特許第6571210号(P6571210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571210
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】観察装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20190826BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20190826BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20190826BHJP
   G06T 7/12 20170101ALI20190826BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   G01N21/17 A
   C12M1/34 A
   G06T7/00 630
   G06T7/12
   !C12Q1/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-563744(P2017-563744)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2016088266
(87)【国際公開番号】WO2017130613
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-12930(P2016-12930)
(32)【優先日】2016年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桝屋 豪
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 宗郎
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−209085(JP,A)
【文献】 特表2007−527540(JP,A)
【文献】 特表2011−525009(JP,A)
【文献】 特開2010−011814(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107321(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0125242(US,A1)
【文献】 米国特許第05932872(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
C12M 1/34
C12M 1/38
G06T 1/00− 1/60
G06T 7/00− 7/90
G01N 15/14
G02B 21/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル容器内のサンプル液中に存在する微粒子の測定に用いる光学系と、
前記サンプル容器の底面を3次元的に探索するために前記サンプル容器及び前記光学系
の一部の少なくともいずれか一方を駆動させる駆動機構と、
前記光学系または前記駆動機構を制御する制御部と、
第1の時間及び第2の時間における前記サンプル容器内の微粒子の画像を焦点が合った領域と焦点が合っていない領域に分け、前記微粒子に関する情報を取得する画像処理部と、
前記微粒子に関する情報を、前記第1の時間及び第2の時間の間の時間的な変化を表す情報として表示する表示部とを備え
前記時間的な変化を表す情報は、前記サンプル液中に浮遊する微粒子量の情報と、時間との関係を表す情報であり、
前記サンプル液中に浮遊する微粒子量の情報は、焦点があっていない領域の輝度のばらつきを指標とし、算出することを特徴とする観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置において、
前記画像処理部は、コントラストにより外形抽出を行うことで焦点が合った領域と焦点が合っていない領域に分けることを特徴とする観察装置。
【請求項3】
請求項1に記載の観察装置において、
前記焦点が合っていない領域は、さらにデフォーカス量によって、複数の領域に分画し、
分画された領域毎に画像処理を行い、分画された領域毎に前記微粒子の量を算出し、前
記微粒子のサンプル液中の空間分布を求めることを特徴とする観察装置。
【請求項4】
