【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、農林水産省、食料生産地域再生のための先端技術展開事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コードリーダは、作業者が薬剤の散布容器の容量目盛に応じた位置に付与した表示オブジェクトから、前記表示オブジェクトにエンコードされた前記散布容器の貯留量を示す情報を取得し、
前記情報処理装置は、前記作物の株の識別情報と前記貯留量とに基づいて、前記貯留量が、前記作物の株に対して使用する薬剤散布液の調整に必要な薬剤の分量に応じた希釈水量であるか否かを判定する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の農業支援システム。
作物が販売される作物販売所における販売状況を取得し、取得した販売状況に基づいて前記作物販売所において必要な作物を決定し、決定した結果を前記情報処理装置に通知する管理装置を更に備え、
前記コードリーダは、作物の収穫作業が行われた農業ハウスの識別情報を取得し、
前記情報処理装置は、前記管理装置から受信した内容に基づいて、前記作物販売所において必要な作物が、所定の期間内に収穫されていた前記農業ハウスを、記作物販売所において必要な作物を収穫可能な農業ハウスと判断する、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の農業支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による農業支援システムについて図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態1>
まず、実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1の農業支援システムの概念を示す図である。農業支援システムは、例えば、農業ハウス2内で育てられる作物に関する情報を管理するシステムである。なお、
図1において、農業ハウス2内の作物の一部を拡大して示している。
作物に関する情報には、例えば収穫物の重量、寸法、個数等の収穫物に関する情報、収穫物の栽培過程に関する情報(栽培に関する情報)などを含む。
農業ハウス2内の作物の株30には、バーコード32(「表示オブジェクト」の一例)が表示されたタグが取り付けられる。バーコード32には、作物の株30を一意に識別する識別情報(以下、株ID)がエンコードされる。なお、バーコード32に代えて、QRコード(登録商標)などの機械的に読み取りが可能な任意のコード情報が表示されたタグが作物の株30に取り付けられていてもよい。また、バーコード32には、株IDだけでなく、複数の株がまとまって植えられた区画等を取り付け識別するベッドIDが含まれていてもよい。ベッドIDは、例えば、畝ごと或いは農業ハウスごとに識別する場合などに用いられる。また、農業ハウス2内の作物の株30の一株一株にバーコード32が表示されたタグが取り付けられていてもよいし、二株毎や三株毎に一個のタグが取り付けられていてもよい。
農業支援システム1は、移動式測定装置10と管理装置21とを含む。
【0012】
図2は、実施形態1の移動式測定装置10を示す図である。
図2(a)は、移動式測定装置10の全体構成を示す図である。移動式測定装置10は、例えば、コードリーダ11、重量計12、装置側制御装置13、及び車輪17を備える。移動式測定装置10は、重量計12の上に、収穫用コンテナ18を乗せた状態で使用される。
図2(b)は、装置側制御装置13の構成を示す図である。
以下、移動式測定装置10を構成する各構成要素について順に説明する。
【0013】
コードリーダ11は、バーコード32に赤外光を照射して反射光を検出して電子情報を取得するコードスキャナと、バーコード32から得られる電子情報(配列パターン)を復号するデコーダと、デコーダにより復号した情報を装置側制御装置13に送信する送信部とを含む。コードリーダ11は、装置側制御装置13と有線又は無線により通信する。
バーコード32からデコード(復号)された情報には、作物の株IDが含まれる。
【0014】
重量計12は、載置された物体の重量を測定する。重量計12は、測定結果を装置側制御装置13に出力する。本実施形態では、重量計12には収穫用コンテナ18が載置されるため、収穫物の重量と収穫用コンテナ18の重量とを合わせた重量を測定する。なお、重量計12には、重量計12に収穫用コンテナ18を載置して収穫物の重量を測定する際に、収穫用コンテナ18の重量を予め減算する機能(いわゆる風袋引き機能)を備えてもよい。
【0015】
装置側制御装置13は、情報の記録、記録した情報の送信等の情報処理を行う。
装置側制御装置13は、例えば、入力装置130、出力装置131、ドライブ装置134、マイコン135、および通信装置136を備える。
装置側制御装置13は、コードリーダ11および重量計12と通信する。また、装置側制御装置13は、管理装置21と通信する。
【0016】
入力装置130は、例えば、作業を行う作業者が作業の状況に応じて押下する複数のボタン、例えば収穫作業を開始する際に押下するボタン(スタートボタン)と、収穫物の重量を測定する際に押下するボタン(重量測定ボタン)と、収穫作業を終了する際に押下するボタン(エンドボタン)と、を有する。作業者は作業状況に応じてこれらのボタンを押下して、収穫作業を行う。
出力装置131は、例えば音を出力するスピーカ、画面を表示する表示装置である。出力装置131は、作業者が入力装置130のボタンを押下した際に音を出力したり、重量計12収穫物の重量などを表示したりする。
【0017】
ドライブ装置134は、可搬型記録媒体を装着可能な装置であり、装着された可搬型記録媒体(例えば、SDカード)から情報を読み出したり、可搬型記録媒体に情報を書き込んだりする。なお、ドライブ装置134は、可搬型ではない記録媒体に対して情報の書込みを行う装置であってもよい。以下、これらを含めて単に記録媒体と表記する。
