特許第6571585号(P6571585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571585半導体装置、積層型半導体装置、封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571585
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】半導体装置、積層型半導体装置、封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/32 20060101AFI20190826BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20190826BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20190826BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20190826BHJP
   C08G 77/48 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   C08G59/32
   G03F7/40
   G03F7/40 521
   G03F7/075 511
   G03F7/004 501
   G03F7/004 503Z
   G03F7/004 512
   H01L25/08 C
   C08G77/48
   H01L21/88 T
【請求項の数】13
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-95863(P2016-95863)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-2279(P2017-2279A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-116000(P2015-116000)
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】曽我 恭子
(72)【発明者】
【氏名】淺井 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹村 勝也
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−140338(JP,A)
【文献】 特開2015−050365(JP,A)
【文献】 特開2011−145664(JP,A)
【文献】 特開2013−122479(JP,A)
【文献】 特開2014−086598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12 −23/15
H01L 23/52 −23/538
H01L 25/00 −25/18
C08G 59/32
C08G 77/48
G03F 7/004
G03F 7/075
G03F 7/40
H01L 21/3205
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線が貫通電極及びソルダーバンプに電気的に接続される半導体装置であって、前記半導体素子上に第1の感光性絶縁層が形成され、前記第1の感光性絶縁層上に第2の感光性絶縁層が形成されたものであり、
前記第1の感光性絶縁層及び前記第2の感光性絶縁層が、
(A)下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物、
【化1】
【化2】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化3】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化4】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
(B)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(C)溶剤、
(D)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物、下記式で示される変性メラミン、及び2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールAから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
【化5】
(E)水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
を含有する光硬化性樹脂組成物で形成されたものであり、
前記光硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率が0.1〜2GPaであり、かつ引張強度が1〜80MPaであり、かつ、半導体素子周辺に空隙がないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記光硬化性樹脂組成物が、更に、(F)塩基性化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の感光性絶縁層が光硬化性ドライフィルムによって形成されたものであり、前記第2の感光性絶縁層が前記光硬化性ドライフィルム又は光硬化性レジスト塗布膜によって形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体装置がフリップチップ化されて複数積層されたものであることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項5】
請求項に記載の積層型半導体装置が電気回路を有する基板上に載置され、絶縁封止樹脂層で封止されたものであることを特徴とする封止後積層型半導体装置。
【請求項6】
半導体装置の製造方法であって、
(1)膜厚10〜300μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、前記光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程と、
(2)上部表面に電極パッドが露出した高さ20〜100μmの半導体素子を接着又は仮接着した基板上に、前記半導体素子を覆うように前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで第1の感光性絶縁層を形成する工程と、
(3)前記第1の感光性絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と前記半導体素子の外部に設ける貫通電極を形成するための開口を同時に形成する工程と、
(4)パターニング後、ベークすることで前記第1の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(5)硬化後、スパッタリングによるシード層形成を行い、その後前記電極パッド上の開口と前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッドと貫通電極とし、前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記貫通電極をメッキによる金属配線によってつなぐ工程と、
(6)金属配線の形成後、前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記レジスト組成物材料を塗布することで第2の感光性絶縁層を形成し、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行う工程と、
(7)パターニング後、ベークすることで前記第2の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(8)硬化後、前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成する工程、
を有し、
前記工程(1)で準備される光硬化性ドライフィルムが、
(A)下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物、
【化6】
【化7】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化8】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化9】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
(B)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(C)溶剤、
(D)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物、下記式で示される変性メラミン、及び2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールAから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
【化10】
(E)水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムであり、
硬化後の弾性率が0.1〜2GPaであり、かつ引張強度が1〜80MPaである前記化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料を用い、かつ、半導体素子周辺に空隙がないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料を、更に、(F)塩基性化合物を含有するものとすることを特徴とする請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(2)において、前記第1の感光性絶縁層を機械的にプレスする工程を含むことを特徴とする請求項6又は請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(8)において、前記貫通電極上部の開口にメッキによって貫通電極上金属パッドを形成する工程と、
前記貫通電極上金属パッド上にソルダーボールを形成し、ソルダーバンプとする工程、
を有することを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(5)のメッキによる前記貫通電極の形成において、SnAgによるメッキを行う工程を含み、
前記工程(6)において、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行うことで、前記メッキされたSnAgを露出させる工程と、
前記工程(8)において、前記メッキされたSnAgを溶融することで前記貫通電極上部の開口において電極を隆起させてソルダーバンプを形成する工程、
を有することを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(8)の後に、前記工程(2)で半導体素子に仮接着した基板を除去する工程と、
前記基板を除去した後、ダイシングすることで個片化する工程、
を有することを特徴とする請求項から請求項10のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法でダイシングによって個片化された半導体装置の複数を、絶縁樹脂層を挟んで、前記ソルダーバンプによって電気的に接合し、積層することを特徴とする積層型半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法で製造した積層型半導体装置を、電気回路を有した基板に載置する工程と、
前記基板に載置された積層型半導体装置を絶縁封止樹脂層で封止する工程、
を有することを特徴とする封止後積層型半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、積層型半導体装置、封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等様々な電子機器の小型化や高性能化に伴い、半導体素子においても更なる小型化、薄型化及び高密度化への要求が急速に高まっている。このため、生産性向上における基板面積の増大に対応でき、かつ、チップサイズパッケージあるいはチップスケールパッケージ(CSP)又は三次元積層といった高密度実装技術において、対応できる感光性絶縁材料や積層される半導体装置、その製造方法の開発が望まれている。
【0003】
