特許第6567873号(P6567873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567873
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   G01N35/10 C
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-104120(P2015-104120)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-217921(P2016-217921A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】佐野 稔
(72)【発明者】
【氏名】牧野 彰久
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 亨
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−081827(JP,A)
【文献】 特開2014−041144(JP,A)
【文献】 特開2004−028683(JP,A)
【文献】 特開2012−007896(JP,A)
【文献】 特開2013−134139(JP,A)
【文献】 特開2012−007921(JP,A)
【文献】 特開2005−291840(JP,A)
【文献】 特開平07−239334(JP,A)
【文献】 特開平07−174763(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097973(WO,A1)
【文献】 米国特許第06706536(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との混合液を収容する反応容器と、
該反応容器に、前記検体、前記試薬を分注する分注ノズルと、
当該混合液が収容された反応容器に光を照射する光源と、該光源から照射された光を検出する検出器と、からなる光学測定部と、
前記分注ノズルの動作を制御する制御部と、を備え、
前記検体または前記試薬のいずれか一方を保持する反応容器に対し、前記分注ノズルによって前記検体または前記試薬のいずれか他方を吐出することで混合する自動分析装置であって、
前記制御部は、
前記検体または前記試薬のいずれか一方を保持する反応容器に対し、前記分注ノズルによって前記検体または前記試薬のいずれか他方を吐出するときに、前記分注ノズルの先端点を、当該反応容器の内側であって、当該反応容器の壁面で区切られた領域のうち、当該反応容器に収容された前記検体または前記試薬のいずれか一方の液面よりも上方であって、かつ、該液面と略平行な第一の平面の中心点以外に位置するように前記分注ノズルを制御し、
前記光学測定部は、前記検出器の受光軸を、当該反応容器の壁面および当該反応容器に収容された前記検体または前記試薬のいずれか一方の液面とで閉じられた領域のうち、前記分注ノズルの先端点と前記第一平面の中心点を含む直線と当該反応容器の壁面との2つの交点及び前記分注ノズルの先端点の延長線を含む第二平面と交差するように備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、
前記検体または前記試薬のいずれか一方を保持する反応容器に対し、前記分注ノズルによって前記検体または前記試薬のいずれか他方を吐出するときに、前記分注ノズルの少なくとも一部を、前記反応容器の内壁面に接触させるように制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記光学測定部と、前記反応容器を保持する反応容器設置部と、からなる測定ポートを複数備え、
前記制御部は
該複数の測定ポートのそれぞれの分析項目に応じ、前記反応容器内に収容される液量、前記検体もしくは前記試薬の吐出速度または吐出量を設定し、
当該設定された条件に基づいて前記分注ノズルを制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置において、
該測定ポートのそれぞれにおける光学測定部の検出器の受光軸は、
該測定ポートのそれぞれの分析項目に基づいて、前記第二平面となす角度及び交点の位置が決定されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記光学測定部は、複数の検出器を備え、
前記制御部は、前記複数の検出器から得られる検出結果を比較し、当該比較結果に基づいて、分析結果の算出に用いる検出器を決定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記光学測定部は、複数の検出器を備え、
前記制御部は、
該複数の測定ポートのそれぞれにおける分析項目に基づいて、該光学測定部における複数の検出器のうち、一つまたは複数の検出器を選択し、当該選択された検出器の検出結果に基づいて分析結果を求めることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記検出器の受光軸は、前記第二平面と垂直であることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの検体に含まれる成分量を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体に含まれる成分量を分析する分析装置として、光源からの光を、検体と試薬との混合液である反応液(以下、単に反応液ということがある)に照射して得られる単一又は複数の波長の透過光量または散乱光量を測定し、この測定結果に基づいて、検体に含まれる成分濃度や、あるいは検体である血液の凝固反応の分析として血液凝固時間等を含む項目を求める自動分析装置が知られている。
【0003】
反応液を撹拌する手段としては、へら状の撹拌棒を用いて液中で同軸状に回転させる手法や、液中にノズルを挿入し、吸引、吐出動作をする手法、超音波による液体の振動を利用する手法、あるいは試薬または検体の吐出時の圧力を利用して撹拌する手法(以下、吐出撹拌ということがある)などがある。このうち、吐出撹拌は、非接触で撹拌を行えること、及び複雑な構造を用いることなく、迅速に実施することができることから、特に、試薬と検体との混合後速やかに反応が開始される血液凝固反応を分析する場合等にて利用されている。
【0004】
特許文献1には、試料容器内の試料を、上下に移動する駆動手段を持つノズルが、試料の吸引吐出による撹拌と、そのノズル自身の回転による撹拌とを併せて行う試料撹拌機構において、試料の液量検知手段を設け、液量が少量のときには試料の吸引吐出のみで撹拌し、ノズルの回転による撹拌は行わないようにする技術が説明されている。
