(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記AEセンサは、検出したAE波に基づく信号を電磁波として送信するAEセンサ送信部と、前記AEセンサ送信部から送信された信号を受信するAEセンサ受信部とから構成され、
前記AEセンサ送信部は、前記砥石、または、前記砥石の台金、または、前記砥石を前記スピンドルに固定するためのフランジのうちの少なくともいずれかに設置され、
前記AEセンサ受信部は、前記スピンドルの回転に伴って回転する前記AEセンサ送信部の回転途中のいずれか位置で前記AEセンサ送信部と対向する場所に設置されている請求項1に記載のウエハ面取り装置。
前記ウエハの面取り中に、前記ウエハが少なくとも1回転する間に発生するAE波を解析するための解析手段をさらに備えている請求項1または2に記載のウエハ面取り装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。
【0019】
<ウエハ面取り装置の構成>
本発明に係るウエハ面取り装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のウエハ面取り装置の概略部分断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態のウエハ面取り装置100は、面取り研磨を行うための研磨部10と、面取りされるワーク(加工対象物)であるウエハを載置固定するためのワーク部20と、ワーク部20をX軸、Y軸、Z軸方向に移動させるためのXYZ移動台(不図示)と、研磨部10、ワーク部20、XYZ移動台を制御する制御部(不図示)とを主に備えて構成される。
【0021】
研磨部10は、円盤形状の砥石102と、砥石102を回転させるためのスピンドル104と、砥石102を上下で挟み込んでスピンドル104に固定するためのフランジ(上側砥石フランジ106及び下側砥石フランジ108)と、下側砥石フランジ108に設置されたAEセンサ送信部116と、スピンドル104の回転に伴って下側砥石フランジ108とともに回転するAEセンサ送信部116の回転途中のいずれか位置でAEセンサ送信部116と対向する位置に設置されたAEセンサ受信部120と、スピンドル104を回転させるモータ(不図示)と、を主に備えて構成される。
【0022】
ワーク部20は、ワークであるウエハ110を載置して固定するための載置台112と、載置台を回転させるための心棒114と、心棒114を回転させるためのモータ(不図示)を、を主に備えて構成される。
【0023】
砥石102は、その円盤形状の外周端に、外周に沿って形成された複数の溝122を有している。これら複数の溝は、それぞれがウエハ110の外周端を面取り研磨(または研削)するための溝であり、この溝の形状がウエハ110の外周端に転写されることにより、ウエハ110が面取りされる。よって、この溝の内部形状を所望の形状にすることにより、これが転写されてウエハ110の外周端が所望の面取り形状になる。
【0024】
砥石102は、中心に貫通穴を有し、スピンドル104にこの貫通穴を貫通され、上下を上側砥石フランジ106と、下側砥石フランジ108に挟まれてスピンドル104に固定される。スピンドル104は、不図示のモータに接続され、不図示の制御部からの制御に従って回転する。これにより、スピンドル104に固定された上側砥石フランジ106、砥石102、下側砥石フランジ108は、スピンドル104の回転に伴って回転する。
【0025】
下側砥石フランジ108は、砥石102がある方とは反対側の面にAEセンサ送信部116が設置されている。AEセンサ送信部116は、例えば、下側砥石フランジ108の下面内部に埋め込まれても良いし、下面に穴を設けそこに設置されても良い。
図1においては、AEセンサ送信部116は、リング形状を成しているが、バルク状であっても良いし、その他どのような形状であっても良い。
【0026】
また、AEセンサ送信部116が設置されている場所は、スピンドル104の軸受け(不図示)からのAE波が伝導する最短の道のりで4cm以上離れた位置(ベアリングから砥石フランジ取り付け位置)であることが好ましく、5cm以上離れた位置(第1実施形態での設置位置)であることがより好ましく、6cm以上離れた位置(砥石フランジ最大径位置)であることが最も好ましい。本発明者は、鋭意研究の結果、スピンドルの軸受けからAE波が発生していることを発見した。そして、それが雑音としてAEセンサ送信部116で受信されて、SN比を低下させるとともに、AE波の解析に悪影響を与えることも発見した。
【0027】
本発明者は、更に、スピンドル104の軸受けからのAE波が伝導する最短の道のりで4cm以上離れた位置(ベアリングから砥石フランジ取り付け位置)にAEセンサ送信部116を設けることで、SN比を低下及びAE波の解析の悪影響をかなり防ぐことができ、5cm以上離れた位置(第1実施形態での設置位置)にAEセンサ送信部116を設けることで、SN比の低下及びAE波解析の悪影響をほぼ問題が無いレベルまで防ぐことができ、6cm以上離れた位置(砥石フランジ最大径位置)にAEセンサ送信部116を設けることで、SN比を低下及びAE波の解析の悪影響を完全に無視できるレベルまで防ぐことができることを見いだした。
