(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機酸モノグリセリドが、酢酸モノラウリン酸グリセリン、酢酸モノステアリン酸グリセリン、乳酸モノステアリン酸グリセリン、クエン酸モノステアリン酸グリセリンおよびクエン酸モノオレイン酸グリセリンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、水溶性エチレン性不飽和単量体を分散媒中で逆相懸濁重合させて吸水性樹脂粒子を製造する方法において、逆相懸濁重合反応を有機酸モノグリセリドの存在下行うことを特徴とする。
【0025】
なお、前記逆相懸濁重合法においては、逆相懸濁重合によって得られた吸水性樹脂粒子に、水溶性エチレン性不飽和単量体をさらに添加し、2段以上の多段で重合を行うこともできる。2段以上の多段重合では、1段目の逆相懸濁重合で得られた吸水性樹脂粒子を凝集させることで、吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができるため、例えば、紙おむつ等の吸収性物品に好適とされる適度な粒子径を得ることが、より容易となる。
【0026】
本発明において用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」及び「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様。)及びその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体及びその4級化物等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体のなかでも、工業的に入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好適に用いられる。さらに、得られる吸水性樹脂粒子の吸水性能が高いという観点から、(メタ)アクリル酸及びその塩がより好適に用いられる。
【0028】
また、2段以上の多段で重合を行う際、2段目以降に用いる水溶性エチレン性不飽和単量体は、1段目に用いる水溶性エチレン性不飽和単量体と同種であっても、異種であってもよい。
【0029】
なお、前記水溶性エチレン性不飽和単量体は、逆相懸濁重合させる際に、分散媒中での分散効率を上昇させるために水溶液にして用いてもよい。このような水溶液中における前記水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度は、特に限定はされないが、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜55質量%とすればよい。
【0030】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、必要に応じてその酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されたものを用いてもよい。前記アルカリ性中和剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。また、前記アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いてもよい。さらに、前記アルカリ性中和剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
前記アルカリ性中和剤による前記水溶性エチレン性不飽和単量体の中和度については、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高めることで吸水性能を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在に起因する安全性等に問題が生じないようにする観点から、水溶性エチレン性不飽和単量体が有する全ての酸基に対する中和度として、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは30〜80モル%である。
【0032】
本発明の逆相懸濁重合反応は、重合反応に要する時間を適度に短縮する観点より、ラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。本発明に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、及び過酸化水素等の過酸化物類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、及び4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0033】
これらのラジカル重合開始剤のなかでは、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩が好適に用いられる。なお、前記ラジカル重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ラジカル重合開始剤を使用する場合における前記ラジカル重合開始剤の使用量は、急激な重合反応の発生を防ぐことができる点で、各重合段階における水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、1モル以下であることが好ましい。また、ラジカル重合開始剤の使用量の下限は特に限定的ではないが、例えば、各重合段階における水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、0.005モル以上であれば、重合反応に要する時間を適度に短縮することができる。
【0035】
なお、前記ラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、およびL−アスコルビン酸等の還元剤を併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0036】
また、吸水性樹脂粒子の吸水性能を制御するために、連鎖移動剤を添加してもよい。このような前記連鎖移動剤としては、例えば、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類等が挙げられる。
【0037】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体に、必要に応じて、架橋剤を添加して重合しても良い。重合反応前の水溶性エチレン性不飽和単量体に添加する架橋剤(内部架橋剤)としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(なお、本明細書においては、「ポリエチレングリコール」と「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と表記する。以下、「(ポリ)」の表記において同様。)、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のジオール、トリオール等のポリオール類と(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N’’−トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、トリグリシジル化合物等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。これらの内部架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
