(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリサイドは、ニッケルシリサイド、タングステンシリサイド、バナジウムシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、及び鉄シリサイドの少なくとも1つである、請求項15に記載の半導体デバイス。
ドリフト部を含む第1の主構造であって、前記半導体ボディの第1の表面と前記第1の主構造との間の第2の主構造と共に第1のpn接合を形成する第1の主構造を更に含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以降の詳細な説明では、添付の図面を参照する。これは、本明細書の一部を形成し、この中では本発明が実施され得る具体的な実施形態が図示の目的で示されている。他の実施形態も利用することができ、また本発明の範囲を逸脱することなく構造的又は論理的な変更形態がなされ得ることが理解されるべきである。例えば、ある実施形態のために図示又は説明されている特徴は、更に別の実施形態を得るために、別の実施形態で又は別の実施形態と組み合わせて使用することができる。本発明は、そのような修正形態及び変更形態を含むことが意図されている。実施例は特定の言葉を使用して説明されており、これは添付の請求項の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。図面は縮尺通りではなく、例示の目的に過ぎない。特段の記載がない限り、対応する要素は異なる図面中で同じ参照符号によって示されている。
【0009】
用語「有する」、「含有する」、「包含する」、「含む」等は開放的であり、用語は、述べられている構造、要素、又は特徴の存在を示すが、追加的な要素又は特徴を除外しない。文脈から明らかな別段の指示がない限り、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、単数形だけでなく複数形も含むことが意図されている。
【0010】
用語「電気的に接続された」は、例えば該当する要素間の直接的な接触などの電気的に接続されている要素間の永久的な低いオーミック接触、又は金属及び/若しくは高濃度にドープされた半導体材料による低いオーミック接触を表す。用語「電気的に連結された」には、信号の伝送に適した1つ以上の介在要素が、例えば第1の状態の低オーミック接触と第2の状態の高オーミック電気デカップリングとを一時的に与えるように制御可能な要素など、電気的に連結されている要素間にあり得ることが含まれる。
【0011】
図は、ドーピングの型「n」又は「p」の次に「−」又は「+」を示すことによって相対的なドーピング濃度を表している。例えば、「n−」は、「n」ドーピング領域のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を意味する一方、「n+」ドーピング領域は、「n」ドーピング領域よりも高いドーピング濃度を有する。同じ相対ドーピング濃度のドーピング領域は、必ずしも同じ絶対ドーピング濃度を有さない。例えば、2つの異なる「n」ドーピング領域は、同じ絶対ドーピング濃度を有していても異なる絶対ドーピング濃度を有し得る。
【0012】
図1A〜1Cは、単結晶炭化ケイ素ボディ700中のドープされた接触領域710と、炭化ケイ素基材590のための金属接触層340との間にオーミック接触を形成する接触構造の形成に関する。
【0013】
炭化ケイ素基材590は、例えば2H−SiC(2H多形のSiC)、6H−SiC、又は15R−SiCなどに由来する、炭化ケイ素ボディ700を有する予め前処理されたSiCウエハーであり得る。ある実施形態によれば、炭化ケイ素は4H−多形(4H−SiC)を有する。炭化ケイ素基材590は、炭化ケイ素ボディ700の外側に又はその中に入り込んで追加的な導電構造及び/又は絶縁構造を含み得る。
【0014】
炭化ケイ素ボディ700は、第1の面の処理表面701と、反対側の第2の面の支持表面とを有する。
図1A及び全ての以降の図では、処理表面701は、平面であり得、又は第1の主結晶面によって形成される第1の表面区域と、第1の表面区域の方へ傾いており隣接する第1の表面区域と連結している第2の主結晶面によって形成される第2の表面区域とで互い違いであり得る。
【0015】
平面状の処理表面701又は互い違いの処理表面701の平均平面の法線は垂直方向を定義し、平面状の処理表面701の平面方向又は互い違いの処理表面701の主面方向は水平方向である。
【0016】
接触領域710は、処理表面701の一部に直接隣接し、炭化ケイ素ボディ700中の逆にドープされた領域とpn接合を形成し得、又は同じ導電型の追加的なドープされた領域と単極接合を形成し得る。接触領域710は、例えば1E17cm
−3〜1E20cm
−3の範囲などの少なくとも1E17cm
−3のドーパント濃度を有するp型又はn型であり得る。
【0017】
シリサイド形成金属を含有する開始層350は、処理表面701上に形成される。開始層350の形成は、金属粒子を埋め込むマトリックス材料を含む前駆体構造を設けることと、その後、マトリックス材料を除去して金属粒子を開放することとを含み得、金属粒子は処理表面701の上に堆積される。別の実施形態によれば、開始層350の形成は、溶質として金属−有機化合物を含有する溶液を塗布し、その後、溶媒を少なくとも部分的に除去することを含み得る。
【0018】
図1Aは開始層350を示し、これは開始層350が完全に処理表面701を被覆するという意味で完全であり得、又はこれは開始層350が接触領域710によって形成される処理表面701区域を完全には被覆せずに未被覆の部分を露出したままにするという意味で不完全であり得る。
【0019】
少なくとも完全な開始層350の場合、開始層350の材料及び構造は、例えば炭化ケイ素ボディ700がシリサイドの形成のための熱処理を受ける場合などの追加的な処理中、開始層350が引き裂かれたり穴が開いたりしないように選択される。例えば、開始層350は、薄いアモルファス若しくはナノ結晶の層であり得、又は例えばナノロッド若しくはナノチューブなどのナノ粒子からの若しくはそれらを含有する薄層であり得る。熱処理は、熱処理中に処理表面701の接触部分706を露出させるように、開始層350の材料をある程度まで緻密化、凝集化、及び/又は再分配し得る。
【0020】
