特許第6570014号(P6570014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6570014多様化と欠陥発見のためのダイナミック・ビニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570014
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】多様化と欠陥発見のためのダイナミック・ビニング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20190826BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
【請求項の数】39
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-539523(P2017-539523)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公表番号】特表2017-536708(P2017-536708A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015056169
(87)【国際公開番号】WO2016064710
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年10月1日
(31)【優先権主張番号】62/065,752
(32)【優先日】2014年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/614,202
(32)【優先日】2015年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリハル マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アナンサ ヴィジャーサーガル
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0133737(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0050389(US,A1)
【文献】 特表2008−515239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するためのコンピュータで実施される方法であって、
ウェーハに関する検査結果を取得し、前記検査結果は、検査プロセスによって前記ウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含み、前記情報は、前記欠陥に関する少なくとも第1のセットの1つ以上の第1の属性の情報と、前記欠陥に関する少なくとも第2のセットの1つ以上の第2の属性の情報を含み、
前記1つ以上の第1の属性の値において最大の多様性を有する1つ以上の第1の属性の値を特定し、
前記特定された値に基づいて欠陥に関する1セットのビンを生成し、それによりビンそれぞれは値の一部にのみ対応し、また、ビンに対応する値が、前記1つ以上の第1の属性において多様性を有し、
前記欠陥に対応する前記1つ以上の第1の属性の値に基づいて前記欠陥をビンに分類し、
前記ビンのうち1つから、前記ビンのうち1つにおける欠陥を、1つ以上の第2の属性の値における多様性に基づいて選択し、
前記選択を、ビンのうち少なくとも別の1つに繰り返し、
前記ビンのうち1つと、前記ビンのうち少なくとも別の1つから選択された欠陥を含むウェーハに関する欠陥サンプルを作製し、前記取得、前記特定、前記生成、前記分類、前記選択、前記繰り返しおよび前記作製はコンピュータシステムによって実行される方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の第1の属性は、前記ウェーハ上の欠陥の背景の1つ以上の属性を含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の第2の属性は、検査プロセスにおいて欠陥に関して検出される信号の1つ以上の特徴を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェーハは未知の欠陥品率を有する方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の第1の属性と、前記セットに含まれるビンの個数はユーザによって選択される方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記ビンに分類される欠陥に基づいて前記ビンの1つ以上の特徴を判定し、前記選択の前にユーザに前記1つ以上の特徴を表示し、前記1つ以上の特徴の検証をユーザに要求することをさらに含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記ビンから選択された欠陥の1つ以上の特徴を判定し、前記作製の前にユーザに前記1つ以上の特徴を表示し、前記1つ以上の特徴の検証をユーザに要求することをさらに含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記ビンに分類された欠陥に基づいて前記ビンの第1の特徴を判定し、前記ビンから選択された欠陥の第2の特徴を判定し、
前記第1の特徴は前記第2の特徴と同じではなく、前記作製の前にユーザに前記第1と第2の特徴を表示し、前記第1と第2の特徴の検証をユーザに要求することをさらに含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記選択は、ビンのうち1つから選択された前記欠陥が、1つ以上の第2の属性の値において最大の多様性を有するように、多様性に基づいて実行される方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記選択は、多様性と、1つ以上のサンプルバイアスパラメータに基づいて実行される方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記ビンのうち1つから、欠陥の1つ以上の第3の属性の値における多様性に基づいてビンのうち1つにおける欠陥を個別に選択することをさらに含み、前記個別の選択を、前記ビンのうち少なくとも別の1つに対して繰り返すことをさらに含み、前記欠陥サンプルの作製は、前記ビンのうち1つから、また前記ビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、欠陥サンプルに加えることを含む方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の第2の属性の値に基づいて欠陥が選択されたビンに対する1セットのサブビンを生成することをさらに含み、それにより、前記サブビンそれぞれが前記1つ以上の第2の属性の値の一部にのみ対応し、前記サブビンに対応する前記1つ以上の第2の属性の値が、前記1つ以上の第2の属性において多様性を有する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、サブビンのうち1つから、前記サブビンのうち1つにおける欠陥を、欠陥の1つ以上の第3の属性の値における多様性に基づいて個別に選択することをさらに含み、前記個別の選択を、前記サブビンのうち少なくとも別の1つに対して繰り返すことをさらに含み、前記欠陥サンプルを作製することは、前記サブビンのうち1つから、また、前記サブビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、前記欠陥サンプルに加えることを含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、欠陥が選択される前記ビンそれぞれから同数の欠陥が選択される方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記選択は、欠陥が選択される前記ビンそれぞれに対して個別に実行される方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記生成は、前記検査結果から前記特定された値それぞれを有する前記欠陥のうち少なくとも1つをサンプリングし、そのサンプリングした、前記特定された値それぞれを有する前記欠陥のうち少なくとも1つに基づいて前記ビンを規定することを含む方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
