特許第6570525号(P6570525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570525
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20190826BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G01N35/10 A
   G01N1/00 101K
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-534367(P2016-534367)
(86)(22)【出願日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】JP2015069371
(87)【国際公開番号】WO2016009862
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2018年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-147287(P2014-147287)
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西墻 憲一
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−018968(JP,U)
【文献】 特開2001−004640(JP,A)
【文献】 特開2009−030987(JP,A)
【文献】 特開平11−027319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0056713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光器と、
検体を収容する検体容器と、
前記検体と試薬との混合液を収容する反応容器と、
前記検体を吸引し、前記検体を反応容器に吐出するプローブを保持するアームを備えた分注機構と、
前記分注機構に備えられた、除電イオンの発生源と前記発生源で発生した除電イオンを前記検体容器および/または前記反応容器に送風するための除電イオン送風機構を有する静電気除去装置と、
前記分光器および前記分注機構に接続された制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記分注機構を制御して、前記検体を吸引する分注位置で前記検体容器から前記検体を吸引し、前記検体を吐出する分注位置で前記反応容器に前記検体を吐出し、および、
前記静電気除去装置を制御して、除電イオンを発生させるとともに前記分注機構が前記検体を吸引する前に前記検体を吸引する分注位置で前記発生させた除電イオンを吹き付けて前記検体容器を除電し、および/または、前記検体を吐出する分注位置で前記発生させた除電イオンを吹き付けて前記反応容器を除電するようにプログラムされており、
前記発生源は、前記プローブに接続され、前記プローブに除電イオンを発生させ
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記発生源と前記除電イオン送風機構を制御する除電制御ユニットを備え、
前記制御部は、前記分注機構の上昇下降動作および水平動作を制御するようにプログラムされており、
前記除電制御ユニットは、前記分注機構が下降動作をする前に、前記検体を収容する容器の除電を行い、前記分注機構が下降動作をしている間は、少なくとも前記除電イオン送風機構を停止し、前記除電イオン送風機構を停止した状態で前記プローブを制御して前記検体を吸引するようにプログラムされていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記除電イオン送風機構は、送風ファン、又は、圧縮空気発生部から発生した圧縮空気を送風する空気管であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項記載の自動分析装置において、
前記プローブは、前記検体を吸引するための内筒と前記内筒を囲う外筒とを有し、
前記除電イオン送風機構は、圧縮空気発生部から発生した圧縮空気を送風する外筒であって、
前記圧縮空気発生部から発生した圧縮空気は、前記外筒を介して、前記プローブに発生した除電イオンを対象物に送風することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項記載の自動分析装置において、
さらに、前記分注機構は、前記プローブを用い非接触で前記検体容器に帯電した電荷量を測定する帯電量計測ユニットを備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項記載の自動分析装置において、
前記プローブは、液面検知機能を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記帯電量計測ユニットで測定された帯電量に応じて、送風する除電イオンの量を調整するようにプログラムされていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項記載の自動分析装置において、
