(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の金属加工油組成物(以下、「本組成物」ともいう)は、(A)多価アルコールと脂肪酸のエステルと、(B)単体硫黄とを配合してなり、40℃動粘度が5mm
2/s以上70mm
2/s以下であり、引火点が200℃以上であることを特徴とする。
以下、本組成物について詳細に説明する。
【0009】
〔(A)成分〕
本組成物における(A)成分は、多価アルコールと脂肪酸のエステルである。
ここで、多価アルコールとしては、2価から10価までのアルコールが好ましく、より好ましくは2価から6価までのアルコールであり、さらに好ましくは2価から5価までのアルコールである。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールなどが挙げられる。これら多価アルコールは2種以上を混合して用いてもよい。
これらの多価アルコールの中では熱的安定性および耐酸化安定性の観点より、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、およびグリセリンのうち、少なくともいずれかを用いることが好ましい。
【0010】
(A)成分を構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、炭素数6以上26以下の脂肪酸が好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、ヘプタデカン酸、オクタン酸、ノナデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレイン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、炭素数8から18までのものがより好ましく用いられる。
上記した脂肪酸の炭素数が6以上だと、本組成物の引火点が低くならず、炭素数が26以下だと、本組成物の粘度が高くはならず、被加工物に付着して持ち去られる量が少なく、経済的である。
【0011】
(A)成分である多価アルコールの脂肪酸エステルは、上記多価アルコールと上記脂肪酸との脱水反応により得られるが、多価アルコールと脂肪酸との脱水反応に限らずエステル交換法を用いてもよい。
(A)成分の40℃動粘度は、4mm
2/s以上69mm
2/s以下であることが好ましく、8mm
2/s以上60mm
2/s以下であることがより好ましく、12mm
2/s以上50mm
2/s以下であることがさらに好ましい。(A)成分の40℃動粘度が4mm
2/s以上であると、金属加工時に潤滑性を十分保つことができるとともに、引火点を高く制御でき、油煙やミストの発生も抑制することができる。(A)成分の40℃動粘度が69mm
2/s以下であると加工時における本組成物の消費量(損失量)を少なくすることができる。
(A)成分の配合量は、本組成物全量基準で、10質量%以上が好ましく、40質量%以上が好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。(A)成分の配合量が上記下限値以上であると、本組成物の摩擦係数が下がり加工性を十分に担保することができる。
ここで、(A)成分の引火点は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。(A)成分の引火点を200℃以上とすることで、本組成物としたときの引火点を200℃以上とすることが容易となる。
【0012】
〔(B)成分〕
本組成物における(B)成分は、単体硫黄である。単体硫黄を配合することにより、油引火点を下げることなく(油煙発生量を増加させることなく)、加工性を向上させることができる。ここで、加工性の向上とは、工具の摩耗を抑制したり、加工精度を向上させたり、切削加工の場合に切削抵抗を低減させることなどをいう。
単体硫黄としては、塊状、粉末状、および溶融液体状など、いずれの形態のものを用いてもよい。粉末状のいわゆる粉末硫黄はハンドリング性に優れ、また(A)成分への溶解も効率よく行うことができるので好ましい。
本組成物における(B)成分の配合量に特に制限はないが、組成物全量基準で0.05質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.7質量%以下であることがより好ましく、0.15質量%以上0.6質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下であることが最も好ましい。
(B)成分の配合量が0.05質量%以上であると、摩擦係数を十分に下げることができるとともに、耐摩耗性も向上し、油煙の発生を効果的に抑制できる。また、(B)成分の配合量が1質量%以下であると(A)成分への溶解性を担保しつつ、油煙の発生を十分に抑制できる。
【0013】
〔本組成物〕
本組成物は、上記した(A)成分と(B)成分を必須構成要素とし、40℃動粘度が5mm
2/s以上70mm
2/s以下であると、加工性能が高いとともに、高速加工時における油煙の発生を十分に抑制できる。特に、油煙が発生しやすい100m/min以上の高速切削加工時において本組成物の効果がより発揮される。
本組成物の40℃動粘度は5mm
2/s以上であると、加工性に優れるとともにミストの発生も抑制でき、さらに引火点を十分に高く制御できるようになる。また、本組成物の40℃動粘度は70mm
2/s以下であると、加工時における本組成物の消費量(損失量)を少なくすることができる。それ故、本組成物の40℃動粘度は、10mm
2/s以上60mm
2/s以下であることが好ましく、15mm
2/s以上50mm
2/s以下であることがより好ましい。
【0014】
また、本組成物は引火点が200℃以上であると、加工時の発火の危険性が少ない。それ故、例えば工場等において、消防法に対応する設備を軽微にすることができる。本組成物の好ましい引火点は250℃以上である。
また、本組成物の動摩擦係数は、0.05以上0.2以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.05以上であると、切削加工に適用した場合、工具が被削材に食いつきやすくなり、加工性能が向上する。動摩擦係数が0.2以下であると、工具と被削材との摩擦力を小さくでき、加工性能を十分に保つことができる。なお、ここで動摩擦係数とは、後述する往復動摩擦試験において測定されるものを言う。