欠陥が分類されるビンに関する情報を、ビンに分類される欠陥それぞれのビン属性として記憶することをさらに含み、前記選択および繰り返しは、前記欠陥のビン属性に基づいて実行される方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記方法と前記生成は、ビンを互いから隔てるカットラインを調整することを含まない方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記方法は1つ以上の別のウェーハに対して実行され、前記ウェーハに対して生成される1セットのビンは、前記1つ以上の別のウェーハに対する1セットのビンとしては用いられない方法。
【請求項20】
ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するためにコンピュータで実施される方法を実行するためのコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータで実施される方法は、
ウェーハに関する検査結果を取得し、前記検査結果は、検査プロセスによって前記ウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含み、前記情報は、前記欠陥に関する少なくとも第1のセットの1つ以上の第1の属性の情報と、前記欠陥に関する少なくとも第2のセットの1つ以上の第2の属性の情報を含み、
前記1つ以上の第1の属性の値において最大の多様性を有する1つ以上の第1の属性の値を特定し、
前記特定された値に基づいて欠陥に関する1セットのビンを生成し、それにより、ビンそれぞれは値の一部にのみ対応し、また、ビンに対応する値が、前記1つ以上の第1の属性において多様性を有し、
前記欠陥に対応する前記1つ以上の第1の属性の値に基づいて前記欠陥をビンに分類し、
前記ビンのうち1つから、前記ビンのうち1つにおける欠陥を、前記1つ以上の第2の属性の値における多様性に基づいて選択し、
前記選択を、ビンのうち少なくとも別の1つに繰り返し、
前記ビンのうち1つと、前記ビンのうち少なくとも別の1つから選択された欠陥を含むウェーハに関する欠陥サンプルを作製することを含む方法であるコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するように構成されたシステムであって、
前記ウェーハに関する検査結果を取得するように構成された検査サブシステムを含み、前記検査結果は、検査プロセスによって前記ウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含み、前記情報は、前記欠陥に関する少なくとも第1のセットの1つ以上の第1の属性の情報と、前記欠陥に関する少なくとも第2のセットの1つ以上の第2の属性の情報を含み、
システムはさらにコンピュータサブシステムを含み、前記コンピュータサブシステムは、
前記1つ以上の第1の属性の値において最大の多様性を有する1つ以上の第1の属性の値を特定し、
前記特定された値に基づいて欠陥に関する1セットのビンを生成し、その結果、ビンそれぞれは値の一部にのみ対応し、また、ビンに対応する値が、前記1つ以上の第1の属性において多様性を有し、
前記欠陥に対応する1つ以上の第1の属性の値に基づいて前記欠陥をビンに分類し、
前記ビンのうち1つから、前記ビンのうち1つにおける欠陥を、1つ以上の第2の属性の値における多様性に基づいて選択し、
前記選択を、ビンのうち少なくとも別の1つに繰り返し、
前記ビンのうち1つと、前記ビンのうち少なくとも別の1つから選択された欠陥を含むウェーハに関する欠陥サンプルを作製するように構成されている、
システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記1つ以上の第1の属性は、前記ウェーハ上の前記欠陥の背景の1つ以上の属性を含むシステム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムであって、前記1つ以上の第2の属性は、検査プロセスにおいて欠陥に関して検出される信号の1つ以上の特徴を含むシステム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、前記ウェーハは未知の欠陥品率を有するシステム。
【請求項25】
請求項21に記載のシステムであって、前記1つ以上の第1の属性と、前記セットに含まれるビンの個数はユーザによって選択されるシステム。
【請求項26】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記ビンに分類される欠陥に基づいて前記ビンの1つ以上の特徴を判定し、前記選択の前にユーザに前記1つ以上の特徴を表示し、前記1つ以上の特徴の検証をユーザに要求するように構成されるシステム。
【請求項27】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記ビンから選択された欠陥の1つ以上の特徴を判定し、前記作製の前にユーザに前記1つ以上の特徴を表示し、前記1つ以上の特徴の検証をユーザに要求するように構成されるシステム。
【請求項28】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記ビンに分類された欠陥に基づいて前記ビンの第1の特徴を判定し、前記ビンから選択された欠陥の第2の特徴を判定するように構成され、前記第1の特徴は前記第2の特徴と同じではなく、さらに、前記作製の前にユーザに前記第1と第2の特徴を表示し、前記第1と第2の特徴の検証をユーザに要求するように構成されるシステム。
【請求項29】
請求項21に記載のシステムであって、前記選択は、ビンのうち1つから選択された前記欠陥が、1つ以上の第2の属性の値において最大の多様性を有するように、多様性に基づいて実行されるシステム。
【請求項30】
請求項21に記載のシステムであって、前記選択は、多様性と、1つ以上のサンプルバイアスパラメータに基づいて実行される方法。
【請求項31】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記ビンのうち1つから、欠陥の1つ以上の第3の属性の値における多様性に基づいてビンのうち1つにおける欠陥を個別に選択するように構成され、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記個別の選択を、ビンのうち少なくとも別の1つに対して繰り返すことをさらに含み、前記欠陥サンプルの作製は、ビンのうち1つから、またビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、欠陥サンプルに加えることを含むシステム。
【請求項32】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、1つ以上の第2の属性の値に基づいて欠陥が選択されるビンに対する1セットのサブビンを生成するように構成され、それにより、前記サブビンそれぞれが1つ以上の第2の属性の値の一部にのみ対応し、前記サブビンに対応する1つ以上の第2の属性の値が、1つ以上の第2の属性において多様性を有するシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、サブビンのうち1つから、前記サブビンのうち1つにおける欠陥を、欠陥の1つ以上の第3の属性の値における多様性に基づいて個別に選択するように構成され、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記個別の選択を、前記サブビンのうち少なくとも別の1つに対して繰り返すことをさらに含み、前記欠陥サンプルの作製は、前記サブビンのうち1つから、また、前記サブビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、前記欠陥サンプルに加えることを含むシステム。
【請求項34】
請求項21に記載のシステムであって、欠陥が選択される前記ビンそれぞれから同数の欠陥が選択されるシステム。
【請求項35】
請求項21に記載のシステムであって、前記選択は、欠陥が選択される前記ビンそれぞれに対して個別に実行されるシステム。
【請求項36】
請求項21に記載のシステムであって、前記生成は、前記検査結果から前記特定された値それぞれを有する前記欠陥のうち少なくとも1つをサンプリングし、前記サンプリングされた、前記特定された値それぞれを有する前記欠陥のうち少なくとも1つに基づいて前記ビンを規定することを含むシステム。
【請求項37】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムはさらに、欠陥が分類されるビンに関する情報を、ビンに分類される欠陥それぞれのビン属性として記憶するように構成され、前記選択および繰り返しは、前記欠陥のビン属性に基づいて実行されるシステム。
【請求項38】
請求項21に記載のシステムであって、前記コンピュータサブシステムによって実行されるステップは、ビンを互いから隔てるカットラインを調整することを含まないシステム。
【請求項39】
