接続されている。回転軸20の上端は、例えば金属よりなるテーブル24が固定されている。
【0015】
テーブル24上には、例えば石英製の保温筒26が設けられている。また、保温筒26上には、基板保持具として例えば石英製のウエハボート60が戴置される。ウエハボート60には、例えば50〜150枚のウエハWが、所定の間隔、例えば10mm程度間隔のピッチで、鉛直方向に積載される。ウエハボート60は、例えば3〜4本の支柱61を有する。そして、支柱61の内周面に形成され、水平方向に掘られた溝(図示せず)の底面上にウエハWが載置される。ウエハボート60、保温筒26、テーブル24、及びキャップ部14は、例えばボートエレベータである昇降機構30により、処理容器4内に一体となってロードされ、アンロードされる。
【0016】
ウエハボート60は、積載されたウエハWを鉛直方向に仕切る複数枚の仕切板62を有する。仕切板62は、鉛直方向に仕切られた複数の領域をウエハボート60に形成し、仕切られた領域毎にサイドフローを形成して処理ガスを供給し、ウエハWに均一な基板処理を行うために設けられる。仕切板62は、ウエハWよりも厚さの厚い板状部材で構成される。ウエハWは基本的に円盤状の形状を有し、インナー管8も円筒形状を有するので、仕切板も円盤形状を有する円板部材として構成される。
【0017】
仕切板62は、鉛直方向における区画壁としての機能を有するので、ウエハW及びウエハWを支持している支柱61よりも外側に外周端がはみ出すように構成され、ウエハWと平行に水平に設けられる。ウエハボート60には、このような直径が支柱61よりも大きく、厚さもウエハWより厚い仕切板62が複数箇所に設けられ、積載された複数枚のウエハWを鉛直方向に複数の領域に分割して仕切る。
【0018】
図1に示されるように、仕切板62は、少なくとも上端及び下端には設けられることが好ましい。詳細は後述するが、インナー管8内部の下部には、常圧復帰時のガスの巻き上げ等からパーティクルが発生し易く、また、上部からはパーティクルが落下してくるため、やはりパーティクルが発生し易い。よって、パーティクルの侵入を防止する観点から、仕切板62は、少なくとも積載されたウエハWの上端及び下端を囲むように、積載された最上段のウエハWよりも上方、最下段のウエハWよりも下方に設けられることが好ましい。
【0019】
インナー管8の内周壁面80の仕切板62と対向する位置には、仕切板62の外周側面に向かって内側に突出する突出部81が設けられる。突出部81は、ほぼ仕切板62の厚さと同程度の厚さを有して、仕切板62の外周側面に向かって突出した形状を有する。よって、仕切板62の外周側面と、突出部81の内周側面とは対向し、対向空間に狭い隙間70が形成される。詳細は後述するが、隙間70に不活性ガスが供給されて周囲と比較して陽圧とされ、陽圧部が形成される。これにより、仕切版62及び突出部81とで形成される領域が仕切られ、領域内にサイドフローを形成することが可能となる。なお、仕切板62が円盤形状を有していれば、突出部81の内周面も円形となり、陽圧部は円環状の環状陽圧部となる。
【0020】
インナー管8の内周壁面80の突出部80同士の間の領域には、排気口85が設けられる。これにより、仕切板62で仕切られた領域内での処理ガスの供給と個別排気が可能となり、サイドフローを形成し易くなる。
【0021】
なお、これらの仕切板62に関連した構成についての詳細は後述するものとし、他の構成要素について説明する。
【0022】
マニホールド10の下部には、一端部においてマニホールド10を気密に貫通し、インナー管8の内周面に沿って上方へ屈曲するガスノズル34が設けられている。ガスノズル34の他端部は、所定の配管を介して図示しないガス供給源に接続されている。また、配管には、例えばマスフローコントローラなどの流量制御装置や開閉バルブ(不図示)が設けられており、これによりガスノズル34から処理容器4内に供給されるガスの供給開始、供給停止、及び流量などが制御される。なお、図1においては、1本のガスノズル34が記載されているが、用いるガス種に応じて複数本のガスノズル34を設けても良い。例えば、基板処理装置によりウエハWに酸化シリコン膜を成膜する場合には、シリコン含有ガス用のガスノズル34、酸化ガス用のガスノズル34、及びパージガス用のガスノズル34を設けて良い。
【0023】
マニホールド10の上部にはガス排気口36が設けられており、ガス排気口36には排気系38が連結されている。排気系38は、ガス排気口36に接続された排気通路40と、排気通路40の途中に順次接続される圧力調整弁42及び真空ポンプ44とを有している。排気系38により、処理容器4へ供給されたガスが排気されるとともに、処理容器4内の圧力が調整される。