【0005】
特許文献2には、試薬または検体の吐出圧で撹拌する場合、試薬分注機構と検体分注機構のいずれか一方で、反応容器に先に所定の液量を吐出し、この液量に対し、他方の分注機構で吐出する液量が多い場合と少ない場合とで、吐出液量が多い場合の吐出速度を少ない場合の吐出速度に比べ相対的に下げて吐出する手法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、一端に試薬を吸引して吐出する開口を有し、一端を含む一端部内に斜め下方に傾斜した開口に通ずる流路が形成された試薬分注プローブを移動して、流路の延長線が反応容器内の底面以外の内面に交わる試薬吐出位置で停止させる構成について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−142414号公報
【特許文献2】WO2014/097973号公報
【特許文献3】特開2014−41144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、反応液に光を照射して得られる光量に基づいて成分の濃度や血液凝固時間等を求める自動分析装置においては、検体と試薬とを攪拌し十分に混合することが求められる。攪拌が不十分であれば、混合液中での反応が不均一となり、正確な測定結果を得られないおそれがあるからである。
【0009】
しかしながら、試薬または検体が収容されている反応容器内に、さらに検体または試薬を吐出する勢いを利用して撹拌を行う場合には、先に反応容器内に収容されていた試薬または検体と、新たに吐出された検体または試薬とが撹拌、混合されている間に生じる液体の流れ、あるいはその流れに巻き込まれた気泡が、反応液の光学測定の結果に影響を与えてしまうことがある。 しかしながら、特許文献1では、液量が少量の場合以外には検体または試薬の吐出動作による撹拌を行うこと自体についてそもそも考慮されておらず、また、特許文献3では、上述の通り斜め下方に傾斜した流路を備えた特別な形状の分注プローブを要するため、構造が複雑になってしまう。さらに、特許文献2では、先に反応容器に収容されている検体または試薬の液量に対し、後から加えられる検体または試薬の液量より多いまたは少ない場合には適用可能であるが、これ以外の条件については考慮されていない。また、このような手法では後から加えられる検体または試薬の吐出速度を都度変更する必要があるため、分注プローブの動作の制御が複雑になる。
【0010】
そして、いずれの文献においても、吐出撹拌の際に生じる検体と試薬との混合液である反応液の流れや、生じた気泡がこの流れに巻き込まれることによる影響について認識していないので、一切考慮されていない。
【0011】
本発明の目的は、反応容器中に収容された検体または試薬に、分注機構から試薬又は検体を吐出して、その液体の吐出の勢いを利用して反応液を攪拌する場合に、液体の吐出によって反応液中に生ずる液体の流れや、生じた気泡がその流れに巻き込まれることを抑制し、高精度な分析を実現することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための一態様として、検体と試薬との混合液を収容する反応容器と、該反応容器に、前記検体、前記試薬を分注する分注ノズルと、当該混合液が収容された反応容器に光を照射する光源と該光源から照射された光を検出する検出器と、からなる光学測定部と、前記分注ノズルの動作を制御する制御部と、を備え、前記検体または前記試薬のいずれか一方を保持する反応容器に対し、前記分注ノズルによって前記検体または前記試薬のいずれか他方を吐出することで混合する自動分析装置であって、前記制御部は、前記検体または前記試薬のいずれか一方を保持する反応容器に対し、前記分注ノズルによって前記検体または前記試薬のいずれか他方を吐出するときに、前記分注ノズルの先端点を、当該反応容器の内側であって、当該反応容器の壁面で区切られた領域のうち、当該反応容器に収容された前記検体または前記試薬のいずれか一方の液面よりも上方であって、かつ、該液面と略平行な第一の平面の中心点以外に位置するように前記分注ノズルを制御し、前記光学測定部は、前記検出器の受光軸を、当該反応容器の壁面および当該反応容器に収容された前記検体または前記試薬のいずれかの液面とで閉じられた領域のうち、前記分注ノズルの先端点と前記第一平面の中心点を含む直線と当該反応容器の壁面との2つの交点及び前記分注ノズルの先端点の延長線を含む第二平面と交差するように備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記一態様によれば、反応容器中に収容された検体または試料に、分注機構から試料または検体を吐出して、その液体の吐出の勢いを利用して反応液を攪拌する場合に、液体の吐出によって反応液中に生ずる液体の流れや、生じた気泡がその流れに巻き込まれることを検出範囲に含めないようにすることができるので、測定結果におけるノイズを低減し、高精度な分析の実現に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る自動分析装置の基本構成を示す概略図である。
図2】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る分注ノズル、反応容器及び第一平面の位置関係を示す概略図である。
図3】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る変形例であって、屈曲した形状を備えるノズル、反応容器及び第一平面の位置関係を示す概略図である。
図4】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る、光学測定部の光源及び検出器の配置を示す概略図である。
図5】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る変形例であって、分注ノズルが屈曲している場合の、第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。
図6】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る変形例であって、角柱形状の反応容器を用いる場合の、第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。
図7】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る他の変形例であって、角柱形状の反応容器を用いる場合の、第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。
