特許第6569903号(P6569903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧 ▶ 日本電気株式会社の特許一覧 ▶ 大日本印刷株式会社の特許一覧

特許6569903物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体
<>
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000002
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000003
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000004
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000005
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000006
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000007
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000008
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000009
  • 特許6569903-物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569903
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】物品識別装置、物品識別方法、物品識別プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   B65G1/137 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-198863(P2015-198863)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-71469(P2017-71469A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月26日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発/次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100144325
【弁理士】
【氏名又は名称】小澁 高弘
(72)【発明者】
【氏名】植村 聖
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】三好 徹
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204473(JP,A)
【文献】 特開2010−89928(JP,A)
【文献】 特開2005−330025(JP,A)
【文献】 特開2003−185326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する載置面にマトリクス状に配置された複数の圧力センサを有する圧力検出部と、
前記物品に固有の荷重圧力分布を前記載置面にもたらすように前記物品に固有の配置パターンで前記物品に設けられた複数の識別部分と、
前記複数の圧力センサが検出する前記載置面の荷重圧力分布から前記複数の識別部分の配置パターンを識別するとともに前記識別された配置パターンから前記物品を識別判定する判定部と、
を備える物品識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品識別装置であって、
前記判定部は、前記複数の圧力センサが検出する前記載置面の荷重圧力分布から前記物品の個数を判定する、物品識別装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品識別装置であって、
前記識別部分は、前記物品の底面から突出する凸部又は前記底面に陥没する凹部である、物品識別装置。
【請求項4】
コンピュータが、
物品を載置する載置面に前記物品に固有の荷重圧力分布をもたらすように前記物品に固有の配置パターンで前記物品に設けられた複数の識別部分の配置パターンを、前記載置面にマトリクス状に配置された複数の圧力センサが検出する前記載置面の荷重圧力分布から識別することと、
前記識別された配置パターンから前記物品を識別判定することと、
を実行する物品識別方法。
【請求項5】
コンピュータに、
物品を載置する載置面に前記物品に固有の荷重圧力分布をもたらすように前記物品に固有の配置パターンで前記物品に設けられた複数の識別部分の配置パターンを、前記載置面にマトリクス状に配置された複数の圧力センサが検出する前記載置面の荷重圧力分布から識別することと、
前記識別された配置パターンから前記物品を識別判定することと、
を実行させる物品識別プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
物品を載置する載置面に前記物品に固有の荷重圧力分布をもたらすように前記物品に固有の配置パターンで前記物品に設けられた複数の識別部分の配置パターンを、前記載置面にマトリクス状に配置された複数の圧力センサが検出する前記載置面の荷重圧力分布から識別することと、
