特許第6569832号(P6569832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6569832
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】外壁部材及び建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20190826BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   E04B1/76 100B
   E04B1/80 Z
【請求項の数】7
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-3257(P2019-3257)
(22)【出願日】2019年1月11日
【審査請求日】2019年1月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】廣田 知生
(72)【発明者】
【氏名】松井 博一
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−174741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76,1/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側断熱層(A)と室内側断熱層(B)との間に、蓄熱層を有し、
下式(3)で表されるRが0.20以下であり、下式(2)で表されるR3が0.30以上0.80以下である外壁部材。
R=2(R1−0.5)+(R2−1) +(R3−0.55) (3)
(式(3)中、R1は下式(1)で表される。
R1=(Tb/Kb)/(Ta/Ka+Tb/Kb) (1)
Kaは室外側断熱層(A)の熱伝導率であり、Taは室外側断熱層(A)の厚みであり、Kbは室内側断熱層(B)の熱伝導率であり、Tbは室内側断熱層(B)の厚みである。
R2は、蓄熱層の、−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量に対する、15℃から40℃の温度範囲内の潜熱量の比である。
R3は、下式(2)で表される。
R3=L5/L20 (2)
−10℃から60℃の温度範囲内において、任意の5℃幅の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量のうち、最大の潜熱量となる5℃幅の温度範囲をXとし、
温度範囲Xにおける蓄熱層の潜熱量をL5とし、
温度範囲Xの中心温度をX’として、(X’−10)℃以上(X’+10)℃以下の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量をL20とする。)
【請求項2】
前記R1が0.30以上0.70以下であり、前記R2が0.70以上1.00以下である請求項1に記載の外壁部材。
【請求項3】
前記室外側断熱層(A)および前記室内側断熱層(B)の少なくとも一方が、熱伝導率0.03W/(m・K)以下のポリスチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、または、フェノール樹脂発泡体を含む層である、請求項1または2に記載の外壁部材。
【請求項4】
前記X’が15℃以上40℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外壁部材。
【請求項5】
前記蓄熱層の透湿抵抗が900mh・mmHg/g以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外壁部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の外壁部材を備え、
該外壁部材に含まれる室外側断熱層(A)が室外側となり、室内側断熱層(B)が室内側となるように配置された建築物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の外壁部材の外壁としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁部材及び該外壁部材を備えた建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内快適性の確保と、冷暖房エネルギーの省エネルギー化を両立させるため、建築物の高断熱化が進められている。しかしながら、断熱材のみを用いて外壁に十分な断熱性を持たせようとすると、外壁が厚くなりすぎてしまうという問題があった。そこで、近年、断熱材に潜熱蓄熱材を組み合わせることで、昼・夜間の温度差を利用して室内等の温度変化を緩和させて、省エネルギー性能を向上させる外壁が提案されている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、潜熱蓄熱材層と、該潜熱蓄熱材層より室外側に断熱材とを含み、該潜熱蓄熱材層より室内側に断熱材を含まない外壁に囲われた部屋は、潜熱蓄熱材層を含まない外壁に囲われた部屋に比べ、室内の温度変化が少ないことが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、室外側に断熱材、室内側に蓄熱材を配置した外壁が記載されている。夏季の日中の室温上昇を蓄熱材で抑制するために、室内側に蓄熱材を配置することが必要であり、蓄熱材より室内側に断熱材を配することは絶対にしてはならないと記載されている。
【0005】
上記先行技術文献に記載された技術はいずれも、蓄熱材を断熱材より室内側に配置することで、省エネルギー性能の向上をめざしている。
【0006】
また、特許文献2には、断熱パネル内の結露の発生を防止するために、蓄熱層の両側に断熱層を積層した断熱パネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−122354号公報
【特許文献2】特開平9−1747141号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本建築学会技術報告集 第22巻 第52号,1027−1030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、冷暖房設備により室内の温度が連続的に一定に保持された場合における省エネルギー性能を向上させる外壁部材が求められている。
