特許第6568457号(P6568457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568457
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   H01L21/302 101H
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-221010(P2015-221010)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-92264(P2017-92264A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】廣田 侯然
(72)【発明者】
【氏名】中宇▲禰▼ 功一
(72)【発明者】
【氏名】大田 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】角屋 誠浩
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−505490(JP,A)
【文献】 特開2011−192872(JP,A)
【文献】 特開2009−188257(JP,A)
【文献】 特開平11−195644(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191224(WO,A1)
【文献】 特開平05−021398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si元素とO元素を含有する第1の材料と難揮発性材料である第2の材料とを表面材料とする処理室にて被処理物をプラズマ処理するプラズマ処理方法において、
前記第1の材料により構成された処理室表面に対して前記第2の材料により構成された処理室表面に選択的にC元素とH元素とF元素を含有する膜を堆積させる第1の工程と、
前記第1の工程後、前記被処理物をプラズマ処理する第2の工程とを有することを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理方法において、
前記第1の工程は、C元素とH元素とF元素を含有するガスによるプラズマを用いて前記C元素とH元素とF元素を含有する膜を堆積させることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載のプラズマ処理方法において、
前記ガスは、CHFガス、CHFガスとOガスの混合ガス、CFガスとHガスの混合ガス、CガスとHガスとOガスの混合ガス、CガスとHガスとNガスの混合ガス、CガスとHガスとSFガスの混合ガスまたはCガスとHガスとCFガスの混合ガスであることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法において、
前記第2の材料は、ステンレス(SUS)またはイットリウム(Y)元素もしくはアルミニウム(Al)元素を含む材料であることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法において、
前記第1の工程は、前記第1の材料により構成された処理室表面温度が前記第2の材料により構成された処理室表面の温度より大きい場合に行われることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法において、
前記第1の材料により構成された処理室表面温度を上昇させるヒーティング工程を前記第1の工程の前に行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法において、
前記第2の工程のプラズマ処理の一部または全てと同じプラズマ処理を行うシーズニング工程を前記第1の工程と前記第2の工程との間に行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法において、
前記第2の材料により構成された処理室表面に前記C元素とH元素とF元素を含有する膜を堆積させている時、前記処理室に堆積する金属の反応生成物を除去するメタルクリーニング工程を前記第1の工程と前記第2の工程との間に行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路の高集積化及び高速化に伴い、今後数年の間に高速ロジックデバイスのゲート寸法は10nmレベルに達し、Åレベル(3σ=1nm以下)の加工寸法精度が要求されている。わずかなゲート電極の寸法変動がソース/ドレイン電流やスタンバイ時のリーク電流値を大きく変動させるため、ゲート電極の寸法(CD:Critical Dimension)精度等加工形状の安定化は、歩留まり向上のための重要な要件である。
【0003】