ドライブ装置134は、マイコン135からの書き込みまたは読み出しの命令に基づいて、記録媒体へ情報の書き込みまたは読み出しを行う。
【0018】
マイコン135は、情報取得や演算、記録媒体への読み書き、他の通信機器との送受信等の処理、を行うマイクロコントローラである。
マイコン135は、入力装置130から、作業者が押下したボタンに対応する信号情報を取得する。また、マイコン135は、出力装置131へ、作業者のボタン操作等の応答に対応する情報を出力する。
さらに、マイコン135は、コードリーダ11から作物の株30の株ID(コード情報)を取得する。また、マイコン135は、重量計12から、重量計12に載置された物体の重量情報を取得する。そして、マイコン135は、ドライブ装置134を介し、記録媒体にこれらの情報を書き込んで記録させる。
また、マイコン135は、通信装置136を用いて、記録媒体へ書き込んだ情報を、管理装置21に送信する。
【0019】
通信装置136は、管理装置21と通信する。
通信装置136と管理装置21の間の通信は、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式、セルラー網やWi−Fi網を介した無線通信方式で行われてもよいし、LAN(Local Area Network)などを介した有線通信方式で行われてもよい。
通信装置136は、マイコン135からの命令に基づいて、管理装置21に情報を送信する。
車輪17は、移動式測定装置10底面に取付けられている。これによって、作業者は収穫作業をしながら、移動式測定装置10を、農業ハウス2内で移動させることができる。
【0020】
次に
図1に戻り、この発明の一実施形態における管理装置21と、環境センサ34について順に説明する。
管理装置21は、装置側制御装置13などから取得した情報を管理する情報管理装置である。管理装置21としては、例えば、パソコン(パーソナルコンピュータ)の他、タブレット端末、スマートフォン等の携帯電話、その他の装置を用いることができる。
以下に説明する管理装置21の機能は、装置側制御装置13が備えるものとしてもよい。この場合、「農業支援システム1」は、移動式測定装置10のみで実現される。
管理装置21は、例えば、農業ハウス2から離れた場所、一例として管理棟20内に設置される。
管理装置21は、装置側制御装置13から、株ID、重量計12の測定結果を示す情報を受信する。また、管理装置21は、ハウス内の温度、湿度、その他の環境情報を、環境センサ34から受信する。そして、管理装置21は、情報を受信した場合、受信した情報と、情報を受信した時刻とを対応づけて、管理装置21内の記録装置に書き込んで記録させる。管理装置21は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記録装置を備える。
【0021】
環境センサ34は、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素濃度および外気温度等の環境情報を測定するセンサである。環境センサ34は、取得した環境情報を、管理装置21に送信する。
【0022】
以下、収穫作業および情報を記録する処理の流れを、
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3は、実施形態1の農業支援システムが情報を記録する処理の流れを示すフローチャートである。
まず、収穫作業の前提として、作業者は、作業者名や作業内容(以下、作業者ID)がエンコードされたバーコード32Aが表示されたタグやカードを携帯している。また、作業者は、移動式測定装置10に、収穫用コンテナ18を載置し、収穫用コンテナ18に収穫物を入れることにより収穫作業を行う。
また、作物の株30には、株ID情報がエンコードされたバーコード32Bが表示されたタグが取り付けられているものとする。つまり、本フローチャートにおいては、作業者IDがエンコードされたバーコード32A、および株IDがエンコードされたバーコード32Bがそれぞれ用いられる。
【0023】
<ステップS10>
作業者が、装置側制御装置13の入力装置130のスタートボタンを押下すると、装置側制御装置13から作業開始を示す信号が、管理装置21に送信される。
管理装置21は、装置側制御装置13から取得した作業開始を示す信号と、管理装置21内部の時計(不図示)で計時している受信時刻とを対応付けて記録装置に記録させる。また、管理装置21は、環境センサ34から取得した環境情報を、受信時刻と対応付けて記録装置に記録させる。
【0024】
<ステップS11>
作業者は、コードリーダ11で、バーコード32Aを読み込む。これによって、装置側制御装置13は、作業者IDを取得する。装置側制御装置13は、取得した作業者IDを記録媒体に記録させる。また、装置側制御装置13は、作業者IDを管理装置21に送信する。
【0025】
<ステップS12>
作業者は、移動式測定装置10に、収穫用コンテナ18を載置し、入力装置130の重量測定ボタンを押下する。これによって、重量計12は、収穫用コンテナ18の重量W
0を測定する。重量計12は、測定した重量W
0を、装置側制御装置13へ送信する。装置側制御装置13は、受信した重量W
0を記録媒体に記録させる。
【0026】
<ステップS13>
作業者は、コードリーダ11で、これから収穫作業をしようとする作物の株30に取り付けられたタグに表示されたバーコード32Bを読み込む。これによって、装置側制御装置13は、株IDを取得する。装置側制御装置13は、取得した株IDを記録媒体に記録させる。また、装置側制御装置13は、株IDを管理装置21に送信する。
【0027】
<ステップS14>
作業者は、収穫物を一つ収穫し、収穫用コンテナ18内にその収穫物を積載する。
<ステップS15>
作業者は、入力装置130の重量測定ボタンを押下する。これにより、重量計12は、収穫用コンテナ18とコンテナ内に積載された収穫物との重量W
Nを測定する。
ここで、重量W
NのNは、収穫数を表している。すなわち、最初の収穫物と収穫用コンテナ18との重量がW