上述したような感光性絶縁材料として、半導体素子製造工程において常用されるスピンコート法により幅広い膜厚に亘り塗布可能で、かつ幅広い波長領域において微細なパターン形成が可能であり、低温の後硬化により可とう性、耐熱性、電気特性、密着性、信頼性及び薬品耐性に優れる電気・電子部品保護用皮膜を与える光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、上記光硬化性樹脂組成物をスピンコート法により表面に凹凸がある基板に塗布する際、基板をほぼ均一に被覆することは困難であるため、基板上の段差部分に光硬化性樹脂層の隙間を生じやすく、平坦性や段差被覆性の更なる改善が待たれていた。
【0004】
また、上記スピンコート法に替わる他の塗布方法として、スプレー法が提案されている(特許文献2)。しかし、その原理上基板の凹凸に由来する高低差、あるいはパターンエッジでの膜切れ及び凹部底面のピンホールといった欠陥が生じやすい。また、基板の高低差が大きい場合、必要な膜厚を得るための組成物の粘性が高くなり、平坦性や段差被覆性に係る問題が未だ十分に解決されていない。
【0005】
また、多官能エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤からなり、高アスペクト比でのパターン形成が可能である光硬化性樹脂組成物が提案されており(特許文献3)、この組成物を用いた厚さ1〜100μmのドライフィルム皮膜とそれらの材料の適用についても提案されているが、樹脂の内部応力が大きく、可とう性の改善が必要である他、樹脂の透明性が劣るため、皮膜での吸収が発生し、厚膜パターン形成時の感度低下、皮膜自身の吸収によりレジスト表層と底面部に露光エネルギー差が発生し、それを原因とする形状(矩形性)の悪化、凹凸が大きい基板面内における感度の不均一化等の問題があった。
【0006】
一方、旧来、半導体素子に形成された電極を基板に形成した配線パターンと接続して得る半導体装置の製造方法としては、ワイヤボンディングによる半導体素子と基板の接合を例として挙げることができる。しかしながら、ワイヤボンディングによる半導体素子と基板の接合では、半導体素子上に金属ワイヤを引き出すスペースを配置する必要があるため、装置が大きくなり、小型化を図ることは困難である。
【0007】
特許文献4には、受光素子や発光素子のような半導体素子を有する半導体装置の製造方法の例が示されており、図19に示すように、半導体装置50は、貫通電極56を介してAl電極パッド55と再配線パターン52とを接続し、半導体装置の再配線パターン52と配線基板53上の再配線パターン57とを半田バンプ58を介して接続する例である。半導体装置の上面には、デバイス形成層59と複数のAl電極パッド55が形成されている。Al電極パッド55と再配線パターン52との間には、半導体装置を貫通する貫通孔54がドライエッチングにより設けられ、貫通孔54の内部には、Cuめっきにより貫通電極56が形成される。デバイス形成層59は、半導体装置の上面に配置され、受光又は発光を行う。
この方法によれば、ワイヤボンディングによる半導体素子と配線基板の接合を行わないが、半導体装置上に再配線を施し、ソルダーバンプを配置しなければならず、半導体装置の小型化に伴う再配線の微細化、ソルダーバンプの高密度化が必要となり、実際のところ困難に直面する。
【0008】
一方、特許文献5には、複数個の半導体素子の三次元積層に有用な半導体装置の製造方法が示されており、図20に示すように、半導体素子180と半導体素子280を積層する構造が例示されている。
積層される各半導体素子は、コア基材(150、250)と貫通電極(140、240)と配線層(157、257)を有する基板(110、210)上に半田バンプ(170、270)と半導体素子のパッド(182、282)を介して半導体素子(180、280)が接合されたものである。また、配線層(157、257)は実装パッド(165、265)、接続パッド(164、264)、配線(266)を有する。更に、基板(110、210)の最表面と半導体素子(180、280)との間にはアンダーフィル(184、284)が充填されている。このような半導体素子を接合した基板を半田バンプ(174、176)を介して接合し積層する方法が特許文献5では示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献5においても、半導体素子をソルダーバンプによって配線基板に接合していることから、特許文献4と同様に、半導体素子の小型化に伴うソルダーバンプの高密度化が極めて重要となり、実際は困難に直面してしまう。また、第2基板210に設けられた貫通電極の形成は、その工程が煩雑であって容易ではないといった問題点がある。
【0010】
また、配線基板に載置する半導体装置やその製造方法若しくは半導体素子を積層構造に組み上げた半導体装置及びその製造方法の例が、特許文献6に示されている。特許文献6では、図21に示すように、有機基板301と、有機基板301を厚さ方向に貫通する貫通ビア304と、有機基板301の両面に設けられ、貫通ビア304に電気接続された外部電極305b及び内部電極305aと、有機基板301の一方の主面上に接着層303を介して素子回路面を上にして搭載された半導体素子302と、半導体素子302及びその周辺を封止する絶縁材料層306と、絶縁材料層306内に設けられ、一部が外部表面に露出している金属薄膜配線層307と、金属薄膜配線層307に電気接続している金属ビア310と、金属薄膜配線層307上に形成された外部電極309とを含み、金属薄膜配線層307が、半導体素子302の素子回路面に配置された電極と、内部電極305aと、金属ビア310と、金属薄膜配線層307上に形成された外部電極309とを電気的に接続した構造を有する半導体装置や、この半導体装置を配線基板へ載置した半導体装置、複数の半導体素子を積層した半導体装置の製造方法が示されている。特許文献6によれば、半導体素子上に多数のソルダーバンプを形成する必要がなく、半導体素子上に多数の電極を形成することができ高密度化に相応しく、半導体装置の小型化ができるとしている。
【0011】
しかしながら、上記特許文献6に記載された半導体装置の構造体において、配線基板への貫通ビア304の形成は加工が困難であることが否めない。微細ドリルを用いた加工やレーザー加工が例示されているが、更なる半導体装置の微細化が望まれた際、好ましい加工技術とは言えない。
【0012】
また、特許文献6では、図22に示すように、半導体素子表層に塗布されている感光性樹脂層316をパターニングし、開口317を形成することで、半導体素子302上に形成されるビア部308とする。更に半導体素子の周辺に形成される絶縁材料層306は、スピンコートなどを用いて形成される。しかしながら、実際は、感光性樹脂層316を半導体素子302表層に塗布する工程と、半導体素子302周辺へ絶縁材料層306を形成する工程の2度にわたり樹脂を供給しなければならないことから工程が煩雑であり、また絶縁材料層306の供給をスピンコートで行った場合、半導体素子302の高さが重要であって、数十μmを超えるような高さの場合、半導体素子を乗り越えて空隙を生じさせず絶縁材料層306を供給することは、実際は困難である。また更に、感光性樹脂層316のビア部308の形成と絶縁材料層306の金属ビア310の形成を別工程で行う例や、金属ビア310の加工をレーザーなどで行う例が示されているが、これらの工程は煩雑であり、合理的ではない。更に、感光性樹脂層316と絶縁材料層306を半導体素子302周辺部及び回路形成面に同時に供給することができるとあるが、実際、具体的な方法の例示はなく、半導体素子周辺に空隙を発生させずこれらの樹脂層を供給することは困難である。また、感光性樹脂層316のビア部308と絶縁材料層306の金属ビア310の形成を同時に行えるともあるが、具体的な方法については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−184571号公報
【特許文献2】特開2009−200315号公報
【特許文献3】特表2007−522531号公報
【特許文献4】特開2007−67016公報
【特許文献5】特開2010−245509号公報
【特許文献6】特開2013−30593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、半導体素子上に微細な電極形成が施され、半導体素子外部に貫通電極を施されることで、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易な半導体装置を提供することを目的とする。
また、このような半導体装置の製造の際に、貫通電極、電極パッド部の開口などの加工を容易にできる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
更に、このような半導体装置を積層した積層型半導体装置、これを配線基板上に載置し封止した封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明では、半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線が貫通電極及びソルダーバンプに電気的に接続される半導体装置であって、前記半導体素子上に第1の感光性絶縁層が形成され、前記第1の感光性絶縁層上に第2の感光性絶縁層が形成されたものであり、
前記第1の感光性絶縁層及び前記第2の感光性絶縁層が、
(A)下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物、
【化1】
【化2】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化3】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化4】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
(B)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(C)溶剤、
(D)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
を含有する光硬化性樹脂組成物で形成された半導体装置を提供する。
【0016】
このような半導体装置であれば、半導体素子上に微細な電極形成が施され、半導体素子外部に貫通電極を施されることで、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易な半導体装置となる。また、第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層が上記の光硬化性樹脂組成物で形成されたものであるため、反りが軽減された半導体装置となる。
【0017】
また、前記光硬化性樹脂組成物が、更に、(F)塩基性化合物を含有するものであることが好ましい。
【0018】
このような塩基性化合物を光硬化性樹脂組成物中に配合することにより、第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層の解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターン形状等を改善することができる。
【0019】
また、前記光硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率が0.1〜2GPaであり、かつ引張強度が1〜80MPaであることが好ましい。
【0020】
このような光硬化性樹脂組成物で形成された第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層を有する半導体装置であれば、耐久性により優れる。
【0021】
また、前記第1の感光性絶縁層が光硬化性ドライフィルムによって形成されたものであり、前記第2の感光性絶縁層が前記光硬化性ドライフィルム又は光硬化性レジスト塗布膜によって形成されたものであることが好ましい。
これにより、半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれた半導体装置となる。
【0022】
更に本発明では、上記の半導体装置がフリップチップ化されて複数積層された積層型半導体装置を提供する。
【0023】
本発明の半導体装置であれば、半導体装置の積層が容易であるため、このような積層型半導体装置に好適である。
【0024】
また、本発明では、上記の積層型半導体装置が電気回路を有する基板上に載置され、絶縁封止樹脂層で封止された封止後積層型半導体装置を提供する。
【0025】
本発明の半導体装置であれば、半導体装置の配線基板への載置や半導体装置の積層が容易であるため、このような封止後積層型半導体装置に好適である。
【0026】
更に本発明では、半導体装置の製造方法であって、
(1)膜厚10〜300μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、前記光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程と、
