特許第6571393号(P6571393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571393
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】光学エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/38 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   G01D5/38 G
【請求項の数】6
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2015-110185(P2015-110185)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-225084(P2015-225084A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2018年4月4日
(31)【優先権主張番号】14/290,846
(32)【優先日】2014年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ダニエル トバイアソン
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−140146(JP,A)
【文献】 特開2007−183251(JP,A)
【文献】 特開2005−70053(JP,A)
【文献】 米国特許第5861953(US,A)
【文献】 特開平8−304117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26− 5/38
G01B11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記スケール格子は、前記測定軸方向に沿って平行に配置した第1のスケール格子部及び第2のスケール格子部を含み、前記第2のスケール格子部は、前記測定軸方向に沿って前記第1のスケール格子部に対し0.5*PSFの空間位相オフセットを有し、前記第1のスケール格子部及び第2のスケール格子部の両者は、前記スケール格子から出力される前記使用可能な空間変調されたイメージ光と、前記使用可能な周期結像とに寄与する、
光学エンコーダ。
【請求項2】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力される共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記結像部は、
前記スケール格子から伝送される前記空間変調されたイメージ光が入力するよう設置され、且つ自レンズと前記ディテクタ部との間に位置する焦点を定義する焦点距離Fを有する第1のレンズと、
前記第1のレンズと前記ディテクタ部との間において、前記焦点距離Fに設置された開口部と、を含み、
前記スケール格子は、前記結像部から、前記焦点距離F未満の距離に設置される、
光学エンコーダ。
【請求項3】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記スケール格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において少なくとも0.1度になるような、前記測定軸についてのロール角で結像部の光路が回転するように、結像部に対して配置される、
光学エンコーダ。
【請求項4】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記スケール格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において少なくとも0.1度になるような、前記測定軸についてのピッチ角で結像部の光路が回転するように、結像部に対して配置される、
光学エンコーダ。
【請求項5】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記構造化照明格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において、前記構造化照明格子の平面と前記スケール格子の平面との間のロール角が(2*B*M*PPG^2)/(H*λ)と等しくなるように設置され、Bは、0.75〜1.25の間の数であり、Mは、前記結像部の倍率値であり、PPGは、前記構造化照明格子のピッチであり、Hは、前記測定軸方向に垂直である前記ディテクタ部の視野の高さである、
光学エンコーダ。
【請求項6】
測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、
波長λを有する光を出力する光源と、
前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、
前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、
前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部と、を備え、
前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるモアレフリンジを含むように構成された光学エンコーダにおいて、
前記構造化照明格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において、前記構造化照明格子の平面と前記スケール格子の平面との間のピッチ角が(2*B*M*PPG^2)/(V*λ)と等しくなるように設置され、Bは、0.75〜1.25の間の数であり、Mは、前記結像部の倍率値であり、PPGは、前記構造化照明格子のピッチであり、Vは、前記測定軸方向に沿った前記ディテクタ部の視野の長さである、
光学エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、大略、精密測定器に関し、特に、光学式変位エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
読取ヘッドを用いた種々の光学式変位エンコーダが知られており、この読取ヘッドは、スケールパターンを自読取ヘッドのフォトディテクタアレイへ撮像する光学配置を有する。スケールパターンのイメージはスケールメンバと共に変位し、変位したスケールパターンイメージの移動又は位置はフォトディテクタアレイで検出される。従来の画像処理である自己結像(タルボ・イメージング(Talbot imaging)とも呼称される)及び/又はシャドウ・イメージング(shadow imaging)が、種々の構成においてスケールパターンイメージを提供するために使用され得る。
【0003】
光学エンコーダは、インクリメンタル位置又はアブソリュート位置スケール構造を利用し得る。インクリメンタル位置スケール構造は、スケールに対する相対的な読取ヘッドの変位が、変位の増分単位を累積することによって決定され、スケールに沿った初期ポイントから開始できるようにする。このようなエンコーダは、特定の用途、特にライン電力が利用可能である用途に適している。しかしながら、低消費電力の用途(例えば、バッテリ駆動の計測器等)においては、アブソリュート位置スケール構造を用いることがより望ましい。アブソリュート位置スケール構造は、スケールに沿った各位置で、一意な出力信号又は信号の組合せを供給する。アブソリュート位置スケール構造は、位置を特定するために、増分変位を継続的に累積することを必要としない。よって、アブソリュート位置スケール構造は、種々の電力節約スキームを可能にする。種々の光学的、容量的又は誘導的なセンシング技術を用いる様々なアブソリュート位置エンコーダが知られている。特許文献1〜11は、アブソリュート位置エンコーダに関する種々のエンコーダ構成及び/又は信号処理技術を開示しており、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0004】
幾つかの光学エンコーダで利用される構成の一種が、テレセントリック配置である。参照によって本明細書に取り込まれる特許文献12〜14の各々は、光源の周期パターンを撮像し、且つ周期的なパターン構造の変位をセンシングするための片側又は両側テレセントリック結像系を開示している。テレセントリック結像系は、このような光学エンコーダにおいて必要な幾つかの機能を提供する。
【0005】
このような光学エンコーダの設計に関する一つの問題は、ユーザが、一般に読取ヘッド及びエンコーダのスケールが出来るだけコンパクトなことを好む点である。コンパクトなエンコーダは、様々な用途へ導入するのにより都合が良い。特定の精密測定の用途に対しては、高い分解能も要求される。しかしながら、従来技術は、高分解能、レンジ・分解能比、ロバスト性、コンパクトサイズの組合せや、多くのエンコーダ分解能が共有の製造技術及び部品を用いて提供されるのを可能にする設計特性を提供し、且つユーザが所望するようなエンコーダの低コスト化を促進する構成を教示していない。このような組合せを提供するようエンコーダの構成が改良されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第3,882,482号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第5,965,879号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第5,279,044号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第5,886,519号
【特許文献5】アメリカ合衆国特許第5,237,391号
【特許文献6】アメリカ合衆国特許第5,442,166号
【特許文献7】アメリカ合衆国特許第4,964,727号
【特許文献8】アメリカ合衆国特許第4,414,754号
【特許文献9】アメリカ合衆国特許第4,109,389号
【特許文献10】アメリカ合衆国特許第5,773,820号
【特許文献11】アメリカ合衆国特許第5,010,655号
【特許文献12】アメリカ合衆国特許第7,186,969号
【特許文献13】アメリカ合衆国特許第7,307,789号
【特許文献14】アメリカ合衆国特許第7,435,945号
【発明の概要】
【0007】
本概要は、詳細な説明にて後述する概念の一部を簡素化して導入するものである。本概要は、発明主題の重要な特徴を特定することを意図するものでも、発明主題の範囲を決定するための補助として用いられることを意図するものでも無い。
【0008】
ここで開示する原理は、高分解能、レンジ・分解能比、コンパクトサイズ、ロバスト性の改良された組合せを提供するよう光学式変位エンコーダ構成を改良することを対象とし、且つ多くのエンコーダ分解能が共有の製造技術及び部品を用いて提供されることを可能にする。
【0009】
ここで開示する種々の実施形態において、2つのメンバ間で相対的な変位を測定する装置(すなわち、光学エンコーダは)、測定軸方向に沿って広がり、スケールピッチPSFを有するスケール格子と、波長λを有する光を出力する光源と、前記光が入力されると共に、前記測定軸方向に対して横方向に配向され、且つ前記スケール格子と一致する平面において前記測定軸方向に沿って照明フリンジパターンを含む構造化照明を、前記スケール格子へ出力する構造化照明格子と、前記スケール格子から出力された使用可能な空間変調されたイメージ光が入力されると共に、前記スケール格子が前記照明源からの前記構造化照明により照らされている場合に、前記空間変調されたイメージ光の使用可能な周期結像を出力するよう設置された結像部と、前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置された一連の光ディテクタを含むディテクタ部とを備え、前記空間変調されたイメージ光が、2つの回折次数の干渉から形成されるフリンジを含む。
【0010】
このような装置は、例えば、以下のように構成することができる。前記結像部は、その光路に沿って前記結像部から距離Zに設置されたディテクタ部と、前記スケール格子から伝送される前記空間変調されたイメージ光を受信するよう設置され、且つ自レンズと前記ディテクタ部との間に位置する焦点を定義する焦点距離Fを有する第1のレンズと、前記第1のレンズと前記ディテクタ部との間において、略、前記焦点距離Fに設置された開口部と、を含む。前記空間変調されたイメージ光は、値Δnだけ異なる2つの回折次数の干渉から形成されるフリンジを含む。前記開口部は、前記測定軸方向に沿って、AW=Z*λ*(a*(Δn+1)/(PMISF/((PMI−PSF)*M))を満たす幅Wを有して構成され、Mは、前記結像部の倍率値であり、aの値は、0.5より大きく且つ4.0未満であり、PMIは、前記照明フリンジパターンのピッチである。前記スケール格子は、前記構造化照明が入力されると共に、前記スケールピッチPSF及び前記照明フリンジパターンPMIに依存した空間波長PIMESFを有する強度変調エンベロープによって変調された構造化照明を含む前記空間変調されたイメージ光を出力し、PSF及びPMIは、前記光源が非コヒーレント光を出力する場合に、ΔnPMISF/(ΔnPMI−PSF)=PIMESF=m*P/kが成立し、前記光源がコヒーレント光を出力する場合には、ΔnPMISF/(2ΔnPMI−PSF)=PIMESF=m*P/kが成立するように、ディテクタピッチPと共に選択される。mは、前記ディテクタ部から出力される位相信号の数であり、kは、奇数の整数であり、前記空間波長PIMESFは、前記スケールピッチPSFより大きい。ディテクタピッチPは、前記ディテクタ部において、前記使用可能な周期結像の異なる位相をそれぞれ受信するよう設置され、且つ前記測定軸方向に沿って、特定のディテクタ信号位相に対応したディテクタエレメント間のピッチである。
【0011】
第1の態様において、前記スケール格子は、前記測定軸方向に沿って平行に配置した第1のスケール格子部及び第2のスケール格子部を含む。前記第2のスケール格子部は、前記測定軸方向に沿って前記第1のスケール格子部に対し0.5*PSFの空間位相オフセットを有する。前記第1のスケール格子部及び第2のスケール格子部の両者は、前記スケール格子から出力される前記使用可能な空間変調されたイメージ光と、前記使用可能な周期結像とに寄与する。
【0012】
第2の態様において、前記スケール格子は、前記結像部から、前記焦点距離F未満の距離に設置される。
【0013】
第3の態様において、前記スケール格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において少なくとも0.1度になるような、前記測定軸についてのロール角で結像部の光路が回転するように、結像部に対して配置される。
【0014】
第4の態様において、前記スケール格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において少なくとも0.1度になるような、前記測定軸についてのピッチ角で結像部の光路が回転するように、結像部に対して配置される。
【0015】
第5の態様において、照明部の位相格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において、前記位相格子の平面と前記スケール格子の平面との間のロール角が(2*B*M*PPG^2)/(H*λ)と等しくなるように設置される。ここで、Bは、0.75〜1.25の間の数であり、Mは、前記結像部の倍率値であり、PPGは、前記照明部の前記位相格子のピッチであり、Hは、前記測定軸方向に垂直である前記ディテクタ部の視野の高さである。
【0016】
第6の態様において、照明部の位相格子は、前記スケール格子に垂直で且つ前記測定軸に平行な平面において、前記位相格子の平面と前記スケール格子の平面との間のピッチ角が(2*B*M*PPG^2)/(V*λ)と等しくなるように設置される。ここで、Bは、0.75〜1.25の間の数であり、Mは、前記結像部の倍率値であり、PPGは、前記照明部の前記位相格子のピッチであり、Vは、前記測定軸方向に沿った前記ディテクタ部の視野の長さである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】両側テレセントリック配置と、アブソリュート、原点及びインクリメンタルトラックパターンを有するスケールとを備え、従来の画像処理技術を利用するエンコーダ構成の部分的な概略分解図である。
図2A図1のエンコーダ構成の、インクリメンタルスケールトラックパターン、イメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図2B図1のエンコーダ構成の、インクリメンタルスケールトラックパターン、イメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図2C図1のエンコーダ構成の、インクリメンタルスケールトラックパターン、イメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図3】両側テレセントリック配置と、アブソリュート、原点及びインクリメンタルトラックパターンを有するスケールとを備え、ここに開示する原理に従った空間フィルタリング及び結像原理を利用するエンコーダ構成の部分的な概略分解図である。