請求項3に記載の観察装置において、
デフォーカス量によって分画された領域毎にデフォーカス補正を行い、前期微粒子のサンプル液中の空間分布を求めることを特徴とする観察装置。
【請求項5】
請求項3に記載の観察装置において、
前記表示は、前記第1の時間での前記微粒子の空間的分布の情報と、前記第2の時間での前記微粒子の空間的分布の情報とを表示することを特徴とする観察装置。
【請求項6】
請求項1に記載の観察装置において、
前記微粒子に関する情報は、前記微粒子の数、前記微粒子の大きさ、前記微粒子の形状、及び、焦点面における前記微粒子が占める割合の少なくとも1つであることを特徴とする観察装置。
【請求項7】
請求項1に記載の観察装置において、
前記微粒子は細菌であり、サンプル液を温調する機構を備え、前記時間的な変化を表す情報は、前記細菌のサンプル液中に浮遊する量の情報と、時間との関係を表す情報であることを特徴とする観察装置。
【請求項8】
請求項7に記載の観察装置において、
前記制御は、前記時間的な変化を表す情報から、前記細菌の運動性に関する情報を求めることを特徴とする観察装置。
【請求項9】
請求項7に記載の観察装置において、
前記制御は、前記サンプル液に薬剤を入れる前後についての前記時間的な変化を表す情報から、前記薬剤の前記細菌への応答に関する情報を求めることを特徴とする観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微生物や細胞・細菌などの薬剤活性を測定することが医薬品分野の研究や臨床の現場で盛んに行われている。液体中の細胞・細菌の状態を測定する方法には、主に光の散乱を解析する光散乱法と、顕微鏡などで撮像する画像イメージング法がある。光散乱法は、比較的高濃度の粒子の大きさや個数を簡便に測定できる。光散乱法は、細胞・細菌が懸濁されているサンプル液に入射する光の散乱強度を測定する方法である。その散乱強度は細胞・細菌の体積や個数に相関があり、薬剤活性を検査する手法として、一般に用いられている。例えば、細菌が含まれている液体に光を照射し、細菌によってその入射光が散乱され、透過した光量の減衰を測定する。これにより、細菌の増殖状態を計測する。また、顕微鏡観察で細胞の体積や個数だけではなく、細胞の形状まで測定する画像イメージング法が近年盛んに用いられている。細胞に対する薬剤活性の検査は、癌化メカニズムや、再生医療実現ツールとして重要視されている肝細胞の性質などを解明するために必要不可欠と考えられている。
【0003】
細胞の状態を画像イメージングにより観察する方法として、光学顕微鏡観察、蛍光顕微鏡観察などが知られている。最も一般的で簡便な方法は光学顕微鏡である。しかし、細胞は透明であり、細胞の形状を認識することが困難な場合がある。細胞を光学顕微鏡観察する方法に位相差観察法という屈折率の変化を捉える観察法で透明な細胞を観察する方法がある。蛍光顕微鏡は細胞を蛍光物質で染色することで、通常の光学顕微鏡よりも高感度に細胞を認識できる。蛍光顕微鏡は細胞を蛍光物質で染色する必要があるため、観察対象である細胞のありのままを観察できない場合がある。また、蛍光物質として導入した分子やタンパク質が生体分子の活動に影響を与えるおそれもある。薬剤活性を検査する上では、細胞のありのままの状態を観察する必要がある。
【0004】
細菌に対する薬剤活性の検査において、抗菌剤の細菌への効果、つまり抗菌剤により細菌の増殖が抑制されることを検査する装置(感受性検査装置)が存在する。、感受性検査装置では、光散乱法を用いて、細菌の数を計数する。前述しているように、光散乱法のほかに、細菌の数を計数する方法として、画像イメージング法がある。顕微鏡観察によって1つの細菌の増殖過程を観察する。細菌の中には走性を有するもの(例えば、大腸菌)があり、画像イメージング法によって、抗菌剤による走性の変化を捉えることも可能となる。走性つまり運動性を検査するには、一般に動画像を取得する。例えば、脈動する心筋細胞について、薬剤の運動性への効果を検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
細胞・細菌が運動して焦点面から外れ、対物レンズに対して手前または奥に存在する場合がある。この手前または奥に存在することを判定することでも、細胞・細菌の運動性を評価することが可能である。細胞が焦点面、例えば、サンプル容器の底面に接着しているか、またはその底面から離れているかを判定する装置がある。画像内に細胞があるかを認識し、認識された個々の細胞がサンプル容器底面に接着しているかを判定する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2012−194168号公報