このような本組成物は、動摩擦係数が小さな範囲にあると、金属加工に用いた場合、加工性能が高く、工具寿命を長くすることができる。特に、切削加工に好適に用いることができる。
【0015】
〔(C)成分〕
本組成物は、上記(A)成分と(B)成分を必須とするものであるが、さらに(C)成分として硫化油脂を配合することが好ましい。硫化油脂を配合することで摩擦係数をさらに下げることができ、耐摩耗性についてもより向上させることができる。また、油煙の発生をより抑制することができる。
ここで、硫化油脂とは、硫黄や硫黄含有化合物と油脂(ラード油、鯨油、植物油、および魚油等)を反応させて得られるものであり、例えば硫化ラード、硫化なたね油、硫化ひまし油、硫化大豆油、および硫化米ぬか油などが挙げられる。
【0016】
(C)成分の好ましい40℃動粘度は100mm
2/s以上2000mm
2/s以下であり、200mm
2/s以上1800mm
2/s以下であることがより好ましく、300mm
2/s以上1500mm
2/s以下であることがさらに好ましい。
(C)成分の40℃動粘度が100mm
2/s以上であると本組成物の摩擦係数を効果的に下げることができ加工性が向上する。また、(C)成分の40℃動粘度が2000mm
2/s以下であると、加工時における本組成物の消費量(損失量)を少なくすることができる。特に、切削加工の際は、切り屑の持ち去り量を低減させ、ポンプの負荷も少なくなる。
(C)成分の引火点は200℃以上であることが好ましく250℃以上であることがより好ましい。(C)成分の引火点を200℃以上とすることで、本組成物としたときの引火点を200℃以上とすることが容易となる。
【0017】
(C)成分の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上15質量%以下である。(C)成分の配合量が0.5質量%以上であると、本組成物の耐摩耗性を向上させるとともに、摩擦係数を低下させ加工性の向上に寄与する。また、(C)成分の配合量が30質量%以下であると、本組成物の粘度を抑制することができ、加工時における本組成物の消費量(損失量)を少なくすることができる。特に、切削加工の際は、切り屑の持ち去り量を低減させ、ポンプの負荷も少なくなる。
【0018】
ここで、本組成物においては、(C)成分と(B)成分の質量配合比(C)/(B)は2以上75以下であることが好ましく、4以上50以下であることがより好ましく、7以上30以下であることがさらに好ましい。
(C)/(B)が2以上であると、本組成物の耐摩耗性を十分に向上させることができる。また、(C)/(B)が75以下であると本組成物の極圧性を十分に向上させることができる。すなわち、(C)/(B)が上記範囲にあると、本組成物の耐摩耗性と極圧性を両立させることができ、結果として本組成物の高加工性と油煙発生の抑制を効果的に達成することができる。
【0019】
本組成物においては、本発明の効果を損なわない限り、各種の基油および添加剤を配合することができる。
ここで、本発明において、前記(A)成分及び前記(B)成分を配合してなる組成物とは、「(A)成分及び(B)成分を含む組成物」だけでなく、「(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の成分の代わりに、当該成分が変性した変性物を含む組成物」や、「(A)成分と(B)成分とが反応した反応生成物を含む組成物」の意味も含むものである。本発明の前記(C)成分および各種の基油及び添加剤を配合する場合も同様である。
基油としては特に制限はないが、鉱油や合成油が挙げられる。鉱油としては、種々のものを挙げることができる。例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油、あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油等を挙げることができる。
【0020】
また、合成油としては、エステル、ポリ−α−オレフィン、オレフィンコポリマーアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。
これらの中で、エステルとして具体的には、例えば、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸オクチル、およびオレイン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等が挙げられる。オレフィンコポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーなどが挙げられる。
これらの合成油の中では、低粘度かつ高引火点の観点よりエステルが好適に用いられる。
【0021】
本組成物において、鉱油は上記のうち1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、合成油は、上記1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油1種以上と合成油1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
ただし、上記した各種の基油を配合する場合は、本組成物として40℃動粘度が5mm
2/s以上70mm
2/s以下であり、引火点が200℃以上であることが必要である。
【0022】
本組成物に配合できる添加剤としては、極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、および消泡剤などを挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
極圧剤としては、硫黄系極圧剤、リン系極圧剤、硫黄および金属を含む極圧剤、リンおよび金属を含む極圧剤が挙げられる。これらの極圧剤は1種を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。極圧剤としては、分子中に硫黄原子あるいはリン原子を含み、耐荷重性や耐摩耗性を発揮しうるものであればよい。分子中に硫黄を含む極圧剤としては、例えば、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チアジアゾール化合物、アルキルチオカルバモイル化合物、トリアジン化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物などを挙げることができる。これらの極圧剤は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.05質量%以上0.5質量%以下程度となるように配合される。