図4A図3のエンコーダ構成の、照明フリンジパターン、インクリメンタルスケールトラックパターン、結果としてのモアレイメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図4B図3のエンコーダ構成の、照明フリンジパターン、インクリメンタルスケールトラックパターン、結果としてのモアレイメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図4C図3のエンコーダ構成の、照明フリンジパターン、インクリメンタルスケールトラックパターン、結果としてのモアレイメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図4D図3のエンコーダ構成の、照明フリンジパターン、インクリメンタルスケールトラックパターン、結果としてのモアレイメージ強度及びディテクタ配置の図である。
図5】種々の設計パラメータセットに対応する変調伝達関数を示すチャート図である。
図6】測定軸方向に沿った開口部の幅上における、%DOF(dependence of depth of field)、空間調和性及び光信号パワーを示すチャート図である。
図7図1のエンコーダ構成の一実施形態の部分的な概略分解図である。
図8図3のエンコーダ構成の一実施形態の部分的な概略分解図である。
図9図8の実施形態の位相格子部の代替構成の図である。
図10A図1のエンコーダ構成のスケールトラックパターン配置の図である。
図10B図3のエンコーダ構成のスケールトラックパターン配置の図である。
図11図3のエンコーダ構成用の種々のスケール及びディテクタトラックの組合せのためのパラメータを示すテーブルである。
図12】両側テレセントリック配置を介した異なる光路を示す概略断面図である。
図13A】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成の実用的な実装の他の実施形態である構成を示す。
図13B】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成の実用的な実装の他の実施形態である構成を示す。
図14図13に示す構成の分析を示し、位相格子がどのようにして、ディテクタ上に光強度信号を与える使用可能な回折次数を提供するのかを示す。
図15】照明部の第1の代替実施形態を含むエンコーダ構成の部分的な概略分解図である。
図16図15の構成要素に加えて構成要素を含み且つ反射的なエンコーダ構成で使用され得る、照明部の第2の代替実施形態を含むエンコーダ構成の部分的な概略分解図である。
図17】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図18】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図19】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図20】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図21】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図22】ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得る照明部の図である。
図23A】エンコーダ構成において用いられ得るオフセット格子部を含むスケール格子パターンの実施形態を示した図である。
図23B】スケールイメージにおける図23Aの各スケール格子部の複合強度寄与のアラインメント(alignment)を概略的に示した図である。
図23C図23Bのスケールイメージ部各々の複合強度寄与を含むスケールイメージを示した図である。
図24A】ここに開示する原理に係る、拡大されたスケール格子の領域を用いるよう構成された第1のエンコーダ構成の概略図である。
図24B】ここに開示する原理に係る、拡大されたスケール格子の領域を用いるよう構成された第2のエンコーダの概略図である。
図25A】潜在的な自己像の影響を軽減するためのロール角で配置されるスケールエレメントを含むエンコーダ構成を示した概略図である。
図25B】潜在的な自己像の影響を軽減するためのロール角で配置されるスケールエレメント及び照明部の位相格子を含むエンコーダ構成を示した概略図である。
図25C】潜在的な自己像の影響を軽減するためのロール角で配置される照明部の位相格子を含むエンコーダ構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前述した態様、及びこれらに付随する効果の多くは、以下の詳細な説明を図面と共に参照することにより良く理解されるものと同等のものとして、より容易に理解されるであろう。
【0019】
図1は、両側テレセントリック配置と、アブソリュート、原点及びインクリメンタルトラックパターンを有するスケールとを備え、従来の画像処理技術を利用する光学式変位エンコーダ構成100の部分的な概略分解図である。エンコーダ構成100の幾つかの態様は、同時係属中の同一出願人による、今やアメリカ合衆国特許第8,492,703号である2009年8月4日付けで提出したアメリカ合衆国特許出願12/535,561、及び今やアメリカ合衆国特許第7,608,813号である2008年11月18付けで提出したアメリカ合衆国特許出願12/273,400(以下、’400出願)に記載のエンコーダ構成と同様である。これらは、参照によって本明細書に取り込まれる。エンコーダ構成100は、比較的粗いピッチ(例えば、20μm)を有するインクリメンタルスケールトラックで正確且つ効果的に動作できる。一方、図3を参照してより詳細に説明するように、ここで開示する方法は、非常に細かいピッチ(例えば、4μm)を有するインクリメンタルスケールトラックが同様の構成において利用可能なように用いても良い。
【0020】
図1に示すように、エンコーダ構成100は、スケールエレメント110と、光源(図示せず)からの光の可視又は不可視波長を導くためのレンズ140と、両側テレセントリック結像構成180とを含む。両側テレセントリック結像構成180は、第1レンズ平面FLPにおける第1レンズ181と、開口平面APにおける開口部品182’中の開口部182と、第2レンズ平面SLPにおける第2レンズ183と、検出平面DPにおけるディテクタエレクトロニクス120とを備える。少なくとも一の実施形態において、スケールエレメント110は、第1レンズ平面FLPから距離dだけ離隔される。第1レンズ平面FLPは、開口平面APから焦点距離fだけ離隔される。開口平面APは、第2レンズ平面SLPから焦点距離f’だけ離隔される。第2レンズ平面SLPは、検出平面DPから距離d’だけ離隔される。ディテクタエレクトロニクス120は、信号生成・処理回路190へ接続しても良い。光源も、電力及び信号接続(図示せず)により信号生成・処理回路190へ接続しても良い。
【0021】
図1に示す実施形態において、スケールエレメント110は、3つのスケールトラックパターン、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1、原点スケールトラックパターンTREF1、及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1から成るスケールパターン115を含む。トラックパターンTABS1は、絶対的な測定範囲に亘るアブソリュートスケールを決定するのに利用可能な信号を供給するため、アブソリュートスケールトラックパターンと呼称する。少なくとも一の実施形態においては、任意の従来のアブソリュートスケールパターンを、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1として利用しても良い。少なくとも一の実施形態において、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1は、ほぼX軸に沿った検出幅上で、非常に“粗い”ABS分解能を有し得る。
【0022】
インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1のためには、少なくとも一の実施形態において、そのインクリメンタルピッチが比較的粗い(例えば、20μm)であろう。図3を参照してより詳細に後述する如く、ここで開示する方法を利用する同様のサイズのエンコーダ構成において、細かいピッチ(例えば、4μm)を使用可能にしても良い。原点スケールトラックパターンTREF1は、特定のインクリメンタル波長を示すことが可能なレベルへ分解できるように形成され、以て(例えば、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの)インクリメンタル波長を、(例えば、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1からの)アブソリュートマークに対して明確にする。図10Aを参照してより詳細に後述する如く、少なくとも一の実施形態においては、原点スケールトラックパターンTREF1が一連の原点マークから成り得る。少なくとも一の実施形態において、原点マークは、一連のベーカー(backer)パターンとして形成しても、バーニア(Vernier)原点マークとして機能しても、様々な周知技術に従って形成しても良い。
【0023】
図1は、慣例に従って、直行するX、Y及びZ方向を示している。X及びY方向は、スケールパターン115の平面と平行であり、X方向は、意図する測定軸方向MA 82と平行(例えば、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1に含まれ得る長細いパターンエレメントと垂直)である。Z方向は、スケールパターン115の平面と垂直である。
【0024】
ディテクタエレクトロニクス120は、3つのスケールトラックパターンTABS1、TREF1及びTINC1それぞれから光を受信するよう配置された、3つのディテクタトラックDETABS1、DETREF1及びDETINC1から成るディテクタ構成124を含む。ディテクタエレクトロニクス120は、信号処理回路136(例えば、信号オフセット及び/又はゲイン調整、信号増幅、並びに結合回路等)を含んでも良い。少なくとも一の実施形態において、ディテクタエレクトロニクス120は、単一のCMOS ICとして製造しても良い。
【0025】
動作において、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1用のイメージチャネルで例示すると、照明光源からの光は、レンズ140によって、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1を光源光131で照らすように導かれる。幾つかの実施形態において、光源光131はコヒーレント光である。そして、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1は、スケール光132を出力する。当然のことながら、X方向に沿って開口幅AWを有する限界開口182は、(図2を参照してより詳細に後述する如く)インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1用のイメージチャネルを通過する光線を選択又は制限する空間フィルタとして機能する。図1は、3つのこのような光線、2つの端光線及び1つの中心光線を示している。図1に示すように、レンズ181は、光線を限界開口182へ伝送する。限界開口182は、光線を、空間的にフィルタされたイメージ光133として第2レンズ183へ伝送する。第2レンズ183は、空間的にフィルタされたイメージ光を伝送及び集光して、スケールトラックパターンTINC1のイメージをディテクタトラックDETINC1にて形成する。
【0026】
このように、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1は、照らされた場合に、トラック固有に空間変調された光パターンをディテクタエレクトロニクス120のディテクタトラックDETINC1へ出力する。空間変調された光パターンのイメージは、ディテクタトラックDETINC1と同一平面上であり得るイメージ平面IMGPにて形成される(図1では、イメージ平面IMGPは説明のために独立して示されている)。イメージ平面IMGPに示すように、スケールイメージSIのパターンは、変調されたスケールイメージピッチPSIを有している。一の具体的な実施形態において、ピッチPSIは比較的粗くても良い(例えば、20μm)。
【0027】
インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの空間変調された光パターンのディテクタトラックDETINC1上での結像と同様、スケールトラックパターンTREF1及びTABS1がレンズ140からの光によって照らされると、これらのパターンTREF1及びTABS1は、トラック固有に空間変調された光パターン(例えば、これらのパターンに対応するパターン光)を、ディテクタエレクトロニクス120のトラック固有のディテクタトラックDETREF1及びDETABS1へそれぞれ出力する。上述した通り、(例えば、ベーカーパターンを有する)原点スケールトラックパターンTREF1は特定のインクリメンタル波長を示し、以てインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの波長を、アブソリュートトラックパターンTABS1からのアブソリュートマークに対して明確にする。当然のことながら、空間変調された光パターンの全てが、スケール110と共に移動する。
【0028】
図11を参照してより詳細に後述する通り、ディテクタトラックDTEINC1、DETABS1及びDETREF1の各々においては、個別のフォトディテクタ領域が、受信した空間変調された光パターンを空間的にフィルタして、信号(例えば、直交信号を生成するインクリメンタルディテクタトラックDETINC1、又は信号補間をもたらす空間的な位相関係を有する他の周期信号)を示す所望の位置を提供するために配置される。幾つかの実施形態においては、個別のフォトディテクタ領域よりはむしろ、個別の開口を有する空間フィルタマスクが、比較的大きなフォトディテクタをマスクして、個別のフォトディテクタ領域に類似する光受信エリアを提供し、周知技術に従った類似の全体的なシグナル効果を提供しても良い。
【0029】
種々の用途において、ディテクタエレクトロニクス及び光源は、互いに固定された関係で、例えば読取ヘッダ又はゲージ筐体(図示せず)中に実装され、周知技術に従い、ベアリングシステムによりスケール110に関連する測定軸に沿って導かれる。種々の用途において、スケールは、ムービングステージ又はゲージスピンドル等に取り付けられても良い。当然のことながら、図1に示す構成は透過型の構成である。すなわち、スケールパターン115は、空間変調された光パターンを透過によってディテクタトラックへ出力する遮光部及び光伝達部(例えば、周知の薄膜パターニング技術を用いて透明基板上に組み上げられる)を備えている。当然のことながら、同様の構成要素が反射的な実施形態において配置され得て、周知技術に従い必要に応じて、光源及びディテクタエレクトロニクスは、スケール110と同側に配置され、角度のある照明及び反射のために設置される。
【0030】
透過的なスケールパターン又は反射的なスケールパターンのいずれにおいても、ディテクタトラック(例えば、DETABS1、DETREF1又はDETINC1)で検出された光を提供するスケールパターンの部分は、当該スケールパターンの部分を生成する信号として参照され得て、当然のことながら、スケールパターンの他の部分は、一般に出来るだけ僅かな光を提供し、種々の用途において、ここでの教示に従ってパターニングされ得る。換言すると、互いに“ネガティブ”なスケールパターンは、共に使用可能な信号を生成し、その信号変化も、一定の反射的又は透過的な配置のためにおおよそ互いに“ネガティブ”である。よって、スケールパターンは、“信号変動部”の観点から説明しても良く、当然のことながら種々の用途において、信号変動部は、信号生成部或いはスケールパターンの信号逓減部を備える。
【0031】
図2A〜2Cは、図1のインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1に対応する光信号チャネルに関する種々の態様を示している。より具体的には、図2Aは、スケールピッチPSLを有するインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1を示している。図2Bは、検出平面DPにおいてインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの光によってもたらされるイメージ強度信号IMG1のグラフ図である。図2Bに示すように、結果としてのイメージ強度は、(例えば、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からのフィルタされていない信号から生成され得るような方形波とは反対の)ほぼ正弦波の信号を生成するように(例えば、開口部182によって)空間的にフィルタされており、信号周期PISCを有している。図2Cは、インクリメンタルディテクタトラックDETINC1の図であり、説明のために、図2Bのイメージ強度信号IMG1のイメージがディテクタトラックDETINC1に重ね合せられている。図2Cに示すように、ディテクタトラックDETINC1は、直交信号を出力するよう、ディテクタトラック波長λの1周期内に在る4つのディテクタエレメントに接続されている。ディテクタトラック波長λの1周期は、イメージ強度信号IMG1の1周期PISCにも対応する。