1であり、2回目に収穫した収穫物とそれまでに収穫した収穫物ひとつと収穫用コンテナ18との重量がW
2であり、N回目に収穫した収穫物とそれまで収穫した収穫物(N−1)個と収穫用コンテナ18との重量がW
Nである。
重量計12は、測定した重量W
Nを、装置側制御装置13へ送信する。
<ステップS16>
装置側制御装置13は、今回受信した重量W
Nと、前回受信した重量W
N−1との差分を算出する。この差分が、N回目に収穫した収穫物の重量Wf
Nとなる。これにより、収穫用コンテナ18内の収穫物の個々の重量が算出される。
【0028】
<ステップS17>
装置側制御装置13は、算出した収穫物重量Wf
Nと収穫数Nとを株IDに関連付けて、記録媒体に記録させる。また、装置側制御装置13は、記録媒体に記録させたこれらの情報を、管理装置21に送信する。管理装置21は、これらの情報を受信時刻と対応付けて記録装置に記録させる。
<ステップS18>
作業者は、収穫作業が終了したら、装置側制御装置13のエンドボタンを押下する。これによって、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。
収穫作業が終了していない場合、作業者は、ステップS13へ戻って、作業者は収穫作業を継続する。なお、
図3に示すフローチャートでは、ステップS17により、装置側制御装置13は、収穫物重量Wf
N等の情報を記録媒体に記録する度に管理装置21に送信しているが、収穫作業終了後、あるいは所定の時間間隔、記録媒体に記録された情報をまとめて管理装置21に送信してもよい。
【0029】
以上説明した、収穫作業フローにより、管理装置21が、記録させた作物に関する情報の構造の一例を、以下に示す。
【0031】
表1の例では、作物に関する情報として、時間、株ID、ベッドID、温度、湿度、CO2、果実量、作業名、作業者ID、果実数、がそれぞれ記録されている。時間は、作物に関する情報を受信した時間である。株IDは、バーコード32Bにエンコードされた株IDである。ベッドIDは、バーコード32Bにエンコードされた複数の株をまとめた区画(ベッド)を識別する情報である。温度、湿度、およびCO2のそれぞれは、環境センサ34から受信した農業ハウス2の温度、湿度、および二酸化炭素濃度である。果実重は、作業者が収穫した収穫物(果実)の重量である。作業は、収穫や除草等の農作業の種別である。作業者IDは、バーコード32Aにエンコードされた作業者IDである。果実数は、作業者が収穫した果実の個数の累計である。
【0032】
表1の例では、株IDが「1」である作物に対して、作業者IDが「A」である作業者により収穫作業が行われ、収穫された果実の重量が124[g]であったことが記憶されている。また、株IDが「2」である作物に対して、作業者IDが「A」である作業者により収穫作業が行われたが、収穫された果実はなかったことが記憶されている。また、株IDが「3」である作物に対して、作業者IDが「A」である作業者により収穫作業が行われ、重量が114[g]の果実が収穫され、この作業者により収穫された2個目の果実であったことが記憶されている。
【0033】
このように、株IDとともに果実重、果実数が記憶されることで、所定の作物の株から収穫された収穫物の重量、個数が判る。これにより、所定の作物の株から収穫される収穫物の重量が重い傾向にある、あるいは所定の作物の株からは数多くの収穫物が収穫された等、作物の株ごとの傾向をみることが可能となる。
【0034】
また、表1の例では、収穫作業が行われた際の温度等が、果実重や果実数とともに記録される。このように、本実施形態の農業支援システム1においては、収穫作業を行う際の農業ハウス2の温度等の環境情報が取得されてもよい。果実重や果実数とともに環境情報が記録されることで、気温が高い日には収穫量が増える、あるいは気温が高すぎると収穫作業に時間がかかる傾向にある等、環境状況と収穫作業との傾向をみることが可能となる。
【0035】
以上、説明したように、本実施形態の農業支援システム1においては、作業者が作物の一以上の株30に取り付けたタグに表示された(「付与した」の一例)バーコード32(「表示オブジェクト」の一例)から、バーコード32にエンコードされた株ID(「作物の株の識別情報」の一例)を取得するコードリーダ11と、コードリーダ11によって取得される株IDに基づいて、作物の情報を作物の株ごとに記録する装置側制御装置13(「情報処理装置」の一例)と、を備える。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、コードリーダ11が株IDを取得することができ、装置側制御装置13が、株IDに基づいて、株IDとその株IDが示す作物の株から収穫した収穫物の個数等を対応づけて記録することができる。従って、コードリーダ11によってバーコード32を読み込むという簡易な構成で、作物の株ごとの情報を管理することができる。
【0036】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、載置された物体の重量を測定する重量計12を更に備え、装置側制御装置13は、コードリーダ11によって取得される株IDと、株IDが取得されるのに対応して重量計12によって測定される重量の変化とを対応づけて記録する。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、重量計12により収穫物の重量を計測することができる。コンテナに収穫物を積載する度に、重量を計測し、前回と今回の重量の差分を算出すれば、収穫物一個あたりの重量を算出できる。算出した収穫物一個あたりの重量を株IDに対応づけて記憶することにより、作物の株と収穫物の重量の傾向をみることができ、どの株からどれぐらいの収穫物を収穫すればよいか等、作物を株毎に管理することができる。つまり、上述した効果を奏する他、重量計12により収穫物を積載する度に重量を計測するという簡易な構成で、作物の株ごとの情報を管理することができる。