【0028】
下側砥石フランジ108の下面に対向して位置している平板118には、AEセンサ受信部120が設置されている。AEセンサ受信部120も図においてはリング状であるが、バルク状であっても、その他の形状であって良い。図に示すように、AEセンサ送信部116とAEセンサ受信部120とにリング状のリング型AEセンサを用いる場合は、平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、AEセンサ送信部116と対向する位置となる。
【0029】
このように、AEセンサ送信部116が回転する部材に設置される場合は、リング状のAEセンサ送信部116、AEセンサ受信部120を使用し、AEセンサ送信部116の中心と回転中心と設置する部材の回転中心とが一致するように設置することより、AEセンサ送信部116が部材とともに回転しても、固定されているAEセンサ受信部120が常にAEセンサ送信部116からの信号を受信できる。
【0030】
また、AEセンサ送信部116、AEセンサ受信部120がリング状ではなく、バルク状である場合は、平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、スピンドル104の回転に伴って下側砥石フランジ108とともに回転するAEセンサ送信部116と、その回転途中のいずれかの位置において対向する場所である。
【0031】
よって、AEセンサが、リング状でもバルク状でも平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、スピンドル104の回転に伴って下側砥石フランジ108とともに回転するAEセンサ送信部116と、その回転途中のいずれかの位置において対向する場所であるといえる。
【0032】
平板118は、AEセンサ受信部120を設置可能な平板部分を有すれば全体として平板で無くても、或いは平板で無い部分を含んでいても良く、また、研磨部10を構成する筐体の一部であっても良いし、AEセンサ受信部120を設置するためだけの部品であっても良いし、他の機能を有する部品と共用したものであっても良い。いずれにしても、回転するAEセンサ送信部116と、回転中のいずれかの位置においてAEセンサ送信部116と対向する場所が存在すれば良い。
【0033】
ここで、AEセンサ送信部116と、AEセンサ受信部120とは、それぞれ1個ずつ以上設置されていれば良い。よって、特にAEセンサがバルク状である場合は、どちらか一方、あるいは、両方が複数個設置されていても良い。ただし、AEセンサ送信部116が複数個設置された場合は、複数個のAEセンサ送信部116それぞれに対して、信号を受信するためのAEセンサ受信部120が必要であるが、一つのAEセンサ受信部120が複数のAEセンサ送信部116からの信号を受信する構成であっても良い。
【0034】
載置台112は、加工対象物である円盤形状のウエハ110を載置して固定するものである。固定は、例えば真空吸着などによって行うことができる。ここで、本発明は、円盤形状の加工対象物を回転させながら面取りする装置に関するものであるが、本発明において円盤形状の加工対象物(ウエハ)とは、完全な円盤形状のウエハのみを言うのでは無く、オリフラ(オリエンテーションフラット)を有するウエハも円盤形状の加工対象物に含まれる。即ち、加工対象物の円盤形状が、その一部分または複数部分が欠けていても本発明の円盤形状の加工対象物に含まれるものである。
【0035】
載置台112は、心棒114に接続され、不図示のモータに接続された心棒114の回転に伴って回転する。また、載置台112は、不図示のXYZ移動台により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させられる。これにより、ウエハ110の端部は、砥石102の溝122に当接するようにX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させられて、面取り研磨される。
【0036】
不図示の制御部は、砥石102と載置台112との回転を制御するとともに、XYZ移動台を制御して、ウエハ110の端部を砥石102の溝122に当接させる。このとき、ウエハ110が研磨されることによって発生するAE波は、AEセンサ送信部116で受信されて、電磁波の信号としてAEセンサ受信部120に送信される。
【0037】
AEセンサ受信部120は、受信したAE波に基づく電磁波を電気信号に変換して制御部に送信する。制御部(不図示)は、受信したAE波に基づく信号を解析して、その結果に基づいて、砥石102の回転速度、ウエハ110の回転速度、ウエハ110を砥石102に当接させる場所、強さ等を変化させる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態のウエハ面取り装置について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第2実施形態のウエハ面取り装置の概略部分断面図である。ここでは、第1実施形態のウエハ面取り装置と異なる部分を説明して、同じ部分については説明を省略する。