(2)上部表面に電極パッドが露出した高さ20〜100μmの半導体素子を接着又は仮接着した基板上に、前記半導体素子を覆うように前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで第1の感光性絶縁層を形成する工程と、
(3)前記第1の感光性絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と前記半導体素子の外部に設ける貫通電極を形成するための開口を同時に形成する工程と、
(4)パターニング後、ベークすることで前記第1の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(5)硬化後、スパッタリングによるシード層形成を行い、その後前記電極パッド上の開口と前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッドと貫通電極とし、前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記貫通電極をメッキによる金属配線によってつなぐ工程と、
(6)金属配線の形成後、前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記レジスト組成物材料を塗布することで第2の感光性絶縁層を形成し、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行う工程と、
(7)パターニング後、ベークすることで前記第2の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(8)硬化後、前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成する工程、
を有し、
前記工程(1)で準備される光硬化性ドライフィルムが、
(A)下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物、
【化5】
【化6】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化7】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化8】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
(B)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(C)溶剤、
(D)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムである半導体装置の製造方法を提供する。
【0027】
このような半導体装置の製造方法であれば、半導体素子上に微細な電極形成を施し、半導体素子外部に貫通電極を施すことで、配線基板への載置や半導体装置の積層を容易にでき、また貫通電極、電極パッド部の開口などの加工を容易にできる。更に、(A)〜(E)成分を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムを用いることで、半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれた半導体装置とすることができる。また、上記の光硬化性ドライフィルムを用いることにより、個片化した際に懸念される半導体装置の反りを軽減することができるため、個片化後の半導体装置の積層や配線基板への載置が容易になる。
【0028】
また、前記化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料を、更に、(F)塩基性化合物を含有するものとすることが好ましい。
【0029】
このような塩基性化合物を化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料中に配合することにより、第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層の解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターン形状等を改善することができる。
【0030】
また、硬化後の弾性率が0.1〜2GPaであり、かつ引張強度が1〜80MPaである前記化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料を用いることが望ましい。
【0031】
このような光硬化性樹脂組成物を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムを用いることにより、耐久性により優れる半導体装置を製造することができる。
【0032】
また、前記工程(2)において、前記第1の感光性絶縁層を機械的にプレスする工程を含むことが好ましい。
【0033】
これにより、半導体素子上の第1の感光性絶縁層の厚さを薄くすることや、均一化することができ、また第1の感光性絶縁層を平坦化することができる。
【0034】
また、前記工程(8)において、前記貫通電極上部の開口にメッキによって貫通電極上金属パッドを形成する工程と、
前記貫通電極上金属パッド上にソルダーボールを形成し、ソルダーバンプとする工程、
を有する方法で、前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成することができる。
【0035】
また、前記工程(5)のメッキによる前記貫通電極の形成において、SnAgによるメッキを行う工程を含み、
前記工程(6)において、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行うことで、前記メッキされたSnAgを露出させる工程と、
前記工程(8)において、前記メッキされたSnAgを溶融することで前記貫通電極上部の開口において電極を隆起させてソルダーバンプを形成する工程、
を有する方法であれば、更に容易かつ合理的に前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成することができる。
【0036】
また、前記工程(8)の後に、前記工程(2)で半導体素子に仮接着した基板を除去する工程と、
前記基板を除去した後、ダイシングすることで個片化する工程、
を行うことで、個片化された半導体装置を製造することができる。
【0037】
また、上記の製造方法でダイシングによって個片化された半導体装置の複数を、絶縁樹脂層を挟んで、前記ソルダーバンプによって電気的に接合し、積層することで積層型半導体装置を製造することができる。
【0038】
更に、上記の製造方法で製造した積層型半導体装置を、電気回路を有した基板に載置する工程と、
前記基板に載置された積層型半導体装置を絶縁封止樹脂層で封止する工程、
を有する方法で封止後積層型半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の半導体装置であれば、半導体素子上に微細な電極形成が施され、半導体素子外部に貫通電極を施されることで、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易であり、更に半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれ、反りが軽減された半導体装置となる。
また、本発明の半導体装置の製造方法であれば、半導体素子上に微細な電極形成を施し、半導体素子外部に貫通電極を施すことで、配線基板への載置や半導体装置の積層を容易にでき、また貫通電極、電極パッド部の開口などの加工を容易にできる。
更に、このようにして得られた本発明の半導体装置は、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易であるため、半導体装置を積層させた積層型半導体装置やこれを配線基板に載置し封止した封止後積層型半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図2】本発明の積層型半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図3】本発明の封止後積層型半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図4】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(2)を説明するための断面概略図である。
図5】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(3)、(4)を説明するための断面概略図である。
図6】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(5)を説明するための断面概略図である。
図7】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(5)を説明するための断面概略図である。
図8】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(6)、(7)を説明するための断面概略図である。
図9】本発明の半導体装置の製造方法の一例における工程(8)を説明するための断面概略図である。
図10】本発明の半導体装置の製造方法の別の一例における工程(8)を説明するための断面概略図である。
図11】本発明の半導体装置の製造方法において個片化した半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図12】本発明の半導体装置の製造方法において個片化した半導体装置の別の一例を示す断面概略図である。
図13】本発明の積層型半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面概略図である。
図14】本発明の積層型半導体装置の製造方法の別の一例を説明するための断面概略図である。
図15】配線基板上に載置した本発明の積層型半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図16】配線基板上に載置した本発明の積層型半導体装置の別の一例を示す断面概略図である。
図17】本発明の封止後積層型半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面概略図である。
図18】本発明の封止後積層型半導体装置の製造方法の別の一例を説明するための断面概略図である。
図19】従来の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図20】従来の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図21】従来の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図22】従来の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上述のように半導体装置において更なる小型化、薄型化及び高密度化への要求が急速に高まっており、半導体素子上に微細な電極形成が施され、半導体素子外部に貫通電極を施されることで、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易な半導体装置及びその製造方法の開発が求められていた。
【0042】
本発明者らは上記目的を達成するため検討を重ねた結果、基板上に仮接着材で接着、載置された半導体素子周辺を、エポキシ基含有成分及びフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つシリコーン高分子化合物等を含有するレジスト組成物材料を光硬化性樹脂層に用いたドライフィルムであって、かつ該光硬化性樹脂層が膜厚10〜300μmである光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層でラミネートすることによって、半導体素子周辺に空隙なく光硬化性樹脂層(第1の感光性絶縁層)を埋め込むことが可能となり、ラミネートされた光硬化性樹脂層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行うことで、半導体素子上にある電極パッドの開口と半導体素子の外部に設ける貫通電極となる開口を同時に形成できることを知見し、本発明を成すに至った。
【0043】
更に、半導体素子上にある電極パッド上の開口と半導体素子外部に配置させた貫通電極の同時パターニング後、それらの開口パターンにメッキによる電気配線を施した後に、上記と同様な光硬化性樹脂組成物を塗布あるいは光硬化性樹脂層をラミネートして第2の感光性絶縁層を形成しパターニングを行い、貫通電極上部にソルダーバンプを形成し、更には半導体素子と光硬化性樹脂層と貫通電極などで形成された半導体装置と仮接着材で接着していた基板を除去する工程を行い、ダイシングすることで個片化することは、非常に合理的に半導体装置を形成できる方法であり、本発明の目的を具現化している。