【0024】
なお、マニホールド10を設けず、処理容器4全体が例えば石英により作製されても良い。
【0025】
加熱装置48は、有蓋の円筒体状を有する断熱体50を有する。断熱体50は、例えば熱伝導性が低く、無定形のシリカ及びアルミナの混合物により形成される。断熱体50の厚さは、通常、約30mmから約40mmである。また、断熱体50の内径は、処理容器4の外径よりも所定の長さだけ大きく、これにより、断熱体50の内面と処理容器4の外面との間に所定の空間が形成される。さらに、断熱体50の外周面には、例えばステンレススチールよりなる保護カバー51が、断熱体50全体を覆うように取り付けられている。
【0026】
また、断熱体50の内面にはヒータ素線52がコイル状に巻き回されており、全体として円筒状に処理容器4を囲むヒータを構成している。
【0027】
次に、仕切板62及び突出部81に関連する構成について、より詳細に説明する。
【0028】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置のウエハボート及びインナー管の対向面付近の構成を拡大して示した断面図である。なお、図2においては、ウエハボート60の仕切板62とインナー管8の突出部82との位置関係が、図1とは左右逆に示されているが、図1の裏面側から見ればそのような構成となるので、図1と矛盾するものではない。
【0029】
図2に示されるように、ウエハボート60のウエハWが積載された領域の上端よりも上方、下端よりも下方に仕切板62が設けられ、その間に2枚の仕切板62が更に設けられ、鉛直方向に3つの領域100に複数枚のウエハWが分割されている。ウエハWは、例えば、50〜100枚と多数のウエハWが載置されるため、仕切板62で仕切られた複数の領域100内の各々に複数枚のウエハWが保持されている。
【0030】
仕切板62の各々は、ウエハW及び支柱61よりも大きな直径を有し、外側に突出しており、仕切板62の外周側面63は、ウエハW及び支柱61よりも外側になるように設けられている。仕切板62の厚さは、ウエハWを数枚合わせた厚さよりも遥かに厚く構成されている。
【0031】
インナー管8の内周壁面80のうち、ウエハボート60の仕切板62と対向する領域には、内側に、仕切板62の外周側面63に向かって突出して延びる突出部81が設けられている。突出部81は、仕切板62の外周側面63近くまで延び、突出部81の内周側面82と仕切板62の外周側面63との間に、隙間70が形成されている。
【0032】
ウエハボート60の支柱61及び仕切板62の内部には、ガス供給管路90が設けられている。ガス供給管路90は、隙間70に不活性ガスを供給するためのガス供給手段である。ガス供給管路90は、支柱61の内部を貫通して設けられる合流管路91と、各仕切板62の内部を貫通して設けられる分岐管路92とを有する。合流管路91から供給された不活性ガスは、各分岐管路92に分岐し、仕切板62の外周側面63と突出部81の内周側面82との間に形成された隙間70に、不活性ガスを供給する。これにより、隙間70を周囲の雰囲気よりも圧力が高い陽圧とすることができ、仕切板62で仕切られた領域100同士の処理ガスの往来を防止することができる。
【0033】
なお、図2に示されるように、インナー管8の突出部81には、突出部81の上面に沿って更に内側に突出した突出構造部83が設けられ、仕切板62には、仕切板の下面に沿って更に外側に突出した突出構造部64が設けられている。突出構造部64、83は、隙間70を囲むように設けられたラビリンス構造部である。つまり、突出構造部64、83が互いに協働してラビリンスシールを構成する。これにより、仕切板62に仕切られた複数の領域100同士を確実にシールすることができる。
【0034】
なお、ラビリンス構造部を設けることは必須ではなく、隙間70への不活性ガスの供給のみで十分であれば、突出構造部64、83は必ずしも設ける必要は無く、突出部82の内周側面83及び仕切板62の外周側面63を平坦面に構成してもよい。
【0035】
また、逆に、もっとシール性を高めたい場合には、突出構造部64、83の数を増加させてもよい。
【0036】
なお、隙間70にガス供給管路90を介して供給する不活性ガスは、処理ガスと反応しないガスであれば、種々のガスを用いてよいが、例えば、窒素やアルゴンを用いるようにしてもよい。
【0037】
