(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導電型の第1の半導体層、前記第1の半導体層の上に設けられた第1の絶縁体層、前記第1の絶縁体層の上に設けられた第2導電型の第2の半導体層を含む半導体基板を用意する工程と、
前記第2の半導体層の一部に前記第1の絶縁体層と一体とされた第2の絶縁体層で周囲を囲まれた第2導電型の活性領域を形成する工程と、
前記活性領域の近傍の前記第1の絶縁体層内に設けられると共に前記第1の絶縁体層又は前記第2の絶縁体層で生成された電荷を引寄せる電荷引寄せ半導体層を形成する工程と、
前記電荷引寄せ半導体層に接続されると共に前記第2の絶縁体層の表面に露出しかつ接地電位を付与するための電極を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
第1導電型の第1の半導体層、前記第1の半導体層の上に設けられた第1の絶縁体層、前記第1の絶縁体層の上に設けられた第1導電型の中間半導体層、前記中間半導体層の上に設けられた第2の絶縁体層、及び前記第2の絶縁体層の上に設けられた第2の半導体層を含む半導体基板を用意する工程と、
前記第2の半導体層の一部に前記第2の絶縁体層と一体とされた第3の絶縁体層で周囲を囲まれた第2導電型の活性領域を形成する工程と、
前記活性領域の近傍の前記第2の絶縁体層内に設けられると共に前記第2の絶縁体層又は前記第3の絶縁体層で生成された電荷を引寄せる電荷引寄せ半導体層を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
同一の半導体基板に、センサが形成された半導体層と周辺回路が形成された半導体層とが絶縁膜を介して積層された半導体装置が知られている。そのような半導体装置の一例として、一のSOI(Silicon On Insulator)基板上にトランジスタや抵抗などの回路素子と、センサとして動作するPNダイオードとを混在させたX線センサがある。
【0003】
SOI基板上に形成されたX線センサでは、SOI基板のシリコン層に回路動作用のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、以下、単に「トランジスタ」という)等を形成し、基板側にピクセルセンサを形成する。シリコン層と基板との間には埋め込み酸化膜(Buried Oxide:BOX)が介在している。X線を照射した際には、X線センサを構成するシリコンや酸化膜中において原子に衝突したX線が電子−正孔対を発生させる。このうち、基板側で生成された電子、あるいは正孔を電界効果によって電極に引寄せ、外部に取り出し電気信号に変換することでX線センサとしての機能が実現される。しかしながら、埋め込み酸化膜等の酸化膜中で電子−正孔対の発生が起こった場合には、正の電荷が酸化膜中にトラップされ、酸化膜中に蓄積される場合がある。
【0004】
X線センサに対するX線の総照射量が増えていくと、酸化膜中に蓄積される正電荷の総量も増加していく。この蓄積された正電荷によってトランジスタに特性変動が生ずる場合があり、また、蓄積された正電荷の量によってトランジスタの特性変動の変動量に変化が生ずる場合がある。特にトランジスタのチャネル領域に面したフィールド酸化膜中にトラップされた正電荷、あるいは埋め込み酸化膜中にトラップされた正電荷は、当該トランジスタの閾値電圧や電流量を変動させたり、ゲートによるコントロールと無関係なリーク電流を発生させたりする場合がある。
【0005】
リーク電流の抑制されたX線センサを実現した従来技術の一例として、特許文献1に開示された半導体装置が知られている。特許文献1に開示された半導体装置100は、一導電型の半導体層11と、半導体層の主面151に設けられた反対導電型の半導体領域182と、半導体層11の主面151に半導体領域182と離間して設けられた一導電型で半導体層11より高不純物濃度の半導体領域191、192と、少なくとも半導体領域182と半導体領域と191、192の間の半導体層11の主面151に設けられた一導電型で半導体層11より高不純物濃度で半導体領域191、192よりも低不純物濃度の半導体領域99と、を備えるフォトダイオード30と、半導体層11の主面151に設けられ、反対導電型で固定電位が与えられる半導体領域14と、半導体層11の主面151上に設けられた埋め込み酸化膜10と、埋め込み酸化膜10上に設けられ、トランジスタ素子40が形成された半導体層9と、を備えている。
【0006】