前記識別された配置パターンから前記物品を識別判定することと、
を実行させる物品識別プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を識別する装置、方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業では、顧客が求める商品を切らせることなく提供するために、商品の需要予測を行い、一定数量の商品を在庫として予め入荷し、商品の販売機会の喪失を防止している。一方、商品の在庫は、小売店のコスト増につながるため、在庫を切らすことによる販売機会の損失と、在庫を抱えることによるコスト増とのバランスを考慮して、商品の在庫管理がなされている。このような事情を背景に、商品のきめ細かな在庫管理が課題となっており、例えば、特許文献1では、商品の陳列棚や倉庫棚に圧力センサを用いた重量計を組み込み、重量計に加えられる商品の荷重から商品の数量を計測して表示する自動棚卸装置が提案されている。また、特許文献2では、食品を載置する棚の4隅部と棚受けとの間に4つの圧力センサを配置し、それぞれの圧力センサに加えられる荷重から食品の棚面上の位置を特定する冷蔵庫が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−017121号公報
【特許文献2】特開平2007−010208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の圧力センサをマトリクス状に高密度に配置してなる圧力センサシート上に商品を載置して、商品の荷重圧力の面内分布を検出すれば、荷重圧力分布から商品の底面形状が推定できるため、商品の識別及び在庫管理が可能になると考えられる。
【0005】
しかし、このような手法では、例えば、商品の重心に偏りが生じており、商品の底面と圧力センサシートとの間の面内に均一な荷重が加わらない場合には、荷重圧力分布から推定される商品の底面形状は、商品の実際の底面形状を反映していない虞があり、商品の正確な識別及び在庫管理に支障が生じ得る。例えば、図8に示すように、圧力センサシート100に商品200を載置し、その荷重圧力分布を測定すると、商品200の重心に偏りが生じている場合には、図9に示すように、重心のずれ方向に高負荷の荷重を示す荷重圧力分布210が得られる。図中、濃淡の濃い部分は、荷重が局所的に高い部分を示し、濃淡の薄い部分は、荷重が局所的に低い部分を示す。このような傾向は、特に、商品200の重量に比して、底面積が広い場合に見られることが本発明者の実験により判明している。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決し、物品の識別判定精度を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明に係る物品識別装置は、物品を載置する載置面にマトリクス状に配置された複数の圧力センサを有する圧力検出部と、物品に固有の荷重圧力分布を載置面にもたらすように物品に固有の配置パターンで物品に設けられた複数の識別部分と、複数の圧力センサが検出する載置面の荷重圧力分布から複数の識別部分の配置パターンを識別するとともに識別された配置パターンから物品を識別判定する判定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る識別部分が設けられた物品の全体斜視図である。
図2】本実施形態に係る識別部分が設けられた物品の部分断面図である。
図3】本実施形態に係る識別部分がもたらす荷重圧力分布の説明図である。
図4】本実施形態に係る識別部分が設けられた物品の部分断面図である。
図5】本実施形態に係る物品識別装置の構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る識別部分が設けられた物品の全体斜視図である。
図7】本実施形態に係る識別部分がもたらす荷重圧力分布の説明図である。
図8】従来の物品の全体斜視図である。
図9】従来の物品がもたらす荷重圧力分布の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1乃至図7を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る物品50を圧力検出部30の載置面32に載置した状態を示している。図中、載置面32に平行な平面をXY平面と定義し、XY平面に垂直な方向をZ方向と定義している。物品50には、複数の識別部分60が物品50に固有の配置パターンで設けられている。複数の識別部分60の配置パターンとは、複数の識別部分60のそれぞれの相対的な位置関係を意味する。識別部分60は、例えば、図2に示すように、物品50の底面51から載置面32に向けて突出する凸部(XZ平面で切断したときの物品50の底面51の断面形状が凸状となる形状を有する部分)である。XY平面で切断したときの識別部分60の断面形状は、例えば、略円状でもよく、或いは略多角形状でもよい。識別部分60を構成する材質は、物品50の荷重に対して容易に変形しない程度の適度な耐荷重性を有する材質であればよい。このような複数の識別部分60を有する物品50が載置面32にもたらす荷重圧力の面内分布を、圧力検出部30を用いて測定すると、図3に示すような荷重圧力分布61が得られる。