また、インナー管8の内周壁面80には、各領域100毎に排気口85を設けることが好ましい。つまり、突出部81の間の内周壁面80に、排気口85を形成することが好ましい。これにより、仕切板62で仕切られた各領域100毎に処理ガスが供給されたときに、各領域100毎に処理ガスの排気を行うことができ、各領域100内でサイドフローを形成し易くなる。サイドフローの形成により、各領域100内で一方向(水平方向)の層流を形成でき、ウエハWの中心領域、外周領域に大きな差の無い均一流を形成することができる。このような処理ガスの供給を行うことができれば、ウエハWの基板処理のウエハ間(縦方向)及びウエハ面内(水平方向)における均一性を両方とも高めることができる。
【0038】
また、仕切板62の数は、用途に応じて適宜定められてよいが、最上段に配置されたウエハWよりも上方に1枚仕切板62を設け、最下段に配置されたウエハWよりも下方に1枚仕切板62を設けることが好ましい。インナー管8の下部では、真空から常圧に復帰した際に巻き上げられるパーティクルが多く発生し、上部では、天井から落下するパーティクルが多く発生するため、これらのパーティクルの侵入を上端及び下端で防止する構成とすることが好ましい。
【0039】
また、パーティクルが領域100に侵入した場合であっても、隙間70が陽圧とされ、環状陽圧部を構成しているため、パーティクルの上下間の往来は抑制される。
【0040】
このように、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置によれば、処理ガス及びパーティクルの双方とも、仕切板62で仕切られた領域100同士の往来が抑制され、領域100間の完全な分断が可能となり、面間及び面内均一性の高い基板処理を行うことができる。
【0041】
なお、図2において、仕切板62は、上段から下段に向かって徐々に直径が大きくなり、それに伴って突出部81も、上段から下段に向かって突出量が小さくなるように構成されている。これは、ウエハボート60の搬出時に、突出構造部64が下段の突出構造部83に接触しない構造とするためである。つまり、仕切板62を総て同じ直径とし、図2のように構成すると、ウエハボート60を搬出する際、仕切板62の突出構造部64が下方にある突出部81の突出構造部83に引っ掛かってしまい、ウエハボート60が抜けなくなってしまう。
【0042】
よって、このような末広がりの構成で仕切板62を構成している。
【0043】
〔第2の実施形態〕
図3は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。図3に示されるように、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置においては、ガス供給管路90aを、ウエハボート60の内部では無く、インナー管8に設けている。このように、ガス供給管路90は、ウエハボート60ではなく、インナー管8に設けてもよい。
【0044】
図3に示されるように、分岐管路92aは、突出部81の内部を貫通するように設けられている。一方、合流管路91aは、インナー管8の外側に設けられている。このように、インナー管8の外部に合流管路91aを設け、分岐管路92aのみ突出部81の内部を貫通させて設けてもよい。また、合流管路91aもインナー管8の内部を貫通させて設けた方がよければ、そのように構成してもよい。
【0045】
このように、隙間70に不活性ガスを供給できれば、ガス供給管路90、90aは種々の位置に設けることができる。第1及び第2の実施形態では、ガス供給管路90、90aをウエハボート60及びインナー管8に設けた例を挙げて説明したが、これらに限られるものではなく、隙間70に不活性ガスを供給し、隙間70を陽圧とできれば、専用のガス供給管路90、90aを種々の位置に設けることができる。
【0046】
なお、第2の実施形態において、他の構成要素については、第1の実施形態と同様であるので、対応する構成要素に同一の参照符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、ガス供給管路90aを、移動の無いインナー管8内に固定して設けることができ、安定したガスの供給が可能となる。
【0048】
〔第3の実施形態〕
図4は、本発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。図4に示されるように、本発明の第3の実施形態に係る基板処理装置は、ラビリンス構造部を構成する突出構造部83aが上下ともインナー管8の突出部81aの内周側面82aから突出しており、仕切板62aの外周側面63aは平坦面となっている点で、第1の実施形態に係る基板処理装置と異なっている。
【0049】
