特許第6568863号(P6568863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6568863シャドーフレームを除去するためのガス閉じ込め装置アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568863
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】シャドーフレームを除去するためのガス閉じ込め装置アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20190819BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20190819BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20190819BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   H01L21/205
   H01L21/68 N
   C23C16/44 B
   C23C16/455
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-545835(P2016-545835)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公表番号】特表2017-506817(P2017-506817A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】US2015011974
(87)【国際公開番号】WO2015116430
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】61/933,823
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ライ
(72)【発明者】
【氏名】ワン クンフア
(72)【発明者】
【氏名】タイナー ロビン エル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パーク ベオム スー
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−350773(JP,A)
【文献】 特開平09−191003(JP,A)
【文献】 特開2005−142529(JP,A)
【文献】 米国特許第06364957(US,B1)
【文献】 特開2006−140473(JP,A)
【文献】 特開2006−104575(JP,A)
【文献】 特開2008−078208(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0088827(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/302、21/3065、
21/31−21/32、21/365、21/461、
21/469−21/475、21/67−21/683、
21/86、
H01J 37/30−37/36、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周囲に配置されるように構成されたガス閉じ込め装置であって、
基板は、基板支持体の支持面によって支持されるように構成され、
ガス閉じ込め装置はベース上に配置されて、ベースは、基板支持体の第2段上に配置されかつ連結されるように構成され、
ベースは基板支持体の周囲を囲み、
ベースはカバー支持フランジを有しているガス閉じ込め装置と、
支持面の下方で、基板支持体の第1段上に配置されるカバーであって、
カバー支持フランジは、カバーの上面を支持面と揃えるように構成され、
カバーは、基板およびガス閉じ込め装置の下に配置されるように構成され、
基板が基板支持体の支持面上に配置された時に、基板とガス閉じ込め装置との間にギャップが形成されているカバーとを含む処理チャンバ用ガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項2】
ベースは、基板支持体に対向するように配置された1以上のセラミックスボタンを含む、請求項1記載のガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項3】
ベースは、ベースをガス閉じ込め装置と整列するように構成された1以上の位置決めピンを含む、請求項1記載のガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項4】
