特許第6567864号(P6567864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特許6567864マルチステーション基板堆積システムにおける一ALDサイクルの厚さ制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567864
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】マルチステーション基板堆積システムにおける一ALDサイクルの厚さ制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20190819BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20190819BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20190819BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20190819BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20190819BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/31 C
   H01L21/316 X
   H01L21/318 B
   H01L21/314 A
   C23C16/52
   C23C16/455
【請求項の数】42
【外国語出願】
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2015-95293(P2015-95293)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-220458(P2015-220458A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2018年5月7日
(31)【優先権主張番号】61/994,025
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/455,796
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロムアルド・ノヴァク
(72)【発明者】
【氏名】フー・カン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン・ラボイエ
(72)【発明者】
【氏名】ジュイン・チエン
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0031786(US,A1)
【文献】 特表2008−513980(JP,A)
【文献】 特開平03−049216(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0196078(US,A1)
【文献】 米国特許第08119527(US,B1)
【文献】 米国特許第06860965(US,B1)
【文献】 国際公開第2011/125471(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/52
H01L 21/314
H01L 21/316
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させる方法であって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載することと、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させることと、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を前記第1群のプロセスステーションから、前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに、移送することと、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載することと、
(e)厳密にN’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させることであって、N’は、Nに等しくない、ことと、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すことと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(g)前記第2群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送することと、
(h)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第2群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に膜材料を堆積させることと、
を備える方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
NとN’は、1だけ異なる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択することと、
D/dに最も近い正の整数Mを奇数であると判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’をN+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択することと、
を備える方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択することと、
Nを(1/2)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、選択と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択することと、
を備える方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ2つのプロセスステーションからなる、方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、2つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ1つのプロセスステーションからなる、方法。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、偶数Sのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれS/2のプロセスステーションからなる、方法。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記堆積された膜材料は、誘電体を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記誘電体は、1種以上のシリコン酸化物を含む、方法。
【請求項12】
2つ以上のプロセスステーションを有する反応チャンバにおいて基板上に規定の厚さの膜を堆積させる方法であって、
(a)前記反応チャンバの第1のプロセスステーションに、少なくとも第1の基板を受け入れることと、
(b)厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜の膜厚の一部を堆積させることと、
(c)少なくとも前記第1の基板を第2のプロセスステーションに移送することと、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることであって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記規定の厚さを達成するように選択される、堆積と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバから取り出すことと、
を備える方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
N’は、N−1またはN+1に等しい、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
(a)は、前記反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに、複数の基板を受け入れることを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
(a)は、2枚の基板を受け入れることを含み、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを決定することと、
D/dに最も近い正の整数MがXの倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’を、N+N’=Mで、かつNがN’に等しくないように選択することと、
を備える方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
(a)は、4枚の基板を受け入れることを含み、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを決定することと、
Nを(1/4)×D/dに最も近い正の整数Mであるように選択することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、選択と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択することと、
を備える方法。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、(d)後で、かつ(e)前に、
(f)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバ内の第3のプロセスステーションに移送することと、
(g)厳密にN”サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚の尚も別の一部を堆積させることであって、N”は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’およびN”は、前記規定の厚さを実現するように選択される、ことと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、(g)後で、かつ(e)前に、
(h)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバ内の第4のプロセスステーションに移送することと、
(i)厳密にN”’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚のさらなる一部を堆積させることであって、N”’は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’、N”およびN”’は、前記規定の厚さを実現するように選択される、ことと、
を備える方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記反応チャンバ内の4つのプロセスステーションに、4枚の基板が受け入れられ、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを選択することと、
D/dに最も近い正の整数Mが4の倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’をN+N’=Mで、かつNがN’に等しくないように選択することと、
を備える方法。
【請求項20】
請求項12ないし16のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)において、前記反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに、複数の基板が受け入れられ、
(b)において、厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記膜の厚みの一部が堆積され、
(c)において、前記反応チャンバ内の異なるプロセスステーションに、前記複数の基板が移送され、
(d)において、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記膜厚の別の一部が堆積される、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記複数の基板は、少なくとも前記第1の基板と、第2の基板とを含み、(c)は、さらに、前記第2の基板を前記第2のプロセスステーションから前記第1のプロセスステーションに移送することを含む、方法。
【請求項22】
請求項12ないし16のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
(c)後で、かつ(d)前に、前記反応チャンバ内のプロセスステーションに、少なくとも1枚の追加の基板を受け入れることを備え、(d)は、さらに、前記少なくとも1枚の追加の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることを含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記少なくとも1枚の追加の基板は、前記反応チャンバ内の前記第1のプロセスステーションに受け入れられる、方法。
【請求項24】
複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションと、
前記処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションと、
前記プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、
前記処理チャンバに収容された前記プロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源と、
基板を前記処理チャンバ内の前記プロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、
1枚以上の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための基板移送機器と、
前記基板上に材料の膜を堆積させるために前記基板搭載機器、前記基板移送機器、前記1つ以上の弁、前記真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含む1つ以上のコントローラであって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させるための命令と、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための命令と、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(e)厳密にN’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させるための命令であって、N’およびNは、規定の総膜厚を提供するように選択される、命令と、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すための命令と、
を含む、コントローラと、
を備える装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
(g)前記第2群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための機械読み取り可能命令と、
(h)Nサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第2群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項26】
請求項24に記載の装置であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、装置。
【請求項27】
請求項24に記載の装置であって、
前記基板搭載機器は、1つ以上のプロセスステーションの前記基板ホルダ上に基板を載置するための基板取扱ロボットを含む、装置。
【請求項28】
請求項24に記載の装置であって、
前記基板移送機器は、複数の前記基板の面に実質的に垂直で、かつ複数の前記基板に対して実質的に等間隔な中心軸を中心として、複数の前記基板を回転させることによって動作するカルーセルを含む、装置。
【請求項29】
請求項24ないし28のいずれか一項に記載の装置であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ2つのプロセスステーションからなる、装置。
【請求項30】
請求項24ないし28のいずれか一項に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、
Nを(1/2)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令であって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、機械読み取り可能命令と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときに、N’をNであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときに、N’をN−1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときに、N’をN+1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項32】
複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバに収容された第1のプロセスステーションと、
前記処理チャンバに収容された第2のプロセスステーションと、
前記複数のプロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、
前記処理チャンバに収容された前記複数のプロセスステーションを取り巻く複数の空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源と、
基板を処理チャンバ内の前記複数のプロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、
1枚以上の基板を前記第1のプロセスステーションから前記第2のプロセスステーションに移送するための基板移送機器と、
前記基板上に材料の膜を堆積させるために前記基板搭載機器、前記基板移送機器、前記1つ以上の弁、および前記真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含む1つ以上のコントローラであって、
(a)少なくとも第1の基板を処理チャンバ内の前記第1のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1のプロセスステーションにある少なくとも前記第1の基板上に規定の膜厚の一部を堆積させるための命令と、
(c)少なくとも前記第1の基板を前記第2のプロセスステーションに移送するための命令と、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環膜堆積を実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記規定の膜厚の別の一部を堆積させるための命令であって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記規定の膜厚を実現するように選択される、命令と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記処理チャンバから取り出すための命令と、
を含む、1つ以上のコントローラと、
を備える装置。
【請求項33】
請求項32に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
(a)において、複数のプロセスステーションに複数の基板を搭載するための機械読み取り可能命令と、
(b)において、厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記規定の膜厚の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)において、前記複数の基板を前記処理チャンバ内の異なるプロセスステーションに移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)において、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記規定の膜厚の別の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項34】