不完全な開始層350の場合、1つ以上の開口705が開始層350に穴を開け、この場合、露出する処理表面701の少なくとも5%、例えば少なくとも10%、又は20%が残される。
【0021】
不完全な開始層350は連続的であり得、この場合の開始層350は、開始層350に穴を開ける複数の開口705を有し、処理表面701の複数の別個の未被覆の部分を露出させる一続きの層である。開口705は、同じ断面領域を有していても異なる断面領域を有していてもよく、同じ形状を有していても異なる形状を有していてもよく、また規則的に配置されていても不規則に配置されていてもよい。
【0022】
別の実施形態によれば、不完全な開始層350は、複数の孤立した区域356を含み得、この場合、ある1つの開口705は、処理表面701の連続的な未被覆の部分を露出させ、連続的な未被覆の部分は、開始層350の孤立した区域356を互いに分離する。孤立した区域356は、同じ断面領域を有していても異なる断面領域を有していてもよく、同じ形状を有していても異なる形状を有していてもよく、また規則的に配置されていても不規則に配置されていてもよい。
【0023】
不完全な開始層350は、両方の実施形態の混成であり得、またそれぞれ複数の開口705を有する区域と、複数の孤立した区域356を有する区域との両方を含み得る。
【0024】
開始層350中のシリサイド形成金属は、炭化ケイ素基材上にシリサイドを形成する、炭素溶解度が少ない任意の金属であり得る。例えば、シリサイド形成金属は、コバルト(Co)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びジルコニウム(Zr)の少なくとも1つであり得る。ある実施形態によれば、シリサイド形成金属はニッケル(Ni)であるか又はそれを含む。開始層350は、シリサイド形成金属を、単体形態で又は例えば金属酸化物としてなどの化合物の成分として含有し得る。
【0025】
開始層350は、本質的にアモルファスであってもナノ結晶であってもよく、単粒又は粒のクラスターが孤立した区域356を形成し得る。別の実施形態によれば、開始層350は、例えばナノロッド又はナノチューブなどのナノ粒子から形成するか又はそれらを含有し得る。開始層350の最大の垂直方向の延びd0は、例えば5nm〜500nmの範囲などの2nm〜1μmの範囲であり得る。
【0026】
開始層350及び炭化ケイ素ボディ700の隣接部分の熱処理は、炭化ケイ素格子からケイ素を放出させ、放出されたケイ素と開始層350のシリサイド形成金属とは、孤立したシリサイド核305を形成する。シリサイド核305中のケイ素原子の吸収によって炭化ケイ素格子から解放された残りの炭素は、sp2混成形態で析出し、シリサイド核305の表面に堆積する。シリサイド化及び炭素の析出は、開始層350の区域の直下及びそれに沿ってのみ生じる。
【0027】
熱処理は、レーザー光線に露光された炭化ケイ素基材590の部分を選択的に500℃〜1500℃の範囲の温度まで加熱するレーザーアニールを含み得る。熱処理時間は加熱される温度次第であり、1500℃での熱処理についての約1分から、500℃での熱処理についての約60分までの範囲であり得る。
【0028】
図1Bは、シリサイド核305と過剰の炭素とから、処理表面701に沿って形成された界面粒子300を示す。炭素はシリサイドの外に析出することから、シリサイド核305はほぼ完全に炭素を含まない。過剰の炭素は、シリサイド核305の露出表面上及び炭化ケイ素ボディ700への界面で堆積し、完全に又は部分的にのみシリサイド核305を埋め込むシェルを形成し得る炭素被覆309を形成する。炭素被覆309は非連続的であっても連続的であってもよく、又はsp2混成炭素の別々の凝集によって形成され得る。不完全な開始層350によって被覆されていないか、又は熱処理中に露出した処理表面701の区域では、シリサイド化は生じず、SiC格子は無傷のままであり、炭素の析出は全く又はほとんど生じない。
【0029】
界面粒子300は接触領域710に部分的に埋め込まれ、部分的に処理表面701から突出し得る。界面粒子300は、薄片状、粒状、平らな構造であり得、又は部分的又は完全に球状であり得る。
【0030】
シリサイドは、Ni
2Si相を含有するニッケルシリサイド、コバルトジシリサイド(CoSi
2)相を含有するコバルトシリサイド、タングステンジシリサイド(WSi
2)相を含有するタングステンシリサイド、タンタルジシリサイド(TaSi
2)相を含有するタンタルシリサイド、チタンジシリサイド(TiSi
2)相を含有するチタンシリサイド、クロムジシリサイド(CrSi
2)相を含有するクロムシリサイド、モリブデンジシリサイド(MoSi
2)相を含有するモリブデンシリサイド、及び/又はジルコニウムジシリサイド(ZrSi
2)相を含有するジルコニウムシリサイドであり得る。
【0031】
界面粒子300及び/又は界面粒子300の凝集体は、水平方向に互いに少なくとも部分的に離れており、その結果、界面粒子300間又は界面粒子300の凝集体間で処理表面701の連結部分706が露出している。連結部分706は、
図1Aに示されている開口705によって露出されている未被覆の部分に広く対応し得、又は界面粒子の形成中のみ露出され得る。対象の総面積に対する露出している連結部分706の面積割合は、少なくとも10%、例えば少なくとも20%であり得る。
【0032】
界面粒子300の炭素被覆309は、連続的又は不連続なグラファイト層としてsp2混成形態の炭素を含み得、連続的な炭素被覆309はシリサイド核305を完全に又は一部のみを包み得る。
【0033】
金属接触層340は、例えばスパッタリング、化学蒸着、又は電気めっきにより、処理表面701上に形成される。例えば、金属接触層340は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、アルミニウム銅合金(AlCu)、アルミニウムケイ素合金(AlSi)、アルミニウムケイ素銅合金(AlSiCu)、タングステン(W)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、及びバナジウム(V)の少なくとも1つから形成され得る。
【0034】