ベースは、酸化アルミニウムを含む、請求項1記載のガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項5】
カバーは、1以上の交点で接合された1以上のセラミックスプレートを含み、セラミックスプレートは、1以上の交点で1以上のセラミックスプレートに接合するように構成された1以上のピン又はねじを含む、請求項1記載のガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項6】
ガス閉じ込め装置及びカバーは、酸化アルミニウムを含む、請求項1記載のガス閉じ込め装置アセンブリ。
【請求項7】
ディフューザーと、
支持面、支持面の下方の第1段及び第2段を有する基板支持体であって、支持面は、ディフューザーとはほぼ反対側で基板を支持するように構成されている基板支持体と、
ガス閉じ込め装置アセンブリであって、
基板の周囲に配置されるように構成されたガス閉じ込め装置であって、
ガス閉じ込め装置はベース上に配置されて、
ベースは、基板支持体の第2段上に配置されかつ連結され、基板支持体の周囲を囲み、
ベースはカバー支持フランジを有しているガス閉じ込め装置と、
基板支持体の第1段上に配置されたカバーであって、
カバー支持フランジは、カバーの上面を支持面と揃え、
カバーは、基板およびガス閉じ込め装置の下にあり、
基板が基板支持体の支持面上に配置された時に、基板とガス閉じ込め装置との間にギャップが形成されているカバーとを含むガス閉じ込め装置アセンブリとを含む処理チャンバ。
【請求項8】
ガス閉じ込め装置及びカバーは、酸化アルミニウムを含む、請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項9】
ガス閉じ込め装置は、1mm〜9mmの間の厚さを有する、請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項10】
カバーは、1以上の交点で接合された1以上のセラミックスプレートを含み、セラミックスプレートは、1以上の交点で1以上のセラミックスプレートに接合するように構成された1以上のピン又はねじを含む、請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項11】
ベースは、基板支持体に対向するように配置された1以上のセラミックスボタンを含む、請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項12】
ベースは、ベースをガス閉じ込め装置と整列するように構成された1以上の位置決めピンを含む、請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項13】
ベースは、酸化アルミニウムを含む、請求項7記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【開示の背景】
【0001】
(分野)
本開示の実施形態は、概して、プロファイル均一性を改善するためのガス閉じ込め装置アセンブリ及び処理チャンバ内にガスを分配するための方法に関する。
【0002】
(背景技術の説明)
液晶ディスプレイ又はフラットパネルは、一般的に、アクティブマトリックスディスプレイ(例えば、コンピュータ及びテレビのモニター)用に使用される。プラズマ強化化学蒸着(PECVD)は、一般的に、基板(例えば、フラットパネルディスプレイ又は半導体ウェハ用の透明基板)上に薄膜を堆積させるために用いられる。PECVDは、一般的に、基板を含む真空チャンバ内に、前駆体ガス又はガス混合物(例えば、シラン(SiH)及び窒素(N))を導入することによって達成される。前駆体ガス又はガス混合物は、典型的には、チャンバの上部近くに位置する分配プレートを通って下方に導かれる。チャンバ内の前駆体ガス又はガス混合物は、チャンバに結合された1以上のRF源からチャンバに高周波(RF)電力を印加することによりプラズマにエネルギー化(例えば、励起)される。励起されたガス又はガス混合物は、温度制御された基板支持体上に配置された基板の表面上に、材料(例えば、シリコン窒化物(SiNx))の層を形成するように反応する。シリコン窒化物層は、次世代の薄膜トランジスタ(TFT)及びアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)内の低温ポリシリコン(LTPS)膜スタック用に、パッシベーション層、ゲート絶縁膜、バッファ層、及び/又はエッチストップ層を形成する。しかしながら、TFT及びAMOLEDは、フラットパネルディスプレイを形成するための2つのタイプのデバイスである。
【0003】