図8】本実施の形態(第1の実施の形態)に係る他の変形例であって、ノズルを液面付近まで下降させた後に分注する場合の分注前後のノズル、反応容器及び第二平面の位置関係を示す概略図である。
図9】検体と試薬の混合時の混合液及び気泡の動きのシミュレーション結果を示す図である。
図10】本実施の形態(第1の実施の形態)による光学測定結果と比較例である。
図11】本実施の形態(第2の実施の形態)に係るノズル、反応容器、第一平面及び第二平面の位置関係を示す概略図である。
図12】本実施の形態(第3の実施の形態)に係る複数の測定ポートを備える構成を示す概略図である。
図13】本実施の形態(第4の実施の形態)に係る光学測定部の検出器の配置を示す概略図である。
図14】本実施の形態(第4の実施の形態)の変形例に係る光学測定部の検出器の配置を示す概略図である。
図15】本実施の形態(第5の実施の形態)に係る反応容器と光学測定部のバリエーションの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、全体を通して、各図における同一の各構成部分については説明を省略することがある。
【第1の実施の形態】
【0016】
〈装置構成〉
図1は、本実施の形態に係る自動分析装置の基本構成を示す概略図である。 本実施の形態では、複合型の自動分析装置(以下、単に自動分析装置、または装置と称することがある)の一例として、血液や尿等の生体試料(以下、単に検体と称することがある)および試薬を混合してから生化学分野の分析項目を処理し、また、血液凝固分野の分析項目を処理することができる装置を例にとって説明する。なお、装置の構成は当然のことながらこれに限定されるものではない。すなわち、本実施の形態に係る自動分析装置は、光源からの光を、検体と試薬とが混合した反応液に照射して得られる単一又は複数の波長の透過光量または散乱光量を測定して、光量と濃度の関係から成分量を算出する装置や、あるいは検体である血液の凝固反応の分析として血液凝固時間等を含む項目を求める装置全般に適用することができる。
【0017】
図1において、自動分析装置100は、主として、検体分注ノズル(検体分注機構)101、検体ラック102、試薬分注ノズル(試薬分注機構)106、試薬ラック107、反応容器ストック部111、反応容器搬出搬送機構112、光源115及び検出器116からなる光学測定部124、測定ポート113、反応容器廃棄部117、操作部118、記憶部119及び制御部120から構成されている。
【0018】
検体分注ノズル101は、時計回り及び反時計回りに回転する検体ラック102に配置された検体容器(試料容器)103に収容された検体(試料)や精度管理試料容器(図示せず)に収容された精度管理試料を吸引し、反応容器104へ吐出する。検体分注ノズル101は、検体用シリンジポンプ105と接続され、制御部120であるコンピュータにより制御されて検体の吸引、吐出の動作を実行する。
【0019】
試薬分注ノズル106は、試薬ラック107に配置された試薬容器108に収容された試薬を吸引し、検体が収容された反応容器104へ吐出する。上記では、検体が反応容器に分注された後に、試薬が分注されるという順序で説明をしているが、測定項目等によっては、先に試薬が分注された反応容器に検体が分注される構成とすることもできる。
【0020】
ここで、検体(検体の希釈液も含む)と試薬の混合溶液を、反応液という。試薬分注ノズル106は、試薬用シリンジポンプ110と接続され、制御部120であるコンピュータにより制御されて試薬の吸引、吐出の動作を実行する。
【0021】
ここで、血液凝固分野の分析を行う場合には、試薬分注ノズル106の内部には、試薬昇温機構109が内蔵することができる。制御部120が試薬昇温機構109を制御することにより、試薬分注ノズル106によって吸引された試薬の温度を昇温し、適温(所定の温度)に調整することができる。
【0022】
反応容器搬送機構112は、反応容器104の搬送及び設置を行うものである。反応容器搬送機構112は、反応容器104を保持して水平方向に回動することにより、反応容器104を反応容器ストック部111から測定ポート113の反応容器設置部114へ搬送及び設置する。
【0023】
本実施の形態においては、測定ポート113は、反応容器104を載置するための1つ以上(本実施の形態では、一例として1つの場合を示している)の反応容器設置部114を有する測定ポート113として表示している。なお、反応容器104は本実施の形態のように測定ポート113に保持されていてもよいし、反応容器を回転可能に形成された円盤状のディスクに複数固定し、測定時にディスクを回転し、測定対象の反応容器を光学測定部(図示せず)の光軸を通過するよう構成してもよい。ここで、光源115と検出器116とを合わせて光学測定部ということがある。反応容器設置部114に挿入した反応容器104の光強度の測定を行う。なお、本実施の形態においては、測定ポート113を1つ配置した場合を示したがこれに限られず、複数の測定ポート113を有するように構成してもよい。
【0024】
測定ポート113に備えられた光学測定部の光源115としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、レーザー、LEDなどから選択して用いることができる。光源115は反応容器104へ光を照射する。光源115から照射された光は、反応容器104内に収容された反応溶液で減衰して透過し、または、散乱される。検出器(光センサ)116は、フォトダイオード、光電子増倍管、光導電素子、光起電力素子などから選択して用いることができる。検出器116には、反応容器104内の反応溶液で減衰して透過した透過光、または、散乱された散乱光を受光し、光/電流変換を行うことによって、受光強度を示す測光信号をA/D変換器121に出力する機能を備える。A/D変換器121でA/D変換された透過光または散乱光の測定信号は、インタフェース122を介して制御部120に入力される。測定ポート113の動作は、制御部120であるコンピュータにより制御される。
【0025】
反応容器搬送機構112は、測定が終了した反応容器104を保持し、反応容器廃棄部117へ搬送し、廃棄する。
【0026】
自動分析装置100で分析される試料の分析項目は、入力手段としてのキーボード118bや表示部118cに表示された操作画面を介して操作部118から制御部120へ入力される。なお、表示部118cに表示された分析項目をマウス118aによりポインタ等で操作することによって分析項目を入力するGUI(Graphical User Interface)を用いるように構成してもよい。