前記除電制御ユニットは、前記検体容器に収容された検体の液面検知を、前記プローブを用いて行う前に、前記除電イオン送風機構での前記検体容器への送風を実施するようにプログラムされていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項記載の自動分析装置において、
前記プローブに備わった、液面検知機能、電荷量測定機能、静電気除去機能のうち、ユーザーは使用する機能又は機能の組み合わせを選択できる表示部を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
液体を吸引するプローブと前記プローブを保持するアームを備えた分注機構と、
前記分注機構に備えられた、除電イオンの発生源と前記発生源で発生した除電イオンを対象物に送風するための除電イオン送風機構とを有する静電気除去装置と、
を備え、
前記発生源は、前記プローブに接続され、前記プローブに除電イオンを発生させることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置に係り、反応容器を挟んで光源と分光検知器を配置して反応容器の光量を測定する方式を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を自動的に分析する装置として、検体および1種類以上の試薬を反応容器に分注し、検体と試薬との化学変化を生じさせた後、この検体と試薬との反応液の吸光度等を測定して自動的に検体を分析する分析装置が知られている。
【0003】
このような分析装置においては、検体を収容した容器の帯電に起因する容器へのごみの付着、容器内壁における液体の這い上がり、および液面検知誤動作などが問題となっていた。また、同様の問題は、検体容器だけでなく、反応容器でも生じていた。
【0004】
このため、従来においては、液体を収容した容器の移送経路途中にイオナイザを設置し、容器内および容器周辺に除電エアーを送風して容器を除電する分析装置が提案されていた(特許文献1参照)。また、反応容器自体の除電のために、反応容器の移動経路上に設けた静電気除去装置によって、除電シャワーを浴びせて除電する分析装置が提案されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−267830号公報
【特許文献2】実開平6−18968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2では、静電気除去のために静電気除去装置が記載されている。しかし、特許文献1および特許文献2に記載された静電気除去装置は、検体容器または反応容器の移動経路上に設ける必要がある。このため、除去装置通過後、検体を分注ポジションに移動するまでの間に帯電するため、結局完全に静電気を除去できていない問題があった。
【0007】
本発明の目的は、移動経路上に静電気除去装置を設けずに、分注ポジションで除電を行う装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る代表的な発明は以下のとおりである。
【0009】
分光器と、検体を収容する検体容器と、前記検体と試薬との混合液を収容する反応容器と、前記検体を吸引し、前記検体を反応容器に吐出するプローブを保持するアームを備えた分注機構と、前記分注機構に備えられた、除電イオンの発生源と前記発生源で発生した除電イオンを前記検体容器および/または前記反応容器に送風するための除電イオン送風機構を有する静電気除去装置と、前記分光器および前記分注機構に接続された制御部と、を有し、前記制御部は、前記分注機構を制御して、前記検体を吸引する分注位置で前記検体容器から前記検体を吸引し、前記検体を吐出する分注位置で前記反応容器に前記検体を吐出し、および、前記静電気除去装置を制御して、除電イオンを発生させるとともに前記分注機構が前記検体を吸引する前に前記検体を吸引する分注位置で前記発生させた除電イオンを吹き付けて前記検体容器を除電し、さらに、前記検体を吐出する分注位置で前記発生させた除電イオンを吹き付けて前記反応容器を除電するようにプログラムされており、前記発生源は、前記プローブに接続され、前記プローブに除電イオンを発生させる自動分析装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動や運搬経路上で帯電する静電気も、分注直前に除電することができ、また、新たに移動や運搬経路上に静電気除去装置を設けずに、静電気除去機能を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による自動分析装置における一実施例の概略構成図
図2】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図
図3】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図
図4】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図
図5】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図