図1Cは、金属接触層340が炭化ケイ素ボディ700の接触領域710と界面粒子300との両方と直接接触していることを示す。炭素被覆309は、金属接触層340とシリサイド核305との間、及び/又はシリサイド核305と炭化ケイ素ボディ700との間のオーミック抵抗を低減する役割を果たし得る。他方で、金属接触層340と炭化ケイ素ボディ700との間の炭素を含まない直接接合面は、金属接触層340と炭化ケイ素ボディ700との間に安定且つ信頼性のある機械的な結合を付与する。
【0035】
慣習的には、炭化ケイ素へのオーミック接触のための、炭化ケイ素表面を完全に被覆するスパッタリングされたニッケル層からの接触構造の形成は、典型的には炭化ケイ素格子から析出した過剰の炭素原子を、接触構造の完全に水平な断面に広がる平面状の金属界面に沿って、及び金属接触層の内部又は上に堆積させ、ここで、炭素原子が接合面上での金属の接着を低下させ、そのような接触構造の機械的安定性を弱める。金属の接着が低下すると、熱機械的な応力により、金属接触層は、下にある層から少なくとも部分的に剥離する場合がある。他方で、金属接触層の堆積前に析出炭素を除去することは複雑且つコストがかかる作業であり得る。
【0036】
対照的に、本発明による接触構造では、金属接触層340は処理表面701の連結部分706に直接隣接し、これは完全に又は少なくとも高度に炭素堆積をなくす。連結部分706に炭素の堆積がないことにより、金属接触層340と炭化ケイ素ボディ700との間に信頼性のある安定な機械的連結が生じる。更に、接触構造は、接触領域710と金属接触層340との間の全体のオーミック抵抗の低減に寄与し得る界面粒子300の炭素被覆309からも利益を享受し得る。
【0037】
図2A〜
図2Cは、主に物理的な処理であり得る処理によって非連続的な開始層350を形成するプロセスを表す。
【0038】
マトリックス材料381と、マトリックス材料381に埋め込まれているか又は付着している金属粒子385とを含有する前駆体構造380は、例えば回転塗布法、噴霧コーティング、印刷、浸漬、ダンピング、又は接着結合などにより、処理表面701上に形成される。
【0039】
図2Aは、処理表面701上の前駆体構造380を示す。前駆体構造380は、懸濁液であってもスラリーであってもよく、この中のマトリックス材料381は、金属粒子385がその中に浮遊している液体である。別の実施形態によれば、マトリックス材料381は、例えば分解可能な及び気化可能な樹脂などの固体であり得る。追加的な実施形態によれば、前駆体構造380はキャリアテープを含み得、接着剤がキャリアテープの接着表面に金属粒子385を結合させ、接着表面は処理表面701上に接着結合される。
【0040】
金属粒子385は、単体金属由来であっても、例えば金属酸化物などの金属化合物由来でもあってよい。金属粒子385は、例えば球状、粒状、及び/又は薄片状であり得る。金属粒子385の体積はほぼ同じであり得、又は少なくとも1桁だけ異なり得る。前駆体構造380の垂直方向の延びv1は、100nm〜数百マイクロメートルの範囲であり得る。
【0041】
固体のマトリックス材料381の場合、金属粒子385は前駆体構造380の完全な垂直方向の延びv1にわたって前駆体構造380中で不規則に分布し得、又は処理表面701と平行な前駆体構造380の接着表面に沿って所定のパターンで規則的に配置され得る。
【0042】
マトリックス材料381は除去され得る。例えば、接着結合されたキャリアテープの場合、接着結合は、熱処理によって又は適切な照射(例えば、紫外光)への曝露によって部分的又は完全にゆるみ得、キャリアテープは剥がされる。別の実施形態によれば、熱処理によってマトリックス材料381が除去されて金属粒子385が開放される。
【0043】
図2Bは、処理表面701上に堆積された金属粒子385を示す。同じ又は追加的な熱処理により金属粒子385がシリサイド化され、
図2Cに示されている孤立した界面粒子300が形成される。
【0044】
熱処理は二段階熱処理であり得、その場合、最初の部分的な熱処理がマトリックス材料381を蒸発させるか、又は分解させてから分解生成物を気化する。2番目の部分的な熱処理は、第1の部分的な熱処理中に解放され処理表面701上に堆積された金属粒子385から孤立した界面粒子300を形成する。別の実施形態によれば、同じ熱処理がマトリックス材料381を蒸発又は分解及び気化させ、堆積された金属粒子385をシリサイド化する。その後、金属層が堆積されることで、
図1Cに関連して述べたような接触構造が形成され得る。
【0045】
図3A〜
図3Cは、金属−有機前駆体材料から不完全な開始層350を形成するための化学的プロセスを含む方法に関する。
【0046】
溶媒391と溶質395とを含有する溶液390は、処理表面701の上に堆積される。溶媒391は、例えば酸性水素原子がない有機極性非プロトン性溶媒又は有機非プロトン性溶媒などの有機溶媒であり得る。溶液390の沸点は、約50℃〜200℃、例えば60℃〜100℃の範囲である。溶媒は、例えばDMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、又はイソプロパノールであり得る。
【0047】
溶質395は、中心金属原子又は金属イオンと、少なくとも1つの有機配位子とを含有する金属錯体であり得る。中心金属原子又はイオンは、タングステン、バナジウム、ニッケル、チタン、スズ、亜鉛、コバルト、又は鉄などのシリサイド形成金属由来である。
【0048】
有機配位子は、例えば2−ヒドロキシイミノアルカノエート又は2−アルコキシイミノアルカノエートなどのオキシメート配位子であり得、この中のアルカノエートは、例えばエタノエート、プロパノエート、又はブタノエートなどのC2〜C8のアルカノエートであり得る。アルコキシ基は、例えばメチル又はエチルなどのC1〜C4アルコキシ基であり得る。ある実施形態によれば、オキシメート配位子は、式(1)で示される構造を有し得る。
【0049】
式(1)中、R
1は、水素及びC
1〜C
4アルキル(例えば、メチル及びエチル)からなる群から選択される。R
2は、水素、C
1〜C
6アルキル、C
6〜C
14アリール、及びC
6〜C
14アルキルアリールからなる群から選択される。中心金属原子又はイオンは、窒素及び負にイオン化されている酸素イオンを介して結合/配位される。配位子の数は中心金属原子又はイオン次第であり、これは例えば2個又は3個であり得る。ある実施形態によれば、R
2はメチル、エチル、フェニル、及びベンジルから選択され得る。別の実施形態によれば、配位子は(1)の配位子であり、式中のR