特許文献1に開示された半導体装置100では、半導体領域99が半導体層11の主面151の反転防止層として機能し、半導体層11と埋め込み酸化膜10との界面におけるリーク電流の発生を抑制することが可能となるとされている。また、半導体領域14の作用によって、半導体層9に形成したトランジスタ素子40の埋め込み酸化膜10側のチャネル領域が動作しないため、ゲート電極15による制御に無関係なリーク電流の発生を抑制することができるとされている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る半導体装置100の構成の一例を示す縦断面図である。半導体装置100は、n型半導体で構成される第1の半導体層10、第1の絶縁体層20、及びp型半導体で構成される第2の半導体層30を、この順序で積層したSOI(Silicon On Insulator)基板に形成された、X線センサを構成するフォトダイオード11及び周辺回路を構成する回路素子としてのトランジスタ51を含んで構成されている。
【0017】
フォトダイオード11は、低濃度のn型シリコンで構成される第1の半導体層10の表面に互いに離間して配置された、高濃度のp型半導体で構成されるアノード12及び高濃度のn型半導体で構成されるカソード13を含んでいる。また、フォトダイオード11は、アノード12に接続されたアノード電極74、カソード13に接続されたカソード電極75及び第1の半導体層10の裏面に形成された裏面電極14を含んでいる。
【0018】
トランジスタ51を含む回路素子は、第2の半導体層30の、フォトダイオード11とは重ならない位置に配置されている。トランジスタ51は、チャネル領域53、チャネル領域53上に設けられたゲート電極55、チャネル領域53を挟む位置に設けられた高濃度のn型半導体で構成されるソース・ドレイン領域52、ソース・ドレイン領域52に接続されたソース・ドレイン電極72を含んで構成されている。第2の半導体層30の表面は、シリコン酸化膜(SiO
2膜)等の絶縁体で構成される第2の絶縁体層40で覆われている。
【0019】
半導体装置100は、さらに、電荷引寄せ部60を備えている。本実施の形態に係る電荷引寄せ部60は、電荷引寄せ半導体層としての埋め込みポリ80、固定電位領域としての埋め込みウエル84を含んで構成され、埋め込みポリ80には、埋め込みポリ電極82が接続され、埋め込みウエル84には、埋め込みウエル電極86が接続されている。埋め込みポリ80は、後述するように、n型のポリシリコン(多結晶シリコン)で構成されている。埋め込みウエル84は、後述するように、第1の半導体層10にp型の不純物が注入されて形成された半導体領域である。埋め込みウエル84には、埋め込みウエル電極86との界面を含む領域に、p型不純物が高濃度に注入されたコンタクト領域(図示省略)が設けられている場合もある。
【0020】
図2は、電荷引寄せ部60の平面図である。
図2に示すように、埋め込みポリ80は、トランジスタ51のゲート幅方向(
図2中の両矢印Wの方向)においてトランジスタ51から離間し、ゲート長方向(
図2中の両矢印Lの方向)に延伸させて形成された2つの領域から構成されている。そして、埋め込みウエル84は、平面視において、トランジスタ51及び埋め込みポリ80を包含するように形成されている。
【0021】
次に、再び
図1を参照して、半導体装置100の使用時におけるバイアス方法の一例について説明する。半導体装置100においてX線を検出する場合、フォトダイオード11に逆バイアス電圧を印加することにより、第1の半導体層10を空乏化させる。すなわち、半導体装置100においてX線を検出する場合、裏面電極14及びカソード電極75を電源200の陽極に接続し、アノード電極74をグランド電位に接続された電源200の陰極に接続する。フォトダイオード11に印加される逆バイアス電圧、つまり電源200の電圧は、例えば、数百ボルトである。一方、トランジスタ51のソース・ドレイン領域52に接続されたソース・ドレイン電極72には、電源202の陽極を接続する。ソース・ドレイン領域に印加する電圧、つまり電源202の電圧は数V、一例として3.3V以下である。
【0022】
半導体装置100では、さらに、電荷引寄せ部60の埋め込みポリ80に接続された埋め込みポリ電極82、及び埋め込みウエル84に接続された埋め込みウエル電極86に、電源200の陰極が接続されている。
【0023】
次に、
図3を参照し、以上のようにバイアスされた半導体装置100の動作時における電荷引寄せ部60の作用について説明する。
【0024】
所定のバイアス電圧が印加されると、フォトダイオード11のアノード12とカソード13との間の電位差に基づき第1の半導体層10に空乏層が発生する。この状態の半導体装置100にX線が入射されると、フォトダイオード11の第1の半導体層10で電子―正孔対が発生し、発生した電子はカソード13側に、正孔はアノード12側に引寄せられ、外部に取出されて観測される。