図6】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図
図7】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図
図8】本発明による自動分析装置の静電気除去装置の付属機能の詳細図
図9】本発明による自動分析装置の総合除電ユニットの概略構成図
図10】本発明における帯電量に応じた除電フローの実施例
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
以下本発明を実施例により詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明による自動分析装置における一実施例の概略構成図である。
【0016】
本実施形態による自動分析装置は主に、搬送ライン101、反応ディスク104、試薬ディスク103、分光器107から構成されている。
【0017】
検体容器110が架設された検体ラック111は搬送ライン101からローター102に搬送され、分注位置であるシールド部114に搬送される。その後、分注機構105によって分析に必要な検体を反応ディスク104上の反応容器112に分注される。さらに必要な試薬が試薬ディスク103上の試薬容器113から当該反応容器112に分注され、撹拌機構106によって反応液を混合する。
【0018】
反応液は分光器107によって、吸光度を測定する。測定された吸光度と予め作成された検量線から検体内の所定成分濃度を算出する。これら機構は制御部115によって制御される。また、成分濃度の算出についても制御部115によって行われる。
【0019】
図2は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図である。自動分析装置は、液体を吸引するプローブとプローブを保持するアームを備えた分注機構105と、この分注機構105に備えられた、除電イオン202の発生源とこの発生源で発生した除電イオンを対象物に送風するための除電イオン送風機構とを有する静電気除去装置とを備える。この実施例では、除電イオン送風機構として、送風ファン204を採用した場合の例である。
【0020】
静電気除去装置は、分注機構105と一体となり組み込まれる。分注機構105のアーム201内に、除電イオン202の発生源である放電針203、およびイオンを効果的に対象物に当てるための送風ファン204およびそれらを制御する除電制御ユニット205を備える。除電制御ユニット205は、放電針203や送風ファン204への電力の供給を制御することで、放電針203から除電イオンを発生させたり、送風ファン204を駆動させたりすることができる。
【0021】
利用者により装置に架設された検体容器110は、搬送ライン101により分注位置206に移動・搬送されたときには、検体容器110に静電気207が帯電している。分注機構105が分注位置206に移動したあと、除電制御ユニット205からの指令により、放電針203から除電イオン202を放射し、それを送風ファン204によって、検体容器110に当て、静電気207を電気的に中和し除去する。分注機構105はその後検体の分注動作を行う。このため、分注動作の直前に静電気207を除去できるため、検体容器架設前に生じている検体容器の帯電だけでなく、移動・搬送中に生じている検体容器の帯電もあわせて除電することができる。これらの動作は、自動分析装置の主制御部と除電制御ユニット205が連携して動作することで、分注動作と最適な時間での除電動作を行う。
【0022】
また、検体容器の上方から除電イオンを送風することができるため、検体容器の内側を除電することができる。
【0023】
また、本発明における静電気除去装置は、一つの分注機構105によって、検体容器110の分注位置206、および反応容器112の分注位置208の双方において、除電機能を果たすことができるため、特許文献1または特許文献2で説明されるような、検体容器用と反応容器用で別々の静電気除去装置の設置が不要になり、装置の価格低減や、設置スペースの低減に寄与できる。
【0024】
図3は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図である。以下の制御は制御部115又は除電制御ユニット205により行われる。
【0025】
使用者が自動分析装置に設置した検体容器が分注位置に移動後(S301)、分注機構のアームを検体容器の分注位置に移動する(S302)。その後、除電制御ユニット205は、検体容器の上空でアームの放電針から除電イオンを発生させ(S303)、送風ファンを回して発生させた除電イオンを検体容器に吹き付けて静電気を除去する(S304)。除電制御ユニット205は、放電針の動作および送風ファンの動作を停止した後(S305)、制御部115は、分注機構を検体容器に向けて下降し、液面検知機能を使って液面に到達後、検体を規定量吸引する(S306)。制御部115は、分注機構のアームの上昇動作および水平動作を制御し、分注機構を反応容器の分注位置に移動後(S307)、除電制御ユニット205は、放電針から除電イオンを発生させ(S308)、送風ファンを回して発生させた除電イオンを反応容器に吹き付けて静電気を除去する(S309)。除電制御ユニット205は、放電針の動作および送風ファンの動作を停止した後(S310)、制御部115は、分注機構を反応容器に向けて下降し、吸引した検体を規定量吐出する(S311)。