【0032】
図3は、両側テレセントリック配置と、アブソリュート、原点及びインクリメンタルトラックパターンを有するスケールとを備え、ここで開示する原理に従った空間フィルタリング及び結像技術を利用するエンコーダ構成300の部分的な概略分解図である。エンコーダ構成300の幾つかの構成要素及び動作原理は、図1のエンコーダ構成100と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図3において、図1中の一連の番号1XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号3XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0033】
図3に示すように、エンコーダ構成300は、スケールエレメント310と、照明システム/部360と、両側テレセントリック結像構成380とを含む。照明システム/部360は、光の可視又は不可視波長を発する光源330(例えば、LED)と、レンズ340と、位相格子350とを含む。より詳細に後述する如く、少なくとも一の実施形態において、位相格子350は、構造化された光パターンを生成するために利用され得て、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2用であるが、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2用では無い光信号パスチャネル内に位置し得る。両側テレセントリック結像構成380は、第1レンズ平面FLPにおける第1レンズ381と、開口平面APにおける開口部品382’中の開口部382と、第2レンズ平面SLPにおける第2レンズ383と、検出平面DPにおけるディテクタエレクトロニクス320とを備える。ディテクタエレクトロニクス320は、信号生成・処理回路390へ接続しても良い。光源330も、電力及び信号接続(図示せず)により信号生成・処理回路390へ接続しても良い。
【0034】
図3に示す実施形態において、スケールエレメント310は、3つのスケールトラックパターン、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2、原点スケールトラックパターンTREF2、及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2から成るスケールパターン315を含む。少なくとも一の実施形態においては、従来のアブソリュートスケールトラックパターンを、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2として利用しても良い。少なくとも一の実施形態において、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2は、ほぼX軸に沿った検出幅上で、比較的“粗い”ABS分解能を有し得る。
【0035】
より詳細に後述する通り、エンコーダ構成300は、微細なピッチスケールがスケール変位をセンシングする安価なディテクタの検出ピッチ又はエレメントピッチに対応するより大きなピッチフリンジを提供可能にする幾つかの空間フィルタリング及び結像原理を利用するよう設計される。所望のフリンジを生成するため、位相格子350は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2のピッチに近いピッチ(例えば、4μmのインクリメンタルスケールトラックピッチ及び4.1μmの原点スケールトラックピッチと比して、5μmの位相格子ピッチ)を有するよう設計された照明格子である。結果としての位相格子350及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2からのフリンジ周期は、比較的粗く(例えば、20μm)、位相格子350及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2により生成されるフリンジ周期(例えば、22.77μm)と僅かに異なり得る。
【0036】
より詳細に後述する通り、検出パターンは、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2に対応する高い空間周波数をぼやけさせる又は除去する開口部382を含む両側テレセントリック結像構成380によって、空間的にフィルタされた状態で結像される。幾つかの実施形態においては、パラメータが選択され、以て空間的にフィルタリングされたパターンの変調イメージピッチが、所定のディテクタ(例えば、20μmのインクリメンタルスケールトラックピッチ用に設計されたディテクタ)のピッチに一致する。適切な開口幅が、高い空間周波数を除去し且つ所望のパターンフリンジ周期をもたらすといった所望の空間フィルタリングの効果を奏するように選択され得る。所望の空間波長フィルタリングを達成するための開口幅等に関する幾つかの教示は、同一出願人による特許文献12により詳細に記載されており、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0037】
図10Bを参照してより詳細に後述する通り、少なくとも一の実施形態において、原点スケールトラックパターンTREF2は、ベーカーパターンとして形成され得る一連の原点マークを含んでも良い。原点マークは、バーニア原点マークとして機能しても良い。原点スケールトラックパターンTREF2は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用の特定のインクリメンタル波長を示すことが可能なレベルへ分解できるように形成され、以てインクリメンタル波長を、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2からのアブソリュートマークに対して明確にする。少なくとも一の実施形態において、原点トラックパターンTREF2(例えば、ベーカーパターン)及びインクリメンタルトラックパターンTINC2の組合せは合成波長を作成し得て、これらの測定された合成位相は正しいインクリメンタルスケールトラックパターン・サイクルを指し示す(例えば、測定された零の合成位相は、当該位相に対応する正しいインクリメンタルサイクルを示し得る)。
【0038】
具体例として、原点スケールトラックパターンTREF2は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2のピッチ(例えば、20μmの周期で、変調され且つ空間的にフィルタされたフリンジパターンを生成する4.0μm)と比して、僅かに異なるピッチ(例えば、22.77μmの周期で、変調され且つ空間的にフィルタされたフリンジパターンを生成する4.1μm)を有し得て、この結果、原点スケールトラックパターンの位相が、特定の長さに沿った一つの特定ポイントのみでインクリメンタルスケールトラックパターンの位相と一致する(例えば、原点スケールトラックパターン内のベーカーパターン長に沿った一つのポイントで一致するのみである)。位相が一致する位置は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用の特定のインクリメンタル波長を規定する。
【0039】
一の具体的な実施形態において、原点スケールトラックパターンTREF2においては、ベーカーパターンが選択された間隔(例えば、0.6ミリメートル)で提供されても良い。(例えば、パターン中心での)各ベーカーパターンの位相は、特定の距離(例えば、0.6ミリメートル)だけ離れた位置でのインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1の位相と一致する(又は、当該位相から一定の位相オフセットを有する)。インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2の合成波長は、ベーカーパターン長より大きい。少なくとも一の実施形態において、この関係は、インクリメンタルスケールトラックパターン及び原点(例えば、ベーカー)スケールトラックパターンの合成波長がベーカーパターン長Lより大きいことを、L<pp’/(p’−p)と記述することによって表現され得る。ここで、pは、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2のピッチであり、p’は、原点スケールトラックパターンTREF2におけるベーカーパターンのピッチである。
【0040】
図3に示すように、ディテクタエレクトロニクス320は、3つのスケールトラックパターンTABS2、TREF2及びTINC2それぞれから光を受信するよう配置された、3つのディテクタトラックDETABS2、DETREF2及びDETINC2から成るディテクタ構成325を含む。ディテクタエレクトロニクス320は、信号処理回路326(例えば、信号オフセット及び/又はゲイン調整、信号増幅、並びに結合回路等)を含んでも良い。少なくとも一の実施形態において、ディテクタエレクトロニクス320は、単一のCMOS ICとして製造しても良い。
【0041】
動作において、光源330から発せられた光331(一次光)は、レンズ340により、3つのスケールトラックパターンTABS2、TREF2及びTINC2を照らすのに十分なビーム領域で部分的又は全体的に平行化される。位相格子350は、上述した変調され且つ空間的にフィルタされた結像効果を達成するため、ソース光を回折して、回折された構造化光331’を(アブソリュートスケールトラックパターンTABS2では無く)原点スケールトラックパターンTREF2及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2へ与えるように形成される。そして、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用のイメージチャネルで例示すると、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、スケール光332をレンズ381へ与える。当然のことながら、X軸方向に沿って開口幅AWを有する限界開口382は、(図4〜12を参照してより詳細に後述する如く)イメージチャネルを通過する光線を選択又は制限する空間フィルタとして機能する。図3は、3つのこのような光線、2つの端光線及び1つの中心光線を示している。図3に示すように、レンズ381は、光線を限界開口382へ伝送する。限界開口382は、光線を、空間的にフィルタされたイメージ光333として第2レンズ383へ伝送する。第2レンズ383は、空間的にフィルタされたイメージ光を伝送及び集光して、空間変調された光パターンをディテクタトラックDETINC2にて形成する。上述した通り、及び図4を参照して詳細に後述する通り、ここで開示する原理に従って、ディテクタトラックDETINCにおける空間変調された光パターンは、変調且つ空間的にフィルタされたフリンジパターンを備えている。
【0042】
同様に、スケールトラックパターンTREF2及びTABS2は、照らされると、トラック固有に空間変調された光パターン(例えば、各パターンに対応するパターン化された光)を、ディテクタエレクトロニクス320のトラック固有のディテクタトラックDETREF2及びDETABS2へそれぞれ出力する。上述した通り、ディテクタトラックDETREF2における空間変調された光パターンは、変調且つ空間的にフィルタされたフリンジパターンを備えている。当然のことながら、空間変調された光パターンの全てがスケール310と共に移動する。ディテクタトラックDETINC2、DETABS2及びDETREF2各々に対応する光信号チャネルにおいて、個別のフォトディテクタ領域が、受信した空間変調された光パターンを空間的にフィルタして、信号(例えば、直交信号を生成するインクリメンタルディテクタトラックDETINC2、又は信号補間をもたらす空間的な位相関係を有する他の周期信号)を示す所望の位置を提供するために配置される。幾つかの実施形態においては、個別のフォトディテクタ領域よりはむしろ、個別の開口を有する空間フィルタマスクが、比較的大きなフォトディテクタをマスクして、周知技術に従った類似の全体的なシグナル効果を提供するために説明した個別のフォトディテクタ領域に類似する光受信エリアを提供しても良い。
【0043】
種々の用途において、ディテクタエレクトロニクス320及び光源330は、互いに固定された関係で、例えば読取ヘッダ又はゲージ筐体(図示せず)中に実装され、周知技術に従い、ベアリングシステムによりスケール310に関連する測定軸に沿って導かれる。種々の用途において、スケールは、ムービングステージ又はゲージスピンドル等に取り付けられても良い。
【0044】
図4A〜4Dは、図3のインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2に対応する光信号チャネルに関する種々の態様を示している。より具体的には、図4Aは、位相格子350によって生成される照明フリンジパターンIFPを示している。照明フリンジパターンIFPは、ピッチPMI(例えば、5μm)を有するように示されている。図4Bは、スケールピッチPSF(例えば、4μm)を有するインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2を示している。図4Cは、検出平面DPにおいて位相格子350及びインクリメンタルスケールトラックTINC2の組合せからの光によってもたらされるイメージ強度信号IMG2のグラフ図である。図4Cに示すように、結果としてのイメージ強度は、変調されたイメージピッチPIMESF(例えば、20μm)を有する全体的な正弦波のエンベロープパターンと共にうなり周波数を伴うモアレフリンジを含む。上述した通り、イメージ強度は、変調されたイメージピッチPIMESFを伴うモアレ結像フリンジ用にほぼ正弦波のエンベロープ信号を生成するために、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2からの高周波信号HFSを除去するよう(例えば、開口部182によって)空間的にフィルタされている。
【0045】
種々の実施形態において、開口部350は、開口幅AW=F*λ*(a/(PMISF/((PMI−PSF)))であるように構成される。ここで、aは、2.0より大きく且つ6.0未満である。空間変調されたイメージ光は、値Δnだけ異なる2つの回折次数の干渉から形成されるフリンジ(図4Cに詳細に示す)を備えている。幾つかの実施形態において、例えば、モアレイメージ強度信号IMG2が、スケール光332のa+1及びa−1回折次数要素の重複に由来しているならば、Δn=2である。他の例示的な実施形態においては、Δnは1又は4であり得る。
【0046】
当然のことながら、コヒーレント光を出力する光源を含むエンコーダ構成において、変数aは、0.5より大きい値を有するべきである。コヒーレント光を利用する実施形態において、aの値は、0.5より大きく且つ1.5より小さくても良い。コヒーレント光を利用する一の実施形態において、aの値は1である。非コヒーレント光を利用する実施形態において、aの値は、1より大きく且つ4より小さくても良い。非コヒーレント光を利用する一の実施形態において、aの値は2である。
【0047】
イメージ強度信号IMG2は、スケールピッチPSF及び照明フリンジピッチPMIに依存する空間波長PIMESFを有する強度変調エンベロープによって変調される。PSF及びPMIは、ディテクタトラックDETINC2のディテクタピッチPdと協調して選択され、以て光源が非コヒーレント光を出力する場合に、ΔnPMISF/(ΔnPMI−PSF)=PIMESF=m*Pd/kが成立し、光源がコヒーレント光を出力する場合には、ΔnPMISF/(2ΔnPMI−PSF)=PIMESF=m*Pd/kが成立する。ここで、mは、ディテクタ部から出力される位相信号の数であり、kは、奇数の整数である。空間波長PIMESFは、スケールピッチPSFより大きい。
【0048】
図4A図4B及び図4Cの間に描画される一連の垂直参照ラインVRLは、図4BのインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2を通過する図4Aの照明フリンジパターンからの信号レベルの指標を提供し、結果としての図4Cのモアレイメージ強度中の信号強度に対応しているように見える。図4Dは、インクリメンタルディテクタトラックDETINC2の図であり、説明のために、図4Cのモアレイメージ強度信号IMG2のうなり周波数エンベロープのイメージがディテクタトラックDETINC2に重ね合せられている。図4Dに示すように、ディテクタトラックDETINC2は、直交信号を出力するよう、検出又はピッチPdの1周期内に在る4つのディテクタエレメントに接続されている。検出又はピッチPdの1周期は、モアレイメージ強度信号IMG2の1周期PIMESFにも対応する。
【0049】