【0044】
一方、上記製造方法で得た半導体装置は、上部はソルダーバンプが突出し、下部は基板を除去することで貫通電極を容易に露出させることができるので、半導体装置の複数を突出したソルダーバンプと露出した電極を用いて、容易に電気的に接合でき、積層することができることを知見し、また、積層した半導体装置を配線基板に容易に載置できることを知見し、本発明を完成させた。
【0045】
すなわち、本発明は、半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線が貫通電極及びソルダーバンプに電気的に接続される半導体装置であって、前記半導体素子上に第1の感光性絶縁層が形成され、前記第1の感光性絶縁層上に第2の感光性絶縁層が形成された半導体装置であり、
前記第1の感光性絶縁層及び前記第2の感光性絶縁層が、以下で説明する(A)〜(E)成分を含有する光硬化性樹脂組成物で形成されたものである。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
本発明の半導体装置は、図1に示すように、半導体素子1と、半導体素子1に電気的に接続される半導体素子上金属パッド4及び金属配線6を有し、金属配線6が貫通電極5及びソルダーバンプ9に電気的に接続される半導体装置であって、半導体素子1上に第1の感光性絶縁層3が形成され、第1の感光性絶縁層3上に第2の感光性絶縁層8が形成された半導体装置である。
【0048】
このような半導体装置であれば、半導体素子上に微細な電極形成を施し、半導体素子外部に貫通電極を施すことで、配線基板への載置や半導体装置の積層を容易にでき、また貫通電極、電極パッド部の開口などの加工が容易にできる。
【0049】
ここで、本発明の半導体装置は、第1の感光性絶縁層3及び第2の感光性絶縁層8が、(A)下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物、
【化9】
【化10】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化11】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化12】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
(B)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(C)溶剤、
(D)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物、
を含有する光硬化性樹脂組成物で形成されたものである。
【0050】
このように、本発明の半導体装置は、第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層が上記の光硬化性樹脂組成物で形成されたものであるため、反りが軽減された半導体装置となる。
【0051】
また、第1の感光性絶縁層は、光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることにより形成され、第2の感光性絶縁層は、光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層の材料であるレジスト組成物材料を塗布することにより形成することができる。これにより、半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれるため好ましい。
【0052】
また、本発明では、上記の半導体装置がフリップチップ化されて複数積層された積層型半導体装置を提供する。
本発明の積層型半導体装置は、図2に示すように、上述の半導体装置がフリップチップ化されて貫通電極5とソルダーバンプ9によって電気的に接合され、複数積層されたものであり、各半導体装置間には絶縁樹脂層13が封入されていてもよい。
【0053】
また、本発明では、上記の積層型半導体装置が電気回路を有する基板上に載置され、絶縁封止樹脂層で封止された封止後積層型半導体装置を提供する。
本発明の封止後積層型半導体装置は、図3に示すように、上述の積層型半導体装置が電気回路を有した基板(配線基板14)上にソルダーバンプ9を介して載置され、絶縁封止樹脂層15で封止されたものである。
【0054】
以下、本発明の半導体装置に用いる光硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0055】
[(A)成分]
(A)成分は、下記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分及び下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基含有成分を繰り返し単位として持つ、重量平均分子量が3000〜500000のシリコーン高分子化合物である。
【化13】
【化14】
[式中、a、bは正数であり、R、R、R、Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。rは独立に0、1又は2である。R〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは0又は1であり、kは0、1、2のいずれかである。R10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。
Zは、
【化15】
のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
Xは、下記式(3)、下記一般式(4)のいずれかより選ばれる2価の有機基である。
【化16】
(式中、R12、R13、R14、R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。mは1〜100の正数である。)
前記一般式(1)中のエポキシ基(J)と前記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。]
【0056】
上記一般式(1)のR〜Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基である。これらは相互に異なっていても同一でもよい。炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが挙げられる。
【0057】
上記一般式(1)のR〜Rは独立して水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。炭素数1〜10の一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状アルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。これらの中でも原料入手の点からメチル基が好ましい。
【0058】
上記一般式(1)のRは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。Rの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ヘプテレン基、オクチレン基、ノナニレン基、デカニレン基等の直鎖、分岐又は環状アルキレン基、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。この中でも原料入手の点からフェニレン基が好ましい。
【0059】
上記一般式(2)のR10、R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。これらは相互に異なっていても同一でもよい。R10、R11の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0060】
上記一般式(4)のR12〜R15は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10の一価炭化水素基である。R12〜R15は、好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜6の一価炭化水素基である。R12〜R15の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中でも原料入手の点からメチル基が好ましい。
【0061】
また、後述する(B)成分、(D)成分及び(E)成分との相溶性及び光硬化性の観点から、上記一般式(4)のmは1〜100であり、好ましくは1〜80の正数である。
【0062】
上記一般式(1)のa、上記一般式(2)のbは正数であるが、好ましくは0<a<1、0<b<1でa+b=1であり、更に好ましくは0.05≦a≦0.8、0.2≦b≦0.95で、特に好ましくは0.2≦a≦0.8、0.2≦b≦0.8である。
【0063】
上記一般式(1)中のエポキシ基(J)と上記一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率(モル比)は0.05≦(J)/((J)+(K))≦0.95である。この比率は、好ましくは0.10≦(J)/((J)+(K))≦0.90、より好ましくは0.10≦(J)/((J)+(K))≦0.85である。エポキシ基(J)が少なすぎると基板との密着性が低下し、エポキシ基(J)が多すぎるとパターン解像性が低下する。
【0064】
上記のシリコーン高分子化合物の重量平均分子量は、3000〜500000であり、好ましくは10000〜250000である。このシリコーン高分子化合物を含有する光硬化性樹脂組成物及び当該光硬化性樹脂組成物を光硬化性樹脂層に用いたドライフィルムの光硬化性や、当該光硬化性樹脂層を硬化して得られる硬化皮膜の機械的特性の観点からこのような分子量が好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である(以下、同じ)。
【0065】
上記一般式(1)で示されるエポキシ基含有成分の具体例としては、下記に示すものを挙げることができる。
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
[(B)成分]
(B)成分は、波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤である。(B)光酸発生剤としては、波長190〜500nmの光照射により酸を発生し、これが硬化触媒となるものを用いることができる。上記(A)成分は光酸発生剤との相溶性に優れるため、様々な種類の光酸発生剤を使用することができる。上記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イル−スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0070】
上記オニウム塩としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
(R16 (5)
(式中、R16は置換基を有してもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、Mはヨードニウムイオン又はスルホニウムイオンを表し、Kは非求核性対向イオンを表し、jは2又は3を表す。)
【0071】
上記R16において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、2−オキソシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基;o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基等の各基が挙げられる。
【0072】
の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート;トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート;メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0073】
ジアゾメタン誘導体としては、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化21】
(式中、R17は同一でも異なってもよく、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基若しくはハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)
【0074】