【0026】
このようにして、静電気除去装置は、検体容器および反応容器の除電を行うことができる。
【0027】
また、分注機構を下降させる前に、放電針の動作を停止させ除電イオンを発生させないようにすることで、除電イオンによる液面検知の誤動作を抑制することができる。液面検知は、プローブ先端の容量変化を検出することで液面に接触したかを検知する仕組みであるからである。
【0028】
また、分注機構を下降させる前に、送風ファンの動作を停止することで、送付ファンの動作に起因する振動による分注精度の低下を抑制することができる。すなわち、除電イオンの発生源と除電イオン送風機構を制御する除電制御ユニット205は、分注機構が下降動作をする前に、液体を収容する容器の除電を行い、分注機構が下降動作をしている間は、少なくとも除電イオン送風機構を停止し、プローブは、除電イオン送風機構を停止した状態で液体を吸引することが望ましい。
【0029】
なお、本実施例では、除電制御ユニット205が分注機構に含まれている例で示したが、少なくとも、除電イオン発生源と除電イオンを対象物に送風するための除電イオン送風機構を有する静電気除去装置が分注機構に備えられていれば充分であるため、この除電制御ユニット205は、分注機構の外部にあってもよい。
【実施例2】
【0030】
図4は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図である。この実施例では、除電イオン送風機構として、圧縮空気発生部402から発生した圧縮空気を送風する空気管403を採用した場合の例である。
【0031】
静電気除去装置は、分注機構105と一体となり組み込まれる。分注機構105のアーム201内に、除電イオン202の発生源である放電針203、および除電イオン202を効果的に対象物に当てるために、圧縮空気を放出できる空気ノズル401を備える。自動分析装置内には圧縮空気発生部402を備え、空気ノズル401は圧縮空気発生部402と分注機構105の支柱内に配置した空気管403をとおして接続される。圧縮空気発生部402は、空気ポンプ404、圧縮空気タンク405、電磁弁406を備える。
【0032】
空気ポンプ404は外気を取り込み圧縮した空気を圧縮空気タンク405に送り、圧縮空気タンク405の空気圧を常時一定に保つ。
【0033】
実施例1と同様、分注位置206まで検体容器110が移動・搬送されたあと、除電制御ユニット205からの指令により、放電針203から除電イオン202を放射し、それと同時に電磁弁406を開放して圧縮空気を空気ノズル401から放出させることで、除電イオン202を検体容器110に当て、静電気207を除去する。
【0034】
実施例1では送風ファン204による除電イオン202の放出を行っていたが、本実施例ではファンモータなどの重量部品を分注機構105のアーム201に含まないため、アーム201の軽量化を行うことができる。また、一般的にファンなどの電動機による振動により、ファンの動作中はファンの構造体に近いほど振動の影響を受け、実施例1の例では、分注動作への振動による分注精度低下を防止するため、分注動作はファンの動作停止後、慣性により回転しているファンが完全に止まるまで、分注動作に遷移するのを待つ必要があったが、本実施例では振動の原因となる電動機がアーム201内に存在しないため、静電気除去動作後、すぐに分注動作を行うことができる。これらのことから、本実施例は分注機構の高速動作化に寄与することができる。
【0035】
図5は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図である。除電の実施手順は基本的に実施例1と同じである。
【0036】
相違点としては、圧縮空気を利用していることにより、電磁弁406を開にする工程(S504、509)、電磁弁406を閉にする工程である(S505、510)。それ以外は同様である。
【0037】
送風ファンが圧縮空気発生部に変わったことによる効果を除き、その他の効果については実施例1と同様である。
【実施例3】
【0038】
図6は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の詳細図である。この実施例では、除電イオンの発生源がプローブに接続され、プローブに除電イオンを発生させることができるようになっている。また、圧縮空気発生部から発生した圧縮空気を送風する外筒605で除電イオンを対象物に送風するようになっている。
【0039】
静電気除去装置は、分注機構105と一体となり組み込まれる。分注機構105のアーム601内に、除電機能付き分注プローブ602を備える。除電機能付き分注プローブ602は、分注機能に必要な、液体を吸引したり、吐出する機能、液面を検知するために必要な静電容量方式の液面検知センサのほかに、除電する機能を搭載する。つまり、プローブは、除電イオンの発生源に接続され、プローブに除電イオンを発生させることができるようになっている。
【0040】