【0039】
図2を参照して、本発明の第2実施形態のウエハ面取り装置200が、第1実施形態のウエハ面取り装置と異なる点は、砥石102のスピンドル104への固定方法と、AEセンサ送信部116の設置位置とである。第2実施形態のウエハ面取り装置200では、フランジ(上側砥石フランジ106及び下側砥石フランジ108)で挟み込んで砥石102をスピンドル104に固定するのでは無く、砥石102に形成された穴にスピンドル104を挿入し、複数のねじ202で締め付けて固定する構造になっている。
【0040】
そのため、AEセンサ送信部116は、砥石102の上下両面に接合された台金である上側台金204と、下側台金206とのうち、下側台金206に設置されている。このとき、AEセンサ送信部116は、下側台金206内に埋め込まれて設置されていても良いし、下側台金206に設けられた穴の中に設置されていても良い。
【0041】
ここで、AEセンサ送信部116は、下側台金206では無く、砥石102自体に設置されていても良い。その場合、砥石102内部にAEセンサ送信部116が埋め込まれていても良いし、砥石102の下面に設けられた穴にAEセンサ送信部116が設置されても良い。砥石102自体にAEセンサ送信部116が設置される場合は、AEセンサ送信部116が設置されている部分には下側台金206が存在しないように構成されることが望ましい。下側台金206でAEセンサ送信部116が覆われていると、AEセンサ送信部116からの出力電磁波がAEセンサ受信部120に届きにくいからである。
【0042】
第1実施形態と同様に、AEセンサ送信部116が設置されている場所は、スピンドル104の軸受け(不図示)からのAE波が伝導する最短の道のりで4cm以上離れた位置であることが好ましく、5cm以上離れた位置であることがより好ましく、6cm以上離れた位置であることが更に好ましい。理由は、第1実施形態で説明したとおりである。
しかしながら、第2実施形態においては、砥石102とスピンドル104との間に砥石フランジ(上側砥石フランジ106、下側砥石フランジ108)が介在されていないので、少しだけではあるがノイズの減少率が低いので、AEセンサ送信部116が設置されている場所は、スピンドル104の軸受けから6.5cm以上離れた位置であることが更により好ましく、10cm以上離れた位置であることがそれよりも好ましく、13cm以上離れた位置であることが最も好ましい。
【0043】
下側台金206の下面に対向して位置している平板118には、AEセンサ受信部120が設置されている。図に示すように、AEセンサ送信部116とAEセンサ受信部120とにリング状のリング型AEセンサを用いる場合は、平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、AEセンサ送信部116と対向する位置となる。
【0044】
また、AEセンサ送信部116、AEセンサ受信部120がリング状ではない、バルク状ものである場合は、平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、スピンドル104の回転に伴って砥石102及び下側台金206とともに回転するAEセンサ送信部116と、その回転途中のいずれかの位置において対向する場所である。
【0045】
よって、AEセンサが、リング状でもバルク状でも平板118のAEセンサ受信部120が設置されている場所は、スピンドル104の回転に伴って下側台金206とともに回転するAEセンサ送信部116と、その回転途中のいずれかの位置において対向する場所であるといえる。
【0046】
平板118は、AEセンサ受信部120を設置可能な平板部分を有すれば全体として平板で無くても、或いは平板で無い部分を含んでいても良く、また、研磨部10を構成する筐体の一部であっても良いし、AEセンサ受信部120を設置するためだけの部品であっても良いし、他の機能を有する部品と共用したものであっても良い。いずれにしても、回転するAEセンサ送信部116と、回転中のいずれかの位置においてAEセンサ送信部116と対向する場所が存在すれば良い。
【0047】
ここで、AEセンサ送信部116と、AEセンサ受信部120とは、それぞれ1個ずつ以上設置されていれば良い。よって、特にAEセンサがバルク状である場合は、どちらか一方、あるいは、両方が複数個設置されていても良い。ただし、AEセンサ送信部116が複数個設置された場合は、複数個のAEセンサ送信部116それぞれに対して、信号を受信するためのAEセンサ受信部120が必要であるが、一つのAEセンサ受信部120が複数のAEセンサ送信部116からの信号を受信する構成であっても良い。
【0048】
<動作>
次に、本発明のウエハ面取り装置の動作について図面を参照して説明する。本発明のウエハ面取り装置の動作は、第1実施形態でも第2実施形態でも同じ動作であるので、特に断らない限りは、これからの説明は、第1実施形態と第2実施形態の両方の動作を説明したものである。
【0049】
(1)面取り加工