請求項21に記載のシステムであって、前記ウェーハに対して生成されるセットのビンは、1つ以上の別のウェーハに対する1セットのビンとしては用いられないシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ウェーハの欠陥サンプルを生成するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明と例は、このセクションに含まれるからといって先行技術であるとは認められない。
【0003】
ウェーハ検査レシピの設定中の最も重要なタスクのうち1つは、ウェーハ上で検出され得る可能な限り多くの欠陥のタイプを特定することである。自動レシピ設定と調整が一層重要になるにつれ、この最適化のための欠陥の有効なセットを自動的に特定する必要も、より一層重要になっている。有効な訓練セットなしでは、自動最適化はうまく機能しない。さらに、製造立ち上がり中に、高率且つ未知の欠陥品率が問題である場合、ウェーハ上の全ての欠陥を特定することも同様に重要である。この状況において関心は主に致命的欠陥にある。
【0004】
最大の欠陥タイプ多様性を達成する有効なサンプリングアルゴリズムを開発する必要は、光学検査における挑戦が進展するにつれ増大してきた。注目すべき重要な欠陥(DOI)のサイズが縮小するにつれ、光学検査はこれらの欠陥に対して異なる感応性を維持することに取り組んだ。所望の感応性を達成するために、検査は、洗練された欠陥検出アルゴリズムというよりは、欠陥特性(または属性)の豊富さを利用する複雑な妨害フィルタに依存することが多い。しかしながら、そのようなフィルタの調整は、全ての欠陥タイプを表す欠陥母集団を要する。
【0005】
母集団から欠陥をサンプリングするために現在用いられているいくつかの方法の例は、2001年7月24日にSimmonsに発行された米国特許第6,265,232号明細書、2003年9月2日にSimmonsに発行された米国特許第6,613,590号明細書、2004年9月14日にHosoyaらに発行された米国特許第6,792,367号明細書、2005年5月10日にSimmonsに発行された米国特許第6,890,775号明細書、2011年3月22日にShibuyaらに発行された米国特許第7,912,276号明細書、2005年7月21日にSimmonsに発行された米国特許出願公開第2005/0158887号明細書、2008年11月27日にNehmadiらに発行された米国特許出願公開第2008/0295048号明細書に記載され、上記特許文献は、本明細書に完全に記載されたように引用により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0287751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記の1つ以上のアプリケーションに用いられ得るウェーハの欠陥サンプルを生成するためのシステムおよび/または方法を開発することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
様々な実施形態に関する以下の説明は、添付の特許請求の範囲の主題を如何なる意味でも限定すると解釈されるものではない。
【0009】
一実施形態は、欠陥サンプルを生成するためのコンピュータで実施される方法に関する。方法は、ウェーハの検査結果を取得することを含む。検査結果は、検査プロセスによってウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含む。情報は、欠陥に関する少なくとも第1のセットの1つ以上の第1の属性の情報と、欠陥に関する少なくとも第2のセットの1つ以上の第2の属性の情報を含む。方法は、1つ以上の第1の属性の値において最大の多様性を有する1つ以上の第1の属性の値を特定することも含む。加えて、方法は、特定された値に基づいて欠陥に関する1セットのビンを生成することを含み、ビンそれぞれが値の一部にのみ対応し、また、ビンに対応する値が、1つ以上の第1の属性において多様性を有する。方法はさらに、欠陥に対応する1つ以上の第1の属性の値に基づいて欠陥をビンに分類することを含む。方法は、ビンのうち1つにおける欠陥を、1つ以上の第2の属性の値における多様性に基づいてビンのうち1つから選択し、その選択ステップを、ビンのうち少なくとも別の1つに繰り返すことも含む。加えて、方法は、ビンのうち1つと、ビンのうち少なくとも別の1つから選択された欠陥を含むウェーハに関する欠陥サンプルを作製することを含む。取得、特定、生成、分類、選択、繰り返しおよび作製ステップはコンピュータシステムによって実行される。
【0010】
上記の方法は、本明細書でさらに説明されるように実行されてもよい。加えて、上記の方法は、本明細書で説明される任意の別の方法(複数)の任意の別のステップ(複数)を含んでもよい。さらに、上記の方法は、本明細書で説明されるシステムのいずれによって実行されてもよい。
【0011】
別の実施形態は、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するためのコンピュータで実施される方法を実行するコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。コンピュータで実施される方法は、上記の方法のステップを含む。コンピュータ可読媒体はさらに、本明細書で説明されるように構成されてもよい。コンピュータで実施される方法のステップは、本明細書でさらに説明されるように実行されてもよい。加えて、プログラム命令が実行される対象のコンピュータで実施される方法は、本明細書で説明される任意の別の方法(複数)の任意の別のステップ(複数)を含んでもよい。
【0012】
別の実施形態は、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するように構成されたシステムに関する。システムは、ウェーハに関する検査結果を取得するように構成された検査サブシステムを含む。検査結果は上記の情報を含む。システムは、上記の方法の特定、生成、分類、選択、繰り返しおよび作製ステップを実行するように構成されたコンピュータサブシステムも含む。システムはさらに、本明細書で説明されるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のその他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照すれば明らかとなろう。
【0014】
図1】ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するための方法のいくつかの実施形態に含まれ得る別々のステップを示した模式図である。
図2】本明細書で説明されるコンピュータで実施される方法のうち1つ以上を実行するコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体の一実施形態を示したブロック図である。
図3】ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するように構成されたシステムの一実施形態の側面図を示す模式図である。
【0015】
本発明は様々な変更および別の形態の影響を受けるが、その特定の実施形態が例として図面に示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、図面とその詳細な説明は、本発明を開示される特定の形態に限定する意図はなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲に属する全ての変更、等価物および別形態を網羅することを意図していることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照すると、図は縮尺通りに描かれていないことに留意すべきである。特に、図のいくつかの要素の縮尺は要素の特性を強調するために大きく誇張されている。図は同じ縮尺で描かれていないことにも留意すべきである。2つ以上の図で描かれた、同様の構成の要素は、同じ参照番号を用いて示されている。本明細書に別段明記されない限り、説明され示される要素はいずれも、任意の適切な市販の要素を含んでもよい。
【0017】
1つの実施形態は、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するためのコンピュータで実施される方法に関する。一般に、本明細書で説明される実施形態は欠陥タイプの発見等のアプリケーションで用いられ得る新規の多様化方法およびシステムを提供する。本明細書で説明される実施形態は基本的に、光学系モード選択またはその他の目的の欠陥母集団が生成される方式を基本的に変更する。本明細書で説明される実施形態はオフライン方法として実施され得る。例えば、本明細書で説明される実施形態は、カリフォルニア州ミルピタスのケーエルエー・テンカー(KLA−Tencor)から市販されている、分類器調整向けに設計された、IMPACT、オフラインアプリケーションで実施され得る。
【0018】