PECVD技術により処理されたフラットパネルは、典型的には大型であり、多くの場合、4平方メートルを超える。基板の大きさがフラットパネルディスプレイ業界で成長し続けるにつれて、大面積PECVDのための膜厚及び膜の均一性の制御が問題となる。シャドーフレームは、典型的には、プラズマから基板支持体を保護するためにPECVD内で使用される。しかしながら、シャドーフレームは、基板の最も外側の端部を覆うので、それらは、(1)エッジエクスクルージョン(EE)を3mm〜5mm増加させる、及び(2)基板の周辺部/エッジ領域近くの成膜に悪影響を与える。エッジの均一性を改善する1つの方法は、シャドーフレームを除去することである。しかしながら、シャドーフレームの除去は、プラズマに曝露される基板支持面の周辺領域を依然として残し、基板と覆われていない基板支持面との間のオフセットに起因する基板のエッジ領域で、より高い堆積速度をもたらす可能性がある。また、基板支持表面がプラズマに曝露される場合、それは、プラズマアーク放電及び不均一な堆積をもたらす可能性がある。
【0004】
したがって、基板内における堆積速度及び膜のプロファイル均一性を改善する必要がある。
【概要】
【0005】
本開示は、概して、ガス流を閉じ込め、基板のエッジ領域の近くの局所的なガス流分布を変化させることにより、基板のエッジ領域における高い堆積速度を減少させるように設計されたガス閉じ込め装置アセンブリに関する。ガス閉じ込め装置アセンブリの材質、大きさ、形状、及びその他の構成は、処理要件及び関連する堆積速度に基づいて変えることができる。
【0006】
一実施形態では、処理チャンバ用ガス閉じ込め装置アセンブリは、基板のエッジ領域においてガス流を減少させ、高い堆積速度を補償するように構成されたガス閉じ込め装置を含む。ガス閉じ込め装置アセンブリはまた、ガス閉じ込め装置の下方に配置されたカバーを含む。カバーは、基板支持体がプラズマに曝露されるのを防止するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
図1】ガス閉じ込め装置アセンブリを有するPECVDチャンバの一実施形態の概略断面図である。
図2図1の基板支持体を囲むガス閉じ込め装置アセンブリの一実施形態の平面図である。
図3】従来のシャドーフレームアセンブリの一実施形態の断面側面図である。
図4】ガス閉じ込め装置アセンブリの一実施形態の断面側面図である。
図5】ガス閉じ込め装置アセンブリの一実施形態の等角図である。
【0008】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【詳細な説明】
【0009】
本開示は、概して、ガス流を再分配することによって、基板のエッジ領域における高い堆積速度を減少させるように設計されたガス閉じ込め装置アセンブリに関する。本明細書に記載の実施形態によれば、ガス閉じ込め装置は、ガス流を閉じ込め、基板のエッジ領域の近くの局所的なガス流分布を変化させることにより、不均一な堆積速度を減少させる。ガス閉じ込め装置アセンブリの材質、大きさ、形状、及び他の構成は、処理要件及び関連する堆積速度に基づいて変化させることができる。
【0010】
本明細書内の実施形態は、大面積基板を処理するように構成されたPECVDシステム(例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials Inc.)の一部門であるAKTから入手できるPECVDシステム)を参照して以下に例示的に説明される。しかしながら、本開示は、他のシステム構成(例えば、エッチングシステム、他の化学気相堆積システム、及び円形基板を処理するように構成されたこれらのシステムを含む、処理チャンバ内でガスを分配することが望まれる任意の他のシステム)において有用であることが理解されるべきである。
【0011】
図1は、電子デバイス(例えば、TFT及びAMOLED)を形成するためのPECVDチャンバ100の一実施形態の概略断面図である。なお、図1は、基板上の電子デバイスに用いることができる単なる例示的な装置であることに留意すべきである。1つの適切なPECVDチャンバは、カリフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズ社から入手可能である。他の製造業者からのものを含む他の堆積チャンバが、本開示を実施するために利用可能であることが理解される。
【0012】
チャンバ100は、一般的に、処理容積106を画定する、壁102、底部104、及びガス分配プレート又はディフューザー110、及び基板支持体130を含む。処理容積106は、壁102を貫通して形成された密閉可能なスリットバルブ108を通してアクセスされ、これによって基板140は、チャンバ100の内外に搬送されることが可能である。一実施形態では、基板140は、1850mm×1500mmである。基板支持体130は、基板140を支持するための基板受け面132と、基板支持体130を昇降させるためのリフトシステム136に結合されたステム134を含む。