上記R17において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基;o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基等が挙げられる。ハロゲン化アリール基としては、例えば、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0075】
上記(B)成分の光酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0076】
上記(B)成分の光酸発生剤の配合量は、光酸発生剤自身の光吸収及び厚膜での光硬化性の観点から、(A)成分のシリコーン高分子化合物100質量部に対して0.05〜20質量部、特に0.2〜5質量部が好ましい。
【0077】
[(C)成分]
(C)成分は、溶剤である。(C)溶剤としては、上述した(A)成分、(B)成分及び後述する(D)成分、(E)成分が溶解可能であるものを用いることができる。
【0078】
(C)溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。特に、光酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はそれらの混合溶剤が好ましい。
【0079】
上記(C)成分の溶剤の配合量は、光硬化性樹脂組成物の相溶性、粘度及び塗布性の観点から、上述した(A)成分、(B)成分及び後述する(D)成分、(E)成分の配合量の合計100質量部に対して50〜2000質量部、特に50〜1000質量部が好ましい。
【0080】
[(D)成分]
(D)成分は、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基(アルコキシメチル基)を有するフェノール化合物、及び多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。
【0081】
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、例えば、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物、又はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物が挙げられる。上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物の合成は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルマリンでメチロール化して変性、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性して、下記一般式(7)で示される変性メラミンとする。なお、上記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
【化22】
(式中、R18は同一でも異なってもよく、メチロール基、炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシメチル基又は水素原子であるが、少なくとも1つはメチロール基又は上記アルコキシメチル基である。)
【0082】
上記R18としては、例えば、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等のアルコキシメチル基及び水素原子等が挙げられる。
【0083】
上記一般式(7)の変性メラミンとして、具体的には、トリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等が挙げられる。
【0084】
次いで、一般式(7)の変性メラミン又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)を、常法に従って、ホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させて、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物が得られる。
【0085】
また、上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物の合成は、例えば公知の方法に従って、所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化して変性し、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性することで行うことができる。
【0086】
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物としては、例えば、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。なお、これらホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0087】
次いで、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基(アルコキシメチル基)を有するフェノール化合物としては、例えば、(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。これらフェノール化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0088】
一方、多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物としては、ビスフェノールA、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの水酸基を塩基存在下エピクロロヒドリンと反応させることで得られる1,1’−ジグリシドキシビスフェノールA、トリス(4−グリシドキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−グリシドキシフェニル)エタン等を挙げることができる。これら多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0089】
上記(D)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
[(E)成分]
(E)成分は、水酸基を3個以上有する多価フェノールから選ばれる1種又は2種以上の化合物である。上記(E)成分としては、フェノールやビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クレゾール等を原料として合成したレゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。更に、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0091】
上記(E)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
上記(D)成分、(E)成分は架橋剤として作用することができる。
【0093】
上記(D)成分及び(E)成分の配合量は、光硬化性及び後硬化を経た電気・電子部品保護用皮膜としての信頼性の観点から、上記(A)成分のシリコーン高分子化合物100質量部に対して、(D)成分及び(E)成分合わせて0.5〜50質量部、特に1〜30質量部が好ましい。このような配合量であれば、パターン間がつながり解像度が低下する問題が生じにくい。
【0094】
[(F)成分]
更に、本発明の半導体装置に用いる光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、塩基性化合物を(F)成分として添加することができる。上記塩基性化合物としては、光酸発生剤より発生する酸がレジスト皮膜を拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。そして、上記塩基性化合物の配合により、解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターン形状等を改善することができる。
【0095】
上記塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体、更に、下記一般式(8)で示される化合物等が挙げられる。
N(α)(β)3−q (8)
(式中、q=1、2又は3である。側鎖αは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(9)〜(11)で表されるいずれかの置換基である。側鎖βは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル結合若しくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、側鎖α同士が結合して環を形成してもよい。)
【化23】
【0096】
ここで、上記式中R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環のいずれかを1つ又は複数含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環を1つ又は複数含んでいてもよい。
【0097】
上記一般式(8)で表される化合物として、具体的には、下記のものが例示できる。すなわち、トリス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0098】
上記(F)成分の塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0099】
上記(F)成分の塩基性化合物の配合量は、感度の観点から、上記(A)成分のシリコーン高分子化合物100質量部に対して0〜3質量部が好ましく、0.01〜1質量部が特に好ましい。このような配合量であれば、解像性が悪くなり、パターンの劣化が起こる場合が生じにくい。
【0100】
[(G)成分]
本発明の半導体装置に用いる光硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤(G)を含んでいてもよい。上記硬化促進剤(G)は、エポキシ基を有する化合物が硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。三級アミン類又はその塩、イミダゾール類などが挙げられる。
【0101】
市販されているものとしては、例えば、四国化成(株)製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ−PW(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ(株)製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩の商品名)などが挙げられる。
【0102】
上記(G)成分の硬化促進剤の配合量は、感度の観点から、上記(A)成分のシリコーン高分子化合物100質量部に対して0〜3質量部が好ましく、0〜1質量部が特に好ましい。このような配合量であれば、解像性が悪くなり、パターンの劣化が起こる場合が生じにくい。なお、配合する場合は、上記(A)成分のシリコーン高分子化合物100質量部に対して0.05質量部以上とすることが好ましい。
【0103】
本発明における光硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率は0.1〜2GPaであり、かつ引張強度は1〜80MPaであることが好ましい。また、本発明における光硬化性樹脂組成物の硬化後の線膨張係数は、好ましくは180ppm/℃以下、より好ましくは10〜150ppm/℃である。このような光硬化性樹脂組成物で形成された第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層を有する半導体装置であれば、耐久性により優れる。
【0104】
上記の光硬化性樹脂組成物を調製する方法は特に限定されない。例えば、上記の各成分を撹拌混合し、その後フィルター等により濾過することにより、光硬化性樹脂組成物を調製することができる。
【0105】
このような光硬化性樹脂組成物であれば、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、かつ凹凸を有する基板上においても高感度でのパターン形成が容易であり、各種フィルム特性、特に回路基板に使用される基材に対しての密着性に優れ、加えて、電気・電子部品としての信頼性に優れ、基板接合材料としても高い信頼性を有する皮膜を形成することができる。
【0106】
次に、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
【0107】
上述のような半導体装置は以下に示す本発明の半導体装置の製造方法によって製造することができる。本発明の半導体装置の製造方法は、