【0027】
ここで、制御部120について説明する。制御部120は、主として、全体制御部120a、測定制御部120b等から構成される。
【0028】
全体制御部120aは、上述した試料や試薬の分注、反応容器104の移設、反応容器104の廃棄などの自動分析装置100の動作を制御する。
【0029】
測定制御部120bは、試料と試薬との混合反応の程度に応じて時間変化する光強度の測定値を演算処理し、予め取得したキャリブレーション値をもとに、分析対象物の濃度もしくは反応時間(血液凝固分野では凝固時間などを指す)を算出する。また、予め定めた判定閾値との比較結果に基づいて、試料に含まれる分析対象物の濃度や反応時間を判断し、良否の判定を実施することもできる。算出された濃度もしくは反応時間は、表示部118cに出力されるとともに、記憶部119に記憶される。なお、算出結果としての濃度もしくは反応時間を、インタフェース122を介してプリンタ123に印字出力してもよい。
【0030】
〈検出ユニットの構成〉
図2は、本実施の形態に係るノズル、反応容器及び第一平面の位置関係を示す概略図である。図2では、反応容器等の上面図(200)、XY断面図(201)、右側面図(202)を示している。
【0031】
ここで、ノズル203とは図1における試薬分注ノズル106または検体分注ノズル101を示している。前記ノズル203は、図示していないノズル駆動機構に接続されている。ノズル駆動機構は、図1に示すとおり、インタフェース122を通じて制御部120に接続されている。試薬分注ノズル106、検体分注ノズル101は、それぞれ検体用シリンジポンプ105、試薬用シリンジポンプ110に接続されており、これにより液体の吸引、吐出が行われる。ノズル駆動機構及びシリンジポンプの動作は、制御部120によって制御されている。
【0032】
〈ノズルの動作〉
次に、本実施の形態に係る分注動作のフローについて説明する。
【0033】
ここでは、ノズル203により反応容器204に試薬または検体205が分注されて静置されている状態において、さらに検体または試薬を分注する場合について説明する。検体または試薬を吸引、保持するノズル203が反応容器204の内側に下降する。この際の下降量は、測定項目等に応じ、予め定められた値としてもよいし、分注された液体量を計量または測定して決定されても良い。ここでの分注された液体の計量は、反応容器204に重量センサを設けて実施してもよいし、すでに分注された検体または試薬の体積と反応容器の容量や寸法情報から、液面高さを計算で見積もることにより求めても良い。
【0034】
また、分注された液体の液面を検知する方法によっても、ノズル203の下降量を決定することができる。すなわち、ノズル203と液体との間の電気的信号により液面位置を検知し、または反応容器204とその内部に収容された液体とを側面等から撮像して、取得されたデータを画像処理して液面を検知してもよい。
【0035】
分注する際に液面位置を検知することの利点のひとつは、吐出撹拌の手法を用いる際に、非接触条件で確実に撹拌が行えることである。自動分析装置では、試薬と検体を混合し、惹起される反応を光学的に測定し、検体に含まれる特定物質の濃度や、機能を測定することが一般に行われているところ、分注時に各ノズルを反応容器内の液体205と接触させることは、試薬と検体、または検体若しくは試薬同士のコンタミネーションを生ずるおそれがあるため、吐出撹拌の際にこれを確実に防ぐことができれば、分析精度のさらなる向上につながるからである。
【0036】
特に血液凝固時間を測定する血液凝固時間検査装置においては、試薬と検体の混合により生成される反応液中においてフィブリンが析出し、反応液の粘性が高まることがあり、試薬と検体の混合は確実に非接触で実施することが望ましい。中でも、
フィブリノーゲンなどの項目において、特に高濃度のフィブリノーゲンを含む試料においては、試薬と検体の混合の数秒後からこの反応が開始される。この反応を光学的に測定する場合、散乱光強度や透過光強度測定により、時系列データを測定し、得られたデータをもとに血液凝固時間を算出する。すなわち、試薬と検体の混合直後からの光学測定を実施することが求められる。
【0037】
したがって、ノズル203と液体205を確実に非接触な状態としながら、ノズル203から、ノズル203の延長線206方向に向けて検体又は試薬を吐出し、この勢いによって液体205との攪拌することは、コンタミネーションの防止及び混合直後からの測定が実施できる点で優れているのである。
【0038】
ここで、試薬または検体の吐出の勢いによる攪拌を実施する際、ノズル203からの液体の吐出速度が大きいほど試薬と検体はより均一に混合される。一方で、ノズル203からの液体の吐出速度が大きくなると、混合液中に気泡を巻き込みやすくなる。
【0039】
そこで、試薬または検体の吐出の勢いによる攪拌を実施する際のノズル203と反応容器204との相対的な位置関係としては、ノズル先端点207が、反応容器204の内側であって、反応容器204の壁面で区切られた領域のうち、反応容器204に収容された検体または試料のいずれかの液面よりも情報であって、かつ、該液面と略平行な第一の平面の中心点以外に位置するように、ノズル駆動機構によって制御することが望ましい。ここで第一平面210は、反応容器内の液面208と平行であることが好ましいが、実際には、反応容器の材質や表面処理、液体の性質により、反応容器内の液体205はメニスカスを形成しているため、液面208は図2に概略的に示すような平面ではない。よって、本実施の形態における第一平面は、当該液面208と厳密に平行な平面である必要は無く、略平行であればよい。
【0040】
上記のようにノズル先端点207の位置を制御する理由は、ノズル先端点207を第一平面210の中心点211に位置させて検体または試薬を分注した場合、液体205の液面208を叩くように検体または試薬が分注されるため、液体205と検体または試薬の混合液中に気泡が混入しやすく、2液の混合も上手く行われないからである。
【0041】
従って、好ましくは、ノズル先端点207を中心点211以外の点に位置させるのがよい。そうすることによって、分注された検体または試薬は、反応容器204中で反応容器内の液体に還流212を生じ、分注された検体または試薬と、反応容器内の液体の2液が十分に混合される。
【0042】
さらに好ましくは、分注される検体または試薬が反応容器内壁面209に沿って混入することができるよう、ノズル先端点207を反応容器内壁面209に近づけるのがよい。これは、分注時には、反応容器中の試薬または検体205と、ノズル203およびノズル203に保持された検体または試薬とは非接触であるため、液体の吐出速度が高くなると、空気層を挟んだ状態で、液面208と吐出される液体の液面とが近接するため、混合液の粘度によっては、液中に気泡を発生する場合があるが、分注される検体又は試薬が反応容器内壁面209に沿って混入することにより、気泡の発生を抑制できるからである。上述の通り、気泡は反応液の光学測定において、データを変動させるノイズ要因となることがあるため、これを低減できる。
