特許第6570596号(P6570596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特許6570596TiおよびZnを含有するゼオライト材料を含有する微小粉末および成形物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570596
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】TiおよびZnを含有するゼオライト材料を含有する微小粉末および成形物
(51)【国際特許分類】
   C01B 37/02 20060101AFI20190826BHJP
   B01J 29/89 20060101ALI20190826BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20190826BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20190826BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20190826BHJP
   C07D 301/12 20060101ALI20190826BHJP
   C07D 303/04 20060101ALI20190826BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   C01B37/02
   B01J29/89 Z
   B01J37/00 F
   B01J37/08
   B01J37/00 D
   B01J37/10
   C07D301/12
   C07D303/04
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】85
(21)【出願番号】特願2017-197545(P2017-197545)
(22)【出願日】2017年10月11日
(62)【分割の表示】特願2014-556023(P2014-556023)の分割
【原出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2018-48076(P2018-48076A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】12154168.4
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ−ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】テレス,ヨアキム ヘンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ゼーリヒ,ビアンカ
(72)【発明者】
【氏名】カムペ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】バイアー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル,カルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ,ペーター
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6228139(JP,B2)
【文献】 特開2008−200553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 37/00 − 37/08
B01J 21/00 − 38/74
C07D 301/12
C07D 303/04
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含む成形物であって、
赤外スペクトルが(3700〜3750)±20cm−1の領域における帯域および(3670−3690)±20cm−1の領域における帯域を含み、(3670〜3690)±20cm−1の領域における帯域に対する(3700〜3750)±20cm−1の領域における帯域の強度比が多くとも1.5であり、
好ましくは少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む成形物。
【請求項2】
DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に4nmから40nm、好ましくは20nmから30nmの範囲における平均孔径を有するメソ細孔を含む、請求項1に記載の成形物。
【請求項3】
XRD分析よって決定される場合に、少なくとも(55±10)%、好ましくは((55から75)±10)%の範囲における結晶化度を有する、請求項1または2に記載の成形物。
【請求項4】
微小粉末を70質量%から80質量%の範囲における量で、およびシリカバインダーを30質量%から20質量%の範囲における量で含み、微小粉末がシリカバインダーと一緒に成形物の少なくとも99質量%を構成し、成形物がSi原子の合計数に関して、29Si MAS NMRに従って決定される場合に多くとも6%、好ましくは多くとも3%のシラノール基の濃度を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項5】
円形断面および1.5nmから1.7mmの範囲における直径を有し、本明細書に記載されている通りの方法に従って破砕強度試験機Z2.5/TS1Sによって決定される少なくとも5N、好ましくは5Nから20Nの範囲における、より好ましくは12Nから20Nの範囲における破砕強度を有するストランドである、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項6】
29Si−NMRスペクトルが、6つのピークを以下の位置で含み、
−98±xppmでピーク1
−104±xppmでピーク2
−110±xppmでピーク3
−113±xppmでピーク4
−115±xppmでピーク5
−118±xppmでピーク6
xが、ピークのいずれにおいても1.5、好ましくは1.0、より好ましくは0.5であり、
Q=100{[a+a]/[a+a+a]}/a
として定義されるQが、多くとも2.5、好ましくは多くとも1.6、好ましくは多くとも1.4であり、[a+a]が、ピーク1および2のピーク面積の和であり、[a+a+a]が、ピーク4、5、および6のピーク面積の和であり、aがピーク3のピーク面積である、請求項1からのいずれか1項に記載の成形物。
【請求項7】
3質量%から8質量%、好ましくは4質量%から7質量%の範囲における水取り込みを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項8】
赤外スペクトルが(3700〜3750)±20cm−1の領域における帯域および(3670−3690)±20cm−1の領域における帯域を含み、(3670〜3690)±20cm−1の領域における帯域に対する(3700〜3750)±20cm−1の領域における帯域の強度比が多くとも1.4である、請求項1から6のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項9】
触媒としての使用、好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、溶媒としてのアセトニトリル中において、連続的方法で、プロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒としての使用のための、500時間の走行時間後の過酸化水素に対してプロピレンオキシドに関する選択性が少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%である、請求項1から8のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項10】
触媒としての、好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、溶媒としてのアセトニトリル中において、プロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒としての、請求項1から8のいずれか1項に記載の成形物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末に関し、ここで、前記微小粉末は、2nmから50nmの範囲における平均孔径を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含む。さらに、本発明は、前記微小粉末を含む成形物に関し、ここで、該成形物は、好ましくは、少なくとも1種のバインダー、特にシリカバインダーをさらに含む。なおさらに、本発明は、前記微小粉末および前記成形物の調製のための方法に関し、ここで、該方法は、(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、(ii)(i)において準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで、微小粉末を得ること、ならびに(iii)任意選択により、(ii)において得られた微小粉末を焼成することを含む。またさらに、本発明は、前記微小粉末および前記成形物、特にプロピレンのエポキシ化のための特に触媒としての前記成形物の好ましい使用に関する。その上、本発明は、プロピレンのエポキシ化のための方法に関し、ここで、触媒として、前記微小粉末または前記成形物、特に前記成形物が用いられる。
【背景技術】
【0002】
MWW構造型のゼオライト材料などのゼオライト材料を含有するチタン(Ti)に基づく触媒は、プロピレンのエポキシ化などのエポキシ化反応のための効果的な触媒であることが知られている。この点において、例えば、Chemistry Letters(2000)774〜775ページ、J.Phys.Chem.B 105(2001)2897ページ、US6,759,540、またはUS7,608,728が参照とされる。
【0003】
特開2008−200553において、Tiに加えて亜鉛(Zn)を含有するゼオライト材料が記載されている。このゼオライト材料は、MWW構造またはMWWと同様の構造(TiMWW)を有するチタノシリケートと亜鉛化合物とを接触させることによって調製される。この特許出願の開示は、TiMWWを亜鉛化合物で処理することによって得られるゼオライト粉末の調製に制限される。したがって結果としてられるゼオライト粉末は、プロピレンのエポキシ化のための触媒として用いられる。実施例によると、消費された過酸化水素に基づいてプロピレンオキシドに対するそれぞれ得られる選択性は89%および92%であったが、一方、TiMWWが触媒として用いられた比較例によると、それぞれの選択性は73%しか観察されなかった。
【0004】
US7,273,826およびUS7,476,770は、チタンまたはバナジウムゼオライト、バインダーおよび酸化亜鉛を含むエポキシ化触媒の調製を開示している。この触媒は、ゼオライト、バインダー供給源および酸化亜鉛供給源の混合物を急速乾燥にかけることによって調製される。結果として得られる触媒は、オレフィンエポキシ化に適当であると記載されている。適当なゼオライト材料として、TS−1(チタンシリカライト1)、TS−2(チタンシリカライト2)およびTS−3(チタンシリカライト3)として知られているゼオライトが開示されている。さらに、ゼオライトベータ、モルデナイト、ZSM−48、ZSM−12、MCM−22(MWW)およびMCM−41と同形のフレームワーク構造を有するモレキュラーシーブを含有するチタンのリストが記載されている。これらの文献によると、過酸化水素がその場で発生されるエポキシ化反応において該触媒を用いることが殊に好ましい。そのため、該文献の主な焦点は、パラジウムなどの貴金属を追加として含有する触媒において見られることである。この点において、排他的に、TS−1、コロイド状シリカバインダーおよび酸化亜鉛を含む混合物をスプレー乾燥させることによって調製された修飾TS−1触媒が用いられる実施例が参照とされる。貴金属としてのパラジウムは、次いで、イオン交換によってスプレー乾燥生成物に適用される。この触媒、即ち貴金属処置スプレー乾燥材料は、次いで、メタノールが溶媒として使用されるエポキシ化反応において用いられる。スプレー乾燥工程に関して、スプレー乾燥器の空気送給温度が416℃から437℃の範囲である実施例に開示されている。スプレー乾燥材料それ自体について、与えられている情報は、0.35質量%の亜鉛を含む化学組成だけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US6,759,540
【特許文献2】US7,608,728
【特許文献3】特開2008−200553
【特許文献4】US7,273,826
【特許文献5】US7,476,770
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chemistry Letters(2000)774〜775ページ
【非特許文献2】J.Phys.Chem.B 105(2001)2897ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に成形物の形態における触媒の調製のための中間生成物として使用される場合に有利な特徴を有する、MWW構造型の亜鉛およびチタン含有ゼオライト材料を含む新規な微小粉末を提供することが、本発明の目的であった。
【0008】
新規な微小粉末を含む新規な成形物、特に、好ましくはエポキシ化反応において使用されるならば有利な特性を有する成形物を提供することが、本発明の別の目的であった。
【0009】
前記微小粉末および前記成形物の調製のための方法を提供すること、特に、好ましくはエポキシ化反応において使用されるならば有利な特性を有する成形物をもたらす方法を提供することが、本発明のなお別の目的であった。
【0010】
驚くべきことに、特定のサイズおよび細孔の特徴を呈する粒子を用いる新規な微小粉末は、特に、成形物の形態における触媒の調製のための完璧に適当な中間体であるこうした有利な微小粉末となることが見出された。
【0011】
前記成形物およびその調製について、前記中間体に基づいて調製された成形物の特定の後処理によって、成形物の特徴は、特に成形物がプロペンのエポキシ化を介するプロピレンオキシドの調製のための触媒として用いられる場合に、徹底的に改善することができることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明は、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲で平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含む。
【0013】
本発明は、前記微小粉末を含む成形物にも関し、該成形物は、好ましくは、少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む。
【0014】
本発明は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)において準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)任意選択により、(ii)において得られた微小粉末を焼成すること
含む方法にも関する。
【0015】
本発明は、
(iv)(ii)または(iii)において得られた微小粉末を形状化することで成形物を得ること、
(v)任意選択により、(iv)において得られた成形物を乾燥および/または焼成すること
をさらに含む前記方法にも関する。
【0016】
本発明は、
(vi)(iv)または(v)において、好ましくは(v)において得られた成形物を水処理にかけること、
(vii)任意選択により、水処理成形物を乾燥および/または焼成すること、
をさらに含む前記方法にも関する。
【0017】
本発明は、前記微小粉末の使用、または触媒としての使用、好ましくは、酸化剤として過酸化水素を用いて、溶媒としてのアセトニトリル中において、プロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒としての前記成形物の使用にも関する。
【0018】
本発明によると、過酸化水素が酸化剤として使用されるならば、過酸化水素は反応中に水素および酸素から、または他の適当な前駆体からその場で形成されることが考えられる。
【0019】
しかしながら、最も好ましくは、「酸化剤として過酸化水素を使用」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、過酸化水素がその場で形成されないが、好ましくは溶液、好ましくは少なくとも部分的水溶液、より好ましくは水溶液の形態における出発材料として用いられる実施形態に関し、前記好ましくは水性の溶液は、溶液の合計質量に対して、20質量%から60質量%、より好ましくは25質量%から55質量%の範囲における好ましい過酸化水素濃度を有する。
【0020】
本発明によると、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料は、本発明微小粉末中に含まれる。「アルミニウムフリー」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、例えば、ZnTiMWWが調製される出発材料中のアルミニウム不純物に起因し得る不純物として痕跡量のアルミニウムだけを含有し得るZnTiMWWに関する。特に、ZnTiMWWの調製のためにアルミニウム供給源は使用されない。典型的に、本発明によるアルミニウムフリーZnTiMWWは、ZnTiMWWの合計質量に対して、多くとも100質量ppm、好ましくは多くとも50質量ppmのアルミニウムを含有する。
【0021】
微小粉末
上に記述されている通り、本発明は、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含む。
【0022】
本発明の文脈において、特定の粒子サイズ分布を有する粒子を有するZnTiMWWを含有するこうした微小粉末は、この微小粉末に基づく成形物の調製に殊に適当であることが、驚くべきことに見出された。特に工業規模の方法における触媒活性材料としてのZnTiMWWの好ましい使用により、こうした成形物の調製は極めて重要であることが見出され、というのは、例えば触媒が固定床触媒として用いられる連続型方法において、ZnTiMWWを含有する成形物が、触媒活性材料としてZnTiMWWがどのように使用され得るかについての最も好ましい実施形態の1つであるからである。したがって、Dv10値は、微小粉末が特定の最小粗さを呈するはずであることを意味する特定の最小サイズを有するはずであることが見出された。そのため、本発明によると、微小粉末の粒子は、少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する。
【0023】
「Dv10値」という用語は、本発明の文脈において言及される場合、微小粉末の粒子の10vol.%が、より小さいサイズを有する平均粒子サイズを表す。同様に、「Dv50値」という用語は、本発明の文脈において言及される場合、微小粉末の粒子の50vol.%が、より小さいサイズを有する平均粒子サイズを表し、「Dv90値」という用語は、本発明の文脈において言及される場合、微小粉末の粒子の90vol.%が、より小さいサイズを有する平均粒子サイズを表す。特に、Dv10値、Dv50値、およびDv90値は、本発明の文脈において言及される場合、参考例8に具体的に記載されている通りの器具およびそれぞれのパラメータを使用して決定される通りであると理解されるべきである。
【0024】
好ましくは、Dv10値は、マイクロメートルで、少なくとも2.5、より好ましくは少なくとも3である。より好ましくは、Dv10値は、マイクロメートルで、7未満、より好ましくは多くとも6.5、より好ましくは多くとも6、より好ましくは多くとも5.5である。Dv10値の好ましい範囲は、マイクロメートルで、2から7未満、2から6.5、2から6、2から5.5、2.5から7未満、2.5から6.5、2.5から6、2.5から5.5、3から7未満、3から6.5、3から6、3から5.5であり、3から5.5の範囲が最も好ましい。
【0025】
一般に、本発明の微小粉末のDv50値およびDv90値に関して特定の制限は存在しない。好ましくは、Dv50値は、マイクロメートルで、少なくとも7、より好ましくは7から25の範囲である。好ましくは、Dv90値は、マイクロメートルで、少なくとも12、好ましくは12から85の範囲、例えば少なくとも26など、より好ましくは26から85の範囲である。より好ましくは、Dv50値は、マイクロメートルで、7から25の範囲であり、Dv90値は、マイクロメートルで、14から85の範囲、例えば26から85などである。
【0026】
さらに本発明によると、メソ細孔を有するZnTiMWWを含有するこうした微小粉末は、この微小粉末に基づく成形物の調製に殊に適当であることが、驚くべきことに見出された。触媒活性材料としてのZnTiMWWの好ましい使用により、特に工業規模の方法において、こうした成形物の調製は、上文において記載されている通り、極めて重要であることが見出された。したがって、微小粉末のメソ細孔は、微小粉末を、成形物の調製のための殊に適当な中間体にすることが見出され、というのは、触媒方法における成形物の使用中に輸送細孔として作用し得るメソ細孔の存在が、こうした微小粉末から出発する成形物の生成のための単純化方法を可能にするからであり、というのは、成形物の生成中に追加のメソ細孔形成剤の使用を回避することが可能であるからである。この利点は、下文においてさらに詳細に記載されている。そのため、本発明によると、該微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含む。
【0027】
「4V/A」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、2nmから50nmの間の細孔の累積表面に関するAによって割られる、2nmから50nmの間の細孔の累積体積Vの4倍に関する。
【0028】
好ましくは、メソ細孔は、HgポロシメトリーによってDIN66133に従って決定される場合に5nmから50nm、より好ましくは10nmから50nm、より好ましくは10nmから45nm、より好ましくは15nmから45nm、より好ましくは15nmから35nm、より好ましくは20nmから35nm、より好ましくは20nmから30nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有する。
【0029】
さらに本発明によると、メソ細孔を有するZnTiMWWを含有するこうした微小粉末は、微小粉末がZnTiMWWおよびメソ細孔のミクロ細孔に加えてマクロ細孔を含有するならば、成形物の調製に殊に適当であることが、驚くべきことに見出された。こうした微小粉末は、特にZnTiMWWを含有する成形物の調製のための中間体として使用されるならば殊に適当であるのは何故なのかは正確に知られていない一方で、こうしたマクロ細孔の存在は、成形物を得るために形成される微小粉末から調製される形成可能な塊の作業性を促進にすることが可能であり得る。さらに、最終的に得られる成形物に含有される微小粉末は、上文ですでに考察されている通りの方法における触媒として使用されるならば、改善された輸送特徴を呈することが可能であり得る。
【0030】
そのため、本発明によると、微小粉末は追加として、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に50nm超からの範囲における平均孔径(4V/A)を有するマクロ細孔を含む。「4V/A」という用語について、上文でのそれぞれの考察が参照とされる。
【0031】
好ましくは、マクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に0.05マイクロメートルから3マイクロメートル、より好ましくは0.05マイクロメートルから2マイクロメートル、より好ましくは0.05マイクロメートルから1マイクロメートル、より好ましくは0.05マイクロメートルから0.5マイクロメートル、より好ましくは0.05マイクロメートルから0.1マイクロメートルの範囲における平均孔径(4V/A)を有する。
【0032】
本発明によると、微小粉末は、ミクロ細孔性ゼオライト材料であるZnTiMWWを含有する。一般に、ZnTiMWWのミクロ細孔は、窒素吸着によってDIN66135に従って決定される場合に最大2nmまでの範囲における平均孔径を有する。好ましくは、ZnTiMWWのミクロ細孔は、窒素吸着によってDIN66135に従って決定される場合に最大2nm未満から、より好ましくは0.3nmから1.9nm、より好ましくは0.4nmから1.8nm、より好ましくは0.5nmから1.7nm、より好ましくは0.6nmから1.6nm、より好ましくは0.7nmから1.5nm、より好ましくは0.8nmから1.4nm、より好ましくは0.9nmから1.3nm、より好ましくは1.0nmから1.2nmの範囲における平均孔径を有する。
【0033】
一般に、本発明の微小粉末は、自由裁量の量におけるZnTiMWWを含有すると考えられる。例えば、微小粉末は、ZnTiMWWを除いて、バインダー材料として作用する少なくとも1種の化学的化合物をさらに含有すると考えられ得る。こうしたバインダーの例は、金属酸化物、例えば、SiO、Al、TiO、ZrOもしくはMgOなど、または粘土、あるいはこれら酸化物の2種以上の混合物、あるいはSi、Al、Ti、ZrおよびMgの少なくとも2種の混合酸化物である。粘土鉱物、および自然発生または合成的に生成されるアルミナ、例えば、アルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、エータ−、カッパ−、カイ−またはシータ−アルミナなど、ならびにそれらの無機または有機金属前駆体化合物、例えば、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイトもしくは疑ベーマイト、またはトリアルコキシアルミネート、例えば、アルミニウムトリイソプロピレートなどが、Alバインダーとして特に好ましい。さらに考えられるバインダーは、極性および非極性部分を有する両親媒性化合物、ならびに黒鉛であり得る。さらなるバインダーは、例えば粘土、例えば、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ヘクトライト、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ナクライトまたはアナキサイトなどであり得る。この考えられる実施形態によると、微小粉末は、微小粉末の質量に対して、最大95質量%まで、または最大90質量%まで、または最大85質量%まで、または最大80質量%まで、または最大75質量%まで、または最大70質量%まで、または最大65質量%まで、または最大60質量%まで、または最大55質量%まで、または最大50質量%まで、または最大45質量%まで、または最大40質量%まで、または最大35質量%まで、または最大30質量%まで、または最大25質量%まで、または最大20質量%まで、または最大15質量%まで、または最大10質量%まで、または最大5質量%までの、1種または複数のバインダー材料を含有することができる。
【0034】
本発明の殊に好ましい実施形態によると、微小粉末を含有するZnTiMWWは、ZnTiMWWゼオライト材料それ自体以外の本質的に非化学的な化合物を含有する。好ましくは、発明の微小粉末は、微小粉末の質量に対して、少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも96質量%、より好ましくは少なくとも97質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.7質量%のZnTiMWWを含む。
【0035】
本発明の微小粉末に含有されるZnTiMWWについて、特定の制限は、ZnTiMWWのZn含有量に関係する限り存在しない。一般に、例えば最大5質量%までからの範囲における、元素Znとして算出されるZn含有量は、0.01質量%から5質量%、または0.02質量%から4質量%、または0.05質量%から3質量%、または0.1質量%から2質量%の考えられる範囲で考えられる。驚くべきことに、特に触媒活性材料として使用されるならば、さらに特に下文において詳細に記載されている通りのエポキシ化方法における触媒活性材料として使用されるならば、ZnTiMWWのZn含有量が、Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して、1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.1質量%から1.95質量%、より好ましくは1.2質量%から1.9質量%、より好ましくは1.3質量%から1.85質量%の狭い範囲であるのは特別に有利であることが見出された。非常に低いまたは非常に高いのいずれかのZn含有量が開示されているJP2008−200553Aに反して、ZnTiMWWのZn含有量の狭い範囲は、特に酸化剤と相対的なエポキシ化化合物に関する方法の選択性を考慮して、高く改善されたエポキシ化結果を可能にすることが見出された。
【0036】
本発明の微小粉末に含有されるZnTiMWWについて、特定の制限は、ZnTiMWWのTi含有量に関係する限り存在しない。一般に、例えば最大5質量%までからの範囲における、元素Tiとして算出されるTi含有量は、0.01質量%から5質量%、または0.02質量%から4質量%、または0.05質量%から3質量%、または0.1質量%から2質量%の考えられる範囲で考えられる。特に触媒活性材料として使用されるならば、さらに特に下文において詳細に記載されている通りのエポキシ化方法における触媒活性材料として使用されるならば、それは、ZnTiMWWのTi含有量が、Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.1質量%から1.9質量%、より好ましくは1.2質量%から1.8質量%の狭い範囲であるならば特別に有利であることが見出された。
【0037】
本発明によると、X線回折(XRD)分析によって決定される場合に、本発明微小粉末に含有されるZnTiMWWの結晶化度は、広域範囲において変動し得る。例えば、ZnTiMWWの結晶化度は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%であり得る。本発明の好ましい実施形態によると、本発明微小粉末に含有されるZnTiMWWの結晶化度は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%である。各値は、プラス/マイナス10%の測定不正確さを有すると理解されるべきである。
【0038】
触媒として使用されるとともにこの目的のために少なくとも1つの貴金属を含有しなければならないスプレー粉末を開示しているUS7,273,826およびUS7,476,770の教示に反して、特に、ZnTiMWWを含有するとともに貴金属が本質的にフリーである触媒活性材料として使用されるならば、微小粉末が好ましいことが本発明の文脈において見出された。そのため、本発明の特に好ましい実施形態によると、微小粉末は、微小粉末の合計質量に対するとともに元素として算出される、0.001質量%未満、好ましくは0.0001質量%未満の、好ましくは金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは金、白金、金、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される貴金属を含む。
【0039】
通常、上文において記載されている通り、ZnTiMWWは、B−MWW型の前駆体、MWWフレームワーク構造を有するホウ素含有ゼオライトから調製される。しかしながら、特に触媒活性材料として使用されるならば、さらに特に下文において詳細に記載されている通りのエポキシ化方法における触媒活性材料として使用されるならば、ZnTiMWW中に、およびしたがって本発明微小粉末中に含有されるホウ素は、触媒性能を減少し得る。そのため、好ましくは、本発明の微小粉末は、微小粉末の合計質量に対するとともに元素として算出される、0.1質量%未満、より好ましくは0.08質量%未満、より好ましくは0.06質量%未満、より好ましくは0.04質量%未満、より好ましくは0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満のホウ素を含む。そのため、B−MWW型の脱ホウ素化前駆体からZnTiMWWを調製することが好ましい。
【0040】
上記で考察されている通り、本発明の微小粉末は、例えば、それが成形物の調製のための中間体として使用されるならば特別に有利である。殊にこの目的により、成形物が調製される形成可能な塊の調製のために、特定のかさ密度の微小粉末が有利であることが見出された。好ましくは、本発明の微小粉末のかさ密度は、20g/mlから250g/ml、より好ましくは30g/mlから200g/ml、より好ましくは40g/mlから180g/ml、より好ましくは50g/mlから160g/ml、より好ましくは60g/mlから140g/ml、より好ましくは70g/mlから120g/ml、より好ましくは80g/mlから100g/mlの範囲である。
【0041】
好ましくは、本発明の微小粉末の合計有機炭素(TOC)含有量は、1質量%未満、好ましくは0.9質量%未満、より好ましくは0.8質量%未満、より好ましくは0.7質量%未満、より好ましくは0.6質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.4質量%未満、より好ましくは0.3質量%未満である。
【0042】