【0025】
X線が半導体装置100へ入射された際、上述の現象により、絶縁体層(第1の絶縁体層20、第2の絶縁体層40)において電子−正孔対が発生すると、
図3に示すように、正電荷PCが絶縁体層にトラップされる場合がある。入射されるX線の量が増えるとトラップされる正電荷の量も増え、絶縁体層に蓄積されていき、しいてはトランジスタ51の動作に影響を及ぼすまでになる。
【0026】
この点、本実施の形態に係る半導体装置100では、埋め込みポリ80に、トランジスタ51のソース・ドレイン領域52に印加する電位(例えば、+3.3V程度)よりも低い電位(本実施の形態では接地)を付与している。そのため、X線照射により絶縁体層に発生する正電荷PCが埋め込みポリ80に引寄せられ、特にトランジスタ51の下部の正電荷PCが減少し、トランジスタ51近傍の正電荷PCの量が少なく維持されることにより、トランジスタ51の特性変動量を抑制することが可能となる。
【0027】
本実施の形態に係る半導体装置100では、さらに、トランジスタ51のソース・ドレイン領域52に印加する電位よりも低い電位が付与された、p型の埋め込みウエル84が設けられており、埋め込みウエル84と第1の半導体層10との界面のPN接合には空乏層が形成されている。そのため、埋め込みウエル84の電位が、裏面電極14を介して第1の半導体層10に印加されるバイアス電圧に影響されず、埋め込みウエル84に印加される電源200の陰極側の電位(本実施の形態では接地)に維持される。そのため、埋め込みポリ80による正電荷PCの引寄せが効率よく行われる。なお、本実施の形態において、埋め込みウエル84は必須の構成ではなく、X線の照射量等を勘案し、埋め込みポリ80のみによって正電荷PCを引寄せてもよい。
【0028】
ここで、先述したように、埋め込みウエル84は、平面視で、埋め込みポリ80を含むように(埋め込みポリ80の外側まで広がるように)形成されている。これは、埋め込みポリ80と第1の半導体層10との間に埋め込みウエル84が介在していない場合には、埋め込みポリ80と第1の半導体層10との間に、少なくとも電源200の電圧分だけの耐圧が必要となり、この耐圧を確保するために、例えば十分な厚さの酸化膜を形成する必要があるからである。逆にいえば、埋め込みウエル84を用いない場合には、そのような耐圧を確保できる酸化膜を形成すればよい。
【0029】
次に、
図4ないし
図6を参照して、半導体装置100の製造方法の一例について説明する。
図4ないし
図6は、半導体装置100の製造方法を示す縦断面図である。
【0030】
はじめに、n型半導体で構成される第1の半導体層10、第1の絶縁体層20、及びp型半導体で構成される第2の半導体層30を、この順序で積層したSOI基板1を用意する(
図4(a))。
【0031】
次に、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法により、第2の半導体層30にフィールド酸化膜90を形成する。第2の半導体層30のフィールド酸化膜90以外の部分が、トランジスタ等の回路素子が形成されるアクティブ(活性)領域30Aとなる(
図4(b))。
【0032】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて第1の絶縁体層20及びフィールド酸化膜90をエッチングし、第1の半導体層10を露出させて、埋め込みポリ80を形成する領域に、第1の半導体層10に達する開口部91を形成する(
図4(c))。この際の開口部91の幅は、一例として0.5μm程度とし、形成する位置は、一例としてアクティブ領域30Aから0.3μm程度離間した位置とする。
【0033】
次に、第1の半導体層10の露出部Oに対し10nm程度の厚さで酸化処理を施し、第1の半導体層10の表面にSiO
2膜を形成する。この酸化膜は、後に形成する埋め込みポリ80と第1の半導体層10を絶縁するための絶縁膜であり、埋め込みポリ80と第1の半導体層10に異電位(例えば、数V)を与えることを想定して設けるものである。むろん、絶縁膜の形成はこれに限られず、上記エッチングにおいて第1の絶縁体層20を10nm程度残留させてもよい。
【0034】
次に、ポリシリコンを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により開口部91を埋めた後、堆積したポリシリコンをエッチバックし、ポリシリコンの上面が開口部91の上部に位置するように、ポリシリコンの厚さを調整する(