【0043】
図3は、本実施の形態に係る変形例であって、屈曲した形状を備えるノズル、反応容器及び第一平面の位置関係を示す概略図である。本図に示すように、ノズル先端点207を反応容器内壁面209に近づける場合にノズル203の先端を反応容器内壁面209に向かって屈曲させるように構成することもできる。
【0044】
次に、本実施の形態における光学測定部の光源及び検出器の配置について詳細を説明する。
【0045】
図4は、本実施の形態に係る、光学測定部の光源及び検出器の配置を示す概略図である。本図では、反応容器の上面図(400)とXY断面図(401)とをそれぞれ示している。試薬または検体205が入っている反応容器204に、検体分注ノズル101または試薬分注ノズル106のいずれかであるノズル203から、検体または試薬を吐出する際、ノズル先端点207を、反応容器204の内側であって、反応容器204の壁面で区切られた領域のうち、反応容器204に収容された検体または試料のいずれかの液面よりも情報であって、かつ、該液面と略平行な第一平面210の中心点以外に位置するように制御されているとき、光学測定部の検出器409の受光軸402は、反応容器内壁面209および反応容器204に収容された検体または試料のいずれかの液面とで閉じられた領域のうち、ノズル先端点207と第一平面210の中心点211を含む直線と反応容器内壁面209との2つの交点及びノズル先端点207の延長線206を含む第二平面405と交差するように配置される。
【0046】
受光軸402上には、反応容器204中の反応液との交差する範囲に一定の測光範囲が形成されることになる。この測光範囲は、試薬または検体205と、吐出された検体または試薬を合わせた反応液の液面410の高さ、反応容器204の大きさ、形状、測定項目などにより任意に決定することができる。安定した測定結果を得るためには、一般には、受光軸402と第二平面405との交点は、第二平面405、反応容器内壁面209及び反応液の液面410で作られる閉じた平面の中心部付近となるよう調整することができる。
【0047】
その理由の一つとして、液面410付近に存在する気泡の影響を抑制することが挙げられる。特に、検体または試薬の吐出の勢いで攪拌する場合においては、反応液中に発生した気泡は、還流212にのって、試験管内壁面209を沿って移動し、その後、液面から抜けることもあるが、液面にとどまる場合がある。このような気泡は比較的体積が大きく、測光範囲に存在すれば、光学測定結果にノイズ発生として影響を及ぼす場合がある。液面に残留する気泡の影響を避けるため、上述した測光範囲では液面から適当な距離を離した状態に設けることができる。
【0048】
ところで、反応液の反応には、基質と酵素との呈色反応と、抗原と抗体との凝集反応の大きく2種類の反応が用いられる。前者は生化学分析であり、検査項目としてLDH(乳酸脱水素酵素)、ALP(アルカリホスファターゼ)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェナーゼ)などがある。また、後者は免疫分析であり、検査項目としてCRP(C反応性蛋白)、IgG(免疫グロブリン)、RF(リウマトイド因子)などがある。
【0049】
後者の免疫分析で測定される測定物質は血中濃度が低いため高感度な検出系が要求される。例えば、ラテックス粒子の表面に抗体を感作(結合)させた試薬を用い、試料中に含まれる抗原との抗原抗体反応によりラテックス粒子を凝集させる際に、反応液に光を照射する。そして、ラテックス凝集塊に散乱されずに透過した光量を測定することでサンプル中に含まれる成分量定量するラテックス凝集法での高感度化が図られてきた。
【0050】
また、試料からの透過光量を測定するのではなく、さらなる高感度を得るため、または測定項目によっては散乱光量を測定するものもある。血液凝固分野の測定においては散乱光量による測定が好ましく用いられる。この場合は、光学測定部として、光源と一つ又は複数の検出器が用いられ、本実施例における配置の一例としては、上面図(400)及びXY断面図(401)に示したとおり、光源406または光源408に対して、検出器407または検出器409の各配置とすることができる。すなわち、反応容器底面から上方に向けて光を照射するような位置に光源406、408を設け、反応容器204に対して側面から測光範囲をもつような位置に受光軸を有する検出器407、409を構成することができる。受光角度は、装置構成や試薬の組成による感度や再現性の観点から、最適な受光角度を予め設定してもよいし、複数の受光角度で受光して、それぞれのデータを用いて、例えば散乱光強度を補完、補正したり、異常値を除去するなどして、測定精度を向上するよう構成してもよい。
【0051】
反応容器の周囲は温度調節された恒温装置、例えばヒートブロックや恒温液体を循環させる恒温槽(図4には図示せず)で包囲されているが、これらの光源と検出器の受光素子による光学測定を実現するための光学窓が設けられている。このように検出器及びその受光軸を配置する理由を以下に説明する。
【0052】
図4における円筒と逆円錐形状からなる反応容器において、上面図(400)の斜線で示される第一平面210の中心点211以外の位置にノズル先端点207がくるようにノズル203の動作が制御された状態で、例えば、ノズル203を反応容器内壁面209に接触させてから試薬または検体を吐出する場合、十分に勢いが強いと、吐出直後の反応液の流れは、第二平面405のうちの、反応容器内壁面209と反応液の液面410との交線で囲まれた平面上に還流を形成する。吐出された液体の流れは、この平面上で、かつ、反応容器内壁面209を沿うように還流する212。本実施の形態においては、光学系の検出器409の受光軸402は、第二平面405と交差するように配置される。
【0053】
上述のとおり、2液を混合するためには、ノズル203から十分な速度で液体を吐出する必要がある。さらに、コンタミネーション防止の観点から、ノズル203と、反応容器204に収容されている検体または試薬205とは確実に非接触とすることが望ましい。ノズル203と、反応容器に収容されている検体または試薬205とを確実に非接触とした状態で、十分な速度を保って分注をすると、混合液中に気泡が生じてしまうことがある。すると、第二平面405内には、分注直後から一定の時間、混合液体の還流が存在するため、気泡は還流に巻き込まれる可能性がある。この気泡及び液体の還流が、検出器の受光範囲に存在すると、その瞬間において取得されるデータには、ノイズとなって影響を生ずることがある。