1とR
2との両方がメチルであり、例えばメトキシイミノプロパノエートである。溶液390の金属錯体部分は溶液の0.1重量%〜10重量%の範囲であり得る。
【0050】
溶液390は、例えばスピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、溶液コーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又はパッド印刷によって塗布され得る。
【0051】
溶液390は、例えばそれを超えると金属錯体が分解する温度よりも低い温度で熱処理することにより、塗布後且つ金属錯体の分解前に焼かれ得る。
【0052】
図3Aは、オキシメート配位子を含有し、溶媒391中に溶解している、溶質395の一部として金属イオンを含有する溶液390を示す。
【0053】
熱処理により、金属錯体が例えば金属酸化物などの金属化合物へ分解し、金属化合物が金属シリサイドへ変換される。例えば、150℃超且つ250℃未満の中程度の温度での第1の部分的な熱処理によって金属錯体が分解して、孤立した部分356を有する不完全な開始層350を形成し、第2の部分的な熱処理によって不完全な開始層350の孤立した部分356から孤立した界面粒子300が形成される。
【0054】
別の実施形態によれば、単一の熱処理により、液体の又は乾燥した前駆体溶液390から界面粒子300が直接形成され得る。
【0055】
ある実施形態によれば、溶液390は、アルコールをベースとする溶媒を含み、金属−有機前駆体はニッケルオキシメートを含む。前駆体溶液が処理表面701上にスピンコーティング又は噴霧され、不活性雰囲気中において約250℃で熱処理されることでニッケルオキシメートがニッケル酸化物の不完全な及び非連続的な開始層350へ分解される。有機物部分は気体の副生成物の形態で放出される。
【0056】
図3Bは開始層350を示し、これは本質的にアモルファスであっても、非常に微細なナノ結晶であっても、又は両方の組み合わせであってもよい。ニッケル酸化物は1つの顆粒を形成し、これは対象の領域の処理表面701を完全に覆うことができるか、又は処理表面701の露出されている未被覆の部分を残すことができる孤立した部分356を形成する。
【0057】
追加的な熱処理により、開始層350のニッケル酸化物及び炭化ケイ素ボディ700の直接隣接する部分から、例えばニッケルシリサイドなどのシリサイドが形成される。
【0058】
図3Cに示されているように、シリサイドは、処理表面701の開始層350が存在し、熱処理中に露出されなかった部分のみでシリサイド核305の形態をとる。
【0059】
図4A〜4Cは、上述の方法のいずれかによって形成された様々な開始層350の平面図を示す。
【0060】
図4Aでは、不完全な開始層350は、複数の孤立した部分356を含み、その形状はほぼ円形であり得る。開始層350の孤立した部分356は、処理表面701の連続的な1つの部分である未被覆の部分を露出したままにする。
【0061】
図4Bでは、不完全な開始層350が、処理表面701の未被覆の部分を露出させる孤立した開口705を有する不規則な格子を形成している。
【0062】
図4Cは、開始層350の規則的に配置されている孤立した部分356を示し、これは、例えば接着テープで金属粒子385を剥がすことによって形成され得、この中で金属粒子385は、例えば金属粒子385が充填されているマイクログルーブを有するモールド中など、適切な手段によって予め配置され得る。
【0063】
図4Dは、目の粗い結晶又はナノ粒子を含む完全な開始層350を示し、この中の開始層350は処理表面701を完全に被覆し得る。開始層350の材料、構造、及び厚さは、例えばシリサイド化のための熱処理などの適切な処理中、開始層350の材料が緻密化及び/又は再配置され、処理表面701の連結部分706が露出するように選択される。
【0064】
図5A〜
図5Cは、半導体デバイス500の接触構造を示し、この中の接触構造は、金属接触構造302とドープされた領域180との間の界面に埋め込まれている界面粒子300を含み、これは炭化ケイ素の半導体ボディ100中に形成される。界面粒子300は、半導体ボディ100の第1の表面101から金属接触構造302中へ突出し得、及び/又は半導体ボディ100中へ延び得る。
【0065】
図5Aでは、界面粒子300は不規則な形状をしており、体積に関して大幅に異なる。炭素被覆309は、シリサイド核305を部分的にのみ包む。炭素被覆309は、金属接触構造302とシリサイド核305との間の界面に沿った部分及びシリサイド核305と半導体ボディ100との間の界面に沿った部分に存在していなくてもよい。1つの界面粒子300が隣接する界面粒子300から完全に隔離され得、又は直接隣接する界面粒子300のクラスター又は凝集体を形成し得る。
【0066】
図5Bでは、界面粒子300は主にほぼ球形を有しており、大きさが異なり得る。
【0067】
図5Cは、異なる水平方向の延びを有しほぼ同じ垂直方向の延びを有する平らな界面粒子300についての例を示す。
【0068】
金属接触層340と上述したような界面粒子300とから形成される接触構造は、例えばパワー半導体ダイオード及びパワー半導体スイッチなど(JFET(接合型電界効果トランジスタ)、IGFET(絶縁ゲート電界効果トランジスタ)、BJT(バイポーラ接合トランジスタ)、及びIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)など)の様々な半導体デバイス500で実施することができる。
【0069】
図6A及び6Bは、単結晶炭化ケイ素由来の半導体ボディ100に基づく半導体デバイス500に関する。半導体デバイス500は、第1の表面101から第2の表面102への垂直なオン電流又は順電流を有するか、又はその逆であるパワー半導体であり得る。例えば、半導体デバイス500は、例えばJFET、IGFET、BJT、IGBT、サイリスタ、又は縦型パワー半導体ダイオード又はパワー半導体スイッチを含むHV(高電圧)部に加えてLV(低電圧)回路(例えば、短絡検知回路又は温度制回路など)を含む半導体デバイスなどのパワー半導体ダイオード、パワー半導体スイッチ、又は増幅器である。
【0070】