【特許文献2】特開2009−89628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動画像取得では、焦点面は固定されているため、細胞が焦点面から外れる方向に運動した場合、その細胞の運動を把握することは出来なかった。焦点面から外れ、細胞の像がデフォーカスし、細胞として認識されないものに関しては、無視されていた。したがって、細胞として輪郭が明瞭な領域のみが解析に使用され、細胞として輪郭が不明瞭な領域は背景領域として平滑化され、情報は取り除かれていた。また、複数枚の画像を撮像し、動画像を生成するため、1つのサンプルの運動性を評価するために撮像時間、処理時間について長時間を要した。
【0008】
個々の細胞をサンプル容器底面に接着しているかを判定する方法では、細胞が焦点面から外れる方向に運動したことを把握することは可能である。しかし、焦点面から外れ、細胞の像がデフォーカスし、細胞として認識されないものに関しては、無視されていた。したがって、細胞として輪郭が明瞭な領域のみが解析に使用され、細胞として輪郭が不明瞭な領域の情報は使用されていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、焦点面から外れた細胞・細菌に関して、デフォーカスにより、形状を認識できない場合においても、細胞・細菌が存在することを認識し、定量評価できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願の観察装置は、サンプル容器内のサンプル液中に存在する微粒子の測定に用いる光学系と、
前記サンプル容器の底面を3次元的に探索するために前記サンプル容器及び前記光学系の一部の少なくともいずれか一方を駆動させる駆動機構と、
前記光学系または前記駆動機構を制御する制御部と、
第1の時間及び第2の時間における前記サンプル容器内の微粒子の画像を焦点が合った領域と焦点が合っていない領域に分け、前記微粒子に関する情報を取得する画像処理部と、
前記微粒子に関する情報を、前記第1の時間及び第2の時間の間の時間的な変化を表す情報として表示する表示部と、
を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細胞・細菌の観察像において、一度の撮像によって得られる画像から、焦点があっていない像においても、情報として解析し、細胞・細菌の光軸方向の位置関係を検出し、細胞・細菌の運動性を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】観察装置のシステム全体を示した模式図である。
図2】コンピュータの各種処理部を説明する図である。
図3A】細菌検体の検査方法を示したフローチャートである。
図3B図3Aの測定データ出力のステップの内容を示したフローチャートである。
図4A】第1実施例に係るサンプル容器の底面に最も近い撮像画像である。
図4B】第1実施例に係る図4Aの外形抽出後の画像である。
図4C】第1実施例に係る図4Aの背景領域の画像である。
図5】第1実施例に係るコンピュータのディスプレイに表示される画面の一例である。
図6A】第2実施例に係るサンプル容器の底面に最も近い撮像画像である。
図6B】第2実施例に係る図6Aの外形抽出後の画像である。
図6C】第2実施例に係る図6A図6Bと異なる処理による外形抽出後の画像である。
図6D】第2実施例に係る図6A図6B図6Cと異なる処理による外形抽出後の画像である。
図7】第2実施例に係るコンピュータのディスプレイに表示される画面の一例である。
図8】第2実施例に係るコンピュータのディスプレイに表示される画面の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例をあげるならば、構成としては、サンプル容器底面に存在する細胞・細菌を測定する対物レンズなどの光学系と、その像をデジタル信号に変換する撮像素子、画像のデジタル信号を受け取り解析するパーソナルコンピュータからなり、画像処理装置の構成としては、サンプル容器底面に存在する細胞・細菌に焦点のあった像の境界線を抽出する外形抽出機能、その境界線で分けられる検出領域と背景領域の分割機能、検出領域の細胞・細菌の情報を検出する検出領域解析部、背景領域のデフォーカスした細菌・細胞を検出する背景領域解析部、検出領域、背景領域の解析した情報をモニタなどに表示する表示部を備えた観察装置を提供する。
