(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂の硬化中及び硬化後の挙動を数値化及び可視化できる液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法及び硬化挙動測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法であって、対向配設された一対の測定子の間に上記液状硬化性樹脂を充填する工程と、この液状硬化性樹脂を硬化させる工程と、上記一対の測定子のうちの一方の測定子を振動させる工程と、上記一方の測定子の振動に基づき他方の測定子に作用する応力若しくは変位又は上記一方の測定子に作用する応力(以下、「測定子への作用」ということがある)を経時的に測定する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、充填工程で対向配設された一対の測定子の間に液状硬化性樹脂を充填することにより、上記一対の測定子の間に液状硬化性樹脂からなる接着構造を形成させ、硬化工程で液状硬化性樹脂を硬化させる。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、この硬化工程の前、硬化工程と同時及び/又は硬化工程後に振動工程で一対の測定子のうちの一方の測定子を振動させ、測定工程で上記振動に基づく測定子への作用を経時的に測定する。ここで、硬化工程の前及び硬化工程の初期段階では、液状硬化性樹脂の粘度が比較的低いため、上記接着構造が比較的脆弱である。そのため、振動工程で一方の測定子を振動させても、測定工程で測定する測定子への作用が比較的小さい。しかし、硬化工程による液状硬化性樹脂の固化又は粘度上昇により、上記接着構造が比較的強固となり、振動工程で一方の測定子を振動させると、測定工程で測定する測定子への作用が比較的大きくなる。そのため、硬化工程で液状硬化性樹脂が硬化し上記接着構造の強度が上昇するに伴い、測定工程で測定する測定子への作用が増加する。換言すると、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、液状硬化性樹脂の粘度及び液相から固相への相転移の有無といった硬化度の高さを測定子への作用である応力又は変位として数値化でき、かつ測定子の振動という挙動として可視化できる。また、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、液状硬化性樹脂を対向配設された一対の測定子の間に充填することにより試料をセッティングできるため操作が簡便である。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、開放系で測定できるためガス供給、加熱、紫外線照射等の外的な刺激の付与が可能であり、多様な液状硬化性樹脂に適用できる。このように、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、上述の充填工程、硬化工程、振動工程及び測定工程を備えることで、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂の硬化中及び硬化後の挙動を数値化及び可視化できる。なお、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、上述の各工程を備えている限り工程の順番は特に限定されず、複数の工程を同時に行ってもよい。
【0010】
上記振動工程で、液状硬化性樹脂の硬化後に上記一方の測定子の振動の振幅を大きくするとよい。このように、液状硬化性樹脂の硬化後に一方の測定子の振動の振幅を大きくすることで、一対の測定子の間に形成される接着構造にかかる負荷を増大させ、硬化後の液状硬化性樹脂の硬化度を短時間で測定し易くなる。また、振幅を大きくしたことで上記接着構造が破断した場合、破断までの時間及び破断時の振幅により、上記接着構造の強度を測定できる。
【0011】
上記測定工程で、上記他方の測定子を可動とし、他方の測定子に作用する応力又は変位を測定するとよい。このように、上記他方の測定子を可動とし、他方の測定子に作用する応力又は変位を測定することで、測定に重量計、変位計、振動計、ロードセル等の多様な機器を用いることができるため、液状硬化性樹脂の硬化挙動をより容易かつ確実に測定できる。
【0012】
上記測定工程で得られた応力又は変位を経時的に記録する工程をさらに備えるとよい。このように、上記測定工程で得られた応力又は変位を経時的に記録する工程をさらに備えることで、測定した液状硬化性樹脂の硬化挙動を利便性の高いデータとして保存できる。
【0013】
上記振動工程における一方の測定子の振動が他方の測定子との突き合わせ方向の振動であるとよい。上記振動工程における一方の測定子の振動が他方の測定子との突き合わせ方向の振動であることで、主として液状硬化性樹脂の粘弾性変化に依存して一方の測定子の振動に基づく測定子への作用が変化する。その結果、液状硬化性樹脂の接着性及び粘着性の変化に関与する粘弾性変化を経時的に測定し易くなる。
【0014】
上記液状硬化性樹脂が、ガス硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂であるとよい。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は開放系で測定できるため、ガス硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の外的要因の付与で硬化する液状硬化性樹脂の硬化挙動測定に好適に用いることができる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置であって、間隙に上記液状硬化性樹脂を充填するように対向配設された一対の測定子と、上記一対の測定子のうちの一方の測定子に振動を印加する機構と、上記一対の測定子への作用を経時的に測定する機構とを備えることを特徴とする。
【0016】
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置は、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂の硬化中及び硬化後の挙動を数値化及び可視化できる。
【0017】