半導体ボディ100は、表側の平ら又は互い違いの第1の表面と、裏側の第2の表面102とを有する。第1の表面101に平行な方向は水平方向であり、第1の表面の法線は垂直方向を規定する。側面103は第1の表面101と第2の表面102とを接続する。側面103は垂直であり得、又は第1の表面101に直接隣接する垂直な区域を少なくとも含み得る。
【0071】
半導体ボディ100の水平断面積は、0.5mm
2〜2mm
2の範囲、例えば1mm
2〜1cm
2の範囲である。半導体ボディ100の垂直方向の延びは5μm〜500μmの範囲、例えば50μm〜200μmの範囲であり得る。
【0072】
半導体ボディ100は、第2の主構造120と共に第1のpn接合pn1を形成するドープされた第1の主構造130を含み、第2の主構造120は第1の表面101と第1の主構造130との間で形成される。
【0073】
第1の主構造130は、第2の表面102に直接隣接する高濃度にドープされた接触層139と、高濃度にドープされた接触層139と第2の主構造120との間の低濃度にドープされたドリフト部131とを含む。
【0074】
第2の主構造120は、例えばパワー半導体ダイオードのアノード領域を形成し得、又は平行に電気的に接続されている電界効果若しくは接合トランジスタセルのボディ領域を含み得、又はバイポーラトランジスタのベース領域を含み得る。後者の場合、第2の主構造120は、第1の表面101とボディ又はベース領域との間に形成されるソースゾーン又はエミッタゾーンを含み得る。
【0075】
第2の主構造120は、表側で第1の負荷電極310と電気的に接続され得る。ドープされた接触層139は、裏側で第2の表面102に直接隣接する第2の負荷電極320とオーミック接触を形成する。表側と裏側のオーミック接触の少なくとも1つは、金属接触構造302と半導体ボディ100との間に埋め込まれている界面粒子300を含み得る。
【0076】
図6Aでは、表側で第2の主構造120と電気的に接続されている第1の負荷電極310が、上述したような金属接触構造302と界面粒子300とを含む。
【0077】
図6Bでは、裏側で第1の主構造130と電気的に接続されている第2の負荷電極320が、上述したような金属接触構造302と界面粒子300とを含む。
図6Aと6Bの実施形態が組み合わされ得る。
【0078】
図7A及び7Bでは、半導体デバイス500はパワー半導体ダイオードである。第2の主構造120は、p型アノードを形成するアノードウェル121を含む。第1の主構造130の接触層139はn型カソードを形成する。バッファ層138がドリフト部131と高濃度にドープされた接触層139との間に直接存在し得る(挟まれ得る)。
【0079】
半導体ダイオードの第1の負荷電極310は、第1の表面101に直接隣接し、アノード端子Aを形成し得、又はアノード端子Aと電気的に接続又は連結され得る。カソード端子Kを形成するか、又はカソード端子Kと電気的に接続又は連結されている第2の負荷電極320は、高濃度にドープされた接触層139に直接隣接する。
【0080】
図7Aでは、第2の負荷電極320は、第2の表面102に沿って金属接触構造302と界面粒子300とを含む。
【0081】
図7Bでは、第1の負荷電極310は、第1の表面101の一部に沿って金属接触構造302と、金属接触構造302と半導体ボディ100との間の界面に埋め込まれている界面粒子300とを有する接触構造を形成する。
【0082】
図8では、半導体デバイス500は、表側で平行に電気的に接続されているトランジスタセルTCを含むIGFETである。第2の主構造120はトランジスタセルTCのボディゾーンを含み、ボディゾーンは、第1の主構造130と共に第1のpn接合を形成し、ソースゾーン(第1の表面101とボディゾーンとの間に形成され、ボディゾーンはソースゾーンを第1の主構造130から隔てる)と共に第2のpn接合を形成する。
【0083】
トランジスタセルTCは、第1の表面101と平行に形成されている制御可能なチャネルと、第1の表面101上に形成されているゲート電極とを有する平面形状のトランジスタセルであり得、又は第1の表面101に垂直に延びる制御可能なチャネルと、第1の表面から半導体ボディ100中へ延びるトレンチゲート構造とを有する縦型トランジスタセルであり得る。
【0084】
トランジスタセルTCのボディゾーン及びソースゾーンを含む第2の主構造は、第1の負荷電極310と電気的に接続されており、第1の負荷電極310はソース端子Sを形成し得、又はソース端子Sと電気的に接続又は連結され得る。トランジスタセルTCのゲート電極は、ゲート端子Gを形成しているか、又はゲート端子Gと電気的に接続又は連結され得る制御電極330と電気的に接続されている。裏面の第2の負荷電極320は、ドレイン端子Dを形成し得、又はドレイン端子Dと電気的に接続され得る。
【0085】
第2の負荷電極320は、第2の表面102に沿って金属接触構造302と、金属接触構造302と半導体ボディ100との間に埋め込まれている界面粒子300とを含み得る。
【0086】
図9は、炭化ケイ素、より詳しくは例えば2H−SiC、6H−SiC、15R−SiC、又は4H−SiC由来の半導体ボディ100を有するIGFETを示す。半導体ボディ100の表側は、同一平面上の表面区域を含み得る第1の表面101を有する。第1の表面101は主結晶面と一致し得、又は主結晶面に対してオフ角αだけ傾き得、その絶対値は少なくとも2°且つ最大12°、例えば約4°であり得る。
【0087】
例示的な実施形態では、<0001>結晶軸は、法線にα>0のオフ角で傾いており、<11−20>結晶軸は、水平面に対してオフ角αで傾いている。<1−100>結晶軸は、横断面に対して直交している。
【0088】
第1の表面101は、互いに切り替わり、水平面に対してオフ角αで傾いている平行な第1の表面区域と、第1の表面に対して傾斜しており第1の表面区域と連結する第2の表面区域とを有してギザギザであり得、その結果、ギザギザの第1の表面の断面ラインがほぼ鋸歯状のラインである。
【0089】
半導体ボディ100の裏面では、対向する第2の表面102が第101と平行に延び得る。表側の第1の表面101と裏側の第2の表面102との間の距離は、IGFETの名目阻止容量と関係する。第1及び第2の表面101、102間の半導体ボディ100の総厚さは、数百nmから数百μmの範囲であり得る。第1の表面101の平均面に対する法線は垂直方向を規定し、第1の表面101の平均面に対して平行な方向は水平方向である。
【0090】