本明細書で説明される実施形態は、改善された多様化および欠陥発見のためのダイナミック・ビニングを提供する。多様なセットの欠陥のサンプリングは、特に比較的多数の欠陥を有する、ウェーハの欠陥タイプを発見するための強力な技法である。多様な欠陥サンプルを生成するために用いられ得る方法およびシステムの例は、本明細書に完全に記載されているかのように引用により組み込まれる、2014年5月15日に公開された、Plihalらよる米国特許出願公開第2014/0133737号明細書に説明されている。そのような方法およびシステムのうちいくつかは、ユーザが選択可能なフィーチャ空間、およびこの空間において可能な限り互いから離れている欠陥の選択、という2つの基本原理のもとに構築されている。欠陥発見に関して、このサンプリングスキームは、多様化のために比較的小さいフィーチャ空間を選択するために有効に用いられ得るドメイン知識に依存する。
【0019】
上記で引用した特許出願で説明される方法およびシステムは、他の欠陥サンプリング方法およびシステムよりも大きな利点を提供するが、本明細書で説明される実施形態は、当該特許出願で説明されたものを改良するサンプリングスキームを提供する。例えば、当該特許出願に記載される手法の1つの潜在的な問題は、多様化の目的が増加するにつれ(言い換えると、多様化フィーチャ空間の次元が増加した場合)、サンプルを有効に多様化する能力が低下するということである。これは、欠陥が見つかる状況に関する多様化、および信号属性に関する多様化等の、多数の多様化目的を達成することが目標である場合に問題となり得る。これら2つの多様な目的を同時に満たそうとすると、フィーチャ空間を希薄にし、2つの目的いずれを達成するにしても、効率が低下する。本明細書で説明される実施形態は、直観的、設定可能且つ検証可能なプロセスでこれに対処する。例えば、本明細書でさらに説明されるように、実施形態は、現行の方法およびシステムよりもずっと効率良く、多数の多様化目的を達成できる方法およびシステムを提供する。加えて、本明細書でさらに説明されるように、実施形態は、ユーザがより検証しやすい多様化目的の、より直観的な段階的設定を提供する。
【0020】
方法は、ウェーハに関する検査結果を取得することを含む。検査結果は、検査プロセスによってウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含み、情報は、少なくとも、欠陥に関する第1のセットの1つ以上の第1の属性に関する情報と、欠陥に関する第2のセットの1つ以上の第2の属性に関する情報を含む。ユーザは、方法で用いる検査結果ファイルを選択してもよい。検査結果は、ウェーハ上で検出された欠陥の位置等の、ウェーハ上で検出された欠陥に関する情報と、欠陥に関して判定された欠陥属性等の、ウェーハ上で検出された欠陥に関する任意の別の情報と、欠陥に関して生成された画像データまたは画像を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、1つ以上の第1の属性は欠陥の背景または状況の1つ以上の第1の属性を含む。例えば、1つ以上の第1の属性、またはそれ以上の第1の属性は、欠陥の輝度、テクスチャ等、または欠陥の周囲のパターン等の、欠陥の周囲の状況を表す属性を含んでもよい。次にこれらの属性またはそれらのサブセットは、欠陥が位置している状況に関して欠陥を多様化するために、本明細書でさらに説明されるように用いられ得るダイナミックビンを本明細書でさらに説明されるように作製するために用いられ得る。1つ以上の第1の属性は、欠陥の、別の非状況関連属性および/または、欠陥の1つ以上の状況関連属性と1つ以上の非状況関連属性をも含んでもよい。
【0022】
上記のように、状況に関する第1の属性(複数)は、ウェーハに関する検査システムの出力から判定され得る。言い換えると、第1の属性(複数)は、その状況が検査システムの出力にどのように現れるかに関連し得る。しかしながら、その状況に関連する第1の属性(複数)は、ウェーハのデザインデータ等の別のソースからも判定され得る。例えば、第1の属性(複数)として用いられ得るいくつかの状況関連属性は、状況を特徴付けるために用いられ得るパターン密度等のデザインに基づく属性を含む。
【0023】
さらに、第1の属性(複数)は、欠陥のすぐ周辺の画素を特徴付ける1つ以上の属性およびその光学応答特性を含むが、欠陥信号自体は含まないことがある。したがって、そのような属性は、上記の状況関連属性よりもずっと小さい状況に関するものであり得る。そのような属性の例は、カリフォルニア州ミルピタスのケーエルエー・テンカー(KLA−Tencor)から市販されているいくつかの検査システムによって用いられるマルチダイ自動閾値設定(MDAT)アルゴリズム等の欠陥検出アルゴリズムによって定められるグレーレベル(例えば「MDAT_GL」)、欠陥を検出するために用いられる基準画像の粗さ(「REFERENCE_Roughness」)、欠陥を検出するために用いられる基準画像の輝度(「REFERENCE_Brightness」)および極性(例えば、欠陥信号が周囲信号に比べて明るいか暗いか)を含む。
【0024】
別の実施形態において、1つ以上の第2の属性は、欠陥に関して検出された信号の1つ以上の属性を含む。例えば、1つ以上の第2の属性は、光信号の、エネルギー、マグニチュード等の属性を含んでもよい。第2の属性(複数)の別の例は、欠陥検出アルゴリズムによって算定されたエネルギーパラメータ(「Energy_Param」)と、欠陥検出アルゴリズムによって算定されたその他のパラメータ(例えば、「IMX_Param3」、「IMX_Param5」および「SpotLikeness」)を含む。1つ以上の第2の属性は、欠陥のその他の非信号関連属性および/または欠陥の1つ以上の信号関連属性と1つ以上の非信号関連属性も含み得る。
【0025】
第1の属性(複数)と第2の属性(複数)は、本明細書で説明される実施形態で用いられる多様化基準に依存して変わってもよく、それは、ユースケース、ウェーハ、プロセスステップ等によって変わり得る。例えば、第1および/または第2の属性(複数)の別の例は、ケアエッジに対する欠陥位置、ダイ内の欠陥位置、欠陥とウェーハエッジの間の距離等を含む。加えて、本明細書で説明される実施形態は、本明細書で説明される第1と第2の属性(複数)に限定されない。言い換えると、本明細書で説明される実施形態は、ウェーハ欠陥に関して判定され得る任意の第1と第2の属性を用いるように構成され得る。
【0026】
方法は、1つ以上の第1の属性の値において最大の多様性を有する1つ以上の第1の属性の値を特定することも含む。1つ以上の第1の属性は、本明細書でさらに説明されるように、本明細書で説明される実施形態で用いるように選択されてもよい。第1の属性(複数)に関して最大の多様性を有する値を特定することは、第1の属性(複数)に依存して様々な方式で実行されてもよい。加えて、本明細書でさらに説明されるように、第1の属性(複数)の多様な値が、欠陥に関するビンを規定するために用いられるため、第1の属性(複数)の値における多様性は、方法で用いるように選択されたビンの個数に基づいて決定され得る。例えば、方法で用いるように選択されたビンの個数が10個であれば、最大の多様性を有する第1の属性(複数)の10個の値が特定され得る。第1の属性(複数)のうち1つの値が離散「値」である(第1の属性(複数)のうち1つの値の連続した範囲とは対照的に)いくつかの例において、最大の多様性を有すると特定された値は、互いから最も異なる値であり得る。そのような多様性は、第1の属性(複数)のうち1つが欠陥の状況(または欠陥位置にある、あるいは欠陥位置近傍にあるパターン付きフィーチャ)に関連する場合等は、数値的に規定し難い「価値」としても規定され得る。したがって、第1の属性(複数)の「価値」は数値に限定されず、代わりに、質的なタイプの値であり得る。第1の属性(複数)のうち1つの値が、値の連続した範囲内にある場合、全範囲を、方法で用いるビンの個数で割って、全範囲内の値の別々の重複しないサブセットを生成してもよい。
【0027】
一実施形態において、第1の属性(複数)と本明細書でさらに説明されるように生成されるセットに含まれるビンの個数はユーザによって選択される。本明細書でさらに説明される多様化ビンの概念は、多様化目標と優先度の間のバランスを変更するために、ビンの個数自体が用いられ得るため、非常に強力である。所与のフィーチャ部分空間からより多数のビンが作製されるほど、この空間における最終サンプリングスキームが多様化に関してより厳格になり、他方で、ビンの個数がより少なければ逆の効果をもたらす。いくつかの実施形態において、方法は、ユーザに第1の属性(複数)およびビンの個数を要求することを含んでもよい。次に方法のステップは、その情報を受け取ったときに実行されてもよい。いくつかのそのような例において、方法は、検査結果に含まれる欠陥属性全てをユーザに対して表示し、第1の属性(複数)として用いる1つまたは全ての欠陥属性を選択するようにユーザに要求することを含んでもよい。
