【文献】
Jie Liu et al.,A bright far-red and near-infrared fluorescent conjugated poly electrolyte with quantum yield reaching 25%,Chem. Commun.,2013年,49,1491-1493,DOI: 10.1039/c2cc37219c
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化合物は下記の式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを有する。
【0011】
ただし、式(1)と式(2)は同一の構造ではない。
式中、X
1、X
2、X
3及びX
4は、同一又は相異なり、窒素原子又は
=CH−を表す。X
1、X
2、X
3及びX
4として好ましくは窒素原子である。
Y
1は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R
1)−又は
−CR
2=CR
3−のいずれかを表す。Y
1として好ましくは硫黄原子、酸素原子、または−N(R
1)−であり、より好ましくは硫黄原子または酸素原子であり、さらに好ましくは酸素原子である。
Y
2は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R
1)−又は−CR
2=CR
3−のいずれかを表す。Y
2として好ましくは硫黄原子、酸素原子、または
−N(R
1)−であり、より好ましくは硫黄原子または酸素原子であり、さらに好ましくは硫黄原子である。
Y
1とY
2は同一であってもよいが、相異なるほうが光電変換効率を高める観点で好ましい。
Y
1とY
2が相異なる場合、Y
1及びY
2の一方が硫黄原子であり、他方が酸素原子であることが好ましい。
【0012】
R
1、R
2及びR
3は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基又は1価の有機基を表す。R
1としては、水素原子または1価の有機基が好ましい。
1価の有機基としては、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいシクロアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていても良いアリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又はカルボキシル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0013】
置換されていてもよいアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子として好ましくはフッ素原子である。置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基が挙げられる。置換されていてもよいシクロアルキル基において、シクロアルキル基の炭素数は、通常3〜30である。シクロアルキル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(例えば炭素数1〜20)が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。シクロアルキル基上に置換された2以上のアルキル基は互いに連結して、それらが結合した炭素原子とともに環状構造を形成してもよい。置換されていてもよいシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0014】
アルコキシ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20である。アルコキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。置換されていてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。置換されていてもよいシクロアルコキシ基において、シクロアルコキシ基の炭素数は、通常3〜20である。シクロアルコキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。置換されていてもよいシクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0015】
アルキルチオ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20である。アルキルチオ基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。置換されていてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。置換されていてもよいシクロアルキルチオ基において、シクロチオキルチオ基の炭素数は、3〜20である。シクロアルキルチオ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0016】
アリール基とは、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常6〜60である。アリール基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。置換されていてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12アルコキシは、炭素数1〜12のアルコキシであることを示す。)、C1〜C12アルキルフェニル基(C1〜C12アルキルは、炭素数1〜12のアルキルであることを示す。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。C1〜C12アルコキシフェニル基の中で、好ましい態様はC1〜C8アルコキシフェニル基であり、より好ましい態様はC1〜C6アルコキシフェニル基である。C1〜C8アルコキシ及びC1〜C6アルコキシの具体例としては、上記アルコキシ基に関して例示したアルコキシの中の、C1〜C8及びC1〜C6のものが挙げられる。
【0017】
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60である。アリール部分が置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。置換されていてもよいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェノキシ基が挙げられる。
【0018】
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60である。アリール部分が置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。置換されていてもよいアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
【0019】
アリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60である。アリール部分が置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20))及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。置換されていてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0020】
アリールアルコキシ基は、その炭素数が通常7〜60である。アリール部分が置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20))及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。置換されていてもよいアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
【0021】
アリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60である。アリール部分が置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20))及びシクロアルコキシ基(例えば、炭素数3〜20)が挙げられる。置換されていてもよいアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0022】
アシル基とは、カルボン酸のカルボキシル基(−COOH)から水酸基を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基等の炭素数2〜20のハロゲンで置換されていてもよいアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基等のハロゲンで置換されていてもよいフェニルカルボニル基が挙げられる。
【0023】
アシルオキシ基とは、カルボン酸のカルボキシル基(−COOH)から水素原子を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0024】
アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0025】
イミド基とは、イミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味し、具体例としては、スクシンイミド基、フタルイミド基が挙げられる。イミド基の炭素数は通常2〜20である。
【0026】
置換アミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換基で置換されたものである。置換基は、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、R
1で表される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換アミノ基の炭素数は通常1〜40である。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0027】