【0037】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、装置側制御装置13は作物の情報と前記情報を取得した時間とを対応付けて記録する。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、収穫作業に要した時間を算出することができる。従って、上述した効果を奏する他、時間とともに作物の情報を記録するという簡易な構成で、収穫作業などの作業者の労務管理を容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、環境センサ34(「環境情報を取得するセンサ」の一例)を更に備え、装置側制御装置13は作物の情報と環境センサ34が取得した温度、湿度、二酸化炭素濃度(「環境情報」の一例)とを対応づけて記録する。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、収穫作業とその作業時の気温などを対応づけて記録することができる。従って、上述した効果を奏する他、気温とともに作物の情報を記録するという簡易な構成で、暑い日には収穫量が増える傾向にあるため、事前に作業者を増やして対応する等、収穫作業の管理を容易に行うことができる。
【0039】
上述した効果を、
図4、5を用いて説明する。
図4は、環境データおよび作業データを時系列に集計した場合の一例である。
図4(a)は、12月から翌年の6月までの半年間のハウス内気温と屋外気温の推移を示している。
図4(b)は、12月から翌年の6月までの半年間の収穫作業に要した時間をトマトの品種別に示している。
図4(a)に示す例では、ハウス内暖房が必要か否かの判断に用いることができる。ハウス内の気温と屋外の気温の差が小さくなれば、ハウス内暖房は不要と判断できるからである。ハウス内暖房が不要であれば光熱費が削減できる。
図4(b)は、例えば、人手がどの程度必要かの判断に用いることができる。収穫に要した時間が増えたことは、収穫に時間がかかっていること、すなわち人手が多く必要であることを示している。適切なタイミングで適切な人手をかけることができれば、無駄な人件費を減らすことができる。
このように、作物に関する情報を記録することで、農作業に必要な諸経費をより正確に見積もることが可能となる。
【0040】
図5は、収穫量および収穫に要した時間を、株ごとに集計したものである。
図5のそれぞれの図における縦軸は、品種とその品種が植えられた位置を示している。すなわち、ハウスの入り口から向かって右側の畝に品種Tが、右側の畝から1.5メートル離れた真ん中の畝に品種Wが植えられていることを示している。また、真ん中の畝から1.5メートル離れた左側の畝に品種Zが植えられていることを示している。
また、
図5のそれぞれの図における横軸は、畝の奥行方向の位置を示している。すなわち、畝の全長は9メートルであり、畝1メートルあたり4株のトマトが植えられていることを示している。
図5(a)は、収穫量の分布を示しており、色が濃くなる程、収穫量が多いことを示している。収穫量の単位はキログラムである。また、
図5(b)は、単位量あたり収穫量の収穫に要した時間を示している。色が濃くなる程、収穫作業に要した時間が多いことを示している。
【0041】
図5(a)からは、収穫量の多い品種や場所が判断できる。収穫量の多さが品種に起因するものであれば、その品種について多く栽培すれば、さらに多くの収穫が見込める。また、収穫量の多さがその場所に起因するものであれば、その場所の環境条件を他の場所にも応用することで、収穫量が増える可能性がある。
図5(b)からは、収穫作業効率の高い品種や場所が判断できる。収穫作業効率の高さが品種に起因するのか、場所に起因するものなのか判断し、対応することで、収穫作業効率の向上を図ることができる。
【0042】
<実施形態1の変形例>
本変形例では、農業支援システム1においては、バーコード32が表示されたタグが、作物の株や所定の箇所に、着脱可能に取り付けられる。
図8は、実施形態1の変形例を説明するための図である。
図8に示すように、バーコード32Gが表示されたタグは、バネ付きクリップ50(以下、クリップ50)に括り付けられる。作業者は、例えばコードを読み取りやすい位置や、作業の目印となる所定の箇所をクリップ50で挟む。これにより、バーコード32は、読み取り安い位置に配置される。
バーコード32Gには、例えば作物の株IDの他、場所IDがエンコードされる。場所IDは、収穫作業を行う上で目印となる箇所や、作物の株の数が所定の間隔となる箇所(例えば、農業ハウス2の入り口から作物の株が五株、十株、・・・等にそれぞれ相当する箇所)を一意に示す情報である。
【0043】
作業者は、収穫作業をしながら、タグが取り付けられた箇所に到達した際に、コードリーダ11にバーコード32Gをかざして、場所IDを取得する。装置側制御装置13Aは、コードリーダ11が取得した場所IDを受信し、受信した時刻とともに記録する。
【0044】
以上説明したように、本変形例の農業支援システム1においては、コードリーダ11は、作業者が目印となる箇所でクリップに括り付けられたタグに表示されたバーコード32G(「表示オブジェクト」の一例)にエンコードされた場所ID(「箇所の識別情報」の一例)を取得し、装置側制御装置13Aは、場所IDと情報を取得した時間とを対応付けて記録する。これにより、本変形例の農業支援システムにおいては、収穫作業において作業がなされた場所の場所IDを、時間に対応付けて記録することができる。従って、上述した効果を奏する他、作業の進捗状況を所定の場所ごとに把握することができる。
【0045】
また、本変形例の農業支援システムにおいては、バーコード32G(「表示オブジェクト」の一例)が表示されたタグをさらに備え、タグは、作業者が作物の株や作業の目印となる箇所(「表示オブジェクトを付与する付与対象箇所」の一例)に着脱可能に取り付けられる。これにより、本変形例の農業支援システムにおいては、バーコード32が表示されたタグを、収穫などの作業をしながら容易にコードリーダ11で読み取ることができる位置に付け替えることができる。従って、上述した効果を奏する他、収穫などの作業を行いながら作物の株IDや場所IDなどの情報を容易に取得することができる。