上記他方の測定子が可動とされ、上記測定機構が他方の測定子に作用する応力又は変位を測定するよう構成されているとよい。このように、他方の測定子が可動とされ、測定機構が他方の測定子に作用する応力又は変位を測定するよう構成されていることで、測定機構として重量計、変位計、振動計、ロードセル等の多様な機器を用いることができる。
【0018】
上記測定機構で得られた応力又は変位を経時的に記録する機構をさらに備えるとよい。このように、上記測定機構で得られた応力又は変位を経時的に記録する機構をさらに備えることで、測定した液状硬化性樹脂の硬化挙動を利便性の高いデータとして保存できる。
【0019】
上記液状硬化性樹脂を硬化させる機構をさらに備えるとよい。このように、液状硬化性樹脂を硬化させる機構をさらに備えることで、ガス硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の外的要因の付与により硬化する液状硬化性樹脂の硬化挙動測定に好適に用いることができる。
【0020】
上記測定機構が、重量計、変位計、振動計又はロードセルであるとよい。このように、測定機構として入手が容易で種類の多い重量計、変位計、振動計又はロードセルを用いることで、より容易かつ確実に液状硬化性樹脂の硬化挙動を測定できる。
【0021】
ここで「液状硬化性樹脂」とは、ホットメルト接着剤のように溶融により流動性を有する固体の硬化性樹脂も含む。「樹脂」とは、天然ゴム、合成ゴム等のゴムも含む。「振動」とは、位置が周期的に変化することをいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法及び硬化挙動測定装置によれば、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂の硬化中及び硬化後の挙動を数値化及び可視化できる液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法及び硬化挙動測定装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参酌しつつ本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施形態の構成に限定されるものではない。
【0025】
<第1実施形態>
[液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置]
図1の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、間隙に液状硬化性樹脂Xを充填するように対向配設された一方の測定子2及び可動とされる他方の測定子3と、一方の測定子2に振動を印加する機構4(振動印加機構)と、他方の測定子3に作用する応力又は変位を経時的に測定する機構5(測定機構)と、測定機構5で得られた応力又は変位を経時的に記録する機構6(記録機構)と、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙を撮影するカメラ7と、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に投光するライト8と、液状硬化性樹脂Xを硬化させる図示しない硬化機構とを備える。
【0026】
(液状硬化性樹脂)
液状硬化性樹脂Xとしては、測定時に液体又は流動性のある固体である限り特に限定されないが、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のガス硬化性樹脂、アクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。また、液状硬化性樹脂Xは接着剤でもよい。上記接着剤の主成分としては、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂(水溶性、アルコール溶性)、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、シアノアクリレート、シラン化合物、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン等の樹脂含有エマルジョン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、塩化ゴム、シリコーンゴム等のゴムなどが挙げられる。ここで「主成分」とは、最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
【0027】
上記接着剤としては、化学反応により硬化する接着剤(反応型接着剤)でもよい。この反応型接着剤としては、例えば混合により硬化反応を始める2液型接着剤、紫外線等のエネルギー照射、熱、空気中の水分、硬化ガスなどにより反応を開始する接着剤などが挙げられる。また、上記接着剤としては、溶媒の気化により残留成分が硬化する接着剤(溶液型接着剤)でもよい。溶液型接着剤としては、例えば樹脂、ゴム等の溶質が水、アルコール、有機溶媒等の溶媒に溶け込んだ接着剤などが挙げられる。
【0028】
(測定子)
一方の測定子2及び他方の測定子3は、それぞれ略球状であり、離間して対向配設され、距離Wの間隙を形成する。一方の測定子2及び他方の測定子3の平均径の下限としては、特に限定されないが、0.1mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、上記平均径の上限としては、特に限定されないが、15mmが好ましく、5mmがより好ましい。上記平均径が上記下限より小さい場合、一方の測定子2及び他方の測定子3の取り扱いが困難となるおそれがある。逆に、上記平均径が上記上限を超える場合、一方の測定子2及び他方の測定子3の重量が増加し、測定感度が低下するおそれがある。
【0029】
一方の測定子2及び他方の測定子3の材質としては、特に限定されないが、硼ケイ酸ガラス、ナトリウムガラス等のガラス、樹脂、金属、セラミック、木材、石材などが挙げられる。一方の測定子2及び他方の測定子3の材質としては、ガラスが好ましく、硼ケイ酸ガラスがより好ましい。
【0030】
一方の測定子2及び他方の測定子3は、表面処理が行われていてもよい。上記表面処理としては、例えばプライマー処理、サンドブラスト処理、放射線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ照射処理等が挙げられる。
【0031】