置換シリル基とは、シリル基の水素原子の1個、2個又は3個が置換基で置換されたもの、一般に、シリル基の3水素原子全てが置換されたものであり、置換基は、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、R
1で表される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換シリル基の炭素数は通常1〜36である。置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
【0028】
置換シリルオキシ基とは、上記の置換シリル基に酸素原子が結合した基であり、置換基は、置換シリル基で例示した置換基が挙げられる。置換シリルオキシ基の炭素数は通常1〜36である。置換シリルオキシ基の具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基及びジメチルフェニルシリルオキシ基が挙げられる。
【0029】
置換シリルチオ基とは、上記の置換シリル基に硫黄原子が結合した基であり、置換基は、置換シリル基で例示した置換基が挙げられる。置換シリルチオ基の炭素数は通常1〜36である。置換シリルチオ基の具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基及びジメチルフェニルシリルチオ基が挙げられる。
【0030】
置換シリルアミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換シリル基で置換されたものであり、該置換シリル基は上記の通りである。置換シリルアミノ基の炭素数は通常1〜36である。置換シリルアミノ基の具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリイソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(トリエチルシリル)アミノ基、ビス(トリプロピルシリル)アミノ基、ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基、ビス(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ビス(トリベンジルシリル)アミノ基、ビス(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基及びビス(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
【0031】
1価の複素環基は、置換されていてもよい。
1価の複素環基は、複素環化合物から水素原子1個を除いた基である。
複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β−カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンが挙げられる。1価の複素環基の炭素数は通常1〜20である。1価の複素環基としては、ヘテロアリール基が好ましい。
【0032】
複素環オキシ基としては、上記の1価の複素環基に酸素原子が結合した式(D)で表される基が挙げられる。複素環チオ基としては、上記の1価の複素環基に硫黄原子が結合した式(E)で表される基が挙げられる。
〔式(D)及び式(E)中、Ar
7はそれぞれ1価の複素環基を表す。〕
複素環オキシ基は、その炭素数が通常4〜60である。複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基及びチアジアゾールオキシ基が挙げられる。
【0033】
複素環チオ基は、その炭素数が通常4〜60である。複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基及びチアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
【0034】
アリールアルケニル基は、通常、その炭素数が8〜20であり、アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
【0035】
アリールアルキニル基は、通常、その炭素数が8〜20であり、アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
R
1、R
2及びR
3として好ましくはアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基である。
【0036】
W
1及びW
3は、同一又は相異なり、ハロゲン原子、シアノ基又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義および具体例は、前述のR
1、R
2及びR
3で説明した1価の有機基の定義および具体例と同様である。W
1、W
3として好ましくは1価の有機基またはハロゲン原子であり、より好ましくはハロゲン原子を有する1価の有機基またはハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0037】
W
2及びW
4は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義および具体例は前述のR
1、R
2及びR
3で説明した1価の有機基の定義および具体例と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。W
2、W
4として好ましくは1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子であり、より好ましくはハロゲン原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子又は水素原子であり、さらにより好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0038】
W
1、W
2、W
3及びW
4はいずれもハロゲン原子であることが好ましく、いずれもフッ素原子であることがより好ましい。
【0039】
式(1)で表される構造単位の具体例としては、式(1)において、X
1、X
2、Y
1、W
1、W
2の組み合わせが、下記の表1〜4に示す組み合わせであるものが挙げられる。
【0044】
上記表1〜4中、R
2、R
3は前述と同じ意味を表す。上記の中でも好ましくは1−1〜1−6であり、より好ましくは1−1または1−2であり、さらに好ましくは1−1である。
【0045】
式(2)で表される構造単位の具体例としては、式(2)において、X
3、X
4、Y
2、W
3、W
4の組み合わせが、表5〜7に示す組み合わせであるものが挙げられる。
【0049】
上記表5〜7中、R
2、R
3は前述と同じ意味を表す。上記の中でも好ましくは2−1〜2−6であり、より好ましくは2−1または2−2であり、さらに好ましくは2−2である。
【0050】
本発明の化合物は上記式(1)および式(2)以外に式(3)で表される構造を有していても良い。
【0051】
式中、Ar
1は、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。
ここで、アリーレン基とは、置換されていてもよい芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団である。アリーレン基に含まれる芳香環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。芳香族炭化水素としては、ベンゼン環をもつもの、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接結合したもの又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
【0052】
ヘテロアリーレン基とは、置換されていてもよい芳香族複素環式化合物から水素原子2個を除いた原子団である。ヘテロアリーレン基に含まれる芳香環を構成する炭素数は通常2〜60程度であり、好ましくは3〜20である。芳香族複素環式化合物とは、芳香族環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素、ケイ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
【0053】
Ar
1としては、ヘテロアリーレン基が好ましく、チオフェン環を含むヘテロアリーレン基がより好ましい。
【0054】
式(3)で表される構造単位は、本発明の化合物中において、2つ以上連続して存在していてもよいし、式(3)で表される構造単位の両隣りに式(1)および/または式(2)で表される構造単位が存在していてもよい。2つ以上連続して存在する場合、連続して存在する式(3)で表される構造単位は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0055】
式(3)で表される構造単位としては、例えば、式(D−1)で表される構造単位、および式(D−2)で表される構造単位が挙げられる。
〔式中、d環は、置換されていてもよい芳香族炭素環又は置換されていてもよい芳香族複素環を表す。mは、1以上の整数を表す。Zは、式(z−1)〜式(z−8)で表される基である。d環が複数個ある場合、それらは同一であっても相異なってもよい。Zが複数個ある場合、それらは同一であっても相異なってもよい。
(式(z−1)〜式(z−8)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基又は1価の有機基を表す。Rが2個ある場合、それらは同一でも相異なってもよい。2個あるRは互いに連結し、それらが結合した炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。)〕
【0056】
芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられる。
芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シロール環、ボロール環、ホスホール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、インドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環などが挙げられる。
【0057】
mは、1以上の整数を表す。好ましくは、1〜3であり、より好ましくは、1〜2であり、さらに好ましくは1である。
【0058】
Rで表される1価の有機基としては、前述のR
1で表される1価の有機基と同じ基が挙げられる。
【0059】
Rは、好ましくは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基であり、より好ましくは、炭素数が9〜18の置換されていてもよいアルキル基、炭素数が9〜18の置換されていてもよいシクロアルキル基、炭素数が9〜18の置換されていてもよいアルコキシ基、炭素数が9〜18の置換されていてもよいシクロアルコキシ基、炭素数が9〜18の置換されていてもよいアリール基、炭素数が9〜18の置換されていてもよいアリールオキシ基であり、さらに好ましくは、炭素数が9〜18のアルキル基である。
【0060】
芳香族炭素環及び芳香族複素環は置換基を有していてもよい。芳香族炭素環又は芳香族複素環が置換基を2つ以上有する場合、該置換基は互いに連結して、それらが結合した炭素原子とともに環状構造を形成していてもよい。芳香族炭素環及び芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、前述のR
1で表されるハロゲン原子、アミノ基、シアノ基又は1価の有機基と同じ基が挙げられる。
【0061】
式(D−2)で表される構造単位としては、式(D−3)で表される構造単位、式(D−4)で表される構造単位、および式(D−5)で表される構造単位が挙げられる。
〔式中、e環は、置換されていてもよい単環の芳香族炭素環又は置換されていてもよい単環の芳香族複素環を表す。nは、1以上の整数を表す。pは、0〜5の整数を表す。e環が複数個ある場合、それらは、同一であっても相異なってもよい。〕
【0062】
nは1以上の整数を表す。好ましくは、1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1〜2である。
pは、0〜5の整数を表す。好ましくは0〜4であり、より好ましくは0〜3であり、さらに好ましくは0〜2である。
【0063】
単環の芳香族炭素環及び単環の芳香族複素環が有していてもよい置換基は、d環中の芳香族炭素環又は芳香族複素環が有していてもよい置換基と同じ基が挙げられる。
【0064】
本発明の化合物を光電変換素子に使用する場合、光電変換効率を高める観点からは、式(D−1)〜式(D−5)で表される構造単位の中でも、式(D−1)で表される構造単位および式(D−5)で表される構造単位が好ましく、式(D−1)で表される構造単位がより好ましい。
【0065】
本発明の化合物を有機薄膜トランジスタに使用する場合、ホール移動度を高める観点からは、式(D−1)〜式(D−5)で表される構造単位の中でも、式(D−1)で表される構造単位および式(D−4)で表される構造単位が好ましく、式(D−1)で表される構造単位がより好ましい。
【0066】
式(D−1)で表される構造単位としては、式1〜式152で表される基が挙げられる。
【0083】
式1〜式152中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0084】
式(D−3)で表される構造単位としては、式201〜式234で表される基が挙げられる。
【0089】
式201〜式234中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0090】
式(D−4)で表される構造単位としては、式235〜式238で表される基が挙げられる。
【0091】
式235〜式238中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0092】
式(D−5)で表される構造単位としては、式301〜式323で表される基が挙げられる。
【0095】
式301〜式323中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0096】
本発明の化合物を光電変換素子用材料として使用する場合、光電変換効率を高める観点からは、式1〜式152、式201〜式238、式301〜式323で表される基の中でも、式1、式5、式7、式8、式12、式14、式15、式25、式35、式39、式41、式49、式50、式54、式60、式62、式63、式67、式73、式75、式76、式80、式86、式101、式106、式112、式114、式119、式125、式127、式132、式138、式140、式145、式151、式215、式218、式229、式230、式234、式309、式310、式311、式312、式313、式314、式318、式321、式322、式323で表される基が好ましく、式1、式8、式15、式25、式35、式49、式62、式75、式101、式114、式127、式140、式215、式234、式309、式310、式311、式314、式321、式322、式323で表される基がより好ましく、式75、式309、式314、式322、式323で表される基がさらに好ましく、式75で表される基がさらにより好ましい。
【0097】
本発明の化合物を有機薄膜トランジスタに使用する場合、ホール移動度を高める観点からは、式1〜式152、式201〜式238、式301〜式323で表される基の中でも、式1、式8、式25、式35、式49、式54、式62、式67、式75、式80、式101、式114、式201、式202、式203、式204、式205、式206、式207、式208、式209、式210、式215、式216、式217、式218、式219、式220、式221、式222、式229、式230、式231、式232、式233、式235、式236、式237、式238、式309、式310、式311、式312、式313、式314、式318、式319、式322、式323で表される基が好ましく、式25、式75、式80、式114、式203、式204、式207、式208、式215、式216、式217、式218、式219、式220、式232、式233、式235、式236、式309、式314、式322で表される基がより好ましく、式75、式114、式204、式208、式215、式216、式217、式232、式236、式309、式314で表される基がさらに好ましく、式75で表される基がさらにより好ましい。
【0098】
本発明の化合物は、2種類以上の式(D−1)〜式(D−5)で表される構造単位が結合した基を有していてもよい。該基としては、例えば、式401〜式414で表される基が挙げられる。
【0102】
式401〜式414中、a及びbは、同一又は相異なり、1〜5の整数を表す。好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。式401〜式414中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0103】
本発明の化合物を光電変換素子用材料として使用する場合、光電変換効率を高める観点からは、式401〜式414で表される基の中でも、式401、式402、式409、式410、式411、式412、式413、式414で表される基が好ましく、式401、式409、式413、式414で表される基がより好ましく、式401、式409で表される基がさらに好ましい。
【0104】
本発明の化合物中の式(1)で表される構造単位の数と式(2)で表される構造単位の数の割合は、本発明の化合物を光電変換素子用材料として使用する場合、光電変換効率を高める観点からは、下式で表されるPの数値が、0.1〜0.9であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.4〜0.8であることがさらに好ましく、0.5〜0.8であることが特に好ましい。
【0105】
式(1)で示される構造単位の2つの結合手にそれぞれ水素原子を結合させた化合物の分子量が、式(2)で示される構造単位の2つの結合手にそれぞれ水素原子を結合させた化合物の分子量よりも大きい場合、Pは下式で表される。
P=(式(1)で表される構造単位の数)/{(式(1)で表される構造単位の数))+(式(2)で表される構造単位の数)}
【0106】
本発明の化合物が、式(3)で表される構造単位を有する場合、本発明の化合物中の式(1)で表される構造単位の数と式(2)で表される構造単位の数の和、および式(3)で表される構造単位の数の割合は、本発明の化合物の溶媒への溶解性を高める観点からは、下式で表されるSの数値が、0.10〜0.80であることが好ましく、0.15〜0.60であることがより好ましく、0.20〜0.50であることがさらに好ましい。
【0107】
S={(式(1)で表される構造単位の数)+(式(2)で表される構造単位の数)}/{(式(1)で表される構造単位の数))+(式(2)で表される構造単位の数)+(式(3)で表される構造単位の数)}
【0108】
本発明の化合物は高分子化合物であることが光電変換効率を高める観点から好ましい。
本発明における高分子化合物とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと呼称することもある)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量が1000以上の化合物を指す。本発明の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは2000〜1000000であり、より好ましくは2500〜1000000であり、さらに好ましくは3000〜100000である。
【0109】
本発明の高分子化合物中の式(1)で表される構造単位は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
本発明の高分子化合物中の式(2)で表される構造単位は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
【0110】