しかしながら、上記先行技術文献に記載された外壁においては、室外の気温の変動に伴う室内の温度変動を抑制する効果はあるが、該外壁中の蓄熱材は、温度変動する環境でのみ機能を発現するため、冷暖房設備により室内の温度が連続的に一定に保持された場合に、省エネルギー化効果を奏するか否かは記載されていない。
【0010】
また、これらの先行技術文献には、昼夜間及び日間で変化する室外の気温によらず、冷暖房設備により室内温度を一定に保持させる場合において、外部からの熱流出入を抑制し、その結果、冷暖房エネルギーを低減するために、蓄熱材がどの様な潜熱特性を保有すればよいかについては一切記載されていない。
【0011】
かかる状況の下、本発明者らは、蓄熱層と、該蓄熱層の室内側と室外側の両方に断熱層を有する外壁部材であって、該外壁部材中、特定の位置に蓄熱層を配置するとともに、蓄熱層を特定の潜熱特性を有する蓄熱層とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0012】
本発明の目的は、室外の気温の変動によらず、冷暖房設備により室内の温度を一定に保持させる際に、室内への流出入熱量を小さくし、冷暖房エネルギーを低減することが可能な外壁部材及び該外壁部材を備えた建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下を提供する。
[1] 室外側断熱層(A)と室内側断熱層(B)との間に、蓄熱層を有し、
下式(3)で表されるRが0.20以下である外壁部材。
R=2(R1−0.5)+(R2−1) +(R3−0.55) (3)
(式(3)中、R1は下式(1)で表される。
R1=(Tb/Kb)/(Ta/Ka+Tb/Kb) (1)
Kaは室外側断熱層(A)の熱伝導率であり、Taは室外側断熱層(A)の厚みであり、Kbは室内側断熱層(B)の熱伝導率であり、Tbは室内側断熱層(B)の厚みである。
R2は、蓄熱層の、−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量に対する、15℃から40℃の温度範囲内の潜熱量の比である。
R3は、下式(2)で表される。
R3=L5/L20 (2)
−10℃から60℃の温度範囲内において、任意の5℃幅の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量のうち、最大の潜熱量となる5℃幅の温度範囲をXとし、
温度範囲Xにおける蓄熱層の潜熱量をL5とし、
温度範囲Xの中心温度をX’として、(X’−10)℃以上(X’+10)℃以下の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量をL20とする。)
[2] 前記R1が0.30以上0.70以下であり、前記R2が0.70以上1.00以下であり、前記R3が0.30以上0.80以下である[1]に記載の外壁部材。
[3] 前記室外側断熱層(A)および前記室内側断熱層(B)の少なくとも一方が、熱伝導率0.03W/(m・K)以下のポリスチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、または、フェノール樹脂発泡体を含む層である、[1]または[2]に記載の外壁部材。
[4] 前記X‘が15℃以上40℃以下である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の外壁部材。
[5] 前記蓄熱層の透湿抵抗が900mh・mmHg/g以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の外壁部材。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の外壁部材を備え、
該外壁部材に含まれる室外側断熱層(A)が室外側となり、室内側断熱層(B)が室内側となるように配置された建築物。
[7] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の外壁部材の外壁としての使用。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る外壁部材によれば、冷暖房設備により室内側の温度を連続的に一定に保持させる場合において、室外の気温の様々な変動によらず、室内への流出入熱量を小さくすることで、室内の快適性と高い省エネルギー効果を両立する建築物を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る外壁部材の一実施形態の縦断面図である。
図2】本発明に係る外壁部材の一実施形態の寸法を示す縦断面図である。
図3】実施例で使用した蓄熱材1〜4の見かけの比熱の温度分布を示す図である。
図4】実施例で使用した蓄熱材1〜4の潜熱の温度分布を示す図である。
図5】実施例で使用した蓄熱材5〜8の見かけの比熱の温度分布を示す図である。
図6】実施例で使用した蓄熱材5〜8の潜熱の温度分布を示す図である。
図7】シミュレーションの室外側の表面温度を示す図である。
図8】実施例1〜8および比較例1〜24の総合性能を示す図である。
図9】実施例9および比較例25の温度条件を示す図である。
図10】実施例9および比較例25の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明に係る外壁部材の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る外壁部材の一実施形態である外壁部材1である。なお、各図の上側が室外側、下側が室内側である。
【0017】
本発明に係る外壁部材は、室外側断熱層(A)と室内側断熱層(B)との間に、蓄熱層を有し、
式(3)で表されるRが0.20以下である外壁部材である。
R=2(R1−0.5)+(R2−1) +(R3−0.55) (3)
R1、R2、及びR3については、以下に説明する。Rが0.20以下となるように、室外側断熱層(A)の熱伝導率と厚さ、室内側断熱層(B)の熱伝導率と厚さ、並びに蓄熱層の材料を選択して、本発明にかかる外壁部材を調製する。
【0018】
<R1>
R1は式(1)で表される。
R1=(Tb/Kb)/(Ta/Ka+Tb/Kb) (1)
Kaは室外側断熱層(A)の熱伝導率であり、Taは室外側断熱層(A)の厚みであり、Kbは室内側断熱層(B)の熱伝導率であり、Tbは室内側断熱層(B)の厚みである。
【0019】
R1は、室外側断熱層(A)の熱伝導率と厚さ、及び室内側断熱層(B)の熱伝導率と厚さにより調整することができる。
前記R1は、好ましくは0.30〜0.70であり、より好ましくは0.35〜0.65である。