図中、濃淡の濃い部分は、凸状の形状を有する識別部分60が載置面32に当接する部分であり、その部分において高荷重が局所的にもたらされる。複数の識別部分60は、物品50に固有の配置パターンで配列しているため、荷重圧力分布61は物品50に固有の圧力分布を示す。このように、物品50と複数の識別部分60の配置パターンは、一対一に対応しており、且つ複数の識別部分60の配置パターンと荷重圧力分布61も一対一に対応しているため、荷重圧力分布61から物品50を一意に識別判定することができる。ここで、「荷重」とは、載置面32に作用する圧力の大きさや向きが時間によらず一定である「静荷重」を意味し、載置面32に作用する圧力の大きさや向きが時間に応じて変化する「動荷重(例えば、衝撃荷重や移動荷重等)」を意味するものではないことに留意されたい。なお、図3の点線は、物品50の外縁を示している。
【0010】
なお、識別部分60は、例えば、図4に示すように、物品50の底面51に陥没する凹部(XZ平面で切断したときの物品50の底面51の断面形状が凹状となる形状を有する部分)でもよい。物品50を載置面32に安定して載置することが困難な場合には、識別部分60は、凸部よりも凹部の方が好ましい。識別部分60の断面形状が凹状である場合、物品50の底面51は、その部分において載置面32に当接しないため、識別部分60が形成されている位置に対応して、物品50からの荷重負荷がかからない部分が生じる。従って、このような場合においても、物品50が載置面32にもたらす荷重圧力分布は、物品50に固有の圧力分布を示すため、荷重圧力分布から物品50を一意に識別判定することができる。
【0011】
図5は本実施形態に係る物品識別装置10の構成を示すブロック図である。説明の便宜上、物品50の底面51が+Z方向を向くように物品50の向きを反転して図示している。物品識別装置10は、物品50を載置する載置面32にマトリクス状に配置された複数の圧力センサ31を有する圧力検出部30と、物品50に固有の荷重圧力分布を載置面32にもたらすように物品50に固有の配置パターンで物品50に設けられた複数の識別部分60と、複数の圧力センサ31が検出する載置面32の荷重圧力分布から複数の識別部分60の配置パターンを識別するとともに、識別された配置パターンから物品50を識別判定する物品識別プログラム41を格納する記憶資源40と、物品識別プログラム41を解釈及び実行するプロセッサ20と、物品50の個数を出力する出力装置70とを備えるコンピュータシステムである。
【0012】
圧力検出部30は、例えば、微細な圧力センサ31を高密度でマトリクス状に配置してなる圧力センサシートと呼ばれるものであり、物品50が載置面32にもたらす荷重圧力の面内分布を高分解能で検出することができる。このような圧力検出部30として例えば、1ミリ角程度の有機トランジスタの表面に感圧導電ゴムシートが形成された公知のフレキシブル有機薄膜トランジスタアレイを用いることができる。感圧導電ゴムシートは、物品からの荷重に応じて変形すると、抵抗値が変化するため、電源端子から感圧導電ゴムシートを介して有機薄膜トランジスタに流れるドレイン電流の変化に基づいて物品の荷重圧力を検出することができる。1ミリ角程度の分解能を有するフレキシブル有機薄膜トランジスタアレイに底面51が円形である物品50を載置し、底面51の直径を18mm〜35mmの範囲において1mm刻みで変化させて底面51の面積を測定したところ、面積の測定誤差は、23.47mm2〜63.30mm2であり、正しい面積に対する誤差面積の割合は、9.2%以下であった。この結果から、1ミリ角程度の分解能を有するフレキシブル有機薄膜トランジスタアレイは、実用上十分な検出精度を有しているものと考えられる。
【0013】
プロセッサ20は、算術演算、論理演算、ビット演算等を処理する算術論理演算ユニットと、各種レジスタ(プログラムカウンタ、データレジスタ、命令レジスタ、汎用レジスタ等)と、圧力検出部30、記憶資源40、及び出力装置70に接続するインタフェースとから構成され、圧力検出部30から出力される荷重圧力分布を示す信号を読み取り、記憶資源40に格納されている物品識別プログラム41を解釈及び実行し、物品50を識別判定し、物品50の個数を出力装置70に出力する。記憶資源40は、物理デバイス(例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体)の記憶領域が提供する論理デバイスである。記憶資源40は、物品識別プログラム41とテーブル43とを格納している。テーブル43は、物品50とその物品50に設けられる複数の識別部分60の配置パターンとの対応関係を保持している。
【0014】