内部架橋剤を使用する場合、その使用量は、得られる吸水性樹脂粒子の吸水性能を十分に高めるために、各重合段階における水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、好ましくは0.00001〜1モルであり、より好ましくは0.0001〜0.5モルである。
【0039】
得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を調整する目的で、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液に増粘剤を添加してもよい。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸(部分)中和物、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。逆相懸濁重合においては、通常、重合時の撹拌回転数が同じであれば、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の粘度が高いほど、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径は大きくなる傾向がある。
【0040】
前記増粘剤を使用する場合、その使用量は、その種類によって、発現する単量体水溶液の粘度が異なるため、一概に決定できないが、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を調整する観点から、第1段目の重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは0.005〜10質量部であり、より好ましくは0.01〜5質量部である。
【0041】
本発明において分散媒としては、炭化水素分散媒が好ましい。炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの分散媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの分散媒のなかでも、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており、かつ安価である点で、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びシクロヘキサンが好適に用いられる。また、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン及びそれらの異性体である炭化水素分散媒、並びにn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン及びそれらの異性体からなる群より選ばれる少なくとも2以上を含む混合炭化水素も好適に用いられる。さらに、上述の分散媒の混合物の例としては、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:ヘプタン及び異性体の炭化水素75〜85質量%含有)等を用いても好適な結果が得られる。
【0042】
前記分散媒の使用量は、重合熱を除去し、重合温度を制御しやすい観点から、第1段目の重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは100〜1500質量部であり、より好ましくは200〜1400質量部である。なお、前記第1段目の重合とは、単段重合の工程および2段以上の多段重合における1段目重合の工程を意味する。
【0043】
本発明においては、水溶性エチレン性不飽和単量体を分散媒中(好ましくは炭化水素分散媒中)で逆相懸濁重合させて吸水性樹脂粒子を製造する方法において、逆相懸濁重合反応を有機酸モノグリセリドの存在下で行う点が最大の特徴である。有機酸モノグリセリドは分散媒中における水溶性エチレン性不飽和単量体の分散安定性を好ましく高める。
【0044】
本発明において、有機酸モノグリセリドとは、モノグリセリド(グリセリン脂肪酸エステル)の有機酸エステルである。言い換えると、有機酸モノグリセリドは、グリセリンの3つのヒドロキシ基のうち、1つに脂肪酸(A)がエステル結合し、さらに残存するヒドロキシ基に有機酸(B)がエステル結合した構造を有する化合物である。残存するヒドロキシ基と結合している有機酸(B)の数は、グリセリン1分子あたり1つでも2つでもよい。有機酸モノグリセリドは、有機酸(B)がグリセリン1分子あたり1つエステル結合したものとグリセリン1分子あたり2つエステル結合したものを混合して使用することもできる。
【0045】
前記脂肪酸(A)としては、炭素数10〜18の脂肪酸が好ましい。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0046】
また、前記有機酸(B)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等を挙げることができ、基:−COOHを有していれば、カルボキシ基以外の置換基を有していてもよい。有していてもよいカルボキシ基以外の置換基としては、ヒドロキシル基、アセチルオキシ基が挙げられる。前記有機酸(B)として、前記脂肪酸(A)として例示した化合物と同一のカルボン酸化合物を使用してもよい。前記有機酸(B)としては、炭素数2〜8の有機酸が好ましい。具体的には、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸が挙げられる。
【0047】
前記有機酸モノグリセリドの親水性親油性バランス(HLB)は、有機酸モノグリセリドが分散媒(好ましくは炭化水素分散媒)に溶解し、かつ水溶性エチレン性不飽和単量体の分散安定性を高める観点から、2〜17であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
【0048】
有機酸モノグリセリドとしては、上述した範囲であれば特に限定されないが、例えば、酢酸モノラウリン酸グリセリン、酢酸モノステアリン酸グリセリン、乳酸モノステアリン酸グリセリン、コハク酸モノステアリン酸グリセリン、ジアセチル酒石酸モノステアリン酸グリセリン、クエン酸モノステアリン酸グリセリンおよびクエン酸モノオレイン酸グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、分散媒中における水溶性エチレン性不飽和単量体の分散安定性の観点から、酢酸モノラウリン酸グリセリン、酢酸モノステアリン酸グリセリン、乳酸モノステアリン酸グリセリン、クエン酸モノステアリン酸グリセリンおよびクエン酸モノオレイン酸グリセリンが好適に用いられる。これら有機酸モノグリセリドは、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような有機酸モノグリセリドは、例えば、モノグリセリド(グリセリン脂肪酸エステル)と有機酸とをエステル化することで製造することができる。また、有機酸モノグリセリドは、市販されているものをそのまま用いることもできる。市販品としては、例えば、理研ビタミン株式会社製のポエムG−002;太陽化学株式会社製のサンソフトNo.621B、サンソフトNo.661AS等を挙げることができる。