【0020】
室外側断熱層(A)の厚みTaは、例えば10〜80mmであり、より好ましくは50mm〜80mmである。
室内側断熱層(B)の厚みTbは、例えば10〜80mmであり、より好ましくは50mm〜80mmである。
室外側断熱層(A)及びの室内側断熱層(B)の熱伝導率については、後述する。
【0021】
<R2>
R2は、蓄熱層の、−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量に対する、15℃から40℃の温度範囲内の潜熱量の比である。
前記R2は、好ましくは0.70〜1.00であり、より好ましくは0.75〜1.00である。
【0022】
本明細書において、潜熱量は、建材試験センター規格 JSTM O6101:2018に従い、以下の条件で測定される。
一定の速度で昇温および降温できる平板状の2枚の熱板で試験体を挟み、(1)熱板を60℃で5時間保持し、次に(2)0.1℃/分の速度で60℃から−10℃まで降温し、次に(3)−10℃で5時間保持し、次に(4)0.1℃/分の速度で−10℃から60℃まで昇温する。過程(4)において熱流計で測定した熱流より各温度の潜熱量を求める。
【0023】
本明細書において、比熱とは、材料の温度を1K上昇させるために必要な熱量を材料の単位質量当たりの値として示すものを意味する。見かけの比熱とは、前記比熱に潜熱量を加えた値を意味する。潜熱量とは、固体−液体の相変化により、吸収または放出される熱量を意味し、本明細書においては、該温度範囲内に観測される融解エンタルピー(ΔH)のことである。
【0024】
<R3>
R3は、式(2)で表される。
R3=L5/L20 (2)
−10℃から60℃の温度範囲内において、任意の5℃幅の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量のうち、最大の潜熱量となる5℃幅の温度範囲をXとし、
温度範囲Xにおける蓄熱層の潜熱量をL5とし、
温度範囲Xの中心温度をX’として、(X’−10)℃以上(X’+10)℃以下の温度範囲内の蓄熱層の潜熱量をL20とする。)
【0025】
R3の計算に使用される潜熱量の測定方法は上記のとおりである。
蓄熱層の、−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量を測定し、−10℃〜−5℃、−9℃〜−4℃、−8℃〜−3℃等、1℃刻みで5℃幅の各温度範囲内の潜熱量を求める。そのうち、最大の潜熱量をL5とし、L5となる5℃幅の温度範囲をXとする。
【0026】
前記R3は、好ましくは0.30〜0.80であり、より好ましくは0.30〜0.75である。
X’は、好ましくは15℃以上40℃以下であり、より好ましくは20℃以上35℃以下である。
【0027】
R2およびR3は、それぞれ、蓄熱層の潜熱特性を表す。所定のR2およびR3となるように、蓄熱層の材料を選択すればよい。
蓄熱層は、後述の通り潜熱蓄熱材を含有する。潜熱蓄熱材が低分子型潜熱蓄熱材の場合は、
1)融点の異なる2種以上の低分子型潜熱蓄熱材を組み合わせる、
2)低分子型潜熱蓄熱材と他の低分子化合物とを組み合わせる、
3)低分子型潜熱蓄熱材と高分子型潜熱蓄熱材を組み合わせる、
ことにより、R2およびR3を調整することができる。
潜熱蓄熱材が高分子型潜熱蓄熱材の場合は、高分子型潜熱蓄熱材中の構造単位の種類と量により、R2およびR3を調整することができる。
【0028】
<断熱層>
本明細書において、室外側断熱層(A)は、本発明に係る外壁部材中、蓄熱層より室外側に配される断熱層である。
本明細書において、室内側断熱層(B)は、本発明に係る外壁部材中、蓄熱層より室内側に配される断熱層である。
本明細書において、断熱層とは、熱伝導率が0.05W/(m・K)以下の層である。
本明細書において、熱伝導率とは熱移動の起こり易さを表す係数であり、単位厚みあたり1Kの温度差があるとき、単位時間に単位面積を移動する熱量を意味している。熱伝導率は、ASTM E1530に従い、熱流量法によって測定される。
【0029】
室外側断熱層(A)および室内側断熱層(B)は、各断熱層の熱伝導率が0.05W/(m・K)以下であれば、該断熱層を構成する材料は特に限定されない。
室外側断熱層(A)および室内側断熱層(B)の材料としては、樹脂発泡体が挙げられる。
樹脂発泡体としては、ポリスチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、発泡ゴム、発泡セラミック等が挙げられる。
【0030】
室外側断熱層(A)の熱伝導率は0.03W/(m・K)以下であることが好ましい。室内側断熱層(B)の熱伝導率は0.03W/(m・K)以下であることが好ましい。
室外側断熱層(A)の熱伝導率と室内側断熱層(B)の熱伝導率は、それぞれ独立である。熱伝導率の低い、好ましい断熱層の素材としては、ポリスチレン発泡体、フェノール樹脂発泡体、硬質ポリウレタン発泡体が挙げられる。好ましくは、室外側断熱層(A)および室内側断熱層(B)の少なくとも一方が、熱伝導率0.03W/(m・K)以下のポリスチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、または、フェノール樹脂発泡体を含む層である。また、施工性の観点から、室外側断熱層(A)または室内側断熱層(B)のいずれかは、ボード状の発泡体であり、蓄熱層と貼り合わされた形態で使用されることが好ましい。
【0031】
<蓄熱層>
前記蓄熱層とは、潜熱により蓄熱性を有する層である。
蓄熱層は、面積当たりの−10℃から60℃の範囲の潜熱量が15kJ/m以上である層が好ましい。蓄熱層の、面積当たりの−10℃から60℃の範囲の潜熱量は、より好ましくは25kJ/m以上であり、さらに好ましくは50kJ/m以上である。
【0032】
蓄熱層の厚みThsは、例えば0.50〜7.0mmであり、好ましくは1.0mm〜5.0mmである。後述の通り、蓄熱層が複数ある場合は、複数の蓄熱層の合計厚みをThsとする。
【0033】
蓄熱層の密度は、外壁部材の軽量化の観点から、1500kg/m以下が好ましい。密度は、水中置換法、ピクノメーター法、浮沈法、密度勾配管法(JIS K7112)によって測定される。
【0034】