加工対象である円盤形状のウエハ110を載置台112にセットする。制御部(不図示)は、XYZ移動台(不図示)を制御してウエハ110を移動させ、砥石102の溝122のうち、所定の溝に当接させる。このとき、制御装置は、この当接の前にあらかじめ砥石102と載置台112とを回転させながら、ウエハ110を砥石102の溝122に当接させて研削(或いは研磨)する。
【0050】
図3を参照して更に説明する。
図3は、ウエハ110の面取り工程を説明する説明図である。
図3は、ウエハ110の砥石102を用いた面取りを上から見た図である。
図3において、記号304で示す矢印は、ウエハ110の回転方向を示す矢印であり、記号306で示す矢印は、砥石102の回転方向を示す矢印である。
【0051】
図3に示すように、ウエハ110は、反時計回りに回転しながら時計回りに回転する砥石102に接近する。やがてウエハ110と砥石102とが接触してウエハ110の研削が始まる。その後、目的とする座標にウエハ110が到達するまで、即ち、ウエハ110の径が仕上げ径に達するまで、制御装置(不図示)の制御によりウエハ110は、砥石102に向かって移動を続ける。
【0052】
ここで、面取り加工における被加工物のウエハ110は円形またはそれに類似する形状をしており、載置台112にセットする際、正しいセット位置にセットすることが難しいので、セットしたときの位置ずれが大きくなる場合があり、その場合は回転ぶれを生じる。
【0053】
また、加工前のウエハは、ウエハ周縁偏芯、真円バラツキを有している。そのため、加工時のウエハ回転により、ウエハのセット位置のずれも相まって、そのウエハ周縁偏芯、真円バラツキが更に大きく回転ぶれを発生させる。また、砥石を回転させるスピンドルとウエハを回転する心棒(スピンドル)のシャフトの微量のゆがみもあることから砥石とウエハとの相対的な回転振れが大きく顕著に現れる。
【0054】
このように、ウエハの面取り加工時は、ウエハセット時の位置ずれと、ウエハの真円ばらつき及びスピンドル回転に起因する回転ぶれと、から生じるウエハの回転の振れが起きる状態になっている。この振れた状態では、砥石への負荷が大きく、砥石の加工ライフが低下を生じるとともに、砥石の1溝毎のライフのバラツキが発生する。
【0055】
また、砥石が振れた状態では、砥石によるウエハへの接触負荷が増大するため、ウエハへの衝撃が大きくなることから、ウエハのチャック吸着保持ズレが発生し、砥石との未接触箇所が増え、不削りが生じ品質低下につながる場合がある。
【0056】
また、特に、オリフラ302(オリエンテーションフラット)を有するウエハの面取り加工においては、ワークを回転させてロータリー加工を実施することになるが(外周部のみ全周加工を行い、オリフラ部の加工は次工程で行う)、オリフラ部から外周部に切り替わる際の砥石との衝突による切り込み時の負荷は加工中最も大きく、ウエハの位置ずれが顕著に現れ加工品質の低下、結晶方位ずれを起こす。
【0057】
そのため、ウエハの面取り加工時にインプロセスでウエハの位置ズレや回転ぶれを測定して、その情報を加工制御に用いることができれば、加工による取り代を最小にすることができスループット向上の達成につながり、また砥石の加工ライフを向上させる効果をもたらすことができる。
【0058】
しかしながら、従来のウエハ面取り装置では、ウエハの位置ずれや加工中の回転ぶれの測定は、以下の理由により行うことができなかった。
・加工後のウエハエッジにコンタクトすることによりウエハダメージが発生するので、加工後のウエハエッジを接触式検出器で検知出来ない。
・加工前測定を実施するとスループットに影響し生産性が低下する。
・非接触式測定器は耐久性の問題から加工室内(インプロセス測定)では使用できない。
【0059】
そのため、従来のプロセスでは以下のように実施していた。
(a)ファインアライメント実施時の加工前真円度測定データをベースに
不削りが出ない研削量を設定し、搬送での位置ズレのアライメントは、下記の流れで実施した。
(1)加工テーブルへ搬送
(2)アライメントテーブルへ再搬送
(3)搬送ズレ補正
(4)加工テーブルへ搬送
※極力搬送ズレを取り除くために、上記の作業を数回実施する。
【0060】
(b)ワーク毎の厚み誤差により補正量はバラつくためダミーウエハ研削を何枚か実施して研削量の最終的な合わせ込みを実施した。
上記プロセスでは、加工前の作業から得た位置ズレ、真円度情報を考慮して、不削りの無い大きい取り代を決め、加工時間を多く設定することで、インプロセス測定を実施せずに加工を行っていた。
【0061】
このため、上記のプロセスでは加工時間が多く必要であり、面取り加工は随時加工状態が変化するため事前の条件設定だけでは高精度な加工が行えないという問題があった。
【0062】
本発明では、砥石(または、砥石の台金、または、砥石を固定するフランジ)にAEセンサを設置し、加工中のウエハの位置ズレや回転ずれの情報を逐次、信号としてAEセンサから取得することで、砥石の突き出し量やウエハ、砥石の回転速度を制御して高精度な加工を実現するとともに、最小の取り代でウエハを加工することができ、ウエハ加工のスループット向上、砥石の加工ライフの向上を実現することができる。
【0063】
