特許第6570061号(P6570061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570061
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】非接触温度測定方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/10 20060101AFI20190826BHJP
   G01J 5/00 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   G01J5/10 B
   !G01J5/00 101A
   !G01J5/00 101D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-144432(P2015-144432)
(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公開番号】特開2017-26432(P2017-26432A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】山田 善郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 祐
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−206238(JP,A)
【文献】 特開平03−073815(JP,A)
【文献】 特開昭60−015059(JP,A)
【文献】 特開2011−080790(JP,A)
【文献】 特開昭62−140036(JP,A)
【文献】 特表2002−539423(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0248314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 − G01J 1/60
G01J 5/00 − G01J 5/62
G01J 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光し、走査型2波長放射温度計にて前記走行方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、
前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法。
【請求項2】
一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光し、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部を被測定対象物が通過する時の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、
前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の非接触温度測定方法において、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
ただし、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記測定輝度をそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記補助放射源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
次に、前記暗部1における輝度を明部2に対して十分小さくして、真温度Tの初期値を仮定しα(T)(α(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T))を求め、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかの右辺に、当該求めたα(T)を代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、
BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする非接触温度測定方法。
【請求項4】
一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光する手段と、走査型2波長放射温度計と、計算装置を備え、
前記計算装置は、前記走査型2波長放射温度計にて前記走行方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置。
【請求項5】
一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光する手段と、走査型2波長放射温度計と、計算装置を備え、
前記計算装置は、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部を被測定対象物が通過する時の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の非接触温度測定装置において、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
ただし、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記測定輝度をそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記補助放射源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
次に、前記暗部1における輝度を明部2に対して十分小さくして、真温度Tの初期値を仮定しα(T)(α(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T))を求め、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかの右辺に、当該求めたα(T)を代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、
BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする非接触温度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触温度測定方法および測定装置に関し、特に、鋼板製造プロセス連続熱処理ラインにおける鋼板温度管理や、落下する金属溶滴の温度測定において、非接触の金属表面温度を放射温度計測し、最適な熱処理を可能にし、金属表面の放射率が未知であるため、正確な放射温度測定ができないという課題を解決するのに好適な非接触温度測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触温度測定においては、金属表面の放射率が不明で、鋼種や表面状態などで変化するために正確な温度を測定できないという問題があり、従来から様々な工夫がなされてきた。
例えば、非特許文献1では、ロールに鋼板が巻き付く位置において生じる、鋼板とロール表面のくさび部における多重反射を利用し、黒体とみなした測定が実用化されている。
また、非特許文献2では、2波長温度計または2偏光放射温度計を使用し、2波長放射率間もしくは2偏光放射率間の関係を事前に評価し、放射率を補正する方法が実用化されている。
また、一般的な放射率補正測温技術として、2波長反射率比を利用する方法(特許文献1参照)や、2偏光放射率比を利用する方法(特許文献2参照)が提案されている。
また、非特許文献3では、塗装鋼板の放射率補正方法として、棒状の光源を鋼板に平行に配置し、走査型放射温度計にて光源に直行する方向に鋼板表面をスキャンして測定し、得られた光源の反射像から鋼板の反射パターンを推定し、そこから反射率を求め、キルヒホッフの法則により放射率を求めて補正する方法が実用化されている。
また、本発明者等は、先に特許文献3を出願し、「被測定対象物表面に平行に棒状の2水準切り替え補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源に直行する方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記棒状の2水準切り替え補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法」、および、「被測定対象物表面に一定距離を置いて点状の2水準切り替え補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記点状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記点状の2水準切り替え補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法」を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−140036号公報
【特許文献2】特開平02−254328号公報
【特許文献3】特願2014−10411号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Honda,et al., Proc.TEMPERATURE Symposium 1992, pp.923-927
【非特許文献2】Tanaka,et al.,Proc.TEMPERATURE Symposium 1992, pp.895-900
【非特許文献3】山田ほか、NKK技報、No.181、1998、pp.100-104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、非特許文献1に関しては、急速な板温変化に追従しないという問題点があり、非特許文献2に関しては、事前評価されたのと全く同一条件でないと測定できないという問題点があり、特許文献1〜3および非特許文献3に関しては、補助熱源のオン/オフ切り替えを必要とするため、高速に移動する物体に正確に適用できないという問題点があった。