殊に好ましい実施形態によると、本発明は、粒子が3マイクロメートルから5.5マイクロメートルの範囲におけるDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に20nmから30nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対してチタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも99.7質量%含み、ここで、ZnTiMWWのミクロ細孔は、好ましくは、DIN66135に従って窒素吸着によって決定される場合に1.0ナノメートルから1.2ナノメートルの範囲における平均孔径を有する。
【0043】
殊に好ましい実施形態によると、本発明は、粒子が3マイクロメートルから5.5マイクロメートルの範囲におけるDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に20nmから30nmの範囲である平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも99.7質量%含み、ここで、ZnTiMWWのミクロ細孔は、好ましくは、DIN66135に従って窒素吸着によって決定される場合に1.0ナノメートルから1.2ナノメートルの範囲における平均孔径を有し、ここで、ZnTiMWWは、Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.2質量%から1.9質量%の量で亜鉛を含有する。
【0044】
殊に好ましい実施形態によると、本発明は、粒子が3マイクロメートルから5.5マイクロメートルの範囲におけるDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に20nmから30nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に0.05マイクロメートルから3マイクロメートルの範囲における平均孔径(4V/A)を有するマクロ細孔をさらに含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも99.7質量%含み、ここで、ZnTiMWWのミクロ細孔は、好ましくは、DIN66135に従って窒素吸着によって決定される場合に1.0ナノメートルから1.2ナノメートルの範囲における平均孔径を有する。
【0045】
殊に好ましい実施形態によると、本発明は、粒子が3マイクロメートルから5.5マイクロメートルの範囲におけるDv10値を有する微小粉末に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に20nmから30nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に0.05マイクロメートルから3マイクロメートルの範囲における平均孔径(4V/A)を有するマクロ細孔をさらに含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも99.7質量%含み、ここで、ZnTiMWWのミクロ細孔は、好ましくは、DIN66135に従って窒素吸着によって決定される場合に1.0ナノメートルから1.2ナノメートルの範囲における平均孔径を有し、ここで、ZnTiMWWは、Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.2質量%から1.9質量%の量で亜鉛を含有する。
【0046】
本発明の微小粉末の調製に関係する限り、特別な制限は存在しないが、ただし、上に記載されている特徴を有する微小粉末が得られるという条件である。最も好ましくは、本発明の微小粉末は、ZnTiMWWを含有する懸濁液を急速乾燥させることを介して調製され、ここで、ZnTiMWWを含有する懸濁液をスプレー顆粒化することまたはスプレー乾燥させること、好ましくはスプレー乾燥させることは、殊に好ましい。そのため、本発明の微小粉末は、好ましくは、スプレー乾燥させることによって好ましくは得ることが可能なまたは得られるスプレー粉末である。この好ましい実施形態に関係して、「微小粉末」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、「スプレー粉末」という用語によって置き換えられ得る。
【0047】
そのため、本発明は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)で準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)任意選択により、(ii)において得られた微小粉末を焼成すること
を含む方法にも関する。
【0048】
上に記述されている通り、スプレー乾燥は、どのように本発明の微小粉末が調製されるかの、本発明による好ましい方法である。しかしながら、流動床スプレー顆粒化または流動床顆粒化などの他の急速乾燥方法も考えられ得る。
【0049】
好ましい実施形態によると、(ii)または(iii)、好ましくは(iii)に従って得られる微小粉末は、上記で定義されている通りの微小粉末である。そのため、本発明は、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末の調製のための方法にも関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含み、前記方法は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)で準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)任意選択により、(ii)において得られた微小粉末を焼成すること
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(i)に従って懸濁液を提供
ZnTiMWW
(i)における懸濁液がこれに基づいて提供されるZnTiMWWは、全ての考えられる方法に従って調製することができる。例えば、チタンを含有するMWW構造型(TiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を調製し、TiMWWを適当な処理にかけることで、ZnTiMWWを得ることが可能である。さらに、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製し、MWWを適当な処理にかけることで、例えば、ZnおよびTiの両方がMWWに適当に組み込まれるZnTiMWWを得ることが可能である。さらに、MWW型フレームワークの合成中に、Tiが導入されるとともに結果として得られる材料が適当な処理にかけられることでZnを組み込むか、またはZnが導入されるとともに結果として得られる材料が適当な処理にかけられることでTiを組み込むか、またはZnおよびTiの両方が導入される、MWW構造型のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製することが考えられる。TiMWWの調製のための考えられる方法として、例えば、US6,114,551、またはWuら、「Hydrothermal Synthesis of a novel Titanosilicate with MWW Topology」、Chemistry Letters(2000)、774〜775ページに記載されている通りの方法が記述され得る。
【0051】
好ましい方法によると、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料は、第1段階および第2段階で調製され、TiMWWが適当な処理にかけられることでZnTiMWWを得る。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によると、ZnTiMWWは、
(I)ホウ素を含有するMWW構造型(B−MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製すること、
(II)B−MWWを脱ホウ素化することで、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(III)チタン(Ti)をMWWに組み込むことで、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(IV)好ましくは、TiMWWを酸処理すること、
(V)TiMWWを亜鉛(Zn)含浸にかけることでZnTiMWWを得ること
を含む方法に従って調製される。
【0053】
そのため、本発明は、(i)に従って懸濁液を提供するために使用されるZnTiMWWが、
(I)ホウ素を含有するMWW構造型(B−MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製すること、
(II)B−MWWを脱ホウ素化することで、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(III)チタン(Ti)をMWWに組み込むことで、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(IV)好ましくは、TiMWWを酸処理すること、
(V)TiMWWを亜鉛(Zn)含浸にかけることでZnTiMWWを得ること
を含む方法によって調製される、上記で定義されている通りの方法にも関する。
【0054】
段階(I)
(I)に関係する限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、B−MWW前駆体を含有する適当な出発混合物、好ましくは水性混合物、好ましくは少なくとも1種の適当なミクロ細孔形成剤を含める好ましくはB含有前駆体およびSi含有前駆体は、自生圧力下で水熱結晶化にかけられる。結晶化の目的のため、少なくとも1つの適当な播種材料を使用することが考えられ得る。適当なSi含有前駆体として、煙霧シリカまたはコロイド状シリカ、好ましくはコロイド状シリカ、例えば、Ludox(登録商標)AS−40などのアンモニア安定化コロイド状シリカなどが例として記述され得る。適当なホウ素含有前駆体として、ホウ酸、B、ホウ酸塩、好ましくはホウ酸が例として記述され得る。適当なミクロ細孔形成剤として、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、またはピペリジンおよびヘキサメチレンイミンの混合物が例として記述され得る。好ましくは、結晶化時間は、3日から8日、より好ましくは4日から6日の範囲である。熱水合成中、結晶化混合物は撹拌することができる。結晶化中に適用される温度は、好ましくは、160℃から200℃、より好ましくは160℃から180℃の範囲である。
【0055】
熱水合成後、得られた結晶性ゼオライト材料B−MWW前駆体は、好ましくは、母液から適当に分離される。B−MWW前駆体をそれの母液から分離させる全ての方法が考えられる。これらの方法としては、例えば、濾過、限界濾過、ダイアフィルトレーションおよび遠心分離の方法、または例えば、スプレー乾燥方法およびスプレー顆粒化方法が挙げられる。これらの方法の2つ以上の組合せが適用され得る。本発明によると、B−MWW前駆体は、好ましくは、濾過によってそれの母液から分離されることで、フィルターケーキが得られ、これは、好ましくは水での洗浄に好ましくはかけられる。引き続いて、任意選択により、適当な懸濁液を得るためにさらに加工されたフィルターケーキは、スプレー乾燥または限界濾過にかけられる。B−MWW前駆体をそれの母液から分離させるより前に、懸濁液を濃縮することによって母液のB−MWW前駆体含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用されるならば、洗浄水が1,000マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで洗浄方法を続けることが好ましい。
【0056】
好ましくは濾過を介して達成される懸濁液からのB−MWWの分離後、および洗浄後、B−MWW前駆体を含有する洗浄されたフィルターケーキは、例えば、好ましくは4時間から10時間、より好ましくは5時間から8時間の範囲における時間の間、フィルターケーキを適当なガスストリーム、好ましくは窒素ストリームにかけることによって、好ましくは予備乾燥にかけられる。
【0057】
引き続いて、予備乾燥させたフィルターケーキは、好ましくは、100℃から300℃、より好ましくは150℃から275℃、より好ましくは200℃から250℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で乾燥させる。こうした乾燥は、例えば、スプレー乾燥させるすることによって達成することができる。さらに、B−MWW前駆体を適当な濾過方法を介してそれの母液を分離し、続いて洗浄およびスプレー乾燥させることが可能である。
【0058】
乾燥した後、B−MWW前駆体は、好ましくは、500℃から700℃、より好ましくは550℃から675℃、より好ましくは600℃から675℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で、B−MWWを得るための焼成にかけられる。
【0059】
好ましくは、段階(I)において、B−MWWは、好ましい工程および条件が、以下の実施形態1から28、および表示されている通りのそれぞれの属性によって定義される方法によって調製される:
【0060】
1.(a)水、ケイ素供給源、ホウ素供給源、およびMWWテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−MWW前駆体を熱水合成して、B−MWW前駆体をそれの母液中で得ること、母液は9より上のpHを有する、
(b)(a)において得られ、B−MWW前駆体を含有する母液のpHを、6から9の範囲における値に調整すること、
(c)濾過装置内の濾過によって、(b)において得られたpH調整母液からB−MWW前駆体を分離させること
を含む、MWWフレームワーク構造(B−MWW)を含むアルミニウムフリーのホウ素含有ゼオライト材料を調製する方法。
【0061】
2.(a)において、合成混合物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、水ケイ素供給源、ホウ素供給源およびテンプレート化合物からなる、実施形態1の方法。
【0062】
3.(a)において、ケイ素供給源が、煙霧シリカ、コロイド状シリカ、およびその混合物からなる群から選択され、ケイ素供給源が、好ましくはコロイド状シリカ、より好ましくはアンモニア安定化シリカであり、ホウ素供給源が、ホウ酸、ボレート、酸化ホウ素、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ホウ素供給源が、好ましくはホウ酸であり、MWWテンプレート化合物が、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアンモニウムイオン、1,4−ビス(N−メチルピロリジニウム)ブタン、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウムヒドロキシド、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、MWWテンプレート化合物が好ましくはピペリジンである、実施形態1または2の方法。
【0063】
4.(a)において、合成混合物が、元素ホウ素として算出されるホウ素供給源を、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源に対して、0.4:1から2.0:1、好ましくは0.6:1から1.9:1、より好ましくは0.9:1から1.4:1の範囲におけるモル比で、水を、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源に対して、1:1から30:1、好ましくは3:1から25:1、より好ましくは6:1から20:1の範囲におけるモル比で、およびテンプレート化合物を、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源に対して、0.4:1から2.0:1、好ましくは0.6:1から1.9:1、より好ましくは0.9:1から1.4:1の範囲におけるモル比で含有する、実施形態1から3のいずれかの方法。
【0064】
5.(a)において、熱水合成が、160℃から180℃未満、好ましくは170℃から175℃の範囲における温度で、1時間から72時間、好ましくは6時間から60時間、より好ましくは12時間から50時間の範囲における時間の期間の間で実施される、実施形態1から4のいずれかの方法。
【0065】
6.(a)において、熱水合成が少なくとも部分的に撹拌下で実施される、実施形態1から5のいずれかの方法。
【0066】
7.(a)において、合成混合物が、追加として、播種材料、好ましくはMWWフレームワーク構造を含むゼオライト材料、より好ましくはMWWフレームワーク構造を含むホウ素含有ゼオライト材料を含有する、実施形態1から6のいずれかの方法。
【0067】
8.合成混合物が、播種材料を、ケイ素供給源に対して、kgにおける二酸化ケイ素として算出されるとともにケイ素供給源に含有されるケイ素に対するkgにおける播種材料の量として算出される0.01:1から1:1、好ましくは0.02:1から0.5:1、より好ましくは0.03:1から0.1:1の範囲における質量比で含有する、実施形態7の方法。
【0068】
9.(a)から得られる母液のpHが10より上、好ましくは10.5から12、より好ましくは11から11.5の範囲である、実施形態1から8のいずれかの方法。
【0069】
10.(b)において、(a)において得られた母液のpHが6.5から8.5、好ましくは7から8の範囲における値に調整される、実施形態1から9のいずれかの方法。
【0070】
11.(b)において、pHが、
(i)B−MWW前駆体を含有する(a)から得られる母液に酸を添加すること、ここで、添加が好ましくは少なくとも部分的に撹拌下で実施される
を含む方法によって調整される、実施形態1から10のいずれかの方法。
【0071】
12.(i)において、添加が、20℃から70℃、好ましくは30℃から65℃、より好ましくは40℃から60℃の範囲における温度で実施される、実施形態11の方法。
【0072】
13.(i)において、酸が、無機酸、好ましくは無機酸を含有する水溶液である、実施形態11または12の方法。
【0073】
14.無機酸が、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、無機酸が好ましくは硝酸である、実施形態13の方法。
【0074】
15.方法が、追加として、
(ii)酸が(i)に従って添加される母液を撹拌すること、ここで、(ii)中に酸が母液に添加されない
を含む、実施形態11から14のいずれかの方法。
【0075】
16.(ii)において、撹拌が、20℃から70℃、好ましくは25℃から65℃、より好ましくは30℃から60℃の範囲における温度で実施される、実施形態15の方法。
【0076】
17.(b)において、それぞれのDv10値、Dv50値およびDv90値によって表される母液に含有される粒子のサイズが、Dv10に関して少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも4.5%、Dv50に関して少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも4.5%、およびDv90に関して少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7%増加される、実施形態1から16のいずれかの方法。
【0077】
18.(b)から得られるpH調整母液が、(b)から得られるpH調整母液の合計質量に対して1質量%から10質量%、好ましくは4質量%から9質量%、より好ましくは7質量%から8質量%の範囲における固体含有量を有する、実施形態1から17のいずれかの方法。
【0078】
19.(b)から得られるpH調整母液が、10mPas/mから50mPas/m、好ましくは15mPas/mから45mPas/m、より好ましくは20mPas/mから40mPas/mの範囲における濾過抵抗性を有する、実施形態1から18のいずれかの方法。
【0079】
20.(d)(c)から得られるB−MWW前駆体、好ましくは(c)から得られるフィルターケーキを洗浄すること、ここで洗浄は、好ましくは、洗浄剤として水を使用して行われる
をさらに含む、実施形態1から19のいずれかの方法。
【0080】
21.(d)において、(c)から得られるフィルターケーキが、10mPas/mから50mPas/m、好ましくは15mPas/mから45mPas/m、より好ましくは20mPas/mから40mPas/mの範囲における洗浄抵抗性を有する、実施形態20の方法。
【0081】
22.濾液の導電率が多くとも300マイクロジーメンス/cm、好ましくは多くとも250マイクロジーメンス/cm、より好ましくは多くとも200マイクロジーメンス/cmになるまで洗浄が実施される、実施形態20または21の方法。
【0082】
23.(e)(c)から、好ましくは(d)から得られるB−MWW前駆体を、20℃から50℃、好ましくは20℃から40℃、より好ましくは20℃から30℃の範囲における温度で乾燥させること、ここで、乾燥は、好ましくは、B−MWWをガスストリーム、好ましくは窒素ストリームにかけることによって実施される
をさらに含む、実施形態1から22のいずれかの方法。
【0083】
24.(c)から、好ましくは(d)から、より好ましくは(e)から得られるB−MWW前駆体の残留水分が80質量%から90質量%、好ましくは80質量%から85質量%の範囲である、実施形態1から23のいずれかの方法。
【0084】
25.(f)(c)から、好ましくは(d)から、より好ましくは(e)から得られるB−MWW前駆体を含有し、10質量%から20質量%、好ましくは12質量%から18質量%、より好ましくは14質量%から16質量%の範囲における固体含有量を有する懸濁液、好ましくは水性懸濁液を調製すること、
(g)B−MWW前駆体を含有する(f)から得られた懸濁液をスプレー乾燥して、スプレー粉末を得ること、
(h)B−MWW前駆体を含有する(g)から得られたスプレー粉末を、好ましくは500℃から700℃、より好ましくは550℃から650℃、より好ましくは575℃から625℃の範囲における温度で、1時間から24時間、好ましくは2時間から18時間、より好ましくは6時間から12時間の範囲における時間の期間の間で焼成して、少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%がB−MWWからなるスプレー粉末を得ること
をさらに含む、実施形態1から24のいずれかの方法。
【0085】
26.(h)において、焼成が、連続モードにおいて、好ましくは回転式焼成器内で、好ましくは1時間当たり0.5kgから20kgのスプレー粉末の範囲におけるスループットで実施される、実施形態25の方法。
【0086】
27.(h)から得られたスプレー粉末に含有されるB−MWWの結晶化度の程度が、XRDを介して決定される場合の少なくとも(75±5)%、好ましくは少なくとも(80±5)%である、実施形態25または26の方法。
【0087】
28.(h)から得られたスプレー粉末を含有するB−MWWのBET比表面積が、DIN66131に従って決定される場合に少なくとも300m/g、好ましくは300m/gから500m/gの範囲である、実施形態25から27のいずれかの方法。
【0088】
本発明によると、得られるB−MWWは、好ましくは、元素Bとして算出される1.2質量%から2.4質量%または1.4質量%から2.4質量%の範囲におけるB含有量を有する。さらに、得られるB−MWWは、好ましくは、元素Siとして算出される38質量%から45質量%、または38質量%から44質量%の範囲におけるSi含有量を有する。さらに、得られるB−MWWは、好ましくは、元素Cとして算出される0.14質量%から0.25質量%、より好ましくは0.15質量%から0.22質量%、より好ましくは0.16質量%から0.20質量%の範囲におけるC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。より好ましくは、得られるB−MWWは、0.3質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。
【0089】
段階(II)
(II)に関係する限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得るためのB−MWWの脱ホウ素化は、少なくとも1種の無機酸および/もしくは少なくとも1種の有機酸、またはその塩を含有することがあるまたは含有することがない液体溶媒系を用いるB−MWWの適当な処理を介して達成される。考えられる酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸および酒石酸である。好ましい酸は無機酸であり、硝酸が殊に好ましい。液体溶媒系は、好ましくは、水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0090】
本発明の好ましい実施形態によると、液体溶媒系は、水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで、前記液体溶媒系は、無機酸もしくは有機酸またはその塩を含有せず、該酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酒石酸からなる群から選択される。より好ましくは、液体溶媒系は無機酸もしくは有機酸、またはその塩を含有しない。いっそう好ましくは、液体溶媒系は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、液体溶媒系は水である。
【0091】
(II)に従った処理は、好ましくは、75℃から125℃、より好ましくは85℃から115℃の範囲における温度で、好ましくは8時間から15時間、より好ましくは9時間から12時間の範囲における時間の間実施される。
【0092】
得られる脱ホウ素化結晶性ゼオライト材料MWWは、好ましくは、水および/または酸をさらに含む懸濁液から適当に分離される。懸濁液からMWWを分離させる全ての方法が考えられる。これらの方法としては、例えば濾過、限界濾過、ダイアフィルトレーションおよび遠心分離の方法、または例えばスプレー乾燥方法およびスプレー顆粒化方法が挙げられる。これらの方法の2つ以上の組合せが適用され得る。本発明によると、MWWは、好ましくは、濾過によって懸濁液から分離されることでフィルターケーキが得られ、これは、好ましくは水での洗浄に好ましくはかけられる。引き続いて、適当な懸濁液を得るために任意選択によりさらに加工されるフィルターケーキは、スプレー乾燥または限界濾過にかけられる。MWWを懸濁液から分離させるより前に、懸濁液を濃縮することによって懸濁液のMWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで洗浄方法を続けるのが好ましいことがある。
【0093】
好ましくは濾過を介して達成される懸濁液からのMWWの分離後、および洗浄後、MWWを含有する洗浄フィルターケーキは、例えば、好ましくは4時間から10時間、より好ましくは5時間から8時間の範囲における時間の間、フィルターケーキを適当なガスストリーム、好ましくは窒素ストリームにかけることによって、好ましくは予備乾燥にかけられる。
【0094】
引き続いて、予備乾燥させたフィルターケーキは、好ましくは、100℃から300℃、より好ましくは150℃から275℃、より好ましくは200℃から250℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で乾燥させる。こうした乾燥は、例えばスプレー乾燥させることによって達成することができる。さらに、MWWを懸濁液から適当な濾過方法を介して分離させること、続いて洗浄およびスプレー乾燥させることが可能である。
【0095】
乾燥した後、MWWは、500℃から700℃、より好ましくは550℃から675℃、より好ましくは600℃から675℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で焼成にかけることができる。好ましくは、焼成は(II)によると実施されない。
【0096】
好ましくは、段階(II)は、好ましい工程および条件が、以下の実施形態1から7、および表示されている通りのそれぞれの属性によって定義される方法によって実施される:
【0097】
1.(i)段階(I)に従って得られるMWW構造型(B−MWW)のホウ素含有ゼオライト材料を提供すること、
(ii)B−MWWを液体溶媒系で処理することによってB−MWWを脱ホウ素化して、それによって脱ホウ素化B−MWW(MWW)を得ること、
を含み、ここで、液体溶媒系が水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記液体溶媒系が無機酸もしくは有機酸またはその塩を含有せず、該酸が塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸および酒石酸からなる群から選択される、ゼオライト材料の調製のための方法。
【0098】
2.液体溶媒系が無機酸もしくは有機酸またはその塩を含有しない、実施形態1の方法。
【0099】
3.液体溶媒系が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは水である、実施形態1または2の方法。
【0100】
4.(ii)に従った処理が、50℃から125℃の範囲における温度で実施される、実施形態1から3のいずれかの方法。
【0101】
5.(ii)に従った処理が、6時間から20時間の範囲における時間の間で実施される、実施形態1から4のいずれかの方法。
【0102】
6.(ii)に従った処理が少なくとも2つの別々の工程で実施され、ここで、少なくとも2つの処理工程の間で、MWWが好ましくは100℃から150℃の範囲における温度で乾燥される、実施形態1から5のいずれかの方法。
【0103】
7.(iii)
(iii.1)MWWを液体溶媒系から分離させること
(iii.2)好ましくはスプレー乾燥させることによって、分離MWWを好ましくは乾燥させること、
(iii.3)任意選択により、(a)または(b)から得られるMWWを、好ましくは500℃から700℃の範囲における温度で焼成すること
を含む方法によって、(ii)から得られるMWWを後処理すること、
をさらに含む、実施形態1から6のいずれかの方法。
【0104】
本発明によると、得られるMWWは、好ましくは、元素Bとして算出される多くとも0.1質量%、より好ましくは多くとも0.09質量%、より好ましくは多くとも0.08質量%のB含有量を有する。さらに、得られるMWWは、元素Siとして算出される好ましくは39質量%から45質量%の範囲におけるSi含有量を有する。さらに、得られるMWWは、好ましくは、元素Cとして算出される0.15質量%から0.30質量%、より好ましくは0.18質量%から0.27質量%、より好ましくは0.20質量%から0.25質量%の範囲におけるC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。より好ましくは、得られるB−MWWは、0.3質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。
【0105】
段階(III)
(III)に関係する限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、MWWおよびTi含有前駆体を含有する、および好ましくは少なくとも1種の適当なミクロ細孔形成剤を含有する適当な出発混合物、好ましくは水性混合物は、自生圧力下で水熱結晶化にかけられる。少なくとも1種の適当な播種材料を使用することが考えられ得る。適当なTi含有前駆体として、テトラブチルオルトチタネートなどのテトラアルキルオルトチタネートが例として記述され得る。適当なミクロ細孔形成剤として、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、またはピペリジンおよびヘキサメチレンイミンの混合物が例として記述され得る。好ましくは、結晶化時間は、4日から8日、より好ましくは4日から6日の範囲である。熱水合成中に、結晶化混合物は撹拌することができる。結晶化中に適用される温度は、好ましくは、160℃から200℃、より好ましくは160℃から180℃の範囲である。
【0106】
熱水合成後、得られる結晶性ゼオライト材料TiMWWは、好ましくは、母液から適当に分離される。TiMWWをそれの母液から分離させる全ての方法が考えられる。これらの方法としては、例えば、濾過、限界濾過、ダイアフィルトレーションおよび遠心分離の方法、または例えばスプレー乾燥方法およびスプレー顆粒化方法が挙げられる。これらの方法の2つ以上の組合せが適用され得る。本発明によると、TiMWWは、好ましくは、濾過によってそれの母液から分離されることで、フィルターケーキが得られ、これは、好ましくは水での洗浄に好ましくはかけられる。引き続いて、適当な懸濁液を得るために任意選択によりさらに加工されるフィルターケーキは、スプレー乾燥または限界濾過にかけられる。TiMWWをそれの母液から分離させるより前に、懸濁液を濃縮することによって母液のTiMWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで、洗浄方法を続けるのが好ましい。
【0107】
好ましくは濾過を介して達成される、それの母液からのTiMWWの分離後、および洗浄後、TiMWWを含有する洗浄フィルターケーキは、好ましくは、4時間から10時間、より好ましくは5時間から8時間の範囲における時間の間、例えばフィルターケーキを適当なガスストリーム、好ましくは窒素ストリームにかけることによって、好ましくは予備乾燥にかけられる。