本発明の高分子化合物は、π共役高分子化合物であることが好ましい。π共役高分子化合物とは、主鎖中、多重結合が単結合を間に1個はさんで存在する高分子化合物を指す。
本発明の化合物の好ましい一態様は、式(1)で示される構造単位(Y
1が硫黄原子)と式(2)で示される構造単位(Y
2が酸素原子)とを有する化合物である。
この場合、下式で定義されるP’は0.1〜0.9であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.4〜0.8であることがさらに好ましく。0.5〜0.8であることが特に好ましい。
P’=(式(1)で表される構造単位(Y
1が硫黄原子)の数)/{(式(1)で表される構造単位(Y
1が硫黄原子)の数))+(式(2)で表される構造単位(Y
2が酸素原子)の数)}
この化合物はさらに上記式(3)で表される構造単位を含んでいてもよい。
上記式(3)で示される構造単位の定義及び具体例は前述と同じである。
この場合、下式で定義されるS’は0.10〜0.80であることが好ましく、0.15〜0.60であることがより好ましく、0.20〜0.50であることがさらに好ましい。
S’={(式(1)で表される構造単位(Y
1が硫黄原子)の数)+(式(2)で表される構造単位(Y
2が酸素原子)の数)}/{(式(1)で表される構造単位(Y
1が硫黄原子)の数))+(式(2)で表される構造単位(Y
2が酸素原子)の数)+(式(3)で表される構造単位の数)}
【0111】
本発明の化合物は、素子に用いられる場合、デバイス作製の容易性から、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、本発明の化合物が、該化合物を0.01重量(wt)%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがさらに好ましい。
【0112】
本発明の化合物の製造方法としては、特に制限されるものではないが、化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応やStilleカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0113】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(100):
Q
100−E
1−Q
200 (100)
〔式中、E
1は、芳香環を含む2価の基を表す。Q
100及びQ
200は、同一又は相異なり、ジヒドロキシボリル基[−B(OH)2]又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、式(200):
T
1−E
2−T
2 (200)
〔式中、E
2は、式(1)で表される構造単位を表す。T
1及びT
2は、同一又は相異なり、ハロゲン原子又はスルホン酸残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。E
1として好ましくはアリーレン基、ヘテロアリーレン基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式255で表される基が挙げられる。
【0114】
この場合、反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計に対して、過剰であることが好ましい。反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計を1モルとすると、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が0.6〜0.99モルであることが好ましく、0.7〜0.95モルであることがさらに好ましい。
【0115】
ホウ酸エステル残基とは、ホウ酸ジエステルから水酸基を除去した基を意味し、ジアルキルエステル残基、ジアリールエステル残基、ジ(アリールアルキル)エステル残基などが挙げられる。ホウ酸エステル残基の具体例としては、下記式:
(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基が例示される。
【0116】
式(200)における、T
1及びT
2で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0117】
式(200)における、T
1及びT
2で表されるスルホン酸残基とは、スルホン酸(−SO
3H)から酸性水素を除いた原子団を意味し、具体例としては、アルキルスルホネート基(例えば、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基)、アリールスルホネート基(例えば、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基)、アリールアルキルスルホネート基(例えば、ベンジルスルホネート基)及びトリフルオロメタンスルホネート基が挙げられる。
【0118】
具体的には、Suzukiカップリング反応を行う方法としては、任意の溶媒中において、触媒としてパラジウム触媒を用い、塩基の存在下で反応させる方法等が挙げられる。
【0119】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0120】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0121】
Suzukiカップリング反応に使用する塩基としては、無機塩基、有機塩基、無機塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウムが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンが挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウムが挙げられる。
塩基の添加量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0122】
Suzukiカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランが例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加えて反応させる。
なお、塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
【0123】
Suzukiカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点からは、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0124】
Suzukiカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(100)で表される化合物、式(200)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0125】
Stilleカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(300):
Q
300−E
3−Q
400 (300)
〔式中、E
3は、芳香環を含む2価の基を表す。Q
300及びQ
400は、同一又は相異なり、置換スタンニル基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、前記式(200)で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。E
3として好ましくはアリーレン基、ヘテロアリーレン基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式255で表される基である。
【0126】
置換スタンニル基としては、−SnR
1003で表される基等が挙げられる。ここでR
100は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基の炭素数は通常1〜30であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられる。シクロアルキル基の炭素数は通常3〜30であり、具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。置換スタンニル基として好ましくは−SnMe
3、−SnEt
3、−SnBu
3、−SnPh
3であり、さらに好ましくは−SnMe
3、−SnEt
3、−SnBu
3である。上記好ましい例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0127】
具体的には、触媒として、例えば、パラジウム触媒下で任意の溶媒中で反応する方法が挙げられる。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒が挙げられる。具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。
【0128】
Stilleカップリング反応において、必要に応じて配位子や助触媒を用いることもできる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン(即ち、トリス(2−トルイル)ホスフィン)、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン等のリン化合物やトリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン等の砒素化合物が挙げられる。助触媒としてはヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、2−テノイル酸銅(I)などが挙げられる。
配位子又は助触媒を用いる場合、配位子又は助触媒の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0129】
Stilleカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0130】
Stilleカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0131】
Stilleカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(300)で表される化合物、式(200)で表される化合物、パラジウム触媒を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、必要に応じて配位子や助触媒を加え、その後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0132】
本発明の化合物の末端基がQ
100〜Q
400、T
1、T
2で表されるような重合活性基を有する場合、該重合活性基は、安定な基で保護されていてもよい。本発明の化合物の末端基の重合活性基が安定な基で保護されていると、本発明の化合物を用いた素子の特性や寿命が低下しにくくなる。該安定な基は、主鎖の共役構造と連続した共役結合を有している基が好ましい。該安定な基は、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造を有していてもよい。該安定な基としては、置換基を有さないフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
【0133】
本発明の化合物に含まれる金属元素の量は、少ないほうが、光電変換効率やホール移動度が高まるため好ましい。中でも、本発明の化合物に含まれる遷移金属元素の量が少ないことが好ましい。遷移金属元素としては、パラジウム、鉄、スズ、ニッケル、銅が挙げられる。中でも、パラジウム、鉄、スズの量が少ないことが好ましい。本発明の化合物に含まれる不純物の量は元素分析で測定されるが、パラジウム、鉄、スズの合計量が、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下であり、さらにより好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは30ppm以下である。
元素分析の方法としては、原子吸光分析、発光分光分析、プラズマ発光分析、蛍光X線分析、プラズマ質量分析、グロー放電質量分析、イオンクロマトグラフ分析などが挙げられる。
【0134】
本発明の化合物は、式(1)で表される構造単位および式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする。該化合物は、例えば、式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物を原料の必須成分として用いることにより合成することが出来る。
【0135】
式中、X
1、X
2、X
3、X
4、Y
1、Y
2、W
1、W
2、W
3、W
4は前述と同じ意味を表す。QおよびQ
2は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、ジヒドロキシボリル基又は1価の有機基を表す。2個あるQは、同一でも相異なってもよい。2個あるQ
2は、同一でも相異なってもよい
【0136】
式(4)、式(5)中、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも1つが窒素原子であることが好ましく、X
1、X
2、X
3及びX
4のすべてが窒素原子であることがさらに好ましい。
【0137】
式(4)、式(5)中、Y
1およびY
2は、好ましくは硫黄原子、酸素原子、−N(R
1)−、−CR
2=CR
3−である。 Y
1としてより好ましくは硫黄原子、酸素原子、−CR
2=CR
3−であり、さらに好ましくは硫黄原子である。Y
2としてより好ましくは硫黄原子、酸素原子、−CR
2=CR
3−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
【0138】
QまたはQ
2で表される1価の有機基としては、置換シリル基、ホウ酸エステル残基及び置換スタンニル基が挙げられる。
【0139】
ホウ酸エステル残基、置換スタンニル基の定義及び具体例としては、前述のQ
100又はQ
300で説明した定義及び例示と同じものが挙げられる。
置換シリル基としては、−SiR
5003で表される基が挙げられる。ここで、ここでR
500は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
【0140】
アルキル基の炭素数は通常1〜30であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基が挙げられる。シクロアルキル基の炭素数は通常3〜30であり、具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。置換シリル基として好まくは−SiMe
3、−SiEt
3、−SiBu
3、−SiPh
3であり、さらに好ましくは−SiMe
3、−SiEt
3、−SiBu
3である。上記好ましい例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0141】
Qで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0142】
Qとして好ましくは臭素原子、ジヒドロキシボリル基、ホウ酸エステル残基、置換スタンニル基、置換シリル基であり、より好ましくは臭素原子、ジヒドロキシボリル基、ホウ酸エステル残基であり、さらに好ましくは臭素原子である。
【0143】
式(4)で表される化合物としては、式501〜式652で表される化合物が例示される。
【0159】
式501〜式652中、R、R
1、R
2及びR
3は前述と同じ意味を表す。
式501〜式652で表される化合物の中でも、重合した化合物を含む光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、式501〜式510、式531〜式550、式571〜式590、式611〜式620、式621、式624、式625、式628、式629、式632、式633〜642、式643〜式652が好ましい。さらに好ましくは式501〜式510、式541〜式550、式581〜式590、式621、式625、式629、式633〜式637、式643〜式647で表される化合物である。さらにより好ましくは、式501、式507、式541、式547、式581、式587、式621、式634、式643で表される化合物である。合成の容易さからは、式501、式507、式541、式581、式634、式643で表される化合物が好ましい。
【0160】
式(4)で表される化合物の一態様である式(4−1)
(式中、Y
1は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物は、式(4−2)
(式中、Y
1は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を臭素化することで製造することが可能である。
【0161】
臭素化は公知の方法を用いることができるが、例えば、無溶媒で、又は、溶媒中で臭素化剤を用いて臭素化する方法を挙げることができる。
溶媒を用いる場合、反応に用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素などが挙げられる。
臭素化剤としては臭素、N−ブロモスクシンイミド(以下、NBSと呼称することもある)、四塩化炭素、臭化水素酸などが挙げられる。これらの臭素化剤を複数組み合わせて使用することも可能である。臭素化剤の使用量は、式(4−2)で表される化合物のモル数に対して、通常2〜100000当量である。
【0162】
臭素化の際に臭素化を促進するための触媒を共存させることも可能である。触媒としては鉄、コバルト、ニッケル、銅などの金属、ハロゲン化鉄、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化銅などのハロゲン化金属、ベンゾイルパーオキシド、アゾイソブチロニトリルなどのラジカル発生剤などを挙げることができる。触媒として好ましくは金属、ハロゲン化金属であり、さらに好ましくは鉄、臭化鉄である。触媒の使用量は、通常式(4−2)で表される化合物のモル数に対して、0.001〜10当量であり、好ましくは0.01〜1当量である。反応温度は通常−50〜200℃であり、好ましくは0〜150℃である。
反応後は、例えば、水を加えて反応を停止した後に生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去するなどの通常の後処理を行い、式(4−1)で表される化合物を得ることができる。生成物の単離後及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0163】
式(4−2)で表される化合物は市販のものを用いることもできるし、例えば、Y
1が硫黄原子である化合物は、特許文献(国際特許公報WO2011/136311A1)に記載の製法により、式(4−3)で表される化合物と塩化チオニルを反応させることにより製造して用いることができる。
【0164】
本発明の化合物は、高い電子及び/又はホール輸送性を発揮し得ることから、該化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子、センサ等の種々の素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
【0165】
本発明の化合物は、光吸収末端波長が長波長であることが好ましい。光吸収末端波長は以下の方法で求めることができる。
測定には、紫外、可視、近赤外の波長領域で動作する分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計JASCO−V670)を用いる。JASCO−V670を用いる場合、測定可能な波長範囲が200〜1500nmであるため、該波長範囲で測定を行う。まず、測定に用いる基板の吸収スペクトルを測定する。基板としては、石英基板、ガラス基板等を用いる。次いで、その基板の上に化合物を含む溶液若しくは化合物を含む溶融体から化合物を含む薄膜を形成する。溶液からの製膜では、製膜後乾燥を行う。その後、薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルを得る。薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルと基板の吸収スペクトルとの差を、薄膜の吸収スペクトルとして得る。