そこで本発明は、上記問題点を解決し、鋼板放射率が不明で、鋼種や表面状態などで変化する場合であっても正確な温度を測定できるようにした非接触温度測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の問題点を解決するために、本発明では、2波長反射率比測定を採用し、さらに、熱源(熱源はランプ光源を含む放射源)の切り替えを行う代わりに、熱源からの放射の当たる明部と当らない暗部が生じるようにスリット状の遮蔽板を設け、被測定対象物が明部と暗部を通過するときの測定を用いることで熱源切り替えを不要にし、高速の測定を可能にした非接触温度測定方法および測定装置である。なお、スリット状に明部と暗部を投光できるものであれば図5で示したスリット状の遮蔽板に限定するものではない。
【0007】
すなわち、本発明は、一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光し、走査型2波長放射温度計にて前記走行方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法である。
また、本発明は、一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光し、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部を被測定対象物が通過する時の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法である。
また、本発明は、上記非接触温度測定方法において、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
ただし、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記測定輝度をそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記補助放射源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
次に、前記暗部1における輝度を明部2に対して十分小さくして、真温度Tの初期値を仮定しα(T)(α(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T))を求め、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかの右辺に、当該求めたα(T)を代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、
BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする。
また、本発明は、一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光する手段と、走査型2波長放射温度計と、計算装置を備え、前記計算装置は、前記走査型2波長放射温度計にて前記走行方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置である。
また、本発明は、一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光する手段と、走査型2波長放射温度計と、計算装置を備え、前記計算装置は、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部を被測定対象物が通過する時の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記補助放射源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置である。
また、本発明は、上記非接触温度測定装置において、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
ただし、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記測定輝度をそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記補助放射源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
次に、前記暗部1における輝度を明部2に対して十分小さくして、真温度Tの初期値を仮定しα(T)(α(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T))を求め、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかの右辺に、当該求めたα(T)を代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、
BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の測定方法または測定装置によれば、被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることができるので、従来法より測定精度を飛躍的に向上させることができるとともに、補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)を切り替える必要が無いので高速に移動する被測定対象物にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の測定原理を、半球状の補助熱源(2水準切り替え型)と2波長放射温度計を用いて説明した図である。
図2図2は、図1に示した半球状の補助熱源と等価な無限に広い平面上の補助熱源と2波長放射温度計を用いた原理説明図である。
図3図3は、棒状補助熱源を棒の長手方向と直行する方向に被測定対象面に平行に一定速度で移動させるかあるいは棒状補助光源を移動させる代わりに2波長放射温度計を逆方向平行に移動させるかし、2波長放射温度計で連続的に測定された信号を積分して図1に示した半球状補助熱源を用いた場合と等価とすることを説明した原理説明図である。
図4図4は、2波長放射温度計を平行移動させることに代え、2波長放射温度計を角度走査することで、図1に示した半球状補助熱源を用いた場合と近似的に等価とすることを説明した原理説明図である。
図5図5は本発明による補助熱源とスリット状の遮蔽板による暗部と明部の輝度測定を利用する測定方式の一実施例を説明した図である。なお図中「一次元/二次元走査2波長放射温度計」および「棒状/点状補助熱源」とあるのは、棒状補助熱源の場合には一次元走査2波長放射温度計を用い、点状補助熱源の場合には二次元走査2波長放射温度計を用いることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一の実施形態は、一方向に走行する被測定対象物の走行方向に垂直にスリット状に補助放射源からの光を投光し、走査型2波長放射温度計にて走行方向に被測定対象物表面を一次元もしくは二次元走査して測定し、得られた2波長におけるスリット状補助放射源光の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて補助放射源の輝度比を測定し、被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と補助放射源の輝度比から2波長反射率比を求め、被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求める。
以下に本発明の第二の実施形態の測定原理を説明するが、本発明者等が先に出願した特許文献3とは、特許文献3では補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)を2水準切り替えていたのに対して、本発明では、補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の2水準切り替えに代えて、補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の遮蔽スリットの暗部と明部の輝度測定を利用する点で異なるだけであるので、測定原理の説明は、最初に、特許文献3と同様に、補助熱源の温度を水準1と水準2の2水準切り替えで説明する。最後に「水準1」を「暗部」に、「水準2」を「明部」に置き換えるだけで本発明の補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の遮蔽スリットの暗部と明部の輝度測定に対応したものとなる。なお、スリット状に明部と暗部を投光できるものであればスリット状の遮蔽板に限定するものではない。
したがって用いる基礎式は特許文献3と同様であるので、基礎式の導出については特許文献3の説明を用いる。
(測定原理)
本発明の第一および第二の実施形態における2波長反射率比による放射率補正測温方式の原理について説明する。
まず、拡散性の反射を考慮して、対象表面を覆う半球状の一様黒体熱源を補助熱源とした理想的な場合で検討する。
補助熱源(対象表面を覆う半球状の一様黒体熱源)の温度を水準1と水準2の2水準切り替え、その時の波長λ1およびλ2の輝度を、LHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1とLHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,2とする。2水準の切り替えは、補助熱源のシャッターを開閉し、LHeat-source,λ1,2=LHeat-source,λ2,2=0または室温放射としてもよい。Lλ1,0(T)=Lλ2,0(T)=LBB(T)となる熱源輝度LHeat-source,0図1のように求められる。
補助熱源の波長λ1およびλ2の輝度がLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1のときの波長λ1およびλ2検出輝度をそれぞれLλ1,1(T)およびLλ2,1(T)とし、補助熱源輝度がLHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,2のときのそれぞれをLλ1,2(T)およびLλ2,2(T)とすると、下記の6つの式(1)〜(6)が得られる。ここで、ελ1,ελ2は、それぞれ波長λ1,λ2における対象表面の放射率を表し、ρλ1,ρλ2は、それぞれ波長λ1,λ2における対象表面の反射率を表す。