図5及び図6は、以前特許文献12に組み込まれた図26及び図27に含まれる基本的な設計参照情報を示している。種々の実施形態における開口サイズの選択に関して図5及び図6を使用することは、’969特許の開示に基づき理解され得るから、ここでは詳細には説明しない。但し、関連する教示が、この開示に照らして使用され得る。’969特許の開示の大部分は、非コヒーレント照明の観点からのものである。当業者は、結像系における非コヒーレント照明とコヒーレント照明の間の差異に関する周知の検討に基づいて、その教示に対して適切に適応するであろう。
【0050】
図7は、図1のエンコーダ構成100の実用的な実装の一実施形態であるエンコーダ構成700の部分的な概略分解図である。エンコーダ構成700の幾つかの構成要素及び動作原理は、図1のエンコーダ構成100と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図7において、図1中の一連の番号1XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号7XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0051】
図7に示すように、エンコーダ構成700は、スケールエレメント710と、照明システム/部760と、両側テレセントリック結像構成780とを含む。照明システム/部760は、光の可視又は不可視波長を発する光源730(例えば、LED)と、レンズ740と、ビームスプリッタ755を含む。両側テレセントリック結像構成780は、第1レンズ平面FLPにおける第1レンズアレイ781と、開口平面APにおける開口部品782’中の開口アレイ782と、第2レンズ平面SLPにおける第2レンズアレイ783と、検出平面DPにおけるディテクタエレクトロニクス720とを備える。ディテクタエレクトロニクス720は、信号生成・処理回路(図示せず)へ接続しても良い。光源730も、電力及び信号接続(図示せず)により信号生成・処理回路へ接続しても良い。
【0052】
レンズアレイ781及び783並びに開口アレイ782に関し、当然のことながら、これらは、図1のエンコーダ構成100の第1レンズ181、開口部182及び第2レンズ183と同様の個別要素を含む。図7中、各アレイにおいて、各個別要素は、同様に協調動作して、イメージチャネル又はイメージチャネル構成と呼称され得る個別のイメージパス又はチャネルを提供する。各イメージチャネルは、図1に関し上述したエンコーダ構成100の単独のレンズ及び開口部に対して同様に機能する。図7の実施形態において、多重イメージチャネルは、単独のイメージチャネルの品質が劣化する或いは阻害される場合に、残りのイメージチャネルが依然として正確なスケールパターンの結像を提供し得るという点において、汚染、欠陥、スケール波形等に関するシステムのロバスト性のための付加的レベルを提供するのに利用される。
【0053】
図7の実施形態において、スケールエレメント710は、図1に関し上述した、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1、原点スケールトラックパターンTREF1及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1を含む3つのスケールトラックパターンから成るスケールパターン715を含む。少なくとも一の実施形態において、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1は、ほぼX軸に沿った検出幅上で、非常に“粗い”ABS分解能を有し得る。
【0054】
インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1のためには、少なくとも一の実施形態において、そのインクリメンタルピッチが比較的粗く(例えば、20μm)ても良い。図8を参照してより詳細に後述する如く、細かいピッチ(例えば、4μm)が、ここで開示する方法に従った同様のサイズのエンコーダ構成において実現され得る。図10Aを参照してより詳細に後述する如く、少なくとも一の実施形態において、原点スケールトラックパターンTREF1は、一連のベーカーパターンとして形成されバーニア原点マークとしても機能するか、様々な周知技術に従って形成される一連の原点マークを備え得る。
【0055】
ディテクタエレクトロニクス720は、3つのスケールトラックパターンTABS1、TREF1及びTINC1それぞれから光を受信するよう配置された、3つのディテクタトラックDETABS1、DETREF1及びDETINC1から成るディテクタ構成725を含む。ディテクタエレクトロニクス720は、信号処理回路(例えば、信号オフセット及び/又はゲイン調整、信号増幅、並びに結合回路等)を含んでも良い。少なくとも一の実施形態において、ディテクタエレクトロニクス720は、単一のCMOS ICとして製造しても良い。
【0056】
動作において、光源730から発せられた光731(一次光)は、レンズ740によって部分的又は全体的に平行化され得て、ビームスプリッタ755を介し、3つのスケールトラックパターンTABS1、TREF1及びTINC1を照らすのに十分なビーム領域上に導かれる。そして、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1用のイメージチャネルで例示すると、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1は、ビームスプリッタ755によりレンズアレイ781へ方向を変えられるスケール光732を提供する。当然のことながら、開口アレイ782の各限界開口は、X方向に沿って開口幅AWを有し、(図2に関し上述したように)インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1用の所定のイメージチャネルを通過する光線を選択又は制限する空間フィルタとして機能する。図7に示す如く、各イメージチャネルのために、レンズアレイ781の対応するレンズが、光線を限界開口アレイ782の対応する開口部へ伝送する。そして、限界開口アレイ782の対応する開口部は、光線を、空間的にフィルタされたイメージ光733として第2レンズアレイ783の各レンズへ伝送する。第2レンズアレイ783の各レンズは、空間的にフィルタされたイメージ光を伝送及び集光して、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1の各位置に対応する空間変調された各光パターンを、ディテクタトラックDETINC1の各位置にて形成する。
【0057】
このように、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1は、照らされると、トラック固有に空間変調された一連の光パターンを、各イメージチャネルに対応する、ディテクタエレクトロニクス720のディテクタトラックDETINC1の各位置へ出力する。空間変調された光パターンのイメージは、ディテクタトラックDETINC1と同一平面上であり得るイメージ平面IMGPにて形成される。
【0058】
インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの空間変調された光パターンのディテクタトラックDETINC1上での結像と同様に、スケールトラックパターンTREF1及びTABS1は、レンズ740からの光で照らされると、トラック固有に空間変調された光パターン(例えば、各パターンに対応するパターン化された光)を、ディテクタエレクトロニクス720のトラック固有のディテクタトラックDETREF1及びDETABS1へそれぞれ出力する。上述した通り、(例えば、ベーカーパターンを有する)原点スケールトラックパターンTREF1は、特定のインクリメンタル波長を示すよう分解でき、以てインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの波長を、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1からのアブソリュートマークに対して明確にする。ディテクタトラックDETINC1、DETABS1及びDETREF1の各々においては、個別のフォトディテクタ領域が、受信した空間変調された各光パターンを空間的にフィルタして、信号(例えば、直交信号を生成するインクリメンタルディテクタトラックDETINC1、又は信号補間をもたらす空間的な位相関係を有する他の周期信号)を示す所望の位置を提供するために配置される。
【0059】
種々の用途において、ディテクタエレクトロニクス及び光源は、互いに固定された関係で、例えば読取ヘッダ又はゲージ筐体(図示せず)中に実装され、周知技術に従い、ベアリングシステムによりスケール710に関連する測定軸に沿って導かれる。種々の用途において、スケールは、ムービングステージ又はゲージスピンドル等に取り付けられても良い。図7に示す構成は、反射的な構成である。すなわち、光源及びディテクタエレクトロニクスは、スケール710と同側に配置され、周知技術に従って、角度のある照明及び反射のために設置される。よって、スケールパターン715は、空間変調された光パターンを反射によってディテクタトラックへ出力する光吸収部及び光反射部(例えば、周知の反射技術を用いて基板上に組み上げられる)を備えている。当然のことながら、同様の構成要素が透過的な実施形態(例えば、図1参照)において配置され得る。
【0060】
図8は、図3のエンコーダ構成300の実用的な実装の一実施形態であるエンコーダ構成800の部分的な概略分解図である。エンコーダ構成800の幾つかの構成要素及び動作原理は、図3のエンコーダ構成300と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図8において、図3中の一連の番号3XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号8XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0061】
図8に示すように、エンコーダ構成800は、スケールエレメント810と、照明システム/部860と、両側テレセントリック結像構成880とを含む。照明システム/部860は、光の可視又は不可視波長を発する光源830(例えば、LED)と、レンズ840と、位相格子850と、ビームスプリッタ855を含む。より詳細に後述する如く、少なくとも一の実施形態において、位相格子850は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2用であるが、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2用では無い光チャネル内に位置及び配置しても良い。両側テレセントリック結像構成880は、第1レンズ平面FLPにおける第1レンズアレイ881と、開口平面APにおける開口アレイ882と、第2レンズ平面SLPにおける第2レンズアレイ883と、検出平面DPにおけるディテクタエレクトロニクス820とを備える。当然のことながら、レンズアレイ881及び883並びに開口アレイ882は、図7に関し上述したレンズアレイ781及び783並びに開口アレイ782と同様に配置されて機能する。ディテクタエレクトロニクス820は、信号生成・処理回路(図示せず)へ接続しても良い。光源830も、電力及び信号接続(図示せず)により信号生成・処理回路へ接続しても良い。
【0062】
図8の実施形態において、スケールエレメント810は、図3に関し上述した、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2、原点スケールトラックパターンTREF2及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2を含む3つのスケールトラックパターンから成るスケールパターン815を含む。少なくとも一の実施形態において、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2は、ほぼX軸に沿った検出幅上で、比較的“粗い”ABS分解能を有し得る。図3に関し上述した通り、原点スケールトラックパターンTREF2及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、ここに開示する空間フィルタリング及び結像原理に従って、利用され結像される。
【0063】
図8に示すように、ディテクタエレクトロニクス820は、3つのスケールトラックパターンTABS2、TREF2及びTINC2それぞれから光を受信するよう配置された、3つのディテクタトラックDETABS2、DETREF2及びDETINC2から成るディテクタ構成825を含む。ディテクタエレクトロニクス820は、信号処理回路(例えば、信号オフセット及び/又はゲイン調整、信号増幅、並びに結合回路等)を含んでも良い。一の実施形態において、ディテクタエレクトロニクス820は、単一のCMOS ICとして製造しても良い。
【0064】
動作において、光源830から発せられた光831(一次光)は、レンズ840によって部分的又は全体的に平行化され得て、ビームスプリッタ855を介し、3つのスケールトラックパターンTABS2、TREF2及びTINC2を照らすのに十分なビーム領域上に導かれ得る。位相格子850は、ソース光を回折して、回折された構造化光831’を(アブソリュートスケールトラックパターンTABS2では無く) 原点スケールトラックパターンTREF2及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2へ与えるように形成される。そして、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用のイメージチャネルで例示すると、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、ビームスプリッタ855によりレンズアレイ881へ方向を変えられるスケール光832を出力する。当然のことながら、開口アレイ882の各限界開口は、X方向に沿って開口幅AWを有し、(図4に関し上述したように)所定のイメージチャネルを通過する光線を選択又は制限する空間フィルタとして機能する。換言すると、上述した通り、空間フィルタリングは、位相格子及びインクリメンタルスケールトラックパターンによって生成されたイメージの高周波部分を効果的にぼやけさせ、この結果、残りの信号が、主として、構造化された照明のフリンジピッチとスケール格子のピッチとの間のうなり周波数と考えられ得る変調から成る。結果としての変調されたイメージピッチは、うなり周波数エンベロープの周期の測定である。
【0065】
図8に示す如く、各イメージチャネルのために、レンズアレイ881の対応するレンズが、光線を限界開口アレイ882の対応する開口部へ伝送する。限界開口アレイ882の対応する開口部は、光線を、空間的にフィルタされたイメージ光833として第2レンズアレイ883の各レンズへ伝送する。第2レンズアレイ883の各レンズは、空間的にフィルタされたイメージ光を伝送及び集光して、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2の各位置に対応する空間変調された各光パターンを、ディテクタトラックDETINC2の各位置にて形成する。図4に関し上述した通り、ここに開示する原理に従って、ディテクタトラックDETINC2における空間変調された光パターンは、変調且つ空間的にフィルタされた結像フリンジパターンを備えている。
【0066】
同様に、スケールトラックパターンTREF2及びTABS2は、照らされると、トラック固有に空間変調された光パターンを、ディテクタエレクトロニクス820のトラック固有のディテクタトラックDETREF2及びDETABS2へそれぞれ出力する。上述した通り、ディテクタトラックDETREF2における空間変調された光パターンも、変調且つ空間的にフィルタされた結像フリンジパターンを備えている。当然のことながら、空間変調された光パターンの全てがスケール810と共に移動する。ディテクタトラックDETINC2、DETABS2及びDETREF2の各々に対応する光信号チャネルにおいて、個別のフォトディテクタ領域が、受信した空間変調された各光パターンを空間的にフィルタして、信号(例えば、直交信号を生成するインクリメンタルディテクタトラックDETINC2、又は信号補間をもたらす空間的な位相関係を有する他の周期信号)を示す所望の位置を提供するために配置される。
【0067】
種々の用途において、ディテクタエレクトロニクス820及び光源830は、互いに固定された関係で、例えば読取ヘッダ又はゲージ筐体(図示せず)中に実装され、周知技術に従い、ベアリングシステムによりスケール810に関連する測定軸に沿って導かれる。種々の用途において、スケールは、ムービングステージ又はゲージスピンドル等に取り付けられても良い。図8に示す構成は、反射的な構成である。すなわち、光源830及びディテクタエレクトロニクス820は、スケール810と同側に配置され、周知技術に従って、角度のある照明及び反射のために設置される。よって、スケールパターン815は、空間変調された光パターンを反射によってディテクタトラックへ出力する光吸収部及び光反射部(例えば、周知技術を用いて基板上に組み上げられる)を備えている。当然のことながら、同様の構成要素が透過的な実施形態(例えば、図3参照)において配置され得る。
【0068】