蓄熱層は、結露防止の観点から、透湿抵抗が900mh・mmHg/g以下の透湿性を有していることが好ましい。所望の透湿性を有していれば、蓄熱層の形状は特に限定されないが、蓄熱層が貫通孔を有していることが好ましい。蓄熱層としては、例えば、シートに物理的に貫通孔を形成して得られた蓄熱層、成形加工時に発泡させることにより貫通孔を形成して得られた蓄熱層、不織布等の繊維状蓄熱層が挙げられる。シートに物理的に貫通孔を形成する方法としては、突起を設けたロールを用いることにより、シートの製造と同時に貫通孔を形成してもよく、貫通孔のないシートを成形した後、突起を設けたロールの峡間や針、パンチングマシン等で後加工により貫通孔を形成してもよい。一つの貫通孔の面積は0.03mm以上1.00mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.04mm以上0.64mm以下である。また貫通孔どうしの最小間隔は1.5mm以上6.0mm以下が好ましく、さらに好ましくは2.0mm以上5.0mm以下である。テーパー形状の突起を有するロールやパンチングマシンにより、室内側の貫通孔のサイズを大きくすることで、結露防止効果をより大きくすることができる。テーパー形状のテーパー角度は45°以上70°以下が好ましく、さらに好ましくは50°以上65°以下である。テーパー形状の突起としては、四角錘の突起、円錐の突起が挙げられる。また、貫通孔でなくても、例えば、蓄熱層に切込み、スリット等の加工を行い、所望の透湿性を付与してもよい。
透湿抵抗は、JIS A1324に従い、カップ法によって測定される。
【0035】
蓄熱層は、潜熱蓄熱材を含有する。本明細書において、潜熱蓄熱材とは、相変化により蓄熱性を有する材料(以下、「蓄熱材」と記載することがある)である。潜熱蓄熱材としては、低分子型潜熱蓄熱材と高分子型潜熱蓄熱材とが挙げられる。
低分子型潜熱蓄熱材としては、有機系低分子型潜熱蓄熱材、無機系低分子型潜熱蓄熱材が挙げられる。
有機系低分子型潜熱蓄熱材としては、パラフィン、長鎖脂肪酸、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸エステル、糖アルコールなどが挙げられる。これらは、有機マイクロカプセル中に封入されていてもよく、ゲル化剤によって固定されていてもよく、プラスチック等の容器に封入されていてもよい。
無機系低分子型潜熱蓄熱材としては、無機塩水和物などが挙げられる。無機塩水和物としては特に限定しないが、例えば、過塩素酸リチウム水和物、水酸化ナトリウム水和物、フッ化カリウム水和物、硝酸リチウム水和物、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、炭酸ナトリウム水和物、リン酸水素ナトリウム水和物、硝酸亜鉛ナトリウム水和物、臭化カルシウム水和物等が挙げられる。これらはプラスチック等の容器に封入される形で使用するのが好ましい。
【0036】
高分子型潜熱蓄熱材としては、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基若しくは長鎖エーテル基を側鎖に有する重合体が挙げられる。重合体としては特に限定しないが、例えば、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基若しくは長鎖エーテル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを主成分とする重合体、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基若しくは長鎖エーテル基を側鎖に有するビニルエステル主鎖を主成分とする重合体、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基若しくは長鎖エーテル基を側鎖に有するビニルエーテル主鎖を主成分とする重合体、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基若しくは長鎖エーテル基を側鎖に有するポリオレフィン主鎖を主成分とする重合体等が挙げられる。側鎖としては、分岐していてもよく、官能基で置換されていてもよい長鎖アルキル基が好ましく、(メタ)アクリレートやポリオレフィン主鎖を主成分とする重合体が好ましい。高分子型潜熱蓄熱材としては、特開2015−091903、WO2016/098674、WO2017/217419に記載の重合体が挙げられる。
上記蓄熱材を二つ以上組み合わせて用いてもよい。蓄熱層は顕熱蓄熱材を含有してもよい。顕熱蓄熱材としては、コンクリート、砕石、鉄、銅、鋼、ポリエチレンが挙げられる。
【0037】
<外壁部材>
外壁部材は、Ths/(Ta+Tb)が0.01〜0.05であることが好ましい。
【0038】
外壁部材は、室外側断熱層(A)及び/または室内側断熱層(B)を、それぞれ独立に2層以上有してもよい。
外壁部材が、室外側断熱層(A)及び/または室内側断熱層(B)を、それぞれ独立に2層以上有する場合は、R1は下式(1’)で表されるR1’に置き換える。
外壁部材は、蓄熱層を2層以上有してもよい。外壁部材が蓄熱層を2層以上有する場合、異なる2種以上の蓄熱層が隣接して積層されていてもよい。外壁部材が蓄熱層を2層以上有する場合、蓄熱層と蓄熱層の間に、蓄熱層以外の層を有してもよい。
外壁部材が蓄熱層を2層以上有する場合、R2およびR3を求めるための潜熱量測定は、全蓄熱層を積層した状態で行われる。
【0039】
外壁部材は、室外側断熱層(A)、蓄熱層および室内側断熱層(B)以外の層を有してもよい。
室外側断熱層(A)と蓄熱層とは、隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。室外側断熱層(A)と蓄熱層との間に、室外側断熱層(A)、蓄熱層および室内側断熱層(B)以外の層を有してもよい。
室内側断熱層(B)と蓄熱層とは、隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。室内側断熱層(B)と蓄熱層との間に、室外側断熱層(A)、蓄熱層および室内側断熱層(B)以外の層を有してもよい。
室外側断熱層(A)、蓄熱層および室内側断熱層(B)以外の層として、壁紙、フローリング等の装飾層、石膏ボード等の難燃層、モルタル等の外壁層、接着層、空気層等が挙げられる。
外壁部材中、室外側断熱層(A)および室内側断熱層(B)の厚みの割合は、外壁全体の熱抵抗に対する(Ta/Ka+Tb/Kb)の比率で表して、好ましくは0.70〜1.00、より好ましくは0.80〜1.00である。外壁全体の熱抵抗に対する(Ta/Ka+Tb/Kb)の比率が0.70以上であれば、外壁部材中の「その他の層」が、室内への流出入熱量に与える影響が少ない。
外壁全体の熱抵抗は、各層において熱伝導率に対する厚みの比を求め、全ての層の該比の合計として求められる。