【0013】
ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、基板支持体130の周辺部の周りに配置される。ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、基板140のエッジ領域における高い堆積速度を減少させるように構成される。一実施形態では、ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、ベース131、カバー133、及びガス閉じ込め装置135を含む。ベース131は、ガス閉じ込め装置135を支持するように構成され、カバー133は、基板140が処理中にその上に配置されたときに、基板支持体130を覆うように、すなわち、基板支持体130がプラズマに曝露されるのを防止するように構成される。一実施形態では、カバー133は、処理温度(例えば、400℃)の間、10mm又は5mm、基板140に重なる。たとえ、基板140は、基板支持体130との位置がずれた場合でも、カバー133は、有利には、プラズマから基板支持体130を保護する。ガス閉じ込め装置アセンブリ129の詳細については後述する。
【0014】
リフトピン138は、基板受け面132に、及び基板受け面132から、基板140を移動するために基板支持体130を通して移動自在に配置され、これによって基板搬送を促進する。基板支持体130はまた、基板支持体130及びその上に位置する基板140を所望の温度に維持するために、加熱及び/又は冷却要素139を含むことができる。基板支持体130はまた、基板支持体130の周囲にRF接地を提供するために、接地ストラップ142を含んでもよい。
【0015】
ディフューザー110は、その周囲でサスペンション114によってバッキングプレート112に結合されている。ディフューザー110はまた、ディフューザー110の垂下を防止する及び/又は真直度/曲率を制御するのを助長するために、1以上の中央支持体116によってバッキングプレート112に結合されてもよい。ガス源120がバッキングプレート112に結合され、これによってディフューザー110内に形成された複数のガス流路111へ、及び基板受け面132へ、バッキングプレート112を介して1以上のガスを提供する。適切なガスは、ケイ素含有ガス(例えば、シラン(SiH))、窒素含有ガス(例えば、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、及び/又はアンモニア(NH))、酸素含有ガス(例えば、酸素(O))、及びアルゴン(Ar)を含むことができるが、これらに限定されない。真空ポンプ109がチャンバ100に結合され、これによって処理容積106内の圧力を制御する。RF電源122がバッキングプレート112及び/又はディフューザー110に結合され、これによってディフューザー110と基板支持体130との間に電界を発生させるためにディフューザー110にRF電力を供給し、これによってディフューザー110と基板支持体130との間に存在するガスからプラズマを形成することができる。種々のRF周波数(例えば、約0.3MHz〜約200MHzの間の周波数)を使用することができる。一実施形態では、RF電源122は、13.56MHzの周波数でディフューザー110に電力を供給する。
【0016】
リモートプラズマ源124(例えば、誘導結合リモートプラズマ源)もまた、ガス源120とバッキングプレート112との間に結合させることができる。基板を処理する間に、洗浄ガスがリモートプラズマ源124に供給され、リモートプラズマを形成するために励起させることができ、これから解離された洗浄ガス種が生成され、チャンバコンポーネントを洗浄するために供給される。洗浄ガスは、ディフューザー110を通って流れるように供給されるRF電源122によって更に励起させることができ、これによって解離された洗浄ガス種の再結合を減少させる。適切な洗浄ガスは、NF、F、及びSFを含むが、これらに限定されない。
【0017】
一実施形態では、加熱及び/又は冷却要素139が使用され、これによって堆積時に基板支持体130及びその上の基板140の温度を約400℃以下に維持することができる。一実施形態では、加熱及び/又は冷却要素139は、基板温度を100℃未満(例えば、20℃〜約90℃の間)に制御するために使用することができる。
【0018】
基板受け面132上に配置された基板140の上面とディフューザー110の底面150との間の堆積中の間隔は、約400mm〜約1200mmの間(例えば、約400mm〜約800mmの間(例えば、約400mm〜約600mmの間(例えば、約500mm)))とすることができる。一実施形態では、ディフューザー110の底面150は、その中央領域が周辺領域よりも薄い凹状の湾曲を含むことができる。