【0108】
引き続いて、予備乾燥フィルターケーキは、好ましくは、100℃から300℃、より好ましくは150℃から275℃、より好ましくは200℃から250℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で乾燥させる。こうした乾燥は、例えばスプレー乾燥させることによって達成することができる。
【0109】
乾燥した後、TiMWWは、500℃から700℃、より好ましくは550℃から675℃、より好ましくは600℃から675℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で焼成にかけることができる。好ましくは、焼成は、(III)によると実施されない。
【0110】
本発明によると、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Tiとして算出される2.1質量%から2.7質量%、より好ましくは2.2質量%から2.6質量%、より好ましくは2.3質量%から2.5質量%の範囲におけるTi含有量を有する。さらに、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Siとして算出される34質量%から40質量%、より好ましくは35質量%から39質量%、より好ましくは36質量%から38質量%の範囲におけるSi含有量を有する。さらに、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Cとして算出される7.0質量%から8.0質量%、より好ましくは7.2質量%から7.8質量%、より好ましくは7.4質量%から7.6質量%の範囲におけるC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。
【0111】
段階(IV)
本発明の方法の段階(IV)は、好ましくは、段階(III)から得られる通りのTiMWWのTi含有量を低減するのに役立ち、Ti含有量のこの低減は、好ましくは酸処理によって達成され、かつ好ましくは、炭素含有量低減するのにも役立ち、炭素含有量のこの低減は、好ましくは下に記載されている通りの焼成によって達成される。本発明の考えられる実施形態によると、所望のTi含有量をすでに呈するTiMWWを、段階(III)において調製するのが可能であり得ることが留意される。さらに、それぞれ得られるTiMWWが段階(V)に従ってさらに加工できるほど十分に低い炭素含有量をもたらす適当な焼成を実施することが、段階(III)において可能であり得る。
【0112】
一般に、(IV)に関係する限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、TiMWW構造型の最終的に所望のアルミニウムフリーゼオライト材料を得るための段階(III)に従って得られる通りのTiMWWの酸処理は、少なくとも1つの酸、好ましくは無機酸、より好ましくは硝酸を用いるTiMWWの適当な処理を介して達成される。(IV)に従った処理は、好ましくは、75℃から125℃、より好ましくは85℃から115℃の範囲における温度で、好ましくは17時間から25時間、より好ましくは18時間から22時間の範囲における時間の間で実施される。
【0113】
酸処理後、得られる結晶性ゼオライト材料TiMWWは、好ましくは、酸をさらに含む懸濁液から適当に分離される。TiMWWを懸濁液から分離させる全ての方法が考えられる。これらの方法としては、例えば、濾過、限界濾過、ダイアフィルトレーションおよび遠心分離の方法、または例えば、スプレー乾燥方法およびスプレー顆粒化方法が挙げられる。これらの方法の2つ以上の組合せが適用され得る。本発明によると、TiMWWが好ましくは濾過によって懸濁液から分離されることでフィルターケーキが得られ、これは、好ましくは水での洗浄に好ましくはかけられる。引き続いて、適当な懸濁液を得るための任意選択によりさらに加工されたフィルターケーキは、スプレー乾燥または限界濾過にかけられる。TiMWWを懸濁液から分離させるより前に、懸濁液を濃縮することによって懸濁液のTiMWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで洗浄方法を続けることが好ましいことがある。
【0114】
好ましくは濾過を介して達成される、懸濁液からのTiMWWの分離後、および洗浄後、TiMWWを含有する洗浄フィルターケーキは、例えば、好ましくは4時間から10時間、より好ましくは5時間から8時間の範囲における時間の間、フィルターケーキを適当なガスストリーム、好ましくは窒素ストリームにかけることによって、好ましくは予備乾燥にかけられる。
【0115】
引き続いて、予備乾燥フィルターケーキは、好ましくは、100℃から300℃、より好ましくは150℃から275℃、より好ましくは200℃から250℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で乾燥させる。こうした乾燥は、例えば、スプレー乾燥させることによってを達成することができる。さらに、適当な濾過方法を介して懸濁液からTiMWWを分離し、続いて洗浄およびスプレー乾燥させることが可能である。
【0116】
乾燥した後、TiMWWは、好ましくは、500℃から700℃、より好ましくは550℃から675℃、より好ましくは600℃から675℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で焼成にかけられる。
【0117】
好ましくは、段階(III)および(IV)は、好ましい工程および条件が、以下の実施形態1から27、および表示されている通りのそれぞれの属性によって定義される方法によって実施される:
【0118】
1.(i)段階(II)に従って得られる脱ホウ素化結晶性ゼオライト材料MWWを提供すること、
(ii)
(ii.1)(i)において提供されたゼオライト材料、MWWテンプレート化合物およびチタン供給源を含有する水性合成混合物を調製すること、ここで、SiOとして算出されるとともに(i)において提供されたゼオライト材料に含有されているSiに対するMWWテンプレート化合物のモル比は、0.5:1から1.4:1の範囲である、
(ii.2)(ii.1)において調製された水性合成混合物からのMWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を熱水合成して、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を含む母液を得ること、
を含む、(i)において提供されたゼオライト材料にチタンを組み込むこと、
(iii)MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を含む(ii.2)から得られた母液をスプレー乾燥させること
を含む、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料の調製のための方法。
【0119】
2.(ii.1)において、MWWテンプレート化合物が、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアンモニウムイオン、1,4−ビス(N−メチルピロリジニウム)ブタン、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、MWWテンプレート化合物が好ましくはピペリジンである、実施形態1の方法。
3.(ii.1)において、チタン供給源が、テトラブチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラ−エチルオルトチタネート、二酸化チタン、四塩化チタン、チタンtert−ブトキシド、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、チタン供給源が好ましくはテトラブチルオルトチタネートである、実施形態1または2の方法。
【0120】
4.(ii.1)における水性合成混合物において、SiOとして算出されるとともに多くとも0.02:1のモル比B:SiOを有するゼオライト材料に含有されるSiに対する、TiOとして算出されるとともにチタン供給源に含有されるTiのモル比が、0.005:1から0.1:1、好ましくは0.01:1から0.08:1、より好ましくは0.02:1から0.06:1の範囲である、実施形態1から3のいずれかの方法。
【0121】
5.(ii.1)における水性合成混合物において、SiOとして算出されるとともに多くとも0.02:1のモル比B:SiOを有するゼオライト材料に含有されるSiに対するHOのモル比が、8:1から20:1、好ましくは10:1から18:1、より好ましくは12:1から16:1の範囲である、実施形態1から4のいずれかの方法。
【0122】
6.(ii.1)における水性合成混合物において、SiOとして算出されるとともに(i)において提供されるゼオライト材料に含有されるSiに対するMWWテンプレート化合物のモル比が、0.5:1から1.7:1、好ましくは0.8:1から1.5:1、より好ましくは1.0:1から1.3:1の範囲である、実施形態1から5のいずれかの方法。
【0123】
7.(ii.2)において、熱水合成は、80℃から250℃、好ましくは120℃から200℃、より好ましくは160℃から180℃の範囲における温度で実施される、実施形態1から6のいずれかの方法。
【0124】
8.(ii.2)において、熱水合成が、10時間から100時間、より好ましくは20時間から80時間、より好ましくは40時間から60時間の範囲における期間の間で実施される、実施形態1から7のいずれかの方法。
【0125】
9.(ii.2)において、熱水合成が閉鎖系において自生圧力下で実施される、実施形態1から8のいずれかの方法。
【0126】
10.(ii.2)中、または(ii.2)後および(iii)前に、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料がそれの母液から分離されない、実施形態1から9のいずれかの方法。
【0127】
11.MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を含む(iii)にかけられた母液が、任意選択により濃度または希釈の後に、チタン含有ゼオライト材料を含む母液の合計質量に対して5質量%から25質量%、より好ましくは10質量%から20質量%の範囲における固体含有量を有する、実施形態1から10のいずれかの方法。
【0128】
12.(iii)におけるスプレー乾燥中に、乾燥用ガス流入口温度が200℃から350℃の範囲であり、乾燥用ガス流出口温度が70℃から190℃の範囲である、実施形態1から11のいずれかの方法。
【0129】
13.(iii)から得られたMWWフレームワーク構造を有するゼオライト材料が、各場合においてゼオライト材料の合計質量に対して、元素Siとして算出される30質量%から40質量%の範囲におけるSi含有量、0質量%から14質量%の範囲における合計有機炭素含有量(TOC)、および元素チタンとして算出される2.1質量%から2.8質量%のTi含有量を有する、実施形態1から12のいずれかの方法。
【0130】
14.(iv)多くとも5のpHを有する水溶液を用いて、(iii)から得られたMWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を処理すること
をさらに含む、実施形態1から13のいずれかの方法。
【0131】
15.(iii)後および(iv)前に、(iii)から得られたMWWフレームワーク構造を有するスプレー乾燥されたチタン含有ゼオライト材料が焼成にかけられない、実施形態14の方法。
【0132】
16.(iv)において、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料に対する水溶液の質量比が、10:1から30:1、好ましくは15:1から25:1、より好ましくは18:1から22:1の範囲である、実施形態14または15の方法。
【0133】
17.(iv)において、水溶液が好ましくはリン酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される無機酸を含み、水溶液が好ましくは硝酸を含む、実施形態14から16のいずれかの方法。
【0134】
18.(iv)において、水溶液が、0から5、好ましくは0から3、より好ましくは0から2の範囲におけるpHを有する、実施形態14から17のいずれかの方法。
【0135】
19.(iv)において、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料が、該水溶液を用いて50℃から175℃、好ましくは70℃から125℃、より好ましくは95℃から105℃の範囲における温度で処理される、実施形態14から18のいずれかの方法。
【0136】
20.(iv)において、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料が、該水溶液を用いて0.1時間から6時間、好ましくは0.3時間から2時間、より好ましくは0.5時間から1.5時間の範囲における期間の間で処理される、実施形態14から19のいずれかの方法。
【0137】
21.(iv)に従った処理が閉鎖系において自生圧力下で実施される、実施形態14から20のいずれかの方法。
【0138】
22.(v)(iv)から得られるMWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を水溶液から分離させ、任意選択により続いて、MWWフレームワークを有する分離チタン含有ゼオライト材料を洗浄すること
をさらに含む、実施形態14から21のいずれかの方法。
【0139】
23.(v)が、MWWフレームワーク構造を有する分離および任意選択により洗浄されたチタン含有ゼオライト材料を乾燥させることを含む、実施形態22の方法。
【0140】
24.(vi)(iv)から、好ましくは(v)から得られるMWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を含有する懸濁液、好ましくは水性懸濁液であって、好ましくは、懸濁液の合計質量に対して5質量%から25質量%、より好ましくは10質量%から20質量%の範囲における固体含有量を有する懸濁液を調製すること、および懸濁液をスプレー乾燥にかけること
をさらに含む、実施形態14から23のいずれかの方法。
【0141】
25.スプレー乾燥中に、乾燥用ガス流入口温度が200℃から330℃の範囲であり、乾燥用ガス流出口温度が120℃から180℃の範囲である、実施形態24の方法。
【0142】
26.(vii)(iv)から、好ましくは(v)から、より好ましくは(vi)から得られるMWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を焼成すること、ここで、焼成が好ましくは、400℃から800℃、より好ましくは600℃から700℃の範囲における温度で実施される
をさらに含む、実施形態14から25のいずれかの方法。
【0143】
27.(vii)において、焼成が、好ましくは1時間当たり0.2kgから2.0kgのゼオライト材料、より好ましくは1時間当たり0.5kgから1.5kgのゼオライト材料の範囲における速度を用いる連続モードで実施される、実施形態26の方法。
【0144】
本発明によると、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Tiとして算出される1.3質量%から1.9質量%、より好ましくは1.4質量%から1.8質量%の範囲におけるTi含有量を有する。さらに、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Siとして算出される39.5質量%から45.5質量%、より好ましくは40.5質量%から44.5質量%の範囲におけるSi含有量を有する。さらに、得られるTiMWWは、好ましくは、元素Cとして算出される0.10質量%から0.25質量%、より好ましくは0.11質量%から0.20質量%、より好ましくは0.13質量%から0.18質量%の範囲におけるC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。より好ましくは、得られるB−MWWは、0.3質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。
【0145】
段階(V)
段階(V)に従って、段階(IV)に従って好ましく得られるTiMWWは、適当なZn処理にかけられることで、(i)に従った懸濁液の調製のために使用されるZnTiMWWを得る。
【0146】
一般に、(V)に関係する限り、特定の制限は存在しないが、ただし、好ましいZnおよびTi含有量を有する上記で定義された好ましいZnTiMWWが得られることができるという条件である。最も好ましくは、段階(V)は、少なくとも1つの適当な含浸段階、より好ましくは少なくとも1つの湿含浸段階を含む。
【0147】
この含浸段階に関係して、好ましくは(IV)に従って得られる通りのTiMWWと少なくとも1つの適当なZn−含有前駆体とを、少なくとも1種の適当な溶媒(湿含浸)、最も好ましくは水中で接触させることが好ましい。適当なZn−含有前駆体として、水溶性Zn塩が殊に好ましく、酢酸亜鉛二水和物が殊に好ましい。Zn−含有前駆体の溶液、好ましくは水溶液を調製すること、およびこの溶液中にTiMWWを懸濁させることがさらに好ましい。
【0148】
さらに好ましくは、含浸は、室温に対して高温で、好ましくは75℃から125℃、より好ましくは85℃から115℃の範囲で、好ましくは、3.5時間から5時間、より好ましくは3時間から6時間の範囲における時間の間で実施される。含浸中に懸濁液を撹拌するのが好ましい。
【0149】
含浸後、得られるZnTiMWWは、好ましくは、懸濁液から適当に分離される。ZnTiMWWを懸濁液から分離させる全ての方法が考えられる。殊に好ましくは、分離は、濾過、限界濾過、ダイアフィルトレーションまたは遠心分離の方法を介して実施される。これらの方法の2つ以上の組合せが適用され得る。本発明によると、ZnTiMWWが好ましくは濾過によって懸濁液から分離されることでフィルターケーキが得られ、これは、好ましくは水での洗浄に好ましくはかけられる。洗浄が適用される場合、洗浄水が、1,000マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロジーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで洗浄方法を続けるのが好ましいことがある。
【0150】
引き続いて、好ましくは洗浄されたフィルターケーキは、例えば、フィルターケーキを適当なガスストリーム、好ましくは窒素ストリームに、好ましくは、5時間から15時間、より好ましくは8時間から12時間の範囲における時間の間かけることによって、予備乾燥にかけられる。
【0151】
本発明によると、含浸、好ましくは洗浄、および好ましくは予備乾燥から得られるZnTiMWWは、好ましくは、元素Znとして算出される1.0質量%から2.0質量%、より好ましくは1.1質量%から1.7質量%、より好ましくは1.2質量%から1.6質量%、より好ましくは1.3質量%から1.5質量%の範囲におけるZn含有量を有する。さらに、得られるZnTiMWWは、好ましくは、元素Tiとして算出される1.0質量%から2.0質量%、より好ましくは1.3質量%から1.9質量%、より好ましくは1.4質量%から1.8質量%、より好ましくは1.5質量%から1.7質量%の範囲におけるTi含有量を有する。さらに、得られるZnTiMWWは、好ましくは、元素Siとして算出される39質量%から45質量%、より好ましくは40質量%から44質量%、より好ましくは41質量%から43質量%の範囲におけるSi含有量を有する。さらに、得られるZnTiMWWは、好ましくは、元素Cとして算出される1.1質量%から1.7質量%、より好ましくは1.2質量%から1.6質量%、より好ましくは1.3質量%から1.5質量%の範囲におけるC含有量(合計有機炭素、TOC)を有する。
【0152】
そのため、本発明は、(i)に従ったZnTiMWWが、Znとして算出される1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.1質量%から1.7質量%、より好ましくは1.2質量%から1.6質量%、より好ましくは1.3質量%から1.5質量%の量で亜鉛を、およびTiとして算出されるとともにおよびZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.3質量%から1.9質量%、好ましくは1.4質量%から1.8質量%、より好ましくは1.5質量%から1.7質量%の量でチタンを含有する、上記で定義されている方法にも関する。
【0153】
含浸ZnTiMWWそれ自体
この文脈において、JP2008−200553Aに、高いまたは低いZn含有量のいずれかを有するZnTiMWWだけが開示されていることが留意される。これらの値と比較して、本発明によるZnTiMWW材料は、元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.2質量%から1.9質量%、例えば1.1質量%から1.7質量%、または1.2質量%から1.6質量%、または1.3質量%から1.5質量%など狭い範囲におけるZn含有量を有し、この狭いZn含有量は、ZnTiMWWそれ自体で、またはZnTiMWWそれ自体を含有する微小粉末の形態でのいずれかで触媒として使用されるならば、あるいは前記微小粉末を含有する成形物の形態で、特にプロペンからのプロピレンオキシドの調製のため、より好ましくは溶媒としてのアセトニトリル中におけるプロペンからのプロピレンオキシドの調製のため、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中におけるプロペンからのプロピレンオキシドの調製のため触媒活性な薬剤として使用されるならば、非常に良好な触媒の結果を可能にすることが、驚くべきことに見出された。
【0154】
具体的には、この狭いZn含有量範囲は、同時にZnTiMWWのTi含有量が、元素Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.2質量%から1.9質量%、例えば1.4質量%から1.8質量%、または1.5質量%から1.7質量%などの範囲であるならば、前記触媒の結果を可能にすることが見出された。
【0155】
そのため、一般の態様によると、本発明は、元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.2質量%から1.9質量%の範囲におけるZn含有量を有する、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料に関する。
【0156】
その上、本発明は、元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、1.2質量%から1.9質量%、例えば1.1質量%から1.7質量%、または1.2質量%から1.6質量%、または1.3質量%から1.5質量%などの範囲におけるZn含有量を有し、追加として、元素Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%、好ましくは1.3質量%から1.9質量%、より好ましくは1.4質量%から1.8質量%、例えば1.5質量%から1.7質量%などの範囲におけるZnTiMWWのTi含有量を有する、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)の前記ミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料に関する。
【0157】
なおさらに、本発明は、
(I)ホウ素を含有するMWW構造型(B−MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製すること、
(II)B−MWWを脱ホウ素化することで、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(III)チタン(Ti)をMWWに組み込むことで、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(IV)好ましくは、TiMWWを酸処理すること
(V)TiMWWを亜鉛(Zn)含浸にかけることでZnTiMWWを得ること、
を含む、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の調製のための、特に上に記載されているZnTiMWWの調製のための方法に関し、ここで、段階(I)から(V)は上記で定義されている通りである。
【0158】
ZnTiMWWがそれ自体で使用されるのであるならば、好ましくは予備乾燥させた含浸ZnTiMWWを乾燥段階にかけることが考えられ、この段階に従って、好ましくは予備乾燥されたフィルターケーキは、100℃から300℃、より好ましくは150℃から275℃、より好ましくは200℃から250℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で好ましくは乾燥される。本発明のこの特定の文脈において、乾燥は、スプレー乾燥などの急速乾燥方法を介せず、適当なオーブン内などでZnTiMWWを乾燥させるなど従来の乾燥を介して実施されると理解されるべきである。
【0159】
乾燥した後、ZnTiMWWは、400℃から700℃、好ましくは500℃から700℃、より好ましくは550℃から675℃、より好ましくは625℃から675℃の範囲における温度で、技術的窒素、空気またはリーン空気などの適当な雰囲気中、好ましくは空気またはリーン空気中で焼成にかけることができる。この焼成は、好ましくは、マッフル炉、回転炉および/またはベルト焼成炉内で実施され、ここで、焼成は一般に、0.5時間以上の間、例えば0.25時間から12時間、好ましくは0.5時間から6時間の範囲における時間の間で実施される。焼成中に、温度を一定に保持するか、または温度を連続的にもしくは不連続的に変化させることが可能である。焼成が2回以上頻繁に実行されるならば、個々の工程における焼成温度は異なるまたは同一であってよい。
【0160】
触媒活性な薬剤として使用されるならば、ZnTiMWWそれ自体、あるいは触媒、例えば微小粉末、またはZnTiMWWそれ自体および/もしくは前記微小粉末を含有する成形物などは、本質的に貴金属フリーであることが殊に好ましい。そのため、本発明の特に好ましい実施形態によると、それ自体および上に記載されている通りのZnTiMWWは、ZnTiMWWの合計質量に対するとともに元素として算出される、好ましくは金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは金、白金、金、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される貴金属を0.001質量%未満、好ましくは0.0001質量%未満含む。
【0161】
なおさらに、本発明は、
(I)ホウ素を含有するMWW構造型のアルミニウムフリーゼオライト材料(B−MWW)を調製すること、
(II)B−MWWを脱ホウ素化することで、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(III)チタン(Ti)をMWWに組み込むことで、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(IV)好ましくは、TiMWWを酸処理すること、
(V)TiMWWを亜鉛(Zn)含浸にかけることで、ZnTiMWWを得ること、
を含む、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の調製のための、特に、上に記載されているZnTiMWWの調製のための方法に関し、ここで、段階(I)から(V)は上記で定義されている通りである。
【0162】
したがって、本発明のこの一般の態様は、それぞれの属性を特徴とする以下の実施形態および実施形態の組合せによってさらに定義される:
【0163】
1.元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%の範囲におけるZn含有量を有する、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料。
【0164】
2.元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.2質量%から1.9質量%、例えば1.1質量%から1.7質量%、1.2質量%から1.6質量%などの範囲におけるZn含有量を有する、実施形態1のZnTiMWW。
【0165】
3.元素Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.0質量%から2.0質量%の範囲におけるTi含有量を有する、実施形態1または2のZnTiMWW。
【0166】
4.元素Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.3質量%から1.9質量%、好ましくは1.4質量%から1.8質量%の範囲におけるTi含有量を有する、実施形態1から3のいずれかのZnTiMWW。
【0167】
5.元素Znとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.3質量%から1.5質量%の範囲におけるZn含有量を有し、元素Tiとして算出されるとともにZnTiMWWの質量に対して1.5質量%から1.7質量%の範囲におけるTi含有量を有する、実施形態1から4のいずれかのZnTiMWW。
【0168】
6.ZnTiMWWの合計質量に対するとともに元素として算出される、金、白金、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される貴金属を0.001質量%未満、好ましくは0.0001質量%未満含む、実施形態1から5のいずれかのZnTiMWW。
【0169】
7.貴金属が、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、実施形態6のZnTiMWW。
【0170】
8.微小粉末および/または成形物に含有される、実施形態1から7のいずれかのZnTiMWW。
【0171】
9.微小粉末の粒子が、少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有し、前記微小粉末が、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、ZnTiMWWを少なくとも95質量%含む、実施形態8のZnTiMWW。
【0172】
10.成形物が、実施形態9において定義されている通りの微小粉末を含み、成形物が、好ましくは、少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む、実施形態8のZnTiMWW。
【0173】
11.チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の調製のための、好ましくは実施形態1から7のいずれかによるZnTiMWWの調製のための方法で、
(I)ホウ素を含有するMWW構造型(B−MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を調製すること、
(II)B−MWWを脱ホウ素化することで、MWW構造型(MWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(III)チタン(Ti)をMWWに組み込むことで、Tiを含有するMWW構造型(TiMWW)のアルミニウムフリーゼオライト材料を得ること、
(IV)好ましくは、TiMWWを酸処理すること、
(V)TiMWWを亜鉛(Zn)含浸に、好ましくは湿含浸にかけることで、ZnTiMWWを得ること
を含む方法。
【0174】
12.(VI)分離されたZnTiMWWを予備乾燥させることを任意選択により含む、好ましくは濾過によって含浸溶液からZnTiMWWを分離させること
をさらに含む、実施形態11の方法。
【0175】
13.(VII)好ましくは、100℃から300℃の範囲における温度で、(VI)から得られるZnTiMWWを乾燥させること、
をさらに含む、実施形態12の方法。
【0176】
14.ZnTiMWWを乾燥させることが、スプレー乾燥を介して実施されず、好ましくは急速乾燥方法に従って実施されない、実施形態13の方法。
【0177】
15.(VIII)好ましくは、400℃から700℃の範囲における温度で、(VI)または(VII)から得られるZnTiMWWを焼成すること
をさらに含む、実施形態12から14のいずれかの方法。
【0178】
16.実施形態11から15のいずれかによる方法によって得ることが可能なまたは得られる、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料。
【0179】
17.好ましくは溶媒としてのアセトニトリル中における、および/または好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、プロペンからのプロピレンオキシドの調製ための触媒活性な薬剤としての、実施形態1から10または16のいずれかによるチタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の使用。
【0180】
18.微小粉末、好ましくは実施形態9において定義されている通りの微小粉末の調製のための出発材料としての、実施形態1から7または16のいずれかによるチタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の使用。