【0040】
外壁部材の製造方法としては、
室外側断熱層(A)と、蓄熱層と、室内側断熱層(B)とを多層押出成形によって一体で成形して製造する方法;
室外側断熱層(A)と、蓄熱層と、室内側断熱層(B)とを、それぞれ独立に成形した後に一体化して製造する方法;が挙げられる。各層をそれぞれ独立に成形した後に一体化する場合は、建築現場で断熱層と蓄熱層を貼り合せて施工してもよく、工場等で一体化したものを建築現場に運んで施工してもよい。
【0041】
<建築物>
外壁部材は、該外壁部材を含む外壁として使用することができる。外壁は、通常、前記外壁部材と、強度を負担する構造部材とを含む。外壁部材と構造部材とを積層して外壁としてもよく、外壁部材と構造部材を並べて配置して外壁としてもよい。構造部材を構成する材料としては、木材、コンクリート、金属が挙げられる。
外壁部材は、該外壁部材に含まれる室外側断熱層(A)が室外側となり、室内側断熱層(B)が室内側となるように配置した建築物とすることができる。
【実施例】
【0042】
実施例9及び比較例25において、以下の方法で各種物性を測定した。
(1)熱伝導率
ASTM E1530に従い、熱流量法により測定した。
(2)潜熱量
建材試験センター規格 JSTM O6101:2018に従い、以下の条件で測定し、解析した。
一定の速度で昇温および降温できる平板状の2 枚の熱板で試験体を挟み、(1)熱板を60℃で5時間保持し、次に(2)0.1℃/分の速度で60℃から―10℃まで降温し、次に(3)-10℃で5時間間保持し、次に(4)0.1℃/分の速度で―10℃から60℃まで昇温する。過程(4)において熱流計で測定した熱流より各温度の見かけの比熱と潜熱を求めた。
(3)透湿抵抗
JIS A1324に従い、カップ法により測定温度15℃で測定した。
(4)流入熱量、流入熱流束
栄弘精機株式会社製ヒートセンサー(熱流計)HF−30sを屋外実験棟の北側外壁の積層体の室内側に設置し、測定した。
(5)外壁の室外側温度及び室内側温度
北側外壁の積層体の室内側と室外側にそれぞれ熱電対を設置し、測定した。
【0043】
[実施例9]
長野県中野市に設置した屋外実験棟で実験を行った。室外側断熱層(A31)と室内側断熱層(B31)との間に蓄熱層(C31)を有する積層体(31)を屋外実験棟の外壁とした。屋外実験棟の延床面積は3.31m、階数は1階で、UA値(外皮平均熱貫流率)は0.45W/m/Kである。
【0044】
室外側断熱層(A31)及び室内側断熱層(B31)はそれぞれ、JIS A9511で規定される押出法ポリスチレンフォーム保温材3種(厚み:75mm)を用いた。室外側断熱層(A31)及び室内側断熱層(B31)の熱伝導率は、いずれも、0.026であった。したがって、R1は0.5である。また、蓄熱層(C31)は−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量が46300J/kg、15℃から40℃の温度範囲内の潜熱量が35300J/kg、L5が16300J/kg、X’が20℃、L20が38700J/kgであった。したがって、R2は0.76、R3は0.42であり、Rは0.080である。蓄熱層(C31)の厚みは1.5mmであり、蓄熱層の熱伝導率は0.19W/m/Kであった。
なお、上記蓄熱層は、次の方法により作製した。エチレンに由来する構成単位とヘキサデシルアクリレートに由来する構成単位とメチルアクリレートに由来する構成単位からなる共重合体80重量部とポリプロピレン20重量部と有機過酸化物と架橋助剤とを二軸押出機で溶融混錬し、架橋されている樹脂組成物を得た。該樹脂組成物をシート状に成形することで蓄熱層を得た。
【0045】
実験は、屋外実験棟内に設置した冷房設備の設定温度を20℃として、24時間連続運転させて、2018年8月22日の北側外壁の室内への流入熱量を評価した。2018年8月22日の外気温、外壁の室外側温度、外壁の室内側温度を図9に示す。実験開始から24時間後までの流入熱量を求めた。実験結果を図10および表1に示す。
【0046】
[比較例25]
比較例25は、実施例9の屋外実験棟の隣に設置した同形状の屋外実験棟で実験を行った。室外側断熱層(A32)と室内側断熱層(B32)とを有する積層体(32)を実験棟の外壁とした。屋外実験棟の延床面積は3.31m、階数は1階で、UA値(外皮平均熱貫流率)は0.45W/m/Kである。
【0047】
室外側断熱層(A32)と室内側断熱層(B32)として、それぞれJIS A9511で規定される押出法ポリスチレンフォーム保温材3種(厚み:75mm)を用いた。室外側断熱層(A32)及び室内側断熱層(B32)の熱伝導率は、いずれも、0.026W/m/Kであった。2枚の押出法ポリスチレンフォーム保温材3種を重ね合せて外壁とした。外壁は蓄熱層を含まないものであった。
【0048】
実験は、屋外実験棟内に設置した冷房設備の設定温度を20℃として、24時間連続運転させて、2018年8月22日の北側外壁の室内への流入熱量を評価した。2018年8月22日の外気温、外壁の室外側温度、外壁の室内側温度を図9に示す。実験開始から24時間後までの流入熱量を求めた。実験結果を図10および表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例9は比較例25に対して流入熱量を10.2%削減できた。また、実施例9は比較例25に対してピーク時の流入熱流束を20.8%削減できた。このことから、冷房設備によって、室温を一定に制御した建築物において、本発明は流入熱量を削減することで、冷房負荷を低減し、高い省エネルギー効果を実現することができる。
【0051】
[実施例10]
実施例9の蓄熱層を構成する樹脂組成物と同等の樹脂組成物を成形し、厚さ1mmのシートを得た。表面に四角錐状(四角錐の形状:底辺2.35mmの正方形で高さ1.64mmの四角錐)の突起を設けたロールAと、ロールAの四角錐状の突起を受け込むことのできるロールBとの峡間に、該シートを通すことで、貫通孔を有する蓄熱層(C33)を得た。貫通孔形成時、ロールAとロールBの表面温度をそれぞれ60℃とした。蓄熱層(C33)の透湿抵抗を、15℃、90%湿度の環境のもと、JIS A1324に従い、カップ法で測定した。透湿抵抗は47mh・mmHg/gであった。
実施例9の室外側断熱層(A31)と室内側断熱層(B31)との間に蓄熱層(C33)を有する積層体(33)を屋外実験棟の外壁とし、実施例9と同等の環境下で実験を行うと、流入熱量は実施例9と同等となる。
【0052】