図9は、図8のエンコーダ構成800の位相格子部の代替の実施形態を示すエンコーダ構成900の図である。図9に示すように、エンコーダ構成900は、スケールエレメント910と、光源930と、レンズ940と、2つの位相格子950A及び950Bと、ビームスプリッタ955とを含む。図8のエンコーダ構成800からの主たる差異は、エンコーダ構成900が、単独の位相格子850を利用するよりむしろ、2つの位相格子950A及び950Bを利用することである。一の実施形態において、位相格子950Aが、0.92μmの位相格子であり得る一方、位相格子950Bは、空隙を伴う(カップリングされていない)0.84μmの位相格子であり得る。この構成は、位相格子950Bが位相格子950Aにより出力されるビームを完全には分割する必要が無いという点において、コンパクトな設計を可能にする。一の具体的な実施形態においては、位相格子950A及び950Bを介した光伝送の後、光フリンジが、特定の周期(例えば、5μm)で生成され、インクリメンタルスケールトラックパターンTINCのピッチ(例えば、4μm)と相まって、特定の周期(例えば、20μm)で変調且つ空間的にフィルタされたフリンジを生成する。
【0069】
図10A及び図10Bは、それぞれ、図1及び図3のエンコーダ構成のスケールトラックパターン配置の図である。図10Aに示すように、スケールトラックパターン配置1000Aは、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1と、原点スケールトラックパターンTREF1と、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1とを含む。上述した通り、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1は、絶対的な測定範囲に亘る絶対位置を決定するのに利用可能な信号を提供するものであり、図10Aの実施形態においては、スケールトラックパターンに沿った絶対位置を示すコード化された信号部分を含むように示されている。
【0070】
インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1のため、そのインクリメンタルピッチが比較的粗く(例えば、20μm)示されている。図10Aに示す原点スケールトラックパターンTREF1の部分においては、4つの原点マークパターンRM1A〜RM1Dが、特定の間隔で発生するように示されている。一の実施形態において、原点マークは、ベーカーパターンとして形成され、様々な周知技術に従って形成され得る。原点マークは、バーニア原点マークとしても機能し得る。上述した通り、原点スケールトラックパターンTREF1は、特定のインクリメンタル波長を示すことが可能なレベルへ分解でき、以て(例えば、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC1からの)インクリメンタル波長を、(例えば、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1からの)アブソリュートマークに対して明確にする。図10Aに示すように、スケールが、全体的な幅寸法X1を有する一方、スケールトラックパターンTABS1、TREF1及びTINC1によりカバーされる領域は、幅寸法X2を有する。具体的な実施形態においては、寸法X1が13ミリメートルに等しい一方、寸法X2は3.9ミリメートルに等しい。
【0071】
図10Bに示すように、スケールトラックパターン配置1000Bは、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2と、原点スケールトラックパターンTREF2と、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2とを含む。スケールトラックパターンのための種々の可能な寸法及び構成は、図11に関してより詳細に後述される。大略、同然のことながら、スケールトラックパターン配置1000Bは、スケールトラックパターン配置1000A用に設計されたエンコーダ構成へ代用することが可能なように、図10Aのスケールトラックパターン配置1000Aと略同一サイズで設計される。図10Bに示すように、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2は、絶対的な測定範囲に亘る絶対位置を決定するのに利用可能な信号を提供し、図10AのアブソリュートスケールトラックパターンTABS1と同様のコード化された部分を備え得る。少なくとも一の実施形態において、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2は、ほぼX軸に沿った検出幅上で、非常に粗いABS分解能を有し得る。
【0072】
図10Bに示すように、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、図10AのインクリメンタルスケールトラックパターンTINC1のピッチ(例えば、20μm)と比して、非常に細かいピッチ(例えば、4μm)を有するように示されている。図10Bに示す原点スケールトラックパターンTREF2の部分は、一連の4つの原点マークパターンRM2A〜RM2Dを含むように示されている。原点マークパターンRM2A〜RM2Dは、様々な周知技術に従って、ベーカーパターンとして形成され得る。原点マークパターンは、バーニア原点マークとしても機能し得る。原点スケールトラックパターンTREF2は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用の特定のインクリメンタル波長を示すことが可能なレベルへ分解できるよう設計され、以てインクリメンタル波長を、アブソリュートスケールトラックパターンTABS2からのアブソリュートマークに対して明確にする。一の実施形態において、原点トラックパターンTREF2及びインクリメンタルトラックパターンTINC2の変調且つ空間的にフィルタされたイメージの組合せは、測定された合成位相が正しいインクリメンタルスケールトラックパターン・サイクルを指し示す(例えば、測定された零の合成位相は、当該位相に対応する正しいインクリメンタルサイクルを示し得る)合成波長を作成する。
【0073】
一例として、図10Bの実施形態においては、原点マークパターンRM2A〜RM2Dの各々が、対応する位相マーカーPHS2A〜PHS2Dを有するように示されている。位相マーカーPHS2A〜PHS2Dの各々は、位置毎に完全に位置合せされた位相が発生するポイントを示している。換言すると、原点トラックパターンTREF2においては、原点マークパターン(例えば、RM2A〜RM2D)が選択された間隔(例えば、6ミリメートル)で設けられる。(位相マーカーPHS2A〜PHS2Dが発生する各パターンの中心における)各原点マークパターンの位相は、特定の距離(例えば、6ミリメートル)だけ離れた位置におけるインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2の位相と一致する(又は、当該位相から一定の位相オフセットを有する)。インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2の合成位相は、原点マークパターン長より大きい(すなわち、個別のベーカーパターン各々の長さより大きい)。
【0074】
上述した通り、(原点マークパターンを有する)原点スケールトラックパターンTREF2は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2と同種の変調且つ空間的にフィルタされたイメージを生成するよう設計されている。変調且つ空間的にフィルタされたイメージを生成するために、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2及び原点スケールトラックパターンTREF2のピッチに近いピッチ(例えば、4μmのインクリメンタルスケールトラックピッチ及び4.1μmの原点スケールトラックピッチと比して、5μmの位相格子ピッチ)を有する位相格子を用いる。結果としての位相格子及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2からの変調且つ空間的にフィルタされたイメージのフリンジ周期は、比較的粗く(例えば、20μm)、位相格子及びインクリメンタルスケールトラックパターンTINC2により生成される変調且つ空間的にフィルタされたイメージのフリンジ周期(例えば、22.77μm)と僅かに異なり得る。
【0075】
原点スケールトラックパターンTREF2に、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2のピッチ(例えば、4。0μm)と比して僅かに異なるピッチ(例えば、4.1μm)を持たせることにより、原点スケールトラックパターンの位相は、特定の長さに沿った一つの特定ポイントのみでインクリメンタルスケールトラックパターンの位相と一致するであろう(例えば、位相マーカーPHS2A〜PHS2Dで示す如く、原点スケールトラックパターンTREF2内のベーカーパターン長に沿った一つのポイントで一致するのみである)。位相が一致する位置は、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2用の特定のインクリメンタル波長を規定する。
【0076】
上述した通り、比較的細かいピッチ(例えば、4μm)を有し、選択されたピッチ(例えば、5μm)を有する位相格子で生成された構造化光によって結像されるインクリメントスケールトラックパターンを利用することにより、比較的粗く変調されたイメージピッチ(例えば、20μm)を有する変調且つ空間的にフィルタされたパターンを生成できる。当然のことながら、このような実施形態においては、選択比(例えば、5対1)が、変調されたイメージピッチ(例えば、20μm)とインクリメンタルスケールトラックパターンのピッチ(例えば、4μm)の間に存在する。選択された実施形態においては、インクリメンタルスケールトラックパターンに関する高分解能を、以前により粗いインクリメンタルスケールトラックピッチ用に設計されたエンコーダ構成で利用可能にするために、略5対1の比、或いはより高い比(例えば、10対1、20対1等)が望まれ得る。
【0077】
図11は、図3のエンコーダ構成用の種々のスケール及びディテクタトラックの組合せのためのパラメータを示すテーブル1100である。図11に示す如く、第1の実装のために、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、p=4μmのピッチを有するように示されており、対応する位相格子は、フリンジ周期S=5μmの構造化光を作成する。変調且つ空間的にフィルタされたイメージがもたらす結像フリンジ周期は、f=20μmである。(補間の必要レベルを示す)補間係数は、K=40である。ディテクタエレメントは、ピッチd=15μmを有するよう設計される。当然のことながら、幾つかの実施形態においては、ディテクタエレメントのピッチが、フリンジ周期fの1/4、1/3、2/3又は3/4となるように設計しても良い。一の実施形態において、ディテクタエレメントのピッチは、20μmのフリンジの3/4になり得る(この例では、ディテクタエレメントピッチd=15μm)。
【0078】
第1の実装における原点スケールトラックパターンTREF2のために、各ベーカーパターン内のエレメントのピッチが、p’=4.1μmである一方、対応する位相格子は、(インクリメンタルスケールトラックパターンと同様の)フリンジ周期S=5μmで構造化光を作成する。原点スケールトラックパターンを介した位相格子からの構造化光の組合せによって生成される結像フリンジ周期は、変調且つ空間的にフィルタされた結像フリンジ周期f’=22.77μmを生成する。補間係数は、K=40である。ディテクタエレメントのピッチは、d’=17μmである。インクリメンタルスケールトラックパターン及び原点スケールトラックパターンの併用のため、バーニア合成波長(ff’/(f−f’))は、164μmに等しい。原点スケールトラックパターンの各ベーカーパターンの長さは、L=136μmである(ピッチp’=4.1μmで33ラインを有する)。当然のことながら、幾つかの実施形態において、ベーカーパターン中のライン数は、十分な可視フリンジ(すなわち、非常に十分な量のうねり周波数エンベロープ部分)を形成する必要があり得て、ディテクタトラックで生成される変調且つ空間的にフィルタされたイメージの一部として適切に検出することができる。トラック及び領域毎のイメージアレイ中のディテクタエレメントの数、及びそのトータル長に関しては、インクリメンタルディテクタトラックDETINC1のために、セット毎に8つのエレメント(120μmのトータル長)が存在する。また、原点ディテクタトラックDETREF1のために、セット毎に8つのエレメント(136μmのトータル長)が存在する。ベーカーパターン間のインクリメンタルサイクルの数は、150である。
【0079】
図11に示す如く、第2の実装のために、インクリメンタルスケールトラックパターンTINC2は、p=8μmのピッチを有するように示されており、対応する位相格子は、フリンジ周期S=10μmの構造化光を作成する。変調且つ空間的にフィルタされたイメージがもたらす結像フリンジ周期は、f=40μmである。補間係数は、K=27.6である。ディテクタエレメントは、ピッチd=10μmを有するよう設計される。少なくとも一の実施形態において、ディテクタエレメントのピッチは、40μmのフリンジの1/4になり得る(この例では、ディテクタエレメントピッチd=10μm)。
【0080】
第2の実装における原点スケールトラックパターンTREF2のために、各ベーカーパターン内のエレメントのピッチが、p’=8.3μmである一方、対応する位相格子は、(インクリメンタルスケールトラックパターンと同様の)フリンジ周期S=10μmで構造化光を作成する。原点スケールトラックパターンを介した位相格子からの構造化光の組合せによって生成される結像フリンジ周期は、変調且つ空間的にフィルタされた結像フリンジ周期f’=48.8μmを生成する。補間係数は、K=27.6である。ディテクタエレメントのピッチは、d’=12.2μmである。インクリメンタルスケールトラックパターン及び原点スケールトラックパターンの併用のため、バーニア合成波長(ff’/(f−f’))は、221.3μmに等しい。原点スケールトラックパターンの各ベーカーパターンの長さは、L=略195μmである(ピッチp’=4.1μmで23ラインを有する)。トラック及び領域毎のイメージアレイ中のディテクタエレメントの数、及びそのトータル長に関しては、インクリメンタルディテクタトラックDETINC2のために、セット毎に16個のエレメント(160μmのトータル長)が存在する。また、原点ディテクタトラックDETREF2のために、セット毎に16個のエレメント(195μmのトータル長)が存在する。ベーカーパターン間のインクリメンタルサイクルの数は、75である。
【0081】
図12は、アメリカ合衆国付与前特許公報2011/0031383号(’383公開)として公開されたアメリカ合衆国特許出願12/535,561(’561出願)に含まれる図面の実質的なコピーであり、参照によって本明細書に取り込まれる。図12は、’561出願の開示に基づいて理解され得るため、ここでは詳細には説明しない。但し、関連する教示が、ここで開示する原理に照らして使用され得る。
【0082】
簡潔に述べると、図12は、両側テレセントリックエンコーダ結像配置1270−1のイメージチャネル1280−1を介した異なる光路を示す概略断面図700である。配置770−1は、ここに示した両側テレセントリック結像構成380、880及び1380に類似している。参照によって本明細書に取り込まれる特許文献13(’789出願)は、第1レンズ(又はレンズアレイ)と同様の形式であり、光軸に沿って第1レンズ対して反転された第2レンズ(又はレンズアレイ)を利用し、以て2つの類似するレンズのレンズ収差を互いにほぼ補正して、結果としてのイメージにおける収差を低減する両側テレセントリックエンコーダ構成の種々の実施形態を開示している。当然のことながら、’789特許の教示は、スケールパターンのイメージにおける空間歪み、すなわち、イメージにおけるパターン特性の位置の歪みを引き起こすレンズ収差の補正のみに対処するものである。図12に示す実施形態は、第1レンズ1210−1及び第2レンズ1210−1’が同様の収差を有する場合に、イメージにおける空間歪みの同種の補正を提供する。しかしながら、レンズ収差に因りイメージ中に出現し得る干渉効果に関連して、より扱いの難しい問題が生じ得る。’789特許は、この問題に対処していない。’561出願は、この問題に対処しておらず、その教示は種々の実施形態に適用可能である。特に、遮光及び開口寸法に関するこれらの教示は、適切な適応で、ここに開示する原理に係る幾つかの実施形態において適用され得る。
【0083】