【0028】
方法はさらに、ビンそれぞれが値の1つの部分のみに対応するように、且つ、そのビンに対応する値が第1の属性(複数)において多様性(例えば最大の多様性)を有するように、特定された値に基づいて欠陥に対するビンのセットを生成することを含む。言い換えると、方法で用いられるビンは、ビンそれぞれが特定された値のうち1つのみに対応するように、特定された値に基づいて規定されてもよい。したがって、本明細書で説明される実施形態は、特定の多様化を念頭に置いて、1つのフィーチャ空間における多様化プロセスによって達成されるダイナミック・ビニングの概念を利用する。いくつかの実施形態において、ビンのセットを生成することは、検査結果から特定された値それぞれを有する欠陥のうち少なくとも1つをサンプリングし、そのサンプリングした、特定された値それぞれを有する欠陥のうち少なくとも1つに基づいてビンを規定することを含む。例えば、多様化は、第1の属性空間(複数)における欠陥の多様なセットをサンプリングし、サンプリングされた欠陥をシードとして有する最近傍ビンを作製することによって遂行され得る。上記のビン作製は、多様性サンプリング自体に統合されてもよいし、または、サンプリングとは個別に且つ独立して実行することもできる。
【0029】
いくつかのそのような実施形態において、図1に示すように、方法は、ステップ100に示すように、多様性サンプリングを特定の空間で実行することを含んでもよい。このステップは、多様な状況等の第1の属性(複数)の多様な値を取得するために実行されてもよい。例えば、状況空間(欠陥の状況が、欠陥の位置にある、および/または欠陥の位置付近にあるパターン付きフィーチャによって規定される位置)における多様なサンプリングは、図1に、状況104、106、108および110のセット102として示される多様な状況のセットを生成してもよく、状況はそれぞれ互いから実質的に違っており、したがって多様である。図1に示す状況は、本発明のさらなる理解のためのみであり、任意の実際のウェーハ上に形成され得る任意の実際の状況を示す意図はないことに留意すべきである。加えて、本明細書で説明される実施形態は、ウェーハ上で検出される任意の欠陥のために用いられ得るため、これらの状況では欠陥が全く示されていないことにも留意すべきである。さらに、図1に示す状況は、ウェーハのデザインで見え得るように示されているが、方法において用いられる状況はウェーハ欠陥の画像から判定され得るため、デザイン上のようにではなく、ウェーハ検査によって生成したウェーハの画像のように見える。さらに、図1では1セットの状況が4つの異なる状況を含むように示されているが、セットに含まれる異なる状況の個数は、ユーザによって選択されるビンの個数に従って変化し得ることは明らかである。
【0030】
図1に示す実施形態は、ステップ112に示すような多様性サンプリングの検証を含む。多様性サンプリングの検証は、図1に示す多様な状況等の第1の属性(複数)の多様な値をユーザに表示し、ユーザに、多様性サンプリングの検証を要求することを含む。このように、多様性サンプリングの検証は、ユーザによって少なくとも部分的に視覚的に行われてもよい。多様性サンプリングの検証は、サンプリングされた欠陥が、実質的に異なる状況等の、第1の属性(複数)の多様なセットを生成するという検証と、比較的互いに接近した第1の属性(複数)の値が実質的に互いに等しいという検証をも含んでもよい。そのような検証はユーザによって行われてもよい。第1の欠陥属性(複数)に関して多様性サンプリング結果の検証に関するユーザからの入力を受け取ると、方法は、多様性サンプリングの変更または本明細書で説明される別のステップの実行等のいくつかのステップを含んでもよい。
【0031】
方法は、欠陥に対応する第1の属性(複数)の値に基づいて欠陥をビンに分類することを含む。例えば、第1の属性(複数)の特定された値を有するサンプリングされた欠陥をシードとして有するビンが上記のように生成されると、これらのサンプリングされた欠陥は、残りの欠陥を、最近傍概念に基づいてビンに分類するために用いられる。
【0032】
別の実施形態において、方法および生成ステップは、ビンを互いから隔てるカットラインの調整を含まない。したがって、本明細書で説明されるビンが作製/練成される方式は新規のものと思われる。特に、ビンの作製中にカットライン調整を実行する代わりに、ビンの作製は、ユーザが定めたフィーチャ選択にのみ基づくものであってよく、サンプルサイズの選択がビニングを定め、ビンの質は、本明細書でさらに説明されるように実行され得るパッチ検査、散布図分布等によって視覚的に多様性を検証することによって判定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、方法は、ビンに分類された欠陥に基づいてビンの1つ以上の特徴を判定し、本明細書においてさらに説明する選択ステップの前にユーザに1つ以上の特徴を表示し、1つ以上の特徴の検証をユーザに要求することを含む。このように、方法は、欠陥のビンへの分類の検証を含んでもよい。欠陥のビニングの検証は、ビニングの結果をユーザに表示し、ユーザにビニングの検証を要求することを含み得る。こうして、多様性サンプリングの検証は視覚的に行われ得る。欠陥のビンへの分類の検証は、サンプリングされた欠陥で作製されたビン内の欠陥に大きなばらつきがないという検証を含んでもよい。図1のステップ114に示すように、方法は、多様化を満足するまで上記のプロセスを繰り返すことも含んでもよい。言い換えると、第1の属性(複数)の多様な値の判定、ビンの生成、欠陥のビンへの分類は、ユーザがビニングの結果を検証するまで、および/または方法が、ビニングの結果が何らかの予め定められた基準に合致するということを判断するまで繰り返し実行されてもよく、その基準はやはりユーザによって予め設定されてもよい。図1のステップ116にさらに示すように、方法は、ビンへの多様化を暗号化することを含んでもよい。例えば、所望の多様化が得られた場合、多様化はサンプリングされた欠陥に集中したビン(すなわちサンプリングされた欠陥によって規定された最近傍ビン)に符号化されてもよい。
【0034】
方法は、ビンのうち1つから、そのビンのうち1つにおける欠陥を、1つ以上の第2の属性の値における多様性に基づいて選択し、その選択ステップを、ビンのうち少なくとも別の1つに繰り返すことも含んでもよい。いくつかの実施形態において、選択ステップは、ビンのうち1つから選択された欠陥が、1つ以上の第2の属性の値において最大の多様性を有するように、多様性に基づいて実行される。このように、離散したフィーチャ(例えばビンまたはグループ)に関する多様化が、距離尺度の代わりに離散値にわたるサンプル分布に関して規定される。言い換えると、新たに作製されたビンが、最終多様化サンプリングにおける欠陥フィーチャとして用いられ得る。例えば、図1のステップ118に示すように、方法は、ビンとその他の属性を用いてサンプリングを実行することを含んでもよい。このステップは、上記のように作製されたビンを、本明細書で説明される「その他の」属性(複数)と共に用いて所望のサンプリング戦略を設定してサンプリングを実行することを含み得る。離散した属性(ビンそれぞれに対応する離散した第1の属性(複数)の値等)における最良の多様化は、各離散値からほぼ同数の欠陥をサンプリングことによって達成される。そのため、いくつかの実施形態において、欠陥が選択されるビンそれぞれから同数の欠陥が選択される。対照的に、連続した属性における最良な多様化は、可能な限り互いに離れた(すなわち距離に基づいて)欠陥をサンプリングすることによって達成される。
【0035】
したがって、本明細書で説明される実施形態は、フィーチャ空間のより小さい部分空間内で多様化ビンを生成して特定のタイプの多様化を達成し、次にこれらのビンを用いて異なる部分空間内での効率良い同時の多様化を達成することに基づく。実施形態は、本明細書でさらに説明されるように付加的な属性(複数)に関する欠陥も多様化できる。したがって個々の多様化戦略は、本明細書で説明される実施形態によって単一の多様化プロセスに統合されることができる(例えば、本明細書で説明されるユーザが設定可能なプロセスによって、また、新たに作製されたビンを別のフィーチャと組み合わせることによって)。第2の多様化は、第1の多様化とは完全に異なるフィーチャ空間を用いるが、両方の目的が、第2の多様化におけるフィーチャのうち1つとしてビン属性を用いることによって達成される。そのため、本明細書で説明される実施形態は、現行の方法およびシステムよりもずっと効率よく多数の多様化目的を達成できて、多様化目的の、より直観的で段階的な設定を提供する。したがって、本明細書で説明される実施形態の利点は、この方法が、多様化プロセスを、直観的で、制御され且つ検証可能なステップに分割する直観的な方式を提供することである。これらのステップは、全ての部分的な目的を同時に且つ寧ろ良好に達成する包括的な多様化戦略に統合され得る。本明細書で説明される実施形態は、特に比較的小型のサンプルに関する多様化効率を増加させる実質的に有効な次元縮退も提供する。加えて、本明細書で説明される実施形態は、比較的高次元フィーチャ空間における欠陥サンプル多様化の新規の次元縮退技法をもたらす。さらに、本明細書で説明される実施形態は、比較的複雑なサンプリング戦略実施における先例のない融通性を提供する。