【0181】
19.成形物、好ましくは少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む成形物の調製のための出発材料としての、実施形態1から7、9または16のいずれかによるチタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の使用。
【0182】
20.好ましくは溶媒としてのアセトニトリル中における、および/または好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法であって、実施形態1から10または16のいずれかによるチタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料が触媒として用いられる方法。
【0183】
(i)において準備される懸濁液
上文に考察されている通り、本発明の微小粉末は、自由裁量の量でZnTiMWWを含有すると、一般に考えられる。例えば、微小粉末は、ZnTiMWWを除いて、バインダー材料として作用する少なくとも1種の化学的化合物をさらに含有すると考えられ得る。こうしたバインダーの例は、金属酸化物、例えばSiO、Al、TiO、ZrOもしくはMgOなど、または粘土、あるいはこれら酸化物の2種以上の混合物、またはSi、Al、Ti、ZrおよびMgの少なくとも2つの混合酸化物である。粘土鉱物および自然発生または合成的に生成されるアルミナ、例えばアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、エータ−、カッパ−、カイ−もしくはシータ−アルミナなど、およびそれらの無機もしくは有機金属前駆体化合物、例えばギブサイト、バイヤライト、ベーマイトまたは疑ベーマイトなど、またはトリアルコキシアルミネート、例えばアルミニウムトリイソプロピレートなどが、Alバインダーとして特に好ましい。さらに考えられるバインダーは、極性および非極性部分を有する両親媒性化合物、ならびに黒鉛であり得る。さらなるバインダーは、例えば粘土、例えばモンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ヘクトライト、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ナクライトまたはアナキサイトなどであり得る。この考えられる実施形態によると、微小粉末は、微小粉末の質量に対して、最大95質量%まで、または最大90質量%まで、または最大85質量%まで、または最大80質量%まで、または最大75質量%まで、または最大70質量%まで、または最大65質量%まで、または最大60質量%まで、または最大55質量%まで、または最大50質量%まで、または最大45質量%まで、または最大40質量%まで、または最大35質量%まで、または最大30質量%まで、または最大25質量%まで、または最大20質量%まで、または最大15質量%まで、または最大10質量%まで、または最大5質量%までの1種または複数のバインダー材料を含有することができる。
【0184】
これらのバインダーは、それ自体で、またはスプレー乾燥中および/もしくは後続の焼成中のいずれかで所望のバインダーを形成する適当な前駆体化合物の形態で使用することができる。こうしたバインダー前駆体の例は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコシチタネート、テトラアルコシジルコネート、または2種以上の異なるテトラアルコキシシランの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコシチタネートの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコシジルコネートの混合物、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランおよび少なくとも1種のテトラアルコシチタネートの混合物、もしくは少なくとも1種のテトラアルコキシシランおよび少なくとも1種のテトラアルコシジルコネートの混合物、もしくは少なくとも1種のテトラアルコシチタネートおよび少なくとも1種のテトラアルコシジルコネートの混合物、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランおよび少なくとも1種のテトラアルコシチタネートおよび少なくとも1種のテトラアルコシジルコネートの混合物である。本発明の文脈において、完全または部分的にSiOを含むバインダー、またはSiOが形成されるSiOの前駆体であるバインダーのいずれかが好ましいことがある。この文脈において、コロイド状シリカならびにいわゆる「湿式方法」シリカおよびいわゆる「乾燥方法」シリカの両方が使用され得る。特に好ましくは、このシリカは非晶質シリカであり、シリカ粒子のサイズは、例えば、5nmから100nmの範囲であり、シリカ粒子の表面積は、50m/gから500m/gの範囲である、好ましくはアルカリ溶液および/またはアンモニア溶液としての、より好ましくはアンモニア溶液としてのコロイド状シリカは、とりわけ、例えばLudox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)またはSnowtex(登録商標)として市販されている。「湿式方法」シリカは、とりわけ、例えばHi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)またはNipsil(登録商標)として市販されている。「乾燥方法」シリカは、とりわけ、例えばAerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)またはArcSilica(登録商標)として市販されている。とりわけ、コロイド状シリカのアンモニア溶液は本発明に従って使用することができる。
【0185】
本発明の好ましい実施形態によると、バインダーおよびバインダー前駆体は、懸濁液が(i)に従って調製される場合、ZnTiMWWを含有する微小粉末に添加されない。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、(ii)に従ってスプレー乾燥にかけられる微小粉末は、バインダーまたはバインダーの前駆体を含有しない。
【0186】
所望であれば、(i)に従った懸濁液が調製される場合、少なくとも1種の細孔形成剤が添加される。使用することができる細孔形成剤は、生成される微小粉末に関して好ましくは上文に定義されている通りの微小粉末の特定の細孔特徴を提供する全ての化合物である。使用することができる細孔形成剤は、好ましくは、水中にまたは水性溶媒混合物中に分散可能、懸濁可能または乳化可能であるポリマーである。こうしたポリマーは、ポリマー性ビニル化合物、例えば、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドなど、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルなど、炭水化物、例えば、セルロースもしくはセルロース誘導体、例えばメチルセルロースなど、または糖類、または天然繊維であってよい。さらに適当な細孔形成剤は、例えば、パルプまたは黒鉛であってよい。達成されるべき細孔特徴に関して所望であれば、2種以上の細孔形成剤の混合物が使用され得る。細孔形成剤は、(iii)に従った焼成によって除去されることで、微小粉末を与えることができる。
【0187】
本発明の好ましい実施形態によると、細孔形成剤は、懸濁液が(i)に従って調製される場合、ZnTiMWWを含有する微小粉末に添加されない。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、(ii)に従ってスプレー乾燥にかけられる微小粉末は、細孔形成剤を含有しない。
【0188】
ZnTiMWWに関して(i)において準備される懸濁液の含有量に関係する限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、上文に考察されている通りの微小粉末の調製を可能にするような濃度が選択される。好ましくは、(i)において準備される懸濁液は、5質量%から25質量%、好ましくは10質量%から20質量%の範囲における固形分を有する。好ましい範囲は、10質量%から15質量%、または11質量%から16質量%、または12質量%から17質量%、または13質量%から18質量%、または14質量%から19質量%、または15質量%から20質量%である。
【0189】
懸濁液を提供する場合、ZnTiMWWは、任意の適当な液体または2種以上の液体の混合物中に懸濁することができる。好ましくは、ZnTiMWWは、水中に、または水および少なくとも1種のさらなる適当な液体の混合物中に懸濁される。最も好ましくは、ZnTiMWWは、単独の液体としての水中に懸濁される。そのため、(i)において準備される懸濁液は、好ましくは水性懸濁液である。
【0190】
そのため、好ましい実施形態によると、(i)において提供され、(ii)においてスプレー乾燥にかけられる懸濁液は、上文に考察されている通りに提供されるZnTiMWWおよび水から本質的になる。好ましくは、(i)において提供され、(ii)においてスプレー乾燥にかけられる懸濁液の含有量は、ZnTiMWWおよび水の両方に関して、懸濁液の合計質量に対して少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%である。
(ii)に従ったスプレー乾燥
(ii)によると、(i)において準備される懸濁液は、スプレー乾燥にかけられる。
【0191】
一般に、スプレー乾燥は、よく分散されている液体−固体スラリーまたは懸濁液を適当なアトマイザーに送り込むこと、および引き続いて熱ガスのストリーム中でフラッシュ乾燥させることによって、例えばスラリーまたは懸濁液を乾燥させる直接的方法である。それによって、スラリーまたは懸濁液はノズル、噴霧ディスクまたは他の適当な噴霧手段を連続的に通過し(例えば、Arthur Lefebvre、「Atomisation and Sprays」、Hemisphere Publishing Corporation、1989、ISBN 0−89116−603−3が参照とされる)、少なくとも1種の熱ガスで適当に加熱されている乾燥チャンバ内へスプレーされる。スプレー乾燥は、一般に、固体をスプレー区画へ戻さないかまたは戻す(凝集様式)のいずれかで、連続的に実施される。スプレー乾燥は、例えば、K.Masters、「Spray Drying Handbook」、Longman Scientific&Technical、1991、ISBN 0−582−06266−7に開示されている。上に記述されているアトマイザーには、いくつかの異なる型があり得る。最も一般的なのは、ホイールまたはディスクの高速回転を使用することでスラリーを液滴に分裂し、これらがホイールからチャンバ内へスピンアウトし、チャンバ壁に打ち当たるより前にフラッシュ乾燥されるホイール噴霧である。噴霧は、静水圧に頼ることで小さいノズルを介してスラリーを送給する単一構成要素ノズルによって達成することもできる。2構成要素ノズルなどの多構成要素ノズルも使用され、ここでは、ノズルを介してスラリーを投入するためにガス圧が使用される。回転スプレーヤーの使用も考えられる。
【0192】
本発明によると、100℃から500℃の範囲における、好ましくは150℃から450℃の範囲における、より好ましくは200℃から400℃の範囲における、より好ましくは250℃から350℃の範囲における、より好ましくは275℃から325℃の範囲における温度を有する乾燥用ガスを用いることが殊に好ましい。乾燥用ガスとして、空気、リーン空気または酸素−窒素混合物が、最大10vol.%まで、好ましくは最大5vol.%まで、より好ましくは5vol.%未満、例えば最大2vol.%までなどの酸素含有量で用いられ得る。乾燥用ガスとして不活性ガスを使用することが好ましい。技術的窒素は乾燥用ガスとして殊に好ましい。乾燥用ガスの流量は、好ましくは、400kgから700kg/h、より好ましくは500kgから600kg/h、より好ましくは525kgから575kg/h、例えば525kg/h、530kg/h、535kg/h、540kg/h、545kg/h、550kg/h、555kg/h、560kg/h、565kg/h、570kg/hまたは575kg/hなどの範囲である。
【0193】
本発明によると、10℃から100℃の範囲における、好ましくは15℃から75℃の範囲における、より好ましくは20℃から50℃の範囲における、より好ましくは20℃から30℃の範囲における温度を有するノズルガスを用いることが殊に好ましい。ノズルガスとして、空気、リーン空気または酸素−窒素混合物が、最大10vol.%まで、好ましくは最大5vol.%まで、より好ましくは5vol.%未満、例えば最大2vol.%までなどの酸素含有量で用いられ得る。ノズルガスとして不活性ガスを使用することが好ましい。技術的窒素は、ノズルガスとして殊に好ましい。ノズルガスの流量は、好ましくは、10kgから50kg/h、より好ましくは15kgから35kg/h、より好ましくは20kgから25kg/hの範囲である。
【0194】
ノズルとして、2構成要素ノズルが殊に好ましい。特に、こうした2構成要素ノズルは、2mmから6mm、好ましくは3mmから5mm、より好ましくは3.5mmから4.5mm、より好ましくは3.9mmから4.1mmの範囲における直径、より好ましくは4mmの直径を有する。
【0195】
さらに、除湿器、フィルターおよびスクラバーで、好ましくはこの順序で構成されているスプレー塔を使用し、この立体配置を介して乾燥用ガスが、スプレーされるべきスラリーと一緒に通過するのが好ましい。この実施形態によると、上文において記載されている通りの乾燥用ガスの温度は、除湿器に通過させる乾燥用ガスの初期温度として理解されるべきである。
【0196】
そのため、本発明は、(ii)において、スプレー器具、好ましくはスプレー塔が懸濁液をスプレー乾燥させるために使用される上記で定義されている方法に関し、前記器具は、少なくとも1つのスプレーノズル、好ましくは少なくとも1つの2物質ノズル、より好ましくは1つの2物質ノズルを有し、前記ノズルは、3.5mmから4.5mm、好ましくは3.9mmから4.1mmの範囲における直径を有する。
【0197】
さらに、本発明は、(ii)において、スプレー器具、好ましくはスプレー塔が懸濁液をスプレー乾燥させるために使用される前記方法に関し、前記器具は、20℃から50℃、好ましくは20℃から30℃の範囲における温度を有するノズルガス、および250℃から350℃、好ましくは275℃から325℃の範囲における温度を有する乾燥用ガスで作動され、前記ノズルガスは、好ましくは不活性ガス、より好ましくは技術的窒素であり、前記乾燥用ガスは、好ましくは不活性ガス、より好ましくは技術的窒素である。
【0198】
(ii)から得られる微小粉末は、好ましくは多くとも5質量%、より好ましくは5質量%未満、より好ましくは多くとも4質量%、より好ましくは4質量%未満、より好ましくは多くとも3質量%、より好ましくは3質量%未満、より好ましくは多くとも2質量%、より好ましくは2質量%未満の残留水分含有量を有する。
【0199】
さらに、本発明は、上記で考察されている通りの方法によって得ることが可能なまたは得られる微小粉末にも関する。
(iii)に従った焼成
(iii)に従って、(ii)から得られる微小粉末は任意選択により焼成される。本発明によると、(ii)から得られる微小粉末を焼成にかけるのが好ましい。
【0200】
微小粉末の焼成は、任意の適当なガス雰囲気下で実行することができ、ここで、空気および/またはリーン空気が好ましい。さらに、焼成は、好ましくはマッフル炉、回転炉および/またはベルト焼成炉内で実施され、ここで、焼成は一般に、0.5時間以上の間、例えば0.5時間から12時間、好ましくは0.5時間から6時間、より好ましくは1時間から3時間の範囲における時間の間実施される。焼成中に、温度を一定に保持するか、または温度を連続的にもしくは不連続的に変化させることが可能である。焼成が2回以上頻繁に実行されるならば、個々の工程における焼成温度は異なるまたは同一であってよい。焼成温度は、好ましくは、最大700℃まで、好ましくは400℃から700℃、より好ましくは500℃から700℃、より好ましくは600℃から700℃、より好ましくは625℃から675℃、例えば625℃から645℃、または635℃から655℃、または645℃から665℃、または655℃から675℃などの範囲である。
【0201】
そのため、本発明は、(iii)において、微小粉末が600℃から700℃の範囲における温度で、0.5時間から6時間の範囲における持続期間の間で焼成される、上記で定義されている方法に関する。
【0202】
さらに、本発明は、上記で考察されている通りの方法によって得ることが可能なまたは得られる微小粉末にも関する。
【0203】
好ましくは上に記載されている通りの方法から得られる上に記載されている通りの微小粉末は、あらゆる考えられる目的のためにそれ自体で使用することができる。好ましい実施形態によると、微小粉末は、触媒として、好ましくはエポキシ化反応における触媒として、より好ましくはプロペンからプロピレンオキシド調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、溶媒としてのアセトニトリル中においてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として使用される。
【0204】
そのため、本発明は、触媒として、好ましくはエポキシ化反応における触媒として、より好ましくはプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、溶媒としてのアセトニトリル中においてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒としての、好ましくは上に記載されている通りの方法から得られる上に記載されている通りの微小粉末の使用にも関する。
【0205】
その上、本発明は、エポキシ化方法、好ましくはプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いる、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いる、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法に関し、この方法において、好ましくは上に記載されている通りの方法から得られる上に記載されている通りの微小粉末は、触媒として用いられる。
【0206】
本発明の好ましい実施形態によると、好ましくは上記で考察されている通りの方法によって得ることが可能なまたは得られる上記で考察されている通りの微小粉末は、触媒の調製のための中間体として、より好ましくは触媒成形物の調製のための中間体として使用される。
【0207】
成形物
そのため、本発明は、好ましくは上に記載されている通りの方法から得ることが可能なまたは得られる上に記載されている通りの微小粉末を含む成形物にも関する。特に、本発明は、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末を含む成形物に関し、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含む。好ましくは、成形物は、少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む。
【0208】
さらに、より一般に、本発明は、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%を含む微小粉末を含む成形物にも関する。好ましくは、成形物は、少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む。この実施形態によると、言及される微小粉末は、本発明による微小粉末からの少なくとも1つの特色、例えばDv10値および/または細孔特徴が異なってよい。
【0209】
さらに、いっそう一般に、本発明は、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含む成形物にも関する。好ましくは、成形物は、少なくとも1種のバインダー、好ましくはシリカバインダーをさらに含む。この実施形態によると、ZnTiMWWは微小粉末の形態であってよい。この点において、微小粉末は、本発明による微小粉末からの少なくとも1つの特色、例えばDv10値および/または細孔特徴が異なってよい。さらにこの実施形態によると、ZnTiMWWは、微小粉末と異なる形態で成形物に含有することができ、例えば、ZnTiMWWは、上文の「含浸ZnTiMWWそれ自体」というセクションに詳細に記載されている通りの、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料、例えば上文の「含浸ZnTiMWWそれ自体」というセクションにおける実施形態1から7に記載されている通りの、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料などの形態で成形物に含有することができる。
【0210】
好ましくは、本発明の成形物は、ZnTiMWWのミクロ細孔に加えて、メソ細孔を含む。特に触媒として使用されるならば成形物は、輸送細孔として作用し得るメソ細孔が存在するならば殊に有用であることが見出された。好ましくは、メソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に5nmから40nm、より好ましくは10nmから35nm、より好ましくは15nmから30nm、より好ましくは20nmから30nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有する。
【0211】
好ましくは、本発明の成形物は、メソ細孔に加えておよびZnTiMWWのミクロ細孔に加えて、マクロ細孔を含む。好ましくは、マクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に0.04マイクロメートルから3マイクロメートル、より好ましくは0.04マイクロメートルから2マイクロメートル、より好ましくは0.04マイクロメートルから1マイクロメートル、より好ましくは0.04マイクロメートルから0.5マイクロメートル、より好ましくは0.04マイクロメートルから0.1マイクロメートルの範囲における平均孔径(4V/A)を有する。
【0212】
本発明の成形物は、XRD分析によって決定される場合に、少なくとも55%の結晶化度、好ましくは55%から75%の範囲における、より好ましくは60%から75%の範囲における結晶化度を有するのがさらに好ましい。各値は、プラス/マイナス10%の測定不正確さを有すると理解されるべきである。
【0213】
上に記述されている通り、本発明の成形物は、好ましくは、例えば微小粉末として成形物に含有されるZnTiMWWに加えて、バインダーを含有する。こうしたバインダーの例は、金属酸化物、例えばSiO、Al、TiO、ZrOもしくはMgOなど、または粘土、あるいはこれら酸化物の2種以上の混合物、またはSi、Al、Ti、ZrおよびMgの少なくとも2つの混合酸化物である。粘土鉱物、および自然発生または合成的に生成されるアルミナ、例えばアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、エータ−、カッパ−、カイ−もしくはシータ−アルミナなど、およびそれらの無機または有機金属前駆体化合物、例えば、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイトもしくは疑ベーマイトなど、またはトリアルコキシアルミネート、例えばアルミニウムトリイソプロピレートなどが、Alバインダーとして特に好ましい。さらに考えられるバインダーは、極性のおよび非極性部分を有する両親媒性化合物、ならびに黒鉛であり得る。さらなるバインダーは、例えば粘土、例えばモンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ヘクトライト、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ナクライトまたはアナキサイトなどであり得る。シリカバインダーが殊に好ましい。
【0214】
この好ましい実施形態によると、成形物は、成形物の質量に対して、最大95質量%まで、または最大90質量%まで、または最大85質量%まで、または最大80質量%まで、または最大75質量%まで、または最大70質量%まで、または最大65質量%まで、または最大60質量%まで、または最大55質量%まで、または最大50質量%まで、または最大45質量%まで、または最大40質量%まで、または最大35質量%まで、または最大30質量%まで、または最大25質量%まで、または最大20質量%まで、または最大15質量%まで、または最大10質量%まで、または最大5質量%までの、1種または複数のバインダー材料を含有することができる。好ましくは、本発明の成形物は、10質量%から50質量%、好ましくは15から40質量%、より好ましくは20質量%から30質量%のバインダー、最も好ましくはシリカバインダーを含有する。
【0215】
本発明の成形物は、例えば順じて好ましくは本質的にZnTiMWWからなる微小粉末として成形物に含有されるZnTiMWWに加えて、およびバインダー、好ましくはシリカバインダーに加えて、さらなる化合物を含有することが一般に考えられる一方で、本発明の成形物は本質的に、ZnTiMWWおよびバインダー、好ましくはシリカバインダーからなるのが殊に好ましい。そのため、本発明は、ZnTiMWW、好ましくは微小粉末が、バインダー、好ましくはシリカバインダーと一緒に、成形物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%を構成する、上記で定義されている通りの成形物にも関する。
【0216】
したがって、本発明の成形物は、成形物の質量に対して、最大5質量%までまたは最大10質量%までまたは最大15質量%までまたは最大20質量%までまたは最大25質量%までまたは最大30質量%までまたは最大35質量%までまたは最大40質量%までまたは最大45質量%までまたは最大50質量%までまたは最大55質量%までまたは最大60質量%までまたは最大65質量%までまたは最大70質量%までまたは最大75質量%までまたは最大80質量%までまたは最大85質量%までまたは最大90質量%までまたは最大95質量%までのZnTiMWWを、例えば微小粉末の形態で含有することができる。好ましくは、本発明の成形物は、50質量%から90質量%、好ましくは60質量%から85質量%、より好ましくは70質量%から80質量%のZnTiMWWを、例えば微小粉末の形態で含有する。
【0217】
そのため、本発明は、前記成形物が10質量%から50質量%、好ましくは15質量%から40質量%、より好ましくは20質量%から30質量%バインダー、最も好ましくはシリカバインダー、および50質量%から90質量%、好ましくは60質量%から85質量%、より好ましくは70質量%から80質量%のZnTiMWWを、例えば上記で定義されている通りの微小粉末の形態で含有する、上記で定義されている通りの成形物にも関する。
【0218】
そのため、本発明は、前記成形物が10質量%から50質量%、好ましくは15質量%から40質量%、より好ましくは20質量%から30質量%バインダー、最も好ましくはシリカバインダー、および50質量%から90質量%、好ましくは60質量%から85質量%、より好ましくは70質量%から80質量%のZnTiMWWを、好ましくは上記で定義されている通りの微小粉末の形態で含有し、ここで、ZnTiMWW、好ましくは微小粉末がバインダー、好ましくはシリカバインダーと一緒に、成形物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%を構成する、上記で定義されている通りの成形物にも関する。
【0219】
好ましくは、本発明の成形物は、特にエポキシ化反応において、例えばプロペンからのプロピレンオキシドの調製などのための触媒として使用される。こうした触媒反応のため、シラノール基の濃度は触媒特性に対して決定的な影響を有することが、驚くべきことに見出された。驚くべきことに、優れた触媒特性は、シラノール基の濃度が最大6%までの範囲である場合において得られることが見出された。3%超から6%の範囲におけるシラノール基濃度は、すでに非常に良好な触媒を表す一方で、例外的に良好な触媒は、1%から3%または2%から3%の範囲におけるなど、最大3%までの範囲におけるシラノール基濃度を有することが見出された。シラノール基濃度の具体的な決定について、参考例3が参照とされる。
【0220】
そのため、本発明は、ZnTiMWW、好ましくは上記で定義されている通りの微小粉末を70質量%から80質量%の範囲における量で、およびシリカバインダーを30質量%から20質量%の量で含む、上記で定義されている通りの成形物にも関し、微小粉末はシリカバインダーと一緒に、成形物の少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%を構成し、ここで、成形物は、Si原子の合計数に関して、29SiMASNMRに従って決定される場合に多くとも6%、好ましくは多くとも3%のシラノール基の濃度を有する。
【0221】
本発明の成形物の幾何形状について、特定の制限は存在しない。特に、それぞれの幾何形状は、成形物の特定の使用の特定の必要に依存して選択することができる。成形物が触媒として使用される場合において、例えば長方形、三角形、六角形、平方、長円形または円形の断面を有するストランドなどの幾何形状、星、タブレット、球体および空洞円筒などが可能である。本発明の成形物の好ましい幾何形状の1つは、円形の断面を有するストランドである。こうした幾何形状は、本発明の成形物が、例えば固定床触媒として、最も好ましくは連続型反応において用いられるならば好ましい。例えば押出し方法を介して調製することができる、円形断面を有するこれらのストランドの直径は、1nmから4mm、より好ましくは1nmから3mm、より好ましくは1nmから2mm、より好ましくは1.5nmから2mm、より好ましくは1.5nmから1.7mmの範囲である。
【0222】
本発明の成形物に関し、特に固定床触媒などの触媒として、最も好ましくは連続型反応において使用されるならば、成形物は、反応器内での長期使用を可能にするために秀でた機械抵抗性を有することが一般に必要である。驚くべきことに、本発明の成形物は、好ましくは円形断面および1.5nmから1.7mmの直径を有するストランドの形態で、こうした優れた機械的性質を呈することが見出された。本発明によるこうしたストランドは、最少の5Nの破砕強度、およびしたがって、一般に非常に良好な機械的性質を有することが見出された一方で、本発明の殊に好ましいストランドは、最大20Nまで、例えば10Nから20N、特に11Nから20Nなどの破砕強度を呈する。
【0223】
そのため、本発明は、円形断面および1.5nmから1.7mmの範囲における直径を有し、少なくとも5N、好ましくは5Nから20Nの範囲における、より好ましくは11Nから20Nの範囲における破砕強度を有するストランドである、上に記載されている成形物にも関し、破砕強度は、明細書に記載されている方法に従って、破砕強度試験機Z2.5/TS1Sによって決定される。破砕強度の具体的な決定について、参考例2が参照とされる。
【0224】
さらに、特に触媒として使用されるならば、好ましくは微小粉末の形態でZnTiMWWを含有し、本質的に貴金属フリーである成形物が好ましいことが、本発明の文脈において見出された。そのため、本発明の特に好ましい実施形態によると、成形物は、成形物の合計質量に対するとともに元素として算出される、好ましくは金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは金、白金、金、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される貴金属を0.001質量%未満、好ましくは0.0001質量%未満含む。
【0225】
成形物の調製のための方法
一般に、本発明の成形物の調製のための考えられる方法に関係する特定の制限はないが、ただし、上記で定義されている特徴が得られ得るという条件である。本発明の好ましい実施形態によると、成形物に含まれるZnTiMWWは、微小粉末の形態で、好ましくは上記で定義されている通りの微小粉末の形態で存在する。
【0226】
そのため、好ましい実施形態によると、本発明は、方法、特に成形物の調製のための方法に関し、該方法は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)において準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)任意選択により、(ii)において得られた微小粉末を焼成すること、
(iv)(ii)または(iii)において得られた微小粉末を形状化することで成形物を得ること、
(v)任意選択により、(iv)において得られた成形物を乾燥および/または焼成すること
を含む。
【0227】
より好ましくは、(ii)から、好ましくは(iii)から得られる微小粉末は、上記で定義されている通りの微小粉末である。この実施形態によると、本発明は、方法、特に成形物の調製のための方法に関し、該方法は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)において準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)(ii)において得られた微小粉末を焼成することで、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末を得ること、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%含む