【0049】
また、前記有機酸モノグリセリドによる分散安定性を阻害しない範囲において、その他の分散安定剤を併用することもできる。併用する分散安定剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0050】
さらに、分散安定剤として、前記有機酸モノグリセリドとともに高分子系分散安定剤を併用してもよい。使用される高分子系分散安定剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。これら高分子系分散安定剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
前記有機酸モノグリセリドの使用量は、分散媒中における水溶性エチレン性不飽和単量体の分散状態を良好に保つ観点から、第1段目の重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが特に好ましい。また、使用量に見合う分散効果を得る観点から、第1段目の重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、有機酸モノグリセリド 1.2質量部程度を用いることができる。
【0052】
前記高分子系分散安定剤を使用する場合、その使用量は、第1段目の重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.3〜20質量部である。
【0053】
重合反応の反応温度は、ラジカル重合開始剤の有無及びその種類によって異なるため一概に決定することはできないが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより生産性を高めるとともに、重合熱をより容易に除去して円滑に反応を行う観点から、好ましくは20〜110℃であり、より好ましくは40〜90℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜4時間である。なお、重合反応は必要に応じて、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことがよい。
【0054】
本発明において、2段以上の多段で重合を行う場合、逆相懸濁重合によって得られた吸水性樹脂粒子に、水溶性エチレン性不飽和単量体をさらに添加し、2段目以降の重合反応を行えばよい。水溶性エチレン性不飽和単量体をさらに添加する際に、上述したラジカル重合開始剤や内部架橋剤もさらに添加することができる。2段目以降に添加するラジカル重合開始剤や内部架橋剤の使用量は上述のとおりである。
【0055】
本発明においては、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合後以降において、架橋剤を添加して反応させる後架橋工程を施すことが好ましい。重合後に後架橋工程を行うことにより、保水能等の吸水性能を高めることができ、例えば、紙おむつ等の吸収性物品として好適に用いられる吸水性樹脂粒子となる。
【0056】
後架橋工程に用いられる架橋剤(後架橋剤)としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。その例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。これらの後架橋剤の中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好適に用いられる。これらの後架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
後架橋剤を使用する場合、その使用量は、得られる吸水性樹脂粒子の保水能等の吸水性能を高める観点から、重合に使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総使用量100モルに対して、好ましくは0.001〜1モルであり、より好ましくは0.005〜0.5モルである。
【0058】
また、前記後架橋剤の添加時期としては、重合終了後以降であればよく、特に限定されない。
【0059】
前記後架橋剤の添加方法としては、後架橋剤をそのまま添加する方法、水溶液として添加する方法、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加する方法等が挙げられる。前記親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、また水との混合溶媒として用いてもよい。
【0060】
前記後架橋剤の添加形態は、特に限定されないが、例えば、分散媒中に分散した吸水性樹脂粒子の含水ゲル状物に、後架橋剤(後架橋剤溶液)を添加する方法;分散媒を留去した後、粉末状の吸水性樹脂粒子を撹拌しつつ、後架橋剤(後架橋剤溶液)をスプレー等により噴霧する方法等が挙げられる。
【0061】
前記後架橋剤の添加は、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、好ましくは1〜400質量部の範囲の水分存在下に添加し、より好ましくは5〜200質量部の範囲の水分存在下に添加し、さらに好ましくは10〜100質量部の範囲の水分存在下に後架橋剤を添加することができる。
【0062】
前記後架橋工程における温度は、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは60〜180℃であり、さらに好ましくは70〜150℃である。また、前記後架橋工程の時間は、反応温度、後架橋剤の種類及び使用量等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜300分間、好ましくは5〜200分間である。
【0063】
本発明においては、重合終了後に、熱等のエネルギーを外部から加えることにより、水、分散媒等を蒸留により除去する乾燥工程を含んでいても良い。前記乾燥工程は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよく、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下で行ってもよく、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。前記乾燥工程が常圧の場合の乾燥温度は、好ましくは70〜250℃であり、より好ましくは80〜180℃であり、さらに好ましくは80〜140℃である。また、前記乾燥工程が減圧の場合の乾燥温度は、好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは70〜90℃である。
【0064】
なお、本発明の吸水性樹脂粒子には、さらに目的に応じて、滑剤、消臭剤、抗菌剤等の添加剤を添加してもよい。このようにして得られた吸水性樹脂粒子は、優れた吸水性能、適度な粒子径かつ狭い粒子径分布を有するため、吸収体やそれを用いた吸水性物品に好適に使用される。
【0065】
なお、吸水性樹脂粒子の生理食塩水保水能、中位粒子径、および粒子径分布の均一度は、後述の測定方法により測定した値である。
【0066】