【0036】
別の実施形態において、選択ステップは、欠陥が選択されるビンそれぞれに関して個別に実行される。例えば、欠陥がビニングされた部分母集団それぞれは、欠陥の別の部分母集団それぞれから個別に考慮されてもよい。このように、第2の属性(複数)に関する欠陥の多様性は各部分母集団で個別に考慮されてもよい。そのため、個別で独立した多様化は、離散したビン特性を第2の多様化空間に組み合わせることによって自動的に達成され得る。例えば各ビンからほぼ同じサンプルが選択されることができ、それは次に、第2の属性(複数)に関する多様化を、各ビンに関して本質的に独立したプロセスにする。第2の属性(複数)における多様化に関してビンそれぞれから欠陥を個別に選択することは、第2の属性(複数)の欠陥多様性がビン毎に異なり得るため重要であり得る。例えば、第1の属性(複数)が欠陥状況に関連し、第2の属性(複数)が欠陥信号に関連する場合、1つの状況における欠陥は、別の状況における欠陥に比べて、欠陥信号において別の多様性を提示する場合がある。
【0037】
別の実施形態において、選択ステップは、多様性と1つ以上のサンプルバイアスパラメータに基づいて実行される。1つ以上のサンプルバイアスパラメータが、本明細書で説明される実施形態のユーザから受け取られてもよい。例えば、ユーザが、ウェーハ上に存在する、特に注目すべき重要な欠陥のタイプに関する事前の知識を有している場合、ユーザは、これらのタイプの欠陥の予測される属性(複数)に基づいてバイアスパラメータを設定し、他のタイプの欠陥よりもこれらの欠陥が、欠陥サンプルにより大量に含まれるように選択されるようにしてもよい。そのような1つの例において、ユーザが、特定の注目すべき重要な欠陥タイプが、その欠陥信号に特定の極性を有するはずであるということを知っている場合、バイアスパラメータ(複数)は、反対の極性を有する欠陥よりも、その極性をより重度に有する欠陥をビンから選択するように設定される。バイアスパラメータ(複数)は、選択ステップに用いられる方法および/またはアルゴリズムに任意の適切な方式で組み込まれてもよい。こうして、本明細書で説明される実施形態は、同様に或る特定のタイプの欠陥にバイアスされる多様なサンプルを作製するように構成されてもよい。
【0038】
別の実施形態において、方法は、欠陥が分類されるビンに関する情報を、ビンに分類される欠陥それぞれのビン属性として記憶することを含み、上記の選択および繰り返しステップは、欠陥のビン属性に基づいて実行される。例えば、本明細書で説明される実施形態は、後で最終欠陥サンプリングにおいて多様化フィーチャに付加され得る新たな欠陥(ビン)属性の形態でサンプリング結果を保存する能力をもたらす設定および実行能力を有してもよい。加えて、作製されたビン(またはビン属性)は、ロット結果(すなわち検査結果データファイル)に新たな欠陥フィーチャまたは有用な情報源として保存されるか、またはそれらはサンプリングにのみ用いられる過渡的なフィーチャまたは属性である場合もある。本明細書で説明される実施形態は、必要なデータ(ビン)を作製し、最終サンプルを実行するために様々に事前設定されたサンプリングスキームのシーケンサを構築するための設定と実行能力も有していてよい。
【0039】
一実施形態において、第1の属性(複数)は、ウェーハ上の欠陥の背景の1つ以上の属性を含んでもよい(背景が、欠陥パッチ画像内に見える欠陥の背後のパターンである場合)。別の実施形態において、第2の属性(複数)は、検査プロセスにおいて欠陥に関して検出される信号の1つ以上の特徴を含む。例えば、本明細書でさらに説明されるように、ユーザは画像パッチ背景に基づいて欠陥母集団を多様化し、多様化の有効性を、サンプリングされた欠陥のパッチを検査することによって検証し、次にそれらが良好であれば多様化をビンにロックする。第2のステップにおいて、ユーザは、多様化を背景に対して維持するため、また、欠陥(信号)属性(複数)に関する多様化を付加する等のためにビンを用いてもよい。こうして、ユーザは欠陥状況に関して多様化でき(新たに作製されたビンに符号化して)、次に、各状況から比較的大きなエネルギー欠陥をサンプリングできる。
【0040】
一実施形態において、方法はビンから選択された欠陥の1つ以上の特徴を判定し、本明細書においてさらに説明する作製ステップ前にユーザに1つ以上の特徴を表示し、1つ以上の特徴の検証をユーザに要求することを含む。ビンから選択される欠陥の1つ以上の特徴は、本明細書でさらに説明されるように判定されてもよく、本明細書でさらに説明されるように表示されてもよい。加えて、これらの1つ以上の特徴の検証をユーザに要求することが、本明細書でさらに説明されるように実行されてもよい。こうして、少なくとも一部の属性(または属性それぞれ)に関する多様化が、欠陥サンプルが作製される前に検証され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、方法は、ビンに分類された欠陥に基づいてビンの第1の特徴を判定することを含み、方法は、ビンから選択された欠陥の第2の特徴を判定することも含み、第1の特徴は第2の特徴と同じではなく、方法はさらに、本明細書においてさらに説明する作製ステップ前にユーザに第1と第2の特徴を表示し、第1と第2の特徴の検証をユーザに要求することを含む。言い換えると、多様化に用いられている属性(複数)に基づいて、ビニングまたはサンプリングの結果がユーザに表示されてもよい。そのため、本明細書で説明されるステップの結果の異なる特徴が、そのステップで用いられる属性(複数)に基づいて確認のためにユーザに表示されてもよい。例えば、画像パッチを見ることで確認され得る多様化もあれば、散布図による検証を要する多様化もあり得る。いずれにせよ、多様化に用いられる属性(複数)に基づいてユーザに結果を表示できることは、結果を、ユーザによってより容易に検証可能にできる。
【0042】
第1の属性(複数)が状況に関連し、第2の属性(複数)が欠陥信号に関連する、図1に示すそのような一例において、サンプリング結果120および122がユーザに表示されてもよい。これらのサンプリング結果で見られるように、劇的に異なる情報が劇的に異なる様式でユーザに伝えられる。例えば、結果120は、ビンを作製するために用いられる第1の属性(複数)が状況に関連する場合に表示され得る結果の一例である。この表示において、パレートが方法によって生成されて表示されており、異なる状況関連ビンに分類された欠陥の個数と、各ビンからサンプリングされた欠陥の個数を示している(パターンを含む棒の部分は各ビンからサンプリングされた欠陥の部分を表し、パターンを含まない棒の部分は、各ビンからサンプリングされたのではない欠陥の部分を示す)。図1において、異なる状況関連ビンのうち少なくともいくつかからサンプリングされた欠陥の異なる部分は、異なる(すなわち、状況関連ビン毎に同じではない)ように示されているが、状況関連ビンそれぞれから欠陥の同じ部分または個数が選択されてもよい(任意の1つの状況関連ビンに含まれる欠陥の個数が、各ビンから選択された欠陥の個数未満でなければそうなるが、個数未満の場合は、ビンに含まれる全ての欠陥が選択されてもよい)。こうして、ユーザは、全てのビンが徹底的にサンプリングされ、また、サンプルに全ての状況が表されているかどうかを、表示された結果から容易に判断できる。
【0043】
結果122は、ビンを作製するために用いられる第2の属性(複数)が欠陥信号に関連する場合に表示され得る結果の一例である。この表示において、散布図が方法によって生成されて表示されており、ウェーハ上で検出された欠陥の欠陥信号の第2の属性(複数)ならびに、ウェーハ上で検出された欠陥の母集団全体からサンプリングされた欠陥の欠陥信号の第2の属性(複数)を示している。特に、図に示す黒丸は、母集団に含まれていてサンプリングされなかった欠陥を表すのに対し、図の白四角は、同じ母集団に含まれていてサンプリングされた欠陥を表す。したがって、ユーザは、欠陥属性(複数)の「その他の」空間も徹底的にサンプリングされたかどうかを、これらの表示された結果から容易に判断できる。このように、ユーザに異なる結果を表示することにより、ユーザは両方(または全て)の多様化目的が達成されたかどうかを判断できる。したがって、本明細書で説明されるように、実施形態は、多数の多様化目的を設定するために人による入力と検証に依存してもよい。加えて、検証のためにユーザに表示される、本明細書で説明されるステップの結果は、方法で用いられる属性(複数)に基づいて図1に示される結果とは別の結果を含んでもよい。
【0044】