距離Wとしては、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に液状硬化性樹脂Xを充填できる限り特に限定されず、液状硬化性樹脂Xの種類及び充填量、一方の測定子2及び他方の測定子3の形状、サイズ等に応じて適宜変更可能である。また、距離Wは、通常後述する一方の測定子2の振幅Dより大きい。距離Wの下限としては、0.01mmが好ましく、0.05mmがより好ましく、0.1mmがさらに好ましい。一方、距離Wの上限としては、5mmが好ましく、2mmがより好ましく、0.5mmがさらに好ましい。距離Wが上記下限より小さい場合、振動により一方の測定子2と他方の測定子3とが直接接触し、液状硬化性樹脂Xの硬化度とは無関係に他方の測定子3に作用する応力又は変位が変化するおそれがある。逆に、距離Wが上記上限を超える場合、測定中に液状硬化性樹脂Xが一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙から落下するおそれがある。ここで、距離Wとは、一方の測定子2が振動の中心に位置し、かつ他方の測定子3が停止している状態において、一方の測定子2及び他方の測定子3が最も近接している箇所の距離をいう。
【0032】
(振動印加機構)
振動印加機構4は、一方の測定子2に物理的に接続され、一方の測定子2に振動を印加する。振動印加機構4としては、小型振動試験機(例えば有限会社旭製作所の「WaveMaker」)などが挙げられる。
【0033】
(測定機構)
測定機構5は、他方の測定子3に物理的に接続され、他方の測定子3に作用する応力又は変位を経時的に測定する。測定機構5としては、重量計、変位計、振動計及びロードセルが好ましい。なお、変位計及び振動計は、他方の測定子3が定位置から他の位置へ移動したとき、その変位量等を測定する装置である。また、重量計及びロードセルは、他方の測定子3が定位置から移動する力を重量、トルク等として測定する装置である。測定機構5がロードセルである場合、他方の測定子3が定位置から移動してロードセルの測定子が荷重でたわむことにより応力を測定する。
【0034】
(記録機構)
記録機構6はケーブル9を介して測定機構5に繋がれ、測定機構5が得た他方の測定子3に作用する応力又は変位を電気信号に変換したデータを受信して経時変化を記録する。記録機構6としては、専用の記録装置でもよく、汎用コンピュータでもよい。他方の測定子3に作用する応力又は変位の測定値の経時的な記録において、演算機能、タイマー等のデータ処理機能などは測定機構5が有してもよく、記録機構6が有してもよい。例えば、記録機構6が演算機能、タイマー等を有し、かつ測定機構5としてのロードセルからの電気信号が電圧値や電流値である場合、上記電気信号が記録機構6の演算機能で他方の測定子3に作用する応力に換算される。そして、上記応力が時間軸に対する経時的な測定値のデータとして処理が行われ、測定値の経時的変化として記録される。なお、測定機構5と記録機構6とは、無線によりデータの送受信を行ってもよい。
【0035】
(カメラ)
カメラ7は、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙を撮影する。カメラ7により、液状硬化性樹脂Xの硬化挙動の測定の様子が録画可能となっている。また、カメラ7の映像をテレビ等に繋げてディスプレイに映し出すことで、液状硬化性樹脂Xの硬化までの挙動や破断の様子の目視による可視化が容易となる。カメラ7としては、録画機能及び/又は写真撮影機能を有するものが好ましい。カメラ7としては、寸法測定機能を有するものも好ましい。寸法測定機能を有するカメラ7を使用することにより、液状硬化性樹脂Xの面積を測定できる。また、カメラ7としては、ビデオカメラ及びハイスピードカメラが好ましい。なお、カメラ7は、図示しない録画機器及び/又は写真撮影機器に接続されていてもよい。
【0036】
(ライト)
ライト8は、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に投光し、カメラ7で撮影した映像、写真等を見易くする。ライト8は、通常カメラ7が撮影する方向と上記間隙を挟んで反対側から投光するが、カメラ7と同じ方向から投光してもよく、カメラ7の位置とは無関係に一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙の下方又は上方から投光してもよい。また、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、ライト8を複数備えてもよい。
【0037】
(硬化機構)
硬化機構は、液状硬化性樹脂Xを硬化させる。硬化機構としては、例えば液体供給機構、ガス供給機構、加熱機構、紫外線照射機構等が挙げられる。
【0038】
液体供給機構は、液状硬化性樹脂Xを硬化させる硬化液体を供給する。液体供給機構は、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に充填された液状硬化性樹脂Xに硬化液体を滴下する。このように、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1が硬化液体供給機構を備えることで、2液型接着剤等の硬化液体の添加により硬化する液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定できる。なお、硬化液体供給機構を用いて一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に液状硬化性樹脂X、液状硬化性樹脂Xと硬化液体との混合物等を充填してもよい。
【0039】
ガス供給機構は、液状硬化性樹脂Xを硬化させるガス(硬化ガス)を供給する。ガス供給機構は、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙付近に配設したガス供給口から硬化ガスを液状硬化性樹脂Xに吹き付けてもよく、一方の測定子2及び他方の測定子3の周囲に密閉空間を形成し、この密閉空間内に硬化ガスを充填させても良い。このように、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1がガス供給機構を備え、液状硬化性樹脂Xが硬化するまで硬化ガスを供給することで、ガス硬化性樹脂である液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定できる。
【0040】