除電機能付き分注プローブ602は、金属製の内筒603、およびそれを囲むように圧縮空気の通過できる隙間604を設けた外筒605から構成される。内筒603は、シリンジなどの流路と接続され、内筒先端606より液体の吸引や吐出を行う。また内筒603は液面検知制御部607に電気的に接続され、静電容量検出方式を利用した内筒先端606を検出点とする液面検知センサとして機能する。さらに、内筒603は除電制御ユニット205内の高電圧生成器608に接続され、内筒先端606に除電イオン202を発生させる。外筒605は、液面検知機能を安定させるために接地極609に接続されるとともに、圧縮空気発生部402と分注機構105の支柱内に配置した空気管403をとおして接続され、外筒先端610から圧縮空気の放出を行う。また、除電制御ユニット205等の制御ユニットは、分注プローブの内筒603の電気接続を、液面検知制御部の回路(液面検知回路)に接続させたり、除電制御ユニットに接続したりして、分注プローブの電気的な機能を、一方を有効にして他方を無効にできるようにスイッチで変えることが望ましい。
【0041】
実施例2と同様、分注位置206まで検体容器110が移動・搬送されたあと、除電制御ユニット205からの指令により、内筒先端606に除電イオン202を発生させ、それと同時に電磁弁406を開放して、外筒先端610から圧縮空気を放出させることで、除電イオン202を検体容器110に当て、静電気207を除去する。
【0042】
実施例1および実施例2では、分注機構105のアーム201に、除電イオン202を発生させるための放電針203を設ける必要があったが、本実施例では、放電針203が担う機能を、従来からある分注プローブ602を改良することで一体化することで、別途静電気除去装置を設置する必要がなくなるため、静電気除去装置の搭載スペース削減に寄与できる。また、静電気により直接影響を受ける、分注プローブ602自体に、静電気除去機能を付けることで、影響される部分と影響の原因を取り除く部分が限りなく近い場所となり、効果的に静電気を除去することに寄与できる。
【0043】
図7は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の動作フロー図である。除電の実施手順は基本的に実施例2と同じである。
【0044】
相違点としては、分注プローブを除電イオンの発生源としていることにより、分注プローブ内筒の電気接続を除電ユニットに接続したり、液面検知回路に接続したり、接続対象を切り替えている点である(S703、S706、S708)。それ以外は同様である。
【0045】
上記で述べた効果以外については、実施例1と同様である。
【実施例4】
【0046】
図8は、本発明による自動分析装置の静電気除去装置の付属機能の詳細図である。この実施例では、プローブを用い非接触で検体容器に帯電した電荷量を測定する帯電量計測ユニットを備えている。
【0047】
本実施例は実施例3の除電機能付きプローブ602をもとに、検体容器110などの対象物に、静電気が放電する原因である電荷がどれだけ蓄積されているかを測定する手段を説明している。
【0048】
分注機構105内のアーム601には、液面検知制御部607と帯電量計測ユニット801を設ける。液面検知制御部607と帯電量計測ユニット801内には、分注プローブ602の内筒603に接続される信号線から、アナログスイッチ802を介し、液面検知回路803および帯電量計測回路804に、制御部805により切り替えて電気信号が接続される。帯電量計測回路804は、微小電圧V806を増幅するアンプ807とA/D変換器808により構成され、分注プローブ602の先端で発生した微小電圧V806のA/D変換結果は、制御部805に送られる。
【0049】
自動分析装置には検体容器110の高さを検出する、周知の検体容器高さ検出器809が搭載されている。
【0050】
自動分析装置の搬送ライン101上には、架設された検体容器110が移動・搬送され、分注機構105付近の分注位置206に停止し、その上空で分注プローブ602が停止し、分注動作準備体制となる。検体容器110の口には、静電気となる電荷Q810が蓄積されている。分注プローブ602の先端部と、検体容器110の口との間には、距離d811がある。距離d811は、既知である分注プローブ602の先端部の下降位置と、検体容器高さ検出器809から得られた、検体容器の高さから算出することが可能である。検体容器110の口と、分注プローブ602の先端との間には、誘電率εの空気812が存在している。分注プローブ602の先端の断面積をSとする。この状態で、誘電率ε
、断面積S(813)、距離dから、静電容量C(814)を算出することができ、C=ε・S/dとなる。また、静電容量C(814)と、分注プローブ602の先端に発生した微小電圧806から、電荷Q(810)を算出することができ、Q=C・Vと導くことができる。
【0051】
この仕組みを利用することで、電荷Q810を減らすように確認をしながら、電荷Q(810)が静電気放電しないくらいに十分減少するように、静電気除去装置の作用を調整することに利用可能となる。
【0052】