トランジスタセルTCは、第1の表面101に沿って表側に形成される。第1の主構造130は、トランジスタセルTCを裏面の第2の表面から離す。第1の主構造130は、第2の表面102に直接隣接する高濃度にドープされた接触層139と、トランジスタセルTCと高濃度にドープされた接触層139との間の低濃度にドープされたドリフト部131とを含み得る。
【0091】
高濃度にドープされた接触層139は、結晶インゴットから得られた基板部分であるか又は基板部分を含み得、第2の表面102に直接隣接する第2の負荷電極320とオーミック接触を形成する。高濃度にドープされた接触層139中の平均ドーパント濃度は、第2の負荷電極320とのオーミック接触を確実にするほどに十分に高い。
【0092】
ドリフト部131は、高濃度にドープされた接触層139を含む基材部分の上にエピタキシーによる層成長で形成され得る。ドリフト部131中の平均の正味のドーパント濃度は、1E15cm−3〜5E16cm−3の範囲であり得る。第1の主構造130は、例えばフィールドストップゾーン、バリアゾーン、及び/又はドリフト部131の導電型の電流拡散ゾーン、又はカウンタードープ領域などの追加的なドープされた領域を含み得る。
【0093】
ドリフト部131は高濃度にドープされた接触層139に直接隣接し得、又はドリフト部131との単極接合を形成するバッファ層がドリフト部131と高濃度にドープされた接触層139との間に直接存在し得、例えば、その場合のバッファ層の垂直方向の延びは1μmであり得、バッファ層中の平均ドーパント濃度は3E17cm
−3〜1E18cm
−3の範囲であり得る。バッファ層は、第1の主構造130中の電場勾配を形作ることに寄与し得る。
【0094】
トランジスタセルTCは、第1の表面101から半導体ボディ100中に延びているトレンチゲート構造150に沿って向き得、その結果、半導体ボディ100のメサ部は隣接するトレンチゲート構造150を隔てる。
【0095】
横断面に直交する第1の水平方向に沿ったトレンチゲート構造150の長手方向の延びは、第1の水平方向と直交する第2の水平方向に沿った横方向の延びよりも大きい。トレンチゲート構造150は、トランジスタセル領域の一方の側から反対側まで延びる長いストリップ状であり得、その場合のトレンチゲート構造150の長さは最大数ミリメートルであり得る。別の実施形態によれば、複数の隔てられているトレンチゲート構造150は、トランジスタセル領域の片側から反対側まで延びるラインに沿って形成され得、又はトレンチゲート構造150は、グリッドのメッシュ内に形成されているメサ部190と共にグリッドを形成し得る。底部では、トレンチゲート構造150は丸みを帯び得る。
【0096】
トレンチゲート構造150は等間隔に配置され得、等しい幅を有し得、規則的なパターンを形成し得、この場合、トレンチゲート構造150のピッチ(中心間の距離)は、1μm〜10μm、例えば2μm〜5μmの範囲であり得る。トレンチゲート構造150の垂直方向の延びは、0.3μm〜5μmの範囲、例えば0.5μm〜2μmの範囲であり得る。
【0097】
トレンチゲート構造150は、第1の表面101に垂直であり得、又は第1の表面101までの距離の増加に伴い次第に細くなり得る。例えば、垂直方向に対するトレンチゲート構造150のテーパ角は、オフ角と同じであり得、又は2つの対向する長手方向のメサ側壁191、192の少なくとも第1の活性なメサ側壁191が、高い電荷キャリア移動度を有する主結晶面(例えば、{11−20}結晶面)によって形成されるように、±1°以下の角度でオフ角から外れ得る。第1の活性なメサ側壁191と対向している第2の不活性なメサ側壁192は、例えば4°以上、例えば約8°以上など、主結晶面に対してオフ角αの2倍だけ傾き得る。第1の活性なメサ側壁191と第2の不活性なメサ側壁192とは、中間メサ部190の対向する長手方向の側面であり、2つの異なる隣接するトレンチゲート構造150に直接隣接する。
【0098】
トレンチゲート構造150は、導電性のゲート電極155を含み、このゲート電極155は、高濃度にドープされた多結晶シリコン層及び/又は金属含有層を含むか又はそれらからなり得る。ゲート電極155は、ゲート端子を形成しているか、又はゲート端子と電気的に接続又は連結されているゲートメタライゼーションと電気的に接続され得る。ゲート誘電体159は、少なくとも第1の活性なメサ側壁191に沿って半導体ボディ100からゲート電極を隔てる。ゲート誘電体159は、ケイ素酸化物層153を含み得、又はそれからなり得る。
【0099】
第2の主構造120は、メサ部190に形成されており表側に向いているソースゾーン110を含む。ソースゾーン110は、第1の表面101に直接隣接し得、またそれぞれのメサ部190の少なくとも第1の活性なメサ側壁191に直接隣接し得る。
【0100】
第2の主構造120は、メサ部190中に形成されているボディ領域122を更に含み、この場合、ボディ領域122は、例えばドリフト部131からなどの第1の主構造130からソースゾーン110を隔てる。ボディ領域122は、第1の主構造130と共に第1のpn接合pn1を形成し、ソースゾーン110と共に第2のpn接合pn2を形成する。ボディ領域122の第1の部分は、第1の活性なメサ側壁191に直接隣接し、ボディ領域122の第2の部分は、第2の不活性なメサ側壁192に直接隣接し、この場合、第2の部分中のドーパント濃度は、第1の部分のドーパント濃度よりも大きくてもよい。ボディ領域122は、ボディ領域122の垂直方向の延びを局所的に増加させ、第2の不活性なメサ側壁192の方へ向いているトレンチゲート構造150の一部と重なっている遮蔽領域125を含み得る。
【0101】
活性なメサ側壁191に沿ったボディ領域122の最小の延びは、トランジスタセルTCのチャネル長に対応し、0.2μm〜1.5μmの範囲であり得る。
【0102】
酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ドーピングされているか若しくはドーピングされていないケイ素ガラス(例えば、BSG(ホウケイ酸ガラス)、PSG(リンケイ酸ガラス)、又はBPSG(ホウリンケイ酸ガラス)由来の1つ以上の誘電体層を含み得る中間層誘電体210は、第1の負荷電極310からゲート電極155を隔離する。接触構造315は中間層誘電体210を通って延在し、ボディ領域122及びソースゾーン110と共に第1の負荷電極310と電気的に接触する。