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂粒子の生理食塩水保水能は、吸収性物品に用いられる吸収体の吸収容量を高める観点から、好ましくは20g/g以上であり、より好ましくは25g/g以上であり、さらに好ましくは30g/g以上である。
【0067】
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、目的とする用途によって異なるため、一概に限定できないが、例えば、10〜800μm程度が例示できる。また、例えば、電力ケーブル用止水剤等の薄いシート状物に用いる場合、中位粒子径は20〜200μm程度の小さいものが選択される。一方、吸水性樹脂粒子と親水性繊維とを混合して吸収体を作成し、紙おむつ等の吸収性物品に用いる場合、中位粒子径は200〜600μm程度の比較的大きいものが選択される。
【0068】
吸水性樹脂粒子の粒子径分布は、狭い方が好ましい。小さい粒子は、粉体の流動性に劣るうえに、発塵等の問題がある。また、必要以上に大きい粒子は、吸水性樹脂粒子を用いた応用製品の品質を悪化させるおそれがある。例えば、紙おむつについて説明すると、小さい粒子は、吸収体の製造時に吸水性樹脂粒子の移送が困難となるうえに、吸水性樹脂粒子が金網から目抜けする等の問題がある。一方、大きい粒子は、吸収体を圧縮した時に、固くなったり、ザラザラした不快な感触になるおそれがある。したがって、吸水性樹脂粒子の粒子径分布の狭さを示す均一度は、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.6以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。
【0069】
前記生理食塩水保水能は、単位質量当りの吸水性樹脂粒子が吸収し得る生理食塩水の質量を示し、吸水性樹脂粒子の吸水容量の度合いを表す。具体的には、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に、吸水性樹脂粒子を分散させ、膨潤させた後、吸水性樹脂粒子に吸収されていない水を遠心分離等の方法により除いた上で、膨潤後の吸水性樹脂粒子の質量を測定し、膨潤前の吸水性樹脂粒子の質量で割ることで求める。すなわち、生理食塩水保水能(g/g)は、式:
膨潤後の吸水性樹脂粒子の質量(g)/膨潤前の吸水性樹脂粒子の質量(g)
で求めた値である。
【0070】
中位粒子径は、一定粒度区間内に全体の粒子の何%の粒子が存在するかを表す度数分布を、粒子径の大きい方より積分して求めた累積分布が50%を示すときの粒子径の値を意味する。具体的には、JIS標準篩を数種用いて分級し、各篩の目開きより大きい粒子の割合を質量百分率で求め、積算質量百分率とし、その後、各篩の目開きに対応する粒子径毎に、求めた積算質量百分率を対数確率紙にプロットし、近似直線を求め、近似直線における積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とする。より具体的には、例えば後述する実施例にて記載する方法のようにして、算出することができる。
【0071】
粒子径分布の均一度は、中位粒子径の測定において、得られた積算質量百分率と粒子径との相関を示す近似直線を元に、積算質量百分率が15.9質量%に相当する粒子径(X1)と84.1質量%に相当する粒子径(X2)とを求め、下記一般式:
均一度=X1/X2
により求めた値である。なお、均一度は、下限値である1.0に近い程、粒子径分布が狭いことを示す。
【実施例】
【0072】
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
[評価方法]
各実施例および比較例で得られた吸水性樹脂粒子の性能を、以下の方法により測定、評価した。
【0074】
(1)生理食塩水保水能
500mL容のビーカーに、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを量り取り、600r/minで撹拌させながら、吸水性樹脂粒子2.0gを、継粉が発生しないように分散させた。撹拌させた状態で30分間放置し、吸水性樹脂粒子を十分に膨潤させた。その後、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂粒子を使用せずに同様の操作を行ない、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定し、式:
生理食塩水保水能(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂粒子の質量(g)
から吸水性樹脂粒子の生理食塩水保水能を算出した。
【0075】
(2)中位粒子径
吸水性樹脂粒子約50gを、JIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、その50質量%以上が通過する場合には(A)の篩の組み合わせを、50質量%未満の場合には(B)の篩の組み合わせを用いて中位粒子径を測定した。
【0076】
(A)JIS標準篩を上から、目開き500μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩および受け皿の順に組み合わせた。
【0077】
(B)JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩および受け皿の順に組み合わせた。
【0078】
組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂粒子を約50g入れ、ロータップ式振とう器を用いて10分間振とうさせて分級した。分級後、各篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量を全吸水性樹脂粒子量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算した。その後、篩の目開きと、篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量百分率の積算値との関係を、対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
【0079】
(3)粒子径分布の均一度
前記「(2)中位粒子径」において、積算質量百分率が15.9質量%に相当する粒子径(X1)および84.1質量%に相当する粒子径(X2)を求め、下記式:
均一度=X1/X2
により均一度を求めた。なお、均一度が1.0に近づくほど粒子径分布が狭いことを意味する。
【0080】
[実施例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB2.0の酢酸モノラウリン酸グリセリン(理研ビタミン株式会社製、ポエムG−002)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、65℃まで冷却した。
【0081】
一方、500mL容の三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行った。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0082】