加工形状(CD精度、形状異方性、材料選択比等)に影響を与える一つの要因に、処理室表面へのエッチング反応生成物の堆積がある。堆積物の有無により、同じ条件でプラズマを生成したとしても、処理室表面におけるラジカルの消費量やラジカルの再結合確率が著しく変化することがプラズマ中の気相計測により解明されてきた。例えば、非特許文献1には、Clプラズマ中のClラジカル量が処理室表面のSiCl堆積物の有無によって数倍異なることが開示されている。プラズマ中のラジカル密度が変化すれば、加工形状もまた変化する。また、加工時の反応生成物は、トランジスタに用いられる材料やガス種により多岐に渡る種類がある。近年トランジスタ特性を改善するため、従来のPoly−Si/SiO構造からHigh−K/MetalGate構造へ移行すると共に、平面型トランジスタから立体型トランジスタ構造への移行が進んでいる。このため、トランジスタに使用される材料(例えば、ゲートのメタル化、High−Kゲート絶縁膜材料、III−V族チャネルの採用等)の種類は多様化しており、処理室表面に堆積する難揮発性材料の種類やそのクリーニング方法も多様化している。また、非特許文献2には、処理室表面のTi堆積物とプロセス変動の関係や、プロセス変動の原因となるTiのクリーニング方法等が開示されている。また、適切にメタルクリーニングが実施されれば、プロセス変動は抑制できる。
【0004】
歩留まり向上のための重要なもう一つの要素に、パターン欠陥の抑制がある。エッチング処理装置においてパターン欠陥を生じる原因には、処理室表面へのウエハやガスの一部を含む反応生成物起因や処理表面部材の削れや腐食で生じる処理室表面部材起因やそれらの複合物がある。処理室表面部材起因では、特に部材に金属やランタノイド系化合物を含む不揮発性物質が含まれる場合に問題となる。一旦不揮発性物質が削れると、直接ウエハ上に落下する場合や、削れた場所や部材とは異なる処理室表面に一旦付着した後、量産処理の経過とともに成長して、ある時に剥離してウエハ上に落下するためである。落下物はウエハ下層のエッチングを阻害するマスクとして働くため、パターン欠陥を生み、製品の歩留まり低下を招く。このようなエッチングを阻害する物質は異物と呼ばれる。ゲート寸法の細線化に伴い、許容される異物粒径と異物数は年々低下しており、量産処理はその厳しさを増している。
【0005】
上記をまとめると、量産の歩留まりを向上させるためには、加工形状の安定化と異物の低減を両立するエッチング技術が必要となる。そして、加工形状の安定化では処理室表面の堆積物と密接な関係があり、異物低減では処理室表面の堆積物に加えて処理室表面部材の削れや腐食と密接な関係がある。
【0006】
従来、ウエハ処理毎又はロット毎にプラズマクリーニング処理やシーズニング処理を用いて処理室表面状態を一定に保つ技術が検討されてきた。また、特許文献1には、処理室表面にCFやSiを含有する膜を堆積させるコーティングを実施して、処理室表面状態変化に伴うプロセス変動への影響を低減する技術が開示されている。更に、特許文献2には、Siを含有するコーティング膜に起因する異物を低減可能とするアフタートリートメント法や処理室表面に堆積するメタル反応生成物起因のプロセス変動を低減可能なメタル対応クリーニングを用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許7,204,913号明細書
【特許文献2】特開2014−53644号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S. J. Ullal, T. W. Kim, V. Vahedi, and E. S. Aydil, J. Vac. Sci. Technol., A 21, 589 (2003).
【非特許文献2】Kosa Hirota, Naoshi Itabashi and Junichi Tanaka, J. Vac. Sci. Technol., A 32, 061304 (2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術(特許文献1及び2)は、処理室の表面材料を問わずにコーティングを行うものである。しかし、発明者らが検討した結果、処理室表面の材料に応じてコーティング膜を付着させるべき表面とそうでない表面があり、処理室表面材料とコーティング条件は適切に考慮され選択されることが必要であることが分かった。他の課題を含めて整理すると次の3つがあげられる。
【0010】
一つ目は、Si系のコーティング膜やC系のコーティング膜は、一般的に処理室表面材料よりもプラズマ耐性がなく、容易に削れることに起因したプロセス条件構築に関する課題である。例えば、コーティングで堆積するCH,SiOは、O(酸素)やF(フッ素)やCl(塩素)ラジカルを含むプラズマ中において処理室表面材料で用いられる石英やSUS(ステンレス)、Y(イットリウム)やAl(アルミニウム)を含有する金属よりも容易に削れる。そのため、製品ウエハをエッチング中のラジカルバランスに大きく寄与し、エッチング特性は、コーティング膜の影響を大きく受ける。このため、所望のエッチング形状やエッチング選択比を実現しようとする場合に、処理室全てにコート膜を堆積させると、コート膜からの揮発物(Si,C,H,F等)やその反応生成物の供給が障壁となりプロセスウインドウが狭くなる可能性が高くなる。