請求項32に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、(c)後で、かつ(d)前に、少なくとも1枚の追加の基板を前記処理チャンバ内のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令を含み、(d)は、さらに、前記少なくとも1枚の追加の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることを含む、装置。
【請求項35】
請求項32に記載の装置であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった膜前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、装置。
【請求項36】
請求項32に記載の装置であって、
前記基板搭載機器は、前記複数のプロセスステーションの少なくとも1つに基板を載置するための基板取扱ロボットを含む、装置。
【請求項37】
請求項32に記載の装置であって、
前記基板移送機器は、複数の前記基板の面に実質的に垂直で、かつ複数の前記基板に対して実質的に等間隔な中心軸を中心として、複数の前記基板を回転させることによって動作するカルーセルを含む、装置。
【請求項38】
請求項32ないし37のいずれか一項に記載の装置であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容する、装置。
【請求項39】
請求項38に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、
Nを(1/4)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令であって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、機械読み取り可能命令と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項40】
請求項39に記載の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときに、N’をNであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときに、N’をN−1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときに、N’をN+1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
【請求項41】
機械読み取り可能媒体であって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令と、
(b)Nサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を前記第1群のプロセスステーションから、前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに、移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令と、
(e)N’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令であって、N’は、Nに等しくない、機械読み取り可能命令と、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すための機械読み取り可能命令と、
を有する機械読み取り可能媒体。
【請求項42】
機械読み取り可能媒体であって、
(a)処理チャンバの第1のプロセスステーションに、少なくとも第1の基板を受け入れるための機械読み取り可能命令と、
(b)厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に膜の厚みの一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)少なくとも前記第1の基板を第2のプロセスステーションに移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜の厚みの別の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令であって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記厚みを達成するように選択される、機械読み取り可能命令と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記処理チャンバから取り出すための機械読み取り可能命令と、
を有する機械読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年5月15日に出願され発明の名称を「SINGLE ALD CYCLE THICKNESS CONTROL IN MULTI−STATION PARALLEL SUBSTRATE DEPOSITION SYSTEMS(マルチステーション並列基板堆積システムにおける一ALDサイクルの厚さ制御)」とする米国仮特許出願第61/994,025号の優先権を主張する。該出願は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
半導体産業におけるデバイスおよび特徴のさらなる小型化、ならびに集積回路(IC)設計における3Dデバイス構造(例:IntelのTri−Gateトランジスタアーキテクチャ)のさらなる普及にともなって、薄い共形膜(下にくる構造の形状に対して、たとえ平坦ではなくても厚さが一様な材料膜)を堆積させる能力の重要性が、ますます高まっている。原子層堆積(ALD)の一サイクルが、薄い材料層を1枚のみ堆積させるという事実ゆえに、ALDは、共形膜の堆積に良く適した膜形成技術であり、その膜の厚さは、膜を形成する化学反応自体に先立ち基板表面上に吸着されえる(すなわち、吸着制限層を形成しえる)1種以上の膜前駆体反応物の量によって制限される。したがって、所望の厚さの膜を構築するためには、複数の「ALDサイクル」が使用されてよく、各層は、薄く、かつ共形であるゆえに、結果として得られる膜は、その下にくるデバイス構造の形状に実質的に一致する。
【0003】
ALDには、しかしながら、ウエハ処理スループットに関連した課題がある。ALDの各サイクルは、1枚の薄い吸着制限層を堆積させるのみであるので、所望のかなりの厚さの膜を堆積させるためには、多数のALDサイクルが順次実施される必要があり、サイクルごとに時間がかかる。したがって、ウエハを並列に処理し、それによって半導体製造作業におけるウエハ/基板処理スループットを向上させるための、改良された方法および装置が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示されるのは、マルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させる方法である。幾つかの実施形態では、方法は、1枚以上の基板の第1群の基板を処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載することと、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第1群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させることと、を含んでいてよい。このような特定の実施形態の方法は、その後、第1群の基板を第1群のプロセスステーションから処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに移送することと、1枚以上の基板の第2群の基板を処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載することと、N’サイクルの膜堆積を実施することによって、第1群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび第2群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させることであって、N’は、Nに等しくない、堆積と、を含んでいてよい。さらに、特定の実施形態では、方法は、第1群および第2群の基板上に膜材料を堆積させた後に、第1群の基板を処理チャンバから取り出すことと、第2群の基板を第1群のプロセスステーションから第2群のプロセスステーションに移送することと、随意として、1枚以上の基板の第3群の基板を処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載することと、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第2群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび随意として第1群のプロセスステーションにある第3群の基板上に膜材料を堆積させることと、を含んでいてよい。このような特定の実施形態では、NとN’は、1だけ異なっていてよい。この操作手順は、このようにして、処理されている基板バッチの最初から最後まで各堆積工程をNサイクルとN’サイクルとで交替に繰り返し、基板バッチのなかの最後の2群の基板それぞれ最後のNサイクルまたはN’サイクルの膜堆積を経て処理チャンバから取り出されるまで続けることができる。
【0005】
このような特定の実施形態では、(Nサイクルおよび/またはN’サイクルの)膜堆積の一サイクルが、膜前駆体を、それが基板上に吸着制限層を形成するように基板上に吸着させることと、吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、吸着されなかった前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、基板上に膜層を形成させることと、吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、膜層を取り巻く空間から除去することと、を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、堆積された膜材料は、誘電体材料または導電材料を含んでいてよく、このような特定の実施形態では、誘電体は、1種以上のシリコン酸化物、シリコン炭化物、またはシリコン窒化物を含んでいてよい。本明細書で開示される技術および装置は、ALDプロセスを通じたシリコン酸化物膜の堆積に効果的であるが、より一般的には、半導体製造に使用されマルチサイクル堆積を利用する任意の方法によって堆積されるあらゆるタイプの膜材料に適用されてよく、本明細書で説明される堆積方法および処理チャンバは、この目的に効果的である。
【0006】
幾つかの実施形態では、膜堆積方法は、堆積膜の目標厚さDを選択することと、D/d(ここで、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである)に最も近い正の整数を奇数であると判定することと、NおよびN’をN+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択することと、を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、膜堆積方法は、堆積膜の目標厚さDを選択することと、Nを(1/2)×(D/d)(ここで、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである)に最も近い正の整数であるように選択することと、N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択することと、を含んでいてよい。
【0007】
やはり本明細書で開示されるのは、マルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させる方法である。幾つかの実施形態では、方法は、(a)X枚の基板を処理チャンバ内のX個のプロセスステーションに搭載することと、(b)(a)後に、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、X枚の基板上に膜材料を堆積させることと、(c)各基板を、(a)において各基板が搭載されたプロセスステーションとは異なるプロセスステーションへ回転させることと、(d)(c)における回転後に、N’サイクルの膜堆積を実施することによって、X枚の基板上に膜材料を堆積させることであって、少なくとも一サイクルの膜堆積を実施する各プロセスステーションは、各基板上に少なくともN−1サイクルの膜堆積を堆積させる、ことと、を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、Xは、2以上の整数であってよく、処理チャンバ内の第1のプロセスステーションには、少なくとも第1の基板が搭載され、処理チャンバ内の第2のプロセスステーションには、少なくとも第2の基板が搭載される。
【0008】
やはり本明細書で開示されるのは、マルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させる方法である。幾つかの実施形態では、方法は、(a)反応チャンバの第1のプロセスステーションに、少なくとも第1の基板を受け入れることと、(b)Nサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも第1の基板上に膜厚の一部を堆積させることと、(c)少なくとも第1の基板を第2のプロセスステーションに移送することと、(d)(c)後に、N’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも第1の基板上に膜厚の別の一部を堆積させることであって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、規定の厚さを達成するように選択される、ことと、(e)少なくとも第1の基板を反応チャンバから取り出すことと、を含んでいてよい。
【0009】
このような特定の実施形態では、N’は、N、N−1、またはN+1に等しくてよい。さらに、このような特定の実施形態では、反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに、X枚の基板が受け入れられてよい。このようなさらなる特定の実施形態では、Xは、2に等しくてよく、方法は、さらに、規定の厚さDを選択することと、D/dに最も近い正の整数MがXの倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、NおよびN’をN+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択することと、を含んでいてよい。尚もさらなるこのような実施形態では、Xは、4に等しくてよく、方法は、さらに、規定の厚さDを選択することと、Nを(1/4)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、選択と、N’をN−1、N、またはN+1のいずれかであるように選択することと、を含んでいてよい。
【0010】
このような特定のさらなる実施形態では、方法は、さらに、(d)後で、かつ(e)前に、(f)少なくとも第1の基板を反応チャンバ内の第3のプロセスステーションに移送することと、(g)N”サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも第1の基板上に膜厚の尚も別の一部を堆積させることであって、N”は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’、およびN”は、規定の厚さを実現するように選択される、ことと、を含んでいてよい。
【0011】
このような特定のさらなる実施形態では、方法は、さらに、(g)後で、かつ(e)前に、(h)少なくとも第1の基板を反応チャンバ内の第4のプロセスステーションに移送することと、(i)N”’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも第1の基板上に膜厚のさらなる一部を堆積させることであって、N”’は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’、N”およびN”’は、規定の厚さを実現するように選択される、ことと、を含んでいてよい。このような特定のさらなる実施形態では、反応チャンバ内の4つのプロセスステーションに、4枚の基板が受け入れられてよく、方法は、さらに、規定の厚さDを選択することと、D/dに最も近い正の整数Mが4の倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、ことと、NおよびN’をN+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択することと、を含んでいてよい。
【0012】
このようなさらなる特定の実施形態では、方法は、(a)において、反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに複数の基板が受け入れられてよく、(b)において、Nサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、複数の基板上に膜厚の一部が堆積されてよく、(c)において、反応チャンバ内の異なるプロセスステーションに複数の基板が移送されてよく、(d)において、N’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、複数の基板上に膜厚の別の一部が堆積されてよい。このようなさらなる特定の実施形態では、複数の基板は、少なくとも第1の基板と、第2の基板とを含んでいてよく、(c)は、さらに、第2の基板を第2のプロセスステーションから第1のプロセスステーションに移送することを含んでいてよい。
【0013】
このような特定のさらなる実施形態では、方法は、さらに、(c)後で、かつ(d)前に、反応チャンバ内のプロセスステーションに少なくとも1枚の追加の基板を受け入れることを含んでいてよく、この場合は、(d)は、さらに、上記少なくとも1枚の追加の基板上に膜厚の別の一部を堆積させることを含む。このような特定のさらなる実施形態では、少なくとも1枚の追加の基板は、反応チャンバ内の第1のプロセスステーションに受け入れられてよい。
【0014】
やはり本明細書で開示されるのは、複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置である。幾つかの実施形態では、装置は、処理チャンバと、処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションと、処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションと、プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、処理チャンバに収容されたプロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源および/またはガスパージ源と、基板を処理チャンバ内のプロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、1枚以上の基板を第1群のプロセスステーションから第2群のプロセスステーションに移送するための基板移送機器と、1つ以上のコントローラとを含んでいてよい。
【0015】
このような特定の実施形態では、1つ以上のコントローラは、基板上に材料の膜を堆積させるために基板搭載機器、基板移送機器、1つ以上の弁、および真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含んでいてよい。このような特定の実施形態では、機械読み取り可能命令は、1枚以上の基板の第1群の基板を処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第1群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させるための命令と、を含む。このような特定の実施形態では、機械読み取り可能命令は、さらに、その後、第1群の基板を第1群のプロセスステーションから第2群のプロセスステーションに移送するための命令と、1枚以上の基板の第2群の基板を処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、N’サイクルの膜堆積を実施することによって、第1群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび第2群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させるための命令と、を含んでいてよい。さらに、このような特定の装置の実施形態は、さらに、その後、処理チャンバから第1群の基板を取り出すための追加のコンピュータ読み取り可能命令と、第2群の基板を第1群のプロセスステーションから第2群のプロセスステーションに移送するための追加のコンピュータ読み取り可能命令と、1枚以上の基板の第3群の基板を処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載するための追加のコンピュータ読み取り可能命令と、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第2群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび随意として第1群のプロセスステーションにある第3群の基板上に膜材料を堆積させるための追加のコンピュータ読み取り可能命令と、を含んでいてよい。