撹拌機の回転数を700r/minとして、前記単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら45℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行なった。
【0083】
重合後、撹拌機の回転数を1000r/minに変更して、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、125.7gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.68gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状の吸水性樹脂粒子97.1gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0084】
[実施例2]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB9.5のクエン酸モノステアリン酸グリセリン(太陽化学株式会社製、サンソフトNo.621B)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、65℃まで冷却した。
【0085】
一方、500mL容の三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行った。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0086】
撹拌機の回転数を700r/minとして、前記単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら45℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行なった。
【0087】
重合後、撹拌機の回転数を1000r/minに変更して、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、125.7gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.68gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状の吸水性樹脂粒子97.5gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0088】
[実施例3]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB2.0の酢酸モノラウリン酸グリセリン(理研ビタミン株式会社製、ポエムG−002)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、65℃まで冷却した。
【0089】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、1段目の単量体水溶液を調整した。
【0090】
撹拌機の回転数を700r/minとして、前記1段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら45℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、1段目の重合を60分間行ない、重合後スラリーを得た。
【0091】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液128.2g(1.43モル)とイオン交換水30.5gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.3gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.15g(0.56ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル12.8mg(0.07ミリモル)を加えて溶解して、2段目の単量体水溶液を調製した。
【0092】
撹拌機の回転数を1000r/minに変更した後、前記2段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら20℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、2段目の重合を30分間行なった。
【0093】
2段目の重合後、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、258.5gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.96gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状粒子が凝集した形状の吸水性樹脂粒子241.9gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0094】
[実施例4]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB7.5の乳酸モノステアリン酸グリセリン(太陽化学株式会社製、サンソフトNo.661AS)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、65℃まで冷却した。
【0095】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、1段目の単量体水溶液を調整した。
【0096】
撹拌機の回転数を700rpmとして、前記1段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら45℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、1段目の重合を60分間行ない、重合後スラリーを得た。
【0097】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液128.2g(1.43モル)とイオン交換水30.5gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.3gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.15g(0.56ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル12.8mg(0.07ミリモル)を加えて溶解して、2段目の単量体水溶液を調製した。
【0098】
撹拌機の回転数を1000r/minに変更した後、前記2段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら20℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、2段目の重合を30分間行なった。
【0099】
2段目の重合後、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、258.5gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.96gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状粒子が凝集した形状の吸水性樹脂粒子242.1gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0100】