(iv)(iii)において得られた微小粉末を形状化することで成形物を得ること、
(v)任意選択により、(iv)において得られた成形物を乾燥および/または焼成すること
を含む。
【0228】
(iv)に従った形状化は、任意の考えられる方式に従って行うことがでるが、ただし、表示されている通りの微小粉末を含む成形物、好ましくは上記で定義されている特色を有する成形物が得られるという条件である。好ましくは、第1段階(aa)において、形成可能な塊は微小粉末から調製され、後続の段階(bb)において、形成可能な塊は、所望の幾何形状を有する成形物にさらに加工される。
【0229】
そのため、本発明は、(iv)に従った形状化が、
(aa)微小粉末とバインダーまたはバインダー前駆体とを混合することで、混合物を得ること、
(bb)(aa)において得られた混合物を形状化することで成形物を得ること
を含む、上記で定義されている方法にも関する。
【0230】
(aa)に従って、微小粉末がバインダーまたはバインダー前駆体と混合されることで混合物を得る。こうしたバインダーの例は、金属酸化物、例えばSiO、Al、TiO、ZrOもしくはMgOなど、または粘土、あるいはこれら酸化物の2種以上の混合物、またはSi、Al、Ti、Zr、およびMgの少なくとも2つの混合酸化物である。粘土鉱物および自然発生または合成的に生成されるアルミナ、例えばアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、エータ−、カッパ−、カイ−もしくはシータ−アルミナなど、およびそれらの無機または有機金属前駆体化合物、例えばギブサイト、バイヤライト、ベーマイトもしくは疑ベーマイトなど、またはトリアルコキシアルミネート、例えばアルミニウムトリイソプロピレートなどは、Alバインダーとして特に好ましい。さらに考えられるバインダーは、極性および非極性部分を有する両親媒性化合物、ならびに黒鉛であり得る。さらなるバインダーは、例えば粘土、例えばモンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ヘクトライト、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ナクライトまたはアナキサイトなどであり得る。シリカバインダーは殊に好ましい。
【0231】
これらのバインダーは、それ自体で、またはスプレー乾燥中および/もしくは後続の焼成中のいずれかで、所望のバインダーを形成する適当な前駆体化合物の形態で使用することができる。こうしたバインダー前駆体の例は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコシチタネート、テトラアルコシジルコネート、または2種以上の異なるテトラアルコキシシランの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコシチタネートの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコシジルコネートの混合物、または少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコシチタネートの混合物、もしくは少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコシジルコネートの混合物、もしくは少なくとも1つのテトラアルコシチタネートおよび少なくとも1つのテトラアルコシジルコネートの混合物、または少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコシチタネートおよび少なくとも1つのテトラアルコシジルコネートの混合物である。本発明の文脈において、完全または部分的のいずれかでSiOを含むか、またはSiOが形成されるSiOの前駆体であるバインダーが好ましいことがある。この文脈において、コロイド状シリカならびにいわゆる「湿式方法」シリカおよびいわゆる「乾燥方法」シリカの両方を使用することができる。特に好ましくは、このシリカは非晶質シリカであり、シリカ粒子のサイズは、例えば5nmから100nmの範囲であり、シリカ粒子の表面積は、50m/gから500m/gの範囲である。好ましくはアルカリ溶液および/またはアンモニア溶液として、より好ましくはアンモニア溶液としてのコロイド状シリカは、とりわけ、例えばLudox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)またはSnowtex(登録商標)として市販されている。「湿式方法」シリカは、とりわけ、例えばHi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)またはNipsil(登録商標)として市販されている。「乾燥方法」シリカは、とりわけ、例えばAerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)またはArcSilica(登録商標)として市販されている。とりわけ、コロイド状シリカのアンモニア溶液が、本発明において好ましい。
【0232】
殊に好ましいバインダーまたはバインダー前駆体は、シリカバインダーまたはシリカバインダー前駆体である。
【0233】
(aa)において用いられるシリカバインダーに含有または由来するシリカの量に対する微小粉末の量の比について、それは一般に、自由に選択することができる。しかしながら、シリカバインダー(前駆体)に含有または由来するシリカに対する微小粉末の比重比は、殊に有利な混合物を調製することを可能にすることが見出された。一般に、シリカバインダーに含有または由来するシリカに対する微小粉末に含有されるZnTiMWWの質量比は、1:1から1:9、好ましくは2:3から1.51:8.5、より好ましくは3:7から1:4の範囲である。
【0234】
そのため、本発明は、(aa)が、
(aa)微小粉末とシリカバインダーまたはシリカバインダー前駆体とを混合することで混合物を得ること、ここで、シリカバインダーに含有または由来するシリカに対する微小粉末に含有されるZnTiMWWの質量比が3:7から1:4の範囲である
を含む、上記で定義されている方法にも関する。
【0235】
段階(aa)において、最後に1種のペースト剤を添加することで、(bb)における混合物の加工性の改善を提供することがさらに好ましい。好ましいペースト剤は、とりわけ、有機の、特に親水性ポリマー、例えばセルロースのような炭水化物など、セルロース誘導体、例えばメチルセルロースなど、およびデンプン、例えばバレイショデンプンなど、壁紙硬膏剤、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテンまたはポリテトラヒドロフランである。ペースト剤としての、水、アルコールもしくはグリコールまたはそれらの混合物、例えば水およびアルコール、または水およびグリコールなど、例えば水およびメタノール、または水およびエタノール、または水およびプロパノール、または水およびプロピレングリコールの混合物などの使用が記述され得る。好ましくはセルロースなどの炭水化物、セルロース誘導体、水、およびこれらの化合物の2種以上の混合物、例えば水およびセルロース、または水およびセルロース誘導体などが、ペースト剤として使用され得る。本発明による方法の特に好ましい実施形態において、該少なくとも1つのペースト剤は、さらに下に記載されている通り、乾燥および/または焼成することによって除去される。
【0236】
そのため、本発明は、(aa)において、炭水化物および/または水がペースト剤として添加される、上記で定義されている方法に関する。
【0237】
好ましくは、ペースト剤、好ましくは水および/または炭水化物の質量の和に対する微小粉末に含有されるZnTiMWWの質量比は、1:1から1:4、好ましくは3:4から1:3の範囲である。水および炭水化物の組合せがペースト剤として用いられるならば、水に対する炭水化物の好ましい質量比は、1:20から1:30、より好ましくは1:25から1:30の範囲である。
【0238】
(aa)に従った混合物のそれぞれの構成成分の混合の順番は、特定の必要に従って選択することができる。例えば、微小粉末、バインダーおよびペースト剤の組合せが用いられるならば、最初に、微小粉末、次いでペースト剤、最終的にバインダーを添加すること、および微小粉末、ペースト剤およびバインダーに関して順序を交換することの両方が可能である。好ましい実施形態によると、微小粉末および炭水化物が混合され、バインダーまたはバインダー前駆体が添加された後、水が添加される。
【0239】
驚くべきことに、(aa)に従って混合から得られる混合物の加工性は、混合方法の持続期間を適当に選択することによって最適化することができることが見出された。殊に好ましい混合物は、混合方法の持続期間が特定の最小および最大値との間であるならば得られ、15分から60分の範囲が好ましく、30分から55分の範囲がより好ましく、40分から50分の範囲が殊に好ましい。
【0240】
上記ですでに考察されている通り、本発明の成形物は、(bb)において、例えば長方形、三角形、六角形、平方、長円形または円形断面、星、タブレット、球体および空洞円筒などを有するストランドなど、あらゆる考えられる幾何形状で形状化することができる。本発明の成形物の好ましい幾何形状の1つは、円形断面を有するストランドである。こうした幾何形状は、本発明の成形物が、例えば固定床触媒として、最も好ましくは連続型反応において用いられるならば好ましい。円形断面を有するこれらのストランドの直径は、好ましくは、1nmから4mm、より好ましくは1nmから3mm、より好ましくは1nmから2mm、より好ましくは1.5nmから2mm、より好ましくは1.5nmから1.7mmの範囲である。特定の幾何形状に依存して、(bb)に従った形状化方法が選択される。本発明の好ましい実施形態によると、ストランドが調製されるならば、(bb)に従った形状化は、好ましくは、(aa)において得られた混合物を押出しにかけることを含む。適当な押出し器具は、例えば、「Ullmann’s Enzyklopadie der Technischen Chemie」、第4版、2巻、295ページ以下参照、1972に記載されている。押出機の使用に加えて、押出プレスも、成形物の調製のために使用することができる。必要ならば、押出機は、押出し方法中に適当に冷却することができる。本発明によると、押出し方法が好ましく、ここで、1バッチ当たり、電力消費は1Aから10A、好ましくは1.5Aから6A、より好ましくは2Aから4Aの範囲である。押出機ダイヘッドを介して押出機を出るストランドは、適当なワイヤーによって、または不連続的ガスストリームを介して機械的に切断することができる。
【0241】
そのため、本発明は、(iv)に従った形状化が、
(aa)微小粉末とバインダーまたはバインダー前駆体、好ましくはシリカバインダーまたはシリカバインダー前駆体とを混合することで混合物を得ること、ここで、シリカバインダーに含有または由来するシリカに対して微小粉末に含有されるZnTiMWWの質量比が3:7から1:4の範囲であり、ここで、混合方法の持続期間は、好ましくは、15分から60分の範囲である
(bb)(aa)において得られた混合物を形状化することで成形物を得ること、ここで、前記形状化は、好ましくは、(aa)において得られた混合物を、好ましくは1.0nmから2.0mm、より好ましくは1.5nmから1.7mmの範囲における直径を有する好ましくはストランドが得られる押出しにかけることを含む
を含む、上記で定義されている方法にも関する。
【0242】
一般に、細孔形成剤、特にメソ細孔形成剤は、(aa)において追加として用いられるか、または(bb)より前に(aa)から得られた混合物に添加されることが考えられる。通常用いられるこうした細孔形成剤は、好ましくはポリマービニル化合物、例えば、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドなど、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルなどである。例えば、特にメソ細孔の存在に関して本発明による微小粉末と異なるZnTiMWW含有微小粉末が用いられるならば、またはZnTiMWWが微小粉末と異なる形態で用いられるならば、こうした細孔形成剤が用いられ得る。しかしながら上文ですでに考察されている通り、本発明成形物の調製のために出発材料として好ましくは使用される本発明の微小粉末は、特定のDv10値および形状化方法を可能にする特定のメソ細孔特徴を呈し、ここで、上記に開示されている細孔形成剤は、(aa)から得られる混合物の化合物としても、(bb)より前に(aa)から得られる混合物に添加される添加剤としても、(bb)に従った形状化方法中に添加される添加剤としても用いられない。
【0243】
そのため、本発明は、(iv)において、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドなど、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルからなる群から選択されるメソ細孔形成剤が添加されず、好ましくは(iv)においてメソ細孔形成剤が添加されない上記で定義されている方法に関する。
【0244】
押出しなどの形状化から得られた成形物は、好ましくは、乾燥および/または焼成される。乾燥および焼成の条件に関係する特定の制限は存在しないが、ただし、好ましくは上記で定義されている特色を呈する成形物が得られるという条件である。
【0245】
乾燥は、好ましくは、80℃から160℃、より好ましくは90℃から155℃、より好ましくは100℃から150℃の範囲における温度で、および好ましくは6時間から24時間、より好ましくは10時間から20時間の範囲における持続期間の間で実施される。乾燥は、空気、リーン空気などの任意の適当なガス雰囲気、または技術的窒素などの窒素下で実行することができ、ここで、空気および/またはリーン空気が好ましい。
【0246】
焼成は、好ましくは、400℃から650℃、より好ましくは450℃から625℃、より好ましくは500℃から600℃の範囲における温度で、および好ましくは0.25時間から6時間、より好ましくは0.5時間から2時間の範囲における持続期間の間で実施される。焼成は、空気、リーン空気などの任意の適当なガス雰囲気、または技術的窒素などの窒素下で実行することができ、ここで、空気および/またはリーン空気が好ましい。
【0247】
好ましくは、特に上に記載されている通り、触媒として使用されるならば、すでに非常に良好な特徴を呈する成形物が乾燥および焼成から得られる。特に、上記で定義されている方法に従って得られる成形物は、好ましくは、ZnTiMWW、好ましくは上記で定義されている通りの微小粉末を70質量%から80質量%の範囲における量で、およびシリカバインダーを30質量%から20質量%の量で含み、微小粉末はシリカバインダーと一緒に、成形物の少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%を構成し、ここで、成形物は、Si原子の合計数に関して、29Si MAS NMRに従って決定される場合に3%超から6%の範囲におけるシラノール基の濃度を有する。さらに、上記で定義されている方法に従って得られる成形物は、好ましくは、円形断面および1.5nmから1.7mmの直径を有するストランドの形態であり、少なくとも5N、好ましくは5Nから10Nの範囲における破砕強度を有する。
【0248】
さらに、本発明は、工程(iv)および好ましくは(v)、好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)および好ましくは(v)を含む上記で定義されている通りの方法によって得ることが可能なまたは得られる成形物に関する。
【0249】
水での後処理
本発明のさらなる主要な態様は、ZnTiMWWを含有する成形物の適当な後処理によって、成形物が触媒として、好ましくはエポキシ化反応、例えばプロペンからのプロピレンオキシドの調製などにおいて用いられる場合に特に決定的であるシラノール基の濃度および破砕強度など、成形物の特徴がまた著しく改善され得ることが、驚くべきことに見出されたという事実である。
【0250】
そのため、本発明は、
(vi)(iv)または(v)において、好ましくは(v)において得られた成形物を水処理にかけること、
(vii)任意選択により、水処理成形物を乾燥および/または焼成すること
をさらに含む、上記で定義されている方法に関する。
【0251】
そのため、本発明は、成形物の調製のための方法にも関し、前記方法は、
(i)チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を含有する懸濁液を準備すること、
(ii)(i)において準備された懸濁液をスプレー乾燥にかけることで微小粉末を得ること、
(iii)(ii)において得られた微小粉末を焼成することで、粒子が少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有する微小粉末を得ること、前記微小粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される場合に2nmから50nmの範囲における平均孔径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、微小粉末の質量に対して、チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料を少なくとも95質量%を含む
(iv)(iii)において得られた微小粉末を形状化することで成形物を得ること、
(v)好ましくは、(iv)において得られた成形物を乾燥および焼成すること、
(vi)(iv)または(v)において、好ましくは(v)において得られた成形物を水処理にかけること、
(vii)好ましくは、水処理成形物を乾燥および/または焼成すること
を含む。
【0252】
本発明の好ましい実施形態によると、(vi)に従った前記水処理は、液体水を用いて周囲圧力より高い圧力で成形物を処理することを含む。より好ましくは、水処理は、周囲温度より高い温度で、好ましくは、100℃から200℃、より好ましくは125℃から175℃、より好ましくは130℃から160℃、より好ましくは135℃から155℃より好ましくは140℃から150℃の範囲において実施される。さらに好ましくは、水処理は、これらの温度にて自生圧力下で実行される。さらに好ましくは、該成形物の水処理は、オートクレーブ内で実施される。これらの温度は容器内の温度として理解されるべきであり、ここで、水処理は例えばオートクレーブ内で実施される。
【0253】
持続期間に関係して、1時間から48時間、より好ましくは2時間から24時間、より好ましくは3時間から18時間、より好ましくは4時間から16時間、より好ましくは5時間から12時間、より好ましくは6時間から10時間の範囲における時間の間で水処理を実施するのが好ましい。6時間から10時間もの低い持続期間が、成形物の品質を大幅に増加させるのに十分であることが、驚くべきことに見出された。
【0254】
そのため、本発明は、(vi)において、水処理が、液体水を用いてオートクレーブ内で自生圧力下、100℃から200℃、好ましくは125℃から175℃、より好ましくは140℃から150℃の範囲における温度で、2時間から24時間、好ましくは6時間から10時間の期間の間で成形物を処理することを含む、上記で定義されている方法に関する。
【0255】
水および成形物が上記に定義されている好ましい温度に加熱される時間は、一般に、任意の特定の制限にかけられない。好ましくは、周囲温度から好ましい温度への加熱傾斜は、0.25時間から6時間、好ましくは0.5時間から3時間、より好ましくは1時間から2時間の範囲である。水処理後、水処理から得られた懸濁液は、適当には、好ましくは0.25時間から6時間、より好ましくは0.5時間から4時間、より好ましくは1時間から3時間以内冷却される。
【0256】
一般に、成形物の水処理のために使用される水の量に関して特定の制限は存在しない。しかしながら、水処理のために使用される水に対する成形物の質量比は、好ましくは、0.001:1から1:1、より好ましくは0.005:1から0.5:1、より好ましくは0.01:1から0.1:1の範囲であることが見出された。いっそう好ましくは、水処理のために使用される水に対する成形物の質量比は、0.02:1から0.08:1、より好ましくは0.03:1から0.07:1、より好ましくは0.04:1から0.06:1の範囲である。
【0257】
混合する順番に関係して、特定の制限は存在しない。水処理のために使用される容器、例えばオートクレーブに成形物を投入し、引き続いて該容器に水を投入することが考えられる。好ましくは、水が容器に少なくとも部分的に投入され、引き続いて、成形物が容器に投入される。
【0258】
成形物および水に加えて、さらなる化合物が、水処理の目的で添加され得ることが一般に考えられる一方で、こうしたさらなる化合物は本発明水処理のために用いられないのが殊に好ましい。したがって、(vi)に従った成形物および水の懸濁液は、本質的に成形物および水からなる。そのため、本発明は、水処理のために使用される成形物および水の少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%の(vi)に従った懸濁液が含まれる、上記で定義されている方法にも関する。
【0259】
本発明によると、追加として、(vi)より前または後のいずれかで、水蒸気を使用する蒸気処理など少なくとも1つの蒸気処理段階に成形物をかけることが考えられ得る。しかしながら、本発明の方法中にこうした蒸気処理段階を回避するのが殊に好ましい。そのため、本発明は、成形物が蒸気処理にかけられない、上記で定義されている方法に関する。したがって、好ましくは、本発明の成形物は、(vi)より前、最中または後で蒸気処理にかけられない。
【0260】
特に、本発明は、(vi)において、水処理が、液体水を用いてオートクレーブ内にて自生圧力下、140℃から150℃の範囲における温度で、6時間から10時間の期間の間で成形物を処理することからなる、上記で定義されている方法に関し、ここで、オートクレーブにおいて、水に対する成形物の質量比は0.04から0.06の範囲であり、水処理中に、水中の成形物の懸濁液は撹拌されない。
【0261】
水処理から得られる成形物は、好ましくは乾燥および/または焼成され、より好ましくは(vii)に従って乾燥および焼成される。乾燥および焼成の条件に関係する特定の制限は存在しないが、ただし、好ましくは、上記で定義されている殊に好ましい特色を呈する成形物が得られるという条件である。
【0262】
(vii)に従った乾燥は、好ましくは、80℃から160℃、より好ましくは90℃から155℃、より好ましくは100℃から150℃の範囲における温度で、および好ましくは、6時間から24時間、より好ましくは10時間から20時間の範囲における持続期間の間で実施される。乾燥は、任意の適当なガス雰囲気下で実行することができ、ここで、空気および/またはリーン空気が好ましい。
【0263】
焼成は、好ましくは、300℃から600℃、より好ましくは350℃から550℃、より好ましくは400℃から500℃の範囲における温度で、および好ましくは、0.25時間から6時間、より好ましくは1時間から3時間の範囲における持続期間の間で実施される。焼成は、空気、リーン空気などの任意の適当なガス雰囲気、または技術的窒素などの窒素下で実行することができ、ここで、空気および/またはリーン空気が好ましい。
【0264】
成形物が上記に定義されている好ましい温度に加熱される時間は、一般に、任意の特定の制限にかけられない。好ましくは、周囲温度から好ましい温度への加熱傾斜は、0.25時間から10時間、好ましくは1時間から8時間、より好ましくは3時間から6時間の範囲である。焼成後、成形物は、適当には冷却される。
【0265】
そのため、本発明は、(vii)において、水処理成形物が、100℃から150℃の範囲における温度で、10時間から20時間の範囲における持続期間の間で乾燥され、400℃から500℃の範囲における温度で、1時間から3時間の範囲における持続期間の間で焼成される、上記で定義されている方法に関する。
【0266】
驚くべきことに、上記で考察されている水処理は、成形物の特徴、特に上に記載されている通りの触媒として使用される場合の成形物の特徴に対して有意な影響を有することが見出された。特に、上記で定義されている方法に従って得られる成形物は、好ましくは、ZnTiMWW、好ましくは上記で定義されている通りの微小粉末を70質量%から80質量%の範囲における量で、およびシリカバインダーを30質量%から20質量%の量で含み、微小粉末は、シリカバインダーと一緒に、成形物の少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%を構成し、ここで、成形物は、29Si MAS NMRに従って決定される場合に、Si原子の合計数に関して、多くとも3%、好ましくは0.5%から3%、より好ましくは1%から3%の範囲におけるシラノール基の濃度を有する。それぞれの測定について、参考例3が参照とされる。
【0267】
さらに、上記で定義されている方法に従って得られる成形物は、好ましくは、円形断面および1.5nmから1.7mmの直径を有するストランドの形態であり、好ましくは、10N超、より好ましくは10N超から20N、より好ましくは11Nから20N、より好ましくは12Nから20Nの範囲における破砕強度を有する。それぞれの測定について、参考例2が参照とされる。
【0268】
さらに、本発明水処理を使用することは、QおよびQ構造に関連する成形物に効果を有することが見出された。参考例4に記載されている通り、本発明の成形物の材料について行われた29Si固体状態NMR実験は、本発明の非水処理成形物が本発明水処理にかけられるならば、Q構造に帰するシグナルの強度に対するQ構造(およびQ構造によって影響を及ぼされるQ構造に)に帰するシグナルの強度が減少することを示した。詳細には、本発明の水処理後、29Si固体状態NMRスペクトルの左手側、Qシラノール構造が含まれる領域で、信号強度の減少が観察された。殊に好ましい例によると、スペクトルのこの左手側は約−104ppm以上である。さらに、スペクトルの右手側のシグナルの増加が観察され、この領域はQ構造を排他的に含む。殊に好ましい例によると、スペクトルの右手側は約−110ppmを下回る。Q構造に帰するシラノール構造に帰するシグナルに対するQ構造を含めたシラノール構造に帰するシグナルの強度比におけるこうした減少は、本発明水処理がゼオライトフレームワーク構造に対して有意な影響を有することを表示し、この変化は、本発明例において示される通り、好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための触媒として成形物が使用される場合において特に、より良好な触媒特性を有する成形物を提供する。それぞれの測定について、参考例4が参照とされる。
【0269】
そのため、本発明は、前記成形物の29Si−NMRスペクトルが以下の位置に6つのピークを含む、上に記載されている通りの成形物にも関し、
−98+/−xppmでピーク1
−104+/−xppmでピーク2
−110+/−xppmでピーク3
−113+/−xppmでピーク4
−115+/−xppmでピーク5
−118+/−xppmでピーク6
xは、ピークのいずれにおいても、1.5、好ましくは1.0、より好ましくは0.5であり、
ここで、
Q=100{[a+a]/[a+a+a]}/a
として定義されるQは、多くとも1.6、好ましくは多くとも1.4およびより好ましくは多くとも1.3であり、[a+a]は、ピーク1および2のピーク面積の和であり、[a+a+a]は、ピーク4、5、および6のピーク面積の和であり、aは、ピーク3のピーク面積である。
【0270】
本発明は、前記成形物の29Si−NMRスペクトルが、以下の位置で6つのピークを含む、上に記載されている通りの成形物にも関し、
−98+/−xppmでピーク1
−104+/−xppmでピーク2
−110+/−xppmでピーク3
−113+/−xppmでピーク4
−115+/−xppmでピーク5
−118+/−xppmでピーク6
xは、ピークのいずれにおいても、1.5、好ましくは1.0、より好ましくは0.5であり、
ここで、
Q=100{[a+a]/[a+a+a]}/a
として定義されるQは、多くとも2.5、好ましくは多くとも1.6、好ましくは多くとも1.4であり、[a+a]は、ピーク1および2のピーク面積の和であり、[a+a+a]は、ピーク4、5、および6のピーク面積の和であり、aは、ピーク3のピーク面積である。
【0271】
さらに、本発明水処理を使用して、成形物の疎水性が増加され得ることが見出された。成形物の疎水性におけるこうした増加および化学的性質におけるそれぞれの変化は、本発明水処理が、本発明例に示される通り、好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための触媒として成形物が使用される場合において特に、本発明成形物の特性に対して有意な影響を有することを指し示す。「疎水性」という用語は、本出願この文脈において使用される場合、水吸着/脱着等温線の測定に従って決定される。これらの等温線から、与えられた成形物の水取り込みを決定することができ、水取り込みが低いほど疎水性が高い。それぞれの測定について、参考例6が参照とされる。一般に、本成形物は、最大8質量%まで、より好ましくは2質量%から8質量%、より好ましくは3質量%から8質量%の範囲における水取り込みを有する。本発明による最も好ましい成形物は、好ましくは、4.5質量%から6.5質量%など、4質量%から7質量%の範囲における水取り込みを有する。
【0272】
なおさらに、本発明水処理は、シラノール基特徴に影響を及ぼすことが見出された。特に、本発明の成形物の(赤外)IRスペクトルにおいて、シラノール基の第1型は、(377〜3750)+/−20cm−1の領域における帯域によって表され、シラノール基の第2型は、(3670〜3690)+/−20cm−1の領域における帯域によって表される。本発明によると、第2型のシラノール基を表すIRピークに対する第1型のシラノール基を表すIRピークの強度比は、好ましくは、本発明水処理によって多くとも1.5、より好ましくは多くとも1.4の値に減少されることが見出された。それぞれの測定について、参考例5が参照とされる。
【0273】
なおさらに、本発明水処理は、シラノール基特徴に影響を及ぼすことが見出された。特に、本発明の成形物の(赤外)IRスペクトルにおいて、シラノール基の第1型は、3746+/−20cm−1の領域における帯域によって表され、シラノール基の第2型は、3678+/−20cm−1の領域における帯域によって表される。本発明によると、第2型のシラノール基を表すIRピークに対する第1型のシラノール基を表すIRピークの強度比は、好ましくは、本発明水処理によって多くとも1.5、より好ましくは多くとも1.4、より好ましくは多くとも1.3、より好ましくは多くとも1.2の値に減少されることが見出された。それぞれの測定について、参考例5が参照とされる。
【0274】
強度比におけるこうした減少は、本発明水処理が、本発明例において示される通り、好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための触媒として成形物が使用される場合において特に、本発明成形物の化学的性質に対して有意な影響を有することを指し示す。
【0275】
さらに、本発明は、工程(vi)および好ましくは(vii)、より好ましくは(iv)および好ましくは(v)、(vi)および好ましくは(vii)、好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)および好ましくは(v)、(vi)および好ましくは(vii)を含む、上記で定義されている通りの方法によって得ることが可能なまたは得られる成形物に関する。
【0276】
一般に、本発明は、触媒活性材料としてZnTiMWWを含む成形物の触媒特性を改善するための(vi)および好ましくは(vii)を含む、上記で定義されている通りの水処理の使用にも関し、ここで、成形物は、好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用する、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を使用して溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための触媒として好ましくは使用される。
【0277】
上に記載されている通りの方法から好ましくは得られる上に記載されている通りの成形物は、あらゆる考えられる目的のためにそれ自体で使用することができる。好ましい実施形態によると、成形物は、触媒として、好ましくはエポキシ化反応における触媒として、より好ましくはプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として使用される。
【0278】
そのため、本発明は、触媒として、好ましくはエポキシ化反応における触媒として、より好ましくはプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒として、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて溶媒としてのアセトニトリル中においてプロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒としての、好ましくは上に記載されている通りの方法から得ることが可能なまたは得られる上に記載されている通りの成形物の使用にも関し、ここで、エポキシ化反応は好ましくは連続反応であるか、および/または成形物は固定床触媒として用いられ、500時間の走行時間後の過酸化水素に対するプロピレンオキシドに関する選択性は、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%である。