【0054】
特に血液凝固分野の測定では、試薬の検体の混合液が粘ちょうとなる場合が有り、ノズル先端点207を第一平面210の中心点211以外に位置して分注をした場合であっても、混合液中の還流に気泡が巻き込まれることがある。
【0055】
そこで、本実施形態においては、検出器の受光範囲を液体の還流及びこれに巻き込まれた気泡の影響を受けない位置に配置するため、検出器409の受光軸402を第二平面405と交差するように配置した。これにより、検出器409の受光素子を用いた測光範囲を、液体の吐出によって混合液中に生ずる液体の流れ、及びその流れに巻き込まれた気泡の影響を受けない位置に設定することができる。
【0056】
本実施の形態のように検出器409の受光軸402を配置すれば、たとえ、混合液中に気泡が混入し、還流により反応容器内を移動したとしても、その影響を受けることなく、分注直後から安定した測定を行うことが可能となる。
【0057】
なお、検出器409の受光範囲は、スリットやレンズ、受光面と反応容器の距離などを適宜に調整することで、さらにこの還流部からの光学的な信号の影響を低減、もしくは、排除するように設けることができる。
【0058】
なお、光学測定部の検出器407、409は、その受光軸402を第二平面405と交差するように配置すればよく、図4の各例に示すとおり、種々の方向に設けることができる。この方向は、装置の構成、測定項目等によって任意に選択することができる。このとき、受光軸402を、第二平面405と直行させるように配置すると、還流方向212と受光軸402が直行することになるため、還流及び還流に巻き込まれた気泡の影響を最も低減することができ、結果として、光学測定結果へのノイズの影響を最もよく回避することができる。
【0059】
ここで、本実施の形態においては、ノズル203は直線形状でなくてもよい。図5は、本実施の形態の変形例であって、分注ノズルが屈曲している場合の、第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。本図では、反応容器の上面図(500)、XY断面図(501)及び右側面図(502)をそれぞれ示す。
【0060】
ノズル203は、試薬また検体を反応容器204に分注する際、反応容器内壁面209に沿って試薬または検体を分注することが容易となるよう、反応容器内壁面209に向けて屈曲した形態で構成されている。本変形例においても、光学測定部の検出器409の受光軸503は、第一平面210の中心点211とノズル先端点207を含む直線403と、反応容器内壁面209との2交点404及びノズル先端の延長線206とを含む第二平面405と交差するように配置されていればよい。
【0061】
また、反応容器204は円筒と逆円錐からなる形状でなくともよい。円筒、円錐、直方体などにおいても同様の効果を奏する。図6は、本実施の形態の変形例として、角柱形状の反応容器604を用いた場合の、第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。本図では、反応容器の上面図(600)、XY断面図(601)、及び右側面図(602)をそれぞれ示す。この場合にあっても、光学測定部の検出器の受光軸612を上記の実施の形態と同様に構成することができる。すなわち、ノズル先端点607が、反応容器604の内側であって、反応容器604の壁面で区切られた領域のうち、反応容器604に収容された検体または試薬のいずれかの液面608よりも上方であって、かつ、該液面608と略平行な第一の平面610の中心点611以外に位置するようにノズル603を制御し、光学測定部の検出器の受光軸612は、反応容器604の壁面および反応容器604に収容された検体または試薬のいずれかの液面608とで閉じられた領域のうち、ノズル先端点607と第一平面610の中心点611を含む直線と反応容器604の壁面との2つの交点およびノズル先端点607の延長線を含む第二平面615と交差するように配置される。
【0062】
このとき、受光軸612上には、反応容器中の反応液との交差する範囲に一定の測光範囲が形成され、この測光範囲は、反応液の液面616高さ、反応容器604の大きさ、形状、測定項目などにより任意に決定することができる。安定した測定結果を得るためには、一般には、受光軸612と第二平面615との交点は、第二平面615と反応容器内壁面609および反応液の液面616の交線で作られる平面内の中心部付近となるよう調整することができる。
【0063】
上記のように構成することにより、反応容器の形状が異なる場合であっても同等の効果を奏することができる。
【0064】
また、角柱形状の反応容器605を用いる場合、ノズル先端点607の位置を図6とは異なる位置に制御することもできる。図7は、本実施の形態に係る他の変形例であって、角柱形状の反応容器を用いる場合の第二平面及び光学測定部の配置を示す概略図である。ここでは、ノズル先端点607の位置を図6とは異なる位置で制御する場合について説明する。本図では、反応容器の上面図(700)、XY断面図(701)、右側面図(702)、及び斜視図(703)をそれぞれ示す。
【0065】
本変形例においては、第二平面615は、図7の上面図(700)に示すとおり、反応容器604との関係では、反応容器604の各辺と平行でなく、かつ対角線とは異なる直線上613に形成されることになるが、その他は上記と同様に構成することが可能である。図7の斜視図(704)には本変形例における第一平面610及び第二平面615を示している。
【0066】
図8は、本実施の形態に係る他の変形例であって、ノズルを液面付近まで下降させた後に分注する場合の分注前後のノズル、反応容器および第二平面の位置関係を示す概略図である。
【0067】
本図では、すでに検体または試薬が収容された反応容器に、試薬または検体を分注する際の反応容器及びノズル803の上面図(800)と、XY断面図(801)、及びこの状態に対してさらに試薬または検体が分注された後の反応容器及びノズルの正面図(802)を示している。本変形例においては、ノズル803を鉛直方向に上昇させながら、試薬または検体の分注を実施する。本変形例のように分注時のノズル803の動作の制御を行うことによって、液面807に、ノズル先端点をより近づけた状態で分注を実施することができるため、混合液中に気泡が混合する可能性をより低減することができる。このとき、ノズル803を反応容器内壁面に接触させるよう構成するとよりその効果が高い。この場合であっても第一平面804及び第二平面805は図示されるように設定され、検出器の受光軸808をこの第二平面805と交差するように設けることによって、ノズル803が液面付近まで下降された場合においても上記と同様の効果を奏することができる。反応容器中に収容された検体または試薬806に、さらにノズル803から試薬または検体分注されたときは、反応液中には第二平面805内に還流が809生ずるが、上述した構成によって、同等の効果を奏することができる。