方法は、ビンのうち1つと、ビンのうち少なくとも別の1つから選択された欠陥を含むウェーハに関する欠陥サンプルを作製することも含む。言い換えると、全てのビンからの全てのサンプリングされた欠陥に関する情報は、単一のファイルに統合されて、それにより1つの欠陥サンプルを作製してもよい。作製された欠陥サンプルは検査結果ファイルとして出力されてもよく、検査結果ファイルは、任意の他の方法またはシステムによって使用されても、あるいは、本明細書で説明される方法およびシステムによって使用されてもよい。作製された欠陥サンプルを含む検査結果ファイルはさらに、本明細書で説明される実施形態によって作製される欠陥サンプルに関して生成された任意の情報を、本明細書で説明される実施形態によって用いられる任意の情報を含むオリジナル検査結果ファイルからの任意の他の情報と組み合わせて含んでもよい。
【0045】
本明細書ではいくつかの実施形態は、2セットの欠陥属性に関して説明されるが、多様化目的の個数は2より多くてもよい。多数の多様化目的の場合、多数のセットのビン属性が作製されてもよく、それぞれ1つが各多様化目的向けであり、最終サンプリングスキームにおいて用いられる。そのような実施形態のうちいくつかが、以下により詳細に説明される。しかしながら、ここでは2ステップの多様化のみを実験的に特徴付けており、その部分こそに、全体的な多様化における顕著な改良を見出している。
【0046】
いくつかの実施形態において、方法は、欠陥の1つ以上の第3の属性の値における多様性に基づいて、ビンのうち1つにおける欠陥を、ビンのうち1つから個別に選択することを含み、方法は、個別に選択するステップをビンのうち少なくとも別の1つに関して繰り返すことも含み、欠陥サンプルを作製することは、ビンのうち1つから、また、ビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、欠陥サンプルに加えることを含む。こうして、第1の属性(複数)における多様性に基づいて作製されたのと同じビンが、第3の属性(複数)に関する多様化に用いられ得る。言い換えると、ビンは、第2の属性(複数)における多様性に関して一旦サンプリングされ、次に第3の属性(複数)における多様性に関して再びサンプリングされてもよい。このようにサンプリングされた欠陥を含む欠陥サンプルが、本明細書でさらに説明されるように作製されてもよい。これらのステップそれぞれは、本明細書でさらに説明されるように実行されてもよい。
【0047】
別の実施形態において、方法は、第2の属性(複数)の値に基づいて欠陥が選択されたビンに対する1セットのサブビンを生成することを含み、それによりサブビンそれぞれは第2の属性(複数)の値の一部にのみ対応し、サブビンに対応する第2の属性(複数)の値は第2の属性(複数)において多様性を有する。こうして、第1の属性(複数)における多様性に基づいて作製されたビンが、第2の属性(複数)に対して多様化するためにサンプリングされた後で、別のサブビンが生成されることができ(本明細書で説明されるようにビンが生成されるのと同じ方式で)、それは次に第1の属性(複数)と第2の属性(複数)に関して多様化され得る。これらのサブビンは次に、第3の属性(複数)における多様性に関してサンプリングされてもよい。例えば、そのような1つの実施形態において、方法は、サブビンの1つにおける欠陥を、欠陥の第3の属性(複数)の値における多様性に基づいて、サブビンのうち1つから個別に選択することを含み、方法は、個別に選択することを、サブビンのうち少なくとも別の1つに関して繰り返すことも含み、欠陥サンプルを作製することは、サブビンのうち1つから、また、サブビンのうち少なくとも別の1つから個別に選択された欠陥を、欠陥サンプルに加えることを含む。これらのステップそれぞれは、本明細書でさらに説明されるように実行されてもよい。こうして、生じた欠陥サンプルは、2セットを超える属性に関して多様化され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、方法は、1つ以上の別のウェーハに対して実行され、ウェーハに関して生成されるセットのビンは、1つ以上の別のウェーハに関するビンとしては用いられない。例えば、本明細書で説明される実施形態は必ずしも、1つのウェーハを用いた欠陥サンプリング戦略を設定し、次にその設定された戦略を、同じタイプの別のウェーハに適用するために用いられることを目的としていない。特に、本明細書で説明される実施形態の主要な目的は、特に多数の多様化目的がある場合にサンプルの多様化の新規の方法を提供すること、並びに多くの異なる(並びに潜在的に複合的な)サンプリング戦略を可能にする融通性の高い方法を提供することである。しかしながら、本明細書で説明されるサンプリングスキームは、1つのウェーハ(ビン設定を含む)に基づいて設定され、同じ設定で別のウェーハにも使用され得る。この場合、本明細書で説明されるビンは、各ウェーハ上に動的に作製されてもよい、すなわち、ビン間の境界は各ウェーハにおいて異なる位置にあってもよい。言い換えると、ビンの個数はユーザによって指定されてもよいが、ビン間の境界は、ウェーハ毎のベースで欠陥分布の周囲で移動してもよい。
【0049】
上記の取得、特定、生成、分類、選択、繰り返しおよび作製ステップは、本明細書で説明されるように設定されてもよいコンピュータシステムによって実行される。
【0050】
一実施形態において、方法は、欠陥サンプルに基づいて検査レシピを設定することを含む。こうして、本明細書で説明される実施形態は、自動または手動のレシピ設定または最適化のために用いられる、比較的小型であるが実質的に多様な欠陥のサンプルを特定できる。欠陥サンプルを用いた検査レシピの設定は、当技術分野で知られる任意の適切な方式で実行されてもよく、また、1つ以上のハードウェアパラメータ(例えば照明波長および/または入射角)および/または1つ以上のソフトウェアパラメータ(例えば欠陥検出アルゴリズムの閾値等の欠陥検出パラメータ)を選択することを含んでもよい。例えば、欠陥のより一層多様化したセットを含む欠陥サンプルは、欠陥レビューツールに送られ、ウェーハとともに、サンプリングされた欠陥のうち1つ以上を分類するために用いられてもよい。こうして、ユーザは、作製されたサンプルにおける欠陥のうち1つ以上を分類し、分類された欠陥を、レシピ最適化のためにウェーハとともに用いることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、ウェーハは未知の欠陥品率を有する。例えば、本明細書で説明される実施形態は、デバイス立ち上がり中に、エンジニアリング分析に用いられる、比較的小型であるが実質的に多様な、欠陥のサンプルを特定できる。加えて、本明細書で説明される実施形態は、DOI時間を削減し、未知の層およびデバイス上のDOIサンプリングを改善する。さらに、未知の欠陥品率は単に、ウェーハ上の対象の既知の欠陥タイプの未知の位置および個数ではなく、対象の未知の欠陥タイプであり得る。例えば、上記のように、ウェーハは、未知の層およびデバイスのデバイス強化中に製造される可能性がある。したがって、ウェーハ上にどんな種類の欠陥が存在し得るかに関するいずれの情報、およびウェーハ上に存在し得るいずれの欠陥の特徴も未知であり得る。しかしながら、そのような情報は、本明細書で説明されるように作製された欠陥サンプルを用いて取得され得る。
【0052】
上記の方法の実施形態それぞれは、本明細書で説明される任意の別の方法(複数)の任意の別のステップ(複数)を含んでもよい。さらに、上記の方法の実施形態それぞれは、本明細書で説明されるシステムのいずれによって実行されてもよい。
【0053】
本明細書で説明される全ての方法は、方法の実施形態の1つ以上のステップの結果を、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することを含んでもよい。結果は、本明細書で説明される結果のうちいずれを含んでもよく、当技術分野で知られるいずれの方式で記憶されてもよい。記憶媒体は、本明細書で説明されるいずれの記憶媒体、または当技術分野で知られるいずれの別の適切な記憶媒体を含んでもよい。結果が記憶された後で、結果は記憶媒体内でアクセスされることができ、また、本明細書で説明されるいずれの方法またはシステムの実施形態によって用いられ、ユーザに対して表示するようにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法またはシステム等によって用いられてもよい。
【0054】
もう1つの別の実施形態は、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するためにコンピュータで実施される方法を実行するコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。そのような1つの実施形態が図2に示されている。特に、図2に示すように、コンピュータ可読媒体200は、コンピュータシステム204上で実行可能なプログラム命令202を含む。コンピュータで実施される方法は、上記の方法のステップを含む。プログラム命令の実行対象のコンピュータで実施される方法は、本明細書で説明される任意の別のステップ(複数)を含んでもよい。