(1)膜厚10〜300μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、前記光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程と、
(2)上部表面に電極パッドが露出した高さ20〜100μmの半導体素子を接着又は仮接着した基板上に、前記半導体素子を覆うように前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで第1の感光性絶縁層を形成する工程と、
(3)前記第1の感光性絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と前記半導体素子の外部に設ける貫通電極を形成するための開口を同時に形成する工程と、
(4)パターニング後、ベークすることで前記第1の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(5)硬化後、スパッタリングによるシード層形成を行い、その後前記電極パッド上の開口と前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッドと貫通電極とし、前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記貫通電極をメッキによる金属配線によってつなぐ工程と、
(6)金属配線の形成後、前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記レジスト組成物材料を塗布することで第2の感光性絶縁層を形成し、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行う工程と、
(7)パターニング後、ベークすることで前記第2の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる工程と、
(8)硬化後、前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成する工程、
を有する。更に、前記工程(1)で準備される光硬化性ドライフィルムが、上述の(A)〜(E)成分、必要に応じて(F)、(G)成分等を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムである。
【0108】
以下、各工程について詳しく説明する。
【0109】
まず工程(1)では、光硬化性ドライフィルムを準備する。
本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムは、膜厚10〜300μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、光硬化性樹脂層が上述の(A)〜(E)成分、必要に応じて(F)、(G)成分等を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムである。
【0110】
本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムでは、上述の(A)〜(E)成分、必要に応じて(F)、(G)成分等を撹拌混合し、その後フィルター等により濾過することにより、光硬化性樹脂層を形成するレジスト組成物材料を調製することができる。
【0111】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一でも複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムでもよい。材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等が挙げられ、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡績(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1−A3、PET38×1−V8、PET38×1−X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0112】
本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムにおいて使用される保護フィルムは、上述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF−8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)が挙げられる。
【0113】
上記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、光硬化性ドライフィルム製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、いわゆるカール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜200μmである。
【0114】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムの製造方法について説明する。上記光硬化性ドライフィルムの製造装置は、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。上記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0115】
支持フィルムをフィルムコーターの巻出軸から巻き出し、フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、支持フィルム上にレジスト組成物材料を所定の厚みで塗布して光硬化性樹脂層を形成させた後、所定の温度と所定の時間で熱風循環オーブンを通過させ、上記支持フィルム上で乾燥させた光硬化性樹脂層をフィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムと共に、所定の圧力でラミネートロールを通過させて支持フィルム上の光硬化性樹脂層と貼り合わせた後、フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって製造される。この場合、熱風循環オーブンの温度としては25〜150℃が好ましく、通過時間としては1〜100分間が好ましく、ラミネートロールの圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
【0116】
また、本発明の半導体装置の製造方法に用いられる光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層の膜厚は10〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。また、光硬化性ドライフィルムを用いて第1の感光性絶縁層を形成する場合には、光硬化性樹脂層の膜厚は好ましくは100〜300μm、より好ましくは100〜250μmである。また、光硬化性ドライフィルムを用いて第2の感光性絶縁層を形成する場合には、光硬化性樹脂層の膜厚は好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。また、レジスト組成物材料を塗布することで第2の感光性絶縁層を形成する場合には、第2の感光性絶縁層の膜厚が10〜200μm、特には10〜100μmとなるようにレジスト組成物材料を塗布することが好ましい。
【0117】
上述のような方法で、光硬化性ドライフィルムを作製することができ、このような光硬化性ドライフィルムを用いることで、反りを軽減でき、また半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれた半導体装置を製造することができる。
【0118】
次に、工程(2)では、上部表面に電極パッドが露出した高さ20〜100μmの半導体素子を接着又は仮接着した基板上に、半導体素子を覆うように光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで第1の感光性絶縁層を形成する。
【0119】
まず、上述の光硬化性ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、図4(a)に示すように半導体素子1を接着又は仮接着した基板2上へ光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートし、第1の感光性絶縁層3を形成する。この際、後の工程で基板2を半導体素子1から除去せずに個片化する場合、基板2は配線が施されていてもよく、半導体素子1は基板2上に接着剤で固定される。一方、基板2を多層再配線工程後除去する場合は、半導体素子1は基板2上に仮接着材によって固定される。
【0120】
半導体素子を接着又は仮接着した基板上に光硬化性ドライフィルムを貼り付ける装置としては、真空ラミネーターが好ましい。光硬化性ドライフィルムをフィルム貼り付け装置に取り付け、光硬化性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し露出した光硬化性樹脂層を、所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で基板に密着させる。なお、テーブルの温度としては60〜120℃が好ましく、貼り付けロールの圧力としては0〜5.0MPaが好ましく、真空チャンバーの真空度としては50〜500Paが好ましい。このように真空ラミネートを行うことで、半導体素子周辺に空隙を発生させることがないため、好ましい。
【0121】
このとき、必要な厚さの光硬化性樹脂層を得るために、必要に応じてフィルムを複数回貼り付けてもよい。貼り付け回数は例えば1〜10回程度で、10〜1000μm、特に100〜500μm厚程度の樹脂層を得ることができる。
【0122】
またこのとき、図4(b)に示すように半導体素子1上に第1の感光性絶縁層3を形成した際、半導体素子1上の第1の感光性絶縁層3の膜厚が厚くなることや、半導体素子1から周辺へ離れるにつれて膜厚が徐々に薄くなることがある。この膜厚の変化を機械的にプレスすることで平坦化し、図4(a)のように半導体素子上の膜厚を薄くする方法を好ましく用いることができる。
【0123】
次に、工程(3)では、第1の感光性絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、図5に示すように電極パッド上の開口aと半導体素子1の外部に設ける貫通電極を形成するための開口bを同時に形成する。
【0124】
このパターニングでは、第1の感光性絶縁層を形成した後に、露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポージャベーク;PEB)を行い、現像し、更に、必要に応じて後硬化してパターンを形成する。すなわち、公知のリソグラフィー技術を用いてパターンの形成を行うことができる。
【0125】
ここで、第1の感光性絶縁層の光硬化反応を効率的に行うため又は第1の感光性絶縁層3と基板2との密着性を向上させる、若しくは密着した第1の感光性絶縁層の平坦性を向上させる目的で、必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行ってもよい。プリベークは、例えば40〜140℃で1分間〜1時間程度行うことができる。
【0126】
次いで、支持フィルムを介して、若しくは支持フィルムを剥離した状態で、フォトマスクを介して波長190〜500nmの光で露光して、硬化させる。フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は波長190〜500nmの光を遮蔽するものが好ましく、例えばクロム等が好適に用いられるがこれに限定されるものではない。
【0127】
波長190〜500nmの光としては、例えば放射線発生装置により発生させた種々の波長の光、例えば、g線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。そして、波長は好ましくは248〜436nmである。露光量は、例えば10〜3000mJ/cmが好ましい。このように露光することで、露光部分が架橋して後述の現像液に不溶なパターンが形成される。
【0128】
更に、現像感度を高めるために、PEBを行う。PEBは、例えば40〜140℃で0.5〜10分間とすることができる。
【0129】
その後、現像液にて現像する。好ましい現像液としてIPAやPGMEAといった有機溶剤が挙げられる。また好ましいアルカリ水溶液である現像液は、2.38%のテトラメチルヒドロキシアンモニウム(TMAH)水溶液である。本発明の半導体装置の製造方法では、現像液としては有機溶剤が好ましく用いられる。