また、本変形例の農業支援システムにおいては、タグは、クリップ(「挟持体」の一例)に括り付けられ(「固定され」の一例)、作物の株や作業の目印となる箇所をクリップで挟む(「挟持体で挟持する」の一例)ことにより付与される。これにより、本変形例の農業支援システムにおいては、所定箇所をクリップで挟むという簡単な方法で、作物の株や所定の箇所に取り付けたり、作物の成長に伴い別の箇所に移動させたりすることができる。従って、上述した効果を奏する他、収穫などの作業を行いながら作物の株IDや場所IDなどの情報を容易に取得することができる。
【0046】
トマトなど、長期にわたって栽培を行う長段栽培では、主茎が5〜20m伸長する。このため、主茎の成長点が農業ハウス2の軒に近づいたら、主茎の成長点が斜め下方になるように移動させる作業(つる下ろし)が行われる。つる下ろし作業がなされた後には、タグを取り付けた箇所が主茎の下、あるいは横の方にずれてしまうことがある。つまり、収穫などの作業を行う場所とタグの取り付け位置が離れてしまう。この場合、作業者は収穫作業をしながら、バーコード32をコードリーダ11により読み取ることが困難となってしまう。そこで、タグをクリップに括り付け、任意の箇所をクリップで挟むことによりタグを取り付ける。これにより、つる下ろし作業後にタグ取り付け位置が移動してしまった場合でも、同じ株の異なる箇所にクリップを挟み直すことにより、タグ取り付け位置をつる下ろし作業前に近い状態に戻すことができる。従って、作業者は作業をしながら、コードリーダ11によりバーコード32を読み取らせることが容易となる。また、つる下ろし作業の他、収穫、下葉取り、あるいは芽かき等の作業を行う時でも、必要に応じて作業する場所の近くにタグを移動させることができるため、作業を妨げることなく容易にバーコード32を読み取ることができる。
【0047】
また、本変形例の農業支援システム1においては、作物の栽培が終了した場合、タグを取り外し、次の作物を作付けする際に再利用してもよい。この場合にもクリップにタグを括り付けたものを用いることにより、タグを取り外したり付け替えたりすることが容易となる。また、作物の株五株に対し一個のダグを取り付けたり、十株に対し一個のタグを取り付けたり、必要や用途に応じて農業ハウス2内に配置するタグの個数を変更してもよい。このような場合にも、クリップを取り外すことで、例えば一株に一個のタグを配置した状態から、五株に一個のタグを配置した状態に容易に変更することができる。
【0048】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。
本発明に係る農業支援システムを用いた、第2の実施形態として、薬剤を散布する際の散布液の調整および散布履歴などの薬剤散布に関する情報を記録するシステムについて説明する。第2の実施形態は、例えば、移動式測定装置10を用いて、農業ハウス2内の作物に薬剤を散布する。
【0049】
まず、薬剤を散布する際に管理すべき事項について説明する。
薬剤散布は、作物に対する有害生物の防除等を目的として行われる。また、安全性の観点から、薬剤散布回数の上限等が定められており、農作物への害虫被害を防ぎつつ、土壌等に害を及ぼさないように、厳密に管理して使用することが望ましい。したがって、薬剤の散布に当たっては、調整、適用作物、使用回数、使用時期等を管理する必要がある。
【0050】
農作物に散布できる薬剤は、農薬取締法に基づいて登録されている。そして、その薬剤ごとに、散布するために必要な希釈倍率が決められている。希釈倍率は、例えば、10アール(1000m
2)当たりの薬量(薬剤の量)と希釈水量が記載され、作業者は、作業する農場の場所に応じて、規定の倍率で、必要な量の散布液を作成する必要がある。このため、薬剤散布液調整の際は、薬剤の種類、散布液容量、薬剤量、及び希釈水量を管理する必要がある。
また、薬剤ごとに、その薬剤を散布することができる適用作物が定められている。すなわち、適用外作物に対して、その薬剤を散布することはできない。このため、薬剤散布をしようとする際は、適用外の農作物へ使用することがないように管理する必要がある。
【0051】
さらに、薬剤の散布回数についても、残留基準を超過しないように、安全性の観点から薬剤散布回数の上限が定められている。この薬剤散布回数の上限は、一つの薬剤を使用した回数ではなく、その薬剤と同一の有効成分を含む全ての薬剤を使用した回数の合計を示している。このため、同一の有効成分を含む複数の薬剤を散布する場合には、有効成分ごとに散布回数を管理する必要がある。
【0052】
また、収穫後の残留農薬を考慮して、農作物への薬剤散布から定められた日数以上経過後でなければ、その農作物を収穫できない旨が定められている。このため、収穫日時と、最終農薬散布日時とを管理する必要がある。
【0053】
以上説明した管理すべき事項に基づいて、装置側制御装置13は、作物IDに関連付けて、その作物への当該薬剤散布の可否情報および、散布区画面積に応じた薬剤散布液の容量情報などの薬剤散布液調整に必要な情報を記録する。また、装置側制御装置13は、作物IDに関連付けて、散布した薬剤、散布回数、散布日時および収穫予定日などの散布履歴も記録する。
【0054】
次に、薬剤を散布する際の薬剤情報を記録する処理の流れについて、
図6、
図7を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態で薬剤散布に用いる散布容器の一例を示す図である。
図7は、第2の実施形態で、薬剤に関する情報を記録する流れを示すフローチャートである。
ここでは、装置側制御装置13は、管理装置21を兼用しているものとして、説明する。
【0055】
まず、本フローチャートを開始する前提として、
図6のとおり、薬剤散布容器31の容量目盛の容量を一意に示す情報(容量ID)がエンコードされたバーコード32C(「表示オブジェクト」の一例)が表示されたラベルを張り付ける。
また、薬剤の容器に薬剤名称、及び/又は、有効成分についての識別情報(以下、薬剤IDと称する。)がエンコードされたバーコード32Dが表示されたラベルを張り付ける。