図13A及び13Bは、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成の実用的な実装の他の実施形態である構成1300を示している。エンコーダ構成1300の幾つかの構成要素及び動作原理は、図3のエンコーダ構成300及び/又は図8のエンコーダ構成800と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図13において、図3中の一連の番号3XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号13XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下又は図13A及び13Bで特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。少なくとも一の実施形態において、図13A及び図13Bに示すレイアウトの寸法関係は互いの実際の例示的な比率で示されているが、このような関係は、種々の他の実施形態において変更され得る。少なくとも一の実施形態において、参考までに、寸法DIMZは略26.4mmであり得て、寸法DIMYは略48mmであり得る。寸法GAPは略1mmであり得る。一の実施形態において、他のおおよその寸法は、これらの寸法に基づいて計測され得る。当然のことながら、本実施形態は、単なる例示であり、限定では無い。
【0084】
図13に示すように、エンコーダ構成1300は、スケールエレメント1300と、照明システム/部1360と、両側テレセントリック結像構成1380とを含む。照明システム/部1360は、光1331の可視又は不可視波長(例えば、一の実施形態においては、レーザ用の655μmの波長)を発する光源1330(例えば、半導体レーザやLED等)と、開口部1335と、コリメートレンズ1340(又は、少なくともXY平面において略コリメートするもの)と、偏光ビームスプリッタ1390と、ビームダンプ1392と、反射板1342と、開口エレメント1345と、反射板1344と、位相格子1350と、ビームスプリッタ1355を含む。両側テレセントリック結像構成1380は、第1レンズ平面における第1レンズ1381と、開口平面における開口部品1382’での開口部1382と、第2レンズ平面における第2レンズ1383と、検出平面におけるディテクタエレクトロニクス1320とを備える。ディテクタエレクトロニクス1320は、信号生成・処理回路(図示せず)へ接続しても良い。光源1330も、電力及び信号接続(図示せず)により信号生成・処理回路へ接続しても良い。
【0085】
動作において、光源1330から発せられた光1331(例えば、一次光)は、光1331のストレイ部分を遮断し得る開口部1335を介して伝送される。少なくとも一の実施形態において、開口部1335は、4mmの直径を有し得る。伝送された光は、レンズ1340によって略又は完全にコリメートされ得て、ビームスプリッタ1390によって導かれる。Z偏光は、光1331Zとして、偏光ビームスプリッタ1390を通過する。偏光ビームスプリッタ1390は、ストレイ光が光源1330へ反射するのを防止するよう構成されている。このようなストレイ光は、偏光ビームスプリッタ1390により、ビームダンプ1392へ向かうビーム1391として反射される。
【0086】
光1331Zは、Z偏光された入射光をR円偏光1331Cへ変換する4分の1波長板1393を通過する。光路に沿って後段のエレメントにより反射され得る光は、L円偏光として返され、4分の1波長板1393を介して戻るX偏光となる。このようなX偏光された反射光は、偏光ビームスプリッタ1390により遮断されてビームダンプ1392へ導かれ、以て光源1330を妨害するためには戻らず、他の無関係な光線を作成することも無い。
【0087】
光1331Cは、反射板1342によって反射され、開口エレメント1345を介して導かれる。開口エレメント1345は、光ビーム1331Cを成形し、以て光ビーム1331Cが、反射板1344によって反射され且つ位相格子1350を通過して回折された構造化光1331’となった後に、スケール1310の所望の位置(例えば、所望のトラック位置)を照らすようにする。一の実施形態において、開口部1345は、6mmのX幅と、1.5mmのY幅を有し得る。
【0088】
光源1330が655μm波長の光を発する半導体レーザである少なくとも一の実施形態において、スケールエレメントは、4.00μmの格子ピッチを有し得て、位相格子1350は、4.44μmの格子ピッチを有し、零次光を遮断するよう構成され得る。結果としての振幅変調は、略20μmの周期を有し得る。
【0089】
そして、スケールエレメント1310は、そのスケール格子エレメントからの回折された構造化光を反射して、スケール光1332を提供する。スケール光1332は、前述した変調を含み、ビームスプリッタ1355を介し、両側テレセントリック結像構成1380によってディテクタ1320上で結像されるように導かれる。両側テレセントリック結像構成1380は、前述した原理に従って、スケール光1332を空間的にフィルタするように機能する。この結果、ディテクタ1320のディテクタエレメントの空間フィルタ周期と略一致する振幅変調の周期は、最終的にはディテクタ1320の信号に信号変動を引き起こす、スケール光1332の一次強度変調である。少なくとも一の実施形態において、両側テレセントリック結像構成1380の開口部1382は、略1mmの直径を有し、スケール光1332の零次要素を遮断するために、振幅変調要素よりも高い空間周波数を有するスケール光1332の空間周波数要素の所望のフィルタリングを提供し得る。これを説明する他の方法は、開口部1382が、位相格子及び/又はスケール格子の結像を防止するよう構成されることである。
【0090】
図14は、コヒーレント光源を含むエンコーダ構成1400の実施形態における種々のビームパスの参照図を示している。エンコーダ構成1400の幾つかの構成要素及び動作原理は、図3のエンコーダ構成300及び/又は図8のエンコーダ構成800と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図14において、図3中の一連の番号3XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号14XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下又は図14で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。図14に示すように、光源は、ソース光1431を発する。位相格子1450は、ソース光を、種々の回折次数の光線束から成る構造化された照明1431’へ分割する。図14は、干渉して照明フリンジピッチPiを提供する、+1次の光線束1431p及び−1次の光線束1431pを示している。当然のことながら、付加的な次数の光線束が構造化された照明1431’に存在する。しかしながら、簡略化のため、図14には+1次及び−1次のみが示されている。スケール1410は、構造化された照明1431’を受信し、周期Peから成るエンベロープを有するフリンジを備えたスケール光1432を出力する。周期Peは、スケールフリンジピッチPi及びスケールピッチPgの観点から、Pe=PgPi/(2Pi−Pg)として導出され得る。当然のことながら、幅は、非コヒーレント光の場合にはPiである2Piとの文言を含む。
【0091】
図15は、照明部1560の代替実施形態を含むエンコーダ構成1500の部分的な概略分解図である。照明部1560を除いて、エンコーダ構成1500の構成要素及び動作原理は、図3のエンコーダ構成300と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図15において、図3中の一連の番号3XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号15XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。図15に示す実施形態において、エンコーダ構成1500は、照明部1560(より詳細には、開口構成1572)が、不要な次数の光をスケール格子1510へ伝送することを抑制又は除去し、且つ所望の次数のみ(例えば、±1次のみ)を許容するように構成される。これにより、エンコーダ構成1500の信号品質が、前述した構成と比して改善される。本願発明者らは、ここに開示するエンコーダ構成にとって、残留次光がディテクタで結果として生じる信号に周期的な揺らぎを引き起こすことを見出した。このような揺らぎは、ディテクタにおける信号の毎期間に現れるというよりむしろ、信号の代替期間に現れ得て、結果として生じる信号を補償及び/又は補間する能力を低減させることを見出した。このため、以下に開示する照明構成は、その有用性がそのような構成に限定されないものの、ここに教示するエンコーダ構成との組合せで特に有効である。
【0092】
その動作が前述の類似する構成要素に基づき理解され得る構成要素1530、1540及び1550に加えて、照明部1560は、第1フィルタレンズ1571と、空間フィルタ開口構成1572と、第2フィルタレンズ1573とを更に含む。空間フィルタ開口構成1572は、略、第1フィルタレンズ1571の焦点面に設置される。第2フィルタレンズ1573は、空間フィルタ開口構成1572から、略、その焦点距離相当の距離に位置する平面に設置される。動作において、照明格子1550は、図3と同様にして、回折された構造化光1531’を出力する。回折された構造化光1531’は、その焦点が、第1照明レンズ1571により空間フィルタ開口構成1572の平面に合わせられる。空間フィルタ開口構成1572は、回折された構造化光1531’から零次の回折光を遮断すると共に、空間フィルタ開口構成1572の両端における高次の回折光を遮断するように構成され、開口部1572opを用いて、+1次及び−1次の回折光要素のみを含む空間的にフィルタされた構造化照明1531’’を伝送する。図15に示す実施形態において、空間フィルタ開口構成1572は、対称的に位置付けられたスリットを含む開口部1572opで囲まれる中央部1572cを有して構成される。幾つかの代替実施形態において、空間フィルタ開口構成は、環状開口で囲まれる中央の円形絞りを含んでも良い。第2照明レンズ1573は、空間的にフィルタされた構造化光1531を受光し、+1次及び−1次の回折光要素から成る空間的にフィルタされた構造化照明1531’’を、スケール格子1510に一致する平面におけるスケールパターン1515に対して出力する。測定軸方向に沿った中央部1572c及び開口部1572opの幅は、解析若しくは実験により決定され得るものであり、大略、上記の通りに本特定例においては零次光を遮断し且つ+/−1次の回折光を伝送するように選択される。
【0093】
当然のことながら、スケール格子1510から出力される零次光は、結像部1580によって抑制又は除去され得る。或いは、より詳細には、開口構成、限界開口1580が、零次光を空間的にフィルタするように構成され得る。但し、幾つかの実施形態においては、第1フィルタレンズ1571が、限界開口1582における角度(例えば、0.1°)の約10倍の大きさの角度(例えば、1°)で、光の焦点を空間フィルタ開口構成1572に合せても良い。このような実施形態において、限界開口1582は、空間フィルタ開口構成1572よりもミスアライメントに対して遥かに感度が高い。このため、照明部1560内で零次光を遮断した方が、結像部1580において遮断するよりも更に有益である。さらに、図15に示す実施形態において、照明格子1550は、(位相格子350とは対照的に)振幅格子であっても良い。これにより、エンコーダ構成1500の製造コストが低減される。図3に示した実施形態において、エンコーダ構成300は、スケールパターン315をどの程度まで位相格子350から離隔して設置し得るかという点に関して実際的な制限を有する。スケールパターン315を位相格子350からあまりにも離隔して設置したならば、2つの回折次数(例えば、+1次及び−1次)は、オーバラップせず、回折された構造化光331’を提供するためには干渉しないであろう。しかしながら、照明部1560は、回折された構造化光1531’を、照明格子1550と略一致する平面から結像するように構成される。これにより、エンコーダ構成300よりも大きな開口ギャップを可能にする。また、照明部1560が、ソース光をより効率良く提供することも可能にする。これは、干渉する次数が、照明格子1550の平面にて最もオーバラップするためである。必要に応じて、変調されたイメージピッチPIMESFは、照明フリンジピッチパターンIFPの所望のピッチPMIを与えるべく選択された焦点距離を有する第1フィルタレンズ1571及び第2フィルタレンズ1573の適切な組合せを選択することによって調整しても良い。先のアメリカ合衆国特許出願13/717,586に開示される構成と比較して、本願は、エンコーダ1500を構成するための追加的な設計自由度を提供し、結果として、空間フィルタされたパターンの変調イメージピッチを所定ディテクタのピッチにマッチさせる。変調イメージピッチPMIは、例えば、図4A図4Dにおいて概説した原理に従って、スケールピッチPSFと変調イメージピッチPIMESFとの間で所望の関係を供するように選択すれば良い。
【0094】
図16は、ここに開示する原理に係る反射的なエンコーダ構成1600において用いられ得る照明部1660の部分的な概略分解図である。エンコーダ構成1600の構成要素及び動作原理は、図15のエンコーダ構成1500と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図16において、図15中の一連の番号15XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号16XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。図16に示す実施形態において、照明部1660は、偏光子1676と、偏光ビームスプリッタ1677と、4分の1波長板1678とを更に含む。透過的な構成であるエンコーダ構成1500とは対照的に、エンコーダ構成1600は反射的な構成である。透過的な構成1500は、図16を参照して説明するものに類似する反射的な構成に、或いはここに開示する他の反射的な構成との類推によって容易に採用され得る。但し、図16を参照して教示する原理に係る偏光子の追加は、以下により詳細に説明する通り、光のより効率的な利用を提供する。このような偏光子の利用は、ここに説明する互換性のある実施形態との併用に適し得る。
【0095】
動作において、偏光子1676は、レンズ1640からコヒーレントなコリメート光1631を入力し、直線偏光されたコリメート光を出力する。偏光ビームスプリッタ1677は、第2フィルタレンズ1673からの空間的にフィルタされた構造化照明1631’’を、4分の1波長板1678へ反射する。4分の1波長板1678は、第2フィルタレンズ1673からの空間的にフィルタされた構造化照明1631’’を円偏光して、スケールパターン1615へ出力する。スケールパターン1615は、円偏光を伴う空間的に変調されたイメージ光1632を、4分の1波長板1678へ反射する。4分の1波長板1678は、円偏光を伴う空間的に変調されたイメージ光1632を入力すると共に、空間的に変調されたイメージ光1632を、第2フィルタレンズ1673から入力された構造化照明1631’’に対し90°回転される直線偏光を伴う偏光ビームスプリッタ1677へ出力する。偏光ビームスプリッタ1677は、直線偏光を伴う空間的に変調されたイメージ光1632を、結像部1680へ伝送する。4分の1波長板1678が空間的に変調されたイメージ光1632を90°回転される偏光を伴う偏光ビームスプリッタ1677へ戻すため(よって、ビームスプリッタ1677を介して伝送する偏光方向にマッチするため)、4分の1波長板1678を欠く構成と比した4つの要因により結像部1680へ出力される光量が増加する。
【0096】
図17は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成1700において用いられ得る照明部1760の図である。エンコーダ構成1700の構成要素及び動作原理は、図3のエンコーダ構成300と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図17において、図3中の一連の番号3XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号17XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0097】