【0011】
二つ目は、処理室最表面温度に起因するプロセス変動の課題である。量産処理中に処理室最表面温度を一定にしなければラジカルの収支が変わり、プロセス変動を生じることがよく知られている。そして、処理室最表面温度の制御はエッチング装置業界において非常に難しい課題の一つでもある。一つ目の理由と関連して、処理室表面よりもコーティング膜においてエッチングレートが高い分、温度変化に対してプロセス変動幅をより拡大してしまう恐れがある。
【0012】
三つ目は、必要のない処理室表面にまでコート膜を堆積させることにより、コート膜そのものによる異物発生リスクが高まるとの課題である。コート膜を堆積させるのは必要最小限の処理室表面部材に留めることが望ましい。
【0013】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであり、処理室表面部材起因の異物を低減可能なプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための一実施形態として、SiとOを含む第1材料領域と、難揮発性材料を含む第2材料領域とが表面に配置された処理室と、前記処理室の内部にガスを導入するガス導入手段と、前記ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段とを有するプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法において、
前記処理室の前記第1材料領域に対して前記第2材料領域にCH膜を選択的に堆積させる第1工程と、
その後、前記処理室の内部に配置された被処理物をプラズマ処理する第2工程と、
を有することを特徴とするプラズマ処理方法とする。
【0015】
また、石英製の内筒及びシャワープレートと、アース部とを含み、プラズマにより被処理物を処理する処理室を備えたプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法において、
前記内筒及びシャワープレートの表面温度t1と、前記アース部の表面温度t2の関係がt1>t2となる条件で、前記処理室の内部に導入したCとF或いはCとH或いはCとHとFを含むガスのプラズマを用いて、前記アース部にCH膜を被膜し、前記内筒及びシャワープレートにはCH膜を堆積させない選択コーティング処理を行う第1工程と、
その後、前記被処理物をプラズマエッチング処理する第2工程と
を有することを特徴とするプラズマ処理方法とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、処理室表面部材起因の異物を低減可能なプラズマ処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一の実施例に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置(マイクロ波ECRエッチング装置)の一例を示す縦断面図である。
図2】本発明の各実施例に係るプラズマ処理方法を説明するための処理フロー図である。
図3A図1に示すプラズマ処理装置の処理室内部でCHFプラズマを生成した場合の処理室表面材料(Y,YF3,SUS等難揮発性材料)とプラズマ中のラジカルの反応を示す模式図である。
図3B図1に示すプラズマ処理装置の処理室内部でCHFプラズマを生成した場合の処理室表面材料(石英製材料)とプラズマ中のラジカルの反応を示す模式図である。
図4】難揮発性部材にはCHxFyが堆積して、石英部材上には堆積しないガス条件の適性表である。
図5】本発明の各実施例に係るプラズマ処理方法を用いて、目標寸法16nmのハードマスク加工(製品エッチング)を1ロット25枚処理したときの寸法トレンドを示すグラフである。
図6】不揮発性部材へのCHコーティング処理有無における不揮発性物質組成の異物数の推移を示すグラフである。
図7】本発明の第三及び第四の実施例に係るプラズマ処理方法を説明するための処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例に係るプラズマ処理方法について図を用いて説明する。本プラズマ処理方法が適用されるエッチング装置の例として、図1に示すマイクロ波ECRエッチング装置を用いることができる。本エッチング装置は、処理容器120の内部にウエハ(被処理物)110を載置する電極111と、ガス供給装置132と、天板140と石英製シャワープレート101と、石英製内筒102と、難揮発性材料で構成する接地されたアース103と、電磁石142と、プラズマを発生させる高周波電源150と、RFバイアス電源161と整合器162と、処理室の真空排気バルブ171とを有している。
【0020】
図1に示す装置構成をベースに、本実施例に係るプラズマ処理方法について図2を用いて説明する。図2は、本発明の各実施例に係るプラズマ処理方法を説明するための処理フロー図である。本実施例1は、図2に示すエッチングフローのうち、CHコーティング処理を行う第1の工程S210と製品ウエハのエッチング処理を行う第2の工程S220を有する。