また、薬剤散布を行う区画ごとに、その区画に植えられた作物の名称(以下、作物IDと称する。)情報がエンコードされたバーコード32Eが表示されたタグを取り付ける。ここでは、薬剤散布区画は農業ハウス2とし、農業ハウス2の入り口に、作物IDがエンコードされたバーコード32Cを付与しているとして説明する。また、実施形態1と同様に、作業者は、作業者名、作業内容がエンコードされたバーコード32Aを携帯している。
つまり、本フローチャートにおいては、作業者名等がエンコードされたバーコード32A,容量IDがエンコードされたバーコード32C、薬剤IDがエンコードされたバーコード32D、および作物IDがエンコードされたバーコード32Eがそれぞれ用いられる。
【0056】
次に、薬剤散布液の調整フローおよび薬剤散布フローについて、
図7のフローチャートに沿って説明する。薬剤散布液の調整フローの前提として、作業者は実施形態1で説明した収穫作業ステップS10、S11の各ステップをすでに実行しているものとする。すなわち、装置側制御装置13は、作業日時、作業者名および作業名(ここでは散布液調整)等の情報を、すでに記録させているものとして説明する。
【0057】
<ステップS20>
作業者は、薬剤容器に付与されたバーコード32Cをコードリーダ11で読み込む。また、作業者は、農業ハウス2の入り口にあるバーコード32Eをコードリーダ11で読み込む。
コードリーダ11は、薬剤容器に付与されたバーコード32Dから薬剤IDを取得し、装置側制御装置13に薬剤IDを送信する。また、コードリーダ11は、農業ハウス2の入り口にあるバーコード32Eから作物IDを取得し、装置側制御装置13に作物IDを送信する。
【0058】
<ステップS21>
装置側制御装置13は、コードリーダ11から取得した薬剤ID及び作物IDから、作物IDで識別される作物が、薬剤IDで識別される薬剤に対して、適用作物に該当するか否かを判定する。
装置側制御装置13は、薬剤散布対象とした作物が適用作物でない場合(ステップS21 NO)、装置側制御装置13の出力装置131にその旨の応答を表示させる。そして、
図7に示すフローチャートの処理は終了する。
【0059】
装置側制御装置13は、その作物がその薬剤の適用作物であると判定した場合、その作物IDに関連付けて記録している散布履歴から、散布回数の上限と記録された実際の散布回数を比較するなどして、今回の薬剤散布が可能か否かの判定をする。
装置側制御装置13は、散布履歴を参照した結果、散布不可と判定する場合、(ステップS21 NO)、出力装置131から、その旨の応答を出力する。そして、
図7に示すフローチャートの処理は終了する。
装置側制御装置13は、散布可能と判定する場合、(ステップS21 YES)、その旨の応答を表示する。また、このとき、装置側制御装置13は、薬剤散布液の調整に必要な薬剤の分量を、出力装置131に表示させる。そして、ステップS22へ進む。
【0060】
<ステップS22>
作業者は、出力装置131に表示された分量に従った量の薬剤を、薬剤散布容器31に投入する。
<ステップS23>
作業者は、薬剤散布容器31の目盛に付与されたバーコード32Cを、コードリーダ11で読み込む。コードリーダ11は、そのバーコード32Cから復号した容量値を、装置側制御装置13に送信する。
【0061】
<ステップS24>
装置側制御装置13は、コードリーダ11から取得した容量値が、散布溶液調整に必要な希釈水量であるか否かを判定する。
装置側制御装置13は、容量値が必要な希釈水量でない場合(ステップS25 NO)、出力装置131にその旨の応答を表示させる。そして、ステップ24に戻る。
装置側制御装置13は、容量値が必要な希釈水量である場合(ステップS25 YES)、出力装置131にその旨を表示させる。
<ステップS25>
作業者は、薬剤散布容器31のコードリーダ11で読み込んだ目盛位置まで、希釈水を投入し、薬剤散布液を調製する。
【0062】
さらに、薬剤散布フローについて、
図7の右側のステップS30からS32に沿って説明する。
【0063】
<ステップS30>
作業者は、作業者名、作業名(ここでは、薬剤散布)がエンコードされたバーコード32Aを、コードリーダ11で読み込む。コードリーダ11は、バーコード32Aから読み取った作業者名および作業名を、装置側制御装置13へ送信する。
装置側制御装置13は、作業者名および作業名を、装置側制御装置13の記録媒体に作物IDと関連付けて、コードリーダ11から受信した時刻と共に、記録媒体に記録させる。
<ステップS31>
作業者は、作物IDで識別される薬剤散布区画(ここでは、農業ハウス2)内の作物に薬剤散布する。
<ステップS32>
作業者は、薬剤散布作業が終了したら、装置側制御装置13のエンドボタンを押下する。これによって、装置側制御装置13は、作物IDに関連付けて記録する散布回数を更新し、更新した散布履歴を記録媒体に記録させる。
【0064】
以上説明した薬剤情報の管理フローで薬剤散布に関する情報を記録する。こうすることで、散布液を調製する際に、適用外作物へ誤って薬剤を散布すること、定められた使用回数を超えた薬剤散布および収穫前の散布禁止時期の薬剤散布を防ぐことができる。また、散布する区画面積に応じた適切な量の薬剤散布液を、定められた希釈倍率で、調製することもできる。
薬剤を散布する際には、散布区画、散布量、散布回数および散布日時等を記録し、散布履歴を記録することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の農業支援システム1においては、コードリーダは、作業者が薬剤の薬剤散布容器31に張り付けた(「付与した」の一例)バーコード32C(「表示オブジェクト」の一例)が表示されたラベルから、バーコード32Cにエンコードされた容量ID(「散布容器の貯留量を示す情報」の一例)を取得し、装置側制御装置13は、株IDと容量IDとに基づいて、作物の株に対して使用された薬剤の量を記録する。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、装置側制御装置13は、容量IDを取得することができる。装置側制御装置13は、薬剤を散布する作業の前後において容量IDを取得することにより、散布した薬剤の量を算出することができる。装置側制御装置13は、算出した薬剤の量と株IDとを対応づけることにより、株IDが示す作物の株に散布された薬剤の量を記録することができる。従って、実施形態の農業支援システム1においては、上述した効果を奏する他、作物の株に散布された薬剤の量を、その株毎に把握することができ、作物の株に散布された薬剤の量を管理することができる。