【0068】
図9は、検体と試薬の混合時の混合液及び気泡の動きのシミュレーション結果を示す図である。反応容器901内に収容された検体903に、試薬分注ノズル902から試薬904が吐出された後、混合液体中に生ずる還流を示している。また、還流に気泡905が巻き込まれた場合、還流面を反応容器内壁面に沿って移動していくこともまた示されている。ここで、本図では反応容器901中に予め検体903が収容され、さらに試薬を試薬分注ノズル902から分注する例について説明したが、これに限られるものではなく、例えば反応容器中に予め試薬が収容され、さらに検体を分注する形態においても適用可能である。
【0069】
図10は、本実施の形態に係る光学測定結果(1000)と比較例(1001)を示す図である。図10において、光学測定結果(1000)及び比較例(1001)はそれぞれ、光学測定部により取得された反応液の光学測定データを示している。いずれのチャートも横軸を時間(t)、縦軸を光学測定強度(I)として示した。ここで、光学測定結果(1000)は、上述した本実施の形態における構成により得られる、混合液の環流及び気泡の影響を低減した光学測定データである。比較例(1001)は、本実施の形態に係る構成を適用せずに、混合液の還流及び気泡の影響を受けた光学測定データを示した。比較例(1001)においては、測定開始直後に、反応液に残留した泡が破裂するなどして、反応曲線のずれなどノイズ(1002)が生じていることがわかる。反応直後からの測定データが必要な測定項目では、このノイズが測定データの精度を下げてしまう原因となる場合がある。
【0070】
これに対し、本実施の形態に係る光学測定結果(1000)では、反応液中を通過または残留する泡を測光範囲から避けるように構成されていることから、泡の影響を排除する、もしくは、低減することができ、分析精度を向上させることができることがわかる。
【0071】
また、分析精度を向上させる上では、試料と試薬の混合をより均一にする必要があり、そのため試薬の吐出速度を上げる必要があるが、本構成によれば、吐出速度をあげるほど泡の還流は反応容器の内壁に沿うようになり、均一な混合と精度のよい光学測定とを両立することができる。
【第2の実施の形態】
【0072】
図11は、本実施の形態に係るノズル、反応容器、第一平面及び第二平面の位置関係を示す概略図である。より具体的には、ノズル先端点1103を、反応容器内壁面1105に接触させた状態で分注する場合について説明する図である。ノズル先端点1103を反応容器内壁面1105に接触させた状態で分注することにより、分注された検体または試薬である液体は反応容器内壁面1105に沿って落下するため、混合液中に気泡が混入する可能性をより低減することができる。また、ノズルを弾性体等の材料により構成し、ノズル制御機構によって反応容器内壁面1105に押し付け、制御部によって、ノズル1104を反応容器内壁面に押し付けた状態で検体または試薬を吐出するよう構成すれば、反応容器内壁面1105に沿って検体または試薬を分注する際に、各反応容器の寸法や据付等の誤差は、ノズル1104の弾性変形により吸収できるため、個別の位置調整を厳密に行うことなく、簡単な制御で、複数の反応容器の各々に対して、一定の位置で実行することができる。
【0073】
上述の構成によれば、混合液中に気泡が生ずる可能性はより低減されるが、更に検出器の受光軸を、第二平面と交差するように設けることによって、還流や気泡の影響をより低減した光学測定結果を得ることができる。
【第3の実施の形態】
【0074】
本実施の形態では、光源と検出器から構成される光学測定部を有する測定ポートを複数ト備える構成について説明する。図12は、本実施の形態に係る複数の測定ポートを備える構成を示す概略図である。ここでは、一例として測定ポートを6つ備えた構成について示すが、これに限られるものではない。本実施の形態に係る自動分析装置は、複数の測定ポート1200、1201と、図1に示した制御部120と、記憶部119と、をさらに有し、複数の測定ポートはそれぞれ、一つの反応容器設置部114と、光源と検出器とからなる一つまたは複数の光学測定部とを備える。制御部120は、各測定ポートの分析項目に応じて設定され、記録部119に記録された、反応容器内の液体収容量、検体若しくは試薬の吐出速度または吐出量の設定値に従い、図示しないノズル制御機構を制御する。また、制御部120によって、光学測定部は、各測定ポートの測定項目に応じて、各測定ポートの反応容器が第二平面となす各角度及び交点の位置が決定され、調整された受光軸を備える検出器を有している。
【0075】
本実施の形態によれば、分注に係るパラメータや測光範囲が、測定ポートごとに最適化されているため、複数のアッセイを処理するような分析においても、処理の能力を高める効果を奏し、また、対応できるアッセイの種類を増加させることができる。
【第4の実施の形態】
【0076】
本実施形態では複数の検出器から得られる測定結果を比較し、分析結果の算出に用いる測定結果を決定することができる反応容器と光学測定部の配置の構成について図13図14を用いて説明する。
【0077】
図13は、本実施の形態に係る光学測定部の複数の検出器の配置の構成例を示す概略図である。本構成によれば、複数の入射光に対して受光角度を複数設けることができる。すなわち、光源を、側面1302及び底面1307に備え、それぞれ入射光1306に対して、第二平面1305と交差するように受光軸1304を設けた検出器1303を備えている。このように構成することで、試薬の組成や測定項目等に応じて感度や再現性の高い受光角度を選択することができるため、測定制度を向上することができる。また、複数の受光角度で受光して、それぞれのデータを用いて、例えば散乱光強度を補完、補正したり、異常値を除去するなどして、測定精度を向上することもできる。
【0078】
図14は、本実施の形態に係る光学測定部の複数の検出器の配置の構成例を示す概略図である。本構成によれば測光範囲を複数設けることができる。上述した第1の実施の形態の例よりも反応液の総量が大きくなる場合、反応液の混合の度合いによるばらつきを低減するためには、測光範囲を拡大することが有効である。本実施の形態における光学測定部は、一つまたは複数の光源1407を有し、第二平面と交差するように設けられた受光軸を有する複数の検出器1403、1405を有している。このように構成することによって、測光範囲を拡大し、十分な信号強度を得ることができるとともに、反応液の混合の度合いによる測定結果のばらつきを低減できる。また、それぞれの検出器1403、1405の向きを変更し、分析データに使用する信号を選択することで、反応や反応時間、試薬の試料の体積などが異なるアッセイごとに、最適な構成を実現し、分析精度を向上させることができる。