現像は、通常の方法、例えばパターンが形成された基板を現像液に浸漬すること等により行うことができる。その後、必要に応じて、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する第1の感光性絶縁層の皮膜が得られる。
【0130】
次に、工程(4)では、ベークすることで第1の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる。
【0131】
上述の第1の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンをオーブンやホットプレートを用いて、好ましくは温度100〜250℃、より好ましくは150〜220℃、更に好ましくは170〜190℃でベークし、硬化させる(後硬化)。後硬化温度が100〜250℃であれば、第1の感光性絶縁層の皮膜の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、更に電気特性の観点から好ましい。そして、後硬化時間は10分間〜10時間とすることができる。
【0132】
また、第1の感光性絶縁層のパターニングにおいて、半導体素子1上に露出した電極パッド上の開口aと半導体素子1の外部に設ける貫通電極(TMV)を形成するための開口bを一括露光によって同時に形成することが合理的で好ましい。
【0133】
次に、工程(5)では、パターニングによって形成した電極パッド上の開口と貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッドと貫通電極とし、メッキによって形成された半導体素子上金属パッドと貫通電極を更にメッキによる金属配線によってつなぐ。
【0134】
メッキを行う際は、例えば、スパッタリングによってシード層を形成した後、メッキレジストのパターニングを行い、その後電解メッキなどを行い、図6に示すように電極パッド上の開口aと貫通電極を形成するための開口bをメッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッド4と貫通電極5とし、更にメッキによって形成された半導体素子上金属パッド4と貫通電極5をつなぐ金属配線6とする。
【0135】
また、ここで、図7に示すように貫通電極5のメッキを充足させるため、別途、貫通電極5へ再度電解メッキを施し、貫通電極5を金属メッキ7で埋めてもよい。
【0136】
次に、工程(6)では、上述の光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層を再びラミネートする又は上記レジスト組成物材料溶液を直接公知のスピンコータ等により塗布することで、図8に示すように第2の感光性絶縁層8を形成し、貫通電極上部に貫通電極上部の開口cを形成するようにパターニングを行う。このパターニングは、上述の工程(3)と同様の方法で行うことができる。
なお、第2の感光性絶縁層において、レジスト組成物材料を塗布する場合も、光硬化性ドライフィルムを用いる場合と同様な厚さで塗布することができる。塗布方法としては公知のリソグラフィー技術に採用されている方法を採用して行うことができる。例えば、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等の手法により塗布することができる。中でもスピンコート法が好ましい。
【0137】
次に、工程(7)では、ベークすることで第2の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンを硬化させる。このベークは、上述の工程(4)と同様の条件で行うことができる。
【0138】
次に、工程(8)では、貫通電極上部の開口cにソルダーバンプを形成する。
ソルダーバンプの形成方法としては、例えば、図9に示すように貫通電極上部の開口cにメッキによって貫通電極上金属パッド10を形成する。次に、貫通電極上金属パッド10上にソルダーボール11を形成し、これをソルダーバンプとすることができる。
【0139】
また、上述の工程(5)において、図7のように貫通電極5のメッキを充足させるために別途施すメッキをSnAgで行い、その後の工程(6)では、上記と同様に第2の感光性絶縁層を形成して貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行うことでメッキされたSnAgを露出させ、工程(7)のベークによる硬化後、工程(8)として、メッキされたSnAgを溶融することで図10に示すように貫通電極上部の開口cへ電極を隆起させ、SnAgを隆起させた電極12のソルダーバンプを形成することができる。
【0140】
更に、上述の工程(8)の後に、図11に示すように、上述の工程(2)において半導体素子1が基板2に仮接着されていた場合、基板2を除去することで半導体素子1の外に配置した貫通電極5のソルダーボール11の反対側を露出させることができ、露出したシード層をエッチングによって除去し、金属メッキ部が露出することによって、貫通電極5の上部と下部を電気的に導通させることができる。更にその後、ダイシングして個片化することで、個片化した半導体装置20を得ることができる。
【0141】
SnAgを隆起させた電極12のソルダーバンプを形成した場合も同様に、図12に示すように、基板2を除去することで半導体素子1の外に配置した貫通電極5のSnAgを隆起させた電極12の反対側を露出させることができ、露出したシード層をエッチングによって除去し、金属メッキ部が露出することによって、貫通電極5の上部と下部を電気的に導通させることができる。更にその後、ダイシングして個片化することで、個片化した半導体装置21を得ることができる。
【0142】
上述の個片化された半導体装置20又は個片化された半導体装置21は、図13図14に示すように、それぞれ複数を絶縁樹脂層13を挟んで、ソルダーバンプによって電気的に接合し、積層させて積層型半導体装置とすることができる。また、図15図16に示すように、積層した半導体装置を電気回路を有した基板(配線基板14)へ載置することもできる。なお、図13図14図15図16はそれぞれ個片化した半導体装置20又は21をフリップチップボンディングした例である。
【0143】
また、図17図18に示すように、上述のようにして製造した積層型半導体装置を配線基板14に載置した後、絶縁封止樹脂層15で封止することで、封止後積層型半導体装置を製造することができる。
【0144】
ここで、絶縁樹脂層13や絶縁封止樹脂層15に用いられる樹脂としては、一般にこの用途に用いられるものを用いることができ、例えばエポキシ樹脂やシリコン樹脂やこれらのハイブリッド樹脂を用いることができる。
【0145】
上述のようにして製造される本発明の半導体装置、積層型半導体装置、及び封止後積層型半導体装置は、半導体チップへ施されるファンアウト配線やWCSP(ウェハレベルチップサイズパッケージ)用に好適に用いることができる。
【0146】
以上のように、本発明の半導体装置の製造方法であれば、半導体素子上に微細な電極形成を施し、半導体素子外部に貫通電極を施すことで、配線基板への載置や半導体装置の積層を容易にでき、また貫通電極、電極パッド部の開口などの加工を容易にできる。また、上述の(A)〜(E)成分、必要に応じて(F)、(G)成分等を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムを用いることで、反りを軽減でき、また半導体素子の高さが数十μmであっても半導体素子周辺に空隙などがなく埋め込まれた半導体装置を製造することができる。
更に、このようにして得られた本発明の半導体装置は、配線基板への載置や半導体装置の積層が容易であるため、半導体装置を積層させた積層型半導体装置やこれを配線基板に載置し封止した封止後積層型半導体装置とすることができる。
【実施例】
【0147】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。本発明の合成例において使用する化合物(M−1)〜(M−5)の化学構造式を以下に示す。
【化24】
【0148】
[合成例1]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1Lのセパラブルフラスコに、式(M−2)で表される不飽和基含有化合物215g(0.5mol)、トルエン500g、カーボン担持白金触媒(5質量%)を0.10g仕込み、75℃にて式(M−4)で表される1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン48.5g(0.25mol)をゆっくり滴下した。この滴下には10分を要した。滴下終了後、75℃にて10時間熟成を続けた。熟成終了後、ガスクロマトグラフ分析を行い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン残存量が2%以下となったことを確認した。このものをロータリーエバポレーターを使用し、80℃/0.6kPaにて減圧濃縮したところ、褐色固体250gが得られた。得られた褐色固体に対し、赤外線吸収スペクトル分析及び、1H核磁気共鳴スペクトル分析を行い、アリル基含有フェノール性水酸基を持つフルオレン構造を両末端に持つシルフェニレン化合物
【化25】
が得られたことを確認した。
【0149】
次に窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1Lのセパラブルフラスコに、上記で得られたアリル基含有フェノール性水酸基を持つフルオレン構造を両末端に持つシルフェニレン化合物210.8g(0.2mol)を入れ、これをエピクロロヒドリン278g(3.0mol)に溶解させ、更にテトラメチルアンモニウムクロライド0.44gを加え、100℃にて5時間撹拌した。次に、減圧下(20kPa)、70℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液44gを3時間かけて滴下した。その間、生成する水をエピクロロヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロロヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に30分間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、更に水洗した後、エピクロロヒドリンを留去したところ、褐色固体180gが得られた。得られた褐色固体に対し、赤外線吸収スペクトル分析及び、1H核磁気共鳴スペクトル分析を行い、末端にアリル基とエポキシ基を持ったフルオレン構造を持つシルフェニレン骨格含有化合物(M−1)であることを確認した。
【0150】
[合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)256.0g、化合物(M−2)53.8gを入れ、これをトルエン1300gに溶解後、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1.6gを投入し、化合物(M−4)53.5gと化合物(M−3)151.0gの混合物を1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、78℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で5時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1000gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水500gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを330g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン高分子化合物溶液(A−1)を得た。この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量45000であり、原料のモル比より算出した、(A)成分のシリコーン高分子化合物中の式(1)のaは0.616、式(2)のbは0.384であった。また、一般式(1)中のエポキシ基(J)と一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は(J)/((J)+(K))=0.762であった。
【0151】