【0024】
油性剤としては、脂肪族アルコール、脂肪酸や脂肪酸金属塩などの脂肪酸化合物、ポリオールエステル、ソルビタンエステル、グリセライドなどのエステル化合物、脂肪族アミンなどのアミン化合物などを挙げることができる。脂肪酸としては、オレイン酸やラウリン酸などが挙げられる。
これらの油性剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.1質量%以上30質量%以下程度であり、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下程度である。
【0025】
酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤を使用することができる。これらの酸化防止剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系化合物、4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系化合物、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系化合物、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系化合物が挙げられる。
【0026】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどのモノフェノール系化合物、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)などのジフェノール系化合物が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、五硫化リンとピネンとの反応物などのチオテルペン系化合物、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのジアルキルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で、0.01質量%以上10質量%以下程度であり、好ましくは0.03質量%以上5質量%以下程度である。
【0027】
防錆剤としては、金属系スルホネートやコハク酸エステルなどを挙げることができる。これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.01質量%以上10質量%以下程度であり、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下程度である。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾールやチアジアゾールなどを挙げることができる。これら金属不活性化剤の好ましい配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.01質量%以上10質量%以下程度であり、好ましくは0.01質量%以上1質量%以下程度である。
消泡剤としては、メチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、およびポリアクリレートなどを挙げることができる。これらの消泡剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.0005質量%以上0.01質量%以下程度である。
【実施例】
【0028】
〔実施例1〜6、比較例1〜5〕
表1に示す配合組成の金属加工油組成物を調製し、評価用の試料油とした。以下に、用いた各成分の詳細を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
<(A)成分>
エステル1:ペンタエリスリトールテトラエステル、40℃動粘度 33.5mm
2/s、引火点 280℃
エステル2:トリメチロールプロパントリエステル、40℃動粘度 49.5mm
2/s、引火点 320℃
エステル3:トリメチロールプロパントリエステル、40℃動粘度 16.1mm
2/s、引火点 264℃
<鉱油>
鉱油1:パラフィン系、40℃動粘度45.1mm
2/s、引火点:266℃
鉱油2:パラフィン系、40℃動粘度9.92mm
2/s、引火点:176℃
【0031】
<(B)成分>
単体硫黄:細井化学製 粉末硫黄
<(C)成分>
硫化油脂:40℃動粘度 705.8mm
2/s、引火点 250℃、硫黄分 7質量%
<他の成分>
ポリサルファイド:大日本インキ製 DAILUBE GS−440L
過塩基性Caスルホネート:シェブロンジャパン製 OLOA247E
【0032】
〔評価方法〕
各試料油につき、40℃動粘度(JIS K 2283準拠)および引火点(JIS K 2265準拠 COC法)を測定するとともに、下記の条件で油煙発生試験、溶着試験および往復動摩擦試験を行った。結果を表1に示す。
(1)油煙発生試験
185℃に加熱した鋼板(SPCC−SD)に0.2mLの試料油を滴下し、その上に300mLのガラス製ビーカーを逆さにして被せた。1分間経過後の油煙発生量を、ビーカーの壁面を通して目視観察し、以下の基準で油煙発生の程度を評価した。
A:ほとんど油煙の発生なし
B:油煙の発生が若干認められる
C:多量の油煙の発生が認められる
【0033】
(2)溶着試験
シェル四球試験(ASTM D 2783準拠)により溶着荷重(WL:単位 N)を求めた。
【0034】
(3)往復動摩擦試験
試験機:(株)オリエンテック製 F−2100
球:3/16インチSUJ2
試験板:SPCC−SD
摺動速度:20mm/s
摺動距離:2cm
荷重:3kgf(29.4N)
試験温度:25℃
評価項目:摺動30回目の摩擦係数
【0035】
〔評価結果〕
表1の結果より、本発明の金属加工油組成物である実施例1〜6の試料油は、いずれも油煙の発生が少なく、溶着荷重が極めて高く耐摩耗性に優れており、さらに、摩擦係数が低く加工性にも優れていることが理解できる。また、(C)成分を配合してなる実施例1〜3、5、6は実施例4にくらべて、摩擦係数がより低く加工性により優れていることも理解できる。
これに対して、比較例1〜5の試料油は、本発明所定の構成のうち、少なくともいずれかを欠いているため、油煙発生の抑制、耐摩耗性および加工性のすべてを満足することはできない。