【0279】
その上、本発明は、エポキシ化方法、好ましくはプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いるプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて溶媒としてのアセトニトリル中におけるプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための方法に関し、該方法において、好ましくは上に記載されている通りの方法から得られる上に記載されている通りの成形物は、触媒として用いられ、ここで、エポキシ化方法は好ましくは連続的方法であるか、および/または成形物は固定床触媒として用いられ、ここで、500時間の走行時間後の過酸化水素に対するプロピレンオキシドに関する選択性は、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%である。
【0280】
本発明は、以下の実施例および参考例によって例示される。
【実施例】
【0281】
(参考例1)
チタンおよび亜鉛を含有するMWW構造型(ZnTiMWW)のミクロ細孔性アルミニウムフリーゼオライト材料の調製
1.1ホウ素含有MWWの調製
470.4kgの脱イオン水を容器内に提供した。70rpmでの撹拌下で(1分当たりのラウンド)、162.5kgのホウ酸を水中に懸濁した。懸濁液をさらに3時間の間撹拌した。引き続いて、272.5kgのピペリジンを添加し、混合物をさらに1時間撹拌した。結果として得られた溶液に、392.0kgのLudox(登録商標)AS−40を添加し、結果として得られた混合物を70rpmでさらに1時間撹拌した。
【0282】
最終的に得られた混合物を結晶化容器に移し、170℃に5時間以内で自生圧力下および撹拌下で(50rpm)加熱した。170℃の温度を120時間の間本質的に一定に保持し、これら120時間の間に、混合物を50rpmで撹拌した。引き続いて、混合物を50〜60℃の温度に5時間以内で冷却した。B−MWWを含有する水性懸濁液は、pH電極を用いる測定を介して決定される場合に11.3のpHを有していた。
【0283】
前記懸濁液から、B−MWWを濾過によって分離させた。フィルターケーキを次いで、洗浄水が700マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで、脱イオン水で洗浄した。
【0284】
こうして得られたフィルターケーキから、15質量%の固体含有量を有する水性懸濁液を調製し、スプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 288〜291℃
−温度スプレー塔(外): 157〜167℃
−温度フィルター(内): 150〜160℃
−温度スクラバー(内): 40〜48℃
−温度スクラバー(外): 34〜36℃
圧力差異フィルター: 8.3〜10.3mbar
ノズル:
−トップ構成要素ノズル 供給元Gerig;サイズ0
−ノズルガス温度: 室温
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 1,900kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
可撓性チューブポンプを介する投与量:SP VF 15(供給元:Verder)
【0285】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダは底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料を、スプレー塔のフィルター下流における乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガスを通過させた。
【0286】
スプレー乾燥材料を次いで、650℃で2時間の間焼成にかけた。焼成材料は、1.9wt.%のホウ素(B)含有量、41wt.%のケイ素(Si)含有量、および0.18wt.%の合計有機炭素(TOC)含有量を有していた。
【0287】
1.2脱ホウ素化MWWの調製
a)脱ホウ素化
上記のセクション1.1に従って得られたスプレー乾燥材料に基づいて、4つのバッチの脱ホウ素化ゼオライトMWWを調製した。最初の3つのバッチの各々において、セクション1.1に従って得られたスプレー乾燥材料を35kg、および525kgの水を用いた。第4バッチにおいて、セクション1.1に従って得られたスプレー乾燥材料を32kg、および480kgの水を用いた。合計で、セクション1.1に従って得られたスプレー乾燥材料を137kg、および2025kgの水を用いた。
【0288】
各バッチについて、それぞれの量の水を、還流凝縮器が備えられている容器に入れた。40r.p.m.での撹拌下で、スプレー乾燥材料の所定量を水中に懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。70r.p.m.での撹拌下で、容器の含有物を100℃に10時間以内で加熱し、この温度で10時間の間保持した。次いで、容器の含有物を50℃未満の温度に冷却した。
【0289】
結果として得られたMWW構造型の脱ホウ素化ゼオライト材料を、2.5バールの窒素圧力下での濾過によって懸濁液から分離させ、脱イオン水で4回洗浄した。濾過後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で6時間の間乾燥させた。
【0290】
4つのバッチにおいて得られた脱ホウ素化ゼオライト材料(合計で625.1kgの窒素乾燥フィルターケーキ)は、IR(赤外)スケールを使用して160℃で決定した場合に79%の残留水分含有量を有していた。
【0291】
b)窒素乾燥フィルターケーキのスプレー乾燥
上記のセクションa)に従って得られた79%の残留水分含有量を有する窒素乾燥フィルターケーキから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15wt.−%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 304℃
−温度スプレー塔(外): 147〜150℃
−温度フィルター(内): 133〜141℃
−温度スクラバー(内): 106〜114℃
−温度スクラバー(外): 13〜20℃
圧力差異フィルター: 1.3〜2.3mbar
ノズル:
−トップ構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガススループット: 23kg/h
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 550kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
可撓性チューブポンプを介する投与量:VF 10(供給元:Verder)
【0292】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダは底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。
【0293】
スプレー乾燥材料を、スプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガスを通過させた。
【0294】
得られたスプレー乾燥MWW材料は、0.08wt.%のB含有量、42wt.%のSi含有量、および0.23wt.%のTOCを有していた。
【0295】
1.3 TiMWWの調製
セクション1.2に従って得られた通りの脱ホウ素化MWW材料に基づいて、以下においてTiMWWと称されるチタン(Ti)を含有するMWW構造型のゼオライト材料を調製した。以下においてa)およびb)と記載されている2つの実験で合成を行った:
a)第1の実験
出発材料: 脱イオン水: 244.00kg
ピペリジン: 118.00kg
テトラブチルオルトチタネート: 10.90kg
脱ホウ素化ゼオライト材料: 54.16kg
MWW構造型の脱ホウ素化ゼオライト材料54.16kgを第1容器A内に移した。
【0296】
第2容器Bにおいて、200.00kgの脱イオン水を移し、80r.p.mで撹拌した。118.00kgのピペリジンを撹拌下で添加し、添加中に、混合物の温度を約15℃増加させた。引き続いて、10.90kgのテトラブチルオルトチタネートおよび20.00kgの脱イオン水を添加した。撹拌を次いで60分間続けた。
【0297】
容器Bの混合物を次いで容器A内に移し、容器A内の撹拌を開始した(70r.p.m.)。24.00kgの脱イオン水を容器Aに充填し、容器Bに移した。
【0298】
容器B内の混合物を次いで60分間70r.p.m.で撹拌した。撹拌の開始時に、容器B内の混合物のpHは、pH電極を用いて決定したところ12.6であった。
【0299】
70r.p.m.での前記撹拌後、周波数を50r.p.m.に減少させ、容器B内の混合物を170℃の温度に5時間以内で加熱した。50r.p.m.の一定撹拌速度で、容器B内の混合物の温度を170℃の本質的一定温度で120時間の間自生圧力下で保持した。TiMWWのこの結晶化中に、最大10.6バールまでの圧力増加が観察された。引き続いて、12.6のpHを有するTiMWWを含有する得られた懸濁液を、5時間以内で冷却した。
【0300】
冷却懸濁液を濾過にかけ、分離母液を廃水排出に移した。フィルターケーキを脱イオン水にて2.5バールの窒素圧力下で4回洗浄した。最後の洗浄工程後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で6時間の間乾燥させた。
【0301】
前記フィルターケーキ246kgから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15wt.−%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 304℃
−温度スプレー塔(外): 147〜152℃
−温度フィルター(内): 133〜144℃
−温度スクラバー(内): 111〜123℃
−温度スクラバー(外): 12〜18℃
圧力差異フィルター: 1.8〜2.8mbar
ノズル:
−トップ構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガススループット: 23kg/h
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 550kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
可撓性チューブポンプを介する投与量:VF 10(供給元:Verder)
【0302】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガスを通過させた。
【0303】
第1実験から得られたスプレー乾燥TiMWW材料は、37wt.%のSi含有量、2.4wt.−%のTi含有量、および7.5wt.%のTOCを有していた。
【0304】
b)第2実験
第2実験を、上記のセクションa)に記載されている第1実験と同じやり方で実施した。第2実験から得られたスプレー乾燥TiMWW材料は、36wt.%のSi含有量、2.4wt.−%のTi含有量、8.0wt.%のTOCを有していた。
【0305】
1.4 TiMWWの酸処理
上記のセクション1.3 a)および1.3 b)に記載されている第1および第2実験において得られた通りの2つのスプレー乾燥TiMWW材料の各々を、以下においてセクションa)およびb)に記載されている通りの酸処理にかけた。下文のセクションc)において、a)およびb)から得られた材料の混合物がどのようにスプレー乾燥されるか記載されている。下文のセクションd)において、スプレー乾燥材料がどのように焼成されるか記載されている。
【0306】
a)セクション1.3 a)に従って得られたスプレー乾燥材料の酸処理
出発材料: 脱イオン水: 690.0kg
硝酸:(53%): 900.0kg
スプレー乾燥Ti−MWW 1.3.a): 53.0kg
【0307】
670.0kgの脱イオン水を容器に充填した。900kgの硝酸を添加し、スプレー乾燥TiMWW 53.0kgを、50r.p.m.での撹拌下で添加した。結果として得られた混合物をさらに15分間撹拌した。引き続いて、撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0308】
1時間以内で、容器内の混合物を100℃に加熱し、この温度でおよび自生圧力下で、20時間の間撹拌下で保持した。こうして得られた混合物を次いで2時間以内で50℃未満の温度に冷却した。
【0309】
冷却混合物を濾過にかけ、フィルターケーキを脱イオン水にて2.5バールの窒素圧力下で6回洗浄した。最後の洗浄工程後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で10時間の間乾燥させた。第6洗浄工程後の洗浄水は、約2.7のpHを有していた。225.8kgの乾燥フィルターケーキが得られた。
【0310】
b)セクション1.3 b)に従って得られたスプレー乾燥材料の酸処理
出発材料: 脱イオン水: 690.0kg
硝酸:(53%): 900.0kg
スプレー乾燥Ti−MWW 1.3.b): 55.0kg
【0311】
セクション1.3 b)に従って得られたスプレー乾燥材料の酸処理を、セクション1.4 a)に記載されている通り、セクション1.3 a)に従って得られたスプレー乾燥材料の酸処理と同じやり方で実施した。第6洗浄工程後の洗浄水は、約2.7のpHを有していた。206.3kgの乾燥フィルターケーキが得られた。
【0312】
c)1.4 a)および1.4 b)から得られた材料の混合物のスプレー乾燥
1.4 a)および1.4 b)から得られたフィルターケーキの混合物462.1kgから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15wt.−%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 304〜305℃
−温度スプレー塔(外): 151℃
−温度フィルター(内): 141〜143℃
−温度スクラバー(内): 109〜118℃
−温度スクラバー(外): 14〜15℃
圧力差異フィルター: 1.7〜3.8mbar
ノズル:
−トップ構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガススループット: 23kg/h
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 550kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
可撓性チューブポンプを介する投与量:VF 10(供給元:Verder)
【0313】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダは底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガスを通過させた。
【0314】
スプレー乾燥された酸処理TiMWW材料は、42wt.%のSi含有量、1.6wt.−%のTi含有量、および1.7wt.%のTOCを有していた。
【0315】
d)1.4.c)に従って得られたスプレー乾燥材料の焼成
スプレー乾燥材料を次いで、650℃で回転炉内にて2時間の間焼成にかけた。焼成材料は、42.5wt.%のSi含有量、1.6wt.−%のTi含有量および0.15wt.%TOC含有量を有していた。窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定されたラングミュア表面は612m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定された多点BET比表面積は442m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定される合計侵入体積は4.9ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は104.6m/gであった。XRDを介して決定される結晶化の程度は80%であり、平均結晶子サイズは31nmであった。材料のXRDを図1に示す。
【0316】
1.5 Znを用いるTiMWWの含浸
1.4 d)に従って得られた、酸処理、スプレー乾燥および焼成した材料を次いで、含浸段階にかけた。
【0317】
出発材料: 脱イオン水: 2610.0kg
酢酸亜鉛二水和物: 15.93kg
焼成Ti−MWW 1.4 d): 87.0kg
【0318】
含浸を3つのバッチa)からc)において以下の通りに実施した:
a)還流凝縮器が備えられている容器内において、840kgの脱イオン水および5.13kgの酢酸亜鉛二水和物の溶液を30分以内で調製した。撹拌下で(40r.p.m.)、1.4 d)に従って得られた焼成Ti−MWW材料28kgを懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0319】
b)還流凝縮器が備えられている容器内において、840kgの脱イオン水および5.13kgの酢酸亜鉛二水和物の溶液を30分以内に調製した。撹拌下で(40r.p.m.)、1.4 d)に従って得られた焼成Ti−MWW材料28kgを懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0320】
c)還流凝縮器が備えられている容器内において、930kgの脱イオン水および5.67kgの酢酸亜鉛二水和物の溶液を30分以内で調製した。撹拌下で(40r.p.m.)、1.4 d)に従って得られた焼成Ti−MWW材料31kgを懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0321】
全てのバッチa)からc)において、容器内の混合物を100℃に1時間以内で加熱し、還流下で4時間の間70r.p.m.の撹拌速度で保持した。次いで、混合物を2時間以内に50℃未満の温度に冷却した。各バッチa)からc)について、冷却懸濁液を濾過にかけ、母液を廃水排出に移した。フィルターケーキを脱イオン水にて2.5バールの窒素圧力下で5回洗浄した。最後の洗浄工程後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で10時間の間乾燥させた。
【0322】
バッチa)について、106.5kgの窒素乾燥フィルターケーキが最終的に得られた。バッチb)について、107.0kgの窒素乾燥フィルターケーキが最終的に得られた。バッチc)について、133.6kgの窒素乾燥フィルターケーキが最終的に得られた。
【0323】
このように乾燥させたZn含浸TiMWW材料(ZnTiMWW)は、各バッチについて、42wt.%のSi含有量、1.6wt.−%のTi含有量、1.4wt.%のZn含有量および1.4wt.%のTOCを有していた。
【0324】
(参考例2)
本発明の成形物の破砕強度の決定
破砕強度は、本発明の文脈において言及される場合、破砕強度試験機Z2.5/TS1S、供給元Zwick GmbH&Co.、D−89079 Ulm、Germanyを介して決定されると理解されるべきである。この機械およびそれの作動の原理について、Zwick GmbH&Co.Technische Dokumentation、August−Nagel−Strasse 11、D−89079 Ulm、Germanyによるそれぞれの指示ハンドブック「Register 1: Betriebsanleitung/Sicherheitshandbuch fur die Material−Prufmaschine Z2.5/TS1S」、バージョン1.5、2001年12月が参照とされる。指示ハンドブックのタイトルページを図9に示す。
【0325】
前記機械を用いて、1.7mmの直径を有する実施例2および3に記載されている通りの所定ストランドを、ストランドが破砕されるまで、3mmの直径を有するプランジャーを介して増加する力にかける。ストランドが破砕する力は、ストランドの破砕強度と称される。
【0326】
該機械には、ストランドが位置されている固定水平テーブルが備えられている。垂直の方向に自由可動であるプランジャーが、固定テーブルからストランドを動かす。該器具を、0.5Nの予備力、10mm/minの予備力下のせん断速度および1.6mm/minの後続試験速度で作動した。垂直可動性プランジャーを、フォースピックアップ用のロードセルに接続し、測定中に、調査すべき成形物(ストランド)が位置される固定ターンテーブルの方へ移動し、したがってテーブルからストランドを動かす。プランジャーをストランドに、それらの縦方向軸に垂直に適用した。実験を制御することを、測定の結果を登録および評価するコンピューターの手段によって実施した。得られる値は、各場合において10つのストランドについての測定の平均値である。
【0327】
(参考例3)
本発明の成形物のシラノール濃度の決定
シラノール濃度の決定のため、29Si MAS NMR実験を、室温にてVARIAN Infinityplus−400分光計上で、5.0mmのZrOローターを使用して実施した。29Si MAS NMRスペクトルを、79.5MHzにて、1.9μs π/4(マイクロ秒pi/4)パルスを使用し、10sリサイクル遅延および4000走査で回収した。全ての29Siスペクトルを、6kHzでスピンされる試料上に記録し、化学シフトは4,4−ジメチル−4−シラペンタンスルホネートナトリウム(DSS)を基準とした。
【0328】
シラノール基濃度の決定のため、所定の29Si MAS NMRスペクトルを、適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションする。Si原子の合計数に関するシラノール基の濃度を、デコンボリューションした29Si MAS NMRスペクトルを積分することによって得る。
【0329】
(参考例4)
およびQ構造に関する29Si固体状態NMRスペクトル
材料におけるQおよびQ構造に関連した成形物に対する本発明水処理の効果を、比較可能な条件下で29Si固体状態NMRスペクトルにおける変化を比較することによって特徴付けた。
【0330】
全ての29Si固体状態NMR実験を、Bruker Advance分光計を使用して300MHz H Larmor周波数(Bruker Biospin、Germany)で行った。試料を7mmのZrOローターに詰め、5kHzのMagic Angle Spinning下にて室温で測定した。29Si直接偏光スペクトルを、(pi/2)−パルス励起を使用し、5マイクロ秒パルス幅、スペクトルにおける−65ppmに対応する29Si担体周波数、および120秒の走査リサイクル遅延で得た。シグナルを25ミリ秒の間45kHzのハイパワープロトンデカップリング下で獲得し、10時間から17時間かけて蓄積した。Bruker Topspinを使用して、30Hzの指数関数的線拡大化、手動位相化、および全スペクトル幅にわたる手動ベースライン補正でスペクトルを加工した。スペクトルを、外部の二次標準としてのポリマーQ8M8と参照し、12.5ppmに対するトリメチルシリルM基の共鳴を設定した。
【0331】
スペクトルを次いで、識別可能な共鳴の数に従ってGaussian線形状のセットとフィットさせた。現下判定のスペクトルに関連して、5つの明確なピーク最大(およそ−118ppm、−115ppm、−113ppm、−110ppmおよび−104ppmで)プラス−98ppmでの明らかに可視のショルダーからなる、合計で6つの線を使用した(実施例2の成形物については図10を参照されたい)。
【0332】
DMFit(Massiotら、Magnetic Resonance in Chemistry、40(2002)70〜76ページ)を使用してフィッティングを行った。ピークを可視ピーク最大またはショルダーに手動でセットした。ピーク位置および線幅の両方を次いで、抑制しないまま放置、即ち、フィットピークを特定の位置に固定しなかった。フィッティング結果は数値的に安定であり、即ち、上に記載されている通りの初期フィット設定の歪みは同様の結果に至った。DMFitによって行った通りに標準化されたフィット化ピーク面積をさらに使用した。
【0333】
本発明の水処理後、スペクトルの左手側における信号強度の減少、Qシラノール構造が含まれる領域を観察した(ここでは殊に:−104ppmの辺りおよび上、即ち−104ppmの「左」)。さらに、スペクトルの右手側におけるシグナルの増加(ここでは:−110ppmの下、即ち−110ppmの「右」)を観察したが、この領域はQ構造を排他的に含む。
【0334】
スペクトル変化の定量化のため、以下の通りに、ピーク面積「左手」および「右手」における変化を反映する比を算出した。図10に記載されている通り、6つのピークを、1、2、3、4、5および6で標識し、比Qを式100{[a+a]/[a+a+a]}/aで算出した。この式中、ai、i=1..6は、この数が帰するフィット化ピークの面積を表す。
【0335】
(参考例5)
FT−IR測定
FT−IR(フーリエ変換赤外)測定をNicolet 6700分光計上で行った。成形物を粉末化し、次いで任意の添加剤を使用することなく自己担持ペレットに加圧する。FT−IR機器に入れた高真空(HV)セルにペレットを導入した。測定より前に試料を高真空(10−5mbar)中にて3時間の間300℃で予備処理した。セルを50℃に冷却した後、スペクトルを回収した。2cm−1の分解能で4000cm−1から800cm−1の範囲におけるスペクトルを記録した。得られたスペクトルを、x軸上に波数(cm−1)およびy軸上に吸光度を有するプロットに表す(任意の単位、a.u.)。ピークの高さおよびこれらのピーク間の比の定量のため、ベースライン補正を実施した。3000〜3900cm−1領域における変化を分析し、複数の試料を比較するため、基準として、1880±5cm1での帯域を取った。
【0336】
(参考例6)
水吸着/脱着
水吸着/脱着等温線測定を、TA InstrumentsからのVTI SA機器上で、工程−等温線プログラムに従って行った。実験は、機器の内側の微量天秤皿に置かれた試料材料上で行われた走行または一連の走行から成っていた。測定を開始する前、試料を100℃に(5℃/minの加熱傾斜)加熱すること、およびそれを6時間の間N流下で保つことによって、試料の残留水分を除去した。乾燥プログラム後、セル内の温度を25℃に減少させ、測定中は等温で保持した。微量天秤を較正し、乾燥した試料の質量を平衡した(最大質量偏差0.01wt.%)。試料による水取り込みを、乾燥試料を超える質量の増加として測定した。最初に、試料が曝露される相対湿度(RH)(セルの内側の雰囲気における質量%の水として表される)を増加させること、および平衡での試料による水取り込みを測定することによって、吸着曲線を測定した。RHを5%から85%まで、10wt.%の工程で増加させ、各工程で、システムがRHを制御し、平衡状態に達するとともに質量取込みを記録するまで試料質量をモニタリングした。試料を85質量%のRHに曝露した後、試料による合計吸着水量を取った。脱着測定中に、RHを85wt.%から5wt.%に、10wt.%の工程で減少させ、試料(水取り込み)の質量における変化をモニタリングおよび記録した。
【0337】
(参考例7)
PO試験
PO試験において、本発明の成形物を、ミニオートクレーブ内で、プロピレンオキシドを生成するためのプロペンと過酸化水素水溶液(30wt.%)との反応によって、触媒として試験する。特に、本発明の成形物0.63gを、アセトニトリル79.2gおよびプロペン12.4gと一緒に室温で導入し、過酸化水素(水中30wt.%)22.1gを鋼オートクレーブに導入した。40℃で4時間の反応時間後、混合物を冷却し、減圧し、液相をガスクロマトグラフィーによって、それのプロピレンオキシド含有量に関して分析した。
【0338】
液相(wt.%における)のプロピレンオキシド含有量はPO試験の結果である。
【0339】
(参考例8)
Dv10値、Dv50値およびDv90値の決定
1.試料調製
微小粉末1.0gを100gの脱イオン水中に懸濁し、1分間撹拌する。
【0340】
2.使用された器具およびそれぞれのパラメータ
−Mastersizer S長床バージョン2.15、シリアル番号.33544−325;供給元:Malvern Instruments GmbH、Herrenberg、Germany
−焦点幅: 300RFmm
−ビーム長: 10.00mm
−モジュール: MS17
−シャドーイング: 16.9%
−分散(液)モデル: 3$$D
−分析モデル: 多分散
−補正: なし
【0341】
(参考例9)
懸濁液の濾過抵抗性およびフィルターケーキの洗浄抵抗性の決定
所定懸濁液の濾過抵抗性R(F)を以下の式に従って決定した:
R(F)=[2t(end)*Aデルタp]/[V(F,end)H(end)]
式中、
t(end)=濾過のエンドポイント(秒における)(濾過装置における流体レベルがフィルターケーキと同じ高さを有する場合、濾過の開始後の時間)
A=フィルター面積(mにおける)
デルタp=濾過圧力(Paにおける)(フィルターケーキ上の圧力差異)
V(F,end)=t(end)での濾液の体積(mにおける)
H(end)=t(end)でのフィルターケーキ高さ(mにおける)
【0342】
所定フィルターケーキの洗浄抵抗性R(W)を以下の式に従って決定した:
R(W)=[t(end)デルタp]/[V(F,end)H(end)]
式中、
t(end)=洗浄のエンドポイント(秒における)(濾過装置における洗浄剤の流体 レベルがフィルターケーキと同じ高さを有する場合、洗浄の開始後の時間)
A=フィルター面積(mにおける)
デルタp=濾過圧力(Paにおける)(フィルターケーキ上の圧力差異)
V(F,end)=t(end)での濾液の体積(mにおける)
H(end)=t(end)でのフィルターケーキ高さ(mにおける)
【0343】
(参考例10)
XRDを介する結晶化度の決定
本発明によるゼオライト材料の粒子サイズおよび結晶化度をXRD分析によって決定した。Cu−X線供給源およびエネルギー分散点検出器付の標準的Bragg−Brentano回折計を使用して、データを回収した。2°から70°(2シータ)の角度範囲を、0.02°の工程サイズで走査し、一方、可変発散スリットを20mmの一定の照射試料長さに設定した。データを次いで、TOPAS V4ソフトウェアを使用して分析し、ここで、単位格子を含有するPawleyフィットを使用し、以下の出発パラメータで鋭い回折ピークをモデル化した:空間群P6/mmmにおいてa=14.4オングストロームおよびc=25.2オングストローム。これらを精製することでデータをフィットした。非依存性ピークを以下の位置で挿入した。8.4°、22.4°、28.2°および43°。これらを使用することで非晶質含有量を記載した。結晶含有量は、結晶性シグナルの強度からの合計散乱強度を記載する。モデルに含まれるのは、その上、線形バックグラウンド、Lorentz補正および偏光補正、格子パラメータ、空間群および結晶子サイズであった。
【実施例1】
【0344】
微小粉末の調製
参考例1.5から得られたフィルターケーキの混合物347.1kgから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15wt.−%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
−使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
−作動様式: 窒素直接
−立体配置: 除湿器−フィルター−スクラバー
−投与量: 可撓性チューブポンプVF 10(供給元:Verder)
4mmの直径を有するノズル(供給元:Niro)
−フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
【0345】
【表1】
【0346】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0347】
こうして得られたスプレー乾燥材料は、1.4wt.%のZn含有量、1.7wt.%のTi含有量、40wt.%のSi含有量、および0.27wt.%のTOC含有量を有していた。
【0348】
スプレー乾燥生成物を次いで、2時間の間650℃で空気下にて回転炉内で焼成にかけ、焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWWを76.3kg得た。
【0349】
焼成されたスプレー乾燥微小粉末の特徴付け:
こうして得られた焼成されたスプレー乾燥材料は、1.4wt.%のZn含有量、1.7wt.%のTi含有量、42wt.%のSi含有量、および0.14wt.%のC含有量を有していた。
【0350】
焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWWのかさ密度は、90g/l(グラム/リットル)であった。
【0351】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に27.2nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0352】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に95.6nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0353】
微小粉末に含有されているZnTiMWWのミクロ細孔は、窒素吸着によってDIN66134(Horward−Kawazoe方法)に従って決定した場合に1.13nmの平均孔径を有していた。