実施例1〜8、及び比較例1〜24では、図1に記載の構成の積層体(外壁部材)により囲われた部屋について、室内への熱流出入のコンピュータシミュレーションを行った。
シミュレーションは、 Livermore Software Technology Corporation製の LS−DYNA V971 R8.1.0の熱伝導解析機能を用いて実施した。時間積分は完全陰解法を用い、行列計算ソルバーは対称ダイレクトソルバーを用いた。
積層体の室内側の表面温度については、室内空間利用者の選択肢を想定して、24℃と26℃と28℃の3水準とし、室外側の表面温度については、松本市の2017年の夏季の中から気温の高かった7月21日、低かった9月10日、その中間の8月21日の気温を、3水準の室外側の表面温度としてシミュレーションを行った。3水準の室外側の表面温度を図7に示す。
なお、シミュレーション開始時は、積層体全体を25℃一定としてシミュレーションを行い、積層体の性能はシミュレーション開始後24時間から48時間までの間に室内側に流入する熱量を評価した。
また、別途、各実施例の積層体の蓄熱層を、−10℃から60℃の温度範囲内に潜熱を有しない層に置き換えた積層体についても同様に、室内側に流入する熱量を求めた。各実施例において、実施例の積層体を使用した場合に室内側に流入する熱量をZ[Wh/m/Day]とし、各実施例の積層体の蓄熱層を、−10℃から60℃の温度範囲内に潜熱を有しない層に置き換えた積層体を使用した場合に室内側に流入する熱量をZ’[Wh/m/Day]として、100(Z’−Z)/Z’を「流入熱量削減率」とした。さらに、「流入熱量削減ポイント」を以下の通りとした。流入熱量削減率が1%未満を「0」、1%以上5%未満を「1」、5%以上10%未満を「2」、10%以上20%未満を「3」、20%以上を「4」とした。「総合性能」を、各条件での流入熱量削減ポイントの相加平均と、各条件での流入熱量削減ポイントの相乗平均との和として表した。流入熱量削減ポイントの相加平均は、特定条件で発揮した高性能も加味した、各使用条件での性能の値を示し、流入熱量削減ポイントの相乗平均は、全条件を通して、どのような室外条件・室内条件でも安定して発揮できる、性能の値を示す。
【0053】
[実施例1]
室外側断熱層(A1)と室内側断熱層(B1)との間に蓄熱層(C1)を有する積層体(1)のシミュレーションを行った。室外側断熱層(A1)、室内側断熱層(B1)、及び蓄熱層(C1)の密度、顕熱、熱伝導率を表2に示す。実施例の蓄熱層(C1)を構成する蓄熱材1の見かけ比熱を図3に、潜熱の温度分布を図4に示す。
【0054】
積層体(1)の室外側断熱層(A1)の厚みTa、室内側断熱層(B1)の厚みTb、及び蓄熱層(C1)の厚みThsを、表3に示す層構成2とした。
【0055】
室内への流入熱量を表5に示す。流入熱量削減率を表9に示す。流入熱量削減ポイントを表13に示す。総合性能を表16に示す。
【0056】
[実施例2]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材2に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材2の潜熱の温度分布を図4に示す。蓄熱材2の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表5、表9、表13、及び表16に示す。
【0057】
[実施例3]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材3に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材3の潜熱の温度分布を図4に示す。蓄熱材3の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表5、表9、表13、及び表16に示す。
【0058】
[実施例4]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材4に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材4の潜熱の温度分布を図4に示す。蓄熱材4の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表5、表9、表13、及び表16に示す。
【0059】
[実施例5]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。結果を表6、表10、表14、及び表16に示す。
【0060】
[実施例6]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、実施例2と同様にシミュレーションを行った。結果を表6、表10、表14、及び表16に示す。
【0061】
[実施例7]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、実施例3と同様にシミュレーションを行った。結果を表6、表10、表14、及び表16に示す。
【0062】
[実施例8]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、実施例4と同様にシミュレーションを行った。結果を表6、表10、表14、及び表16に示す。
【0063】
[比較例1]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、及び蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。結果を表4、表8、表12、及び表16に示す。
【0064】
[比較例2]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、及び蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、実施例2と同様にシミュレーションを行った。結果を表4、表8、表12、及び表16に示す。
【0065】
[比較例3]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、及び蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、実施例3と同様にシミュレーションを行った。結果を表4、表8、表12、及び表16に示す。
【0066】