【0021】
第1の工程S210は、処理室表面材料の内、難揮発性材料で構成する接地されたアースにCH膜を堆積させる一方で、処理室表面材料の内、石英製シャワープレート101や石英製内筒102といった石英製の処理室表面にはCH膜を堆積させないプラズマ処理を行う。発明者らは、処理室表面材料とプラズマに用いるガスを適切に選ぶことで、この堆積の違いを実現し得ることを見出した。すなわち、難揮発性材料にはCHが堆積して、石英製の表面にはCH膜が堆積しないことを確認した(今後、この現象を選択デポと表記する)。このメカニズムの一例について図3A図3Bを用いて以下に説明する。
【0022】
図3A図3Bは、図1に示すプラズマ処理装置の処理室内部でCHFプラズマを生成した場合の各処理室表面材料とプラズマ中のラジカルの反応を示す模式図である。図3Aが処理室表面材料として難揮発性材料(Y,YF,SUS)を用いた場合、図3Bが処理室表面材料として石英製材料を用いた場合の反応メカニズムを示す模式図である。
【0023】
難揮発性材料は、Y化合物やSUSとFが反応してもYFやCrFのような不揮発性物質にしかならず、エッチングレートが非常に遅いことが知られている。このため図3Aに示すように、コーティング開始時から難揮発性材料表面にはCH膜が容易に付着して、処理時間の増加に従ってCH膜が成長することになる。この膜の成長速度は、プラズマの処理時間に対して線形と考えて良い。
【0024】
一方、図3Bに示すように、石英製材料では、SiO+2CHF→SiF+2CO+2HFのような反応が起こると推定される。この結果、不揮発性物質上に堆積したCは、大半はCOとして揮発する。更に、微量のCが付着しても、残ったHFが更に石英表面に化学吸着してエッチングされる。このため、石英表面上のCは容易にリフトオフされ、CH膜が付着することはない。
【0025】
更に、我々は種々のガス系で、このような選択デポが可能なエッチングガスを調べた。図4は、難揮発性部材にはCHが堆積して、石英部材上には堆積しないガス条件の適性表である。CFでは両材料(難揮発性部材、石英部材)にて堆積しない条件のため適性がない。一方、堆積性の強いことが知られるC、C、CHFガスでは石英上にも堆積してしまうため適性がない。
【0026】
しかし、CガスにHとOガスやNを添加することにより、選択デポを可能とできることがわかった。これは、OやNの添加によりCのデポ性を弱める効果があるためと考えられる。すなわち、C+O→COやC+N→CNとなり揮発して、C/F比においてFを増加させつつ、Hの添加によりHFの生成を促進して石英上にデポが堆積しなくなるためと考えられる。
【0027】
また、この理屈から、CガスにHとSFガスやCFガスを添加しても、選択デポを実現可能であることを確認した。また、SはCと反応してCSとなるため、Cの量を制御できる。
【0028】
更にデポ性の弱いCFガスには、Hを添加することで選択デポを実現可能であることを確認した。H+F→HFによりC/F比のF低下と共に、HFが石英のエッチングを促進したためと考えられる。
【0029】
これらのことから、選択デポを実現するには、適切なC/F比制御を行うと共に、デポの元になるCの存在と、石英表面のエッチングを促進するHFの存在がキーとなることがわかった。従って、HFが生成される場合に、選択デポが実現し得ることがわかった。
【0030】
以上より、本実施例第1の工程S210において、難揮発性材料で構成される処理室表面にCH膜を石英材料に対して選択的に堆積させる。次いで、第2の工程において、製品ウエハをエッチングする。これにより、第2の工程S220において、難揮発性材料の削れや腐食を原理的に抑制できるため、難揮発性物質である処理室表面部材起因(アース103)の異物を低減することができる。また、石英材料の上にはCHの堆積がなくCHの剥がれ等による処理室表面での材料変動が抑制され、処理室表面における温度が一定となり、プロセス変動が低減され、安定した量産処理を行うことができる。
【0031】
尚、製品エッチング(第2の工程S220)は、ウエハを1枚だけ処理しても、1ロット(25枚)のように複数枚を連続処理しても良い。すなわち、処理枚数に応じてCHコーティング処理を行う第1の工程S210の処理時間を調整して、難揮発性材料で構成される処理室表面のCH膜の被覆が除去されないように調整することが可能だからである。また、本実施例では、処理室表面材料に石英製シャワープレート101や石英製内筒102といった石英製部品を例に説明したが、SiとOを含有する表面材料であればCHの選択デポは実現できる。
【0032】
最後に、石英製シャワープレート101や石英製内筒102といったSiとOを含む材料の表面温度t1と難揮発性材料で構成する接地されたアース103の表面温度t2の関係がt1>t2で且つt1とt2の差を大きくすることが望ましい。この適用により、選択デポをより顕著にすることが可能となる。すなわち、石英製シャワープレート101や石英製内筒102といったSiとOを含む材料にはCHが堆積しないのに対して、難揮発性材料で構成する接地されたアース103には高レートでCHが堆積するようになる。