【0016】
幾つかの実施形態では、マルチステーション基板処理装置は、1つ以上のプロセスステーションの(1つ以上の)基板ホルダ上に基板を載置するための基板取扱ロボットを含む基板搭載機器を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、基板移送機器は、基板の面に実質的に垂直な中心軸を中心として、かつ基板間を実質的に等間隔として基板を回転させることによって動作するカルーセルを含んでいてよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容しており、第1群および第2群のプロセスステーションは、それぞれ2つのプロセスステーションからなる。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、2つのプロセスステーションを含み、第1群および第2群のプロセスステーションは、それぞれ1つのプロセスステーションからなる。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、偶数Sのプロセスステーションを含み、第1群および第2群のプロセスステーションは、それぞれS/2のプロセスステーションからなる。幾つかの実施形態では、堆積される膜材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはシリコン炭化物などの誘電体を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、堆積される膜材料は、導体を含んでいてよい。
【0018】
幾つかの実施形態では、マルチステーション基板処理装置の1つ以上のコントローラは、さらに、堆積膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、Nを(1/2)×(D/d)(ここで、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令と、N’をN−1、N、またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のコントローラは、さらに、Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときにN’をNであるように選択するための命令と、Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときにN’をN−1であるように選択するための命令と、Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときにN’をN+1であるように選択するための命令と、を含んでいてよい。
【0019】
やはり本明細書で開示されるのは、複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置である。幾つかの実施形態では、装置は、処理チャンバと、処理チャンバに収容された第1のプロセスステーションと、処理チャンバに収容された第2のプロセスステーションと、プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、処理チャンバに収容されたプロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源と、基板を処理チャンバ内のプロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、1枚以上の基板を第1のプロセスステーションから第2のプロセスステーションに移送するための基板移送機器と、基板上に材料の膜を堆積させるために基板搭載機器、基板移送機器、1つ以上の弁、および真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含む1つ以上のコントローラとを含んでいてよい。命令は、(a)少なくとも第1の基板を処理チャンバ内の第1のプロセスステーションに搭載することと、(b)Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第1のプロセスステーションにある少なくとも第1の基板上に規定の膜厚の一部を堆積させることと、(c)少なくとも第1の基板を第2のプロセスステーションに移送することと、(d)(c)後に、N’サイクルの循環膜堆積を実施することによって、少なくとも第1の基板上に規定の膜厚の別の一部を堆積させることであって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、規定の膜厚を実現するように選択される、ことと、(e)少なくとも第1の基板を反応チャンバから取り出すことと、を含んでいてよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、命令は、さらに、(a)において、複数のプロセスステーションに複数の基板を搭載することと、(b)において、Nサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、複数の基板上に規定の膜厚の一部を堆積させることと、(c)において、複数の基板を反応チャンバ内の異なるプロセスステーションに移送することと、(d)において、N’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、複数の基板上に規定の膜厚の別の一部を堆積させることと、を含んでいてよい。
【0021】
幾つかの実施形態では、1つ以上のコントローラは、さらに、(c)後で、かつ(d)前に、少なくとも1枚の追加の基板を反応チャンバ内のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令を含んでいてよく、したがって、(d)は、さらに、少なくとも1枚の追加の基板上に膜厚の別の一部を堆積させることを含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、一サイクルの膜堆積は、(i)膜前駆体を、それが基板上に吸着制限層を形成するように基板上に吸着させることと、(ii)吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、(iii)(ii)において、吸着されなかった膜前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて基板上に膜層を形成させることと、(iv)吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、膜層を取り巻く空間から除去することと、を含んでいてよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、基板搭載機器は、プロセスステーションの少なくとも1つに基板を載置するための基板取扱ロボットを含んでいてよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、基板移送機器は、基板の面に実質的に垂直な中心軸を中心として、かつ基板間を実質的に等間隔として基板を回転させることによって動作するカルーセルを含んでいてよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容していてよい。このような特定の実施形態では、1つ以上のコントローラは、さらに、堆積膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、Nを(1/4)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令であって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、機械読み取り可能命令と、N’をN−1、N、またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、を含んでいてよい。このような特定の実施形態では、1つ以上のコントローラは、さらに、Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときにN’をNであるように選択するための機械読み取り可能命令と、Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときにN’をN−1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときにN’をN+1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、を含んでいてよい。
【0026】
やはり本明細書で開示されるのは、本明細書で開示される操作のありとあらゆる様々な組み合わせを実施するための機械読み取り可能命令を有する機械読み取り可能媒体である。このような命令は、本明細書で開示されるマルチステーション基板処理装置の1つ以上のシステムコントローラによって読み出されてよいおよび/または実行されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】プロセスステーションを1つ伴う処理チャンバを有する基板処理装置を示した概略図である。
【0028】
図2A】2つのプロセスステーションに対して基板の搭載および取り出しを行うための基板取扱ロボットと、装置を操作するためのコントローラとを有する4ステーション基板処理装置を示した概略図である。
【0029】
図2B】1つのプロセスステーションに対して基板の搭載および取り出しを行うための基板取扱ロボットと、装置を操作するためのコントローラとを有する4ステーション基板処理装置を示した概略図である。
【0030】
図3A】2×2モード(すなわち2×2「フレックス」モード)を表す操作手順の一例を示した図である。
【0031】
図3B】代表的な堆積モードを表す操作手順の一例を示した図である。
【0032】
図3C】順次モードを表す操作手順の一例を示した図である。
【0033】
図4A】本明細書で開示される原理に基づいてマルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるための手法の一例を示したフローチャートである。
【0034】
図4B】Nサイクルの堆積とN’サイクルの堆積とを交替で順繰りさせることによって1枚以上の基板からなる任意の数の基板群への堆積を行うための操作手順の一例を示したフローチャートである。
【0035】
図4C】ダマシンモデルに基づいてマルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるための手法の一例を示したフローチャートである。
【0036】
図5A】ALDプロセスを通じて基板上に材料の膜を形成するための操作手順の一例を示したフローチャートである。
【0037】
図5B】堆積プロセスを通じて基板上に材料の膜を形成するための基本的な操作手順を示したタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、数々の具体的詳細が明記されている。しかしながら、当業者にならば、本発明が、これらの詳細の一部または全部を伴わなくても実施可能であることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程および/または構造の詳細な説明は、省略されている。本発明は、具体的な詳細な実施形態と併せて説明されているが、これらの具体的な詳細な実施形態は、本明細書で開示される発明概念の範囲を制限することを意図していないことが理解される。
【0039】
本明細書で開示されるのは、それぞれが「個別の」膜厚を形成する複数の膜堆積サイクルを伴う半導体製造作業において、スループットを損なうことなく半導体基板上の薄膜の厚さの精度(目標厚さからのズレとして測定される)を向上させるための、方法および装置である。上で言及されたように、ALDは、このような膜堆積方法の1つであるが、順次繰り返すやり方で使用されて薄い膜層を沈着させるあらゆる技術が、複数サイクルの堆積を伴うものと見なされてよく、本明細書で開示される方法および装置は、このようなマルチサイクル堆積操作における膜厚を制御するために、一般的に使用することもできる。
【0040】
膜堆積装置の概要
【0041】
半導体基板上に膜を堆積させるための操作は、通常は、図1に示されるような基板処理装置において実施することができる。後ほどさらに詳しく説明される図1の装置100は、真空ポンプ118によって真空に維持可能な内部空間内に1つの基板ホルダ108を伴う1つの処理チャンバ102を有する。チャンバには、(例えば)膜前駆体、キャリアおよび/またはパージおよび/または処理ガス、二次反応物などの供給のために、ガス供給システム101およびシャワーヘッド106も、流体連通可能なように結合されている。図1には、処理チャンバ内にプラズマを発生させるための設備も示されており、後ほどさらに詳しく説明される。いずれにせよ、図1に図示されている装置は、半導体基板に対してALDなどの膜堆積操作を実施するための基本的な設備を与えるものである。
【0042】
膜堆積を加速させるための並列基板処理装置の概要
【0043】
状況次第では、図1のような基板処理装置でも十分かもしれないが、時間がかかる膜堆積操作を伴うときは、複数の堆積操作を複数の半導体基板に対して並列に同時に実施することによって、基板処理のスループットを増加させると有利だろう。この目的のためには、図2Aに図解されたようなマルチステーション基板処理装置が用いられてよい。図2Aの基板処理装置200は、やはり1つの基板処理チャンバ214を用いているが、処理チャンバの壁によって画定された1つの内部空間内に、複数の基板プロセスステーションがあり、各プロセスステーションは、そのプロセスステーションにおいてウエハホルダによって保持されている基板に対して処理操作を実施するために使用されてよい。この特定の実施形態では、マルチステーション基板処理装置200は、4つのプロセスステーション201、201、203、および204を有するものとして示されている。その他の類似のマルチステーション基板処理装置は、実施形態と、例えば所望の並列ウエハ処理のレベル、サイズ/スペースの制限、コストの制約などとに応じ、さらに多いまたは少ないプロセスステーションを有していてもよい。また、後ほどさらに詳しく説明される図2Aには、基板取扱ロボット126およびコントローラ150も示されており、これらもやはり、複数の基板に対して効率的に並列に堆積操作を実施するという目標の実現を助けるものである。
【0044】
図2Aに示されるようなマルチステーション基板処理装置の使用を通じて、設備コストおよび運転費用の両方に関して様々な効率化を実現することができる。例えば、4つ全てのプロセスステーション用に1つの高真空環境を形成するために、1つの真空ポンプ(図2Aには示されていないが、図1では例えば118)が使用されてよく、4つ全てのプロセスステーションで消費された処理ガスを排出させることができる。実施形態によっては、各プロセスステーションは、ガス供給のための自身専用のシャワーヘッド(例えば図1の106を参照せよ)を有してよく、ただし、ガス供給システム(例えば図1の101)に関しては、同じものを共有してよい。同様に、プロセスステーションどうしでは、プラズマ発生器のうちの特定の構成要素(例えば電源)が共有されてよく、ただし、実施形態次第では(例えば、プラズマを発生させる電位を印加するためにシャワーヘッドが使用される場合などでは(以下の図1の議論を参照せよ))、特定の構成要素がプロセスステーョン特有ものであってよい。ただし、再度述べるが、このような効率性は、反応チャンバごとに2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16、またはさらに多くなどのように、1つの処理チャンバあたりでさらに多いまたは少ない数のプロセスステーションを使用することによって、実現の程度が増すまたは減るだろうことが理解される。
【0045】
4ステーションチャンバにおける並列基板堆積操作手順
【0046】
上記のように、共通の基板処理チャンバ内の複数のプロセスステーションにある複数の基板の処理は、様々なステーション間で共通の処理機器を用いるとともに複数の基板に対して同時に、かつ並列に膜堆積を進行可能にすることによって、スループットを向上させることができる。
【0047】
図2Aは、このような目的に適した処理装置の一例を示しており、ここでは、プロセスステーション201および202に基板を搭載するために、この場合は基板取扱ロボット226である基板搭載機器が使用され、様々なプロセスステーション201、202、203、および204の間で基板を移送するために、この場合は基板カルーセル290である基板移送機器が使用される。この構成のプロセスステーション、ならびに基板取扱機器および基板移送機器を与えられることによって、複数の基板間で例えばNサイクルの膜堆積などの膜堆積を並列に発生可能にする多様な処理手順が可能になる。
【0048】
例えば、アプローチの1つは、いわゆる「静的モード」と呼ばれる。「静的」モードでは、ポート220を通じてチャンバが開かれ、4つ全てのプロセスステーションにウエハが搭載され、チャンバは閉じられ、4枚全てのウエハに対してN堆積サイクルが実施され、堆積サイクルは終結し、チャンバは開かれ、4枚のウエハは取り出される。
【0049】
図2Aに示された実施形態では、基板搭載機器は、基板操作のための2本のアームを有する基板取扱ロボット226として描かれており、したがって、図に示されるように、ロボット226は、ステーション201および202の両方に基板を搭載する(同時かもしれないし、または順次かもしれない)ことができるだろう。ステーション201および202への搭載後、基板移送機器、すなわち図2Aに図示されたカルーセル290は、次いで、それら2枚の基板をプロセスステーション201および202からプロセスステーション203および204に移送するために、基板の面に実質的に垂直な(ページから突き出している)その中心軸を中心として、かつ基板間を実質的に等間隔として180度の回転を行うことができる。この時点で、取扱ロボット226は、新しい2枚の基板をステーション201および202に搭載し、搭載プロセスを完了させることができる。取り出しのためには、これらの工程を逆転させればよく、ただし、もし4枚のウエハからなるウエハ群が複数処理される場合は、取扱ロボット226によって2枚の基板が取り出されるたびに、移送カルーセル290の180度の回転に先立って新しい2枚の基板が搭載することができる。同様に、例えば201などの1つのステーションのみに基板を載置するように構成された1本アームの取扱ロボットの場合は、4つ全てのステーションに基板を搭載するためにカルーセル290が90度ずつ4回回転する4工程の搭載プロセスで使用されると考えられる。
【0050】
いずれにせよ、今説明されたようないわゆる「静的モード」では、各基板は、4つのプロセスステーションのうちの1つのステーションにおいて、その全ての膜堆積(Nサイクル全て)を施される。しかしながら、もし、各基板が処理チャンバ内の複数のプロセスステーションを経るならば、すなわち、もし、各基板が或るステーションではその膜の一部を堆積され、1つ以上の別のステーションではその膜の別の一部を堆積されるならば、異なる基板どうしの間でさらに一貫性のある膜堆積が実現されるだろうことが、しばしば見出された。これは、結果として、異なるステーションで発生する堆積間における、システム上の相違を平均化する。
【0051】
このような、ステーション間における堆積の平均化は、今説明されたような基本的な「静的」モードとは異なる様々な処理手順を使用して実現することができる。例えば、「順次モード」と呼ばれる1つの操作方式では、処理チャンバにおいて、移送カルーセルによる90度の回転を伴ってNサイクルの堆積が交替で実施されるので、各ウエハは、4つのステーションのそれぞれにおいてNサイクルの堆積に見舞われる。詳述すると、この操作モードでは、第1の基板が取扱ロボット226を通じてステーション201に搭載され、Nサイクルの堆積が(この第1の基板に対してのみ)実施され、カルーセル290が90度回転されて第1の基板をステーション202に移送させ、ステーション201に第2の基板が搭載され、別のNサイクルの堆積が(今回は第1および第2の基板の両方に対して)実施され、以下同様に、第1の基板がプロセスステーション201、202、203、および204のそれぞれにおいてNサイクルの堆積に見舞われるとともに第2の基板がステーション201、202、および203のそれぞれにおいてNサイクルの堆積に見舞われてその次に204において堆積を施されるまで続けられ、以下同様である。なお、合計すると、各基板は、こうして、全部で4Nサイクルの膜堆積を施される。
【0052】