λ1,0(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,0 …………(1)
λ2,0(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,0 …………(2)
λ1,1(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,1 …………(3)
λ2,1(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,1 …………(4)
λ1,2(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,2 …………(5)
λ2,2(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,2 …………(6)

このうち、式(3)〜(6)が観測値を表し、式(1)および(2)が推定したい黒体の条件を表す。
【0011】
式(1)と(3)、式(3)と(5)の差を求めることにより波長λ1について下記の式(7)が得られる。

ρλ1=(Lλ1,0(T)−Lλ1,1(T))/
(LHeat-source,λ1,0−LHeat-source,λ1,1)
=(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/
(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2) ……………………(7)

同様に、式(2)と(4)、式(4)と(6)の差を求めることにより波長λ2についても下記の式(8)が得られる。

ρλ2=(Lλ2,0(T)−Lλ2,1(T))/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1)
=(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2) ……………………(8)

式(7)と(8)の比を取ることにより、下記式(9)が得られる。

ρ≡ρλ1/ρλ2
={(Lλ1,0(T)−Lλ1,1(T))/(Lλ2,0(T)−Lλ2,1(T))}/
{(LHeat-source,λ1,0−LHeat-source,λ1,1)/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1)}
={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)} …………(9)

ここで、Rρは波長λ1とλ2における反射率の比を表し、式(9)の下段は観測された4つの信号、および補助熱源をモニターして得られる4つの信号からなり、これらよりRρを決める。式(9)の上段から波長λ1における黒体放射輝度は下記式(10)で表される。

BB,λ1(T)=Lλ1,0(T)
=(1/α(T))・Lλ2,0(T)
=(Lλ1,1(T)−Rρ・RHS,1-0・Lλ2,1(T))/
(1−α(T)・Rρ・RHS,1-0) …………………………(10)

ここで、

HS,1-0=(LHeat-source,λ1,0−LHeat-source,λ1,1)/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1) ………………(11)

α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T) …………………………………………(12)