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0015】
以下の実施例は、薬剤が含まれた液体中に存在する細胞・細菌の薬剤活性を検査する手法または装置に関する。
各実施例について、以下の項目について説明する。
1.観察装置の測定方法の概略
2.検査方法と結果出力
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。
【実施例1】
【0016】
1観察装置の測定方法の概略
図1に本実施例の細菌観察装置の概略図を示す。細菌観察装置は、主要な構成要素として、照明101と、サンプル容器102と、台座103と、XYステージ104と、対物レンズ105と、対物レンズアクチュエータ106と、撮像素子107と、コンピュータ108を備える。
【0017】
照明101はサンプル容器102の底面を均一に照明するように光学設計されているケーラー照明が望ましい。サンプル容器102は少なくとも1つ以上のサンプル液を保持できる格納部を有するものとする。台座103は、サンプル容器102を保持することができ、上面からから光が入射し、底面から光が抜ける構造を有する。XYステージ104は、サンプル容器102を載せた台座103をX方向及びY方向に移動できる。XYステージ104にはサンプル容器102を温調するヒーター(不図示)を備える。例えば、透明ガラスヒータにより、サンプル容器102を囲ってもよい。また、光学系全体を断熱材で囲い、内部をヒーターで温調しても良い。対物レンズアクチュエータ106は、対物レンズ105をZ方向に移動させるアクチュエータであり、対物レンズ105の焦点位置をサンプル容器102の深さ方向に走査することができる。撮像素子107は対物レンズ105の焦点位置にある像を結像させる位置に設置される。撮像素子107と対物レンズ105の間に結像レンズを設置しても良い。撮像素子107は撮像素子上に結像された像をデジタル信号に変換し、コンピュータ108に転送される構造を備える。
【0018】
コンピュータ108は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、メモリなどの記憶部と、ハードディスクなどの記憶装置を少なくとも備える。また、コンピュータ108は、ユーザからの入力を受け付ける入力装置(マウス、キーボードなど)と、測定結果を表示する表示装置(ディスプレイなど)とを備える。
【0019】
測定する細菌と抗菌剤を懸濁したサンプル液が入ったサンプル容器102を準備する。サンプル容器102の底面は薄く、平滑であることが望ましい。また、サンプル容器102はサンプル保持部を多数持つマイクロタイタープレートを用いても良い。サンプル容器102を台座103に固定する。照明101からサンプル容器102の底面に均一な強度の光が照射される。光学系としては、明視野、暗視野、位相差などの結像系光学系が望ましい。照明されたサンプル容器102の底面付近に存在する細菌像を対物レンズ105によって、集光する。対物レンズ105によって集光された細菌像は撮像素子107に結像される。このとき、対物レンズ105の焦点位置がサンプル容器102の底面に合致していない場合、対物レンズアクチュエータ106を動かし、対物レンズ105のZ高さ位置を調節する。対物レンズ105のZ高さ位置の調節には撮像素子107によって撮像された画像のコントラストを監視する過程をとるようなオートフォーカス機能を用いても良い。
【0020】
撮像素子107で撮像された画像は、デジタルデータとして、コンピュータ108に送信される。送信された画像は、コンピュータ108の記憶装置に保存される。
【0021】
図2は、コンピュータ108の各種処理部を説明する図である。コンピュータ108は、照明101などの光学系及び駆動機構(対物レンズアクチュエータ106とXYステージ104)、ヒーターを制御し、複数の異なる時間に関して、細菌に関する情報を取得する。また、コンピュータ108は、取得した情報から、細菌に関する情報の時間的な変化を表す情報を求める。この機能を実現するため、コンピュータ108は、データ取得部201と、データ解析部202と、データ表示処理部203と、制御部204とを備える。
【0022】