またAEセンサは以下の理由から砥石(または、砥石の台金、または、砥石を固定するフランジ)に設けられていることが必要である。
(1)砥石とウエハは円形(円盤形状)であり、またウエハは真円ではないことから回転時に、常時砥石と接触しているわけではないため、わずかな接触、未接触を信号として取得し加工に反映する必要がある。それには加工点により近い位置で正確にAE波を検出することが必須となる。
【0064】
(2)面取り加工装置では、ウエハと砥石を回転させるスピンドル2つが存在するため、本来検出すべきAE波の検出が困難である。そこで、加工点により近い位置でAE波を検出することが必須となる。
【0065】
このように本発明のウエハ面取り装置では、AEセンサを砥石(または、砥石の台金、または、砥石を固定するフランジ)に設けているので、砥石がウエハを研削することによって発生するAE波を確実に受信することができ、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
(1)加工中に回転するウエハと砥石の接触具合をAEセンサで測定して得た信号をもとに加工状況をモニタリングして、その加工状態を加工制御にフィードバックすることがきるので、最小の取り代で全周加工することができ、不要な研削加工を減らし砥石の加工ライフを長くすることが可能となる。
【0067】
(2)また、AE波は材料の破砕が生じないと信号が出ないので、純粋に砥石がウエハに接触している情報のみを取得するため、より正確に不削りの判定が可能となり、品質低下を防ぐことができる。
【0068】
(3)AE信号強度とオリフラ部以外の外周研削時の信号発生時間をロギングする事で、オリフラの位置ズレ発生の検出と良好時信号レベルとの差を監視して、加工スピードにフィードバックし、取り代毎に自動調整を実施することできる。
【0069】
また、偏芯起因の異常加工負荷を抑制して、さらなるウエハの位置ズレを防止することができ、不良ウエハ発生防止(外周真円度精度の保持とオリフラ部の形状異常の防止)、砥石へのストレス低減(ライフ向上)が可能となる。
【0070】
図面を参照して更に説明する。
図4は、ウエハ加工時に発生するAE波を示したグラフである。
図4において、横軸は時間を表し、縦軸はAE波のレベル(強度)を表す。AE波のレベルが大きいほど研削の負荷が大きいことを示す。
【0071】
図4(A)は、正常な加工が行われている場合のAE波を示している。このときのAE波の波形402は、
図4(A)に示すように、ウエハのオリフラ部には砥石が接触しないことから一定の周期を持った波形となる。このAE波の波形402の周期は、砥石とウエハの回転数が変化しなければ同一の周期で繰り返すことになる。
図4(A)において、記号404で示す矢印は、AE波が出ている時間範囲を示し、記号406で示す矢印は、AE波が出ていない時間範囲を示している。
【0072】
図4(B)は、ウエハの位置ずれが発生したときの波形を示している。加工負荷が、ウエハを固定している真空チャックの保持力を上回るとウエハは、回転方向にずれが発生する。記号408で示す波形は、ウエハの位置ずれが発生したときのAE波の波形である。
【0073】
図4(B)に示すように、ウエハの位置ずれが発生していないときのAE波の波形402と比較すると、図面視右側にずれているのが分かる。この位置ずれは、載置台112の回転速度と回転方向、砥石102の回転速度と回転方向により、本来の回転よりも多く回転する方向にずれたり、少なく回転する方向にずれたりする。このように、ウエハの加工時に発生するAE波の波形をモニタすることで、ウエハのずれを確認することができる。
【0074】
図4(C)は、ウエハの位置ずれが発生する限界のAE波レベルを記号410で示す直線で表している。ウエハを砥石に押しつける圧力を強くする即ち、ウエハを砥石方向に移動させる速度である加工速度を速くすることにより、ウエハは砥石に強く研削されて、大きいレベルのAE波が検出される。
【0075】
この加工速度をだんだん早くしてゆきながらAE波を検出してゆくと、
図4(C)の記号402で示すように、周期的に発生する波形のレベルがだんだん大きくなって行く。そして、あるレベル(記号410で示すレベル)を超えると、波形の周期のずれが発生する(記号408参照)。即ち、ウエハに回転ずれが発生する。
【0076】
よって、ウエハの連続加工を行う前に、上述のような、ウエハの回転ずれが発生するAE波のレベルを評価によって見つけることにより、ウエハの連続加工においてウエハの回転ずれが発生することを防止できる。それは、AE波のレベルを監視しながらウエハの加工を行い、AE波のレベルがウエハの回転ずれが発生するレベルに達しないように、加工速度を調整することにより成し遂げることができる。例えば、ウエハずれが発生しない所定のレベル(例えば、ウエハずれの発生するレベルより10%低いレベル)に達したら、加工速度を落とすように制御しても良い。
【0077】
また、このようにAE波のレベルを監視しながらウエハ加工を行うことにより、同一の加工速度でありながら、AE波レベルが変動した場合は、砥石の交換時期であるとして、砥石交換を行うこともできる。砥石が摩耗、または目詰まりして、ドレッシングが必要になってくると、同じ加工速度で加工してもAE波のレベルが、変化するからである。