「静的モード」と比較すると、「順次モード」は、各ウエハが各ステーションを同じ程度経るという意味では有益であるが、その他の特性が、この操作モードをあまり魅力的でないものにしている。先ず挙げられるのは、順次モードは、基板の搭載/取り出し、ならびに「順次送り」、すなわち1つのプロセスステーションから別のプロセスステーションへの基板の移送、ならびに処理チャンバポート220の開/閉を、多く伴うことである。具体的に言うと、或る基板が、自身に割り当てられた4N回の堆積を4つのステーションにわたって施されるためには、処理チャンバは、搭載/取り出し操作のために4回開閉されなくてはならず、そのたびに、チャンバ内部の環境を堆積に適した環境条件(例えば温度、圧力、流量など)を回復させることが伴う。静的モードでは、搭載操作のために1つのステーションを使用する場合、4枚のウエハを堆積用の位置に持ってくるために、90度の移送回転を使用して同じ回数の順次送りを伴うだろうが、移送回転間で堆積が介在することがないゆえに、チャンバの開閉は、一度のみですむ。したがって、堆積に先立って、マルチステーションチャンバに4枚全てのウエハを搭載することも可能である。ただし、追加となる順次送り工程によって、オーバーヘッドタイムが大幅に長くなる結果にもなる。
【0053】
4ステーションチャンバにおけるダマシンモードの基板堆積操作手順
【0054】
その他に考えられる堆積操作方式は、「ダマシンモード」と呼ぶことができる。ダマシンモードは、各ウエハが各ステーションを同じ程度経ることを可能にするとともに、搭載/取り出し操作のために処理チャンバが繰り返し開閉される事態を回避する方式である。
【0055】
図2Bは、順次モードまたはダマシンモードに適した処理装置の一例を示している。図2Bにおいて、マルチステーション基板処理装置200Aは、図2に示されたマルチステーション基板処理装置200に類似している。しかしながら、図2Bに図示された取扱ロボット226Aは、基板を操作するためのアームが1本であるという点で、取扱ロボット226とは異なる。その他に考えられる実施形態では、取扱ロボット226Aは、基板を操作するためのアームが複数本であってもよい。図2Bにおける取扱ロボット226Aは、1枚から4枚までの基板をステーション201〜204に搭載することができる。
【0056】
順次モードとダマシンモードとの間の相違は、順次モードでは、最初は1枚の基板のみが搭載され、堆積サイクル間における順次送り後にさらなる基板が搭載されることである。ダマシンモードでは、一群の基板が処理される前に、その基板群のなかの全ての基板が処理チャンバに搭載されてよい。基板がステーションに搭載された後は、Nサイクルの堆積を実施することができる。Nサイクルの堆積が実施された後は、カルーセル290が90度回転されてよく、次いで、N’サイクルの堆積が実施されてよく、以下同様に、4枚の基板のそれぞれが各プロセスステーション201、202、203、および204のそれぞれにおいてN、N’、N”、およびN”’サイクルの堆積を施されるまで続けることができる。特定の目標膜厚では、N、N’、N”、およびN”’が全て同じ数であってよいが、多くの厚さでは、N’、N”、およびN”’の一部または全部がNと異なる値であってよい。一般的に、N’、N”、およびN”’は、N、N+1、またはN−1の値を有してよく、ただし、実装形態によっては、N’、N”、およびN”’の値がNと大きく異なっていてもよい。例えば、特定の実施形態では、N’、N”、およびN”’の値がN、N+1、N+2、N+3、N−1、N−2、またはN−3であってよい。
【0057】
2×2モードの基板堆積
【0058】
尚も別の操作方式は、いわゆる「2×2モード」である。2×2モードでは、順次モードによく似て搭載工程と堆積工程とが交互に行われるが、搭載/取り出しを2つのプロセスステーションにおいて同時に行うために、図2Aに示された基板取扱ロボット226のような2基板搭載機器が使用される。こうすることで、搭載/取り出し工程およびチャンバ開閉の回数が半減され、順次送りの回数もまた、プロセスステーション間における180度の移送回転ゆえに半減される。したがって、2×2モードは、2枚の基板を一度に搭載すること、および各基板を2回の堆積手順で処理することを伴う(したがって「2×2」)。
【0059】
図に示された2×2モードの基板堆積例
【0060】
2×2モードの操作手順の一例が、図3Aに示されている。なお、図3Aでは、簡単のために、ステーション901〜904がA〜Dで表示しなおしてあることに留意されたい。図3Aを参照すると、工程1では、基板搭載機器(不図示)によって、ステーションAおよびステーションDに基板1および基板2が搭載され、工程2では、基板1上および基板2上にN枚の膜層(例えば誘電体膜)を堆積させるために、Nサイクル(例えばALDサイクル)の堆積が実施される。工程3では、基板1および基板2は、基板移送機器(不図示)によってそれぞれ位置Cおよび位置Bへ180度(回転矢印によって示されるように)回転され(順次送りされ)、次いで、N’サイクルの膜堆積が実施され、基板1、2、3、および4のそれぞれの上に材料が堆積される。通常は、工程2および工程4で実施される堆積サイクルの数は、同じであると考えられ、工程4の終結時には、基板1および基板2には2N枚の膜層が堆積され、基板3および基板4にはN枚の膜層が堆積されている。しかしながら、幾つかの実施形態では、後ほどさらに詳しく説明されるように、NおよびN’は、異なるように選択される。いずれにせよ、工程5では、基板3および基板4は、それぞれステーションCおよびステーションBへ回転され、基板1および基板2は、新しい基板5および基板6に交換される(すなわち、1および2が取り出され、5および6がステーションAおよびステーションDに搭載される)。最後に、工程6では、基板3および基板4は、そのそれぞれの、今回はNサイクルである2順目の堆積を施され、その一方で、新しい基板5および基板6は、そのそれぞれの、やはりNサイクルである1順目の堆積を施される。なお、このプロセスは、所望のペア数の基板を処理するために無期限に続けられてよいことに留意されたい。また、再度述べるが、完全に処理された各ウエハは、AとC、またはDとBの、いずれか2つのプロセスステーションにおいて膜堆積を施されていることにも留意されたい。したがって、2×2モードは、処理速度と、複数のプロセスステーション間における堆積の平均化との、効率的で、かつ実行可能な妥協策を表すものである。
【0061】
図に示された順次モードの基板堆積例
【0062】
順次モードを表す操作手順の一例が、図3Bに示されている。図3Aと同様に、図3Bでは、簡単のために、ステーション901〜904がA〜Dで表示しなおしてある。図3Bを参照すると、工程1では、基板1が、基板搭載機器(不図示)によってステーションAに搭載され、Nサイクルの堆積が、基板1上にN枚の膜層を堆積させるために実施される。工程2では、基板1は、位置Bへ90度(回転矢印によって示されるように)回転され(順次送りされ)、基板2が、基板搭載機器によってステーションAに搭載される。基板1が回転され、基板2が搭載された後は、Nサイクルの膜堆積が実施され、基板1および基板2のそれぞれの上に材料が堆積される。工程3では、基板1および基板2は、それぞれステーションCおよびステーションBへ回転され、基板3が、基板1、2、および3のそれぞれに対してNサイクルの膜堆積が実施される前に基板搭載機器によってステーションAに搭載される。工程4では、基板1、2、および3は、それぞれステーションD、C、およびBへ回転され、基板4が、基板1、2、3、および4のそれぞれに対してNサイクルの膜堆積が実施される前に基板搭載機器によってステーションAに搭載される。工程5では、基板は、基板1、2、3、および4がそれぞれステーションA、D、C、およびBにくるように、さらに90度回転される。回転後、基板1は、基板5がステーションAに搭載されてNサイクルの膜堆積が実施される前に、基板搭載機器によってステーションAから取り出される。プロセスは、次いで、基板のさらなる順次送り、搭載、および取り出し、ならびに膜堆積サイクルを続けてよい。プロセスは、所望の枚数の基板を処理するために無期限に続けられてよい。
【0063】
特定の実施形態の順次モードでは、工程1〜4の各工程で実施される堆積サイクルの数が、異なる値であってよい。例えば、工程1で実施される堆積サイクルの数は、Nであってよく、工程2で実施される堆積サイクルの数は、N’であってよく、工程3で実施される堆積サイクルの数は、N”であってよく、工程4で実施される堆積サイクルの数は、N’”であってよい。本開示の別の箇所で説明されたのと同様に、N、N’、N”、およびN”’は、異なっていてよい。開示されたアプローチは、膜の目標厚さに合わせて堆積を調整するための、少なくとも2つの選択肢、すなわち(a)N’、N”、および/またはN”’の選択、ならびに(b)堆積サイクルの数がNではないステーションの数を可能にする。例えば、(Nに等しくない)N’サイクルは、4つのステーションリアクタのうちの1つ、2つ、または3つのステーションで使用することができる。
【0064】
順次モードは、各基板が各ステーションで同数の堆積サイクルを経ることを可能にする。しかしながら、上記のように、順次モードは、基板の搭載/取り出し、順次送り、および/または処理チャンバの開/閉を多く伴う。
【0065】
図に示されたダマシンモードの基板堆積例
【0066】
ダマシンモードを表す操作手順の一例が、図3Cに示されている。図3Aと同様に、図3Cでは、簡単のために、ステーション901〜904がA〜Dで表示しなおしてある。図3Cを参照すると、工程1では、全ての基板1、2、3、および4が、基板搭載機器(不図示)によってそれぞれステーションA、B、C、およびDに搭載される。工程2では、Nサイクルの堆積が、基板1、2、3、および4上にN枚の膜層を堆積させるために実施される。工程3では、基板1、2、3、および4は、それぞれ位置D、A、B、およびCへ90度(回転矢印によって示されるように)回転され(順次送りされ)る。工程4では、N’サイクルの堆積が、基板1、2、3、および4上にN’枚の膜層を堆積させるために実施される。工程5では、基板1、2、3、および4は、それぞれステーションC、D、A,およびBへ90度回転される。工程6では、N”サイクルの堆積が、基板1、2、3、および4上にN”枚の膜層を堆積させるために実施される。工程7では、基板1、2、3、および4は、それぞれステーションB、C、D、およびAへ90度回転される。工程8では、N”’サイクルの堆積が、基板1、2、3、および4上にN”’枚の膜層を堆積させるために実施される。工程9では、基板1、2、3、および4は、処理チャンバから取り出され、新しい一群の基板、すなわち基板5、6、7、および8が、処理チャンバに搭載される。プロセスは、次いで、基板5、6、7、および8に対して繰り返されてよく、所望の枚数の基板を処理するために無期限に続けられてよい。
【0067】
ダマシンモードは、実施されるサイクル総数の柔軟性を可能にする。特定の半導体処理モードでは、サイクルの総数が、堆積の際に基板が経るステーションの数の倍数に限定されるだろう。このような場合、もし、例えば、各サイクルが、基板上に1.62Åの材料を堆積させるならば、図3Bに示されたプロセスは、基板の目標厚さレベルを6.48Åの倍数に限定されるだろう。これに対して、例えば、説明されたダマシンモードの場合、N’は、Nと同じであってよい、またはN−1もしくはN+1であってよい。N”およびN’”も、それぞれ、N、N−1、またはN+1であってよい。図3Cに示された例では、以下の数のサイクルが各ステーションで実施されることが可能だろう。
【表1】
【0068】
したがって、ダマシンモード(および順次モードの特定の実施形態)は、例えば1.62Åのように、一堆積サイクルによる厚さの細かさまで基板の目標厚さを制御することを可能にする。また、代表的な半導体処理操作では、各基板が各ステーションにおいて施されるサイクル数が、かなり大きくなると考えられる。例えば、上の段落で言及されたように、Nは、特定の半導体処理操作では100を超えることがある。このように多数のサイクルが各ステーションで実施されるときは、特定のステーションで施されるサイクルの数を1つまたは2つまたは一桁数だけ増やすまたは減らすことによって、ウエハ間および地点間の精度が大きく変わることはない。したがって、ダマシンモードは、各基板が各ステーションで概ね同じ数の堆積サイクルを経ることを可能にする。最後に、ダマシンモードでは、一群の基板が一緒に搭載されるまたは取り出されるので、搭載/取り出しおよび処理チャンバの開/閉が大幅に減らされる。
【0069】
N、N’、N”、およびN”’などの厳密な値は、目標膜厚に応じて選択されてよい。目標膜厚が異なるプロセスは、その目標膜厚に最も一致させるために、N、N’、N”、およびN”’などの値が異なっていてよい。N、N’、N”、およびN”’などの間の関係、すなわちN’がN、N−1、またはN+1に等しいかどうかも、やはり、目標膜厚次第であってよい。
【0070】
2×2モード、順次モード、およびダマシンモードの各種の特徴は、組み合わせ可能である。例えば、或る堆積モードは、順次モードで示されたような、各工程後または各順次送り発生後における1枚の基板の搭載および取り出しを、ダマシンモードで示されたような、工程によって異なる堆積サイクル数と組み合わせることができる。したがって、例えば、もし、或る堆積モードが4つのプロセスステーションを含むならば、各処理工程後に、基板の順次送り、ならびに各基板の搭載および/または取り出しを行うことができる。処理工程のうちの3つの工程では、Nサイクルの堆積が発生してよく、ただし、4回目の処理工程が来るたびに、N+1サイクルの堆積が発生してよい。このような堆積モードのその他の実施形態では、N+1サイクルの堆積を伴うプロセス工程の数を変更することができる、または特定のプロセス工程が、N+1サイクルの堆積の代わりにN−1サイクルの堆積を伴うことができる。
【0071】
2×2モードの目標厚さ精度の向上
【0072】
図3Aに戻り、工程2で実施される堆積サイクルの数Nは、工程6で実施される堆積サイクルの数N’と同じであってよいまたは異なっていてよいことが上述された。NおよびN’を慎重に選択すれば、処理のスループットに実質的影響を与えることなく2×2処理モードの厚さ精度をおおよそ2倍に高められることがわかった。これは、以下のように実現することができる。
【0073】
一般に、もし、基板が複数のプロセスステーションで一連の堆積サイクルを施されるならば、基板上に堆積される膜層の合計枚数は、ウエハが経るプロセスステーションの数と、各プロセスステーションで実施されるサイクルの数との積である。したがって、2×2モードの場合は、一般に、各基板は、2つのプロセスステーションでN堆積サイクルを施され、したがって、総堆積膜は、2N枚の層で構成され、1枚の層の平均厚さをdとしたときに(すなわち、dはサイクルごとの堆積率である)2N×dの厚さを有する。したがって、結果得られる2ステーション間における平均化によって、基板間における膜厚の均一性が向上する一方で、これは、厚さ精度の制御が2×dに制限されることも意味する。例えば、ALDを通じてデュアルパターニング酸化物膜を堆積させるときは、1枚のALD堆積層(すなわち、1回のALDサイクルの結果得られる膜)の厚さdは、おおよそ1.62Å(オングストローム)になるだろう。したがって、目標厚さは、2×d=3.24Åの整数倍からのみ選択可能である(理論上の厚さ精度を±1.62Åであるとする)。これと比較すると、各基板が1つのプロセスステーションで堆積を施される静的モードは、初期設定で、膜厚精度をd=1.62Åの整数倍で制御することができる。
【0074】
別の言い方をすると、標準的な手順では、所定の目標厚さDに対し、堆積サイクルの数Nは、2N×dが可能な限りDに近くなるように選択され、これは、膜厚の制御が2×dの整数倍に制限されることを意味する。しかしながら、「2×2フレックスモード」は、概要を上述された基本的な2×2フレックスモードと同じ手順の範囲内で、1×dの精度で厚さを制御することを可能にする。これは、定められた特定の状況では、各ウエハが経る2つのプロセスステーションのうちの1つで異なる堆積サイクル数を使用することによって実現される。したがって、図3Aに戻り、変更された「2×フレックスモード」手順では、工程2は、Nサイクルの膜堆積を実施するが、工程4は、N’サイクルの膜堆積を実施し、N’は、Nと異なっていてよい。その結果、基板1および基板2は、合計でN+N’サイクルの膜堆積を施され、その結果として(N+N’)×dの膜厚を有する。さらに、次の堆積工程、すなわち図3Aの工程6では、次のペアの基板、すなわち基板3および基板4もやはり、合計N’+N=N+N’サイクルを経るように、Nサイクルの膜堆積が再び実施され、したがって、堆積工程をNサイクルとN’サイクルとで交替で行うことによって、続く各ペアのウエハが、合計数が同じ堆積工程によって処理される。
【0075】
すると、問題は、NおよびN’をいかに最適に選択するかである。標準的な手順では、NとN’とが区別されず、したがって、上記のように、堆積される総膜厚は、常に、2N×d、すなわちdの偶数整数倍である。ここで、変更された2×2フレックスモード手順では、N’は、例えばN+1のようにNと異なるように選択されてよく、したがって、結果得られる膜厚は、(N+N+1)×d=(2N+1)×d、すなわちdの奇数整数倍であるように選択されてよい。したがって、フレックスモード手順では、堆積サイクルの総数は、N’がNに等しくまたはN+1もしくはN−1に等しく選択されるかに応じ、奇数または偶数であるように選択可能であり、これは、一堆積サイクルの細かさまで厚さを制御することを可能にする。
【0076】
2×2フレックスモード手順は、したがって、以下のとおりである。所定の目標膜厚Dに対し、D/d(dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである)に最も近い正の整数Mが、奇数であるかどうかが判定され、もし、Mが奇数であるならば、NおよびN’は、N+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択される。他方、もし、Mが偶数であるならば、NおよびN’は、N=N’=(1/2)×(D/d)であるように選択される。
【0077】
或いは、2×2フレックスモード手順は、以下のように見なして実施することもできる。堆積膜の目標厚さDが選択され、Nが、(1/2)×(D/d)(dは、やはり、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである)に最も近い正の整数であるように選択される。次いで、N’は、以下の基準に基づいて、N−1、N、またはN+1のいずれかであるように選択される。
【0078】
Δ=2N×d−Dとして、|Δ|<d/2であるときは、N’は、Nであるように選択され、
【0079】
そうでなく、|Δ|>d/2であるときは、N’は、Δ>0であればN−1であるように、またはΔ<0であればN+1であるように選択される。
【0080】
表示NおよびN’は、もちろん、技術の本質を変えることなく切り替え可能である。例えば、本明細書で開示される原理を改めなくてもまたはこれまでの説明に網羅されている方法の範囲を変更しなくても、上記の判定を下した後、N’を図3Aの工程2で使用するとともに、Nを図3Aの工程4で使用することができる。なお、上記の基準およびその評価は、マルチステーション基板処理装置のコントローラ上にある(および/もしくはマルチステーション基板処理装置のコントローラによってアクセス可能な)機械読み取り可能命令として実装されてよいこと、または例えばメモリデバイス/チップ、ディスクなどの例えばシステムコントローラによって読み取り可能である機械読み取り可能媒体に盛り込まれてよいことに留意されたい。
【0081】
図4Aには、以上の原理に基づいてマルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるための手法の一例が図解されている。適切な装置の例が、以下で詳しく説明される。図に示されるように、また、図3Aに示されるように、方法は、縦の破線の左側に示されるような基板搭載/移送操作と、縦の破線の右側に示されるような堆積操作とを有するものと見なすことができる。
【0082】
図4Aを参照すると、幾つかの実施形態では、方法は、1枚以上の基板の第1群の基板を処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載する操作410から開始してよい。(この第1群のステーションは、図2Aからのステーション201および202または図3AからのステーションDおよびAであってよい。)方法は、次いで、Nサイクルの膜堆積を実施することによって第1群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させる操作420に進んでよい。(やはり、図3Aからのステップ1および2などを参照せよ。)操作420における堆積後、操作430では、処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションから1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに第1群の基板が移送されてよく、操作440では、1枚以上の基板の第2群の基板が処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載されてよい。両基板群が処理チャンバ内に搭載されている状態で、操作450では、N’サイクルの膜堆積を実施することによって、第1群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび第2群のプロセスステーションにある第1群の基板上に膜材料を堆積させる別の一順の堆積が進められてよい。詳しく上述されたように、幾つかの実施形態では、堆積膜の厚さ精度を向上させるために、N’が、Nに等しくないように選択されてよい。最後に、この堆積工程後、操作460では、第1群の基板が処理チャンバから取り出されてよい。(幾つかの実施形態では、これは、図2Aに示された基板取扱ロボット226などの基板搭載機器によってアクセス可能な第1のプロセスステーションに戻すことによって生じてよい。)この時点で、第1群の基板は、全ての膜堆積手順を実施されており、処理チャンバから出ている。第2群の基板に対する膜堆積手順を完了させるために、(破線で示されるような)随意の操作470では、第2群の基板が、その2順目の膜堆積のために、第1群のプロセスステーションから第2群のプロセスステーションに移送されてよい。この時点で、もし、処理されている基板バッチのなかにまださらに基板があるならば、操作480では、第3群の基板が処理チャンバ内の第1群のプロセスステーションに搭載されてよい。次いで、操作490では、Nサイクルの膜堆積を実施することによって、第2群のプロセスステーションにある第2群の基板上におよび随意として第1群のプロセスステーションにある第3群の基板上に膜材料が堆積されてよい。(やはり、Nサイクルの堆積とN’サイクルの堆積とを交替で行うことに関する図3Aと関連させた上記の議論を参照せよ。)図4Aの手順は、第3群の基板上への堆積を完了させるために(第3群の基板における2順目の堆積サイクルは、N’サイクルの堆積になるだろう)、および基板バッチのなかの例えば第4群や第5群などのさらなる基板群を処理するために続けられてよい。