加熱機構は、液状硬化性樹脂Xを加熱により硬化させる。上記加熱機構による加熱方法としては、例えば伝導伝熱、対流、輻射、マイクロ波加熱、マイクロ波加熱、レーザー発振、これらの組み合わせ等が挙げられる。加熱機構としては、例えばヒーター、マイクロ波発生装置、レーザー発振器等が挙げられる。加熱機構がヒーターである場合、上記ヒーターは、一方の測定子2及び他方の測定子3の付近に配設されてもよく、一方の測定子2及び他方の測定子3の少なくともいずれかに内蔵されてもよい。また、上記ヒーターが送風機構を有する場合、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に上記ヒーターが加熱空気を送風してもよい。このように、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1が加熱機構を備え、液状硬化性樹脂Xが硬化するまで加熱することで、熱硬化性樹脂である液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定できる。
【0041】
紫外線照射機構は、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙を含む領域に紫外線照射できるように配設され、液状硬化性樹脂Xを紫外線照射により硬化させる。紫外線照射機構による紫外線照射は、一方向からでもよく、複数方向からでもよい。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1が紫外線照射機構を備え、液状硬化性樹脂Xが硬化するまで紫外線照射することで、紫外線硬化性樹脂である液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定できる。
【0042】
<利点>
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、液状硬化性樹脂Xの粘度増加及び液相から固相への相転移といった硬化度の高さを他方の測定子3の応力又は変位として数値化でき、かつ他方の測定子3の振動という挙動として可視化できる。また、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、液状硬化性樹脂Xを対向配設された一方の測定子2及び他方の測定子3の間に充填することにより試料をセッティングできるため操作が簡便である。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、測定した液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を利便性の高いデータとして保存できる。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、カメラ7により液状硬化性樹脂Xの硬化挙動の測定の様子を録画及び撮影可能であり、ライト8により見易い映像、写真等が撮影できる。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1は、硬化機構を備えることで、ガス硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の外的要因の付与により硬化する液状硬化性樹脂Xの硬化挙動測定に好適に用いることができる。
【0043】
<第2実施形態>
[液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置]
図2の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11は、間隙に液状硬化性樹脂Xを充填するように対向配設された一方の測定子2及び固定される他方の測定子3と、一方の測定子2に振動を印加し、かつ一方の測定子2に作用する応力を経時的に測定する機構10(振動印加及び測定機構)と、振動印加及び測定機構10で得られた応力を経時的に記録する機構6(記録機構)と、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙を撮影するカメラ7と、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に投光するライト8とを備える。つまり、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11は、第1実施形態の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1と比較し、振動印加機構4及び測定機構5の代わりに振動印加及び測定機構10を備える。振動印加及び測定機構10以外は、第1実施形態と同様であるので同一番号を付して説明を省略する。
【0044】
(振動印加及び測定機構)
振動印加及び測定機構10は、一方の測定子2に物理的に接続され、一方の測定子2に振動を印加し、かつ一方の測定子2に作用する応力を経時的に測定する。
【0045】
<利点>
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11は、液状硬化性樹脂Xの粘度増加及び液相から固相への相転移といった硬化度の高さを一方の測定子2の応力として数値化でき、かつ一方の測定子2の振動という挙動として可視化できる。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11は、第1実施形態に係る当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1に比較し、振動印加及び測定機構10が振動印加機構及び測定機構を兼ねるため小型化し易く、また可動部が少ないためメンテナンスし易く壊れ難い。
【0046】
<第3実施形態>
[液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法]
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、対向配設された一対の測定子の間に液状硬化性樹脂を充填する工程(充填工程)と、この液状硬化性樹脂を硬化させる工程(硬化工程)と、一対の測定子のうちの一方の測定子を振動させる工程(振動工程)と、他方の測定子を可動とし、一方の測定子の振動に基づき他方の測定子に作用する応力又は変位を経時的に測定する工程(測定工程)とを備える。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、例えば