【0055】
本明細書で説明されるような方法を実行するプログラム命令202は、コンピュータ可読媒体200に記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気ディスクまたは光ディスクまたは磁気テープ、あるいは当技術分野で知られる任意の別の適切な非一時的コンピュータ可読媒体等の記憶媒体であってよい。
【0056】
プログラム命令は、とりわけ、手順に基づく技法、コンポーネントに基づく技法、および/またはオブジェクト指向技法を含む種々の方法のうちいずれで実行されてもよい。例えば、プログラム命令は、アクティブXコントロール、C++オブジェクト、Javaビーンズ(登録商標)、マイクロソフトファンデーションクラス(MFC)またはその他の技術もしくは方法論を任意に用いて実行されてもよい。
【0057】
コンピュータシステムは、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器を含む種々の形態を取ってもよい。一般に「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広範に定義され得る。コンピュータシステムは、パラレルプロセッサ等の当技術分野で知られる任意の適切なプロセッサをも含んでもよい。加えて、コンピュータシステムは、スタンドアローンまたはネットワークツールのいずれかとしての、高速処理ソフトウェアを備えたコンピュータプラットフォームを含んでもよい。
【0058】
もう1つの別の実施形態は、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成するように構成されたシステムに関する。そのようなシステムの1つの実施形態が、図3に示されている。システムは、ウェーハに関する検査結果304を取得するように構成された検査サブシステム302を含む。検査結果は、検査プロセスによってウェーハ上で検出された欠陥に関する情報を含み、その情報は、欠陥に関する1つ以上の第1の属性の第1のセットと、欠陥に関する1つ以上の第2の属性の第2のセットに関する情報を少なくとも含む。検査結果は、本明細書で説明される任意のそのような情報を含み得る。
【0059】
検査サブシステムは、光学または光に基づく検査サブシステムの場合の任意の適切な光源を含み得る光源306を含む。検査サブシステムについては、光に基づく検査サブシステムに関して本明細書においてさらに説明するが、検査サブシステムは、任意の適切な方式に変更されてもよいし、または、電子ビームに基づく検査サブシステムにするために置き換えられてもよい。
【0060】
光源からの光はウェーハ304に方向付けられてもよい。光源は、1つ以上の集光レンズ、コリメーティングレンズ、リレーレンズ、対物レンズ、開口、分光フィルタ、偏光素子等の任意の別の適切な素子(図示せず)に結合されてもよい。図3に示すように、光は直角入射角でウェーハに方向付けられてもよい。しかしながら、光は、近似直角および斜めの入射角を含む任意の適切な入射角でウェーハに方向付けられてもよい。加えて、光または多数の光ビームは、1つより多い入射角で逐次または同時にウェーハに方向付けられてもよい。
【0061】
ウェーハ304は、光がウェーハに方向付けられている間は段(図示せず)の上に配置されてもよい。段は、任意の適切な機械的またはロボットアセンブリを含んでもよく、光がウェーハに方向付けられている間に、検査サブシステムによって光がウェーハ上を走査できるように、ウェーハを1つ以上の方向に動かすように構成されてもよい。しかしながら、検査サブシステムは、ウェーハ上を任意の適切な方式で走査するように構成されてもよい。
【0062】
検査サブシステムはさらに、ウェーハから散乱された光を収集するように構成されたコレクタ308を含んでもよく(暗視野対応検査システムの場合)、コレクタは、収集された光を検出器310に方向付けるように構成され、検出器310は、コレクタによって収集された、ウェーハからの散乱光を検出するように構成される。コレクタは、任意の適切な個数および構成の反射および/または屈折光学素子を含んでもよい。検出器310は、任意の適切な検出器を含んでもよい。したがって検出器310とコレクタ308は、検査サブシステムの検出サブシステムの少なくとも一部を構成してもよい。検出サブシステムは、検出器とウェーハの間の光路に配置された、対物レンズ、リレーレンズ、拡大レンズ、ズームレンズ、開口、分光フィルタ、格子および偏光素子等の1つ以上の別の適切な素子(図示せず)を含んでもよい。図3において、検査サブシステムは、ウェーハから散乱された光を検出するように示されているが、検査サブシステムは代替的に、ウェーハの明視野(BF)検査向けに構成されてもよい。検査サブシステムはさらに、ウェーハからの異なる光を同時または逐次検出するために用いられ得る、1つより多い検出器(図示せず)を含んでもよい。
【0063】
検査サブシステムは、本明細書で説明される検査結果を生成するように構成されたコンピュータサブシステム312を含んでもよい。例えば、コンピュータサブシステム312は、コンピュータサブシステムが検出器の出力を受信できるように、「有線」および/または「無線」伝送媒体を含み得る1つ以上の伝送媒体(図示せず)によって検出器310に結合されてもよい。するとコンピュータサブシステムは、その出力を用いて、ウェーハ上の欠陥を本明細書で説明されるように検出し、その欠陥の多数の属性のいずれをも判定できる。次にコンピュータサブシステム312によって生成された情報は、本明細書でさらに説明されるように、検査結果ファイルの形式でコンピュータサブシステムによって出力され得る。
【0064】
検査サブシステムは、ウェーハ上の欠陥を検出するように構成された1つのコンピュータサブシステムを含んでもよく、システムは、本明細書で説明される方法のステップを実行するように構成されたもう1つの別のコンピュータサブシステムを含み得る。例えば、システムは、上記のようにコンピュータサブシステム312に結合されたコンピュータサブシステム314を含んで、コンピュータサブシステム314がコンピュータサブシステム312から検査結果を受信できるようになっていてもよい。コンピュータサブシステム314は、本明細書で説明される特定、生成、分類、選択、繰り返しおよび作製ステップを実行するように構成され、それは本明細書で説明されるように実行されてもよい。コンピュータサブシステムおよびシステムは、本明細書で説明される任意の別のステップ(複数)を実行するように構成されてもよく、本明細書で説明されるようにさらに構成されてもよい。加えて、システムは、本明細書で説明される全てのステップ(複数)を実行するように構成された1つのみのコンピュータサブシステム(例えば、コンピュータサブシステム312のみ)を含んでもよい。これは、検査ツールが、本明細書で説明される方法の実施形態を実行するように構成されている場合に該当し得る。例えば、図3に示す検査サブシステムは、本明細書で説明されるようにウェーハ上の欠陥を検出することと、欠陥サンプルを作製することの両方を行う1つの検査ツールとして構成されてもよい。
【0065】
図3は、本明細書で説明されるシステムの実施形態に含まれ得る1つの検査サブシステムの1つの構成を一般的に説明するために本明細書に提示されていることに留意すべきである。明らかに、本明細書で説明される検査サブシステムの構成は、商用検査サブシステムを設計する場合に通常実行されるように検査サブシステムの性能を最適化するために変更されてもよい。加えて、本明細書で説明されるシステムは、ケーエルエー・テンカーから市販されているPuma 90xx、91xxおよび93xxシリーズ等の既存の検査システムを用いて(例えば、既存の検査システムに本明細書で説明される機能性を追加して)実施されてもよい。そのようなシステムに、本明細書で説明される方法は、システムのオプションの機能性として提供されてもよい(例えば、システムの別の機能性に追加して)。代替的に、本明細書で説明されるシステムは、完全に新規のシステムを提供するために「最初から」設計されてもよい。
【0066】
本発明の種々の態様のさらなる変形と変更は、この説明に鑑み当業者には明らかとなろう。例えば、ウェーハに関する欠陥サンプルを生成する方法およびシステムが提供される。したがって、この説明は、説明としてのみ解釈され、本発明を実行する一般的な方式を当業者に教示する目的のためである。本明細書に示され記載される本発明の形式は、本発明の好適な実施形態として捉えられるべきであることを理解すべきである。要素および材料は、本明細書に示され記載されるものと置き換えられてもよく、部品およびプロセスは逆転されてもよく、本発明の特定の特徴は個別に利用されてもよく、それは全て、本発明のこの説明があれば当業者には明白であろう。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書に記載される要素に変更がなされてもよい。
図1
図2
図3