【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、請求項1に記載の機構および請求項13に記載の薬物送達デバイスによって実現される。実施形態は、それぞれの従属請求項から得られる。
【0007】
一態様では、本発明は、薬物送達デバイス用の機構に関する。機構は、本体と、本体内で可動であり、親ねじまたはピストンロッドのような要素を駆動するために設けることができる駆動部材と、送達予定の薬物の用量が使用者によって設定されるときに負荷を受け、使用者による薬物の用量の送達中に駆動部材を動かすために解放される、主ばねのような主弾性要素と、駆動部材の動きを抑える可動トリガとを含み、本体に対するトリガの動きは、主弾性要素および駆動部材を解放する。トリガは、用量の設定中に本体に対して開始位置から終了位置へ動かされ、開始位置からの終了位置の距離、特に線形の距離は、設定される用量が増大するにつれて増大する。
【0008】
可動トリガは、薬物の用量の送達に対する機構の準備を容易にし、設定された薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを提供する。トリガは、開始位置から終了位置へ動かすことができる任意の動作要素によって提供することができる。
【0009】
機構の一実施形態では、トリガは、用量の送達のために終了位置から開始位置の方へ動かされる。
【0010】
トリガの使用は、設定された用量の送達を容易にし、送達予定の薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを提供する。この送達は、その開始位置に到達する前にトリガの動きが止められるときに止められる。したがって、この機構は、従来の機構より、使用者による送達の厳密な制御を可能にする。
【0011】
機構のさらなる実施形態によれば、開始位置からのトリガの終了位置の距離は、設定される用量の量に依存する。この依存は、設定された薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを高める。
【0012】
機構のさらなる実施形態によれば、トリガによってカバーされる距離は、送達された用量に比例する部分を含む。この比例関係は、送達予定の薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを高める。
【0013】
機構のさらなる実施形態によれば、本体は軸方向を画成し、トリガは、本体に対して軸方向に可動でありかつ本体に回転方向にロックされ、したがって、本体に対するトリガの位置は軸方向に変化することができるが、トリガは本体に対して回転されない。
【0014】
回転なしの軸方向におけるトリガの動きは、それぞれ、設定された薬物の量の光学および/または触覚フィードバック、ならびにすでに送達された薬物の量およびまだ送達されていない薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを高める。
【0015】
さらなる実施形態では、機構は、駆動部材をトリガに解放可能にロックするロッキング機能をさらに含み、ロッキング機能は、薬物送達のために解放される。
【0016】
解放可能なロックは、駆動部材が用量設定のためにトリガにロックされ、薬物送達のために解放されることを可能にする。
【0017】
機構のさらなる実施形態によれば、ロッキング機能は、駆動部材をトリガに回転方向にロックし、その結果、駆動部材とトリガとの間の相対的な回転が可能ではなくなる。
【0018】
回転ロックは、用量設定中の駆動部材の回転を防止し、その結果、親ねじまたはピストンロッドの意図しない動きが生成されなくなる。
【0019】
機構のさらなる実施形態によれば、ロッキング機能は、トリガのスプラインと、駆動部材のスプラインとを含み、これらのスプラインは、終了位置から開始位置の方へのトリガの動きによって回転ロックが解放されるように、駆動部材をトリガに回転方向にロックする。
【0020】
これらのスプラインは、容易に係合および係合解除される回転ロックを提供する。
【0021】
さらなる実施形態では、機構は、トリガに作用するトリガばねをさらに含み、トリガばねは、駆動部材をトリガにロックされた状態で保つ傾向がある。
【0022】
トリガばねは、ロッキング機能を係合された状態で保つ傾向があり、ロッキング機能が係合解除されることを可能にするために容易に圧縮される。
【0023】
さらなる実施形態では、機構は、インジケータ部材をさらに含み、駆動部材は、インジケータ部材に単方向に回転方向に連結される。
【0024】
インジケータ部材は、駆動部材の動きに応じて設定および/または送達された用量が示されることを可能にする。
【0025】
さらなる実施形態では、機構は、本体と駆動部材との間に作用する弾性要素をさらに含み、弾性要素は、駆動部材をインジケータ部材に連結された状態で保つように配置される。
【0026】
弾性要素は、設定された用量が取り消されるときに駆動部材とインジケータ部材との間の連結が取り除かれることを可能にする。
【0027】
さらなる実施形態では、機構は、軸方向に可動でありかつ回転方向にロックされるばねキャップをさらに含み、主弾性要素は、主弾性要素がばねキャップに対するインジケータ部材の回転による負荷を受けるように、インジケータ部材およびばねキャップに締結される。
【0028】
ばねキャップは、主弾性要素の近位インターフェースが本体に対して軸方向に動くことを可能にし、その結果、主弾性要素は、用量が設定されるときにインジケータ部材とのその遠位インターフェースが軸方向に動くにつれて、本体に対して軸方向に動くことが自由になる。
【0029】
さらなる実施形態では、機構は、近位および遠位方向を画成する本体と、本体から近位方向に延びる回転可能なダイヤルと、本体にねじ係合されており、薬物カートリッジ内で栓を前進させるために使用することができる親ねじと、ダイヤルに連結されており、特に薬物の量を示すインジケータ部材と、本体に対するインジケータ部材の回転による負荷を受ける主ばねと、親ねじに回転方向にロックされた駆動部材と、回転ロックを解放することができるように、駆動部材を本体に回転方向にロックするトリガとを含む。インジケータ部材は、親ねじにねじ係合される。インジケータ部材には、伝送のために使用される中間スリーブが回転方向にロックされる。ダイヤルにはダイヤルナットが回転方向にロックされ、単方向回転ギア(unidirectional rotational gear)またはラチェット内の中間スリーブに係合し、したがってインジケータ部材をダイヤルに連結する。駆動部材は、インジケータ部材に単方向に回転方向に連結される。トリガは、軸方向に可動でありかつ回転方向にロックされる。本体に対する駆動部材の回転ロックは、親ねじの遠位方向運動に伴う駆動部材の遠位方向運動に対応してトリガを遠位方向に動かすことによって解放される。駆動部材の回転には、親ねじの遠位方向運動を生成することが必要とされる。