物品識別プログラム41は、載置面32に載置された物品50を識別判定するとともに物品50の在庫管理をするためのプログラムであり、メインプログラムの中で呼び出されて実行される複数のソフトウェアモジュールを備える。このようなソフトウェアモジュールは、例えば、プロシージャ、サブルーチン、メソッド、関数、及びデータ構造などを用いて作成される。モジュールは、その部分だけでコンパイル可能な単位である。このようなソフトウェアモジュールの一つとして、物品識別プログラム41は、判定モジュール42を備える。判定モジュール42は、複数の圧力センサ31が検出する載置面32の荷重圧力分布61から、公知のパターン認識アルゴリズムを用いて、複数の識別部分60の配置パターンを識別するとともに、テーブル43を参照して、複数の識別部分60の配置パターンから物品50を識別判定するように記述されたサブプログラムである。判定モジュール42は、複数の圧力センサ31が検出する載置面32の荷重圧力分布61から、公知のパターン認識アルゴリズムを用いて、物品50の個数を判定し、出力装置70に物品50の個数を出力することもできる。このように、物品50を識別判定する判定部としての機能は、プロセッサ20と判定モジュール42との協働により実現されるものであるが、専用のハードウェア資源(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))やファームウェアを用いて同様の識別判定処理を行ってもよい。なお、出力装置70は、物品50の個数を表示する表示装置(例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等)でもよく、或いは物品50の個数を印字する印刷装置(例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等)でもよい。
【0015】
次に、図6及び図7を参照しながら、複数種類の物品50,70を識別する処理の概要について説明する。図6に示すように、複数の物品50と複数の物品70が載置面32に載置されている。物品50と物品70とは互いに種類が異なるものである。それぞれの物品50には、物品50に固有の荷重圧力分布が載置面32にもたらされるように物品50に固有の配置パターンで複数の識別部分60が物品50に設けられている。同様に、それぞれの物品70には、物品70に固有の荷重圧力分布が載置面32にもたらされるように物品70に固有の配置パターンで複数の識別部分80が物品70に設けられている。この場合、テーブル43は、物品50とその物品50に設けられる複数の識別部分60の配置パターンとの対応関係に加えて、物品70とその物品70に設けられる複数の識別部分80の配置パターンとの対応関係も保持しているものとする。図7に示すように、複数の識別部分60の配置パターンと複数の識別部分80の配置パターンとの相違に起因して、物品50から載置面32にもたらされる荷重圧力分布61と、物品70から載置面32にもたらされる荷重圧力分布81とは、互いに圧力分布の態様が異なるため、荷重圧力分布61,81から物品50,70を識別することができる。また、同種類の物品50が載置面32上に複数存在する場合は、同様の圧力分布傾向を示す荷重圧力分布61が物品50の個数分だけ検出されるため、同様の圧力分布傾向を示す荷重圧力分布61の数を計数することにより、物品50の個数を判定することができる。物品70についても、同様の圧力分布傾向を示す荷重圧力分布81の数を計数することにより、物品70の個数を判定することができる。判定モジュール42は、それぞれの物品50,70の個数を一定周期間隔で計数し、物品50,70の個数の時間経過に伴う変動(増減)を出力装置70に出力してもよい。なお、図7の点線は、物品50,70の外縁を示している
【0016】
本実施形態によれば、載置面32に局所的に高い荷重負荷をもたらす断面凸状の識別部分60又は載置面32に局所的に荷重負荷をもたらさない断面凹状の識別部分60を物品50に固有の配置パターンで物品50に設けることにより、物品50の重心に偏りが生じており、物品50の底面51と載置面32との間に均一な荷重が加わらないような場合(特に、物品50の重量に比して底面積が広い場合)でも、識別部分60が載置面32にもたらす荷重と、識別部分60が形成されていない物品50の底面51が載置面32にもたらす荷重との差を、検出部30の実用上実現可能な分解能の範囲内で明確にできるため、荷重圧力分布61から物品50を一意に識別判定することができる。また、検出部30として、1ミリ角程度の分解能を有する公知のフレキシブル有機薄膜トランジスタアレイを用いることにより、複数の識別部分60の配置パターンを実用上十分な精度で識別することができる。また、フレキシブル有機薄膜トランジスタアレイは、適度な可撓性を備えているため、設置場所の制約を受けることが少なく、利便性に優れている。また、物品50,70の種類毎に物品50,70に設けられる複数の識別部分60,80の配置パターンを異なるものとすることにより、物品50,70の種類及び個数を判別することができる。物品50,70は、例えば、小売店等で商取引の対象となる交換価値のある商品であってもよい。小売店等で販売される複数種類の商品に、それぞれの種類に固有の配置パターンを有する識別部分を設け、商品の陳列棚や倉庫棚等に圧力検出部30を設置し、商品の販売時点情報管理システム(所謂、POSシステム)に物品識別プログラム41及びテーブル43を実装することにより、POSシステム上で商品の在庫管理を行うこともできる。
【0017】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の比率に限定されるものではない。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0018】
10…物品識別装置
20…プロセッサ
30…圧力検出部
31…圧力センサ
32…載置面
40…記憶資源
41…物品識別プログラム
42…判定モジュール
43…テーブル
50,70…物品
51…底面
60,80…識別部分
61,81…荷重圧力分布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9