このように、インナー管8側の突出部81aにのみ、ラビリンス構造部を設けるようにしてもよい。この場合であっても、上下において対向面同士の間隔が狭い部分が構成され、ラビリンスシールを構成することができ、上下の領域100同士の気密性を確保することができる。
【0050】
かかる構成を採用することにより、ウエハボート60aの複数の仕切板62aの直径を総て同じにすることができるとともに、その外周側面63aを総て平坦面とすることができ、ウエハボート60aの構造を簡素化することができる。
【0051】
なお、ガス供給管路90も、第2の実施形態のようなインナー管8側に設けるように構成すれば、更にウエハボート60aを簡素化することができる。
【0052】
このように、第3の実施形態に係る基板処理装置によれば、ウエハボート60aの構成を簡素化しつつ、基板処理の面間及び面内均一性を高めることができる。
【0053】
なお、その他の構成要素について、第1の実施形態に係る基板処理装置と同様であるので、対応する構成要素に同一の参照符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0054】
〔第4の実施形態〕
図5は、本発明の第4の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した断面図である。図5に示されるように、本発明の第4の実施形態に係る基板処理装置は、ラビリンス構造部を構成する突出構造部64bが上下ともウエハボート60bの仕切板62bの外周側面63bから突出しており、インナー管8の突出部81bの内周側面82bは平坦面となっている点で、第1の実施形態に係る基板処理装置と異なっている。
【0055】
このように、ウエハボート60bの仕切板62bにのみ、ラビリンス構造部を設けるようにしてもよい。この場合であっても、上下において対向面同士の間隔が狭い部分が構成され、ラビリンスシールを構成することができ、上下の領域100同士の気密性を確保することができる。
【0056】
また、かかる構成を採用することにより、インナー管8の複数の突出部81bの突出量を総て同じにすることができるとともに、その内周側面82bを総て平坦面とすることができ、インナー管8の内周壁面80bの構造を簡素化することができる。
【0057】
また、ウエハボート60bについても、仕切板60bの内周側面63bの構造は複雑化するが、仕切板62bの直径は総て同じにすることができ、取扱いを容易にすることができる。
【0058】
なお、ガス供給管路90も、第2の実施形態のようなインナー管8側に設けるように構成すれば、更にウエハボート60bを簡素化することができる。
【0059】
このように、第4の実施形態に係る基板処理装置によれば、インナー管8の突出部81bの構成を簡素化しつつ、基板処理の面間及び面内均一性を高めることができる。
【0060】
なお、その他の構成要素について、第1の実施形態に係る基板処理装置と同様であるので、対応する構成要素に同一の参照符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0061】
このように、本発明の第1乃至第4の実施形態に係る基板処理装置によれば、環状陽圧部を設けることにより、仕切板62、62a、62bで仕切られた領域100同士のシール性を高め、互いの領域100を往来する処理ガス及びパーティクルを抑制し、基板処理の面間及び面内均一性を向上させることができる。
【0062】
なお、第1乃至第4の実施形態では示していないが、ラビリンス構造については、仕切板62の外周側面63及び突出部81の内周側面82の双方に互いに対向する突出構造が設けられるような構造も可能である。
【0063】
また、第1乃至第4の実施形態では、ウエハWが円形でインナー管8が円筒形の例を示したが、処理対象の基板が多角形である場合であっても、処理容器の内周側面の突出部の内周側面が、基板の外周側面に一定距離の隙間を有して対向する構造であれば、そのような基板処理装置にも適用可能である。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0065】
4 処理容器
8 インナー管
34 ガスノズル
48 加熱装置
52 ヒータ素線
60 ウエハボート
61 支柱
62、62a、62b 仕切板
63、63a、63b 外周側面
64、64b、83、83a 突出構造部
70 隙間
80 内周壁面
81、81a、81b 突出部
82、82a、82b 内周側面
90、90a ガス供給管路
91、91a 合流管路
92、92a 分岐管路
100 領域
図1
図2
図3
図4
図5