図4(d))。ここで、本実施の形態では、埋め込みポリ80を形成するポリシリコンとして、予め不純物が添加されたドープド・ポリシリコンを用いる。ドープド・ポリシリコンとは、ポリシリコンを用いたCVDの処理中に、n型不純物(一例として、P(リン))を含んだガスを流入することにより形成された、高濃度(一例として、1×10
20cm
−3程度)のn型不純物が含有されたポリシリコンをいう。
【0035】
次に、アクティブ領域30Aの表面を含む領域にゲート酸化膜92を形成した後、第1の半導体層10に形成する埋め込みウエル84の形成領域以外の領域をフォトレジストRで覆い、p型の不純物、例えばB(ボロン)を注入し、埋め込みウエル84を形成する(
図5(a))。この際、埋め込みウエル84の不純物濃度は、一例として1×10
17cm
−3程度とする。
【0036】
次に、ゲート酸化膜92上にポリシリコン膜を堆積し、フォトリソグラフィ技術を用いて該ポリシリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極55を形成する(
図5(b))。
【0037】
次に、ゲート電極55の側面にサイドウォール56を形成する。その後、イオン注入法を用いて第2の半導体層30のアクティブ領域30Aにリンまたはヒ素などのV族元素を含む不純物を注入することにより、ゲート電極55を挟む位置に高濃度のn型半導体で構成されるソース・ドレイン領域52を形成する。これにより、トランジスタ51が形成される(
図5(c))。
【0038】
次に、ドライエッチングによりフィールド酸化膜90、及び第1の絶縁体層20を貫通し、第1の半導体層10に達する開口部93及び94を形成する(
図5(d))。この際、埋め込みウエル84にコンタクト層を形成する場合には、同時に埋め込みウエル84に達する開口部も形成する。
【0039】
次に、イオン注入法を用いて、第1の半導体層10の、開口部94において露出した部分にリンまたはヒ素などのV族元素を含む不純物を注入することにより、第1の半導体層10の表面に高濃度のn型半導体で構成されるカソード13を形成する。また、イオン注入法を用いて、第1の半導体層10の、開口部93において露出した部分にボロンなどIII族元素含む不純物を注入することにより、第1の半導体層10の表面に高濃度のp型半導体で構成されるアノード12を形成する(
図6(a))。また、埋め込みウエル84にコンタクト層を形成する場合には、前工程で形成した開口部において露出した部分にボロンなどIII族元素含む不純物を注入する。
【0040】
次に、CVD法を用いて、トランジスタ51を含む回路素子が形成された第2の半導体層30を覆うようにSiO
2膜等の絶縁体で構成される第2の絶縁体層40を形成する。
先の工程で形成された開口部93、94は、第2の絶縁体層40によって埋められる(
図6(b))。
【0041】
次に、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40を貫通し、ソース・ドレイン領域52に達する開口部99、第2の絶縁体層40を貫通し、埋め込みポリ80に達する開口部98を形成する。また、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40、フィールド酸化膜90、及び第1の絶縁体層20を貫通し、第1の半導体層10に形成された埋め込みウエル84に達する開口部97を形成する。また、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40、フィールド酸化膜90、及び第1の絶縁体層20を貫通し、第1の半導体層10に形成されたアノード12及びカソード13にそれぞれ達する開口部95及び96を形成する(
図6(c))。
【0042】
次に、スパッタ法を用いて、第2の絶縁体層40の表面にアルミニウム等の金属を堆積させる。この金属によって、開口部95、96、97、98及び99が埋められる。その後、この金属に所望のパターニングを施す。これにより、ソース・ドレイン領域52に接続されたソース・ドレイン電極72、埋め込みポリ80に接続された埋め込みポリ電極82、埋め込みウエル84に接続された埋め込みウエル電極86、アノード12に接続されたアノード電極74、カソード13に接続されたカソード電極75が形成される。続いて、スパッタ法を用いて、第1の半導体層10の裏面に裏面電極14を形成する(
図6(d))。
【0043】
以上の製造工程により、本実施の形態に係る半導体装置100が製造される。
【0044】
[第2の実施の形態]
図7を参照して、本実施の形態に係る半導体装置100aについて説明する。
図7は、半導体装置100aの電荷引寄せ部60aを示す平面図である。半導体装置100aは、半導体装置100において埋め込みポリ80の形状を変更した形態である。従って、半導体装置100と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