該薄膜の吸収スペクトルは、縦軸が化合物の吸光度を、横軸が波長を示す。最も大きい吸収ピークの吸光度が0.5〜2程度になるよう、薄膜の膜厚を調整することが望ましい。吸収ピークの中で一番長波長の吸収ピークの吸光度を100%とし、その50%の吸光度を含む横軸(波長軸)に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第1の点とする。その25%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第2の点とする。第1の点と第2の点とを結ぶ直線と基準線の交点を光吸収末端波長と定義する。ここで、基準線とは、最も長波長の吸収ピークにおいて、該吸収ピークの吸光度を100%とし、その10%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点の波長を基準として、基準となる波長より100nm長波長である吸収スペクトル上の第3の点と、基準となる波長より150nm長波長である吸収スペクトル上と第4の点を結んだ直線をいう。
【0166】
<光電変換素子>
本発明の化合物を有する光電変換素子は、第1の電極と第2の電極との間に、本発明の化合物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の化合物を有する光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。本発明の化合物は、p型の有機半導体として用いることが好ましい。この形態の光電変換素子の動作機構を説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーがフラーレン誘導体等の電子受容性化合物(n型の有機半導体)及び/又は本発明の化合物等の電子供与性化合物(p型の有機半導体)で吸収され、電子とホールが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
【0167】
本発明の化合物を用いて製造される光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0168】
本発明の化合物を有する光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
【0169】
本発明の光電変換素子は、前記化合物を含有する活性層を有することが好ましい。
【0170】
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESAや、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0171】
一方の電極は透明でなくてもよく、該電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0172】
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0173】
<活性層>
前記活性層は、本発明の化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。前記活性層のホール輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、本発明の化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0174】
前記電子供与性化合物としては、本発明の化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
【0175】
前記電子受容性化合物としては、本発明の化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレン、フラーレン誘導体としてはC
60、C
70、C
76、C
78、C
84及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0176】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物が挙げられる。
(式(I)〜(IV)中、R
aは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるR
aは、同一であっても相異なってもよい。R
bはアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるR
bは、同一であっても相異なってもよい。)
【0177】
R
a及びR
bで表されるアルキル基及びアリール基の定義、具体例は、R
1で表されるアルキル基及びアリール基の定義、具体例と同じである。
【0178】
R
aで表されるヘテロアリール基は、例えば、チオフェンジイル基、ピリジンジイル基、フランジイル基、ピロールジイル基が挙げられる。
【0179】
R
aで表されるエステル構造を有する基としては、例えば、式(V)で表される基が挙げられる。
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、R
cは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0180】
R
cで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、R
aで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0181】
C
60の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0182】
C
70の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0183】
フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]−Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]−Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]−Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チェニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]−Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
【0184】
活性層中に本発明の化合物とフラーレン誘導体とを含む場合、フラーレン誘導体の割合が、本発明の化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
【0185】
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0186】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、化合物と溶媒とを含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0187】
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の化合物と溶媒とを含む溶液(インク)を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0188】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明の化合物を溶解させるものであればよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。本発明の化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0189】
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
【0190】
<有機薄膜トランジスタ>
本発明の化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0191】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0192】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0193】
<素子の用途>
本発明の化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0194】
電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画素の制御や、画面輝度の均一性や画面書き換え速度を制御のために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
【0195】
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0196】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。
支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。Solar Energy Materials and Solar Cells,48,p383−391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0197】
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に用いることもできる。有機EL素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他にも、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれかの層中に本発明の化合物が含まれる。発光層中には、本発明の化合物の他にも、電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が挙げられる。第1の電極と第2の電極の少なくとも一方は、透明又は半透明であることが好ましい。