図1の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1等を用いることで実施できる。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、測定工程で得られた応力又は変位を経時的に記録する工程(記録工程)をさらに備えてもよい。なお、一対の測定子としては、
図1の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1の一方の測定子2及び他方の測定子3と同様のもの等が挙げられる。また、一対の測定子の間の距離としては、
図1の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1における距離Wと同様とすることができる。
【0047】
(充填工程)
本工程は、
図3(a)に示すように対向配設された一方の測定子2及び他方の測定子3の間に液状硬化性樹脂Xを充填する。充填された液状硬化性樹脂Xは、
図3(b)に示すように、主として表面張力により一方の測定子2と他方の測定子3との間隙に液膜状に保持され、比較的脆弱な接着構造を形成する。
【0048】
液状硬化性樹脂Xを充填する方法としては、特に限定されないが、例えばピペットによる滴下、刷毛による塗布、測定子の先端の液状硬化性樹脂Xへの浸漬による塗布等が挙げられる。
【0049】
液状硬化性樹脂Xとしては、ガス硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び紫外線硬化性樹脂が好ましい。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は開放系で測定できるため、外的要因の付与により硬化する上述の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定に好適に用いることができる。
【0050】
液状硬化性樹脂Xの充填量は、試験の内容や各種条件によって適宜変更可能である。液状硬化性樹脂Xの充填量の下限としては、0.01μlが好ましく、0.1μlがより好ましく、1μlがさらに好ましく、4μlが特に好ましい。一方、液状硬化性樹脂Xの充填量の上限としては、10μlが好ましく、8μlがより好ましい。液状硬化性樹脂Xの充填量が上記下限より小さい場合、一方の測定子2及び他方の測定子3の間への充填が困難となるおそれがある。逆に、液状硬化性樹脂Xの充填量が上記上限を超える場合、測定中に一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙から落下するおそれがある。
【0051】
(硬化工程)
本工程は、液状硬化性樹脂Xを硬化させる。液状硬化性樹脂Xを硬化させる方法としては、液状硬化性樹脂Xの種類に合わせ適宜変更可能であり、例えば熱硬化性樹脂には加熱、ホットメルト接着剤には冷却、紫外線硬化性樹脂には紫外線照射、ガス硬化性樹脂には硬化ガスの供給、硬化液体(硬化剤)の滴下等が挙げられる。なお、液状硬化性樹脂Xが溶媒の気化、空気中の水分との反応等で自発的に硬化する接着剤である場合、本工程では特に操作を行わなくてもよい。
【0052】
上記硬化液体としては、例えば塩酸、硫酸、ホスホン酸、フッ化水素酸、カルボン酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基、第4級アンモニウム塩、尿素などが挙げられる。また、液状硬化性樹脂Xが2液型接着剤の一方の液である場合、2液型接着剤の他方の液であってもよい。
【0053】
上記硬化ガスとしては、ギ酸エステル、炭酸ガス、トリエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルエチルアミン等が挙げられる。上記硬化ガスの供給量の下限としては、特に限定されないが、1ml/sが好ましく、10ml/sがより好ましい。一方、上記硬化ガスの供給量の上限としては、特に限定されないが、500ml/sが好ましく、100ml/sがより好ましい。
【0054】
(振動工程)
本工程は、
図3(c)に示すように、一対の測定子のうちの一方の測定子2を振動させる。一方の測定子2の振動は、他方の測定子3との突き合わせ方向の振動である。すなわち、一方の測定子2は、他方の測定子3と対向する面を変化させず、一方の測定子2と他方の測定子3との間の距離を周期的に増減させている。この一方の測定子2の振動は、同一軸線上の振動である。つまり、一方の測定子2の振動方向は、一方の測定子2と他方の測定子3との間を最短距離で結ぶ仮想直線と平行である。一方の測定子2を振動させる方法としては、例えば
図1の当該硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1の振動印加機構4等により一方の測定子2を振動させる方法等が挙げられる。
【0055】
一方の測定子2の振動の振幅Dは、一定でもよく、増減させてもよい。また、液状硬化性樹脂Xの硬化後に一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくするとよい。このように、液状硬化性樹脂Xの硬化後に一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくすることで、一方の測定子2と他方の測定子3との間に形成される接着構造にかかる負荷を増加させ、硬化後の液状硬化性樹脂Xの硬化度を短時間で測定し易くなる。また、振幅Dを大きくすることで上記接着構造を破断させてもよい。この場合、破断までの時間及び破断時の振幅Dにより、上記接着構造の強度を測定できる。なお、一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくする場合、漸次的に増加させてもよく、段階的に増加させてもよい。ここで「液状硬化性樹脂の硬化」とは、硬化工程によって硬化度が実質的に上昇しない状態になることを示す。
【0056】
振幅Dとしては、特に限定されず測定条件等に合わせて変更可能である。液状硬化性樹脂Xの硬化前における振幅Dの下限としては、0.01mmが好ましく、0.05mmがより好ましく、0.1mmがさらに好ましい。一方、振幅Dの上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましく、0.3mmがさらに好ましい。振幅Dが上記下限より小さい場合、他方の測定子3の応力又は変位を測定し難いおそれがある。逆に、振幅Dが上記上限を超える場合、液状硬化性樹脂Xが一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙から落下するおそれがある。