【0078】
また、この周期のずれから、ウエハのオリフラ位置のずれ角度を算出し、次工程でのオリフラ加工工程でのオリフラ位置決定に役立てることもできる。或いは、ウエハ加工の後半において、算出したオリフラ位置のずれ量に基づいて、オリフラ位置を調整することもできる。
【0079】
これらのAE波で行うことができる監視は、モータの電圧変化や振動では、変化度合いが小さく、現実的に行うことができない。また、AEセンサの設置位置によっては、スピンドルの軸受けからのAE波の影響等により、行うことができない場合がある。
【0080】
本発明では、AEセンサを所定の位置に備えているので、AE波を監視することにより、ウエハの位置ずれを防止し、あるいは位置ずれ量を算出して、ずれを調整したり、後の工程にフィードバックしたりすることができる。また、ウエハの面取り加工時にインプロセスでウエハの位置ズレや回転ぶれを測定して、その情報を加工制御に用いることでき、加工を最小の取り代にすることができスループット向上の達成につながり、また砥石の加工ライフを向上の効果をもたらすことができる。
【0081】
(2)ドレッシング及びツルーイング
次に、本発明のウエハ面取り装置のドレッシング及びツルーイング動作について説明する。
従来、ドレッシングが必要な時期を見極めるためのドレス判定は、ワークの加工数量をカウントすることによって行っていた。また、ドレッシングは、作業者が手でドレス棒を回転している砥石の外周端の溝122に突き立てて実施していた。
【0082】
しかしながら、この手法ではドレス砥石の押しつけ力、接触位置を定量的に得ることができないため、ドレス砥石の使用量を管理することができなかった。
本発明のウエハ面取り装置は、上述したように、面取り加工中のAE波の波形を監視することにより、ドレス判定が可能になる。また、ドレッシング中にもAE波の波形を監視することができるので、AE波の波形の変化によりドレッシング終了を正確に知ることができ、ドレス砥石の使用量の管理が容易となる。
【0083】
また、ウエハの面取り形状を狙いの形状にするために、ツルアーを砥石の溝に当て、溝の整形を実施しているが、整形時にツルアーが偏って当たったり、過度に当たったり、或いは当たり不良により正確なツルーイングは困難で、多くの時間及びテストカットウエハの大量消費が必要であった。
【0084】
そこで、AEセンサを用いることにより、AE波を監視してツルーイングの状況判定を行えば良いが、ツルーイング時の回転工具の信号やクーラント等のノイズが多い環境下で、ツルーイングの判定が可能なレベルでAE信号を得ることは困難であった。しかしながら、本発明のウエハ面取り装置は、AE信号を検知するAEセンサ送信部を、砥石、または、砥石の台金、または、砥石をスピンドルに固定するためのフランジのうちの少なくともいずれかに備えているので、ツルーイングの状況判定が可能なレベルでのAE信号を得ることが可能になった。
【0085】
また、本発明のウエハ面取り装置は、AEセンサ送信部が設置された位置は、前記スピンドルの軸受けからAE波が伝導する最短の道のりで4cm以上離れた位置であるので、ツルーイングの状況判定が可能なレベルでのAE信号を得ることがより容易になった。
【0086】
次に、AE波をより良く検知するための手段について述べる。AE波の信号検知において、信号対雑音比(SN比)を向上させるために以下のような手段を用いることができる。
(1)砥石、または、砥石の台金、または、砥石をスピンドルに固定するためのフランジにAEセンサ(AE波を実際に検知する部分であるAEセンサ送信部)を設置する。ここで、加工によるAE波は、砥石とワークの接触点(信号源)から発生するのに対して、主な雑音はスピンドルの軸受けから発生するので、信号源は、砥石の回転に伴い移動しAEセンサまでの距離が変化するが、ノイズ源はほぼ回転の中心にあるためセンサまでの距離は変化しない。よって、AEは伝搬距離によって減衰するため、検出された信号からウエハの砥石の回転周期で変化する成分を抽出することによりSN比を上げることができる。
【0087】
(2)複数のAEセンサを砥石の回転中心に対して対称に配置することによりノイズをキャンセルすることができる。例えば、2個のAEセンサを配置し、2個のAEセンサの信号を、片方の信号を反転させて重ね合わせることによりノイズをキャンセルすることができる。
【0088】
この方法は、各AEセンサの特性を等しくしてノイズをキャンセルする手法であるが、異なる特性のセンサを用いることにより受信帯域を広げたり、被研削材料に最適な特性を持つAEセンサを構成したりすることもできる。また、信号源からAEセンサまでの距離の変化は、砥石形状から計算することができるため、信号の減衰分を補正することも可能である。
【0089】
また、AEセンサが取り付けられる環境は、主に回転工具のスピンドルや加工点付近であるため、スピンドルのエアパージ、クーラントの接触により発生した衝撃によるノイズのためクリアなAE信号を得られない場合がある。しかしながら、これらの悪影響を受けない構造にすることによりノイズレベルを下げることができる。