【0033】
以上本実施例によれば、処理室表面部材起因の異物を低減可能なプラズマ処理方法を提供することができる。また、CH膜は選択的に堆積され石英材料の上にはCHの堆積がなく、処理室表面温度を一定にできるためプロセス変動が低減され、安定した量産処理を行うことができる。
【実施例2】
【0034】
本発明の第2の実施例に係るプラズマ処理方法について説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。実施例1では、図2に示すエッチングフローのうち、CHコーティング処理を行う第1の工程S210と製品エッチング処理を行う第2の工程S220を有する処理方法を説明した。第2の実施例では、図2に示すエッチングフローのうち第1と第2の工程に加えて第1と第2の工程の間に、石英部材の表面状態を整えるシーズニング処理S310を含む。
【0035】
シーズニング処理S310は、製品エッチング(第2の工程S210)の前に処理室を製品ウエハに搬送する前に実施する。ダミーウエハを用いるかウエハレスでよい。シーズニング処理は、主に石英部材の最表面1〜2nmの状態を整えるために実施し、製品エッチング中と同じ表面状態を実現するために行う処理である。
【0036】
図5は、目標寸法16nmのハードマスク加工(製品エッチング)を1ロット25枚処理したときの寸法トレンドを示すグラフである。シーズニング処理有無を異なるプロットにて示している。シーズニング処理を実施しない場合は、1枚目で特に寸法が小さくなる1stウエハ効果が見られる一方で、シーズニング処理有では1stウエハ効果が改善されている。本実施例では、シーズニング処理のプラズマ条件は、製品エッチングの処理条件と全く同じであるが、その一部(例えば複数レシピで構成されていれば、最後の数レシピ)が同じであっても同様の効果が期待できる場合がある。
【0037】
以上より、本実施例のシーズニング処理S310を実施することにより、石英部材の最表面1〜2nmの状態を整えることができるため、実施例1に比べより安定した量産処理を行うことができる。
【0038】
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、シーズニング処理を行うことにより、実施例1に比べより安定した量産処理を行うことができる。
【実施例3】
【0039】
本発明の第3の実施例に係るプラズマ処理方法について説明する。なお、実施例1又は2に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。実施例1では、図2に示すエッチングフローのうち、CHコーティング処理を行う第1の工程S210と製品エッチング処理を行う第2の工程S220を有する処理方法を説明した。第3の実施例では、図2に示すエッチングフローのうち第1と第2の工程に加えて、製品ウエハをエッチング処理して生じ処理室表面に堆積した反応生成物をクリーニング処理する工程(メタルクリーニング処理工程)S410とアース103のCH堆積物のクリーニングを行う工程S420を有する。
【0040】
難揮発性反応生成物としてよく知られるのは、Al(AlO、AlF)やTi(TiF、TiO)である。第2の工程S220でこれらの金属が処理室表面に堆積する場合には、引き続いて量産処理を行うとプロセス変動の原因となる。従って、適切なメタルクリーニングを行わなければならない。メタルクリーニング処理工程S410で用いるガスとして、BCl、SiCl、HClを含むガスやこれらのガスとClの混合ガス、CとClを含む混合ガス、HとClを含む混合ガスが有効である。これは、Al,Tiは塩化物において揮発性が高いことに起因しており、塩化を促進する必要があるためである。つまり、Cl以外の含有物は塩化を促進するための還元剤としての機能を期待するものである。
【0041】
次に、アース部のCH膜は、第2の工程後に除去されてしまう場合とそうでない場合がある。除去が不十分な場合には、量産処理を行うことでCH膜が成長を続けてしまい、この膜が剥がれて異物となる可能性がある。そこで、CH膜のクリーニングが有効である。CHクリーニング処理工程S420で用いるガスとしては、アース部のCHxFy膜を除去するのに有効なOやNを含むガスが好適であり、製品ウエハのエッチング中にSiを含有する場合には、Si系反応生成物に有効なF系ガスであるSF、CF、NFを含むガスを用いるか、OやNを含む混合ガスが最適である。
【0042】
図2のシーケンスにおいて、第1の工程S210,シーズニング処理工程S310,第2の工程S220,メタルクリーニング処理工程S410,CHクリーニング処理工程S420の順に処理するシーケンスにおいて、第1の工程S210の処理有無による連続処理を行い、粒径30nm以上の異物数の推移をReview SEMを用いて調べた。図6は、CHコーティング処理有無における不揮発性物質組成の異物数の推移を示すグラフである。CHコーティング処理無では、10個程度の異物が観測されている一方で、CHコーティング処理有では、1個も異物が観測されず、大変良好な結果が得られた。
【0043】