[比較例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB4のテトラグリセリンステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、リョートーポリグリTS−4)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、55℃まで冷却した。
【0101】
一方、500mL容の三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行った。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0102】
撹拌機の回転数を700r/minとして、前記単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行なった。
【0103】
重合後、撹拌機の回転数を1000r/minに変更して、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、125.7gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.68gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状の吸水性樹脂粒子97.0gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0104】
[比較例2]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン321g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB4のテトラグリセリンステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、リョートーポリグリTS−4)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、55℃まで冷却した。
【0105】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製、AW−15F)0.27g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mg(0.05ミリモル)を加えて溶解し、1段目の単量体水溶液を調整した。
【0106】
撹拌機の回転数を450r/minとして、前記1段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、1段目の重合を60分間行ない、重合後スラリーを得た。
【0107】
一方、500mL容の三角フラスコ中に80.5質量%のアクリル酸水溶液128.2g(1.43モル)とイオン交換水30.5gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.3gを滴下して75モル%の中和を行なった。その後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.15g(0.56ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル12.8mg(0.07ミリモル)を加えて溶解して、2段目の単量体水溶液を調製した。
【0108】
撹拌機の回転数を1000r/minに変更した後、前記2段目の単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら25℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、2段目の重合を30分間行なった。
【0109】
2段目の重合後、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンとの共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、267.8gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.96gを添加し、引き続き水とn−へプタンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状粒子が凝集した形状の吸水性樹脂粒子242.5gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0110】
[比較例3]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機および翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた、内径100mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにシクロヘキサン378g(472ml)をとり、分散安定剤としてHLB4.7のソルビタンモノステアレート(花王株式会社製、レオドールSP−10V)0.92g、高分子系分散安定剤として無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散安定剤を溶解した後、55℃まで冷却した。
【0111】
一方、500mL容の三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)とイオン交換水51.2gをとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.9gを滴下して75モル%の中和を行った。その後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.3mg(0.01ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0112】
撹拌機の回転数を250r/minとして、前記単量体水溶液を、前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行なった。
【0113】
重合後、撹拌機の回転数を1000r/minに変更して、125℃の油浴を使用して昇温し、水とシクロヘキサンとの共沸蒸留により、シクロヘキサンを還流しながら、125.7gの水を系外へ抜き出した。その後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液3.68gを添加し、引き続き水とシクロヘキサンを蒸留により除去、乾燥することによって、球状粒子が部分的に凝集した形状の吸水性樹脂粒子70.3gを得た。吸水性樹脂粒子の物性を上記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0114】
【表1】
【0115】
表1に示された結果から、各実施例で得られた吸水性樹脂粒子は、適度な保水能(吸水容量)を有し、適度な粒子径および狭い粒子径分布を有していることが解る。