図7に示すように、本実施の形態に係る電荷引寄せ部60aの埋め込みポリ80aは、トランジスタ51に対するゲート幅方向の位置、及び幅については埋め込みポリ80と同様であるが、埋め込みポリ80aはトランジスタ51を囲んで形成されている点が、埋め込みポリ80と異なる。
【0046】
トランジスタ51のゲート幅方向に離間して2つの埋め込みポリ80を備えた半導体装置100においては、ゲート電極55のゲート幅が大きい場合には、トランジスタ51の中央部付近と埋め込みポリ80との距離が長くなり、トランジスタ51の中央部付近で発生した正電荷PCを効率よく引寄せることが困難となることも想定される。そこで、本実施の形態では、トランジスタ51の周囲を囲むように埋め込みポリ80aを設けている。
この構成により、トランジスタ51の中央部付近で発生した正電荷PCはゲート長方向(
図7中の両矢印Lの方向)へ引寄せることが可能となるので、埋め込みポリによる正電荷PCの引寄せがさらに効率よく行われる。
【0047】
[第3の実施の形態]
図8を参照して、本実施の形態に係る半導体装置100bについて説明する。
図8は、半導体装置100bの構成の一例を示す縦断面図である。半導体装置100bは、基板としてDouble−SOI(Double−Silicon On Insulator)基板を用い、半導体装置100の埋め込みウエル84による固定電位領域の代わりに、中間半導体層を用いて固定電位領域を形成した形態である。従って、半導体装置100と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0048】
Double−SOI基板は、n型半導体で構成される第1の半導体層10、第1の絶縁体層20、中間半導体層32、第3の絶縁体層42、及びp型半導体で構成される第2の半導体層30が、この順序で積層された基板である。
【0049】
n型半導体で構成される中間半導体層32は、フォトダイオード11が形成された第1の半導体層10と、トランジスタ51等の回路素子が形成された第2の半導体層30との間に設けられている。中間半導体層32と第1の半導体層10との間には、SiO
2膜等の絶縁体で構成される第1の絶縁体層20が設けられ、中間半導体層32と第2の半導体層30との間には、SiO
2膜等の絶縁体で構成される第3の絶縁体層42が設けられている。
【0050】
中間半導体層32の内部には、中間半導体層32よりも高濃度のn型半導体で構成されるコンタクト領域88が設けられている。コンタクト領域88には、中間半導体層電極89が接続されており、中間半導体層電極89は電源200の陰極に接続されている。半導体装置100bでは、埋め込みポリ80及び中間半導体層32により電荷引寄せ部60bが構成されている。本実施の形態に係る埋め込みポリ80の形状は、
図2に示すように、トランジスタ51のゲート幅方向においてトランジスタ51から離間し、ゲート長方向に延伸させた2つの領域から構成してもよいし、
図7に示すように、トランジスタ51を囲んで形成してもよい。
【0051】
図8に示すように、半導体装置100bでは、トランジスタ51の下部に位置する中間半導体層32に付与する電位を、絶縁体層(主として、第3の絶縁体層42)に蓄積された正電荷PCを打ち消すように調整する。このことにより、トランジスタ51の特性変動をさらに抑制することが可能となる。
【0052】
本実施の形態に係る半導体装置100bは、
図4ないし
図6に示した半導体装置100の製造方法に準じて製造することができるが、概略を説明すると以下のとおりである。
【0053】
はじめに、n型半導体で構成される第1の半導体層10、第1の絶縁体層20、中間半導体層32、第3の絶縁体層42、及びp型半導体で構成される第2の半導体層30を、この順序で積層したDouble−SOI基板を用意する(参考に、
図4(a)参照)。
【0054】
次に、LOCOS法により、第2の半導体層30にフィールド酸化膜を形成する。第2の半導体層30のフィールド酸化膜以外の部分が、トランジスタ等の回路素子が形成されるアクティブ領域となる(参考に、
図4(b)参照)。
【0055】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて、前工程で形成したフィールド酸化膜、及び第1の絶縁体層20をエッチングし、中間半導体層32露出させて、埋め込みポリ80を形成する領域に、中間半導体層32に達する開口部を形成する(参考に、
図4(c)参照)。
【0056】