【0030】
ダイヤルは、薬物の用量の設定および取り消しのために使用され、ダイヤルを後方へ回転させることによって設定される用量を取り消すことができるように、ダイヤルナットおよび中間スリーブを介して駆動部材に連結されたインジケータ部材を回転させる。取り消し工程は、単方向ギアまたはラチェットを使用する。インジケータ部材は、用量設定中に静止している親ねじとのねじ係合に応じて動かされる。トリガは、主ばね内に蓄積されたエネルギーを解放するために使用される。
【0031】
機構の一実施形態では、本体に対する駆動部材の回転ロックは、薬物送達のために解放され、薬物送達中にトリガの動きによってカバーされる軸方向距離は、送達される薬物の用量が増大するにつれて増大する。薬物送達中のトリガの動きによってカバーされる軸方向距離は、特に、送達された薬物の用量に比例することができる。
【0032】
トリガの使用は、設定された用量の送達中の制御を可能にし、すでに送達された薬物の量およびまだ送達されていない薬物の量の光学および/または触覚フィードバックを提供する。
【0033】
さらなる実施形態では、機構は、本体と駆動部材との間の弾性要素をさらに含み、弾性要素は、駆動部材に近位方向に作用する。
【0034】
弾性要素は、駆動部材とインジケータ部材との間の連結を生成する。
【0035】
機構のさらなる実施形態によれば、インジケータ部材は、駆動部材に対して近位方向に配置され、弾性要素は、駆動部材をインジケータ部材に連結された状態で保つように、駆動部材に作用する。
【0036】
弾性要素は、設定された用量が取り消されるとき、駆動部材とインジケータ部材との間の連結が取り除かれることを可能にする。
【0037】
さらなる実施形態では、機構は、駆動部材をインジケータ部材に単方向に回転方向に連結するラチェット機能をさらに含む。
【0038】
ラチェット機能は、親ねじを前進させることなく、設定された用量が取り消されることを可能にする。
【0039】
機構のさらなる実施形態によれば、中間スリーブは、駆動部材に軸方向に接触し、その結果、遠位方向における中間スリーブの動きによって、インジケータ部材と駆動部材との間の単方向の回転方向連結を解放することができる。
【0040】
これは、設定された用量を取り消すために有用である。
【0041】
機構のさらなる実施形態によれば、遠位方向における中間スリーブの動きは、中間スリーブに対するダイヤルナットの回転によって生成され、ダイヤルナットの回転は、ギアまたはラチェットを係合解除し、中間スリーブを遠位方向に押す。
【0042】
したがって、ダイヤルナットを介したダイヤルの回転によって、係合解除を行うことができる。
【0043】
さらなる実施形態では、機構は、トリガのスプラインと、駆動部材のスプラインとをさらに含み、これらのスプラインは、回転ロックを解放することができるように、駆動部材をトリガに回転方向にロックする。トリガばねが、駆動部材をトリガに回転方向にロックされた状態で保つように、トリガに近位方向に作用する。
【0044】
スプラインは、容易に係合および係合解除される回転ロックを提供する。
【0045】
機構のさらなる実施形態によれば、ダイヤルは、本体に軸方向に束縛される。ダイヤルが本体に対して同じ軸方向位置で保たれる場合、デバイスの動作を容易にすることができる。
【0046】
さらなる実施形態では、機構は、軸方向に可動でありかつ回転方向にロックされるばねキャップをさらに含む。主ばねは、主ばねがばねキャップに対するインジケータ部材の回転による負荷を受けるように、インジケータ部材およびばねキャップに締結される。
【0047】
ばねキャップは、主ばねが本体に対して軸方向に動くことを可能にする。
【0048】
機構のさらなる実施形態によれば、主ばねはねじりばねであり、ばねキャップは、インジケータ部材が遠位方向に動くときに遠位方向に動き、逆も同様である。
【0049】
ばねキャップは、主ばねがインジケータ部材と同時に動くことを可能にする。
【0050】
さらなる態様では、本発明は、上記の機構を含む薬物送達デバイスに関する。特に、薬物送達デバイスは、空になったときに再充填されないペン型デバイスおよび/または使い捨てデバイスとすることができる。薬物送達デバイスは、特に、注射デバイス、特にペン型注射器とすることができる。
【0051】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0052】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0053】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0054】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0055】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0056】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0057】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0058】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0059】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0060】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0061】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0062】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0063】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0064】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0065】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0066】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0067】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0068】
以下、添付の図面に関する機構および薬物送達デバイスの実施形態の詳細な説明である。