【0019】
チャンバ100は、TFT及びAMOLED内でパッシベーション層、ゲート絶縁膜、バッファ層、又はエッチストップ層として広く使用されるPECVDプロセスによって、アモルファスシリコン(aSi)、窒化物(例えば、シリコン窒化物)、及び/又は酸化物(例えば、シリコン酸化物(SiOx))を堆積させるために使用することができる。堆積されたアモルファスシリコン、窒化物、又は酸化物層の均一性(すなわち、厚さ)は、最終的なデバイス性能(例えば、閾値電圧及びドレイン電流の均一性)に大きな影響を与える。一実施形態では、基板の表面全域に亘って、かつ(従来の15mmのEEの代わりに)10mmのEEで約5%以下の膜均一性が望まれる。この目標に向かって多くの進歩がなされてきたが、この均一性が達成されていない基板140の領域が存在する。例えば、基板のエッジは、他の領域よりも大きい又は小さい、これらの領域での膜厚をもたらす、より高い又は低い堆積速度が認められる。理論に束縛されることを望むものではないが、エッジ領域におけるより高い堆積速度の原因は、プラズマ駆動プロセスとは対立するガス流駆動プロセスに起因する。これらの影響を克服し、基板140上のエッジ領域における膜の不均一性を最小限にするために、本発明のガス閉じ込め装置アセンブリが開発され、テストされた。
【0020】
図2は、基板支持体130を囲むガス閉じ込め装置アセンブリ129のカバー133の一実施形態の平面図である(ガス閉じ込め装置ベース131及びガス閉じ込め装置135は、明確にするために除去されている)。図1及び図2を参照すると、ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、ガスの流れを閉じ込め、基板140のエッジ領域上に堆積されるガス流の局所的分布を変えるように構成されている。一実施形態では、ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、基板140の広い範囲の均一性プロファイルに影響を与えることなく、基板140のエッジでの高い堆積速度を減少させる。
【0021】
図3は、従来のシャドーフレームアセンブリの一実施形態の断面側面図である。シャドーフレーム310は、基板支持体130上に配置された基板140の周縁部に重なる。シャドーフレーム310は、PECVD処理中にプラズマから基板支持体130を保護する利点を提供する。しかしながら、シャドーフレーム310の欠点は、それが基板140の周縁部を覆い、これによってエッジエクスクルージョンを増加させ、基板140の周辺領域の成膜を抑え又は制限し、エッジの均一性の低下につながることを含む。シャドーフレーム310の除去はまた、基板140の周縁部における過度のプラズマ堆積並びに潜在的なプラズマアーク放電のため、周辺部に不均一な堆積をもたらす。
【0022】
図4は、図3に示したシャドーフレーム及びシャドーフレームの除去の両方の懸案事項の多くに対処するガス閉じ込め装置アセンブリ129の一実施形態の断面側面図である。ガス閉じ込め装置135は、ベース131上に配置され、次に基板支持体130上に配置される。カバー133は、基板支持体130上に配置され、基板支持体130上の堆積を防止する。ガス閉じ込め装置135は、カバー133及びベース131上に配置され、基板140の周辺部の周りに配置される。図5は、ガス閉じ込め装置アセンブリ129の一実施形態の等角図である。ガス閉じ込め装置135は、基板140の周辺部の周りに配置される。ガス閉じ込め装置135と基板140の間には、ギャップ137が存在する。基板支持体130によって支持されるカバー133が、ギャップ137の下に配置され、堆積から基板支持体130を保護する。
【0023】
ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、非金属又はガラスから作られる。例えば、ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、セラミックス(例えば、酸化アルミニウム(Al))から作ることができる。ベース131は、基板支持体130上に配置され、一実施形態では、ベース131は、基板支持体130の基板受け面132に対向するように構成されたベース131の面に配置された1以上のセラミックスボタン(図示せず)を含む。セラミックスボタンは、基板支持体130との熱的及び機械的接触を減少させることができる。ガス閉じ込め装置135は、基板支持体130上に配置されたベース131を介して基板支持体130に結合される。一実施形態では、ベース131は、ガス閉じ込め装置132と整列させるための1以上の位置決めピン202を含む。