次に、中間半導体層32の露出部に対し酸化処理を施した後、ドープド・ポリシリコンを用いたCVD法により開口部を埋め、堆積したポリシリコンをエッチバックして、ポリシリコンの厚さを調整する(参考に、
図4(d)参照)。
【0057】
次に、アクティブ領域の表面を含む領域にゲート酸化膜を形成した後、ゲート酸化膜上にポリシリコン膜を堆積し、フォトリソグラフィ技術を用いて該ポリシリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極55を形成する(参考に、
図5(b)参照)。
【0058】
次に、ゲート電極55の側面にサイドウォールを形成する。その後、イオン注入法を用いて第2の半導体層30のアクティブ領域にリンまたはヒ素などのV族元素を含む不純物を注入することにより、ゲート電極を挟む位置に高濃度のn型半導体で構成されるソース・ドレイン領域52を形成する。これにより、トランジスタ51が形成される(参考に、
図5(c)参照)。
【0059】
次に、ドライエッチングによりフィールド酸化膜、及び第3の絶縁体層42を貫通し、中間半導体層32に達するコンタクト領域88を形成するための開口部を、フィールド酸化膜、第3の絶縁体層42、中間半導体層32、及び第1の絶縁体層20を貫通し、第1の半導体層10に達するアノード12及びカソード13を形成するための開口部を形成する(参考に、
図5(d)参照)。
【0060】
次に、イオン注入法を用いて、中間半導体層32の、開口部において露出した部分にリンまたはヒ素などのV族元素を含む不純物を注入することにより、中間半導体層32の表面に高濃度のn型半導体で構成されるコンタクト領域88を形成する。
【0061】
次に、イオン注入法を用いて、第1の半導体層10の、開口部において露出した部分にリンまたはヒ素などのV族元素を含む不純物を注入することにより、第1の半導体層10の表面に高濃度のn型半導体で構成されるカソード13を形成する。また、イオン注入法を用いて、第1の半導体層10の、開口部において露出した部分にボロンなどIII族元素含む不純物を注入することにより、第1の半導体層10の表面に高濃度のp型半導体で構成されるアノード12を形成する(参考に、
図6(a)参照)。
【0062】
次に、CVD法を用いて、トランジスタ51を含む回路素子が形成された第2の半導体層30を覆うようにSiO
2膜等の絶縁体で構成される第2の絶縁体層40を形成する。
先の工程で形成された開口部は、第2の絶縁体層40によって埋められる(参考に、
図6(b)参照)。
【0063】
次に、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40を貫通し、ソース・ドレイン領域52に達する開口部、及び、第2の絶縁体層40を貫通し、埋め込みポリ80に達する開口部を形成する。また、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40、フィールド酸化膜、及び第3の絶縁体層42を貫通し、中間半導体層32に形成されたコンタクト領域88に達する開口部を形成する。また、ドライエッチングにより、第2の絶縁体層40、フィールド酸化膜、第3の絶縁体層42、及び第1の絶縁体層20を貫通し、第1の半導体層10に形成されたアノード12及びカソード13にそれぞれ達する開口部を形成する(参考に、
図6(c)参照)。
【0064】
次に、スパッタ法を用いて、第2の絶縁体層40の表面にアルミニウム等の金属を堆積させる。この金属によって、前工程で形成した開口部が埋められる。その後、この金属に所望のパターニングを施す。これにより、ソース・ドレイン領域52に接続されたソース・ドレイン電極72、埋め込みポリ80に接続された埋め込みポリ電極82、コンタクト領域88に接続された中間半導体層電極89、アノード12に接続されたアノード電極74、カソード13に接続されたカソード電極75が形成される。続いて、スパッタ法を用いて、第1の半導体層10の裏面に裏面電極14を形成する(参考に、
図6(d)参照)。
【0065】
以上の製造工程により、本実施の形態に係る半導体装置100bが製造される。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、埋め込みポリ、及び固定電位領域(埋め込みウエル84、中間半導体層32)を電源200の陰極、すなわち接地に接続する形態を例示して説明したが、これに限られない。例えば、電源200とは別の電源を埋め込みポリ、及び固定電位領域に接続し、電源200とは独立に電位を付与する形態としてもよいし、また負電位を付与する形態としてもよい。さらに、埋め込みポリと固定電位領域とを同電位にする必要もなく、両者で異なる電位を付与してもよい。