データ取得部201は、撮像素子107に結像された画像を取得するモジュールである。データ取得部201は、例えば、撮像素子107から送信されるデジタルデータを2次元画像再生する。
【0023】
また、データ解析部202は、データ取得部201で生成された画像を入力情報とし、測定データの解析結果を出力するモジュールである。例えば、データ解析部202は、複数の異なる時間に関して、画像情報を解析し、細菌の数、細菌の形状、細菌の大きさ、浮遊細菌量、焦点面における細菌が占める割合の少なくとも1つの定量値を算出してもよい。一例として、データ解析部202は、画像情報の所定の輝度値以上の部分の数を計数し、細菌の数を求めてもよい。細菌の形状、細菌の大きさ、及び、焦点面における細菌が占める割合についても、画像情報の所定の輝度値以上の部分のサイズから求めてもよい。
【0024】
また、データ解析部202は、浮遊細菌の情報から、細菌の運動性に関する情報を求めてもよい。また、データ解析部202は、浮遊細菌の情報と時間との関係を表す情報から、細菌の運動性の時間的変化に関する情報を求めてもよい。例えば、サンプル容器の底面から離れた位置での細菌の数が減少した場合、走性を有する細菌に薬剤が影響したと判断でき、薬剤の細菌への応答を検出することができる。
【0025】
上記のように、データ解析部202は、細菌に関する情報の時間的な変化から、細菌の状態変化を検査できる統計ソフトウェアを備えてもよい。
【0026】
データ表示処理部203は、データ解析部202からの解析結果をコンピュータ108のディスプレイに表示するモジュールである。例えば、データ表示処理部203は、複数の焦点面での細菌に関する情報を、時間的な変化が比較できる形式でディスプレイ上に表示する。
【0027】
また、データ表示処理部203は、細菌に関する情報の時間的な変化の解析結果をディスプレイ上に表示してもよい。例えば、データ表示処理部203は、細菌の運動性に関する判定結果、及び薬剤の細菌への応答に関する情報をディスプレイ上に表示してもよい。
【0028】
制御部204は、細菌観察装置の各構成要素を制御するモジュールである。例えば、制御部204は、細菌観察装置の各構成要素を制御して、測定の開始及び測定の終了を管理することができる。また、制御部204は、測定データを取得する際に、対物レンズアクチュエータ106の駆動及びXYステージ104の駆動を制御することができる。
【0029】
なお、上記で説明した処理部は、コンピュータ108上で実行されるプログラムの機能として実現されてもよい。上記の処理部は、各処理に対応するプログラムコードがメモリに格納され、プロセッサが各プログラムコードを実行することによって実現されてもよい。なお、上記の処理部の一部が、専用の回路基板などのハードウェアによって構成されてもよい。
【0030】
2検査方法と結果出力
図3Aは、細菌検体の検査方法を示したフローチャートである。まず、血液などから分離培養された細菌である検体を入手する(301)。通常細菌量が少ないため、前培養を行う(302)。次に、細菌への応答を検査する薬剤と培養液との混合液(サンプル溶液)を準備する(303)。細菌を薬剤が混ざったサンプル溶液に懸濁する(304)。このとき、細菌への薬剤応答は最短でも数時間を要するため、薬剤が入っていない培養液のみのサンプル溶液であるコントロールも用意しておく。細菌入りのサンプル溶液をサンプル容器に分注する(305)。次に、サンプル容器を本実施例の観察装置にセットする(306)。観察装置での測定を開始する(307)。その後、温度コントロール及び計測を行いながら、測定データを取得する(308)。取得した測定データは、コンピュータ108によって解析処理が行われる。解析処理後に薬剤が細菌にどのような影響を与えたかの検査結果をコンピュータ108上に出力する(309)。
【0031】
図3Bは、図3Aのステップ308の内容を示したフローチャートである。データ取得部201は、撮像素子107で測定された測定データを取得する(311)。このとき、制御部204は、対物レンズアクチュエータ106を駆動させ、対物レンズ105の焦点位置をサンプル容器102の底面に合わせる機能を持つオートフォーカスを行っても良い。
【0032】
