【実施例】
【0035】
実施例に係る単電子トランジスタを
図5(a)〜
図5(k)に示す工程と同様の工程で製造した。なお、図(a)〜
図5(k)は、単電子トランジスタの製造工程の一例を示す図(1)〜(11)である。
【0036】
先ず、ハンドル用Si層107上に、厚み145nmのSiO
2絶縁層(BOX層)108と、厚み50nmのp型不純物が1×10
15cm
−3程度ドープされた量子ドット形成半導体部101とが、この順で形成されたSOIウエハを用意した。
次に、このSOIウエハの量子ドット形成半導体部101上に保護酸化膜110を厚み5nmで形成した(
図5(a)参照)。
次に、電子線リソグラフィーにより、保護酸化膜110上に厚み200nmのレジスト層111aを形成した(
図5(b)参照)。
次に、レジスト層111aをマスクとして、5keVの加速エネルギー及び2×10
15cm
−2のドーズ量で、Asを用いたイオン注入を行い、量子ドット形成半導体部101にソース領域102を形成した(
図5(c)参照)。
次に、酸素アッシング処理により、レジスト層111aを除去し、表面をSPM(Sulfuric Acid Peroxide Mixture)洗浄した(
図5(d)参照)。SPM洗浄は、洗浄液として、H
2SO
4とH
2SO
4を4:1の割合で混合させたものを用い、120℃の温度で洗浄処理を行った
【0037】
次に、SPM洗浄された保護酸化膜110上に厚み200nmのレジスト層111bを形成した(
図5(e)参照)。
次に、レジスト層111bをマスクとして、5keVの加速エネルギー及び2×10
15cm
−2のドーズ量で、BF
2を用いたイオン注入を行い、量子ドット形成半導体部101にドレイン領域103を形成した(
図5(f)参照)。
ソース領域102及びドレイン領域103の形成は、これらの領域間のゲート長が60nmとなる条件で行った。
次に、酸素アッシング処理により、レジスト層111bを除去し、表面をSPM洗浄した(
図5(g)参照)。SPM洗浄は、洗浄液として、H
2SO
4とH
2SO
4を4:1の割合で混合させたものを用い、120℃の温度で洗浄処理を行った
次に、N
2ガス雰囲気の大気圧下で、1,000℃の温度で1秒間、活性化アニール処理し、ソース領域102及びドレイン領域103中の各不純物物質を活性化させた。
【0038】
次に、保護酸化膜110側から、Alを15keVの加速エネルギー及びドーズ量5×10
13cm
−2でイオン注入するとともに、Nを15keVの加速エネルギー及びドーズ量5×10
13cm
−2でイオン注入し、ソース領域102、量子ドット形成半導体部101及びドレイン領域103の表層側に、量子ドット形成不純物でありアイソエレクトロニックトラップ形成不純物であるAl及びNを含む半導体領域106を形成した(
図5(h)参照)。
次に、N
2ガス雰囲気の大気圧下で、450℃の温度で60時間、活性化アニール処理し、半導体領域106中のAl及びNを活性化させた。
【0039】
次に、1%濃度の希フッ酸(DHF)を用いて、保護酸化膜110を除去した(
図5(i)参照)。
次に、SC2洗浄液(HClとH
2O
2の混合液)を用い、80℃の温度条件下で5分間洗浄した。
次に、ALD法により、250℃の温度条件下でHfO
2を堆積させ、半導体領域106上に厚み3.6nmのゲート絶縁膜104を形成した。なお、このゲート絶縁膜104の厚みは、SiO
2膜換算膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)で1.5nmである。
次に、スパッタリング法により、ゲート絶縁膜104上にTaN(厚み10nm)とpoly−Si(厚み50nm)とを積層させた積層構造のゲート電極105を厚み60nmで形成した(
図5(j)参照)。
次に、マスクを用いたリソグラフィー加工により、ゲート絶縁膜104及びゲート電極105を形状加工した(
図5(k)参照)。
以上により、ゲート長が60nmである実施例に係る単電子トランジスタとして、単電子トランジスタ100を製造した。
【0040】
(比較例1)
ソース領域102、量子ドット形成半導体部101及びドレイン領域103の表層側に、量子ドット形成不純物でありアイソエレクトロニックトラップ形成不純物であるAl及びNをイオン注入する工程(
図5(h)参照)を実施しないこと以外は、実施例に係る単電子トランジスタと同様にして、比較例1に係る単電子トランジスタを製造した。
【0041】
(比較例2)
ソース領域102及びドレイン領域103の形成を、これらの領域間のゲート長が100nmとなる条件で行ったこと以外は、実施例に係る単電子トランジスタと同様にして、比較例2に係る単電子トランジスタを製造した。
【0042】
実施例に係る単電子トランジスタ及び比較例1,2に係る各単電子トランジスタに対し、ゲート電圧−ドレイン電流特性の測定を行った。
測定は、単電子動作のためドレイン領域に−100mV〜100mVまでの小さなドレイン電圧を印加して行った。また、測定は、室温(25℃)で行った。
【0043】
図6(a)に実施例に係る単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を示す。また、
図6(b)に比較例1に係る単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を示す。また、
図6(c)に比較例
2に係る単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を示す。
実施例に係る単電子トランジスタでは、
