(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の発光素子用基板及び、モジュールの各実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0020】
<発光素子用基板>
本発明の発光素子用基板の一実施形態について説明する。発光素子2を実装することのできる本実施形態の発光素子用基板は、
図1に示す通り、可撓性基板11の表面には、金属層等からなる導電性の金属配線部13が、透光性接着層12を介して形成されている。そして金属配線上に発光素子2を設けることができる。又、
図1のように周りには表面反射層16が積層することもできる。表面反射層16を設ける場合には、基板の表面上においては、接着剤層等を介して、基板上に積層されていてもよい。なお、表面反射層16は本発明の必須の構成要件ではない。
【0021】
表面反射層16を設ける場合、波長450nmにおける反射率が80%以上であることが好ましい。例えば、酸化チタン等の白色顔料を10質量%以上80質量%以下含有させた熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、酸化チタンは30質量%以上80質量%であることがより好ましい。また、酸化チタンは屈折率差の観点で最も好ましいが、酸化チタンに代えて、又は酸化チタンと一緒に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム及びガラスフィラーから選ばれた少なくとも1種類以上の顔料を用いてもよい。
【0022】
熱硬化性樹脂は例えば、フッ素樹脂とアクリル系樹脂との混合物又はシリコーン系樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。透光性接着層との密着性の観点からフッ素樹脂とアクリル系樹脂との混合物であることが好ましい。また熱硬化性樹脂は硬質のものが好ましい。
【0023】
[可撓性基板]
可撓性基板は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。可撓性基板の材料としては、耐熱性及び絶縁性が高いものであることが求められる。このような樹脂として、耐熱性と加熱時の寸法安定性、機械的強度、及び耐久性に優れるポリイミド樹脂(PI)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。中でも、アニール処理等の耐熱性向上処理を施すことによって耐熱性と寸法安定性を向上させたポリエチレンナフタレート(PEN)を好ましく用いることができる。又、難燃性の無機フィラー等の添加によって難燃性を向上させたポリエチレンテレフタレート(PET)も可撓性基板の材料樹脂として選択することができる。
【0024】
可撓性基板は、熱収縮開始温度が100℃以上のもの、又は、上記のアニール処理等によって、同温度が100℃以上となるように耐熱性を向上させたものを用いることが好ましい。通常発光素子から発せられる熱により同素子周辺部は90℃程度の温度に達する。この観点から、基板樹脂を形成する熱可塑性樹脂は、上記温度以上の耐熱性を有するものであることが好ましい。
【0025】
発光素子用基板には、LED表示装置のバックライト等としての一体化時に、発光素子用基板に必要とされる絶縁性を付与し得る絶縁性を有する樹脂であることが求められる。一般的には、基板は、その体積固有抵抗率が10
14Ω・cm以上であることが好ましく、10
18Ω・cm以上であることがより好ましい。なお、体積固有抵抗率の測定は、例えばエーディーシー製デジタル超高抵抗/微少電流計5450/5451等を用いることによって測定することができる。
【0026】
可撓性基板の厚さは、特に限定されないが、可撓性を有する樹脂基板とする場合には、耐熱性及び絶縁性と、製造コストのバランスとの観点から、概ね10μm以上100μm以下程度であることが好ましい。又、ロール・トゥ・ロール方式による製造を行う場合の生産性を良好に維持する観点からも上記厚さ範囲であることが好ましい。
【0027】
[透光性接着層]
本実施形態に関する溝部17における透光性接着層12の表面粗さRz(JIS B0601で規定される十点平均粗さを意味する。)が10μm以下である。溝部17とは、
図1に示すように、金属配線部13が積層されておらず、透光性接着層が露出している面であって透光性接着層の表面をいう。金属配線部13を製造する際には、可撓性基板と金属層とを透光性接着層を介して製造された金属層をエッチングによりパターンを形成することで製造するのが一般的である。本発明の発光素子用基板は、溝部における透光性接着層の表面粗さRzが10μm以下とすることで、主に青色発光素子からの青色の光に対する耐光性が向上することを特徴とする。青色発光素子とは、波長430nm以上500nm以下の青色の光を放出可能な発光素子を意味する。なお、発光素子用基板を構成する溝部17における透光性接着層12の表面粗さRzが5μm以下、特に1μm以下とすることがより好ましい。表面粗さのRzが小さいほど、言い換えると表面の凹凸が少ない程、耐光性に優れた発光素子用基板を提供することができる。