であり、α(T)は2波長の黒体放射輝度比であり、対象温度Tの関数である。
補助熱源輝度LHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1が十分小さく、ゼロとみなせる場合、式(11)は
HS,1-0=LHeat-source,λ1,0/LHeat-source,λ2,0=1/α(T)
となるため、式(10)は、以下の式(13)および(14)で表される。

BB,λ1(T)
=Lλ1,0(T)
=(1/α(T))・Lλ2,0(T)
={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ) …(13)
BB,λ2(T)
=Lλ2,0(T)
=α(T)・Lλ1,0(T)
={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ) …(14)
【0012】
したがって、Tの初期値を仮定しα(T)を決め、測定したRρ、およびLλ1,1(T)、Lλ2,1(T)を用い式(13)または式(14)からLBB,λ1(T)またはLBB,λ2(T)を計算し、Tを求め、このTの値を用いてα(T)を再度計算し、式(13)または式(14)からLBB,λ1(T)またはLBB,λ2(T)を計算することを繰り返し、数値解析計算によりTを求めることが出来る。
なお、ここで補助熱源は黒体としたが、式(9)の下段で反射率比Rρを求める際に熱源もモニターしているため、反射率比の測定は必ずしも黒体である必要はない。
【0013】
(補助熱源)
上記測定原理の説明では被測定対象物表面を覆う半球状の一様熱源という理想的な場合で説明したが、例えば鋼板製造プロセス連続熱処理ライン等の測定現場において、半球状の一様熱源は実際には実現困難である。そこで、実用的な方法として、第一の実施形態として半球状の一様熱源の代替として点状あるいは有限サイズの熱源を用いて測定し、走査した出力のピーク値を用いる。この場合、測定対象が完全に鏡面性であれば、2波長温度計の捉える反射光は補助熱源が半球状の一様熱源であっても点状熱源であっても同じであるため図1に示した半球状の一様熱源と同じ効果が得られる。測定対象が完全に鏡面性でない場合には半球状の一様熱源であった場合と比べ点状熱源である場合には2波長温度計が捉える反射光量は拡散反射した反射光分だけ減るものの、反射の拡散性が2波長で同じか十分近いと仮定できれば、反射率比Rρは変わらないため、点状熱源で代替して同じ測定が可能である。
あるいは、第二の実施形態として補助熱源として棒状の熱源を用い、2波長温度計として一次元走査型のものを用い、棒状熱源の長手方向と直交して対象表面を走査し測定する。また、走者視野内に棒状熱源を置くことで、熱源放射輝度も同時にモニター可能である。
何故これが一様半球熱源と同等かを下記に説明する。
まず、半球の代わりに、図2に示すような無限に広い平面上の一様完全拡散性の熱源を考える。この場合、測定対象上の測定点から見て、どちらの方向も、単位立体角あたり同じ光束が入射するため、図1に示した半球状の一様熱源と同じ効果が得られる。この面状熱源を等幅の一様棒状熱源をならべたものとみなし、これを一本ずつ順番に点灯して測定された信号を足し合わせても良い。これに代わる方法として、図3に示すように一本の棒状熱源を棒の長手方向と直行する方向に測定面に平行に一定速度で移動させ、連続的に測定された信号を積分して半球状熱源を測定した時の信号を得ても良い。逆に、対象の反射特性が一様であれば、棒状光源を移動するのではなく、2波長温度計を逆方向平行に移動させても同様の測定が可能である。
【0014】
さらに、放射温度計を平行移動する代わりに、図4に示すように角度を走査しても近似的に同様な測定が可能である。このことを以下に詳細に説明する。
測定対象平面は、その表面粗さに応じた傾き分布を持った微小面素の集合であると仮定すると、棒状光源の一点から出射した放射光は、放射温度計の視野内に入射し、その面内の表面の面素の鉛直方向に対し鏡面対象方向に反射する。たまたま反射方向が放射温度計の視野角内の時に放射温度計に捉えられる。捉えた反射光の強さを対象表面に入射した光の強さ(照度)で割ることで反射率に対応した測定量が得られる。すなわち、照度は光源からの距離の2乗に反比例するので、測定対象の走査位置と棒状補助熱源の中心との距離の二乗で2波長放射温度計の2波長輝度出力それぞれを割ることで照度補正を行う。さらに、測定面上の各走査位置に対し、棒状補助熱源中心から見て鏡面反射方向と、放射温度計の方向の間の角度を求め、角度について補正後の2波長放射温度計の2波長出力信号を積分することで、面の反射率に対応した、上記Lλ1,2(T)−Lλ1,1(T)、Lλ2,2(T)−Lλ2,1(T)に対応した測定量が得られる。
なお、ここでは鏡面性反射を仮定した場合について説明したが、表面の粗さ特性に応じ完全拡散性反射、あるいは両者の組み合わせを仮定しても良い。
また、上記測定例は、棒状の2水準切り替え補助熱源と一次元走査型2波長放射温度計を用いて説明したが、上記「(測定原理)」「(補助熱源)」の説明から明らかなように、点状の2水準切り替え補助熱源と二次元走査型2波長放射温度計の組合せでも同様に測定できる。
【0015】
以上の説明は、本発明者等の先の出願である特許文献3と同じである。
ここで、特許文献3では、補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)を水準1と水準2に切り替える方式のものであるのに対し、本発明では、水準1と水準2に切り替える代わりに補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の遮蔽スリットの暗部と明部の輝度測定を利用する点で異なるだけであることに鑑みると、上記式中の水準1、水準2に対応する添え字1、2を、遮蔽スリットの暗部、明部に対応する添え字と読み替えるだけでそのまま対応して成り立つことがわかる。
つまり、最終的に導き出された式(9)、(13)、(14)

ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}

BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)

において、添え字1,2は、それぞれ遮蔽スリットの暗部、明部を意味すると読み替えて成立する。
【0016】
(実施例)
図5は、本発明の一実施例を示した図である。
図5において、一方向に走行する被測定対象物に対し、補助熱源(ランプ光源を含む補
助放射源)を配置し、補助熱源と被測定対象物の間に被測定対象物の走行方向に暗部と明
部が生じるようスリット状の遮蔽板を設け、走査型2波長放射温度計を用いて暗部と明部を走査して測定する。なお、スリット状に明部と暗部を投光できるものであればスリット状の遮蔽板に限定するものではない。
棒状の補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の場合には、被測定対象物の走行方向に垂直に棒状の補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて前記棒状の補助熱源に直行する方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、棒状の補助熱源と被測定対象表面の間に棒状熱源に平行にスリット状の遮蔽板を設け、得られた2波長における熱源の遮蔽スリット射影の暗部と明部の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記棒状の補助熱源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記棒状の補助熱源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることができる。
また、点状の補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)の場合には、被測定対象物から一定の距離を置いて点状の補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、点状の補助熱源と被測定対象表面の間に被測定対象物の走行方向に暗部と明部が生じるようスリット状の遮蔽板を設け、得られた2波長における熱源の遮蔽スリット射影の暗部と明部を被測定対象物が通過する時の測定輝度から被測定対象物表面の2波長反射光輝度比を求めると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記棒状の補助熱源の輝度比を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射光輝度比と前記点状の補助熱源の輝度比から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることができる。
上記棒状・点状どちらの補助熱源(ランプ光源を含む補助放射源)においても、真温度は数値解析計算により、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
ただし、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記測定輝度をそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、暗部1と明部2における波長λ1とλ2における前記補助放射源(ランプ光源を含む補助放射源)輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
次に、前記暗部1における輝度を明部2に対して十分小さくして、真温度Tの初期値を仮定しα(T)(α(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T))を求め、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかの右辺に、当該求めたα(T)を代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、
BB,λ1(T)={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tが求まる。
【0017】
なお、図5の例では、被測定対象物は鋼板等の場合で示したが、被測定対象物が落下する液滴のような場合であっても同様に適用できることが明らかである(図5の横方向の走行方向を、上下方向の走行方向に変更して適用すればよい)。
図1
図2
図3
図4
図5