【0057】
液状硬化性樹脂Xの硬化後における振幅Dの下限としては、1mmが好ましく、5mmがより好ましく、8mmがさらに好ましい。一方、振幅Dの上限としては、30mmが好ましく、20mmがより好ましく、12mmがさらに好ましい。振幅Dが上記下限より小さい場合、一方の測定子2と他方の測定子3との間の接着構造に与える負荷が不十分となるおそれがある。逆に、振幅Dが上記上限を超える場合、機器の故障等のおそれがある。
【0058】
距離Wは液状硬化性樹脂Xの硬化前における振幅Dと同一又はわずかに大きいとよく、例えばD≦W≦1.5Dであるとよい。
【0059】
一方の測定子2の振動の周波数としては、特に限定されず測定条件等によって適宜変更可能である。具体的な上記周波数の下限としては、0.01Hzが好ましく、0.1Hzがより好ましく、1Hzがさらに好ましい。一方、上記周波数の上限としては、1,000Hzが好ましく、100Hzがより好ましく、60Hzがさらに好ましく、10Hzが特に好ましく、5Hzがさらに特に好ましい。上記周波数が上記下限より小さい場合、一方の測定子2の振動に基づく他方の測定子3に作用する応力又は変位が小さくなり過ぎるおそれがある。逆に、上記周波数が上記上限を超える場合、液状硬化性樹脂Xが一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙から落下するおそれがある。
【0060】
液状硬化性樹脂Xの硬化後に一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくする場合、振幅Dに合わせて周波数を変えてもよい。具体的には、振幅Dを大きくし、かつ周波数を高めてもよく、振幅Dを大きくし、かつ周波数を低下させてもよい。なお、一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくする代わりに周波数を高めてもよい。
【0061】
上記振動の波形が正弦波(サインカーブ)であるとよい。上記振動の波形が正弦波であることで、液状硬化性樹脂Xの粘弾性の変化に基づく挙動を測定し易くなる。
【0062】
(測定工程)
本工程は、一方の測定子2の振動に基づき他方の測定子3に作用する応力又は変位を経時的に測定する。他方の測定子3に作用する応力又は変位を経時的に測定する方法としては、特に限定されないが、例えば
図1の当該硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1の測定機構5により測定する方法等が挙げられる。また、他方の測定子3の変位を経時的に測定する場合、他方の測定子3にレーザー光照射装置を装着し、照射されるレーザー光を目盛や方眼を有する紙等に照射することで測定してもよい。さらに、他方の測定子3の表面に鏡の装着、鏡面加工等を行い、外部から照射するレーザー光を目盛や方眼を有する紙等に反射させることで他方の測定子3の変位を測定してもよい。
【0063】
図3(c)は、硬化工程の前及び硬化工程の初期段階において本工程を行った状態を示す。この状態では、液状硬化性樹脂Xの粘度が比較的低いため、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造が比較的脆弱である。そのため、一方の測定子2の振動に基づき他方の測定子3に作用する応力又は変位は比較的小さい。その結果、他方の測定子3の振動の振幅D’は、D’≒0となる。
【0064】
硬化工程により液状硬化性樹脂Xの硬化が進行するにつれ、液状硬化性樹脂Xの粘度が上昇するため、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造の強度が高まる。その結果、硬化工程と同時に本工程を行った場合、一方の測定子2の振動に基づき他方の測定子3に作用する応力又は変位が次第に増加する。その結果、一方の測定子2の振動の振幅Dと、他方の測定子3の振動の振幅D’とに着目すると、D’はDに近づくように徐々に増加する。
【0065】
図3(d)は、硬化工程後において本工程を行った状態を示す。この状態では、液状硬化性樹脂Xの固化又は粘度上昇により、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造が比較的強固である。そのため、一方の測定子2の振動に基づき他方の測定子3に作用する応力又は変位は、硬化工程の前及び硬化工程の初期段階よりも硬化工程後の方が大きい。その結果、一方の測定子2の振動の振幅Dと、他方の測定子3の振動の振幅D’とに着目すると、D’≒Dとなる。
【0066】
図3(e)は、本工程において液状硬化性樹脂Xの硬化後、つまり硬化工程後に一方の測定子2の振動の振幅Dを大きくした状態を示す。この状態では、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造に主として慣性力による比較的強い負荷がかかり、上記接着構造の強度が徐々に低下する。
【0067】
図3(f)は、本工程において一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される上記接着構造が破断した状態を示す。破断までの時間及び破断時の振幅Dにより、上記接着構造の強度を測定できる。つまり、液状硬化性樹脂Xの種類、硬化条件等に起因する硬化後の破断に対する物性強度の違いを数値化できる。また、接着構造の破断面も観察できる。さらに、破断させるための振動条件を変えることにより、液状硬化性樹脂Xの瞬間的な負荷に対する強度や、長期的な耐久度の測定ができる。
【0068】
(記録工程)
本工程は、測定工程で得られた応力又は変位を経時的に記録する。本工程は、通常測定工程と同時に行う。応力又は変位を経時的に記録する方法としては、特に限定されないが、例えば
図1の当該硬化性樹脂の硬化挙動測定装置1の記録機構6により記録する方法等が挙げられる。
【0069】
<利点>
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、開放系で測定できるためガス供給、加熱、紫外線照射等の外的な刺激の付与が可能であり、多様な液状硬化性樹脂Xに適用できる。さらに、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、測定機構として重量計、変位計、振動計、ロードセル等の多様な機器を用いることができる。このように、当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、上述の充填工程、硬化工程、振動工程及び測定工程を備えることで、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂Xの硬化中及び硬化後の挙動を数値化及び可視化できる。