【0083】
図4Bは、Nサイクルの堆積とN’サイクルの堆積とを交替で順繰りさせることによって1枚以上の基板からなる任意の数の基板群への堆積を行うためのマルチステーション膜堆積手法の一例をさらに説明している。図4Bに示された一連の操作は、(1つまたは複数の)プロセスステーションの第1群のプロセスステーションに一基板群を搭載する操作491から開始する。(なお、一基板群が1枚の基板のみで構成されてもよいこと、および一プロセスステーション群が1つのプロセスステーションのみで構成されてもよいことに留意されたい。)このおよびその他の実施形態では、通常は、各群の基板の枚数が等しく、(手順の開始時または終了時を除く)各工程で、チャンバ内の全てのプロセスステーションが用いられる。
【0084】
次いで、操作492では膜堆積が生じ、これは、処理チャンバ内の全ての基板に対してNサイクルの膜堆積を実施することを伴う。もし、操作491で搭載された(1枚以上の)基板が、基板バッチのなかの第1群を構成しているならば、処理チャンバは、恐らくは、空であったと考えられ、したがって、この第1群の(1枚以上の)基板は、操作942のこの一順において堆積を施される唯一の基板である。しかしながら、もし、例えば操作491で搭載されたばかりの基板群が、基板バッチのなかの第1群でなかったなどのように、チャンバ内に別の群の(1枚以上の)基板が存在しているならば、操作492では、恐らくは、処理チャンバ内のその他の(1枚以上の)基板も堆積を施される。そして、これらのその他の(1枚以上の)基板は、操作492では、その前の操作で第1群の(1つ以上の)プロセスステーションで既に堆積を施されており、第2群の(1つ以上の)プロセスステーションに位置している。したがって、操作493では、第2群の(1つ以上の)プロセスステーションにある(1枚以上の)基板は取り出され、第1群の(1つ以上の)プロセスステーションにある(1枚以上の)基板は第2群の(1つ以上の)プロセスステーションに移送され、第1群の(1つ以上の)プロセスステーションには新しい一群の(1枚以上の)基板が搭載される。
【0085】
次に、基板がそれぞれの新しいステーションにある状態で、操作494では、別の一順の膜堆積が実施される。具体的には、処理チャンバ内の全ての基板に対してN’サイクルの膜堆積が実施される。したがって、第1群の(1つ以上の)プロセスステーションから第2群の(1つ以上の)プロセスステーションに移送されたばかりの(1枚以上の)基板は、このとき、それらの上に合計N+N’サイクルの膜堆積を実施されている。この時点で、これらの基板は、操作495において第2群の(1つ以上の)プロセスステーションから取り出され、操作495は、また、新しく空になった第2群の(1つ以上の)プロセスステーションに装填するために、第1群の(1つ以上の)プロセスステーションから(1枚以上の)基板を移送することも含む。
【0086】
この時点では、少なくとも1つの群のなかの(1枚以上の)基板が、完全に堆積をなされており(N+N’サイクルの堆積を受けており、Nは、N’に等しくても等しくなくてもよい)、処理チャンバから取り出されている。したがって、操作496では、処理されている基板バッチのなかに、まだ処理されていないさらなる基板群が含まれるかどうかが判定される。もし、含まれるならば、操作手順は、上述の工程を繰り返して新しい基板群を処理するために、ならびに当初(操作491および492では)第2群の(1つ以上の)プロセスステーションに位置していた前の基板群の処理を終わらせるために、操作491に戻る。もし、基板バッチのなかに、処理を指定されたさらなる基板群がもう存在しないならば、残るは、第2群の(1つ以上の)プロセスステーションにまだ存在している(操作495でそこに移送された)基板群を仕上げるのみである。したがって、操作497では、Nサイクルの膜堆積が実施され、操作498では、最後に、N’+Nサイクルの膜堆積の全処方を施されたこれらの(1枚以上の)基板が取り出される。
【0087】
なお、上記の手順(例えば図4Aおよび図4B)は、2または6または8または10または12または14または16のプロセスステーションのように、4つよりも多いまたは少ないプロセスステーションを有する処理チャンバ内で実施されてもよいことに留意されたい。通常は、上述された第1群および第2群のプロセスステーションが同数のプロセスステーションを有するように、偶数のプロセスステーションが用いられるだろう。したがって、2×2モードおよび/またはフレックスモードで膜堆積操作を実施するために使用される処理チャンバは、通常は、偶数Sのプロセスステーションを有すると考えられ、この場合は、第1群および第2群のプロセスステーションは、それぞれ、S/2のプロセスステーションを有する。しかしながら、処理チャンバ内に余りのプロセスステーション(すなわち、奇数のプロセスステーション)が存在したとしても、開示された技術の操作が妨げられることはないだろう。また、上述された「フレックスモード」は、「2×4モード」の処理でも同様に機能し、この場合は、2枚のウエハが同時に搭載され、4つの堆積工程が実施される。
【0088】
図4Cには、ダマシンモードに基づいてマルチステーション処理チャンバ内において複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるための手法の一例が図解されている。図4Cは、2つのプロセスステーションを伴う半導体処理チャンバの一例に適用されたときのダマシンモードを説明している。
【0089】
図4Cを参照すると、幾つかの実施形態では、方法は、第1の基板を処理チャンバ内の第1の処理テーションに搭載するとともに第2の基板を処理チャンバ内の第2のプロセスステーションに搭載する操作415から開始してよい。方法は、次いで、Nサイクルの膜堆積を実施することによって第1のプロセスステーションにある第1の基板上におよび第2のプロセスステーションにある第2の基板上に膜材料をそれぞれ堆積させる操作425に進んでよい。操作425における堆積後、操作435では、第1の基板は、第1のプロセスステーションから次のプロセスステーションに移送されてよく、第2の基板は、第2のプロセスステーションから別の次のプロセスステーションに移送されてよい。操作435後は、操作445では、N’サイクルの膜堆積を実施することによって、第1のプロセスステーションにある第2の基板上におよび第2のプロセスステーションにある第1の基板上に膜材料を堆積させる別の一順の堆積が進められてよい。詳しく上述されたように、幾つかの実施形態では、N’は、N、N−1、またはN+1であってよい。操作445に続いて、操作455は、第1および第2の基板がその全ての予定堆積サイクルを経たかどうかを確認するためのチェックを行う。もし、まだであるならば、方法は、第1および第2の基板をその対応する次のプロセスステーションへ再び回転させるために、操作435に戻る。
【0090】
もし、操作455において、第1および第2の基板がその一連の膜堆積手順を経たと判定されたならば、方法は、随意の操作465に進んでよい。随意の操作465では、第1および第2の基板は、処理チャンバから取り出されてよい。図4Cの手順は、所望の枚数の基板が処理されるまで、基板バッチのなかの例えば第3や第4などのさらなる基板を処理するために繰り返されてよい。
【0091】
上記の手法の特定の実施形態では、基板は、群ごとに搭載、移送、および膜材料の堆積を経ることができる。例えば、第1群の基板が、第1群のプロセスステーションに搭載され、該第1群のプロセスステーションでN堆積サイクルを施され、次いで、さらなる堆積サイクルのために第2群のプロセスステーションに移送されてよい。
【0092】
実施例
【0093】
以下の例は、提案された様々な目標膜厚D(50Å、100Å、250Å、および300Å)に対応する理論膜厚の改善を示している。標準2×2モードまたはフレックス2×2モードのいずれによって目標厚さDに最も近い厚さの膜が堆積されるかが、以下に続く表に示されている。各実施例に対応する表は、所定の目標厚さDと、一ALDサイクルを通じて堆積される膜層の厚さd(一サイクルあたりのALD膜堆積率)と、代表的な「2×2ALDサイクル」に対応する厚さ2×dと、以下の実施例1における、2つの操作モードに対応する最適なALDサイクル数30および31と、その数の半分である、2×2モードに対応する最適なALDサイクル数と、2つの操作モードに対応してALDサイクルの合計数を分解したもの(N+N’)と、堆積された膜の合計厚さおよび目標厚さからのズレDとを示している。
【0094】
以下の議論を参照すると、Nは、(表に示されるように)(1/2)×(D/d)に最も近い整数であるように選択され、2×2フレックスモードに対応するN’は、何が最適であるかに応じ、N±1であるように選択される。これは、法に示されるように、操作モードに応じ、実施されるALDサイクルの合計数を2Nまたは2N±1のいずれかにする。なお、実施例1および実施例4の場合は、2×2フレックスモードが最適であるが、実施例2および実施例3の場合は、標準2×2モードによって最良の結果が得られることに留意されたい。実際は、膜堆積の手法は、これらの計算(またはそれと同等な計算)を実施しそれに応じて最適な操作モードを選択することによって機能することができる。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0095】
原子層堆積技術および堆積される膜の詳細な説明
【0096】
上述のように、デバイスの小型化、ならびにICの、3Dトランジスタおよびその他の3D構造の利用への移行にともなって、共形膜材料、(なかでも特に誘電体が挙げられるが、様々なドーパント含有材料も挙げられる)を正確な量(厚さ)で堆積させる能力が、ますます重要さを増している。原子層堆積は、共形膜の堆積を実現する技術の1つであり、通常は、所望の厚さの膜を達成するために、複数サイクルの堆積を伴う。ALDは、多くの場合、上記のプロセス(例えば図3および図4の流れで示されたもの)で説明された個々の層を堆積させるために使用される。
【0097】
膜を堆積させるために、活性化された気相反応が使用される化学気相成長(CVD)プロセスとは対照的に、ALDプロセスは、膜を一層ずつ堆積させるために、表面介在性の成膜反応を使用する。例えば、ALDプロセスの一種では、第1の膜前駆体(P1)が、気相の形で処理チャンバに導入され、基板に暴露され、基板の表面上(の、通常は表面活性部位が集まっているところ)に吸着される。基板表面上には、P1の化学吸着種および物理吸着分子を含むP1の分子の一部が、凝縮相を形成することができる。次いで、気相および物理吸着P1を除去して化学吸着種のみを残留させるために、基板表面を取り巻く空間が排気される。次いで、第2の前駆体(P2)が、その分子の一部が基板表面に吸着するように処理チャンバに導入されてよい。処理チャンバ内で基板を取り巻く空間は、今度は、結合されていないP2を除去するために、再び排気されてよい。続いて、基板に提供されるエネルギ(熱エネルギまたはプラズマエネルギ)が、吸着分子P1とP2との間の表面反応を活性化させて膜層を形成する。最後に、基板を取り巻く空間は、反応しなかったP1および/もしくはP2、ならびに/または反応の副生成物をもしあるならば除去するために、再び排気され、ALDサイクルを終了させる。
【0098】
多様な化学物質を有する共形膜を堆積させるためのALD技術、および基本的なALDプロセス手順の多くのヴァリエーションが、2011年4月11年に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形膜の堆積)」とする米国特許出願第13/084,399号(代理人整理番号第NOVLP405号)、2011年9月23日に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形誘電体膜の堆積)」とする米国特許出願第13/242,084号、すなわち今現在の米国特許第8,637,411号(代理人整理番号第NOVLP427号)、2011年9月1日に出願され発明の名称「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形誘電体膜の堆積)」とする米国特許出願第13/244,240号(代理人整理番号第NOVLP428号)、ならびに2012年9月7日に出願され発明の名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマ励起による原子層堆積および共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)で詳しく説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。これらの先行出願に説明されるように、基板上に1枚の材料層を堆積させるための基本的なALDサイクルは、(i)膜前駆体を、それが基板上に吸着制限層を形成するように基板上に吸着させることと、(ii)吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、(iii)吸着された膜前駆体を反応させて、基板上に膜層を形成させることと、(iv)脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、膜層を取り巻く空間から除去することと、を含んでいてよい。操作(ii)および(iv)における除去は、基板を取り巻く空間をパージする、排気する、ポンプで基準圧力まで下げる(「ポンプで基準圧力にする」)などを通じてなされてよい。なお、この基本的なALD手順の操作(i)〜(iv)は、必ずしも上述の例にあるような2種類の化学吸着反応種P1およびP2を伴う必要も、ましてや第2の反応種を伴う必要はないことが留意されるべきである。ただし、所望の堆積化学物質次第では、これらの可能性/選択肢が採用されてもよい。
【0099】
しかしながら、ALDの吸着制限特性ゆえに、一サイクルのALDは、薄い材料膜を堆積させるに過ぎず、これは、多くの場合、1枚の単分子材料層のみである。例えば、膜前駆体注入操作の暴露時間および(基板表面に対する)膜前駆体の粘着係数次第では、各ALDサイクルが堆積させる膜層は、僅か約0.5〜3Åの厚さに過ぎないだろう。したがって、代表的なALDサイクルにおける操作手順、すなわち今説明されたばかりの操作(i)〜(iv)は、所望の厚さの共形膜を形成するために、通常は、複数回にわたって繰り返される。したがって、幾つかの実施形態では、操作(i)〜(iv)は、少なくとも1回、または少なくとも2回、または少なくとも3回、または少なくとも5回、または少なくとも7回、または少なくとも10回にわたって立て続けに連続して繰り返される。ALD膜は、ALDサイクルごとにおおよそ0.1Å以上で2.5Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.2Å以上で2.0Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.3Å以上で1.8Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.5Å以上で1.5Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.1Å以上で1.5Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.2Å以上で1.0Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.3Å以上で1.0Å以下の、またはALDサイクルごとにおおよそ0.5Å以上で1.0Å以下の堆積率で堆積されてよい。
【0100】
幾つかの膜形成化学物質の場合は、「膜前駆体」と呼ばれるものに加えて補助反応物または副反応物が用いられてもよい。このような実施形態では、補助反応物または副反応物は、工程(i)〜(iv)が繰り返される間に、工程(i)〜(iv)の一部または全部において継続的に流されてよい。このその他の反応性化学種(補助反応物や副反応物など)は、幾つかの実施形態では、(上述された、前駆体P1およびP2を伴う例にあるように、)膜前駆体との反応に先立って、膜前駆体を伴う基板表面上に吸着されてよく、しかしながら、その他の実施形態では、それ自体が基板の表面上に事前に吸着されることはなく、吸着された膜前駆体とはそれとの接触時に反応することができる。また、幾つかの実施形態では、吸着された膜前駆体を反応させる操作(iii)は、吸着された膜前駆体をプラズマに接触させることを伴っていてよい。プラズマは、基板表面上における膜形成反応を駆り立てるためのエネルギを提供することができる。このような特定の実施形態では、プラズマは、適切なRF電極の印加によって反応チャンバ内において生成される(ただし、幾つかの実施形態では遠隔的に生成される)酸化プラズマであってよい。その他の実施形態では、酸化プラズマの代わりに不活性プラズマが使用されてよい。酸化プラズマは、O2、N2O、またはCO2などの1種以上の酸化剤で形成されてよく、随意として、Ar、N2、またはHeなどの1種以上の希釈剤を含んでいてよい。一実施形態では、酸化プラズマは、O2またはArで形成される。適切な不活性プラズマは、HeまたはArなどの1種以上の不活性ガスで形成されてよい。ALDプロセスのさらなるヴァリエーションは、上記で引用され(て、かつ参照によって組み込まれ)たばかりの先行特許出願で詳しく説明されている。
【0101】
したがって、図5Aには、ALDプロセスを通じて基板上に材料の膜を形成するための基本的な操作手順が図解されている。図に示されるように、基板上に複数の膜層を形成するためのALDプロセスは、膜前駆体を、それが基板上に吸着制限層を形成するように基板上に吸着させる、操作511から開始してよく、次いで、吸着されなかった膜前駆体および/または反応の副生成物の少なくとも一部を、吸着された前駆体を取り巻く空間から除去する、操作512が続いてよい。その後、操作513では、吸着された膜前駆体は、反応して基板上に膜層を形成し、それに続いて、操作514では、操作513における吸着された前駆体の反応後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物が、膜層を取り巻く空間から除去される。
【0102】
以上の一連の操作511〜514は、1つのALDサイクルを表している。しかしながら、一ALDサイクルは、通常は、薄い膜層を堆積させるに過ぎないので、複数の膜層(または等しくは、所望の厚さを有する多層膜)を形成するためには、複数のALDサイクルが順次繰り返されてよい。したがって、再び図5Aに言及すると、ALDサイクルが操作514で締めくくられた後、操作515では、十分な枚数の膜層が形成されたかどうか(または十分な厚さの膜が堆積されたかどうか)が、この例では(上述のように)NまたはN’サイクルが実施されたかどうかを判定することによって判定され、もし、そうであるならば、膜形成操作は終結し、反対に、もし、そうでないならば、プロセス手順は、別のALDサイクルを開始させるために、操作511に戻る。なお、図4Aおよび図4Bとの関連で説明された多基板処理操作および膜堆積操作は、複数の基板上に膜を同時に堆積させるために、図5AのこれらのALD膜形成操作を用いてよいことに留意されたい。
【0103】
ALDプロセスなどの堆積プロセスを通じて基板上に材料の膜を形成する手順の一例が、図5Bのタイミング図にさらに示されている。図5Bは、4堆積サイクルのプロセス工程を示しており、各サイクルは、前駆体供給、RF電力供給、反応ガス供給、および処理チャンバ加圧のプロセス工程を含む。図5Bにおけるプロセス工程は、それらに対応する線で示され、オンまたはオフのいずれかのブール値として提示されている。プロセス工程は、それに対応する線が図5Bに示される「オン」位置にあればオンであり、それに対応する線が図5Bに示される「オフ」位置にあればオフである。
【0104】
処理チャンバは、4堆積サイクル全てで加圧されてよい。図5Bでは、1つの堆積サイクルが強調して示されている。その1サイクルでは、堆積サイクルの第1段階は、投入段階であってよい。該投入段階では、処理チャンバに前駆体が供給されるが、RF電力はオフであり、反応ガス(1種または複数種)も供給されていない。投入段階では、基板は、その上に前駆体を吸着させて、吸着層を形成することができる。図5Bの投入段階は、図5Aの操作511に相当する。
【0105】