[比較例4]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、及び蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、実施例4と同様にシミュレーションを行った。結果を表4、表8、表12、及び表16に示す。
【0067】
[比較例5]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例1と同様にシミュレーションを行った。結果を表7、表11、表15、及び表16に示す。
【0068】
[比較例6]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例2と同様にシミュレーションを行った。結果を表7、表11、表15、及び表16に示す。
【0069】
[比較例7]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例3と同様にシミュレーションを行った。結果を表7、表11、表15、及び表16に示す。
【0070】
[比較例8]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例4と同様にシミュレーションを行った。結果を表7、表11、表15、及び表16に示す。
【0071】
[比較例9]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材5に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材5の潜熱の温度分布を図6に示す。蓄熱材5の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表18、表22、表26、及び表29に示す。
【0072】
[比較例10]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材6に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材6の潜熱の温度分布を図6に示す。蓄熱材6の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表18、表22、表26、及び表29に示す。
【0073】
[比較例11]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材7に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材7の潜熱の温度分布を図6に示す。蓄熱材7の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表18、表22、表26、及び表29に示す。
【0074】
[比較例12]
蓄熱層を構成する蓄熱材を蓄熱材8に変更した以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。蓄熱材8の潜熱の温度分布を図6に示す。蓄熱材8の密度、顕熱、及び熱伝導率は蓄熱材1と同じである。結果を表18、表22、表26、及び表29に示す。
【0075】
[比較例13]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、比較例9と同様にシミュレーションを行った。結果を表19、表23、表27、及び表29に示す。
【0076】
[比較例14]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、比較例10と同様にシミュレーションを行った。結果を表19、表23、表27、及び表29に示す。
【0077】
[比較例15]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、比較例11と同様にシミュレーションを行った。結果を表19、表23、表27、及び表29に示す。
【0078】
[比較例16]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成3に変更した以外は、比較例12と同様にシミュレーションを行った。結果を表19、表23、表27、及び表29に示す。
【0079】
[比較例17]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、比較例13と同様にシミュレーションを行った。結果を表17、表21、表25、及び表29に示す。
【0080】
[比較例18]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、比較例14と同様にシミュレーションを行った。結果を表17、表21、表25、及び表29に示す。
【0081】
[比較例19]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、比較例15と同様にシミュレーションを行った。結果を表17、表21、表25、及び表29に示す。
【0082】
[比較例20]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成1に変更した以外は、比較例16と同様にシミュレーションを行った。結果を表17、表21、表25、及び表29に示す。
【0083】
[比較例21]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例13と同様にシミュレーションを行った。結果を表20、表24、表28、及び表29に示す。
【0084】
[比較例22]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例14と同様にシミュレーションを行った。結果を表20、表24、表28、及び表29に示す。
【0085】
[比較例23]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例15と同様にシミュレーションを行った。結果を表20、表24、表28、及び表29に示す。
【0086】
[比較例24]
室外側断熱層の厚みTa、室内側断熱層の厚みTb、蓄熱層の厚みThsについて、表3に示す層構成4に変更した以外は、比較例16と同様にシミュレーションを行った。結果を表20、表24、表28、及び表29に示す。
【0087】
なお、層構成および蓄熱材と、実施例および比較例の関係について表30に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】
【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
【表13】