【0070】
<第4実施形態>
[液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法]
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、対向配設された一対の測定子の間に液状硬化性樹脂を充填する工程(充填工程)と、この液状硬化性樹脂を硬化させる工程(硬化工程)と、一対の測定子のうちの一方の測定子を振動させる工程(振動工程)と、他方の測定子を固定し、一方の測定子の振動に基づき一方の測定子に作用する応力を経時的に測定する工程(測定工程)とを備える。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、例えば
図2の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11等を用いることで実施できる。当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、測定工程で得られた応力を経時的に記録する工程(記録工程)をさらに備えてもよい。振動工程及び測定工程以外は、第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、第4実施形態において、一方の測定子の振動とは、一方の測定子が接着構造によって他方の測定子に固定され、一方の測定子の振動のために加えた力の実質的に全量が応力に変化している状態を含む。
【0071】
図4(a)及び(b)は、第3実施形態に係る当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法の充填工程を示す図であり、それぞれ
図3(a)及び(b)と同一である。
【0072】
(振動工程)
本工程は、
図4(c)に示すように、一対の測定子のうちの一方の測定子2を振動させる。一方の測定子2の振動は、他方の測定子3との突き合わせ方向の振動である。すなわち、一方の測定子2は、他方の測定子3と対向する面を変化させず、一方の測定子2と他方の測定子3との間の距離を周期的に増減させている。一方の測定子2を振動させる方法としては、例えば
図2の当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置11の振動印加及び測定機構10等により一方の測定子2を振動させる方法等が挙げられる。本工程は、液状硬化性樹脂Xの硬化前は一方の測定子2の振動のために加える力を一定とする。これにより、後述するように液状硬化性樹脂Xの硬化により一方の測定子2に作用する応力が増加した場合、一方の測定子2の振動のために加えた力が測定子2に作用する応力に変化するため、一方の測定子2の振幅Dが減少する。その結果、液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定子2の振動の挙動として可視化し易くなる。
【0073】
(測定工程)
本工程は、他方の測定子3を固定し、一方の測定子2の振動に基づき一方の測定子2に作用する応力を経時的に測定する。
【0074】
図4(c)は、硬化工程の前及び硬化工程の初期段階において本工程を行った状態を示す。この状態では、液状硬化性樹脂Xの粘度が比較的低いため、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造が比較的脆弱である。そのため、一方の測定子2の振動に基づき一方の測定子2に作用する応力は比較的弱い。
【0075】
硬化工程により液状硬化性樹脂Xの硬化が進行するにつれ、液状硬化性樹脂Xの粘度が上昇するため、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造の強度が高まる。その結果、一方の測定子2の振動に基づき一方の測定子2に作用する応力が次第に増加する。逆に、一方の測定子2の振動のために加えた力が測定子2に作用する応力に変化するため、振幅Dは次第に減少する。
【0076】
図4(d)は、硬化工程後において本工程を行った状態を示す。この状態では、液状硬化性樹脂Xの固化又は粘度上昇により、一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される接着構造が比較的強固である。そのため、一方の測定子2の振動に基づき一方の測定子2に作用する応力は比較的強く、一方で振幅Dは比較的小さい。
【0077】
液状硬化性樹脂Xの硬化後は、一方の測定子2の振動のために加える力を増加させてもよい。このように、液状硬化性樹脂Xの硬化後に一方の測定子2の振動のために加える力を増加させることで、一方の測定子2と他方の測定子3との間に形成される接着構造にかかる負荷を増加させ、硬化後の液状硬化性樹脂Xの硬化度を短時間で測定し易くなる。また、一方の測定子2の振動のために加える力を増加させて上記接着構造を破断させてもよい。この場合、破断までの時間及び破断時に加えた力により、上記接着構造の強度を測定できる。なお、一方の測定子2の振動のために加える力を増加させる場合、漸次的に増加させてもよく、段階的に増加させてもよい。
【0078】
図4(e)は、本工程において一方の測定子2及び他方の測定子3の間に形成される上記接着構造が破断した状態を示す。破断までの時間の測定により、上記接着構造の強度を測定できる。つまり、液状硬化性樹脂Xの種類、硬化条件等に起因する硬化後の破断に対する物性強度の違いを数値化できる。また、接着構造の破断面も観察できる。さらに、破断させるための振動条件を変えることにより、液状硬化性樹脂Xの瞬間的な負荷に対する強度や、長期的な耐久度の測定もできる。
【0079】
<利点>
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法は、第3実施形態に係る当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法に比較し、他方の測定子3を測定機構等に接続する必要がなく、他方の測定子3を壁、床等に固定するだけでもよいため、測定が容易である。
【0080】