投入段階後は、堆積サイクルのパージ段階がきてよい。パージ段階では、前駆体の供給は停止するが、RF電力は依然としてオフであり、反応ガスも供給されていない。パージ段階は、吸着されなかった膜前駆体および/または反応の副生成物の少なくとも一部を、吸着された前駆体を取り巻く空間から除去することができる。図5Bパージ段階は、図5Aの操作512に相当する。
【0106】
パージ段階後、堆積サイクルは、次いで、変換段階に入ってよい。変換段階では、RF電力がオンにされるとともに、反応ガス(1種または複数種)も供給される。変換段階では、吸着された膜前駆体は、反応して基板上に膜層を形成することができる。図5Bの変換段階は、図5Aの操作513に相当する。
【0107】
最後に、変換段階の終結後、堆積サイクルは、後RFパージ段階に入ってよい。後RFパージ段階は、吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、膜層を取り巻く空間から除去することができる。図5Bの後RFパージ段階は、図5Aの操作514に相当する。
【0108】
図5Bで強調して示されている1サイクルでは、場合によっては厚さdである薄い膜層が、基板上に堆積されてよい。特定の実施形態では、dは、0.1Åから2.5Åの間の厚さであってよい。追加のサイクルも、やはり、場合によっては厚さdである多層膜を、基板上に形成してよい。
【0109】
一部の実施形態では、多層堆積膜は、1つの組成を有する複数の層を共形的に順次堆積させ、次いで、別の組成を有する複数の層を共形的に順次堆積させ、次いで、これらの2つの手順を可能性として交替で繰り返させることによって形成された、交互に組成が異なる複数の領域/部分を含んでいてよい。堆積されるALD膜が有するこれらの特性の幾つかが、例えば、2012年9月7日に出願され発明の名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマ励起による原子層堆積および共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)で説明されており、該出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。下にくる目標IC構造または基板領域をドーピングするために使用される膜などの、交互に組成が異なる部分を有する共形膜のさらなる例、ならびにこれらの膜を形成する方法が、2011年4月11年に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形膜の堆積)」とする米国特許出願第13/084,399号(代理人整理番号第NOVLP405号)、2011年9月23日に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形誘電体膜の堆積)」とする米国特許出願第13/242,084号、すなわち今現在の米国特許第8,637,411号(代理人整理番号第NOVLP427号)、2011年9月1日に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマ励起による共形誘電体膜の堆積)」とする米国特許出願13/244,240号(代理人整理番号NOVLP428号)、2012年9月7日に出願され発明の名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマ励起による原子層堆積および共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)、ならびに2014年2月28日に出願され発明の名称を「CAPPED ALD FILMS FOR FORMING FIN−SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3−D IC TRANSISTORS(三次元IDトランジスタのフィン状チャネルを形成するためのキャップALD膜)」とする米国特許出願第14/194,549号で詳細に説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0110】
言及された上記の明細書で説明されるように、ALDプロセスは、多くの場合、共形のシリコン酸化物膜(SiO)を堆積させるために使用されるが、組み込まれた上記の明細書でも開示されているように、その他の化学物質の共形誘電体膜を堆積させるために使用されてもよい。ALDによって形成された誘電体膜は、幾つかの実施形態では、シリコン炭化物(SiC)材料、シリコン窒化物(SiN)材料、シリコン炭窒化物(SiCN)材料、またはそれらの組み合わせを含んでいてよい。幾つかの実施形態によるALD形成膜では、シリコン−炭素−酸化物、シリコン−炭素−酸窒化物、およびシリコン−炭素−窒化物が形成されてもよい。これらのタイプの膜を堆積させるための方法、技術、および操作は、2012年6月12日に出願され発明の名称を「REMOTE PLASMA BASED DEPOSITION OF SiOC CLASS OF FILMS(SiOCクラスの膜の遠隔プラズマベース堆積)」とする米国特許出願第13/494,836号(代理人整理番号第NOVLP466号/第NVLS003722号、2013年5月31日に出願され発明の名称を「METHOD TO OBTAIN SiC CLASS OF FILMS OF DESIRED COMPOSITION AND FILM PROPERTIES(所望の組成および膜特性を有するSiCクラスの膜を得るための方法)」とする米国特許出願第13/907,699号(代理人整理番号第LAMRP046/3149号、発明の名称を「GROUND STATE HYDROGEN RADICAL SOURCES FOR CHEMICAL VAPOR DEPOSITION OF SILICON−CARBON−CONTAINING FILMS(シリコン・炭素含有膜の化学気相成長のための基底状態水素ラジカル源)」、ならびに2014年2月28日に出願され発明の名称を「CAPPED ALD FILMS FOR FORMING FIN−SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3−D IC TRANSISTORS(三次元ICトランジスタのフィン状チャネルを形成するためのキャップALD膜」とする米国特許出願第14/194,549号で詳細に説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0111】
ALDを通じたその他の膜堆積の実施例は、上で挙げられ参照によって組み込まれた特許出願(米国特許出願第13/084,399号、第13/242,084号、第13/224,240号、および第14/194,549号)で説明されるような、ドーパント含有膜を堆積させるための化学物質を含む。これらの出願で説明されているように、ホウ素ドープケイ酸塩ガラス(BSG)の膜、リンドープケイ酸塩ガラス(PSG)の膜、ホウ素・リンドープケイ酸塩ガラス(BPSG)の膜、ヒ素(As)ドープケイ酸塩ガラス(ASG)の膜などの、ドーパント含有膜を形成するために、様々なドーパント含有膜前駆体が使用されてよい。ドーパント含有膜としては、B23、B2O、P25、P23、As23、As25などが挙げられる。したがって、ホウ素ではないドーパントを有するドーパント含有膜もありえる。例として、ガリウム系ドーパント、リン系ドーパント、もしくはヒ素系ドーパント、またはその他の三価元素および五価元素など半導体基板のドーピングに適したその他の元素が挙げられる。
【0112】
ALDプロセス条件に関しては、ALDプロセスは、様々な温度で実施されてよい。幾つかの実施形態では、ALD反応チャンバ内における適切な温度は、約25℃から450℃、または約50℃から300℃、または約20℃から400℃、または約200℃から400℃、または約100℃から350℃の幅があってよい。
【0113】
同様に、ALDプロセスは、様々なALD反応チャンバ圧で実施されてよい。一部の実施形態では、反応チャンバ内における適切な圧力は、約10ミリトールから10トール、または約20ミリトールから8トール、または約50ミリトールから5トール、または約100ミリトールから2トールの幅があってよい。
【0114】
操作(iii)において、もし、プラズマが使用されるならば、様々なRF電力レベルが、プラズマを発生させるために用いられてよい。幾つかの実施形態では、適切なRF電力は、約100Wから10kW、または約200Wから6kW、または約500Wから3kW、または約1kWから2kWの幅があってよい。
【0115】
操作(i)では、膜前駆体の流量が様々であってよい。幾つかの実施形態では、適切な流量は、約0.1mL/分以上で10mL/分以下、または約0.5mL/分以上で5mL/分以下、または約1mL/分以上で3mL/分以下の幅があってよい。
【0116】
各種の操作において、様々なガス流量が使用されてよい。幾つかの実施形態では、全体のガス流量は、約1mL/分以上で20mL/分以下、または約2mL/分以上で10mL/分以下の幅があってよい。操作(ii)〜(iv)における随意の不活性パージ工程の場合、用いられる破裂流量は、約20mL/分以上で100mL/分以下、または約40mL/分以上で60mL/分以下の幅があってよい。
【0117】
再度述べるが、幾つかの実施形態では、基準までポンプ排気する工程は、反応チャンバに1つ以上の真空ポンプを直接使用することによって反応チャンバをポンプで基準圧力まで下げることを言う。幾つかの実施形態では、基準圧力は、通常は、僅か数ミリトール(例えば約1ミリトールから20ミリトール)であってよい。さらに、上記のように、ポンプで基準圧力にする工程は、不活性パージを伴ってもまたは伴わなくてもよく、したがって、1つ以上の弁によって真空ポンプに通じる経路が開かれるときは、キャリアガスが流れても流れなくてもよい。
【0118】
また、再度述べるが、共形層の積層を構築するために、複数のALDサイクルが繰り返されてよい。幾つかの実施形態では、各層が、実質的に同じ組成を有してよいのに対し、その他の実施形態では、ALDによって順次堆積された層が、異なる組成を有してよい、またはそのような実施形態のうちの特定の実施形態では、上述のように、組成が層ごとに交互に異なっていてよい、もしくは異なる組成を有する一連の層が順繰りに繰り返されてよい。したがって、実施形態に応じて、上で挙げられ参照によって組み込まれた特許出願(米国特許出願第13/084,399号、第13/242,084号、および第13/224,240号)で開示されるような特定の積層工学概念が、これらの膜中のホウ素、リン、またはヒ素の濃度を調整するために使用されてよい。
【0119】
装置の詳細な説明
【0120】
本明細書で説明される方法は、任意の適切な半導体基板処理装置によって実施されてよい。適切な装置は、処理操作を実現するためのハードウェアと、本明細書で開示される様々なチャネルドーピング手法にしたがって処理操作を制御するための命令を有するシステムコントローラとを含む。幾つかの実施形態では、ハードウェアは、マルチステーション基板処理ツールに含まれる1つ以上のプロセスステーションと、本明細書で開示される処理技術にしたがって処理操作を制御するための機械読み取り可能命令を有する(または機械読み取り可能命令へのアクセスを有する)コントローラとを含んでいてよい。
【0121】
したがって、幾つかの実施形態では、複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるのに適した装置は、処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションと、処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションと、プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、1つ以上の処理チャンバに収容されたプロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための1つ以上の弁作動式真空源とを含んでいてよい。そして、このような装置は、基板上に膜の材料を堆積させるために基板搭載機器、基板移送機器、1つ以上の弁、および真空源を操作するための機械読み取り可能な命令を有する(または機械読み取り可能な命令へのアクセスを有する)コントローラも含んでいてよい。
【0122】
したがって、幾つかの実施形態では、コントローラによって実行される上記命令は、処理チャンバに収容された複数のプロセスステーションにある複数の基板上に膜を形成するための命令を含んでいてよく、各基板上には、一連のALDサイクルによって複数の膜層が形成される。したがって、このような特定の実施形態では、コントローラによって実行される上記命令は、上述のようなALD操作(i)〜(iv)を実施するための命令と、基板処理装置の複数のプロセスステーションにある複数の基板上に複数の膜層を形成するためにALD操作(i)〜(iv)を複数回にわたって繰り返すための命令とを含んでいてよい。
【0123】
したがって、図1は、基板処理装置100の一実施形態を図示している。簡単のために、処理装置100は、低圧環境を維持するための処理チャンバ本体102を有する独立型のプロセスステーションとして描かれている。しかしながら、本明細書で説明されるように、複数のプロセスステーションが、例えば共通の反応チャンバなどの共通の処理ツール環境内に含まれてよいことが理解される。例えば、図2Aは、マルチステーション処理ツールの一実施形態を描いている。さらに、幾つかの実施形態では、上で詳細に論じられたものを含む処理装置100の1つ以上のハードウェアパラメータが、1つ以上のシステムコントローラによってプログラムで調整されてよい。
【0124】
プロセスステーション100は、処理ガスを分布シャワーヘッド106に供給するための反応物供給システム101と流体連通している。流体反応物供給システム101は、シャワーヘッド106への供給のために処理ガスを混ぜ合わせるおよび/または調節するための混合容器104を含む。1つ以上の混合容器入口弁120が、混合容器104への処理ガスの導入を制御してよい。
【0125】
一部の反応物は、気化およびそれに続く処理チャンバ102への供給に先立って、液体状態で貯蔵されてよい。図1の実施形態は、混合容器104に供給される液体反応物を気化するための気化地点103を含む。一部の実施形態では、気化地点103は、加熱された液体注入モジュールであってよい。幾つかの実施形態では、気化地点103は、加熱された気化器であってよい。このようなモジュール/気化器から生成された飽和反応物蒸気は、適切な制御がなされないときは(例えば、液体反応物の気化/霧化にヘリウムが使用されないときは)、下流の配送管内で凝結する恐れがある。凝結反応物に不適合ガスが触れると、小粒子が形成されるだろう。これらの小粒子は、管を詰まらせたり、弁の動作を妨げたり、基板を汚染したりする恐れがある。これらの問題に対処する幾つかのアプローチは、残留反応物を除去するために、配送管を吸引するおよび/または排気することを伴う。しかしながら、配送管の吸引は、プロセスステーションのサイクル時間を長引かせ、プロセスステーションのスループットを低下させる恐れがある。したがって、幾つかの実施形態では、気化地点103の下流の配送管が、熱処理されていてよい。幾つかの例では、混合容器104も、熱処理されていてよい。非限定的な一例では、気化地点103の下流の管は、おおよそ100℃から混合容器104におけるおおよそ150℃に向けて上昇する温度分布を有する。
【0126】
上記のように、幾つかの実施形態では、気化地点103は、加熱された液体注入モジュール(略して「液体注入器」)であってよい。このような液体注入器は、混合容器の上流のキャリアガス流に液体反応物を一定間隔で注入することができる。或る状況では、液体注入器は、液体を高圧から低圧へ勢いよく流すことによって反応物を気化させてよい。別の状況では、液体注入器は、液体を霧化し、分散された微滴にしてよく、これらの微滴は、引き続き、加熱された配送管内で気化される。なお、液滴は、小さいほど早く気化されて、液体注入と完全気化との間の遅延を短縮することができる、ということが理解される。より速い気化は、気化地点103よりも下流の管の長さを短くすることができる。或る状況では、液体注入器は、混合容器104に直接取り付けられてよい。別の状況では、液体注入器は、シャワーヘッド106に直接取り付けられてよい。
【0127】
幾つかの実施形態では、液体の気化および処理チャンバ102への供給のために液体の質量流量を制御するために、気化地点103の上流に、液体流量コントローラ(LFC)が提供されてよい。例えば、LFCは、その下流に、熱質量流量計(MFM)を位置付けられてよい。次いで、MFMと電気的に通信している比例・積分・微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号を受けて、LFCのプランジャ弁が調整されてよい。しかしながら、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化させるには、1秒以上の時間を要するだろう。これは、液体反応物を投入するための時間を長びかせる恐れがある。したがって、幾つかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてよい。幾つかの実施形態では、LFCは、LFCおよびPIDコントローラの感知管を使用停止にすることによって、フィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えられてよい。
【0128】
シャワーヘッド106は、プロセスステーションにある基板112に向かって処理ガスおよび/または反応物(例えば膜前駆体)を分配し、その流れは、シャワーヘッドよりも上流の1つ以上の弁(例えば弁120、120A、105)によって制御される。図1に示された実施形態では、基板112は、シャワーヘッド106の下に位置付けられ、台座108上に座した状態で示されている。なお、シャワーヘッド106は、任意の適切な形状であってよいこと、ならびに処理ガスを基板112に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有していてよいことが理解される。
【0129】
幾つかの実施形態では、シャワーヘッド106の下に、小空間107が位置付けられている。処理チャンバの全体積内ではなく、プロセスステーション内における基板近くの小空間内でALDプロセスを実施することによって、反応物の暴露時間および吸引時間の短縮、処理条件(例えば圧力や温度など)を変更するための時間の短縮、処理ガスに対するプロセスステーションロボット機構の暴露の制限などが得られるだろう。小空間の大きさの非限定的な例として、0.1リットルから2リットルの体積が挙げられる。
【0130】
幾つかの実施形態では、基板112を小空間107に暴露するためにおよび/または小空間107の体積を変化させるために、台座108が、上昇または下降されてよい。例えば、基板移送の段階では、基板112が台座108に搭載されることを可能にするために、台座108は、下降されてよい。基板への堆積の処理段階では、基板112を小空間107内に位置決めするために、台座108は、上昇されてよい。幾つかの実施形態では、堆積処理中に高流量インピーダンスの領域を形成するために、小空間107は、基板112はもちろん台座108の一部も完全に囲ってよい。
【0131】
随意として、台座108は、小空間107内の処理圧力や反応物濃度などを調節するために、堆積処理の途中で下降および/または上昇されてよい。処理中に処理チャンバボディ102が基準圧力にとどまる状況では、台座108の下降は、小空間107が排気されることを可能にするだろう。小空間対処理チャンバの体積比の非限定的な例として、1:500〜1:10の体積比が挙げられる。なお、幾つかの実施形態では、台座高さが、適切なシステムコントローラによってプログラムで調整されてよいことが理解される。
【0132】
別の状況は、台座108高さの調整は、ALDプロセスまたはCVDプロセスに含まれるプラズマ励起サイクルおよび/またはプラズマ処理サイクル中にプラズマ密度が変更されることを可能にするだろう。堆積処理段階の終わりには、台座108は、台座108から基板112が取り除かれることを可能にするために、別の基板移送段階中に下降されてよい。
【0133】
本明細書で説明される小空間の変更例は、高さ調整可能な台座に言及しているが、幾つかの実施形態では、小空間107の体積を変化させるために、シャワーヘッド106の位置が台座108に相対的に調整されてよいことが理解される。さらに、台座108および/またはシャワーヘッド106の垂直位置は、本開示の範囲内で、任意の適切なメカニズムによって変更されてよいことが理解される。幾つかの実施形態では、台座108は、基板112の向きを回転させるための回転軸を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、これらの調整例の1つ以上が、上述された操作の全部または一部を実施するための機械読み取り可能命令を有する1つ以上の適切なシステムコントローラによってプログラムで実施されてよいことが理解される。
【0134】