データ解析部202は、データ取得部201で取得された2次元平面データを解析する(312)。一例として、データ解析部202は、2次元平面データを画像情報に変換してもよい。別の例として、データ解析部202は、画像情報を解析し、細菌の数、細菌の形状、細菌の大きさ、浮遊細菌の量及び焦点面での細菌が占める割合の少なくとも1つの定量値を算出してもよい。また、データ解析部202は、算出された定量値から、細菌の運動性を測定してもよい。また、データ解析部202は、細菌に関する情報の時間的な変化から細菌の状態変化を検査してもよい。
【0033】
データ解析部202は、解析結果を出力する(313)。なお、この時点で、データ表示処理部203が、データ解析部202からの解析結果をコンピュータ108のディスプレイに表示してもよい。
【0034】
次に、測定を終了するかを判定する(314)。終了しない場合は、測定間隔だけ待機し(315)、ステップ311に戻る。したがって、本実施例では、データ解析部202は、サンプル液に薬剤を入れた後の複数の異なる時間について、2次元平面データまたは画像を解析する。データ解析部202は、細菌に関する情報の時間的な変化を表す情報から、前記薬剤の前記細菌への応答に関する情報を求めることができる。例えば、データ解析部202は、薬剤の入れた後の1時間後(第1の時間)の測定データの解析結果と、5時間後(第2の時間)の測定データの解析結果を出力する。その後に実施される図3Aのステップ309では、データ表示処理部203が、第1の時間での測定データの解析結果と、第2の時間での測定データの解析結果をコンピュータ108のディスプレイに表示することができる。
【0035】
なお、データ取得部201が、サンプル液に薬剤を入れる前及び後についての複数の焦点面での2次元平面データを取得し、データ解析部202が、薬剤を入れる前及び後についての細菌に関する情報の時間的な変化を表す情報を求めてもよい。この場合、データ解析部202が、薬剤を入れる前及び後についての情報から、薬剤の細菌への応答に関する情報を求める。
【0036】
図4Aは、取得した画像の一例である。対物レンズ105の焦点位置がサンプル容器102の底面に合っている状態であり、細菌がサンプル容器102の底面に近い場合には細菌像はデフォーカスすることが無く、細菌がサンプル容器102の底面位置から遠い場合には細菌像はデフォーカスする。図4Bは、図4Aの外形抽出を行い、画像を2値化することによって、細菌の領域と背景領域に分けた処理後画像である。外形抽出は像のコントラストにより行われる。例えば、外形抽出にはSobelフィルターが一般に用いられている。図4Cは、図4Bでの背景領域として分画された図4Aの画像である。この背景領域として分画された領域には、サンプル容器102の底面位置から離れた細菌の情報が含まれている。背景領域にデフォーカスした細菌像が含まれている場合には、背景領域の輝度のばらつきは大きくなり、標準偏差(S.D.)が大きくなる。背景領域にデフォーカスした細菌像が含まれていない場合には、信号ノイズのみとなり、背景領域の輝度のばらつきは小さくなり、輝度の標準偏差(S.D.)は小さくなる。背景領域の輝度の標準偏差はサンプル容器102の底面から離れた浮遊細菌の量に相関がある。
【0037】
図5は、データ表示処理部203によってコンピュータのディスプレイに表示される画面の例である。画面には細菌が入っている溶液の状態を示す実験条件を表示する実験条件表示部501、画像を取得するための条件である入射光量や画像測定間隔を示す測定条件表示部502、第1の時間(例えば細菌の懸濁から1時間後)の細菌像を表示する第1の領域503と、第2の時間(例えば細菌の懸濁から5時間後)の細菌像を表示する第2の領域504を有する。第1の領域503、第2の領域504のそれぞれの領域には画像中のサンプル容器102底面の細菌の数を示す細菌数表示部505と、浮遊細菌の量を示す背景領域の輝度の標準偏差(S.D.)が表示される浮遊細菌量表示部506を有する。
【0038】
本実施例の画面には、サンプル容器102の底面付近に存在する細菌数のほかに培養液中に浮遊する細菌の量に相関がある量が表示される。また、異なる時間での細菌数の情報が、細菌数の時間変化を比較できる形式で並んで表示される。したがって、時間経過による薬剤の細菌への応答を観察することができる。
【0039】
なお、図5の例では、2つの異なる時間での細菌に関する情報(細菌数及び浮遊細菌量)を表示したが、3つ以上の異なる時間での細菌に関する情報を比較できる形式で画面に表示してもよい。
【0040】