図17に示す実施形態において、エンコーダ構成1700は、照明部1760が、所望の次数のみ(例えば、±1次のみ)を、結像構成1780によりディテクタ構成1725に結像されるスケールトラック1715の一部へ伝送するように構成される。図17に示すように、光源1730は、波長λを有するソース光1731を出力するよう構成される。幾つかの実施形態において、光源1730は、半導体レーザ、空間的にコヒーレントなLED、及び測定軸方向82と垂直に配置される独立した一連の線源の一つ(例えば、スリット又は等間隔若しくは周期的な格子でマスクされ、干渉フリンジパターンIFPに累積的に寄与する空間的なコヒーレントソース光1731線光源を提供するLED点光源)を含み得る。コリメーション部1740(例えば、コリメートレンズ)は、ソース光1731をコリメートするように配置される。構造化照明生成部1770は、ソース光1731を入力し、構造化照明1731’を提供するように構成される。ここで、構造化照明1731’は、測定軸方向82に対して横方向に配向されて、スケールトラック1715へ入力される照明フリンジパターンIFPを含む。スケールトラック1715は、入力された照明フリンジパターンIFPを空間的に変調し、空間的に変調されたイメージ光を含むスケール光を出力するように構成される。ディテクタ構成1725及び結像構成1780は、スケールトラック1715の結像領域IRから生じるスケール光のみがディテクタ構成1780へ結像されるように構成される。結像構成1780及びディテクタ構成1725の動作は、結像構成380及びディテクタ構成325の動作に類似しており、その説明への類推によって理解され得る。構造化照明生成部1770は、ビーム分離部1771と、照明格子1750とを含む。ビーム分離部は、ビームスプリッタ1777と、反射板1778とを含む。図17に示す特定の実施形態において、コリメーション部1740が光源1730とビーム分離部1771との間に設置されているが、他の実施形態においては、コリメーション部が光源と照明格子との間の他の位置に設置され得る。例えば、代替の実施形態において、コリメーション部1740は、ビーム分離部1771と照明格子1750との間に設置しても良い。幾つかの実施形態において、コリメーション部は、照明格子へ出力される第1ソース光部分及び第2ソース光部分をコリメートするように配置され得る。ビーム分離部1771は、ソース光1731を入力するよう配置されると共に、照明格子1750に対して、第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bを出力するように構成され、以て第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bが、測定軸方向82に沿って互いに離隔して間隔が空けられたビームを形成するようにする。より詳細には、ビームスプリッタ1777のビーム分割サーフェス1775が、ソース光1731を受光し、第1ソース光部分1731Aを第1ビームパスに沿って反射し、第2ソース光部分1731Bを反射板1778へ向けて伝送するように構成される。反射板1778は、第2ソース光部分1731Bを、第1ビームパスとは離隔して間隔が空けられた第2ビームパスに沿って反射するように構成される。図17に示す実施形態において、ビーム分割サーフェス1775及び反射板1778は、平行であり、且つ独立した要素のサーフェスである。ビーム分割サーフェス1775及び反射板1778が平行であるため、第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bは、照明格子1750の直近の平面にて平行である。幾つかの実施形態(例えば、図19に示す実施形態)においては、ビーム分割サーフェス1775及び反射板1778が同一のビーム分割要素のサーフェスであっても良い。図17に示す実施形態において、第1及び第2ビームパスは、照明格子に略垂直である。照明格子1750は、動作ギャップに亘って、第1及び第2ソース光部分1731A及び1731Bをスケールトラック1715へ回折するように構成され、以て2つの次数の回折光のみ(すなわち、図17に示す実施形態においては、第1ソース光部分1731Aからの+1次の回折光部分1731A’、及び第2ソース光部分1731Bからの−1次の回折光部分1731B’)が、スケールトラック1715に一致する平面にて結像領域IR内でオーバラップし、且つ結像領域IRにおいて照明フリンジパターンIFPを提供するようにする。図15及び図16に示した実施形態とは対照的に、照明部1760は、スケールトラック1715へ到達する零次光部分1731ZA’及び1731ZB’を出力する。しかしながら、零次光部分1731ZA’及び1731ZB’は、完全に、ディテクタ構成1725へ結像される結像領域IRの範囲外である。このため、零次光部分1731ZA’及び1731ZB’は、遮断されないにも関わらず、結像構成1780によりディテクタ構成1725へ結像されるスケールトラック1715の結像領域における照明フリンジパターンIFPに関連する動作信号に対する不要な零次光の一因にはならない。
【0098】
図17に示す実施形態において、ビーム分離部1771は、オプション的なデュアルビーム開口エレメント1772を更に含んでも良い。デュアルビーム開口エレメント1772は、不要なストレイ光を低減しつつ、第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bを伝送するよう構成された2つの開口を含む。また、デュアルビーム開口エレメント1772は、スケールトラック1715へ到達する第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bの位置及び間隔を精密化し得る。
【0099】
図17に示すように、結像領域IRは、測定軸方向に沿って幅Dを有する。第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bは、照明格子1750の直近の平面にて、測定軸方向82に沿って互いに離隔して分離距離Bだけ間隔が空けられる。分離距離Bは、結像領域の幅D以上である。照明格子1750の直近の平面にて、第1ソース光部分1731Aは幅W1を有し、第2ソース光部分1731Bは幅W2を有する。W1及びW2の両者とも、結像領域の幅Dより大きい。これにより、零次光部分1731ZA’及び1731ZB’が照明格子1750の直近の平面にて十分な距離だけ分離される一方で、結像領域を、前述した原理に係る空間的に変調された照明フリンジパターンで満たすことができる。よって、零次光部分1731ZA’及び1731ZB’は、+1次部分1731A’及び−1次部分1731B’にはオーバラップしないであろうし、さらに重要なことに、結像領域の範囲外である。
【0100】
図17に示す実施形態において、第1ソース光部分1731A及び第2ソース光部分1731Bは、照明格子の直近の平面にて平行である。当然のことながら、幾つかの実施形態においては、これら2つのソース光部分が平行では無く、照明格子1750とスケールトラック1715との間の間隙距離、及び/又は照明格子1750の周期若しくはスケールトラック1715の格子を調整しても良く、その結果、ディテクタ構成1725へ結像される干渉フリンジパターンIFPの所望のフリンジ周期が得られる。
【0101】
図18は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成1800において用いられ得る照明部1860の図である。エンコーダ構成1800の構成要素及び動作原理は、図17のエンコーダ構成1700と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図18において、図17中の一連の番号17XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号18XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0102】
図18に示す実施形態において、光源1830は、ソース光1831を、これをコリメートするよう構成されたコリメートレンズ1840へ出力するように構成される。照明部1860は、デュアル開口部1872opを含む開口エレメント1872から成るビーム分離部1871を含む。開口エレメント1872は、ソース光1831の第1ソース光部分1831A及び第2ソース光部分1831Bを分離して、照明格子1850へ出力するように構成され、以てこれらのソース光部分が、前述した原理に従い、測定軸方向82に沿って互いに離隔して間隔が空けられたビームを形成するようにする。特に、これらは、2つの次数の回折光のみ(すなわち、+1次部分1831A’及び−1次部分1831B’)が、スケールトラック1815に一致する平面にて結像領域IR内でオーバラップするように構成される。零次光部分1831ZA’及び1831ZB’は、スケールトラック1815の結像領域における照明フリンジパターンIFPに関連する動作信号に対する不要な零次光の一因にはならない。
【0103】
図19は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成1900において用いられ得る照明部1960の図である。エンコーダ構成1900の構成要素及び動作原理は、図17のエンコーダ構成1700と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図19において、図17中の一連の番号17XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号19XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0104】
図19に示す実施形態において、構造化照明生成部1970は、シアリングプレート(shearing/shear plate)1977を有するビーム分離部1971を含む。シアリングプレート1977は、第1サーフェス1977Aの第1領域にて第1ソース光部分1931Aを反射すると共に、第2サーフェス1977Bから反射される第2ソース光部分1931Bを、伝送して第1サーフェス1977Aの第2領域にて出力するように構成される。照明格子1950は、第1ソース光部分1931A及び第2ソース光部分1931Bを入力するように構成され、以て第1ソース光部分1931A及び第2ソース光部分1931Bが、前述した原理に従い、測定軸方向82に沿って互いに離隔して間隔が空けられたビームを形成するようにする。第1サーフェス1977A及び第2サーフェス1977Bの反射率値は、第1ソース光部分1931A及び第2ソース光部分1931Bに略同等の強度を与えるように調整され得る。例えば、第1サーフェス1977Aは、約25%の反射率を有し得て、第2サーフェス1977Bは、約100%の反射率を有し得る。他の実施形態においては、第1サーフェス1977Aが、約50%の反射率を有し得て、第2サーフェス1977Bが、約100%の反射率を有し得る。また、フロントサーフェス1977Cが0%の反射率を有し得て、第2ソース光部分1931Bがシアリングプレート1977を抜け出る。ビーム分離部1971は、2つの次数の回折光のみ(すなわち、+1次部分1931A’及び−1次部分1931B’)が、スケールトラック1915に一致する平面にて結像領域IR内でオーバラップするように構成される。零次光部分1931ZA’及び1931ZB’は、スケールトラック1915の結像領域における照明フリンジパターンIFPに関連する動作信号に対する不要な零次光の一因にはならない。
【0105】
図20は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成2000において用いられ得る照明部2060の図である。エンコーダ構成2000の構成要素及び動作原理は、図19のエンコーダ構成1900と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図20において、図19中の一連の番号19XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号20XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0106】
図20に示す実施形態において、照明部2060は、ビーム分離部2071を含む。ビーム分離部2071は、第1ビーム伝導エレメント2077と、第2ビーム伝導エレメント2078とを含む。第1ビーム伝導エレメント2077は、第1ソース光部分2031Aを第1サーフェス2077Aから反射すると共に、第2サーフェス2077Bから反射される第2ソース光部分2031Bを伝送して、第2ビーム伝導エレメント2078へ出力するように構成される。第2ビーム伝導エレメント2078は、第2ソース光部分2031Bをサーフェス2078Aから照明格子2050へ反射し、第1ソース光部分2031Aをサーフェス2078Cから照明格子2050へ反射するように構成される。幾つかの実施形態において、第1ビーム伝導エレメント2077はシアリングプレートである。幾つかの実施形態において、第2ビーム伝導エレメント2078はシアリングプレートである。幾つかの実施形態において、サーフェス2078Aは、第1ビーム伝導エレメント2077がシアリングプレートである実施形態において有用な反射コーティングを含む。これは、付加的なソース光部分がサーフェス2078Aを介して伝送されることを回避し、以て第2ソース光部分2031Bが2つのソース光部分へ分割されてしまうのを防止するためである。幾つかの実施形態において、第2ビーム伝導エレメント2078は、第1ソース光部分2031Aを、反射防止サーフェス2078Bを介して伝送するように構成される。幾つかの実施形態において、サーフェス2078A及び反射防止サーフェス2078Bは、図19において第1サーフェス1977A及び第2サーフェス1977Bに関し説明したものと同様の反射率値の組合せに従って構成しても良い。反射防止サーフェス2078Bは、ビーム伝導エレメント2078がシアリングプレートである場合に有用である。これは、付加的なソース光部分がビーム伝導エレメント2078から反射されることを回避し、以て第1ソース光部分2031Aが2つのソース光部分へ分割されてしまうのを防止するためである。反射防止サーフェス2078Bへの100%の反射コーティングの代わりに、図17のデュアルビーム開口エレメント1772と同様の開口を用いて、分割光部分から不要な光を遮断しても良い。照明部2060は、第1ソース光部分2031A及び第2ソース光部分2031Bが同等の光路長及び波長依存性を有するという点において有利である。
【0107】
幾つかの実施形態において、第2ビーム伝導エレメント2078は、反射サーフェス2078Aと、(点線で示す)補償プリズム2078Dとを含む。このような実施形態においては、反射サーフェス2078Aがミラーであっても良く、補償プリズム2078Dは、第1ソース光部分2031A及び第2ソース光部分2031Bが同等の光路長及び波長依存性を有するように構成されても良い。
【0108】
図21は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成2100において用いられ得る照明部2160の図である。エンコーダ構成2100の構成要素及び動作原理は、図17のエンコーダ構成1700と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図21において、図17中の一連の番号17XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号21XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0109】
図21に示す実施形態において、照明部2160は、ビーム分離部2171を含む。ビーム分離部2171は、第1格子2190と、第2格子2191と、遮断エレメント2192と、開口エレメント2193とを含む。第1格子2190は、ソース光2131を、第1格子2190から回折される+1次及び−1次(或いは、対称的にマッチする高次)の光である第1ソース光部分2131A及び第2ソース光部分2131Bへ分割するように構成される。(幾つかの実施形態において、第1格子2190と同一の周期を有する)第2格子2191は、第1ソース光部分2131A及び第2ソース光部分2131Bを受光し、互いに平行な第1平行コリメート光部分2131AP及び第2平行コリメート光部分2131BPを出力するように構成される。開口エレメント2193は、第1平行コリメート光部分2131AP及び第2平行コリメート光部分2131BPを受光すると共に、第2格子2191から回折された他の付加的な次数の光を除去しつつ、第1平行コリメート光部分2131A’及び第2平行コリメート光部分2131B’を照明格子2150へ伝送するように構成される。幾つかの実施形態において、最も高い効率性のために、第1格子2190及び第2格子2191が位相格子であっても良い。
【0110】
図22は、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成2200において用いられ得る照明部2260の図である。エンコーダ構成2200の構成要素及び動作原理は、図21のエンコーダ構成2100と略同様であり、類推によって一般に理解され得る。例えば、図22において、図21中の一連の番号21XXと同一サフィックス“XX”を有する一連の番号22XXは、同様又は同一の構成要素を指定し得て、当該構成要素は、以下で特段の説明又は暗示が無ければ、同様に機能し得る。
【0111】
照明部2260は、図21に示した照明部2160の同一構成要素の多くを、透過的な格子エレメントよりはむしろ反射的な格子エレメントを利用するコンパクトな光学配置へ組み込んでいる。
【0112】
図22に示す実施形態において、照明部2260は、光源2230と、コリメートレンズ2240と、構造化照明生成部2270とを含む。構造化照明生成部2270は、ビーム分離部2271を含む。ビーム分離部2271は、第1格子2290と、第2格子2291と、遮断エレメント2292と、開口エレメント2293と、反射板2241とを含む。光源2230は、ソース光2231をコリメートレンズ2240へ出力するように構成される。コリメートレンズ2240は、ソール光2231をコリメートして、反射板2241へ出力するように構成される。反射板2241は、ソース光2231を第1格子2290へ反射するように構成される。第1格子2290は、ソース光2231を、第1格子2290から回折される+1次及び−1次(或いは、対称的にマッチする高次)の光である第1ソース光部分2231A及び第2ソース光部分2231Bへ分割するように構成される。遮断エレメント2292は、第1格子2290からの零次要素を遮断するように構成される。第2格子2291は、第1ソース光部分2231A及び第2ソース光部分2231Bを受光し、互いに平行な第1平行コリメート光部分2231AP及び第2平行コリメート光部分2231BPを出力するように構成される。開口エレメント2293は、第1平行コリメート光部分2231AP及び第2平行コリメート光部分2231BPを受光すると共に、第2格子2291から回折された他の付加的な次数の光を除去しつつ、第1平行コリメート光部分2231AP及び第2平行コリメート光部分2231BPを照明格子2250へ伝送するように構成される。