【0024】
カバー133は、ベース131とガス閉じ込め装置135との間で基板支持体130に結合される。カバー133は、たとえ基板140が基板支持体130上で位置ずれした場合でも、基板支持体130が処理中にプラズマに曝露されないように構成される。一実施形態では、カバー133は、交点又は継ぎ目206で接合された1以上のセラミックスプレート200を含む。セラミックスプレート200は、(図1に示されるように)基板支持体130の上部外周上に位置し、かつ基板140の外周の下に配置される。1以上のスロット状の位置決めピン202及び固定ねじ204が使用され、これによってセラミックスプレート200を互いに接合し、カバー133を形成する。基板支持体130の材料(例えば、アルミニウム)の熱膨張とセラミックスプレート200の熱膨張との差に起因して、スロット状の位置決めピン202及び固定ねじ204は、カバーセラミックスプレート200が継ぎ目206で開くのを防止する。位置決めピン202用の穴の中心と固定ねじ204用の穴との間の距離は、「X」として定義される。距離Xは、セラミックスプレート200が継ぎ目206で実質的なギャップを形成するのを依然として防止しながら、基板支持体130がセラミックスプレート200よりも多く熱膨張するのを可能にするように選択することができる。これは、有利には、処理温度(例えば、400℃)で熱膨張する間でさえ、基板支持体130がプラズマに曝露されるのを防止する。
【0025】
図1を再び参照すると、ガス閉じ込め装置135は、約1mm〜約9mmの間(例えば、約3mm又は約6mm)の厚さを有し、約25mm〜約75mmの間(例えば、約50mm)の幅を有する。ギャップ137は、基板140のエッジとガス閉じ込め装置135との間に形成することができる。一実施形態では、ギャップ137は、約1mm〜約5mmの間(例えば、約2mm(又は400℃で約5mm〜約6mmの間))である。当業者は理解するように、上記の材料及びガス閉じ込め装置アセンブリ129の測定値、より具体的には、ガス閉じ込め装置135とギャップ137の測定値は、流されるガス及び所望の補償されるガス流速に基づいて選択することができる。
【0026】
有利には、本明細書に記載されるようなガス閉じ込め装置アセンブリ129の実施形態は、基板のエッジ領域において、ガス流量を減少させ、高い堆積速度を補償する。ガス閉じ込め装置アセンブリ129は、ガス閉じ込め装置135の高さの下にガスを押し戻し、上向きにガスを移動させることにより、ガス閉じ込め装置135の下の局所的なガスの流れを変える。したがって、局所的なガス分布が減少し、引き続いて、局所的なプラズマ密度と堆積速度も低下する。これにより、全体の膜厚均一性が、特に、50mm以下のEEのエッジ領域での全体の膜厚均一性が、改善される。
【0027】
本開示は、ガス閉じ込め装置アセンブリに関連して説明されているが、他のバリア構成が処理チャンバのハードウェアに拡張可能であることが理解される。例えば、シャドーフレームの厚さを増加又は減少させること、又はシャドーフレームを使用することからの影響を補償するために、既存のシャドーフレームに厚さ勾配を導入することを使用することができる。
【0028】
基板140と同様の基板の全体的な均一性がテストされ、本発明のガス閉じ込め装置アセンブリは、以下の有益な結果を示した。(1)アモルファスシリコンの堆積に対して、約6mmの厚さを有するガス閉じ込め装置は、エッジにおける10mm〜50mmの範囲内で、正規化されたDR範囲を6.8%から4.5%へ、2.3%の潜在的な均一性と共に10mmのEEで全体的な均一性を6.0%から3.8%へ改善した。(2)高DRシリコン窒化物(窒化ケイ素)に対して、約6mmの厚さを有するガス閉じ込め装置は、正規化されたDR範囲を9.5%から4.1%へ、2.1%の潜在的な均一性と共に10mmのEEで全体的な均一性を4.3%から3.6%へ改善した。(3)高DRシリコン酸化物(酸化ケイ素)に対して、約6mmの厚さを有するガス閉じ込め装置は、正規化されたDR範囲を8.5%から2.5%へ、1.3%の潜在的な均一性と共に全体的な均一性を6.2%から4.8%へ改善した。(4)低DRシリコン窒化物に対して、約3mmの厚さを有するガス閉じ込め装置は、正規化されたDR範囲を14.4%から9.7%へ、4.8%の潜在的な均一性と共に全体的な均一性を12.9%から7.7%へ改善した。(5)低DRシリコン酸化物に対して、約6mmの厚さを有するガス閉じ込め装置は、正規化されたDR範囲を6.3%から1.1%へ、0.6%の潜在的な均一性と共に全体的な均一性を7.4%から6.8%へ改善した。
【0029】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
図1
図2
図3
図4
図5