図1に示された実施形態に戻り、シャワーヘッド106および台座108は、プラズマに電力供給するために、RF電力供給源114および整合回路網116と電気的に通信している。幾つかの実施形態では、プラズマエネルギは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つ以上を制御することによって、(例えば適切な機械読み取り可能命令を有するシステムコントローラによって)制御されてよい。例えば、RF電力供給部114および整合回路網116は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを発生させるために、任意の適切な電力で操作されてよい。適切な電力の例は、上で挙げられている。同様に、RF電力供給部114は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してよい。幾つかの実施形態では、RF電力供給部114は、高周波数RF電源および低周波数RF電源を互いに独立に制御するように構成されてよい。低周波数RF周波数の非限定的な例として、50kHzから500kHzの間の周波数が挙げられる。高周波数RF周波数の非限定的な例として、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数が挙げられる。表面反応のためのプラズマエネルギを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的にまたは連続的に調節されてよいことが理解される。非限定的な一例では、プラズマ電力は、継続的に電力供給されるプラズマと比べて基板表面に対するイオン衝撃を減らすために、間欠的にパルス状に提供されてよい。
【0135】
幾つかの実施形態では、プラズマは、1つ以上のプラズマモニタによってin−situ(その場)で監視されてよい。一状況では、プラズマ電力が、1つ以上の電圧・電流センサ(例えばVIプローブ)によって監視されてよい。別の状況では、プラズマ密度および/または処理ガス濃度が、1つ以上の発光分析(OES)センサによって測定されてよい。幾つかの実施形態では、このようなin−situプラズマモニタからの測定結果に基づいて、1つ以上のプラズマパラメータが、プログラムで調整されてよい。例えば、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループにおいて、OESセンサが使用されてよい。なお、幾つかの実施形態では、プラズマおよびその他の処理特性を監視するために、その他のモニタが使用されてよいことが理解される。このようなモニタの非限定的な例として、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられる。
【0136】
幾つかの実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)順序付け命令を通じて制御されてよい。一例では、プラズマ励起段階のためのプラズマ条件を設定するための命令が、プロセスレシピ内の対応するプラズマ励起レシピ段階に含められてよい。場合によっては、プロセスレシピ内の段階は、或る処理段階のための全ての命令がその処理段階と同時に実行されるように、順番に並べられてよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマ処理段階の前に来るレシピ段階に含められてよい。例えば、第1のレシピ段階は、不活性(例えばヘリウム)および/または反応物ガスの流量を設定するための命令と、プラズマ発生器を電力設定値に設定するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。なお、これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で、任意の適切なやり方でさらに細分および/または反復されてよいことが理解される。
【0137】
幾つかの堆積プロセスでは、プラズマの打ち出しが、時間にしておおよそ数秒以上の長さで持続する。本明細書で説明される特定の実装形態では、もっとずっと短い期間のプラズマ打ち出しが、処理サイクル中に適用されてよい。これらは、おおよそ50ミリ秒から1秒であってよく、一具体例は0.25秒である。このような短期間のRFプラズマ打ち出しでは、プラズマの迅速な安定化が必要とされる。これを達成するために、プラズマ発生器は、インピーダンス整合が特定の電圧に事前設定される一方で周波数は変動可能であるように構成されてよい。従来、高周波数プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で発生する。本明細書で開示される様々な実施形態では、周波数は、この標準値とは異なる値に変動可能である。インピーダンス整合を所定の電圧に固定しつつ周波数を変動可能にすることによって、プラズマは、もっとずっと迅速に安定化することが可能になり、この結果は、ALDサイクルに関係付けられたプラズマ打ち出しが非常に短期間である場合に重要になるだろう。
【0138】
幾つかの実施形態では、台座108は、ヒータ110を通じて温度を制御されてよい。さらに、幾つかの実施形態では、バタフライ弁118などの1つ以上の弁作動式真空源によって、処理装置100のための圧力制御が提供されてよい。図1の実施形態に示されるように、バタフライ弁118は、下流の真空ポンプ(不図示)によって提供される真空を絞り調整する。しかしながら、幾つかの実施形態では、処理装置100の圧力制御は、処理チャンバ102に導入される1種以上のガスの流量を変化させることによって調整されてもよい。幾つかの実施形態では、バタフライ弁118などの1つ以上の弁作動式真空源は、適切なALD操作段階中に、プロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するために使用されてよい。
【0139】
上述のように、マルチステーション基板処理ツールには、1つ以上のプロセスステーションが含まれていてよい。図2Aは、共通の低圧処理チャンバ214内に複数のプロセスステーション201、202、203、204を含むマルチステーション処理ツール200を図解している。各ステーションを低圧環境内に維持することによって、膜堆積プロセス間における真空破壊によって引き起こされる欠陥が回避されるだろう。
【0140】
図2Aに示されるように、マルチステーション処理ツール200は、基板搭載ポート220と、ポッド228を通じて搭載されたカセットから大気圧ポート220を通じて基板を処理チャンバ214内へ移動させて4つのステーション201、202、203、または204のうちの1つに載せるように構成されたロボット226とを有する。
【0141】
図2Aに描かれた処理チャンバ214は、4つのプロセスステーション201、202、203、および204を提供する。各ステーションは、加熱された台座(プロセスステーション901の場合は218で示されている)と、ガスライン入口とを有する。各プロセスステーションは、幾つかの実施形態では、異なるまたは複数の目的を有していてよいことが理解される。例えば、幾つかの実施形態では、プロセスステーションは、ALD処理モードとCVD処理モードとの間で切り替え可能であってよい。加えてまたは或いは、幾つかの実施形態では、処理チャンバ214は、1つ以上の組み合わせペアのALD/CVDプロセスステーションを含んでいてよい。図に描かれた処理チャンバ214は、4つのプロセスステーションを含んでいるが、本開示にしたがった処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有していてよいことが理解される。例えば、幾つかの実施形態では、処理チャンバは、1、もしくは2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8、もしくは9、もしくは10、もしくは11、もしくは12、もしくは13、もしくは14、もしくは15、もしくは16、もしくはさらに多い数のプロセスステーションを有していてよい(または2〜6のプロセスステーションを反応チャンバごとに、もしくは4〜8のプロセスステーションを反応チャンバごとに、もしくは8〜16のプロセスステーションを反応チャンバごとに有するなどのように、上記の値の任意の組み合わせペアによって定められた範囲内の数のプロセスステーションを反応チャンバごとに有するものとして、一連の実施形態が説明されてよい)。
【0142】
図2Aは、処理チャンバ214内のプロセスステーション201、202、203、および204間で基板を移送するための基板移送機器290の一実施形態も示している。任意の適切な基板移送機器が用いられてよいことが理解される。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよび基板取扱ロボットが挙げられる。
【0143】
図2Aは、処理条件、ならびに処理ツール200およびそのプロセスステーションのハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ250の一実施形態も示している。システムコントローラ250は、1つ以上の記憶装置256と、1つ以上の大容量記憶装置254と、1つ以上のプロセッサ252とを含んでいてよい。プロセッサ252としては、1つ以上のCPU、ASIC、汎用コンピュータおよび/または専用コンピュータ、1つ以上のアナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、1つ以上のステッピングモータ制御盤などが挙げられる。
【0144】
幾つかの実施形態では、システムコントローラ250は、処理ツール200の、その個々のプロセスステーションの操作を含む操作の一部または全てを制御する。システムコントローラ250は、プロセッサ252上で機械読み取り可能なシステム制御命令258を実行してよく、これらのシステム制御命令258は、幾つかの実施形態では、大容量記憶装置254から記憶装置256に取り込まれる。システム制御命令258は、タイミング、気体状反応物と液状反応物との混合、チャンバおよび/またはステーションの圧力、チャンバおよび/またはステーションの温度、ウエハの温度、目標電力レベル、RF電力レベル、RF暴露時間、基板台座、チャック、および/またはサセプタの位置、ならびに処理ツール200によって実施される特定のプロセスのその他のパラメータを制御するための命令を含んでいてよい。これらのプロセスは、基板への膜の堆積に関係したプロセスなどを非限定例として挙げられる様々なタイプのプロセスを含んでいてよい。システム制御命令258は、任意の適切な形で構成されてよい。例えば、様々な処理ツールプロセスを実行に移すために必要とされる処理ツール部品の操作を制御するための、様々な処理ツール部品サブルーチンまたは制御オブジェクトが記述されてよい。システム制御命令258は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラミング言語でコード化されてよい。システム制御命令258は、実施形態によって、ソフトウェアに実装されたり、例えばASIC(特殊用途向け集積回路)内のロジックとしてハードコード化されるなどのようにハードウェアに実装されたり、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実装されたりする。
【0145】
幾つかの実施形態では、システム制御命令258は、上述された様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)順序付け命令を含んでいてよい。例えば、(1つまたは複数の)堆積処理の各段階は、システムコントローラ250によって実行されるための1つ以上の命令を含んでいてよい。膜堆積処理段階のための処理条件を設定するための命令は、例えば、対応する堆積レシピ段階に含められてよく、キャップ膜堆積段階の場合も同様である。幾つかの実施形態では、レシピ段階は、或る処理段階のための全ての命令がその処理段階と同時に実行されるように、順番に並べられてよい。
【0146】
幾つかの実施形態では、システムコントローラ250に関係付けられた大容量記憶装置254および/または記憶装置256に記憶されたその他のコンピュータ読み取り可能命令および/またはプログラムが用いられてよい。プログラムまたはプログラムセクションの例として、基板位置決めプログラム、処理ガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0147】
基板位置決めプログラムは、基板を台座218に搭載するためにおよび基板と処理ツール200のその他のパーツとの間の間隔を制御するために使用される処理ツール部品のための命令を含んでいてよい。位置決めプログラムは、基板上に膜を堆積させる必要性に応じて反応チャンバに対して基板を適切に出し入れするための命令を含んでいてよい。
【0148】
処理ガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するための、ならびに随意として、1つ以上のプロセスステーションを取り巻く空間内の圧力を安定化させるために堆積に先立ってそれらの空間にガスを流し込むための、命令を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、処理ガス制御プログラムは、基板への膜の堆積中に、処理チャンバ内における1つ以上のプロセスステーションを取り巻く(1つ以上の)空間に特定のガスを導入するための命令を含んでいてよい。処理ガス制御プログラムは、また、堆積されている膜の組成に応じて、同じ速度で、同じ持続期間で、または異なる速度で、および/または異なる持続期間でこれらのガスを供給するための命令も含んでいてよい。処理ガス制御プログラムは、また、加熱された注入モジュール内においてヘリウムまたはその他の何らかのキャリアガスの存在下で液体状反応物を霧化/気化させるための命令も含んでいてよい。
【0149】
圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システム内の絞り弁やプロセスステーションに入るガスの流れなどを調整することによってプロセスステーション内の圧力を制御するための命令を含んでいてよい。圧力制御プログラムは、基板への様々な膜タイプの堆積中に同じまたは異なる圧力を維持するための命令を含んでいてよい。
【0150】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでいてよい。或いはまたは加えて、ヒータ制御プログラムは、基板への熱伝達ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してよい。ヒータ制御プログラムは、基板への様々な膜タイプの堆積中に反応チャンバ内および/またはプロセスステーションを取り巻く空間内を同じまたは異なる温度に維持するための命令を含んでいてよい。
【0151】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実施形態にしたがって1つ以上のプロセスステーションにおけるRF電力レベル、周波数、および暴露時間を設定するための命令を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、プラズマ制御プログラムは、基板への膜堆積中に同じまたは異なるRF電力レベルおよび/または周波数および/または暴露時間を使用するための命令を含んでいてよい。
【0152】
幾つかの実施形態では、システムコントローラ250に関係付けられたユーザインターフェースがあってよい。ユーザインターフェースとしては、ディスプレイ画面、装置および/または処理条件のグラフィックソフトウェア表示、ならびに位置指示装置、キーボード、タッチ画面、マイクなどのユーザ入力装置が挙げられる。
【0153】
幾つかの実施形態では、システムコントローラ250によって調整されるパラメータが、処理条件に関するものであってよい。非限定的な例として、処理ガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベルおよび暴露時間など)などが挙げられる。これらのパラメータは、ユーザインターフェースを用いて入力可能なレシピの形でユーザに提供されてよい。
【0154】
プロセスを監視するための信号が、システムコントローラ250のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって様々なプロセスツールセンサから提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール200のアナログおよび/またはデジタル出力接続に載せられて出力されてよい。監視可能なプロセスツールセンサの非限定的な例として、質量流量コントローラ(MFC)、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などが挙げられる。処理条件を維持するために、これらのセンサからのデータとともに、適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが使用されてよい。
【0155】
システムコントローラ250は、上述された堆積プロセスを実行に移すための機械読み取り可能命令を提供してよい。命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度などの、多様なプロセスパラメータを制御してよい。これらの命令は、本明細書で説明される様々な実施形態にしたがって膜積層体のin−situ堆積を操作するために、これらのパラメータを制御してよい。
【0156】
システムコントローラは、通常、1つ以上の記憶装置と、本明細書で開示されるプロセスにしたがって装置が操作を実施するように機械読み取り可能命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを含む。本明細書で開示される基板ドーププロセスにしたがって操作を制御するための命令を含む非一過性の機械読み取り可能媒体が、システムコントローラに結合されてよい。
【0157】
上述された様々な装置および方法は、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電性パネルなどの製造または生産のために、リソグラフィパターニングのツールおよび/またはプロセスと併せて使用されてよい。このようなツールまたはプロセスは、必ずしもそうとは限らないが、通常は、共通の製造設備のなかで併せて使用されるまたは実施される。
【0158】
膜のリソグラフィパターニングは、通常は、(1)スピンオンツールまたは噴き付けツールを使用して、例えばその上にシリコン窒化物を形成されたような基板上にフォトレジストを塗布する操作、(2)加熱板または加熱炉またはその他の適切な硬化ツールを使用して、フォトレジストを硬化させる操作、(3)ウエハステッパなどのツールによって、可視光または紫外線またはX線にフォトレジストを暴露する操作、(4)レジストを選択的に除去してパターニングするために、ウェットベンチまたは噴き付け現像器などのツールを使用して、レジストを現像する操作、(5)ドライ式またはプラズマ強化式のエッチングツールを使用することによって、レジストパターンをその下の膜または基板に転写する操作、ならびに(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥ぎ取り器などのツールを使用して、レジストを除去する操作の、幾つかまたは全部を含み、各操作は、考えられる幾つかのツールによってそれぞれ実施される。幾つかの実施形態では、フォトレジストを塗布する前に、アッシング可能なハードマスク層(非結晶質炭素層など)および別の適切なハードマスク(反射防止層など)が堆積されてよい。
【0159】
その他の実施形態
【0160】
開示された以上の技術、操作、プロセス、方法、システム、装置、ツール、膜、化学物質、および組成は、明瞭および理解を促す目的で具体的な実施形態との関連のもとで説明されてきたが、当業者ならば、以上の実施形態を実現するための、本開示の趣旨および範囲内に入る多くの代替のやり方があることが明らかである。したがって、本明細書で説明された実施形態は、開示された発明の概念を、限定するのではなく例示するものだと見なされ、最終的に本開示の内容を定めたものであるいかなる特許請求の範囲も過度に限定するための揺るがない基準として使用されるべきではない。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
マルチステーション処理チャンバにおいて複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させる方法であって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載することと、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させることと、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を前記第1群のプロセスステーションから、前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに、移送することと、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載することと、
(e)厳密にN’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させることであって、N’は、Nに等しくない、ことと、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すことと、
を備える方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、さらに、
(g)前記第2群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送することと、