【0090】
このようなエアパージノイズのキャンセルする構造について
図5を参照して説明する。
図5は、エアパージノイズキャンセル構造について示した概略図である。
図5(A)は、第1実施形態にエアパージノイズキャンセル構造を適用した概略図であり、
図5(B)は、第2実施形態にエアパージノイズキャンセル構造を適用した概略図である。
【0091】
図5(A)、(B)に示すように、エアパージノイズキャンセルを行うために、リング型のAEセンサ送信部116の内径が、スピンドル回転部へのクーラント水の侵入をストップし、スピンドルの破損を防止するためのパージエアの噴出口の口径よりも小さい寸法になっている。ここで、リング型のAEセンサ送信部116の内径とリング型AEセンサ受信部120の内径は等しいので、リング型AEセンサ受信部120の内径が、パージエア噴出口の口径よりも小さい寸法になっているとしても良い。
【0092】
このような寸法にすることにより、パージエア噴出口からの噴射エアは、噴出口から外側に噴射されるので、AEセンサ送信部116と、AEセンサ受信部120との間にダイレクトにエアが流れ込まないようにすることができる。
【0093】
また、エアパージ効果を高め、スピンドル104とAEセンサ受信部120とAEセンサ送信部116とのギャップ部分にエアが流入することを防止するため、AEセンサ受信部120が設置された部材にパージエア逃がし用の開口部である第1開口部504と第2開口部506とを設けている。第1開口部504は、パージエアをダイレクトに排出するためのもので、第2開口部506は、第1開口部504により発生した乱流エアと、パージで使用されない余剰エアの排出のためのものである。
【0094】
ここで、第1開口部504と第2開口部506との開口部面積比は、2:3〜2:18が好ましく、2:8がより好ましい。これは、装置の運用上エア排出口の面積小による騒音、振動を考慮しテストの結果得られた値である。また、第2開口部506は、パージエアを十分に排出することができる開口面積が必要である。
【0095】
クーラントノイズをキャンセルするために、AEセンサ送信部116とAEセンサ受信部120との間にダイレクトにクーラントがかかることを防止するためのクーラントガード508が設置されている。また、クーラントが流入したときのために、AEセンサ受信部120が設置されている部材は、排水溝(不図示)を有している。
【0096】
本発明のウエハ面取り装置は、このように良好なSN比でAE信号を検知できるので、以下のように動作することが可能になる。
即ち、加工条件や砥石の条件が適切で無い場合、砥石の目詰まりや、ワークの押し当て力が研削能力よりも大きい場合は、ワークは研削されず、すべりが発生する。このとき、ワークの破砕が進行しないのでAE信号強度は低下する。そのとき、制御部は、AE信号強度の低下を検知することにより、検索条件である、スピンドル回転数、ワーク送り速度、切り込み量を個々に、または同時に変化させAE信号強度が一定レベルになるように調整する。
【0097】
制御部は、AE信号の変化点をロギングし、あらかじめ設定された切れ味が限界になる変化点以下になったときは、ドレスタイミングと判断し、ドレッシングを実行する。ドレッシングで一番難しいとされる砥石側の回転数の制御は、制御部が、AE信号を確認しながら、常に負荷が一定の値以上になるようにして回転数制御を行う。このとき、砥石の切れ味復活具合により、回転数を上下させる制御を行う。
【0098】
ドレッシング効果が進むと砥石の切れ味が向上するので、AE信号は、砥石の使用前のAE信号強度に近い値まで戻る。制御部は、AE信号強度が、砥石の使用前のAE信号強度に近い所定の値になったときにドレッシングを終了させる。ドレス用の砥石は、一般的にはスティック型を使用するが、円盤形を用いることもでき、円盤形を用いることにより、ワークと同一搬送経路を使用できるため、ドレス時期判定からドレッシングまでをフルオートで実行することが可能になる。
【0099】
ツルーイング時においては、制御部は、AE信号によりツルーイング負荷ポイントを検出し、ツルアーが最適当たりとなるようにツルアーを当てる位置を決める座標データにフィードバックすることができる。また、制御部は、AE信号レベルをロギングし、砥石の溝生成の進展具合によってAE信号が低下、もしくは検出されなくなったところをツルーイング動作の終了ポイントとして判別することができる。
【0100】
これらにより、本発明のウエハ面取り装置は、テスト加工に多量のウエハを使用することがなく、ワークごとの加工条件の最適化を図ることが可能となる。更に、加工条件の最適化により、砥石の負荷が抑えられて、砥石の寿命が向上する。
また、スピンドルやワークの送り軸への負荷も抑えられるので、メカ構成品の故障のリスクを軽減することができる。
【0101】
更に、砥石とワークの接触と、加工終了をAE信号で見極めが可能になるので、ワークの進入速度、逃げ速度を短縮する制御が可能となり、スループット、生産性を向上させることができる。
また、ウエハ面取り部の面幅調整の際に、砥石溝に対してウエハを微少切り込み、上下動作をさせ、その際得られるAE信号が均一になるポイントを検出することで砥石溝の幅の中心を割り出し、調整によるダウンタイムを軽減することができる。