[合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)170.6g、化合物(M−2)35.9gを入れ、これをトルエン1300gに溶解後、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1.6gを投入し、化合物(M−4)6.5gと化合物(M−5)296.0gの混合物を1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、75℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1000gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水500gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを320g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン高分子化合物溶液(A−2)を得た。この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量32000であり、原料のモル比より算出した、(A)成分のシリコーン高分子化合物中の式(1)のaは0.615、式(2)のbは0.385であった。また、一般式(1)中のエポキシ基(J)と一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は(J)/((J)+(K))=0.762であった。
【0152】
[合成例4]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)93.3g、化合物(M−2)26.9gをトルエン1300gに溶解後、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%) 1.6gを投入し、化合物(M−3) 409.0gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、76℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1000gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水500gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを320g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン高分子化合物溶液(A−3)を得た。この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量250000であり、原料のモル比より算出した、(A)成分のシリコーン高分子化合物中の式(1)のaは0.538、式(2)のbは0.462であった。また、一般式(1)中のエポキシ基(J)と一般式(2)中のフェノール性水酸基(K)の比率は(J)/((J)+(K))=0.700であった。
【0153】
[合成例5]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−2)441.0gを入れ、これをトルエン1875gに溶解後、化合物(M−3)949.6gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、90℃まで加温し、3時間保持した後、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−4)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、78℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で5時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを950g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン高分子化合物溶液(B−1)を得た。この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量51000であった。なお、合成例5で得られるシリコーン高分子化合物溶液(B−1)中の高分子化合物は、(A)成分のシリコーン高分子化合物中の式(1)で示されるエポキシ基含有成分を含まないものである。
【0154】
[実施例及び比較例]
表1記載の配合量に従って、シリコーン高分子化合物溶液((A)成分)、光酸発生剤((B)成分)、架橋剤((D)成分、(E)成分)、塩基性化合物((F)成分)及び溶剤((C)成分)等を配合し、その後常温にて撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密ろ過を行い、実施例1〜4及び比較例1〜2の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0155】
【表1】
【0156】
表1に記載した光酸発生剤は以下の通りである。
【0157】
【化26】
【0158】
【化27】
【0159】
【化28】
【0160】
また、表1に記載した架橋剤((D)成分)は以下の通りである。
【0161】
【化29】
【0162】
また、本発明の実施例において使用され、表1に記載された多価フェノール化合物((E)成分)は以下の通りである。
【0163】
【化30】
【0164】
また、本発明の比較例において使用され、表1に記載されたエポキシ化合物は以下の通りである。
【0165】
【化31】
【0166】
表1に記載された塩基性化合物は、
N(COH) (AM−1)
である。
【0167】
表1に記載されたU−CAT5002は、サンアプロ(株)製の硬化促進剤である。
【0168】
更に、フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を用いて、実施例1〜4及び比較例1〜2の光硬化性樹脂組成物をそれぞれ上記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を8分間で通過させることにより、支持フィルム上に光硬化性樹脂層を形成した。上記光硬化性樹脂層の上から、保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ50μm)を用いて、上記保護フィルムとラミネートロールを圧力1MPaにて貼り合わせ、光硬化性ドライフィルムを作製した。各光硬化性樹脂層の膜厚は表2に記載した。なお、膜厚は接触式厚膜測定器により測定した。
【0169】
実施例1〜4及び比較例1〜2の光硬化性ドライフィルムは、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM−100RF(タカトリ社製)を用いて、真空チャンバー内の真空度80Paに設定し、支持フィルム上の光硬化性樹脂層を、仮接着材を塗布したシリコン基板上に、高さ100μm、100mm角のダミー半導体素子を予め載置した基板に密着させた。温度条件は110℃とした。常圧に戻した後、上記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。基板に貼付した光硬化性樹脂層の膜厚は150μmとし、作製したドライフィルムにおける光硬化性樹脂層の膜厚が150μmに満たない場合は、複数回の貼付により、膜厚150μmの光硬化性樹脂層を基板上に形成した。これにより、基板上に、第1の感光性絶縁層を形成した。
【0170】
次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより130℃で5分間プリベークを行った。得られた第1の感光性絶縁層に対してマスクを介し、ブロードバンド光源を搭載したコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光し、半導体素子上の電極パッド上の開口と半導体素子の外部に設ける貫通電極を形成するための開口パターンを形成した。光照射後、ホットプレートにより130℃で5分間PEBを行った後冷却し、上記基板をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)にてスプレー現像で600秒現像を行った。上記方法により半導体素子上の電極パッド上の開口と半導体素子の外部に設ける貫通電極を形成するための開口を形成した基板上の第1の感光性絶縁層をオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。硬化した第1の感光性絶縁層の25℃における弾性率を動的粘弾性測定装置(DMA)で測定した。また、線膨張係数測定装置(TMA)により線膨張係数を測定した。なお、引張強度は、JIS K 7127に準拠して測定した。結果を上記の表1に示した。
【0171】
硬化後、スパッタリングによりチタン、次いで銅のシード層形成を行い、その後上記電極パッド上の開口と上記貫通電極を形成するための開口を銅メッキによって埋めて、それぞれ半導体素子上金属パッドと貫通電極とし、メッキによって形成された上記半導体素子上金属パッドと上記貫通電極をメッキによる金属配線によってつないだ。
【0172】
金属配線の形成後、ウェットエッチングにより金属配線部以外のシード層を除去した。更に実施例1〜4及び比較例1〜2の光硬化性樹脂組成物を塗布することで第2の感光性絶縁層を形成した。
【0173】
光硬化反応を効率的に行うため、ホットプレートにより100℃で2分間プリベークを行い、溶剤等を予め揮発させた。プリベーク後の第2の感光性絶縁層の膜厚は15μmとした。プリベーク後の基板に対し、上記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行った。パターニングは前述の光硬化性ドライフィルムの露光法に準じ、露光後に130℃で2分間のPEBを行った後冷却し、基板をPGMEAにてスプレー現像で120秒現像を行った。
【0174】
貫通電極上部に開口を形成するパターニングの後、上記第2の感光性絶縁層のパターニングによって得られたパターンをオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。
【0175】
硬化後、上記貫通電極上部の開口にメッキによって貫通電極上金属パッドを形成し、上記貫通電極上金属パッド上にソルダーボールを形成し、ソルダーバンプを形成した。
【0176】
ソルダーバンプ形成後、半導体素子に仮接着した基板を除去した。基板を除去した半導体素子をダイシングフィルムに載置し、ダイシングすることで個片化し、半導体装置を製造した。
【0177】
製造した半導体装置について装置中央部を基準としたときの装置端との反りを測定した。結果を表2に示す。
【0178】
製造した半導体装置の信頼性試験として、−55〜125℃ 各10分を1サイクルとする熱サイクル試験を実施し、1000サイクル終了時の半導体装置外観を観察した。
【0179】
【表2】
【0180】
表2に示すように、(A)〜(E)成分等を含有する光硬化性樹脂組成物で形成された第1の感光性絶縁層及び第2の感光性絶縁層を有する半導体装置(実施例1〜4)は、反りが軽減された半導体装置となった。また、熱サイクル試験の結果も良好であった。このように本発明の半導体装置であれば、反りが軽減されたものであるため、半導体装置の配線基板への載置や半導体装置の積層が容易である。一方、(A)成分等が本発明の要件を満たさない比較例1〜2では、得られた半導体装置の反りが実施例1〜4と比べて大きかった。また、熱サイクル試験後にクラックの発生が確認された。
【0181】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0182】
a…電極パッド上の開口、 b…貫通電極を形成するための開口、
c…貫通電極上部の開口、
1…半導体素子、 2…基板、 3…第1の感光性絶縁層、
4…半導体素子上金属パッド、 5…貫通電極、 6…金属配線、
7…金属メッキ、 8…第2の感光性絶縁層、 9…ソルダーバンプ、
10…貫通電極上金属パッド、 11…ソルダーボール、
12…SnAgを隆起させた電極、 13…絶縁樹脂層、 14…配線基板、
15…絶縁封止樹脂層、 20、21…個片化した半導体装置、

50…半導体装置、 52…再配線パターン、 53…配線基板、 54…貫通孔、
55…Al電極パッド、 56…貫通電極、 57…配線基板上の再配線パターン、
58…半田バンプ、 59…デバイス形成層、

110、210…基板、 140、240…貫通電極、 150、250…コア基材、
157、257…配線層、 164、264…接続パッド、
165、265…実装パッド、 170、174、176、270…半田バンプ、
180、280…半導体素子、 182、282…半導体素子のパッド、
184、284…アンダーフィル、 266…配線、

301…有機基板、 302…半導体素子、 303…接着層、 304…貫通ビア、
305a…内部電極、305b…外部電極、 306…絶縁材料層、
307…金属薄膜配線層、 308…ビア部、 309…外部電極、
310…金属ビア、 316…感光性樹脂層、 317…開口。
図1
図2
図3
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図10
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