以上の実施例の細菌観察装置は、サンプル容器102内のサンプル液中の対物レンズ105の焦点面に存在する微粒子(細菌、細胞など)を測定する光学系と、サンプル容器102底面に焦点を合わせる駆動機構(対物レンズアクチュエータ105とXYステージ104)とを備える。撮像素子107による測定結果(観察像)をデジタルデータに変換し、コンピュータ108に転送する。コンピュータ108は、デジタルデータを画像情報に変換し、その画像情報をディスプレイに表示する。ここで、コンピュータ108は、異なる複数の時間での測定結果をディスプレイに表示する。また、コンピュータ108は、画像情報を画像処理することにより、画像を細菌の領域と背景の領域の2つの分ける処理を有する。細菌の領域からは、細菌の個数、大きさ、形状などの定量値を算出する。背景の領域からは、浮遊細菌の量を算出する。コンピュータ108は、その定量値から細菌の増殖力や運動性を測定し、その運動性の時間変化から微粒子の状態変化を検査してもよい。
【0041】
以上の実施例によれば、微粒子(細胞又は細菌など)のサンプル容器底面付近のでは形状を正確に測定することができ、デフォーカスした像からはサンプル液中に浮遊しているという空間分布情報を測定することができる。複数枚の画像を取得し、動画撮影をすることなく、1枚の静止画像で微粒子の運動性の情報を得ることができる。また、薬剤(例えば、抗菌剤)を作用させた後、この細菌数分布の時間変化から、細菌の抗菌剤への効果を検査することができる。
【0042】
また、細菌の空間的な分布から、細菌が走性を有するか、さらに、どの程度走性を有するかを測定することができる。また、液体中への細菌の分布の広がりの程度を測定することによって、細菌の走性の程度を検査することができる。
【実施例2】
【0043】
1観察装置の測定方法の概略
第1実施例と同様である。
【0044】
2検査方法と結果出力
図3A及び図3Bを用いて上述した通り、データ解析部202が、薬剤を入れる前及び後についての情報から、薬剤の細菌への応答に関する情報を求める。
【0045】
図6Aは、取得した画像の一例である。対物レンズ105の焦点位置がサンプル容器102の底面に合っている状態であり、細菌がサンプル容器102の底面に近い場合には細菌像はデフォーカスすることが無く、細菌がサンプル容器102の底面位置から遠い場合には細菌像はデフォーカスする。
【0046】
図6Bは、図6Aの外形抽出を行い、画像を2値化することによって、細菌の領域と背景領域に分けた処理後画像である。外形抽出は像のコントラストにより行われる。例えば、外形抽出にはSobelフィルターが一般に用いられている。図6Cは、図6Bの背景領域として分画された図6Aの画像を図6Bで行った画像処理とは異なる2値化パラメータで外形抽出を行った処理後画像である。2値化パラメータを変更する以外に先鋭化処理を行っても良い。図6Dは、図6Bの背景領域かつ図6Cの背景領域として分画された図6Aの画像を図6Cで行った画像処理とは異なる2値化パラメータで外形抽出を行った処理後画像である。2値化パラメータを変更する以外に先鋭化処理を行っても良い。本実施例では3段階に2値化パラメータを変更し、デフォーカス量毎に細菌の外形抽出を行った。デフォーカス量はサンプル容器102の底面からの距離に相関があるため、サンプル容器102の底面からの距離での細菌量を算出することが可能となる。より高分解能に底面からの距離で細菌量を算出する場合には、本実施例で行った3段階の2値化パラメータの変更をより多段階の2値化パラメータ変更を行うことで可能となる。また、デフォーカスした像は正確な形状を反映していないので、デフォーカス量毎に細菌の外形を補正することを行うことが望ましい。
【0047】
図7は、データ表示処理部203によってコンピュータのディスプレイに表示される画面の例である。画面には細菌が入っている溶液の状態を示す実験条件を表示する実験条件表示部701、画像を取得するための条件である入射光量や画像測定間隔を示す測定条件表示部702、第1の時間(細菌の懸濁から1時間後)の細菌像を表示する第1の領域703と、第2の時間(細菌の懸濁から5時間後)の細菌像を表示する第2の領域704を有する。第1の領域703、第2の領域704のそれぞれの領域には画像中のサンプル容器102底面の細菌の数を示す細菌数表示部705と、浮遊細菌の数を表示する浮遊細菌量表示部706、浮遊細菌のサンプル容器102底面からの距離での細菌数分布を表示する細菌数分布図707を有する。
【0048】