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0081】
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定装置において、記録機構、カメラ及びライトは任意構成要件である。
【0082】
一対の測定子の形状としては、液状硬化性樹脂を充填できる限り特に限定されないが、半球状、かまぼこ形状、板状、棒状、中空棒状、針状等が挙げられる。一対の測定子の形状が半球状又はかまぼこ形状である場合、曲面が他の測定子に対向するよう配設するとよい。また、一対の測定子の形状が板状である場合、表面又は裏面が他の測定子に対向するよう配設するとよい。さらに、一対の測定子の形状が棒状、中空棒状又は針状である場合、先端が他の測定子と対向するよう配設するとよい。なお、一対の測定子は、多孔質であってもよい。上記形状としては、液状硬化性樹脂の充填後に表面張力により形成される液膜を介して硬化挙動を目視し易くする観点から、球状及び半球状が好ましい。また、上記形状としては、微量の液状硬化性樹脂の硬化挙動を測定する観点から、棒状及び針状も好ましい。
【0083】
一対の測定子が半球状である場合、この半球の平均径としては、
図1の一対の測定子が球状である場合の平均径と同様である。また、一対の測定子が板状である場合、表面又は裏面の一片の平均長さの下限としては、例えば1mmである。一方、上記平均長さの上限としては、例えば15mmである。また、一対の測定子の形状が棒状、中空棒状又は針状である場合、横断面の平均幅の下限としては、例えば0.1mmである。一方、上記平均幅の上限としては、例えば15mmである。なお、一方の測定子及び他方の測定子のサイズ、材質、及び表面処理の有無は、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。
【0084】
一対の測定子は、液状硬化性樹脂と接触し、かつ着脱可能である先端部と、この先端部を支持する支持部によって構成されていてもよい。このように、一対の測定子を上記先端部と支持部とで構成することにより、測定毎に先端部を使い捨てることができ、また測定条件等に合わせて先端部の形状等を変更できる。先端部としては、コストを低減する観点から、市販のビーズ、針金、針等を用いてもよい。
【0085】
一方の測定子の振動は、他方の測定子との突き合わせ方向の振動には限定されず、例えば他方の測定子との突き合わせ方向と略直交する方向に振動してもよい。
【0086】
当該液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法及び硬化挙動測定装置は、上述のガス供給機構、加熱機構、紫外線照射機構を用い、各種液状硬化性樹脂の硬化条件を検討することもできる。例えば、ガス硬化性樹脂の硬化に必要なガス濃度、熱硬化性樹脂の硬化に必要な加熱温度、紫外線硬化性樹脂の硬化に必要な紫外線照射量等を変化させて測定し、比較を行うことにより、硬化の最適条件を検討できる。
【0087】
以下に、幾つかの実施例を用いて本発明をさらに具体的に明らかにすることとするが、本発明は、そのような実施例の記載によって、なんら限定的に解釈されるものではないことが理解されるべきである。
【0088】
<実施例1>
本実施例においては、
図1に示す硬化挙動測定装置を用いた。また、一方の測定子2及び他方の測定子3としては、略球状の硼ケイ酸ガラスビーズ(φ5mm)を用いた。まず、一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙(0.5mm)にピペットを用いて液状硬化性樹脂Xを6μl滴下することで充填して液膜を形成させた。液状硬化性樹脂Xとしては、瞬間接着剤である東亜合成株式会社の「アロンアルファ一般用」を用いた。滴下後、振動印加機構4としての有限会社旭製作所の「WaveMaker」により直ちに一方の測定子2を振幅0.2mm、周波数2Hzで振動させた。振動開始を測定開始(0秒)とし、測定開始から1,000秒後までの間、他方の測定子3に接続される測定機構5としてのロードセルに加わる荷重(gf)から、この一方の測定子2の振動に基づき他方の測定子3に作用する応力を測定し、液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定した。測定結果を
図5aに示す。グラフの縦軸はロードセルに加わる荷重(gf)を示し、グラフの横軸は経過時間を示す。
【0089】
<実施例2>
液状硬化性樹脂Xとして接着剤であるコニシ株式会社の「ボンドウルトラ多用途SU」を用いた以外は実施例1と同様に操作し、液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定した。測定結果を
図5bに示す。
【0090】
<実施例3>
液状硬化性樹脂Xとしてレゾール型フェノール樹脂を用い、振動開始時点から30秒経過後、硬化ガスとしての炭酸ガスを20ml/sで一方の測定子2及び他方の測定子3の間隙に噴射し、かつ測定時間を120秒間とした以外は実施例1と同様に操作し、液状硬化性樹脂Xの硬化挙動を測定した。測定結果を
図5cに示す。
【0091】
実施例1及び2は振幅を変えずに1,000秒まで測定を行い、実施例3は振幅を変えずに120秒まで測定を行った。なお、いずれの実施例においても、接着構造が破断しなかった。
【0092】
実施例1では、
図5aに示すように、測定開始の400秒後から徐々に他方の測定子3に接続されるロードセルに加わる荷重が増加し、550秒で荷重の増加に伴う傾きが急激に大きくなることが分かった。測定開始から1,000秒の荷重は20gfに達した。実施例1は測定開始直後から荷重が急増することが予想されたが、予想と異なる結果が得られた。このような結果が得られた理由として、塗布された「アロンアルファ一般用」の表面部分は空気中の水分と反応して瞬時に硬化するが、内部は硬化した表面部分が空気中の水分との反応を妨げるため硬化が遅くなったためと考察される。実施例2では、
図5bに示すように、測定開始より徐々にほぼ同じ傾きで荷重が増加し続けていくことが分かった。また、測定開始から1,000秒の荷重は10gfであった。実施例3では、
図5cに示すように、硬化ガスを噴射した直後より硬化が始まり、硬化ガスを噴射している間は荷重が増加し続ける傾向にあることが分かった。
【0093】
以上のように、本発明の液状硬化性樹脂の硬化挙動測定方法及び硬化挙動測定装置によれば、簡便な操作で多様な液状硬化性樹脂の硬化中及硬化後の挙動を数値化及び可視化できると判断される。