【0198】
<センサ>
本発明の化合物は有機電界効果型トランジスタ(OFET)センサの製造に用いることができる。本発明のOFETセンサは入力信号を電気信号として出力する際の信号変換素子として有機電界効果型トランジスタを用いたものであり、金属−絶縁膜−半導体構造中のいずれかに感応性あるいは選択性を付与したものである。本発明のOFETセンサとしてはバイオセンサ、ガスセンサ、イオンセンサ、湿度センサなどがあげられる。
【0199】
本発明のバイオセンサは、基板と該基板上に設けられた有機トランジスタとを備え、前記有機トランジスタは、本発明の化合物を含む有機半導体層と、前記有機半導体に接触して設けられたソース領域及びドレイン領域と、前記有機半導体層内に設けられ、かつ前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネルとなるチャネル領域と、前記チャネル領域に電界を印加可能なゲート電極と、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間に設けられたゲート絶縁膜と、を有し、前記チャネル領域及び/又は前記ゲート絶縁膜に標的物質と特異的に相互作用するプローブとしての感応性領域を有する。本発明のバイオセンサは、感応性領域で標的物質濃度変化した際に特性変化を生じることでバイオセンサ素子として機能する。
【0200】
被検試料中の標的物質を検出する手法として、核酸、タンパク質等の生体分子や人工的に合成した官能基をプローブとして固相担体表面に固定したバイオセンサを用いる方法が広く用いられている。
【0201】
この方法では、相補核酸鎖の相互作用、抗原−抗体反応、酵素−基質反応、受容体−リガンド相互作用など、生体分子の特異的な親和性を利用して標的物質を固相担体表面に捕捉するので、標的物質に特異的な親和性を有する物質がプローブとして選択される。
【0202】
プローブは、プローブや固相担体の種類に適した方法によって固相担体表面に固定される。あるいは、固相担体表面でプローブを合成(例えば、核酸伸長反応など)することもでき、いずれの場合もプローブが固定された固相担体表面を被検試料と接触させ、適当な条件下で培養することにより、固相担体表面でプローブ−標的物質複合体が形成される。前記チャネル領域及び/又は前記ゲート絶縁膜自体がプローブとして機能してもよい。
【0203】
本発明のガスセンサは、基板と該基板上に設けられた有機トランジスタとを備え、前記有機トランジスタは、本発明の化合物を含む有機半導体層と、前記有機半導体に接触して設けられたソース領域及びドレイン領域と、前記有機半導体層内に設けられ、かつ前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネルとなるチャネル領域と、前記チャネル領域に電界を印加可能なゲート電極と、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間に設けられたゲート絶縁膜と、を有し、前記チャネル領域及び/又は前記ゲート絶縁膜はガス感応部である。本発明のガスセンサは、ガスがチャネル領域及び/または前記ゲート絶縁膜に吸着脱離した際に導電率や誘電率等の特性変化を生じることでガスセンサ素子として機能する。
【0204】
検知するガスには電子受容性ガスのF2,Cl2などのハロゲン、窒素酸化物硫黄酸化物、酢酸などの有機酸や電子供与性ガスのアンモニア、アニリン等のアミン類、一酸化炭素、水素等を検知することも可能である。
【0205】
本発明の化合物は、圧力センサの製造に用いることもできる。本発明の圧力センサは、基板と該基板上に設けられた有機トランジスタとを備え、前記有機トランジスタは、本発明の化合物を含む有機半導体層と、前記有機半導体に接触して設けられたソース領域及びドレイン領域と、前記有機半導体層内に設けられ、かつ前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネルとなるチャネル領域と、前記チャネル領域に電界を印加可能なゲート電極と、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間に設けられたゲート絶縁膜と、を有し、前記チャネル領域及び/又は前記ゲート絶縁膜は、感圧部である。本発明の圧力センサは、感圧部で感圧した際に特性変化を生じることで感圧素子として機能する。
【0206】
ゲート絶縁膜を感圧部とする場合、一般的に有機材料は無機材料よりも柔軟で伸縮性が高いため、圧力センサの感圧部としては有機材料が好ましい。
前記チャネル領域を感圧部とする場合、有機半導体の結晶性を高めるため、配向層を有していてもよい。配向層としてはゲート絶縁膜上にヘキサメチルジシラザン等のシランカップリング剤で作成した単分子膜等が挙げられる。
【0207】
本発明の化合物は、伝導度変調型センサに用いることもできる。本発明の伝導度変調型センサは入力信号を電気信号として出力する際の信号変換素子として、伝導度計測素子を用いたものであり、本発明の化合物を用いた有機半導体層もしくは、本発明の化合物を用いた有機半導体層の少なくとも一部に被覆された被覆膜のいずれかにセンサ対象入力に対する感応性あるいは選択性を付与したものであり、センサ対象の入力を、前記高分子化合物の伝導度の変化として検出するものである。センサとしてはバイオセンサ、ガスセンサ、イオンセンサ、湿度センサなどが上げられる。
【0208】
本発明の化合物は、別個に形成されたバイオセンサ、ガスセンサ、イオンセンサ、湿度センサ、圧力センサ、など各種センサからの出力信号を増幅するための有機電界効果型トランジスタ(OFET)を含む増幅回路の製造に用いることも出来る。
【0209】
本発明の化合物は、前期バイオセンサ、ガスセンサ、イオンセンサ、湿度センサ、圧力センサなど各種センサを複数含むセンサアレイとして用いることが出来る。
【0210】
本発明の化合物は、別個に形成されたバイオセンサ、ガスセンサ、イオンセンサ、湿度センサ、圧力センサなど各種センサを複数含み、各センサからの出力信号を個別に増幅するための有機電界効果型トランジスタ(OFET)を増幅回路として含む、増幅回路付きセンサアレイの製造に用いることも出来る。
【実施例】
【0211】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0212】
合成例1
(ジフルオロベンズオキサジアゾールの脱プロトン化反応およびトリメチルシリルクロリドの反応)
【0213】
200mL3つ口フラスコにジイソプロピルアミン3.24g(32.0mmol)と脱水THFを40mL入れた。フラスコを−78℃に保ったまま、n−BuLiのヘキサン溶液(1.6M)20mL(32mmol)加えた。その後、フラスコを10分かけて室温に昇温し、そのまま1時間攪拌した。このようにして得られた溶液を溶液Aと呼称する。
別の300mLフラスコに化合物1を2.00g(12.8mmol)と脱水THF 20mLを入れて均一溶液とした。フラスコを−78℃に冷却し、上記の溶液Aを5分かけて滴下した。滴下後、5分間−78℃で攪拌し、その後、トリメチルシリルクロリド3.63mL(33.4mmol)を5分かけて滴下した。滴下後、フラスコを10分かけて室温まで昇温し、その後、室温で2時間攪拌した。その後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた固体をヘキサンに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを通過させた。ろ液の溶媒をエバポレーターで留去して、目的の化合物2を3.33g(11.1mmol)得た。収率は86.5%であった。
【0214】
合成例2
(テトラフルオロホウ酸銀存在下でのトリメチルシリル化ジフルオロベンズオキサジアゾールの臭素化反応)
【0215】
200mLの3つ口フラスコに化合物2を4.00g(13.3mmol)と脱水ジクロロメタン150mLを入れて均一溶液とした。ここにテトラフルオロホウ酸銀を7.76g(39.9mmol)加えた。ここに臭素15.5g(96.9mmol)をジクロロメタン50mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、滴下後、室温で2時間攪拌した。反応終了後、水200mLに亜硫酸ナトリウムを50g溶解させた溶液に、反応液を徐々に加えた。有機層を分取した後、水層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで留去して粗生成物を4.14g得た。得られた粗生成物をメタノールで再結晶し、目的の化合物3を3.27g(10.4mmol)得た。収率は78.4%であった。
【0216】
実施例1
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物4を203.6mg(0.193mmol)、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物5を214.5mg(0.193mmol)、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物6を61.3mg(0.186mmol)、上記合成例2で合成した化合物3を58.3g(0.186mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを10.2mg(0.033mmol)、トルエンを25ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを5.10mg(0.0056mmol)加え、100℃で4時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミド254mgを加えて100℃で1時間反応させた。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール300mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン25mLに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体を210mg得た。以下、この重合体を高分子化合物Aと呼称する。