本実施例の画面には、サンプル容器102の底面付近に存在する細菌数のほかに培養液中に浮遊する細菌の量に相関がある量が表示される。また、異なる時間での細菌数の情報が、細菌数の時間変化を比較できる形式で並んで表示される。したがって、時間経過による薬剤の細菌への応答を観察することができる。
【0049】
なお、図7の例では、2つの異なる時間での細菌に関する情報(細菌数及び浮遊細菌量)を表示したが、3つ以上の異なる時間での細菌に関する情報を比較できる形式で画面に表示してもよい。
【0050】
図8は、細菌の空間的分布の情報と時間との関係を表す情報である。詳細には、図8は、サンプル容器の底面からの高さに対する細菌数の分布の時間的な変化をプロットしたグラフである。図8のグラフでは、縦軸を細菌数とし、横軸を、底面からの高さ(Z方向位置)とし、奥行きの軸を、培養時間(例えば、サンプル液を準備してからの経過時間など)とする。一例として、データ解析部202は、図8のような情報を出力してもよい。サンプル容器の底面を0μmとすると、0μmの位置での細菌数は、時間が経つにつれて増加している。一方、サンプル容器の底面から200μmの場所の細菌数は、時間が経つにつれて減少している。走性を持つ場合、細菌は底面からの各高さ、ここでは200μmの高さで増殖または、一定という傾向がある。サンプル容器底面から200μmの場所で細菌数が減少したことは、元々運動していたサンプル液中の細菌が、薬剤(例えば、抗菌剤)の影響で走性を失って、細菌自体の活動が低下したことを示している。このように、サンプル液中の細菌数の高さ方向の分布の培養時間による経時変化を解析することによって、抗菌剤の効果を検査することができる。したがって、データ解析部202は、細菌の空間的分布の情報と時間との関係を表す情報から、薬剤の細菌への応答の判定結果を出力してもよい。
【0051】
以上の実施例の細菌観察装置は、サンプル容器102内のサンプル液中の対物レンズ105の焦点面に存在する微粒子(細菌、細胞など)を測定する光学系と、サンプル容器102底面に焦点を合わせる駆動機構(対物レンズアクチュエータ105とXYステージ104)とを備える。撮像素子107による測定結果(観察像)をデジタルデータに変換し、コンピュータ108に転送する。コンピュータ108は、デジタルデータを画像情報に変換し、その画像情報をディスプレイに表示する。ここで、コンピュータ108は、異なる複数の時間での測定結果をディスプレイに表示する。また、コンピュータ108は、画像情報を画像処理することにより、画像を細菌の領域と背景の領域の2つの分ける処理を有する。細菌の領域からは、細菌の個数、大きさ、形状などの定量値を算出する。背景の領域からは、浮遊細菌の量を算出する。コンピュータ108は、その定量値から細菌の増殖力や運動性を測定し、その運動性の時間変化から微粒子の状態変化を検査してもよい。または、微粒子の自然沈降から、微粒子の比重や表面状態の変化を評価してもよい。
【0052】
以上の実施例によれば、微粒子(細胞又は細菌など)のサンプル容器底面付近のでは形状を正確に測定することができ、デフォーカスした像からはサンプル液中に浮遊しているという空間分布情報を測定することができる。複数枚の画像を取得し、動画撮影をすることなく、1枚の静止画像で微粒子の運動性の情報を得ることができる。また、薬剤(例えば、抗菌剤)を作用させた後、この細菌数分布の時間変化から、細菌の抗菌剤への効果を検査することができる。
【0053】
また、細菌の空間的な分布から、細菌が走性を有するか、さらに、どの程度走性を有するかを測定することができる。また、液体中への細菌の分布の広がりの程度を測定することによって、細菌の走性の程度を検査することができる。
【符号の説明】
【0054】
101 …照明
102 …サンプル容器
103 …台座
104 …XYステージ
105 …対物レンズ
106 …対物レンズアクチュエータ
107 …撮像素子
108 …コンピュータ
201 …データ取得部
202 …データ解析部
203 …データ表示処理部
204 …制御部
501 …実験条件表示部
502 …測定条件表示部
503 …画像表示部1
504 …画像表示部2
505 …細菌数表示部
506 …風有細菌量表示部
701 …実験条件表示部
702 …測定条件表示部
703 …画像表示部1
704 …画像表示部2
705 …細菌数表示部
706 …風有細菌量表示部
707 …細菌数分布表示部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8