【0103】
第1の負荷電極310は、ソース端子Sを形成し得、又はソース端子Sと電気的に接続され得る。第2の表面102に直接隣接する第2の負荷電極320は、ドレイン端子Dを形成し得、又はドレイン端子Dと電気的に接続又は連結され得る。
【0104】
ある実施形態によれば、トランジスタセルTCは、p型にドープされたボディ領域122と、n型にドープされたソースゾーン110と、n型にドープされたドリフト部131とを有するn−チャネルFETセルである。別の実施形態によれば、トランジスタセルTCは、n型にドープされたボディ領域122と、p型にドープされたソースゾーン110と、p型にドープされたドリフト部131とを有するp−チャネルFETセルである。
【0105】
ゲート誘電体159は、ゲート電極155を有するボディ領域122の部分と容量結合している。ゲート電極155での電位がIGFETの閾値電圧を超えるか又は下回ると、ボディ領域122中の少数電荷キャリアがゲート誘電体159に沿って反転チャネルを形成する電場効果が生じ、この際、反転チャネルはソースゾーン110をドリフト部131と結合させ、IGFETがオンになる。オン状態では、負荷電流は、第1及び第2の負荷電極310、320間の第1の活性なメサ側壁191にほぼ沿って半導体ボディ100を流れる。
【0106】
第1及び第2の負荷電極310、320の少なくとも1つは、第2の表面102に沿って金属接触構造302と、半導体ボディ100とそれぞれの金属接触構造302との間に埋め込まれている界面粒子300とを含む。
【0107】
図10の半導体デバイス500は、第1の主構造130がドリフト部131の導電型と相補的な導電型を有する高濃度にドープされた接触層139を含み、コレクタ端子Cを形成しているか、又はコレクタ端子Cと電気的に接続されている第2の負荷電極320に直接隣接するIGBTである。ソースゾーン及び第2の主構造120のボディ領域122は、エミッタ端子Eを形成しているかエミッタ端子Eと電気的に接続され得る。
【0108】
第2の負荷電極320は、第2の表面102に沿って金属接触構造302と、金属接触構造302と半導体ボディ100との間に埋め込まれている界面粒子300とを含み得る。
【0109】
図11の半導体デバイス500は、ドリフトコレクタを形成する第1の主構造130を有するBJTである。第2の主構造120は、第1の主構造130と共に第1のpn接合pn1を、エミッタゾーン113と共に第2のpn接合を形成するベース領域123を含む。第1の負荷電極310は、エミッタゾーン113に直接隣接し、エミッタ端子Eを形成するか又はエミッタ端子Eと電気的に接続されている。第2の負荷電極320は、第1の主構造130の高濃度にドープされた接触層139に直接隣接し、コレクタ端子Cを形成するか又はコレクタ端子Cと電気的に接続されている。
【0110】
第1及び第2の負荷電極310、320の少なくとも1つは、金属接触構造302と、半導体ボディ100と金属接触構造302との間で界面に沿って埋め込まれている界面粒子300とを含む。更に、ベース領域123に直接隣接する制御電極330は、金属接触構造302と、半導体ボディ100と金属接触構造302との間で界面に沿って埋め込まれている界面粒子300とを含み得る。
【0111】
図12の半導体デバイス500は、例えば上述したような6H−SiC、15R−SiC、4H−SiC、又は3C−SiCなどに由来する半導体ボディ100に基づくSiC−JFETである。半導体ボディ100は、互いに平行に電気的に接続されている複数のジャンクショントランジスタセルJTCを含む。
【0112】
各ジャンクショントランジスタセルJTCは、半導体ボディ100の表側で第1の表面に直接隣接し得る高濃度にドープされたソースゾーン110を含む。第1の負荷電極310は、ジャンクショントランジスタセルJTCのソースゾーン110に直接隣接し、ソース端子Sを形成し得、又はソース端子Sと電気的に接続され得る。
【0113】
第1の主構造130は、半導体ボディ100の裏面で第2の表面に直接隣接する。第2の表面102に直接隣接する第2の負荷電極320は、SiC JFETのドレイン端子Dを形成し得、又はドレイン端子Dと電気的に接続され得る。
【0114】
第1の主構造130は、第1の表面101と第2の主構造120との間に形成されている第2の主構造120と共に第1のpn接合pn1を形成する。第1の主構造130は、低濃度にドープされたドリフト部131を含み得、これは、第2の表面102に直接隣接し、第2の負荷電極320とオーミック接触を形成する高濃度にドープされた接触層139と共に単極接合を形成し得る。
【0115】
第1の主構造130は、ソースゾーン110とドリフト部131を接続するチャネル領域133を更に含み、この中のチャネル領域133はソースゾーン110及びドリフト部131と同じ導電型を有し、チャネル領域133中の平均の正味のドーパント濃度は、ソースゾーン110中の平均の正味のドーパント濃度の最大10%である。
【0116】
第2の主構造120は、第1の表面101から半導体ボディ100中へ延び得る高濃度にドープされたゲート領域124を含み得、又はそれからなり得る。ゲート領域124は、チャネル領域133と反対の導電型を有する。チャネル及びゲート領域133、124は、縦方向及び/又は横方向に沿って延びる第1のpn接合pn1の部分を形成する。SiC JFETのゲート端子Gと電気的に接続又は連結されている制御電極330は、ゲート領域124に直接隣接し得る。
【0117】
ゲート領域124にかけられる電圧は、ゲート及びチャネル領域124、133間の第1のpn接合pn1の垂直部分に沿って形成される空乏ゾーンの横方向の広がり、及び/又は第1のpn接合pn1の水平部分に沿って形成される空乏ゾーンの縦方向の広がりを調節する。あるゲート電圧では、空乏ゾーンはチャネル領域133の完全な横断面積全体に延在し、空乏ゾーンはソースゾーン110とドリフト部131との間の電流の流れをピンチオフして抑制する。SiC JFETは、制御端子Gとソース端子Sとの間に電圧がかけられないときに、ソースゾーン110とドリフト部131との間に電流の流れを有するノーマリーオン型のJFETであり得る。
【0118】