(h)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第2群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に膜材料を堆積させることと、
を備える方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、方法。
適用例4:
適用例1の方法であって、
NとN’は、1だけ異なる、方法。
適用例5:
適用例1の方法であって、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択することと、
D/dに最も近い正の整数Mを奇数であると判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’をN+N’=Mで、かつ|N−N’|=1であるように選択することと、
を備える方法。
適用例6:
適用例1の方法であって、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択することと、
Nを(1/2)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、選択と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択することと、
を備える方法。
適用例7:
適用例1ないし6のいずれか一項の方法であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ2つのプロセスステーションからなる、方法。
適用例8:
適用例1ないし6のいずれか一項の方法であって、
前記処理チャンバは、2つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ1つのプロセスステーションからなる、方法。
適用例9:
適用例1ないし6のいずれか一項の方法であって、
前記処理チャンバは、偶数Sのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれS/2のプロセスステーションからなる、方法。
適用例10:
適用例1ないし6のいずれか一項の方法であって、
前記堆積された膜材料は、誘電体を含む、方法。
適用例11:
適用例10の方法であって、
前記誘電体は、1種以上のシリコン酸化物を含む、方法。
適用例12:
2つ以上のプロセスステーションを有する反応チャンバにおいて基板上に規定の厚さの膜を堆積させる方法であって、
(a)前記反応チャンバの第1のプロセスステーションに、少なくとも第1の基板を受け入れることと、
(b)厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜の厚みの一部を堆積させることと、
(c)少なくとも前記第1の基板を第2のプロセスステーションに移送することと、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることであって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記規定の厚さを達成するように選択される、堆積と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバから取り出すことと、
を備える方法。
適用例13:
適用例12の方法であって、
N’は、N−1またはN+1に等しい、方法。
適用例14:
適用例12の方法であって、
(a)は、前記反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに、複数の基板を受け入れることを含む、方法。
適用例15:
適用例14の方法であって、
(a)は、2枚の基板を受け入れることを含み、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを決定することと、
D/dに最も近い正の整数MがXの倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’を、N+N’=Mで、かつNがN’に等しくないように選択することと、
を備える方法。
適用例16:
適用例14の方法であって、
(a)は、4枚の基板を受け入れることを含み、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを決定することと、
Nを(1/4)×D/dに最も近い正の整数Mであるように選択することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、選択と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択することと、
を備える方法。
適用例17:
適用例12ないし16のいずれか一項の方法であって、さらに、(d)後で、かつ(e)前に、
(f)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバ内の第3のプロセスステーションに移送することと、
(g)厳密にN”サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚の尚も別の一部を堆積させることであって、N”は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’は、N”は、前記規定の厚さを実現するように選択される、ことと、
を備える方法。
適用例18:
適用例17の方法であって、さらに、(g)後で、かつ(e)前に、
(h)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバ内の第4のプロセスステーションに移送することと、
(i)厳密にN”’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜厚のさらなる一部を堆積させることであって、N”’は、Nに等しくまたは等しくなく、N、N’、N”およびN”’は、前記規定の厚さを実現するように選択される、ことと、
を備える方法。
適用例19:
適用例18の方法であって、
前記反応チャンバ内の4つのプロセスステーションに、4枚の基板が受け入れられ、
前記方法は、さらに、
規定の厚さDを選択することと、
D/dに最も近い正の整数Mが4の倍数ではないと判定することであって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、判定と、
NおよびN’をN+N’=Mで、かつNがN’に等しくないように選択することと、
を備える方法。
適用例20:
適用例12ないし16のいずれか一項の方法であって、
(a)において、前記反応チャンバ内の複数のプロセスステーションに、複数の基板が受け入れられ、
(b)において、厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記膜の厚みの一部が堆積され、
(c)において、前記反応チャンバ内の異なるプロセスステーションに、前記複数の基板が移送され、
(d)において、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記膜厚の別の一部が堆積される、方法。
適用例21:
適用例20の方法であって、
前記複数の基板は、少なくとも前記第1の基板と、第2の基板とを含み、(c)は、さらに、前記第2の基板を前記第2のプロセスステーションから前記第1のプロセスステーションに移送することを含む、方法。
適用例22:
適用例12ないし16のいずれか一項の方法であって、さらに、
(c)後で、かつ(d)前に、前記反応チャンバ内のプロセスステーションに、少なくとも1枚の追加の基板を受け入れることを備え、(d)は、さらに、前記少なくとも1枚の追加の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることを含む、方法。
適用例23:
適用例22の方法であって、
前記少なくとも1枚の追加の基板は、前記反応チャンバ内の前記第1のプロセスステーションに受け入れられる、方法。
適用例24:
複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションと、
前記処理チャンバに収容され、それぞれが基板ホルダを有する1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションと、
前記プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、
前記処理チャンバに収容された前記プロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源と、
基板を前記処理チャンバ内の前記プロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、
1枚以上の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための基板移送機器と、
前記基板上に材料の膜を堆積させるために前記基板搭載機器、前記基板移送機器、前記1つ以上の弁、前記真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含む1つ以上のコントローラであって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させるための命令と、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための命令と、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(e)厳密にN’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させるための命令であって、N’およびNは、規定の総膜厚を提供するように選択される、命令と、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すための命令と、
を含む、コントローラと、
を備える装置。
適用例25:
適用例24の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
(g)前記第2群の基板を、前記第1群のプロセスステーションから前記第2群のプロセスステーションに、移送するための機械読み取り可能命令と、
(h)Nサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第2群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例26:
適用例24の装置であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、装置。
適用例27:
適用例24の装置であって、
前記基板搭載機器は、1つ以上のプロセスステーションの前記基板ホルダ上に基板を載置するための基板取扱ロボットを含む、装置。
適用例28:
適用例24の装置であって、
前記基板移送機器は、複数の前記基板の面に実質的に垂直で、かつ複数の前記基板に対して実質的に等間隔な中心軸を中心として、複数の前記基板を回転させることによって動作するカルーセルを含む、装置。
適用例29:
適用例24ないし28のいずれか一項の装置であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容し、前記第1群のプロセスステーションおよび前記第2群のプロセスステーションは、それぞれ2つのプロセスステーションからなる、装置。
適用例30:
適用例24ないし28のいずれか一項の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、
Nを(1/2)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令であって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、機械読み取り可能命令と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例31:
適用例30の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときに、N’をNであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときに、N’をN−1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=2×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときに、N’をN+1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例32:
複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるためのマルチステーション基板処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバに収容された第1のプロセスステーションと、
前記処理チャンバに収容された第2のプロセスステーションと、
前記複数のプロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、
前記処理チャンバに収容された前記複数のプロセスステーションを取り巻く複数の空間から膜前駆体を除去するための弁作動式真空源と、
基板を処理チャンバ内の前記プロセスステーションの1つ以上に搭載するための基板搭載機器と、
1枚以上の基板を前記第1のプロセスステーションから前記第2のプロセスステーションに移送するための基板移送機器と、
前記基板上に材料の膜を堆積させるために前記基板搭載機器、前記基板移送機器、前記1つ以上の弁、および前記真空源を操作するための機械読み取り可能命令を含む1つ以上のコントローラであって、
(a)少なくとも第1の基板を処理チャンバ内の前記第1のプロセスステーションに搭載するための命令と、
(b)厳密にNサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1のプロセスステーションにある少なくとも前記第1の基板上に規定の膜厚の一部を堆積させるための命令と、
(c)少なくとも前記第1の基板を前記第2のプロセスステーションに移送するための命令と、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環膜堆積を実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記規定の膜厚の別の一部を堆積させるための命令であって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記規定の膜厚を実現するように選択される、命令と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバから取り出すための命令と、
を含む、1つ以上のコントローラと、
を備える装置。
適用例33:
適用例32の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
(a)において、複数のプロセスステーションに複数の基板を搭載するための機械読み取り可能命令と、
(b)において、厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記規定の膜厚の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)において、前記複数の基板を前記反応チャンバ内の異なるプロセスステーションに移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)において、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、前記複数の基板上に前記規定の膜厚の別の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例34:
適用例32の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、(c)後で、かつ(d)前に、少なくとも1枚の追加の基板を前記反応チャンバ内のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令を含み、(d)は、さらに、前記少なくとも1枚の追加の基板上に前記膜厚の別の一部を堆積させることを含む、装置。
適用例35:
適用例32の装置であって、
一サイクルの膜堆積は、
(i)膜前駆体を、膜前駆体が前記基板上に吸着制限層を形成するように、前記基板上に吸着させることと、
(ii)前記吸着された前駆体を取り巻く空間から、吸着されなかった膜前駆体の少なくとも一部を除去することと、
(iii)(ii)において、吸着されなかった膜前駆体を除去した後に、吸着された膜前駆体を反応させて、前記基板上に膜層を形成させることと、
(iv)前記吸着された前駆体を反応させた後に存在する脱離した膜前駆体および/または反応の副生成物を、前記膜層を取り巻く空間から除去することと、
を含む、装置。
適用例36:
適用例32の装置であって、
前記基板搭載機器は、前記プロセスステーションの少なくとも1つに基板を載置するための基板取扱ロボットを含む、装置。
適用例37:
適用例32の装置であって、
前記基板移送機器は、複数の前記基板の面に実質的に垂直で、かつ複数の前記基板に対して実質的に等間隔な中心軸を中心として、複数の前記基板を回転させることによって動作するカルーセルを含む、装置。
適用例38:
適用例32ないし37のいずれか一項の装置であって、
前記処理チャンバは、4つのプロセスステーションを収容する、装置。
適用例39:
適用例38の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
前記堆積される膜の目標厚さDを選択するための機械読み取り可能命令と、
Nを(1/4)×(D/d)に最も近い正の整数であるように選択するための機械読み取り可能命令であって、dは、一サイクルの膜堆積によって堆積される膜層の期待平均厚さである、機械読み取り可能命令と、
N’をN−1またはN+1のいずれかであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例40:
適用例39の装置であって、
前記1つ以上のコントローラは、さらに、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|<d/2であるときに、N’をNであるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ>0であるときに、N’をN−1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
Δ=4×d×N−Dとして、|Δ|>d/2で、かつΔ<0であるときに、N’をN+1であるように選択するための機械読み取り可能命令と、
を含む、装置。
適用例41:
機械読み取り可能媒体であって、
(a)1枚以上の基板の第1群の基板を処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第1群のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令と、
(b)Nサイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)(b)における堆積後、前記第1群の基板を前記第1群のプロセスステーションから、前記処理チャンバ内の1つ以上のプロセスステーションの第2群のプロセスステーションに、移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)1枚以上の基板の第2群の基板を前記処理チャンバ内の前記第1群のプロセスステーションに搭載するための機械読み取り可能命令と、
(e)N’サイクルの膜堆積を実施することによって、前記第1群のプロセスステーションにある前記第2群の基板上に、および前記第2群のプロセスステーションにある前記第1群の基板上に、膜材料を堆積させるための機械読み取り可能命令であって、N’は、Nに等しくない、機械読み取り可能命令と、
(f)(e)における堆積後、前記第1群の基板を前記処理チャンバから取り出すための機械読み取り可能命令と、
を有する機械読み取り可能媒体。
適用例42:
機械読み取り可能媒体であって、
(a)前記反応チャンバの第1のプロセスステーションに、少なくとも第1の基板を受け入れるための機械読み取り可能命令と、
(b)厳密にNサイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜の厚みの一部を堆積させるための機械読み取り可能命令と、
(c)少なくとも前記第1の基板を第2のプロセスステーションに移送するための機械読み取り可能命令と、
(d)(c)後に、厳密にN’サイクルの循環堆積プロセスを実施することによって、少なくとも前記第1の基板上に前記膜の厚みの別の一部を堆積させるための機械読み取り可能命令であって、Nは、N’に等しくなく、NおよびN’は、前記規定の厚みを達成するように選択される、機械読み取り可能命令と、
(e)少なくとも前記第1の基板を前記反応チャンバから取り出すための機械読み取り可能命令と、
を有する機械読み取り可能媒体。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B