【0066】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、コードリーダ11は、作業者が薬剤の容器に付与したバーコード32E(「表示オブジェクト」の一例)が表示されたラベルからバーコード32Eにエンコードされた薬剤ID(「薬剤の識別情報を」の一例)を取得する。装置側制御装置13は、株IDと、容量IDと、薬剤IDとに基づいて、作物の株に対する薬剤散布履歴を記録する。これにより、本実施形態の農業支援システム1においては、装置側制御装置13は、薬剤IDを取得することができる。装置側制御装置13は、薬剤IDにより散布された薬剤の種類を特定できる。装置側制御装置13は、株IDと、容量IDとともに、薬剤IDを取得することにより、作物の株に散布された薬剤の種類と、散布された量を把握することができる。従って、実施形態の農業支援システム1においては、上述した効果を奏する他、薬剤の散布履歴を作物の株のごとに管理することができる。
【0067】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、装置側制御装置13は、株IDと、薬剤IDとに基づいて、作物の株に対して薬剤の散布が可能か否かを判定する。これにより、実施形態の農業支援システム1においては、上述した効果を奏する他、作物に対して散布してはいけない薬剤か否かを判定することができ、作物への薬剤散布を管理することができる。
【0068】
また、本実施形態の農業支援システム1においては、薬剤散布履歴を薬剤の有効成分ごとに記録する。これにより、実施形態の農業支援システム1においては、上述した効果を奏する他、作物に対して薬剤の有効成分ごとに薬剤散布履歴を記録することにより、異なる薬剤を散布した場合でも、作物に散布された薬剤の有効成分の総量を把握することができる。従って、実施形態の農業支援システム1においては、上述した効果を奏する他、作物への薬剤散布を有効成分ごとに管理することができる。
【0069】
<実施形態3>
さらに、実施形態3について
図9を用いて説明する。
図9は、実施形態3の農業支援システム1Aが適用される環境の一例を示す図である。
【0070】
図9に示す通り、実施形態3の農業支援システム1Aは、農業ハウス2にある移動式測定装置10Aと、管理装置21Aとを備える。また、農業支援システム1Aの管理装置21Aは、作物販売所40と通信を行う。
【0071】
実施形態3では、管理装置21Aは、作物販売所40における販売に関する情報を取得する。販売に関する情報には、作物販売所40において顧客等が購入した作物の種類、および個数に関する情報(以下、売上実績)が含まれる。管理装置21Aは、売上実績を、いわゆるPOS(Point of sale)システムにより取得してもよい。あるいは、管理装置21Aは、作物販売所40で販売する作物に付与されたバーコード32F読み取ることで、バーコード32Fにエンコードされた株ID等の情報に基づいて、作物の種類や個数を特定し、売上実績を取得してもよい。
【0072】
管理装置21Aは、売上実績と、売上実績を取得した時刻とを対応づけ、管理装置21内の記録装置に記録する。管理装置21Aは、売上実績に基づいて、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数を決定する。管理装置21Aは、売上実績を取得する度に、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数に決定してもよいし、所定の時間間隔(例えば1時間ごと)で作物の売上実績を参照し、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数に決定してもよい。
【0073】
また、管理装置21Aは、管理装置21A内の記録装置に記憶された収穫情報に基づいて、作物販売所40において必要な作物が農業ハウス2で収穫可能か判断する。例えば、管理装置21Aは、作物販売所40の作物に、収穫された作物の株IDに相当する情報がエンコードされたバーコード32Fが付与されている場合、売れた作物の株IDが示す株を栽培している農業ハウス2を作物販売所40において必要な作物が収穫可能と判断してもよい。
【0074】
また、管理装置21Aは、農業ハウス2における収穫情報から、収穫作業が行われた日時を参照し、農業ハウス2で収穫作業が行われた日時が、所定の期間内(例えば、昨日収穫された等)にある場合、作物販売所40において必要な作物が農業ハウス2で収穫可能であると判断するようにしてもよい。
【0075】
また、実施形態3では、管理装置21Aは、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数を移動式測定装置10Aに通知する。管理装置21Aは、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数を決定し、決定した作物が農業ハウス2で収穫可能と判断した場合、農業ハウス2に配置された移動式測定装置10Aに、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数を示す情報を含む信号を送信する。
【0076】
移動式測定装置10Aでは、装置側制御装置13の通信装置136が、管理装置21Aからの信号を受信する。装置側制御装置13の出力装置131は、通信装置136が受信した信号に含まれる情報を表示する。出力装置131は、例えば、収穫が必要な作物の名称、および必要な収穫物の数、をそれぞれ表示する。作業者は、出力装置131に表示された内容に従って収穫作業を行う。収穫作業は、例えば