【0354】
参考例8に従って決定した場合の微小粉末の粒子のDv10値は、5.18マイクロメートルであった。参考例8に従って決定した場合の微小粉末の粒子のDv50値は、24.8マイクロメートルであった。参考例8に従って決定した場合の微小粉末の粒子のDv90値は、93.53マイクロメートルであった。それぞれの結果を図12においてさらに例示する。
【0355】
XRDを介して決定された結晶化の程度は86%+/−10%であり、平均結晶子サイズは38.5nm+/−10%であった。材料のXRDを図2に示す。結晶相は純粋なMWW構造を呈することが見出された。他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは検出することができなかった。
【0356】
焼成されたスプレー乾燥材料の代表的試料のSEM写真を図5〜8に示す。図5および6は特に、本発明の微小粉末の粒子サイズおよびそれぞれのサイズ分布の概要を与えている。図7は、本発明微小粉末の粒子が高多孔質であるのに対して、図8は明らかに、本発明による典型的微小粉末粒子のプレートレットサブ構造を示すという事実をうまく例示しており、ここで、プレートレットは、MWW構造を有するゼオライト材料に典型的である。
【0357】
他の特徴:
窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定されたラングミュア表面は586m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定された多点BET比表面積は423m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された合計侵入体積は4.3ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は80.7m/gであった。
【実施例2】
【0358】
成形物の調製
実施例1において得られた焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW材料から出発して、成形物を調製し、乾燥させ、焼成した。そのために、22つのバッチを調製し、各々は、以下の通り、実施例1において得られた焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW材料3.4kg、0.220kgのWalocel(商標)(Walocel MW 15000 GB、Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、Germany)、2.125kgのLudox(登録商標)AS−40、および6.6lの脱イオン水から出発した:
3.4kgのZnTiMWWおよび0.220kgのWalocelを、エッジミル内で5分間の混錬にかけた。次いで、さらなる混錬中に、2.125kgのLudoxを連続的に添加した。さらに10分後、脱イオン水を6l、f添加を開始した。さらに30分後、脱イオン水をさらに0.6l添加した。50分の合計時間後、混錬塊は押出し可能になった。その後、混錬塊を65〜80バール下での押出しにかけ、ここで、押出機を水で押出し方法中に冷却した。1バッチ当たり、押出し時間は15分から20分の範囲であった。押出し中の1バッチ当たりの電力消費は2.4Aであった。ダイヘッドを用いて、1.7mmの直径を有する円筒状ストランドを生成するのを可能にした。ダイヘッド流出口で、ストランドを長さの切断にかけなかった。
【0359】
こうして得られたストランドを、16時間の間120℃で乾燥チャンバ内にて空気下で乾燥させた。
【0360】
合計で(22つのバッチの和)、1.7mmの直径を有する97.1kgの白色ストランドが得られた。
【0361】
乾燥ストランド65.5kgを、回転炉内にて550℃で1時間の間空気下での焼成にかけて、62.2kgの焼成ストランドを得た。その後、ストランドを篩い分けし(網目サイズ1.5mm)、篩い分けした後の収量は57.7kgであった。
実施例2に従って得られたストランドの特徴付け:
こうして得られた成形物は、322g/l(1リットル当たりのグラム)のかさ密度を呈し、1.2wt.%のZn含有量、1.4wt.%のTi含有量、43wt.%のSi含有量、および0.13wt.%のC含有量を有していた。ナトリウム(Na)含有量は0.07wt.%であった。
【0362】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に20.1nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0363】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に46.8nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0364】
XRDを介して決定された結晶化の程度は74+/−%であり、平均結晶子サイズは38.0nm+/−10%であった。材料のXRDを図3に示す。
【0365】
参考例2に記載されている通りの破砕強度試験機Z2.5/TS1Sを使用する方法に従って決定した場合の成形物の破砕強度は、5.3N(標準偏差:1.31N)であった。10つの試料を試験した時に見出された最小値は4.13Nであり、最大値は8.13Nであった。
【0366】
29Si MAS NMRに従って決定した場合の成形物のSi原子の合計数に関するシラノール基の濃度は、5.2wt.%であった。シラノール濃度の具体的な決定について、参考例3が参照とされる。29Si MAS NMRを図10に示す。曲線を適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後、6つのピークが明らかに観察された。
【0367】
参考例4に従って決定される場合のパラメータQは、1.65であることが見出された。
【0368】
成形物の参考例6に従って決定される場合の吸着水の合計量は、7.5質量%であった。図13に、等温線を示す。
【0369】
他の特徴:
窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定されたラングミュア表面は499m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定された多点BET比表面積は361m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された合計侵入体積(説明してください)は1.2ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は92.2m/gであった。
【0370】
成形物の結晶相は、本質的に純粋なMWW構造を呈することが見出された。特に、他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは、XRDを介して検出することができなかった。
【実施例3】
【0371】
成形物の後処理
実施例2に従って得られた焼成ストランドから出発して、後処理段階を以下の通りに行った:
590kgの脱イオン水を容器に充填した。次いで、実施例2に従って得られた焼成成形物29.5kgを添加した。容器を閉じ(気密)、得られた混合物を145℃の温度に1.5時間以内で加熱し、この温度にて自生圧力下(約3バール)で8時間の間保持した。次いで、混合物を2時間の間冷却した。
【0372】
水処理ストランドを濾過にかけ、脱イオン水で洗浄した。
【0373】
得られたストランドを、乾燥チャンバ内で空気下にて1時間以内で120℃の温度に加熱し、この温度で16時間の間保持した。引き続いて、乾燥材料を空気下で450℃の温度に5.5時間以内で加熱し、この温度で2時間の間保持した。その後、ストランドを篩い分けし(網目サイズ1.5mm)、篩い分けした後の収量は27.5kgであった。
実施例3に従って得られたストランドの特徴付け:
こうして得られた水処理成形物は、340g/l(1リットル当たりのグラム)のかさ密度を呈し、1.3wt.%のZn含有量、1.4wt.%のTi含有量、43wt.%のSi含有量、および0.10wt.%のC含有量を有していた。
【0374】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に20.2nmの平均孔径(4V/A)を有していた。したがって、本発明水処理は、実際には、成形物のメソ細孔特徴に影響を及ぼさない(20.1nmのそれぞれの平均孔径を有する、実施例2に従った成形物と比較)。
【0375】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に45.9nmの平均孔径(4V/A)を有していた。したがって、本発明水処理は、実際には、成形物のマクロ細孔特徴に影響を及ぼさない(46.8nmのそれぞれの平均孔径を有する、実施例2に従った成形物と比較)。
【0376】
XRDを介して決定された結晶化の程度は64%+/−10%であり、平均結晶子サイズは39.4nm+/−10%であった。材料のXRDを図4に示す。したがって、平均結晶子サイズに対して有意な影響を有さない一方で(実施例2:38.0nm+/−10%と比較)、本発明水処理は、74%の値(実施例2と比較)から64%の値に減少される結晶化の程度に対してかなりの影響を有していた。
【0377】
参考例2に記載されている通りの破砕強度試験機Z2.5/TS1Sを使用する方法に従って決定される場合の成形物の破砕強度は、12.71N(標準偏差:2.06)であった。10つの試料を試験した時に見出された最小値は9.87Nであり、最大値は15.59Nであった。これらの値は明らかに、成形物を含有するZnTiMWW微小粉末の本発明水処理が、成形物の機械的抵抗性における有意な増加に至ることを示している(たった5.3Nの破砕強度を有する実施例2に従った非水処理成形物と比較)。工業的スケール方法において、こうした成形物が連続的方法において触媒として好ましく用いられるという事実により、およびこれらの方法における成形物の好ましい使用が、連続的な機械的応力に曝露される固定床触媒の形態であるという事実により、本発明水処理は、成形物の機械的適合性を有意に改善することを可能にする。
【0378】
29Si MAS NMRに従って決定したところこの成形物のSi原子の合計数に関するシラノール基の濃度は、2.5wt.%であった。シラノール濃度の具体的な決定について、参考例3が参照とされる。29Si MAS NMRを図11に示す。曲線を適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後、6つのピークが明らかに観察された。
【0379】
参考例4に従って決定された場合のパラメータQは、1.03であることが見出された。明らかに、Qは本発明水処理によって1.65から1.03にかなり減少された。
【0380】
成形物の参考例6に従って決定した場合の吸着水の合計量は、6.2質量%であった。そのため、本発明水処理は成形物の疎水性を増加させることが、明らかに示されている。図13で、等温線を示す。
【0381】
シラノール基の第2型に帰する3678+/−20cm−1の領域における赤外帯域に対する、シラノール基の第1型に帰する3746+/−20cm−1の領域における赤外帯域の強度比は、1.2より小さかった。実施例2に従った非水処理成形物のそれぞれの強度比と比較して、強度比は減少された。実施例2に従った成形物のIRスペクトルを図14に示し、実施例3に従った成形物のIRスペクトルを図15に示す。
【0382】
他の特徴
窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定されたラングミュア表面は418.1m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定された多点BET比表面積は299.8m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定される合計侵入体積は1.1322ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は92.703m/gであった。
【0383】
成形物の結晶相は純粋なMWW構造を呈することが見出された。他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは、XRDを介して検出することができなかった。
【実施例4】
【0384】
プロペンのエポキシ化のための触媒としての成形物の試験
4.1本発明による微小粉末の触媒試験
実施例1から得られた通りの微小粉末を、参考例7に記載されている通りのPO試験にかけた。以下の値が得られた:
PO試験:12.4wt.%PO
明らかに、PO試験は、本発明による微小粉末が、酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための良好な触媒として働くことができることを示している。
【0385】
4.2実施例2の成形物との連続的なエポキシ化反応
a)実験の設定
1,200mmの長さおよび7mmの内径を有する垂直に配置された鋼チューブ反応器内で、連続的エポキシ化反応を実施した。チューブには、温度を制御するためにサーモスタットされている熱伝達媒体(水または水/グリコール混合物のいずれか)を循環させた冷却用ジャケットが備えられていた。熱伝達媒体の流量を、流入口および流出口の温度間の差異が1℃未満であり、媒体が反応媒体に関して並流で循環されるようなやり方で選択した。熱伝達媒体の流入口温度を、サーモスタットのための制御温度として使用した。反応器にガラスビーズを10mmの高さまで投入し、次いで実施例2に従って得られた通りの成形物(非水処理成形物)15gを投入し、反応器の最上部の任意の余地にガラスビーズを充填し、こうして固定床反応器が得られた。出発材料として、アセトニトリル(puriss.)、過酸化水素(水溶液、過酸化水素40質量%の濃度、Solvayからの市販生成物)、およびプロペン(ポリマーグレード、99.3質量%のプロペン、0.7質量%のプロパン)を、3つの別々の計量ポンプを使用して以下の流量で、混合点に連続的に送給した:
過酸化水素: 16.7g/h
アセトニトリル: 68g/h
プロペン: 10.8g/h
【0386】
混合ストリームを反応器の底部に送給した。反応器の最上で、20バールに設定された圧力制御バルブによって圧力を制御した。ガスが生成混合物中に存在しないように圧力を選択した。比較可能な結果を提供するために、過酸化水素変換に依存して冷却水の温度を調整することによって達成される(90+/−3)%の本質的に一定の過酸化水素変換で実験を実施したが、この変換は順じて、反応器に導入された過酸化水素の量に対する反応器産出物に含有される過酸化水素の量を測定する比色測定(チタニル−サルフェート方法)によって算出される。
【0387】
以下で称され、下文において考察されている通りのそれぞれの図で示されている温度Tは、冷却用ジャケット流入口での熱伝達媒体の温度と理解されるべきである。
【0388】
反応器排出を分析するために、排出を拡大し、気相を液相から分離させた。気相および液相の両方の量を計量し、プロピレンオキシド、プロペン、ヒドロペルオキシプロパノール(ROOH、2つの1−ヒドロペルオキシ−2−プロパノールおよび2−ヒドロペルオキシ−1−プロパノールの混合物)、酸素、およびプロピレングリコール(図には略して「ジオール」と名付ける)のそれらのそれぞれの含有量に関して、較正ガスクロマトグラフィーを使用して、両方を分析した。トリフェニルホスフィン(TPP)でROOHを還元すること、および還元の前後にプロピレングリコールの含有量を決定することによって、ROOH含有量を決定した。比色硫酸チタニル方法を使用して、過酸化水素含有量を決定した。
【0389】
b)結果
下記で考察されている結果を図16および17に示す。
【0390】
約100時間のストリームにかかる時間の後、反応系は本質的に安定であり、過酸化水素の変換は約(90+/−2)%の範囲であった。変換をこの範囲に維持するために、100時間後に約48℃であった熱伝達媒体の温度を、330時間後に約57℃に、即ち約9℃の比較的狭い温度ウィンドウで増加させた。100時間のストリームにかかる時間から330時間のストリームにかかる時間まで、プロペンに対するプロピレンオキシドの選択性は、約98%という優れたおよび本質的に一定の値を呈していた。過酸化水素に対するプロピレンオキシドの選択性も、約95%という非常に良好な値を呈していた。実施例2の成形物の使用は、さらに、約1%から2%の範囲における酸素選択性、約3%から3.6%のROOH選択性、および多くとも約0.6%のジオール選択性を可能にした。酸素、ROOHおよびジオールの選択性は、以下の化学量論に基づいて、過酸化水素に対する選択性と理解されるべきである:
プロペン+H → プロピレングリコール(ジオール)
プロペン+2H → ヒドロペルオキシプロパノール(ROOH)+H
2H → O+2H
【0391】
要約すると、連続的エポキシ化反応、即ち工業的スケール方法に殊に適当であるとともにしたがって市販の目的で興味深い様式で実施されたエポキシ化反応は、実施例2から得られた通りの本発明の成形物が、約(90+/−2)%の一定に高い過酸化水素変換で、プロピレンオキシドに関して、特にプロペンに基づくプロピレンオキシドに関して、優れた選択性を可能にする理想的な触媒であることを、説得力をもって示した。そのため、実施例2に従った成形物は、出発材料の過酸化水素およびプロペンの優れた利用を可能にし、プロペンの利用は、過酸化水素の利用よりずっと良好である。
【0392】
4.3実施例3の水処理成形物を用いる連続的エポキシ化反応
a)実験の設定
実施例3の水処理成形物を用いる連続的エポキシ化反応のために使用された実験の設定は、上文の4.2 a)に記載されている通りの設定と同一であった。
【0393】
b)100時間から330時間の間のストリームにかかる時間についての結果−4.2との比較
下記で考察されている結果を図18および19に示す。
【0394】
約100時間の走行時間後、反応系は安定であり、過酸化水素の変換は、約(92+/−2)%の範囲、およびしたがって、上記の4.2における値よりわずかに高い値であった。
【0395】
この変換を維持するために、100時間後に約45℃であった熱伝達媒体の温度は、ストリームにかかる時間が330時間に達するまで増加させる必要がなかった。そのため、実施例2に従った成形物と比較して、水処理成形物は、330時間の同時間後、非水処理成形物を使用する場合に達成される変換よりわずかでも高い過酸化水素変換を維持するために温度増加を必要としなかった。そのため、触媒の非活性化の速度、デルタT/デルタt(℃/hにおける)は、本質的に0℃/hであり、一方、実施例4.2において、それぞれの非活性化速度は9℃/230h=0.039℃/hである。何の疑いもなく、水処理触媒は、本発明の高有利な実施形態を表す。
【0396】
追加として、最初の330時間の間、プロペンに関するプロピレンオキシドの選択性および過酸化水素に関するプロピレンオキシドの選択性の両方は非水処理成形物で達成されるそれぞれの値より高いが、記述されている通り、水処理成形物の変換およびしたがって活性の方が高い。特に、プロペンに関するプロピレンオキシドの選択性は、約99%の本質的に一定の値であり(非水処理成形物:約98%)、過酸化水素に関するプロピレンオキシドの選択性は、約98%の本質的に一定の値である(非水処理成形物:約95%)。
【0397】
またさらに、実施例3の成形物の使用、およびしたがって特定の発明水処理も、副生物のROOH、ジオールおよび酸素に関する選択性を有意に改善すること、即ち減少することを可能にした。具体的に、酸素選択性は約0.5%から1%未満の範囲(非水処理成形物:約1〜2%)、ROOH選択性は約0.5%から1%の範囲(非水処理成形物:約3%から3.5%)、およびジオール選択性は0.5%をはるかに下回る範囲(非水処理成形物:多くとも約0.5%)であることが見出された。全ての選択性は、過酸化水素に対する選択性と理解されるべきである。
【0398】
以下の表において、最大330時間までのストリームにかかる時間についての結果を要約する。この表は、本発明による成形物に適用されるならば特定の発明水処理によって達成される有意な改善を直接示している:
【0399】
【表2】
【0400】
c)330時間超の走行時間
最も驚くべきことに、本発明による水処理成形物のこれらの極めて有利な特徴は、より長い走行時間、特に最大720時間までの走行時間で本質的に維持されることがさらに見出された。
【0401】
第1に、(92+/−2)%の変換を維持するために、冷却用媒体の温度を約2℃だけ増加させたが、これは、プロペンの液相エポキシ化において使用されるエポキシ化触媒の点から非常に狭い温度ウィンドウである。特に、720時間後、非活性化速度デルタT/デルタt=2℃/720h=0.003℃/hであること、およびしたがって、たった230時間後に非水処理触媒の非活性化速度より1桁超低いこと(0.039℃/h)が留意される。
【0402】
第2に、プロペンに関するプロピレンオキシドの選択性は、720時間以内では本質的に一定のままであり、過酸化水素に関するプロピレンオキシドの選択性は、ストリームの最初の330時間に続く390時間以内にわずかだけ減少した。
【0403】
第3に、酸素選択性は、720時間後に1.5%をまだ下回る値に増加し(非水処理成形物は330時間後すでに約2の酸素変換を呈していた)、一方、ROOH選択性はわずかでも減少し、ジオール選択性はわずかだけ増加し、720時間後、0.5%をまだ下回っていた。
【0404】
言い換えると:水処理成形物が非水処理成形物より有意に良好な触媒であることを示す最初の330時間以内での極めて有利な特徴に加えて、水処理成形物は追加として、330時間超の走行時間の間に触媒の非活性化が本質的になくて、長時間安定性を示す。
【0405】
4.4要約
非常に良好な触媒特性をすでに呈していた、実施例2に従った非水処理成形物と比較して、実施例3に従った水処理成形物、即ち特定の発明水処理にかけられた実施例2の成形物は、特に、溶媒としてのアセトニトリル中における、酸化剤として過酸化水素を使用する、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のためのほとんど完璧な触媒であることが見出された。したがって、特定の発明水処理は、すでに良好な触媒の触媒特性を有意に改善することを可能にすることが見出された。特に、水処理成形物の特性、例えば特定の破砕強度、QおよびQ構造、吸水/脱着によって特徴付けられる疎水性、同様に上記で考察されている通りのシラノール濃度およびFT−IRピークの強度比などは、本発明水処理成形物の並はずれた触媒特性を実際に定義し、これらのパラメータは特定の発明水処理によって全て影響を及ぼされることが見出された。
【実施例5】
【0406】
ZnTiMWWスプレー粉末を含有する成形物の調製
実施例5.1:BMWWスプレー粉末の調製
a)熱水合成
480kgの脱イオン水を容器内に提供した。70rpmでの撹拌下で(1分当たりのラウンド)、166kgのホウ酸を水中に懸濁した。懸濁液をさらに3時間の間撹拌した。引き続いて、278kgのピペリジンを添加し、混合物をさらに1時間撹拌した。結果として得られた溶液に、400kgのLudox(登録商標)AS−40を添加し、結果として得られた混合物を70rpmでさらに1時間撹拌した。
【0407】
この合成混合物中に、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源Ludox(登録商標)AS−40に対する元素ホウ素として算出されるホウ素供給源ホウ酸は、1:1のモル比で存在し、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源Ludox(登録商標)AS−40に対する水は、10:1のモル比で存在し、元素ケイ素として算出されるケイ素供給源Ludox(登録商標)AS−40に対するテンプレート化合物ピペリジンは1.2:1のモル比で存在していた。
【0408】
最終的に得られた混合物を結晶化容器に移し、175℃に5時間以内で自生圧力下および撹拌下で(50rpm)加熱した。175℃の温度を本質的に一定に60時間の間保持し、これら60時間の間に、混合物を50rpmで撹拌した。引き続いて、混合物を50〜60℃の温度に5時間以内で冷却した。
【0409】
結晶化BMWW前駆体を含有する母液は、pH電極を用いる測定を介して決定した場合に11.3のpHを有していた。
【0410】
b)pH調整
a)において得られた母液に、10質量%のHNO水溶液1400kgを、50r.p.m.での撹拌下で添加した(1分当たりのラウンド)。添加は40℃の懸濁液の温度で実施した。
【0411】
10質量%のHNO水溶液の添加後、結果として得られた懸濁液を5時間の間50r.p.m.での撹拌下にて40℃の懸濁液の温度でさらに撹拌した。
【0412】
pH電極を用いる測定を介して決定した場合に、こうしてpHが調整された母液のpHは7であった。
【0413】
pH調整母液に含有される粒子のDv10値は、上文の参考例8に記載されている通りに決定されたところ、3.0マイクロメートルであり、それぞれのDv50値は4.9マイクロメートルであり、それぞれのDv90値は8.1マイクロメートルであった。
【0414】
c)分離
b)において得られたpH調整母液から、異なる型の濾過装置を使用する濾過によって、B−MWW前駆体を分離させた(フィルター材料Sefar Tetex(登録商標)Mono 24−1100−SK 012を用いる吸引フィルター、遠心フィルター、キャンドルフィルター)。全ての濾過装置に関し、b)において得られたpH調整母液の濾過抵抗性は、上文の参考例9に記載されている通りに決定した場合に(30+/−10)mPas/mであった。
【0415】
フィルターケーキを次いで、洗浄水が200マイクロジーメンス/cm未満の導電率を有するまで、脱イオン水で洗浄した。
【0416】
b)において得られたpH調整母液の洗浄抵抗性は、上文の参考例9に記載されている通りに決定した場合に(30+/−10)mPas/mであった。
【0417】
d)スプレー乾燥および焼成
c)に従って得られた洗浄フィルターケーキから、15質量%の固体含有量を有する水性懸濁液を調製した。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 270〜340℃
−温度スプレー塔(外): 150〜167℃
−温度フィルター(内): 140〜160℃
−温度スクラバー(内): 50〜60℃
−温度スクラバー(外): 34〜36℃
圧力差異フィルター: 8.3〜10.3mbar
ノズル:
−2構成要素ノズル 供給元Gerig;サイズ0
−ノズルガス温度: 室温
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 1900kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
可撓性チューブポンプを介する投与量:SP VF 15(供給元:Verder)
【0418】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0419】
スプレー乾燥材料を次いで、0.8kgから1.0kg/hの範囲におけるスループットを用いる回転式焼成器内にて650℃で焼成にかけた。
【0420】
得られたゼオライト材料BMWWは、参考例10に従ってXRDによって決定した場合に1.3質量%のホウ素含有量、45質量%のケイ素含有量、<0.1質量%の合計有機炭素(TOC)含有量、および82%の結晶化度を有していた。窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定されたBET比表面積は463m/gであり、Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された細孔体積は5.2mL/gであり、粒子サイズ分布Dv10は5.7マイクロメートルであり、Dv50は10.56マイクロメートルであり、Dv90は18.8マイクロメートルであった。
実施例5.2:脱ホウ素化BMWWを含有するスプレー粉末の調製
【0421】
a)脱ホウ素化
1485kgの水を、還流凝縮器が備えられている容器に入れた。40r.p.m.での撹拌下で、実施例5.1に従って得られたスプレー乾燥材料99kgを水中に懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。70r.p.m.での撹拌下で、容器の含有物を100℃に10時間以内で加熱し、この温度で10時間の間保持した。次いで、容器の含有物を50℃未満の温度に冷却した。
【0422】
MWWフレームワーク構造を有する、結果として得られた脱ホウ素化ゼオライト材料を、2.5バールの窒素圧力下での濾過によって懸濁液から分離させ、脱イオン水で4回洗浄した。濾過後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で6時間の間乾燥させた。
【0423】
MWWフレームワーク構造を有する、得られた脱ホウ素化ゼオライト材料は、IR(赤外)スケールを使用して160℃で決定した場合に80%の残留水分含有量を有していた。
【0424】
b)スプレー乾燥および焼成
上記のセクションc)に従って得られた、79%の残留水分含有量を有する窒素乾燥フィルターケーキから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15質量%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 290〜310℃
−温度スプレー塔(外): 140〜160℃
−温度フィルター(内): 140〜160℃
−温度スクラバー(内): 40〜60℃
−温度スクラバー(外): 20〜40℃
圧力差異フィルター: 6.0〜10.0mbar
ノズル:
−2構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 1900kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
可撓性チューブポンプを介する投与量:VF 15(供給元:Verder)
【0425】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。
【0426】
スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0427】
特徴付け
MWWフレームワーク構造を有する、得られたスプレー乾燥ゼオライト材料は、参考例10に従ってXRDによって決定された0.08質量%のホウ素含有量、45質量%のケイ素含有量、<0.1質量%の合計有機炭素(TOC)含有量、および79%の結晶化度を有していた。窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定されたBET比表面積は451m/gであり、Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された細孔体積は4.99mL/gであった。粒子サイズ分布は、5.6マイクロメートルのDv10、11.1マイクロメートルのDv50、および24.1マイクロメートルのDv90を特徴とした。
【0428】
実施例5.3:TiMWWスプレー粉末の調製
a)熱水合成
例5.2に従って得られた通りのMWWフレームワーク構造を有するゼオライト材料に基づいて、MWWフレームワーク構造を有するチタンゼオライト材料を調製した。
【0429】
出発材料: 脱イオン水: 263kg
ピペリジン: 97kg
テトラブチルオルトチタネート: 13.8kg
5.2に従って得られたゼオライト材料: 64kg
【0430】
MWWフレームワーク構造を有するゼオライト材料64kgを、第1容器A内に移した。
【0431】
第2容器B内に、150kgの脱イオン水を移し、80r.p.m.で撹拌し、97kgのピペリジンを撹拌下で添加し、添加中に、混合物の温度を約15℃増加させた。引き続いて、12.8kgのテトラブチルオルトチタネートおよび23kgの脱イオン水を添加した。撹拌を次いで60分間続けた。
【0432】
容器Bの混合物を次いで容器A内に移し、容器A内での撹拌を開始した(70r.p.m.)。90.00kgの脱イオン水を容器Aに充填し、容器Bに移した。
【0433】
70r.p.m.での前記撹拌後、周波数を50r.p.m.に減少させ、容器B内の混合物を170℃の温度に5時間以内で加熱した。50r.p.m.の一定撹拌速度で、容器B内の混合物の温度を、170℃の本質的に一定の温度で48時間の間、自生圧力下で保持した。MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料のこの結晶化中に、最大10バールの圧力増加が観察された。引き続いて、MWWフレームワーク構造を有するチタン含有ゼオライト材料を含有する得られた懸濁液を、5時間以内で冷却した。
【0434】
b)スプレー乾燥
得られた懸濁液を水で希釈することで、85質量%の水の濃度を有し、スプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥に直接かけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 290〜310℃
−温度スプレー塔(外): 150〜170℃
−温度フィルター(内): 150〜170℃
−温度スクラバー(内): 30〜50℃
−温度スクラバー(外): 30〜50℃
圧力差異フィルター: 6.0〜10.0mbar
ノズル:
−2構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガス圧: 1.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 1800kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