図6(a)に示すように単電子動作を示すクーロンピークを確認することができている。
一方、量子ドット形成不純物を導入しない比較例1に係る単電子トランジスタでは、
図6(b)に示すように単電子動作を示すクーロンピークを確認することができなかった。
また、ゲート長が100nmである比較例2に係る単電子トランジスタでは、
図6(c)に示すように、単電子動作を示すクーロンピークの小さなピーク形状が確認されるが、明確な単電子動作が得られておらず、安定的な動作の観点から実用的なレベルには至らないものと考えることができる。
なお、
図6(a)〜(c)中のIETは、量子ドット形成不純物として用いたアイソエレクトロニックトラップ形成不純物を意味する。
【0044】
(比較例3)
次に、トンネル電界効果トランジスタに代えて、MOSトランジスタの構造で単電子トランジスタを作製して検討を行った結果について説明する。
【0045】
先ず、ハンドル用Si層上に、厚み145nmのSiO
2絶縁層(BOX層)と、厚み50nmのp型不純物が1×10
15cm
−3程度ドープされた量子ドット形成半導体部とが、この順で形成されたSOIウエハを用意した。
次に、このSOIウエハの量子ドット形成半導体部上に保護酸化膜を厚み5nmで形成した。
次に、電子線リソグラフィーにより、前記保護酸化膜上に厚み200nmのレジスト層をゲート構造と同一の幅で形成した。
次に、N
2ガス雰囲気の大気圧下で、1,000℃の温度で1秒間、活性化アニール処理し、ソース領域102及びドレイン領域103中の各不純物物質を活性化させた。
次に、前記レジスト層をマスクとして、5keVの加速エネルギー及び2×10
15cm
−2のドーズ量で、Asを用いたイオン注入を行い、前記量子ドット形成半導体部にソース領域とドレイン領域とを一括して形成した。即ち、前記トンネル電界効果トランジスタと異なり、同一導電型で前記ソース領域と前記ドレイン領域とを形成し、前記MOSトランジスタの構造とした。
一方、前記ソース領域及び前記ドレイン領域の形成は、これらの領域間のゲート長が100nmとなる条件で行った。
【0046】
次に、前記保護酸化膜側から、Alを15keVの加速エネルギー及びドーズ量5×10
13cm
−2でイオン注入するとともに、Nを15keVの加速エネルギー及びドーズ量5×10
13cm
−2でイオン注入し、前記ソース領域、前記量子ドット形成半導体部及び前記ドレイン領域の表層側に、量子ドット形成不純物でありアイソエレクトロニックトラップ形成不純物であるAl及びNを含む半導体領域を形成した。
次に、N
2ガス雰囲気の大気圧下で、450℃の温度で60時間、活性化アニール処理し、前記半導体領域中のAl及びNを活性化させた。
【0047】
次に、1%濃度の希フッ酸(DHF)を用いて、保護酸化膜を除去した。
次に、SC2洗浄液(HClとH
2O
2の混合液)を用い、80℃の温度条件下で5分間洗浄した。
次に、ALD法により、250℃の温度条件下でHfO
2を堆積させ、前記半導体領域上に厚み3.6nmのゲート絶縁膜を形成した。なお、このゲート絶縁膜の厚みは、SiO
2膜換算膜厚(EOT)で1.5nmである。
次に、スパッタリング法により、前記ゲート絶縁膜上にTaN(厚み10nm)とpoly−Si(厚み50nm)とを積層させた積層構造のゲート電極を厚み60nmで形成した。
次に、マスクを用いたリソグラフィー加工により、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を形状加工した。
以上により、比較例3に係る単電子トランジスタを製造した。この比較例3に係る単電子トランジスタは、トンネル電界効果トランジスタの構造を有する単電子トランジスタを、前述の通り、MOSトランジスタの構造に変更し、ゲート長を100nmとする条件で製造した比較例に係る。
【0048】
(比較例4)
ゲート長を100nmから70nmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4に係る単電子トランジスタを製造した。
【0049】
実施例及び比較例1,2に係る各単電子トランジスタにおける測定方法と同様の方法で、比較例3,4に係る各単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定を行った。
【0050】
図7(a)に、比較例3に係る単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を示す。
該
図7(a)に示すように、MOSトランジスタで製造した比較例3では、クーロンピークを確認することができず、量子ドット形成不純物を導入しても室温環境下では、単電子動作させることができなかった。
【0051】
また、比較例3に係る単電子トランジスタ(ゲート長100nm)からゲート長を変えた比較例4に係る単電子トランジスタ(70nm)でも、クーロンピークを確認することができず、量子ドット形成不純物を導入しても室温環境下では、単電子動作させることができなかった。
更に、比較例4に係る単電子トランジスタでは、ゲート電圧を0V,−1.5Vと変化させてドレイン電流−ドレイン電圧特性の測定を行い、通常のトランジスタ動作の確認を行ったが、比較例3に係る単電子トランジスタと異なり、通常のトランジスタ動作も確認することができなかった。
即ち、比較例4に係る単電子トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を示す
図7(b)に示すように、ゲート電圧を0V,−1.5Vを変化させてもゲート電圧−ドレイン電流特性に変化が確認されず、通常のトランジスタ動作も確認することができなかった。