【第5の実施の形態】
【0079】
本実施の形態では、単一または複数の光源及び、単一または複数の検出器を備える光学測定部を有する複数の測定ポートを有し、測定ポートごとに設定された分析項目に応じて、各測定ポートの複数の検出器の測定結果から、一つ又は複数の検出器の測定結果を選択し、選択された測定結果を用いて分析結果を求める技術について、図15を用いて説明する。 図15は、本実施の形態に係る反応容器と光学測定部のバリエーションの一例を示す概略図である。本図では、複数の測定ポート上面図(1501)、及そのXY断面図(1502)も併せて示している。
【0080】
自動分析装置1500は、回転と停止を繰り返す円盤形状の反応ディスク1503に、反応液(検体と試薬との混合液)を収納する反応容器104を保持する複数の反応容器設置部114がこの円盤形状に沿って配置されている。ここで、測定ポート113は、上述の通り単一または複数の光源116及び、単一または複数の検出器115を備える光学測定部を有するポートをいう。反応ディスク1503が回転する過程で、反応容器設置部114に保持された反応容器104が、測定ポート113の位置を通過するときに光学測定部によって光学測定が実施される。
本実施の形態では、それぞれの測定ポート113に反応容器104を一つずつ備えている構成について示したが、収容される反応容器104の数は複数であってもよい。また、反応容器104の形状は本実施の形態に示したスピッツ形状のほか、角柱形状としてもよいし、各測定ポートごとに反応容器の形状が異なっていてもよい。また、各測定ポートには、各受光軸が第二平面405と交差するとよう、検出器116が設けられている。この検出器は、測定ポート毎113に同じ数でもよいし、異なっていてもよい。また、受光角度も測定ポート113毎に同じでもよいし、異なっていてもよい。各測定ポート113の光源115も反応容器104の側面方向以外に、底面の方向に設けることもでき、またその数も測定ポート113毎に異なっていてもよい。
【0081】
なお、上述の例ではは、6つの測定ポートを同一ブロックに設けている構成について説明したが、各測定ポート113は別個のブロックに設けるようにすることもできる。
【0082】
以上のように構成することにより、反応や反応時間、試薬の試料の体積などが異なるアッセイごとに、最適な反応容器、光源及び検出器の位置及び個数を選択することができ、項目ごとに最適化された光学系を用いることで分析精度を向上させると共に、一台の自動分析装置で様々な検査項目を一括して処理することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 自動分析装置
101 検体分注ノズル
102 検体ラック
103 検体容器(試料容器)
104 反応容器
105 検体用シリンジポンプ
106 試薬分注ノズル
107 試薬ラック
108 試薬容器
109 試薬昇温機構
110 試薬用シリンジポンプ
111 反応容器ストック部
112 反応容器搬送機構
113 測定ポート
114 反応容器設置部
115 光源
116 検出器
117 反応容器廃棄部
118 操作部
118a マウス
118b キーボード
118c 表示部
119 記憶部
120 制御部
120a 全体制御部
120b 測定制御部121 A/D変換器
122 インタフェース
123 プリンタ
200 上面図
201 XY断面図
202 右側面図
203 ノズル(検体分注ノズルまたは試薬分注ノズル)
204 反応容器
205 反応容器内の液体
206 ノズルの延長線
207 ノズル先端点
208 分注前の反応容器内の液面
209 反応容器内壁面
210 第一平面
211 第一平面の中心点
212 液体の還流方向
400 上面図
401 XY断面図
402 検出器の受光軸
403 ノズル先端点と第一平面の中心点を含む直線
404 ノズル先端点と第一平面の中心点を含む直線と反応容器内壁面との交点
405 第二平面
406 光源
407 検出器
408 光源
409 検出器
410 反応液の液面
500 上面図
501 XY断面図
502 右側面図
503 検出器の受光軸
600 上面図
601 XY断面図
602 右側面図
603 ノズル(検体分注ノズルまたは試薬分注ノズル)
604 角柱形状反応容器
605 反応容器内の液体
606 ノズルの延長線
607 ノズル先端点
608 分注前の反応容器内の液面
609 反応容器内壁面
610 第一平面
611 第一平面の中心点
612 光学測定部の検出器の受光軸
613 ノズル先端点と第一平面の中心点を含む直線
614 ノズル先端点と第一平面の中心点を含む直線と反応容器内壁面との交点
615 第二平面
616 分注後の反応容器内の液面
700 上面図
701 XY断面図
702 右側面図
703 斜視図
800 上面図
801 検体又は試薬が収容された反応容器に、試薬又は検体を分注する際の反応容器及び分注ノズルのXY断面図
802 検体又は試薬が収容された反応容器に、試薬又は検体を分注された後の反応容器及び分注ノズルのXY断面図
803 ノズル(検体分注ノズルまたは試薬分注ノズル)
804 第一平面
805 第二平面
806 分注前の反応容器内の液体
807 液面
808 光学測定部の受光器の受光軸
809 還流方向
901 反応容器
902 ノズル(試薬分注ノズル)
903 検体
904 試薬
905 気泡
1000 本実施の形態に係る光学測定結果
1001 比較例に係る光学測定結果
1002 気泡の影響によるノイズ
1100 上面図
1101 XY平面図
1102 右側面図
1103 ノズル先端点
1104 ノズル(検体分注ノズルまたは試薬分注ノズル)
1105 反応容器内壁面
1200 第一の測定ポート
1201 第二の測定ポート
1300 上面図
1301 斜視図
1302 光源
1303 検出器
1304 検出器の受光軸
1305 第二平面
1306 入射光
1307 光源
1400 上面図
1401 斜視図
1402 検出器
1403 検出器
1404 検出器
1405 検出器
1406 第二平面
1407 光源
1500 自動分析装置
1503 反応ディスク
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