【0113】
結像構成2280は、第1レンズ2281と、開口2282と、第2レンズ2283と、反射板2284とを含む。反射板2284は、スケール光2232を、結像構成2280へ反射するように構成される。
【0114】
図23Aは、ここに開示する原理に係るエンコーダ構成において用いられ得るオフセット格子部を含むスケールパターン2315の実施形態を示している。ここに開示する各種の実施形態における光学部品の非理想的な製造及び/又はアラインメントは、ディテクタ上で交流フリンジの不均一な振幅をもたらす虞があることを見出した。スケールパターン2315は、図23B及び図23Cを参照して以下に概説する通りに、この問題を軽減する。スケールパターン2315は、スケール格子2310を含む。スケール格子2310は、測定軸方向MAに沿って互いに平行に配置される第1のスケール格子部2310A及び第2のスケール格子部2310Bを含む。第1のスケール格子部2310A及び第2のスケール格子部2310Bは、それぞれスケールピッチPSFを有する。第2のスケール格子部2310Bは、第1のスケール格子部に対して、0.5*PSFの空間位相オフセットを有する。また、スケール格子2310は、第3のスケール格子部2310C及び第4のスケール格子部2310Dも含む。第3のスケール格子部2310C及び第4のスケール格子部2310Dは、それぞれスケールピッチPSFを有し、また0.5*PSFの空間位相オフセットで配置される。第3のスケール格子部2310Cは、測定軸方向MAに沿って、第1のスケール格子部2310Aと同一の位相を有する。スケール格子部2310A〜2310Dの各々は、例えば図3に示したインクリメンタルトラックパターンTINC2と類似する方法で、単独の位置測定のために同時に照らされ且つ結像されるようにしても良い。
【0115】
図23Bは、スケールイメージSIへの図23Aの各スケール格子部の複合強度寄与のアラインメントを概略的に示している。スケール格子部2310A〜2310D(又は任意の単相格子)は、上記の通り、不規則なスケールイメージ強度寄与部SI−A〜SI−Dへ個別に寄与し得て、単独で変位測定に用いた場合、変位測定誤差につながり得る。図23Cは、スケールイメージ部SI−A〜SI−D各々の複合強度寄与を含む、スケールイメージSIにおける強度を示している。図23Cに示すように、スケールイメージ部SI−A〜SI−Dの寄与のアラインメントは、多様な寄与の不規則性にもかかわらず、スケールイメージSI内で一貫した強度振幅を生み出す。
【0116】
当然のことながら、図23Aに関して説明する原理に係る最も基本的な実施形態において、オフセット部を有する同様のスケール格子は、互いに0.5*PSFの位相オフセットを有する第1及び第2のスケール格子部のみ(或いは加えて、第3のスケール格子部)を含んでも良い。或いは、同様のスケール格子は、各対が互いに0.5*PSFの位相オフセットを有する(例えば、Y方向に沿ってより狭い)3対以上のスケール格子部を含んでも良い。各ケースにおいて、スケール格子部のY方向の幅は、オフセット格子部の結像領域からのオフセット強度寄与が略同量に寄与して、図23Cに示した略一定振幅の信号を生成するように調整されるべきである。
【0117】
図24A及び図24Bは、潜在的な誤差原因を軽減すべく拡大されたスケール格子の領域を用いるよう構成された、第1及び第2のエンコーダ構成2400A及び2400Bの概略図を示している。以下に説明する事項を除き、図24A及び図24Bに示す実施形態は、先の図面に示した実施形態と同様のエレメント及び側面を含んでも良い。
【0118】
スケールピッチPSFの微細なバラツキは、製造工程誤差に起因し得る。このバラツキは、スケールエレメント2410A(又は2410B)等のスケールエレメントに沿った変位測定の中距離誤差を引き起こし得る。このモードの誤差を軽減する一つのソリューションは、第1及び第2のエンコーダ構成2400A及び2400Bと同様、このような誤差を平均的に取り除くべく結像構成の信号生成イメージへ寄与するスケール格子の領域を拡大することである。ちなみに、図3に示した実施形態においては、スケールエレメント110を第1レンズ平面FLPから第1レンズ181の焦点距離fと名目上等しい距離dだけ離隔して、幅FRに対応するスケール光線が、図3のエンコーダ構成の信号生成イメージに含まれるようにした。これに対し、結像構成2480A(又は2480B)は、スケールエレメント2410A(又は2410B)が、第1レンズ平面FLPから距離dだけ離隔されて、第1レンズ2481A(又は2481B)の焦点距離fから外れるように構成されている。より具体的には、スケールエレメント2410A(又は2410B)は、結像構成2480A(又は2480B)の光軸に沿った、結像構成2480A(2480B)の焦点距離f未満の位置に設置される。図3に示した構成と比較して、幅ERに対応する追加的なスケール光線を、エンコーダ構成2400A(2400B)の信号生成イメージに含ませ得る。
【0119】
図3に示したような実施形態が、4mmのスケール上で有効視野の像を取得し得る一方、図24A(図24B)に示すような実施形態は、5mmのスケール上で有効視野の像を取得し得る。加えて、結像構成2480A(2480B)とスケールエレメント2410A(2410B)との間の距離を減少させることは、よりコンパクトなエンコーダ構成を可能にする。
【0120】
図24Aは、透過的なスケール構成を示している。透過的なスケール構成を採用する種々の実施形態において、スケールエレメント2410Aは、位相格子2450Aから高々2mmの距離dだけ離隔するように配置される。反射的なスケールを用いる代替構成においては、スケールエレメントを、結像構成の光路に沿って照明部の位相格子から高々6mmの距離dだけ離隔するように配置しても良い。図24Aに示す構成の幾つかの実施形態において、スケールエレメント2410Aが4μmのスケールピッチを有し、位相格子2450Aが4.444μmのピッチを有するようにしても良い。図24Bに示す構成の幾つかの実施形態において、スケールエレメント2410Bが4μmのスケールピッチを有し、照明部2460Bの位相格子2450Bが3.635μmのピッチを有するようにしても良い。位相格子2450Aよりも位相格子2450Bのピッチを小さくすることで、イメージピッチPIMESFの与えられた値に対して、位相格子2450Bとスケール格子2410Bとの間のより短い距離dを可能にする。
【0121】
図25A図25Cは、エンコーダ構成2500A、2500B及び2500Cの実施形態の概略図を示している。概念的に、エンコーダ構成2500A、2500B及び2500Cの各々においては、測定軸と平行且つ結像部の光軸と垂直な平面に対して、スケールエレメントが測定軸についてロール角αで配置され、照明部の位相格子が測定軸についてロール角βで配置される。種々の実施形態においては、先の図面に関して議論した通り、結像部により受信される不要な残留零次光は、所望の位置信号を妨げる影響を引き起こし得て、短距離誤差を生じさせる。これが現れ得る一つの状態は、ディテクタ部へ入射するスケール格子のイメージを搬送するぼやけた自己像平面を介したものである。これを軽減する一つの手段は、測定軸に対して小さなロール又はピッチを有する、スケールエレメント又は照明部の位相格子を配置することである。この手段は、複数の自己像平面を互いに位相オフセットを有するようにディテクタ部へ入射させて、短距離誤差を平均化し得る。このような目的で、幾つかの実施形態においては、非零のロール又はピッチ角を導入し、以て後述する如く、少なくとも自己像平面及び逆像平面がディテクタ部へ入射されるようにすることが望ましい。実施形態において、スケール格子は、スケール格子に垂直で且つ測定軸に平行な平面において少なくとも0.1度になるような、測定軸についてのロール角又はピッチ角で結像部の光路が回転されるように、結像部に対して配置してもよい。幾つかの実施形態において、照明部の位相格子は、スケール格子に垂直で且つ測定軸に平行な平面において、位相格子平面とスケール格子平面との間のロール角が(2*B*M*PPG^2)/(H*λ)と等しくなるように、スケール格子に対して設置してもよい。ここで、Bは、0.75〜1.25の間の数であり、Mは、結像部の倍率であり、PPGは、照明部の位相格子のピッチであり、Hは、測定軸に垂直であるディテクタ部の視野の高さであり、λは、照明の波長である。一の実施形態において、エンコーダ構成は、4.444μmである位相格子ピッチPPG、1Xである倍率M、1000μmである高さHを有して得て、以てロール角は3.5度であり得る。幾つかの実施形態において、照明部の位相格子は、スケール格子に垂直で且つ測定軸に平行な平面において、位相格子平面とスケール格子平面との間のピッチ角が(2*B*M*PPG^2)/(V*λ)と等しくなるように、スケール格子に対して設置してもよい。ここで、Vは、測定軸に沿ったディテクタ部の視野の長さであり、Bは、0.75〜1.25の間の数である。
【0122】
例えば、図25A図25Cは、位相格子とスケールエレメントとの間に3.5度のロール角を有する3つの実施形態を示している。エンコーダ構成2500A、2500B及び2500Cは、測定軸MA(すなわちX方向)に平行且つ結像部2580A、2580B及び2580C各々の光軸に垂直な平面に対し、測定軸についてロール角αで配置されるスケールエレメント2510A、2510B及び2510Cをそれぞれ含む。照明部2560A、2560B及び2560Cは、測定軸MA(すなわちX方向)に平行且つ結像部2580A、2580B及び2580C各々の光軸に垂直な平面に対し、測定軸についてロール角βで配置される位相格子2550A、2550B及び2550Cを含む。エンコーダ構成2500Aにおいて、αは3.5度であり、βは0度である。エンコーダ構成2500Bにおいて、αは1.75度であり、βは−1.75度である。エンコーダ構成2500Cにおいて、αは0度であり、βは3.5度である。各ケースにおいて、エレメント同士間の正味のロール角は3.5度であり、以て自己像平面SIMG及び逆(逆位相)像平面IIMGが検出平面DPにより示されるディテクタ部へ入射して、不要な残留零次光に起因する自己像の影響を略打ち消す。エンコーダ構成2500A、2500B及び2500Cの各々は、上述した通りに最適なロール角又はピッチ角を決定する、測定軸方向に垂直である高さH及び測定軸方向に沿った長さVを有する視野を備えている。長さVは、その方向が頁、すなわちX軸方向であるため、図示していない。
【0123】
図25A図25Cに示す実施形態はスケールエレメントと照明部の位相格子との間のロール角を示しているが、当然のことながら、(測定軸に垂直且つスケール格子に平行である軸、例えばY軸についての)ピッチ角も所望の効果をもたらす。種々の実施形態において、スケール格子又は照明部の位相格子、或いはその両者が、測定軸に平行且つ結像部の光軸に垂直な平面に関してピッチ角で配置されて、エレメント同士間に略0.1度以上の相対ピッチを提供する。各ケースにおいて、相対ピッチ角は、少なくとも一つの自己像平面SIMG及び逆(逆位相)像平面IIMGが検出平面DPでディテクタ部へ入射して、不要な残留零次光に起因する自己像の影響を略打ち消すように選択される。
【0124】
本発明の種々の実施形態を示して説明したが、示し且つ説明した特徴の構成及び動作のシーケンスにおける非常に多くのバリエーションは、本開示に基づき当業者にとって明らかであろう。よって、当然のことながら、本発明の精神と範囲から逸脱すること無く種々の変更が成され得る。
【0125】
この出願は、2014年5月29日に出願されたアメリカ合衆国特許出願14/290,846を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0126】
100, 300, 700, 800, 900, 1300, 1500, 1600, 1700, 1800, 1900, 2000, 2100, 2200, 2400A, 2400B, 2500A, 2500B, 2500C エンコーダ構成
110, 310, 710, 810, 910, 1310, 2410A, 2410B, 2510A, 2510B, 2510C スケールエレメント
115, 315, 1515, 1615, 2315 スケールパターン
120, 320, 720, 820, 1320, 1520, 2220 ディテクタエレクトロニクス
125, 325, 725, 825, 1525, 1725, 1825, 1925, 2025, 2125 ディテクタ構成
126, 326, 1526 信号処理回路
131, 331, 731, 831, 1331, 1431 光
132, 332, 732, 832, 1432, 1532, 2232 スケール光
133, 333, 733, 833, 1533 空間的にフィルタされたイメージ光
140, 340, 740, 840, 940, 1540, 1640 レンズ
180, 380, 780, 880, 1380 両側テレセントリック結像構成
181, 381, 1581, 2481A, 2481B 第1レンズ
182, 382, 1335, 1572op, 1672op 開口部
183, 383, 1583 第2レンズ
190, 390, 1590 信号生成・処理回路
330, 730, 830, 930, 1330, 1530, 1630, 1730, 1830, 1930, 2030, 2130, 2230 光源
350, 850, 950A, 950B, 1350, 1450, 2450A, 2450B, 2550A, 2550B, 2550C 位相格子
360, 760, 860, 1360, 1560, 1660, 1760, 1860, 1960, 2060, 2160, 2260 照明システム/部
755, 855, 955, 1355, 1390, 1777 ビームスプリッタ
770 両側テレセントリックエンコーダ結像配置
781, 881, 1381 第1レンズアレイ
782, 882, 1382 開口アレイ
783, 883, 1383 第2レンズアレイ
1100 テーブル
1340 コリメートレンズ
1342, 1344, 1778, 2241, 2240, 2284 反射板
1391 ビーム
1392 ビームダンプ
1393, 1678 4分の1波長板
1410 スケール
1510, 1610, 2310 スケール格子
1531 構造化光
1550, 1650, 1750, 1850, 1950, 2050, 2150, 2250 照明格子
1571, 1671 第1フィルタレンズ
1572, 1672 空間フィルタ開口構成
1572c, 1672c 中央部
1573, 1673 第2フィルタレンズ
1580, 1680, 2580A, 2580B, 2580C 結像部
1582 限界開口
1631 コリメート光
1632 空間的に変調されたイメージ光
1676 偏光子
1677 偏光ビームスプリッタ
1715, 1815, 1915, 2015, 2115, 2215 スケールトラック
1731, 1831, 1931, 2031, 2131, 2231 ソース光
1731A, 1831A, 1931A, 2031A, 2131A, 2231A 第1ソース光部分
1731B, 1831B, 1931B, 2031B, 2131B, 2231B 第2ソース光部分
1740 コリメーション部
1770, 1870, 1970, 2070, 2170, 2270 構造化照明生成部
1771, 1871, 1971, 2071, 2171, 2271 ビーム分離部
1772 デュアルビーム開口エレメント
1775 ビーム分割サーフェス
1780, 1880, 1980, 2080, 2180, 2280, 2480A, 2480B 結像構成
1840, 1940, 2040, 2140, 2240 コリメートレンズ
1872, 2193, 2293 開口エレメント
1872op デュアル開口部
1977 シアリングプレート
1977A, 2077A 第1サーフェス
1977B, 2077B 第2サーフェス
1977C フロントサーフェス
2077 第1ビーム伝導エレメント
2078 第2ビーム伝導エレメント
2078A, 2078C サーフェス
2078B 反射防止サーフェス
2078D 補償プリズム
2190, 2290 第1格子
2191, 2291 第2格子
2192, 2292 遮断エレメント
2281 第1レンズ
2282 開口
2283 第2レンズ
2310A, 2310B, 2310D スケール格子部
2460A, 2460B, 2560A, 2560B, 2560C 照明部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C