第1の主構造130は遮蔽領域136を更に含み得、これはゲート領域124の導電型を有しており、これはゲート領域124とドリフト部131との間のゲート領域124の垂直投像の一部に少なくとも形成される。遮蔽領域136は、チャネル領域133と共に第1の補助的なpn接合pn11を、ドリフト部131と共に第2の補助的なpn接合pn12を形成し、第2の表面102と平行に延びる横方向部分136aを含み得る。遮蔽領域136の横方向部分136aの垂直投像は、ゲート領域124の少なくとも40%と重なり得る。
【0119】
遮蔽領域136は、横方向部分136a及び第1の表面101に直接隣接する縦方向部分136bを含んでいても含んでいなくてもよい。遮蔽電極360は、遮蔽領域136に直接隣接し得る。遮蔽電極360は、第1の負荷電極310、制御電極330、又はSiC JFETの補助端子と電気的に接続又は連結され得る。ソースゾーン110の導電型の分離領域135は、ゲート領域124と遮蔽領域136を隔てる。
【0120】
図12に示されている実施形態によれば、隣接するジャンクショントランジスタセルJTCは、これらの間の垂直な分離面VSPに対してこれらが対称であるように互いに直接隣接し得る。別の実施形態によれば、隣接するジャンクショントランジスタセルJTCは、これらが同じ方向を向くように互いに直接隣接し得る。
【0121】
第1及び第2の負荷電極310、320の少なくとも1つは、金属接触構造302と、半導体ボディ100と金属接触構造302との間の界面に沿って埋め込まれている界面粒子300とを含む。更に、制御電極330及び/又は遮蔽電極360は、金属接触構造302と、半導体ボディ100と金属接触構造302との間の界面に沿って埋め込まれている界面粒子300とを含み得る。
【0122】
図13A〜13Gは、デバイス裏側への上述した界面粒子300を含む接触構造の形成に関する。
【0123】
図13Aは、前処理された炭化ケイ素ウエハーである炭化ケイ素ボディ700含むウエハー複合体900を示す。炭化ケイ素ボディ700のデバイス領域では、パワー半導体ダイオード、IGFET、JFET、BJT、又はIGBTなどのパワー半導体デバイスの表側の面に、例えば半導体ダイオード又はJFET、BJT、IGFET、及びIGBTのトランジスタセルのアノード領域などの機能素子が形成される。炭化ケイ素ボディ700のデバイス領域は、対応する数の半導体デバイスについての複数の半導体ボディ100を形成する。各半導体ボディ100の第1の表面101には、少なくとも第1の負荷電極310を含む第1のメタライゼーションが形成される。キャリア箔400は、例えば第1の負荷電極310を含む第1のメタライゼーション上に接着結合などにより可逆的に取り付けられる。
【0124】
図示の実施形態は、半導体ボディ100の垂直方向の延びがその最終的な値まで減らされる前に半導体ボディ100がエッチング工程によって分離される、DBG(研削前ダイシング)プロセスに関する。DBGプロセスは、例えば、デバイス領域を分離する格子状のダイシング溝を形成するエッチング工程と、少なくとも部分的にダイシング溝を充填する分離構造450を形成するために補助的な材料でダイシング溝を少なくとも部分的に充填する充填工程とを含み得る。別の実施形態によれば、隣接する半導体ボディ100は互いに直接隣接し得る。
【0125】
炭化ケイ素ボディ700は、その後、デバイス裏面から薄化される。例えば、研削工程、研磨工程、又は研削と研磨との組み合わせの工程により、炭化ケイ素ボディ700の一部が取り除かれる。
【0126】
図13Bは、薄化された炭化ケイ素ボディ700を示す。ウエハー複合体900は、その後、裏返しにされ、炭化ケイ素ボディ700の処理表面701上にニッケルオキシメートが噴霧され得、その場合、処理表面701は半導体ボディ100の裏側で第2の表面102の一部(例えば、DBG手法の場合、分離構造450の露出部分)を露出させる。例えば、約10mgのニッケルオキシメートが10mlのイソプロパノール中に溶解している溶液390の0.5ml〜5mlが複数回に分けて処理表面701上に噴霧される。
【0127】
図13Cは、ニッケルオキシメート溶液390を含む前駆体構造380を示す。ニッケルオキシメート溶液390は、25℃の周囲温度及び周囲圧力で固体であるか又は高粘度であり得る。キャリア箔400は取り除かれ得る。
【0128】
図13Dは、キャリア箔400を取り除いた後のウエハー複合体900を示す。キャリア箔400を取り除く前又は後に、ニッケルオキシメート溶液390を含有する前駆体構造380を焼成するために、ウエハー複合体900に対して150℃〜250℃の範囲の温度で熱処理を行い得る。熱処理によって溶媒が気体状の分解生成物へ分解する。ニッケルオキシメートは、孤立した部分356を含む完全な又は不完全な及び非連続的な開始層350を形成し得る。
【0129】
図13Eは、処理表面701上の不完全な開始層350を示す。3.8Jcm
−2〜4.5Jcm
−2のエネルギー密度でのレーザーアニールにより、処理表面701に沿った炭化ケイ素ボディ700の一部が加熱される。
【0130】
図13Fに示されているように、レーザーアニールにより、
図13Eの開始層350の孤立した部分356のニッケル酸化物が、シリサイド核305と炭素被覆309と含む界面粒子300へ変換される。界面粒子300は、半導体ボディ100の第2の表面102に形成される。金属が堆積され得る。
【0131】
図13Gは、金属接触構造302と半導体ボディ100との間に界面粒子300を埋め込んでおり、炭化ケイ素ボディ700の処理表面701上に連続的な金属層311を形成している金属接触構造302を示す。その後、例えばピックアップテープ上にウエハー複合体900が接着され、その後、分離構造450が選択的に取り除かれることにより、半導体ボディ100がシンギュレーションされ得る。
【0132】
本明細書では、特定の実施形態を図示及び説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、図示及び説明されている特定の実施形態を様々な代替の及び/又は均等な実装形態によって置き換え得ることは当業者に理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられている特定の実施形態のあらゆる適合形態又は変形形態を網羅することが意図されている。したがって、本発明は請求項及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。