以上より、第1の工程におけるCHコーティング処理により異物付着を抑制できる(処理無に比し処理有での異物数が少ない)ことが確認された。また、第1の工程に更に本実施例で新たに加えたメタルクリーニング処理工程S410とCHクリーニング処理工程S420を用いるにより、第2の工程で生成した処理室表面の難揮発性反応生成物も除去される(付着異部数が観測されず)ことが分かる。したがって、メタルクリーニング処理工程とCHクリーニング処理工程を実施することで、実施例1に比べ、より長期に渡る量産処理おけるプロセス変動を抑制することができる。また、アース103上へのCH膜の極度な堆積被膜の増加による異物発生を抑えることができるため、より安定した量産処理を行うことができる。なお、実際の量産における製品エッチングでは、第2の工程とメタルクリーニング処理工程S410との間で製品(ウエハ)を処理室から取り出すことができる。また、メタルクリーニング処理工程S410とCHクリーニング処理工程S420との間で製品(ウエハ)を処理室から取り出すことができる。
【0044】
尚、難揮発性材料で構成する接地されたアース103にダメージを与える主要因が図2のシーケンスのうちメタルクリーニング処理(工程S410)の場合がある。この場合は、図7に示すシーケンスを用いることができる。図7は、本実施例に係るプラズマ処理方法を説明するための他の処理フロー図であり、CHコーティング(第1の工程S210)後にメタルクリーニング処理(工程S411)を実施する量産エッチングフローである。この場合は、メタルクリーニング中のみ接地されたアース部のCH膜が被膜されていれば、異物は発生しない。一方、石英表面上の難揮発性反応生成物は容易に除去することが可能となる。
【0045】
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、メタルクリーニング処理(工程S410、S411)とCH膜のクリーニング処理(工程S420)を用いるにより、より付着異物数を低減することができる。
【実施例4】
【0046】
本発明の第4の実施例に係るプラズマ処理方法について説明する。なお、実施例1乃至3のいずれかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。実施例1では、図2に示すエッチングフローのうち、CHコーティング処理を行う第1の工程S210と製品エッチング処理を行う第2の工程S220を有する処理方法を説明した。第4の実施例では、図2に示すエッチングフローのうち第1と第2の工程の前に処理室表面温度を上昇させるヒーティング処理を行う工程S510を有する。
【0047】
第1の実施例に示した第1の工程S210だけでもCHの選択デポが可能であり石英表面上へのCHの堆積を抑制することが可能だが、処理室表面の温度を制御することにより石英表面への極薄いnmレベルでの付着を極限まで減少させることができ、選択性が向上する。これは、石英表面へのCHデポの付着係数を低下させる効果とともに、HFの化学吸着による反応レートの増加、すなわち石英のエッチングレートを上昇させてCのリフトオフ効果をより期待できる。従って、第1の工程S210の前にプラズマを用いて処理室最表面温度を上昇させるヒーティング処理(工程S510)を行い、その後第1の工程S210を実施することにより、石英表面へのデポ付着を極限まで少なくすることが可能になる。ヒーティング処理(工程S510)に用いるガスは、処理室表面状態に影響を与えない、もしくはSiやCクリーニング効果もあるAr、He、O、Fを含むガスなどが好適である。
【0048】
以上より、本実施例のヒーティング処理工程S510を実施することにより、石英表面へのCHデポ付着を極限まで少なくすることが可能となる。このため本実施例1の効果をより顕著にすることが可能となり、安定に量産処理を行うことができる。
【0049】
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、CHコーティング処理の前にヒーティング処理を行うことにより、実施例1に比べCHコーティング時の選択性が向上する。
【0050】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
101:石英製シャワープレート、102:石英製内筒、103:難揮発性材料で構成する接地されたアース、110:ウエハ(被処理物)、111:電極、132:ガス供給装置、140:天板、142:電磁石、150:プラズマを発生させる高周波電源、161:RFバイアス電源、162:整合器、171:処理室の真空排気バルブ、S210:CHコーティング処理工程(第1の工程)、S220:製品ウエハのエッチング処理工程(第2の工程)、S310:石英部材の表面状態を整えるシーズニング処理、S410:製品ウエハをエッチング処理して生じた反応生成物のクリーニング処理工程、S420:アース部のCH堆積物のクリーニング処理工程、S510:処理室表面温度を上昇させるヒーティング処理工程。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7