【0102】
従来、ウエハ直径方向の加工量(取り代)が多い場合は、複数回のパス数で研削をしているが、センタリング誤差による取り代大によるダメージは軽減できていなかった。しかしながら、本発明のウエハ面取り装置は、ウエハと砥石との接触点を検出し測定値との誤差を割り出すことにより、パス数や切り込み量を自動補正してウエハダメージを軽減することができる。
【0103】
AE信号によりドレスタイミングを判定することができるので、溝が形状崩れを起こす前にドレッシングを実行できるので、砥石の寿命を向上させることができる。また、研削の切れ味の状態をAE信号により見極めることができるので、ドレス砥石の使用量を最小に抑えることができ、ランニングコストを低下させることができる。
また、砥石溝の形状生成時間の短縮、ツルアーライフの向上、砥石ライフの向上を達成できる。
【0104】
<評価>
第1実施形態のウエハ面取り装置と、第2実施形態のウエハ面取り装置とを用いて評価を行った。まず、第1実施形態のウエハ面取り装置を使用し、回転する砥石にマニュアルで(作業者が手を用いて)サファイアウエハを当てて、AEセンサで受信される波形を確認した。
【0105】
これを
図6Aに示す。
図6Aは、砥石にサファイアウエハを当てたときのAE波の波形を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間であり、縦軸はAE波の強度を示す。この波形のうち、AE信号強度が大きく立ち上がっている部分の波形は、砥石にサファイアウエハが接触したときに発生した波形であり、サファイアウエハが研削されたことにより発生したAE波の強度を示している。このグラフが示すように、スピンドル軸受けからAEセンサを一定距離離して設置したことで良好なSN比が得られ、クリアなAE信号を取得することが可能となり、接触、加工状況の波形データが明確に得られた。これは、SN比が悪い状態のAE波の波形を示すグラフである
図6Bと比較することにより、明らかである。
【0106】
(1)評価1
次に、実施例1のウエハ面取り装置を使用して、砥石の研削溝のうち、目詰まりを起こし切れ味が悪くなっている溝と、切れ味の良い未使用の溝とでサファイアウエハの研削を行い、それぞれのAE信号強度を測定した。また、2インチのサファイアウエハを連続して数百枚相当分研削し、AE信号強度を測定した。
【0107】
測定結果を
図7、
図8に示す。
図7は、サファイアウエハを目詰まり溝と未使用溝とで研削したときのAE波強度を示したグラフである。
図8は、サファイアウエハを1枚から800枚相当分研削したときのAE信号強度を示したグラフである。
【0108】
それぞれのグラフの横軸は時間を、縦軸はAE信号強度を示す。
図7の記号702で示される部分の波形は、目詰まり溝を使用して研削したときの波形を示し、記号704で示される部分の波形は、未使用溝を使用して研削したときの波形を示す。
図8の記号802で示される波形は、1枚目のウエハを研削したときの波形を示す。
【0109】
図7に示すように、目詰まり溝を使用した場合は、切れ味が悪いのでサファイアウエハがあまり研削されず、そのためAE波の強度も2000弱と小さい。これに対して、未使用溝を使用した場合は、切れ味良く研削できるのでAE波強度も約4300前後と大きくなっている。
【0110】
これより、AE信号強度を測定しながら研削を行うことにより、目詰まりの状況をリアルタイムで確認できるので、最適なドレスタイミングで砥石のドレッシングを行うことができる。即ち、あらかじめ、砥石と研削対象ウエハの目詰まり時、未使用時のAE信号強度を測定しておくことにより、定量的にドレスタイミングを知ることができ、そのタイミングでドレッシングを行うことができる。
【0111】
(2)評価2
次に、第1実施形態のウエハ面取り装置を使用し、シリコンウエハとサファイアウエハとを研削して、材料の違いによるAE信号強度を測定した。材料の違い以外の条件は、同一条件で評価を行った。
【0112】
評価結果を
図9に示す。
図9は、シリコンウエハとサファイアウエハとを研削したときのAE信号強度を示すグラフである。横軸は時間を、縦軸はAE信号強度を示す。また、記号902で示す波形は、シリコンウエハを研削したときの波形を示し、記号904で示す波形は、サファイアウエハを研削したときの波形を示す。
【0113】
図9に示すように、シリコンウエハとサファイアウエハとでAE信号強度がかなり異なっているのが分かる。これより、異種材料を貼り合わせたウエハの研削をする際には、AE信号強度によって研削途中で研削材料が変化したことを知ることができるので、材料に応じた研削条件(砥石回転数、ウエハ送り速度、切り込み量、ウエハ回転速度等)にリアルタイムに切り替えることが可能になる。
【0114】
例えば、
図9においては、AE信号強度が約4100になったところで、材質がサファイアに変わったと判断し、研削条件を変更するように制御部が制御することができる。
これにより、材料ごとの適した条件で研削できるので、品質、スループット、砥石ライフを向上させることができる。