【0217】
実施例2
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製及び評価)
スパッタ法によりITO膜を150nmの厚みで付けたガラス基板を、オゾンUV装置を用いて表面処理を行った。次に、高分子化合物A及びフェニルC61−酪酸メチルエステル(フラーレンC60PCBM)(フロンティアカーボン社製)を、高分子化合物Aに対するフラーレンC60PCBMの重量比が2となるよう、オルトジクロロベンゼンに溶解させ、インク1を製造した。インク1中、高分子化合物Aの重量とフラーレンC60PCBMの重量との合計は、インク1の重量に対して2.0重量%であった。該インク1をスピンコートによりガラス基板の酸化インジウムスズ(ITO)膜上に塗布して、高分子化合物Aを含む有機膜を作製した。該有機膜の膜厚は、約100nmであった。有機膜の光吸収末端波長を測定したところ、890nmであった。その後、有機膜上に、真空蒸着機によりカルシウムを厚さ42nmで蒸着し、次いでアルミニウムを厚さ100nmで蒸着し、有機薄膜太陽電池を作製した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は13.9mA/cm
2であり、Voc(開放端電圧)は0.793Vであり、FF(フィルファクター(曲線因子))は0.639であり、光電変換効率(η)は7.02%であった。
【0218】
比較例1
(高分子化合物Bの合成)
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した1000mLフラスコに、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物4を3200mg(3.039mmol)、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物5を3371mg(3.039mmol)、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物6を2100mg(6.365mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを174.3mg(0.573mmol)、トルエンを435ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを87.42mg(0.0955mmol)加え、100℃で5時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミド4127mgを加えて100℃で1時間反応させた。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール2000mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン413mLに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体を3980mg得た。以下、この重合体を高分子化合物Bと呼称する。
【0219】
比較例2
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製及び評価)
高分子化合物Aの代わりに高分子化合物Bを用いた以外は実施例2と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、実施例2と同様の方法で光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は15.0mA/cm
2であり、Voc(開放端電圧)は0.712Vであり、FF(フィルファクター(曲線因子))は0.637であり、光電変換効率(η)は6.81%であった。
【0220】
比較例3
(高分子化合物Cの合成)
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLフラスコに、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物4を167.7mg(0.159mmol)、国際公開第2011/052709号に記載された方法で合成した化合物5を176.7mg(0.159mmol)、合成例2で合成した化合物3を100mg(0.319mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを8.70mg(0.029mmol)、トルエンを23ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを4.38mg(0.0048mmol)加え、100℃で8時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミド209mgを加えて100℃で1時間反応させた。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール100mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン21mLに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体を130mg得た。以下、この重合体を高分子化合物Cと呼称する。
【0221】
比較例4
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製及び評価)
高分子化合物Aの代わりに高分子化合物Cを用いた以外は実施例2と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、実施例2と同様の方法で光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は0.21mA/cm
2であり、Voc(開放端電圧)は0.891Vであり、FF(フィルファクター(曲線因子))は0.421であり、光電変換効率(η)は0.787%であった。
【0222】
【表8】
【0223】
実施例3
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物4を293.8mg(279.0mmol)、化合物5を309.5mg(279.0mmol)、化合物6を125.0mg(378.9mmol)、化合物3を50.9mg(162.4mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを12.2mg(0.040mmol)、トルエンを32ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを6.0mg(0.0065mmol)加え、100℃で4時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミド284mgを加えて100℃で1時間反応させた。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール400mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン33mLに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体を246mg得た。以下、この重合体を高分子化合物Dと呼称する。
【0224】
実施例4
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製及び評価)
高分子化合物Aの代わりに高分子化合物Dを用いた以外は実施例2と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、実施例2と同様の方法で光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は15.4mA/cm
2であり、Voc(開放端電圧)は0.738Vであり、FF(フィルファクター(曲線因子))は0.627であり、光電変換効率(η)は7.12%であった。
【0225】
実施例5
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物4を284.5mg(270.2mmol)、化合物5を128.4mg(115.8mmol)、化合物6を61.3mg(0.186mmol)、化合物3を58.3mg(0.186mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを10.2mg(0.033mmol)、トルエンを25ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを5.10mg(0.0056mmol)加え、100℃で4時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミド254mgを加えて100℃で1時間反応させた。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール300mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン25mLに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体を198mg得た。以下、この重合体を高分子化合物Eと呼称する。
【0226】
実施例6
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製及び評価)
高分子化合物Aの代わりに高分子化合物Eを用いた以外は実施例2と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、実施例2と同様の方法で光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は14.0mA/cm
2であり、Voc(開放端電圧)は0.795Vであり、FF(フィルファクター(曲線因子))は0.638であり、光電変換効率(η)は7.10%であった。
【0227】
【表9】