可撓性チューブポンプを介する投与量:SP VF 15(供給元:Verder)
【0435】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0436】
特徴付け
MWWフレームワーク構造を有するスプレー乾燥チタン含有ゼオライト材料は、参考例10に従ってXRDによって決定された36質量%のケイ素含有量、2.4質量%のチタン含有量、11質量%の合計有機炭素(TOC)含有量、2.3質量%の窒素含有量、および79%の結晶化度を有していた。粒子サイズ分布Dv10は5.3マイクロメートルであり、Dv50は11.8マイクロメートルであり、Dv90は44.0マイクロメートルであった。
【0437】
c)酸処理
b)において得られた通りのMWWフレームワーク構造を有するスプレー乾燥チタン含有ゼオライト材料を、以下に記載されている通りの酸処理にかけた
出発材料: 脱イオン水: 1233kg
硝酸(10%水溶液) 287kg
b)に従って得られたスプレー乾燥Ti−MWW: 76kg
1233kgの脱イオン水を容器に充填した。287kgの硝酸を添加し、MWWフレームワーク構造を有するスプレー乾燥チタン含有ゼオライト材料76kgを50r.p.m.での撹拌下で添加した。結果として得られた混合物をさらに15分撹拌した。引き続いて、撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0438】
容器内の混合物を100℃に加熱し、この温度でおよび自生圧力下で1時間の間、撹拌下で保持した。こうして得られた混合物を次いで、1時間以内で50℃未満の温度に冷却した。
【0439】
d)分離
冷却混合物を濾過にかけ、フィルターケーキを脱イオン水にて2.5バールの窒素圧力下で6回洗浄した。
【0440】
e)スプレー乾燥
v)から得られたフィルターケーキから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は85質量%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
乾燥用ガス、ノズルガス: 技術的窒素
温度乾燥用ガス:
−温度スプレー塔(内): 200〜330℃
−温度スプレー塔(外): 140〜165℃
−温度フィルター(内): 140〜160℃
−温度スクラバー(内): 50〜60℃
−温度スクラバー(外): 20〜40℃
圧力差異フィルター: 7.0〜11.0mbar
ノズル:
−2構成要素ノズル: 供給元Niro、直径4mm
−ノズルガススループット: 23kg/h
−ノズルガス圧: 2.5バール
作動様式: 窒素直接
使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
立体配置: スプレー塔−フィルター−スクラバー
ガス流: 1900kg/h
フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
可撓性チューブポンプを介する投与量:S VF 15(供給元:Verder)
【0441】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0442】
特徴付け
MWWフレームワーク構造材料を有する、スプレー乾燥された酸処理チタン含有ゼオライト材料は、40質量%のケイ素含有量、1.6質量%のチタン含有量、および2.0質量%の合計有機炭素(TOC)含有量を有していた。
【0443】
f)焼成
スプレー乾燥材料を次いで、0.8〜1.0kg/hのスループットを用いる回転式焼成器内にて650℃で焼成にかけた。
【0444】
特徴付け
焼成材料は、44質量%のケイ素含有量、1.8質量%のチタン含有量、および0.1質量%未満の合計有機炭素(TOC)含有量を有していた。フレームワーク構造の格子パラメータcは、XRDを介して決定される場合に25.2±0.2オングストロームの値を有する。UV/VISスペクトルは、200nmから215nmの範囲における最大を有する帯域を示し、ここで、UV/VISスペクトルは、250nmを超える範囲における最大を有する帯域を示さなかった。窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定した場合のラングミュア表面は634m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定された多点BET比表面積は458m/gであった。XRDを介して決定された結晶化の程度は、参考例10に従って84%であり、平均結晶子サイズは30.5nmであった。粒子サイズ分布Dv10は4.5マイクロメートルであり、Dv50は8.5マイクロメートルであり、およびDv90は14.6マイクロメートルであった。
【0445】
実施例5.4:ZnTiMWWスプレー粉末の調製
実施例5.3において得られた、酸処理、スプレー乾燥および焼成された材料(TiMWW)を次いで、含浸段階にかけた。
【0446】
出発材料: 脱イオン水: 1566.0kg
酢酸亜鉛二水和物: 9.58kg
焼成TiMWW: 52.2kg
【0447】
含浸を以下の通りの2つのバッチa)からb)で実施した:
a)還流凝縮器が備えられている容器内において、981kgの脱イオン水および6.0kgの酢酸亜鉛二水和物の溶液30分以内で調製した。撹拌下で(40r.p.m.)、焼成TiMWW材料32.7kgを懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0448】
b)還流凝縮器が備えられている容器内において、585kgの脱イオン水および3.58kgの酢酸亜鉛二水和物の溶液30分以内で調製した。撹拌下で(40r.p.m.)、焼成TiMWW材料19.5kgを懸濁した。引き続いて、容器を閉じ、還流凝縮器を作動させた。撹拌速度70r.p.m.に増加させた。
【0449】
全てのバッチa)およびb)において、容器内の混合物を100℃に1時間以内で加熱し、還流下で2時間の間70r.p.m.の撹拌速度で保持した。次いで、混合物を2時間以内で50℃未満の温度に冷却した。各バッチa)およびb)で、冷却懸濁液を濾過にかけ、母液を廃水排出に移した。フィルターケーキを脱イオン水にて2.5バールの窒素圧力下で5回洗浄した。最後の洗浄工程後、フィルターケーキを窒素ストリーム中で10時間の間乾燥させた。
【0450】
合計で窒素乾燥フィルターケーキ297kgが得られた。
【0451】
このように乾燥させたZn含浸TiMWW材料(ZnTiMWW)は、42質量%のSi含有量、1.8質量%のTi含有量、1.3質量%のZn含有量を有していた。
【0452】
上記で得られたフィルターケーキの混合物297kgから、水性懸濁液を脱イオン水で調製し、懸濁液は15wt.−%の固形分を有していた。この懸濁液をスプレー塔内で以下のスプレー乾燥条件を用いてスプレー乾燥にかけた:
【0453】
−使用器具: 1つのノズル付きスプレー塔
−作動様式: 窒素直接
−立体配置: 除湿器−フィルター−スクラバー
−投与量: 可撓な−チューブポンプVF 10 (供給元:Verder)
4mmの直径を有するノズル(供給元:Niro)
−フィルター材料: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
【0454】
【表3】
【0455】
スプレー塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直に配置されたシリンダで構成されており、このシリンダ底部で円錐状に狭くなっていた。円錐の長さは600mmであった。シリンダのヘッドに、噴霧手段(2構成要素ノズル)が配置されていた。スプレー乾燥材料をスプレー塔のフィルター下流において乾燥用ガスから分離させ、乾燥用ガスを次いでスクラバーに通過させた。ノズルの内部開口に懸濁液を通過させ、開口を取り囲む環形状化スリットにノズルガス通過させた。
【0456】
こうして得られたスプレー乾燥材料は、1.4質量%のZn含有量、1.7質量%のTi含有量、41質量%のSi含有量、および<0.5質量%のTOC含有量を有していた。
【0457】
スプレー乾燥生成物を次いで、2時間の間650℃で空気下にて回転炉内で焼成にかけ、焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW43.8kgを得た。
【0458】
焼成されたスプレー乾燥微小粉末の特徴付け:
こうして得られた、焼成されたスプレー乾燥材料は、1.3質量%のZn含有量、1.8質量%のTi含有量、42.5質量%のSi含有量、および<0.1質量%のC含有量を有していた。
【0459】
焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWWのかさ密度は、90g/l(グラム/リットル)であった。
【0460】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に27.2nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0461】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に95.6nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0462】
微小粉末に含有されているZnTiMWWのミクロ細孔は、DIN66134に従って窒素吸着によって決定した場合に1.06nmの平均孔径を有していた(Horward−Kawazoe方法)。
【0463】
参考例8に従って決定される場合の微小粉末の粒子のDv10値は、4.10マイクロメートルであった。参考例8に従って決定される場合の微小粉末の粒子のDv50値は、8.19マイクロメートルであった。参考例8に従って決定した場合の微小粉末の粒子のDv90値は、14.04マイクロメートルであった。
【0464】
参考例10に従ってXRDを介して決定された結晶化の程度は77%+/−10%であり、平均結晶子サイズは35.0nm+/−10%であった。結晶相は、純粋なMWW構造を呈することが見出された。他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは検出できなかった。
【0465】
焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW微小粉末のXRDスペクトルを図20に示す。
【0466】
他の特徴:
窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定されたラングミュア表面は610m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66134に従って決定された多点BET比表面積は440m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された合計侵入体積は5.1ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は88.6m/gであった。
【0467】
実施例5.5:ZnTiMWWスプレー粉末を含有する成形物の調製
上記で得られた、焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW材料から出発し、成形物を調製し、乾燥させ、焼成した。そのため、12バッチを調製し、各々は、実施例5.4に従って得られた焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW材料3.5kg、0.226kgのWalocel(商標)(Walocel MW 15000 GB、Wolff Cellulosics GmbH&Co. KG、Germany)、2.188kgのLudox(登録商標)AS−40および6.6lの脱イオン水から、以下の通りに出発した:
3.5kgのZnTiMWWおよび0.226kgのWalocelをエッジミル内で5分間混錬にかけた。次いで、さらなる混錬中に、2.188kgのLudoxを連続的に添加した。さらに10分後、脱イオン水6lの添加を開始した。さらに30分後、脱イオン水をさらに0.6l添加した。50分の合計時間の後、混錬塊は押出し可能になっていた。その後、混錬塊を65〜80バール下で押出しにかけ、ここで、押出機を押出し方法中に水で冷却した。1バッチ当たり、押出し時間は15分から20分の範囲であった。押出し中の1バッチ当たりの動力消費は2.4Aであった。ダイヘッドを用いて、1.7mmの直径を有する円筒状ストランドを生成するのを可能にした。ダイヘッド流出口で、ストランドを長さの切断にかけなかった。
【0468】
こうして得られたストランドを、16時間の間120℃で乾燥チャンバ内にて空気下で乾燥させた。
【0469】
合計で(12つのバッチの和)、1.7mmの直径を有する56kgの白色ストランドが得られた。
【0470】
乾燥ストランド56kgを回転炉内にて550℃で1時間の間、空気下で焼成にかけて、52kgの焼成ストランドを得た。その後、ストランドを篩い分けし(網目サイズ1.5mm)、篩い分けした後の収量は、50.0kgであった。
【0471】
ストランドの特徴付け
こうして得られた成形物は322g/l(1リットル当たりのグラム)のかさ密度を呈し、1.1質量%のZn含有量、1.4質量%のTi含有量、43質量%のSi含有量、および<0.1質量%のC含有量を有していた。
【0472】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に20.9nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0473】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に50.0nmの平均孔径(4V/A)を有していた。
【0474】
XRDを介して決定された結晶化の程度は70+/−%であり、平均結晶子サイズは32.5nm+/−10%であった。
【0475】
材料のXRD回折パターンを図25に示す。
【0476】
破砕強度試験機Z2.5/TS1Sを使用する方法に従って決定した場合の成形物の破砕強度は、4.4N(標準偏差:0.5N)であった。10つの試料を試験した時に見出された最小値は3.5Nであり、最大値は5.1Nであった。
【0477】
29Si MAS NMRを図21に示す。曲線を適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後に、6つのピークが明らかに観察された。
【0478】
参考例4に従って決定した場合のQ/Q比は、2.2であることが見出された。
【0479】
成形物の参考例6に従って決定した場合の吸着水の合計量は、6.9質量%であった。それぞれの吸着/脱着等温線を図27に示す。
【0480】
他の特徴:
窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定されたラングミュア表面は518m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定された多点BET比表面積は373m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された場合の合計侵入体積(説明してください)は1.3ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は100.2m/gであった。
【0481】
成形物の結晶相は、純粋なMWW構造を呈することが見出された。他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは、XRDを介して検出することができなかった。
【0482】
実施例5.6:ZnTiMWWスプレー粉末を含有する成形物の水処理
焼成ストランドから出発して、後処理段階を以下の通りに行った:
1000kgの脱イオン水を容器に充填した。次いで、焼成成形物50kgを添加した。容器を閉じ(気密)、得られた混合物を145℃の温度に1.5時間以内で加熱し、この温度にて自生圧力下で(約3バール)8時間の間保持した。次いで、混合物を2時間の間冷却した。
【0483】
水処理ストランドを濾過にかけ、脱イオン水で洗浄した。
【0484】
得られたストランドを乾燥チャンバ内で空気下にて1時間以内で120℃の温度に加熱し、この温度で16時間の間保持した。引き続いて、乾燥材料を空気下で450℃の温度に5.5時間以内で加熱し、この温度で2時間の間保持した。その後、ストランドを篩い分けし(網目サイズ1.5mm)、篩い分けした後の収量は49.1kgであった。
【0485】
後処理に従って得られたストランドの特徴付け:
こうして得られた水処理成形物は、332g/l(1リットル当たりのグラム)のかさ密度を呈し、1.1質量%のZn含有量、1.4質量%のTi含有量、42質量%のSi含有量、および<0.10質量%のC含有量を有していた。
【0486】
微小粉末のメソ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に22.1nmの平均孔径(4V/A)を有していた。したがって、本発明水処理は、実際に、成形物のメソ細孔特徴に対して影響を有さない(20.9nmのそれぞれの平均孔径を有する、実施例5.4に従った成形物と比較)。
【0487】
微小粉末のマクロ細孔は、DIN66133に従ってHgポロシメトリーによって決定した場合に52.0nmの平均孔径(4V/A)を有していた。したがって、本発明水処理は、実際に、成形物のマクロ細孔特徴に対して影響を有しない(50.0nmのそれぞれの平均孔径を有する、実施例5.4に従った成形物と比較)。
【0488】
XRDを介して決定された結晶化の程度は69%+/−10%であり、平均結晶子サイズは30.5nm+/−10%であった。したがって、平均結晶子サイズに対して有意な影響を有しない(実施例5.5:32.0nm+/−10%と比較)一方で、本発明水処理は、70%の値(実施例5.5と比較)から69%の値に減少される結晶化の程度に対して影響を有していた。
【0489】
材料のXRD回折パターンを図26に示す。
【0490】
破砕強度試験機Z2.5/TS1Sを使用する方法に従って決定した場合の成形物の破砕強度は、13.7N(標準偏差:2.5)であった。10つの試料を試験した時に見出された最小値は10.2Nであり、最大値は17.6Nであった。これらの値は、成形物を含有するZnTiMWW微小粉末の本発明水処理が、成形物の機械的抵抗性における有意な増加に至ることを明らかに示している(たった4.4Nの破砕強度を有する、実施例5.5に従った非水処理成形物と比較)。工業的スケール方法において、こうした成形物が、好ましくは、連続的方法において触媒として用いられるという事実により、およびこれらの方法における成形物の好ましい使用が、連続的機械的応力に曝露される固定床触媒の形態であるという事実により、本発明水処理は、成形物の機械的適合性を有意に改善するのを可能にする。
【0491】
29Si MAS NMRを図22に示す。曲線を適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後、6つのピークが明らかに観察された。
【0492】
参考例4に従って決定した場合のQ/Q比は、1.39であることが見出された。明らかに、Q/Qは、本発明水処理によって2.20から1.39にかなり減少された。
【0493】
成形物の、参考例6に従って決定された場合の吸着水の合計量は、6.7質量%であった。そのため、本発明水処理は、成形物の疎水性を増加させることが明らかに示されている。それぞれの吸着/脱着等温線を図27に示す。
【0494】
近接のシラノール基に帰する3688+/−20cm−1の領域における赤外帯域に対する、遊離シラノール基に帰する3708+/−20cm−1の領域における赤外帯域の強度比は、1.35より小さかった。実施例5.4に従った非水処理成形物のそれぞれの強度比(1.9のそれぞれの強度比)と比較して、強度比は減少された。実施例5.5に従った成形物のIRスペクトルを図23に示し、実施例5.6に従った成形物のIRスペクトルを図24に示す。
【0495】
他の特徴
窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定されたラングミュア表面は421m/gであり、窒素吸着を介して77KでDIN66133に従って決定された多点BET比表面積は303m/gであった。Hgポロシメトリーに従い、DIN66133に従って決定された合計侵入体積は1.3ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの合計細孔面積は98.7m/gであった。
【0496】
成形物の結晶相は、純粋なMWW構造を呈することが見出された。他の結晶性チタニア相、例えばアナターゼ、ルチルもしくはブルーカイトなど、または結晶性ケイ酸亜鉛(ZnSiO)、例えばケイ酸亜鉛鉱などは、XRDを介して検出することができなかった。
【0497】
例5.7:プロペンのエポキシ化のための触媒としての成形物の試験
本発明による微小粉末の触媒試験
Zn/Ti−MWW微小粉末をPO試験にかけた。以下の値が得られた:
PO試験14.6%
【0498】
明らかに、PO試験は、本発明による微小粉末が、酸化剤として過酸化水素を使用する、溶媒としてのアセトニトリル中における、プロペンからのプロピレンオキシドの調製のための良好な触媒として働くことができることを示している。
【0499】
Zn/Ti−MWWの押出物
Zn/Ti−MWW微小粉末を含有する非水処理成形物をPO試験にかけた。以下の値が得られた:
PO試験8.1%
Zn/Ti−MWW微小粉末を含有する水処理成形物をPO試験にかけた。以下の値が得られた:
8.4%のPO試験
【0500】
明らかに、PO試験は、本発明による非水処理成形物および水処理成形物の両方が、溶媒としてのアセトニトリル中における、酸化剤として過酸化水素を使用するプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための良好な触媒として働くことを示している。バインダー材料を含有するが、非水処理成形物は、純粋な微小粉末と比較して非常に良好なPO試験値をなお呈する。水処理成形物は、成形物の本発明水処理の有利な衝撃を示す、ずっと良好なPO試験値を呈する。
【図面の簡単な説明】
【0501】
図1】参考例1.4に従って得られた通りの、酸処理、スプレー乾燥および焼成されたTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント))が示されている。
図2】実施例1に従って得られた通りの、焼成されたスプレー乾燥ZnTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント))が示されている。
図3】実施例2に従って得られた通りの、焼成された成形ZnTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント))が示されている。
図4】実施例3に従って得られた通りの、焼成、成形および水処理されたZnTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント))が示されている。
図5】実施例1に従って得られた通りの、スプレー乾燥された焼成ZnTiMWW材料の代表的試料のSEM(走査電子顕微鏡法)写真(5kV(キロボルト)での二次電子(SE)写真)を示す図である。スケールは、200マイクロメートルの長さを有する定規によって右手下隅に表示されている。
図6】実施例1に従って得られた通りの、スプレー乾燥された焼成ZnTiMWW材料の代表的試料のSEM(走査電子顕微鏡法)写真(5kV(キロボルト)での二次電子(SE)写真)を示す図である。スケールは、20マイクロメートルの長さを有する定規によって右手下隅に表示されている。
図7】実施例1に従って得られた通りの、スプレー乾燥されたを焼成ZnTiMWW材料の代表的試料のSEM(走査電子顕微鏡法)写真(5kV(キロボルト)での二次電子(SE)写真)を示す図である。スケールは、5マイクロメートルの長さを有する定規によって右手下隅に表示されている。
図8】実施例1に従って得られた通りの、スプレー乾燥された焼成ZnTiMWW材料の代表的試料のSEM(走査電子顕微鏡法)写真(5kV(キロボルト)での二次電子(SE)写真)を示す図である。スケールは、500ナノメートルの長さを有する定規によって右手下隅に表示されている。
図9】参考例2に参照されるZwick破砕強度試験用機械の指示マニュアルのタイトルページを示す図である。
図10】実施例2から得られた通りの材料の29Si MAS NMRスペクトルを示すグラフである。x軸上には、シフトがppmで示されている。図10は、追加として、適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後に得られた6つのピークを示している。
図11】実施例3から得られた通りの材料の29Si MAS NMRスペクトルを示すグラフである。x軸上には、シフトがppmで示されている。図11は、追加として、適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後に得られた6つのピークを示している。
図12】実施例1に従って得られた通りの微小粉末のDv10値、Dv50値およびDv90値の決定の結果を示すグラフである。決定のために使用されるパラメータについて、参考例8が参照とされる。x軸上には、粒子径/マイクロメートルが示されている。左および右のy軸上には、微小粉末の粒子の体積−%が示されている。左y軸の値は、長方形によって表示される通りの分布を指す一方で、右y軸の値は、積分曲線によって表示される通りの分布を指す。
図13】実施例2および実施例3に従った成形物の水吸着/脱着等温線の測定の結果を示すグラフである。x軸上には、相対湿度(RH)/%が示されている。y軸上には、水取り込み(WU)が質量%で示されている。
図14】例2(非水処理成形物)の試料のFT−IRスペクトルを示すグラフである。x軸は波数(wn)をcm−1で示しており、y軸は吸光度(A)を示している。
図15】実施例3(水処理成形物)の試料のFT−IRスペクトルを示すグラフである。x軸は波数(wn)をcm−1で示しており、y軸は吸光度(A)を示している。
図16】貴重な生成物プロピレンオキシドおよび過酸化水素変換の点から、実施例2に従った連続的エポキシ化反応の結果を示すグラフである。図16における記号は以下の意味を有する: %におけるS(PO)H2O2(左y軸)(記号:白三角形)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間当たりに形成されたプロピレンオキシドのモルと定義された、Hに基づくプロピレンオキシドに対する選択性であり、 %におけるS(PO)C3”(左y軸)(記号:黒三角形)は、1単位時間×100当たりに消費されたプロピレンのモルによって割られた、1単位時間に形成されたプロピレンオキシドのモルとして定義された、プロピレンに基づくプロピレンオキシドに対する選択性であり、 %におけるC(左y軸)(記号:白四角)は、1単位時間×100当たりに反応器に送給されたHのモルによって割られた、1単位時間当たりに消費されたHのモルとして定義された、Hの変換であり、 ℃におけるT(右y軸)(記号:黒円)は、熱伝達媒体の流入口温度であり、 時間におけるt(x軸)は、ストリームにかかる時間である。出発点(t=0)は、H計量ポンプが開始される時間とされる(全ての他のポンプは、より早く開始される)。
図17】副生物酸素、ヒドロペルオキシドおよびジオールの点から、実施例2に従った連続的エポキシ化反応の結果を示すグラフである。図17における記号は、以下の意味を有する: %におけるO2(左y軸)(記号:星)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたOのモル数の2倍として定義された、Hに基づくOに対する選択性であり、 %におけるROOH(左y軸)(記号:黒四角)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたヒドロペルオキシプロパノールのモル数の2倍として定義された、Hに基づくヒドロペルオキシプロパノールへの選択性であり、 %におけるジオール(左軸)(記号:白円)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたプロピレングリコールのモル数として定義された、Hに基づくプロピレングリコールへの選択性であり、 ℃におけるT(右y軸)(記号:黒円)は、熱伝達媒体の流入口温度であり、 時間におけるt(x軸)は、ストリームにかかる時間である。出発点(t=0)は、H計量ポンプが開始される時間とされる(全ての他のポンプは、より早く開始される)。
図18】貴重な生成物プロピレンオキシドおよび過酸化水素変換の点から、実施例3に従った連続的エポキシ化反応の結果を示すグラフである。図18における記号は、以下の意味を有する: %におけるS (PO) H2O2(左y軸)(記号:白三角形)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたプロピレンオキシドのモルとして定義された、Hに基づくプロピレンオキシドに対する選択性であり、 %におけるS(PO)C3”(左y軸)(記号:黒三角形)は、1単位時間×100当たりに消費されたプロピレンのモルによって割られた、1単位時間に形成されたプロピレンオキシドのモルとして定義された、プロピレンに基づくプロピレンオキシドに対する選択性であり、 %におけるC(左y軸)(記号:白四角)は、1単位時間×100当たりに反応器に送給されたHのモルによって割られた、1単位時間当たりに消費されたHのモルとして定義された、Hの変換であり、 ℃におけるT(右y軸)(記号:黒円)は、熱伝達媒体の流入口温度であり、 時間におけるt(x軸)は、ストリームにかかる時間である。出発点(t=0)は、H計量ポンプが開始される時間とされる(全ての他のポンプは、より早く開始される)。
図19】副生物酸素、ヒドロペルオキシドおよびジオールの点から、実施例3に従った連続的エポキシ化反応の結果を示すグラフである。図19における記号は、以下の意味を有する: %におけるO2(左y軸)(記号:星)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたOのモル数の2倍として定義された、Hに基づくOに対する選択性であり、 %におけるROOH(左y軸)(記号:黒四角)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたヒドロペルオキシプロパノールのモル数の2倍として定義された、Hに基づくヒドロペルオキシプロパノールへの選択性であり、 %におけるジオール(左軸)(記号:白円)は、1単位時間×100当たりに消費されたHのモルによって割られた、1単位時間に形成されたプロピレングリコールのモル数として定義された、Hに基づくプロピレングリコールへの選択性であり、 ℃におけるT(右y軸)(記号:黒円)は、熱伝達媒体の流入口温度であり、 時間におけるt(x軸)は、ストリームにかかる時間である。出発点(t=0)は、H計量ポンプが開始される時間とされる(全ての他のポンプは、より早く開始される)。
図20】実施例5.4に従って得られた通りの、酸処理、スプレー乾燥および焼成されたZnTiMWW微小粉末のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント))が示されている。
図21】例5.5から得られた通りの材料の29Si MAS NMRスペクトルを示すグラフである。x軸上には、シフトがppmで示されている。図21は、追加として、適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後に得られた6つのピークを示している。
図22】実施例5.6から得られた通りの材料の29Si MAS NMRスペクトルを示すグラフである。x軸上には、シフトがppmで示されている。図22は、追加として、適正なGaussian−Lorentzian線形状によってデコンボリューションした後に得られた6つのピークを示している。
図23】実施例5.5(非水処理成形物)の試料のFT−IRスペクトルを示すグラフである。x軸は波数(wn)をcm−1で示しており、y軸は吸光度(A)を示している。
図24】実施例5.6(水処理成形物)の試料のFT−IRスペクトルを示すグラフである。x軸は波数(wn)をcm−1で示しており、y軸は吸光度(A)を示している。
図25】実施例5.5に従って得られた通りの、焼成された成形ZnTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント)が示されている。
図26】実施例5.6に従って得られた通りの、焼成および水処理された成形ZnTiMWW材料のX線回折パターン(銅Kアルファ放射線)を示すグラフである。x軸上には、程度値(2シータ)が示されており、y軸上には、強度(Lin(カウント)が示されている。
図27】実施例5.5(黒円)および実施例5.6(白円)に従った成形物の水吸着/脱着等温線測定の結果を示すグラフである。x軸上には、相対湿度(RH)/%が示されている。y軸上には、水取り込み(WU)が質量%で示されている。
【0502】
引用文献
−Chemistry Letters(2000)774〜775ページ
−J.Phys.Chem.B 105(2001)2897ページ
−US6,759,540
−US7,608,728
−JP2008−200553A
−US7,273,826
−US7,476,770
−US6,114,552
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27