図9は、液面検知と帯電量計測ユニット801に、除電制御ユニット205を組み合わせた、総合除電ユニット901の説明である。総合除電ユニット901内には液面検知部902、帯電量計測部903、高電圧生成部904および制御部805を備え、分注プローブ602の内筒603は、制御部805により切替されるアナログスイッチ802を介して、いずれかの回路に接続される。これらを組み合わせることで、分注動作の開始前に、分注プローブ602を帯電量計測部903に接続して検体容器110の口にたまった電荷Q810を測定し、電荷Q810の大きさに応じて、電荷Q810が減るように、高電圧生成部904に接続された分注プローブ602から、除電イオン202を放出し、その後、液面検知部902に切り替えて、分注プローブ602を下降させて検体の液面を検出することで、静電気に左右されずに分注機能を実現することができる。このように、静電気除去装置は、帯電量計測ユニットで測定された帯電量に応じて、送風する除電イオンの量を調整することが望ましい。また、検体容器に収容された検体の液面検知を、前記プローブを用いて行う前に、帯電計測ユニットでの検体容器に帯電した電荷量の測定、および、除電イオン送風機構での前記検体容器への送風を実施することが望ましい。この制御は、除電制御ユニット等の制御ユニットで行われる。
【0053】
図10は、本発明における、帯電量に応じた除電フローの実施例である。動作の組み合わせによって、除電フローが複数考えられ、高速動作に対応するなどの用途ごとに、フローを選択することができる。
【0054】
フローA1101では、プローブが分注位置に移動1102したあと、除電動作1103を行い、その後帯電量測定1104を行い、十分帯電量が減っていれば分注動作1105を行い、減っていなければ、再度除電動作1103を行う。
【0055】
フローB1106では、プローブが分注位置に移動1102したあと、帯電量測定1104を行い、その後帯電量に応じた除電動作1103を行った後、分注動作1105を行う。
【0056】
フローC1107では、プローブが分注位置に移動1102したあと、帯電量測定1104を行い、その後帯電量に応じた除電動作1103を行うが、再度帯電量測定1104を行い、十分帯電量が減っていれば分注動作1105を行う。
【0057】
フローA1101は、除電動作1103における除電の強さが固定であり制御できないシステムに有用である。フローB1106は除電動作1103における除電の強さを、制御可能なシステムにおいて有用であり、除電動作1103で十分帯電量が減ることが既知であれば、再度帯電量を測定する必要が無いため、最も速く動作を行うことができるフローである。フローC1107は除電の強さが固定か制御できるかにかかわらず、どちらの方法でも利用可能なフローであり、また最初から十分帯電量が低ければ、除電動作をしないというルートにすることもでき、分注動作までの除電作業の高速化に寄与できる。
【0058】
これらフローの使い分けは、ユーザーが自由に設定できても良い。湿度の多い環境で使用する際は、もともと静電気が帯電しにくいので、フローC1107を利用して、処理能力の向上を図るといった利用のしかたが可能となる。つまり、これらのフローの使い分けを行うことができるようにするため、プローブに備わった、液面検知機能、電荷量測定機能、静電気除去機能のうち、ユーザーは使用する機能又は機能の組み合わせを選択できる表示部を備えることが望ましい。
【0059】
本実施例では、実施例3をもとに説明したが、除電イオン送風機構は実施例1や2の構成を採用してもよい。
【0060】
以上、実施例について説明した、実施例では検体容器の搬送にラックを採用したが、検体ディスクを使用した場合においても、本発明に係る静電気除電装置は有効である。
【符号の説明】
【0061】
101…搬送ライン、102…ローター、103…試薬ディスク、104…反応ディスク、105…分注機構、106…攪拌機構、107…分光器、110…検体容器、111…検体ラック、112…反応容器、113…試薬容器、114…シールド部、115…制御部、201…アーム、202…除電イオン、203…放電針、204…送風ファン、205…除電制御ユニット、206…分注位置、207…静電気、208…分注位置、401…空気ノズル、402…圧縮空気発生部、403…空気管、404…空気ポンプ、405…圧縮空気タンク、406…電磁弁、601…アーム、602…除電機能付き分注プローブ、603…内筒、604…隙間、605…外筒、606…内筒先端、607…液面検知制御部、608…高電圧生成器、609…接地極、610…外筒先端、801…帯電量計測ユニット、802…アナログスイッチ、803…液面検知回路、804…帯電量計測回路、805…制御部、806…微小電圧、807…アンプ、808…A/D変換器、809…検体容器高さ検出器、810…電荷Q、811…距離d、812…誘電率εの空気、813…断面積S、814…静電容量C、901…総合除電ユニット、902…液面検知部、903…帯電量計測部、904…高電圧生成部、1101…フローA、1102…分注位置に移動、1103…除電動作、1104…帯電量測定、1105…分注動作、1106…フローB、1107…フローC
図1
図2
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図8
図9
図10