【0100】
【表14】

【0101】
【表15】

【0102】
【表16】

【0103】
【表17】

【0104】
【表18】

【0105】
【表19】

【0106】
【表20】

【0107】
【表21】

【0108】
【表22】

【0109】
【表23】

【0110】
【表24】

【0111】
【表25】

【0112】
【表26】

【0113】
【表27】

【0114】
【表28】

【0115】
【表29】

【0116】
【表30】

【0117】
【表31】

【0118】
【表32】

【0119】
【表33】

【0120】
【表34】

【0121】
【表35】

【0122】
【表36】

【0123】
【表37】

【0124】
【表38】

【0125】
実施例1〜8および比較例1〜24の結果について、横軸をパラメータRとし、縦軸を流入熱量削減ポイントの相加平均と相乗平均の和(総合性能)としてプロットした図を図8に示す。実施例1〜8および比較例1〜24の積層体は、全て総厚みが同一である。パラメータRが0.20以下の実施例1〜8の積層体を用いた場合、様々な室外の気温温状況や室内の設定温度であっても、室内への流出入熱量を小さくすることが可能となる。
【符号の説明】
【0126】
1 外壁部材
2 蓄熱層
3 室外側断熱層
4 室内側断熱層
【要約】      (修正有)
【課題】室外の気温の変動によらず、冷暖房設備により室内の温度を一定に保持させる際に、室内への流出入熱量を小さくし、冷暖房エネルギーを低減することが可能な外壁部材及び該外壁部材を備えた建築物を提供する。
【解決手段】室外側断熱層3と室内側断熱層4との間に、蓄熱層を有し、下式(3)で表されるRが0.20以下である外壁部材1。R=2(R1−0.5)+(R2−1)+(R3−0.55)(3)、(式(3)中、R1は下式(1)で表される。R1=(Tb/Kb)/(Ta/Ka+Tb/Kb)(1)、Kaは室外側断熱層3の熱伝導率であり、Taは室外側断熱層3の厚みであり、Kbは室内側断熱層4の熱伝導率であり、Tbは室内側断熱層4の厚みである。R2は、蓄熱層の、−10℃から60℃の温度範囲内の潜熱量に対する、15℃から40℃の温度範囲内の潜熱量の比である。R3=L5/L20(2)
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10