図3に示す処理の流れで行われる。これにより、装置側制御装置13は、収穫情報を管理装置21Aに送信する。
【0077】
管理装置21Aは、装置側制御装置13からの収穫情報に基づいて、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数が、農業ハウス2で収穫されたか否か判断することができる。管理装置21Aは、作物販売所40において必要な作物の種類、および個数が、農業ハウス2で収穫された場合、その旨を管理装置21Aの表示装置(不図示)に表示してもよい。あるいは、管理装置21Aは、その旨を作物販売所40に通知するようにしてもよい。管理装置21Aと作物販売所40との間の通信手段は、通信装置136と管理装置21の間の通信と同様に、無線通信方式、または有線通信方式のいずれか、または双方で行われてよい。
【0078】
以上説明したように、実施形態3の農業支援システム1Aは、作物販売所40(「作物が販売される作物販売所」の一例)における販売状況を取得し、取得した販売状況に基づいて作物販売所40において必要な作物を決定し、決定した結果を装置側制御装置13(「情報処理装置」の一例)に通知する。これにより、実施形態3の農業支援システム1Aは、作物販売所40においてどんな作物がどれだけ売れたかを示す売上実績を取得することができる。売上実績を取得することにより、農業支援システム1Aは、作物販売所40において必要な作物を決定することができる。また、農業支援システム1Aは、農業ハウス2の収穫情報を記録する記録装置を備えているため、農業ハウス2における収穫情報を参照することができ、作物販売所40において必要な作物が農業ハウス2で収穫可能か判断することができる。そして、農業支援システム1Aは、作物販売所40において必要な作物が栽培されている農業ハウス2に対し、作物販売所40において必要な作物の種類、および必要な作物の個数を通知することができる。従って、実施形態3の農業支援システム1Aでは、上述した他の実施形態の効果を奏する他、作物販売所40において必要な作物を必要な量だけ収穫することができ、作物販売所40で不要なストックが生じる事態を抑制することができる。
【0079】
<実施形態の変形例>
以上説明した少なくとも一の実施形態では、装置側制御装置13は、重量計12からの情報に基づいて収穫物の重量を取得した。本変形例の農業支援システム1では、作物に関する情報として、収穫物の重量以外(例えば、寸法など)の情報を取得する。また、本変形例においては、重量計12は、装置側制御装置13Aに着脱可能に取り付けられている。そして、装置側制御装置13Aにおいては、作業者等が重量計12を装置側制御装置13Aから取り外し、他の測定装置を装置側制御装置13Aに取り付けることができる。
【0080】
図10は、本変形例の装置側制御装置13Aを示す図である。
本変形例の装置側制御装置13Aは、接続部14を備える。接続部14は、USB(Universal Serial Bus)等、コンピュータ等の情報機器に測定装置などの周辺機器を接続するための統一された通信規格、および形状(以下、統一規格)で設計される。接続部14が統一された通信規格、および形状を有することにより、その統一規格に対応する接続機構を有する測定装置を接続することができる。
【0081】
図10の例では、装置側制御装置13Aは、用途に応じて、ノギス12A、または重量計12Bとのいずれか一方を、接続部14を介して接続させる。そして、装置側制御装置13Aは、ノギス12A、または重量計12Bにより測定された測定値を、接続部14を介して取得する。
【0082】
ノギス12Aは、統一規格に対応する接続機構120Aを備える。また、重量計12Bは、統一規格に対応する接続機構120Bを備える。これにより、ノギス12A、重量計12Bは、いずれも接続部14を介して装置側制御装置13Aと接続させることが可能である。
【0083】
なお、上記では、統一規格がUSBである場合を一例として説明したが、統一規格は、所定の規格に基づいて測定装置を接続することができるものであればよく、例えばRS232(Recommended Standard 232)、LAN(Local Area Network)、GPIB(General Purpose Interface Bus)等であってもよい。
また、上記では、装置側制御装置13Aは、複数の接続部14を備えていてもよい。この場合、複数の接続部14のそれぞれは、同一の統一規格であってもよいし、互いに異なる規格であってもよい。
【0084】
以上説明したように、本変形例の農業支援システム1においては、装置側制御装置13A(「情報処理装置」の一例)は、測定装置と接続する接続部14を更に備え、接続部14は、複数の測定装置に共通に接続可能な機構を有する。これにより、本変形例の装置側制御装置13Aは、収穫物の重量を測定する場合には重量計12Bを、収穫物の寸法を測定する場合にはノギス12Aを、それぞれ接続部14を介して装置側制御装置13Aに接続させることができる。従って、本変形例の装置側制御装置13Aは、用途に応じて作物の情報を取得するために必要な測定装置を接続させ、不要な測定装置を取り外しておくことができる。このため、装置側制御装置13Aでは、測定する際に必要な測定装置だけを持ち運びすればよく、不要な測定装置を持ち運ぶ必要がなくなり、測定が容易となる。また、装置側制御装置13Aでは、接続部14が複数の測定装置に共通に接続可能であるため、接続部14を少なくとも一つ備えていればよく、複数の測定装置それぞれと専用に接続する接続部分が不要となる。このため、装置コストを抑制することができる。
【0085】
上述した実施形態における装置側制御装置13及び管理装置21の処理の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。ある実施形態の変形例が他の実施形態の変形例として用いられてもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。