【0028】
透光性接着層12の表面の表面粗さRzが一定超であることによって可撓性基板11の耐光性が低下し、可撓性基板11に穴があく理由は必ずしも明らかではない。しかし、透光性接着層12の表面粗さRzが一定超である場合には、透光性接着層12の表面の面積が大きくなり、エッチング時に発生したエッチング残渣18が透光性接着層12の表面の凹部等に残りやすくなる。エッチング残渣18によって透光性接着層12における発光素子からの光の吸収量が増加する。そして、透光性接着層12に吸収された光のエネルギーが熱エネルギーに変換され、透光性接着層12が発熱する。透光性接着層12が発熱することにより、透光性接着層12に穴があき、重ねて積層されている可撓性基板11にも穴があくものと推測される(
図3参照)。
【0029】
なお、本実施形態に関する溝部における透光性接着層の表面粗さRzは0.1μm以上であることが好ましい。透光性接着層の表面粗さRzは0.1μm以上であることで、金属配線部13と透光性接着層との界面の接着強度を向上させることができる。
【0030】
透光性接着層12の表面の形状、すなわち透光性接着層12の表面粗さは、例えば透光性接着層12の表面に積層する金属層の金属箔の透光性接着層12と対向する側の面の形状に依存する。すなわち、エッチング時の金属層を積層する工程において、金属箔の表面粗さRzが所定の値の面を、透光性接着層12と対向するように積層することで、溝部17における透光性接着層12の表面粗さRzを制御することができる。
【0031】
透光性接着層12を形成する接着剤は、公知の樹脂系接着剤を適宜用いることができる。それらの樹脂接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、又はエポキシ系の接着剤等を特に好ましく用いることができる。なお、透光性接着層とは、全可視光線の85%以上を透過する接着剤層を意味する。透光性接着層12は、透光性樹脂に光反射部材を含有することもできる。これにより、可撓性基板への光の到達を低減することができる。光反射部材としては、酸化チタン等の白色顔料を例示できる。また、各種無機フィラーを含有していてもよい。
【0032】
[金属配線部]
金属配線部13は、発光素子用基板1の表面に金属層等の導電性基材によって形成される配線パターンである。
【0033】
金属配線部13の配置は、発光素子を実装することができる配置であれば特定の配置等に限定されない。但し、発光素子用基板においては、基板の一方の表面の少なくとも80%以上、好ましくは90%、より好ましくは95%以上の範囲が、この金属配線部13によって被覆されていることが好ましい。これにより金属配線部13と発光素子用基板とを用いてなるモジュールにおいて求められる放熱性の向上に寄与することができる。
【0034】
金属配線部13を構成する金属の熱伝導率λは200W/(m・K)以上が好ましく、300W/(m・K)以上がより好ましい。金属配線部13を構成する金属の電気抵抗率Rは3.00×10
−8Ω・m以下が好ましく、2.50×10
−8Ω・m以下がより好ましい。ここで、熱伝導率λの測定は、例えば、京都電子工業社製の熱伝導率計QTM−500を用いることができ、電気抵抗率Rの測定は、例えば、ケースレー社製の6517B型エレクトロメータを用いることができる。これによれば、例えば、銅の場合、熱伝導率λは403W/(m・K)であり、電気抵抗率Rは1.55×10
−8Ω・mとなる。これにより、放熱性と電気伝導性の両立を図ることができる。より具体的には、発光素子2からの放熱性が安定し、電気抵抗の増加を防げるので、発光素子間の発光バラツキが小さくなって発光素子の安定した発光が可能となり、又、発光素子の寿命も延長される。更に、熱による基板等の周辺部材の劣化も防止できるので、発光素子用基板1をバックライトとして組み込んだ画像表示装置自体の製品寿命も延長できる。
【0035】
尚、金属配線部13の表面抵抗値は、500Ω/□以下が好ましく、300Ω/□以下がより好ましく、更に100Ω/□以下が好ましく、特に50Ω/□以下が好ましい。下限は0.005Ω/□程度である。
【0036】
金属配線部13の材料として用いられる金属としては、アルミニウム、金、銀、銅等の金属層及びそれらの合金層が例示できる。金属配線部13の厚さは、発光素子用基板に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一例として厚さ10μm以上50μm以下が挙げられる。放熱性向上の観点から、金属配線部13の厚さは、10μm以上であることが好ましい。又、金属層厚みが上記下限値に満たないと、基板の熱収縮の影響が大きく、はんだリフロー処理時に処理後の反りが大きくなりやすいため、この観点からも金属配線部13の厚さは10μm以上であることが好ましい。同厚さが、50μm以下であることによって、十分な可撓性を保持することができ、重量増大によるハンドリング性の低下等も防止できる。
【0037】
[ハンダ層]
発光素子用基板においては、金属配線部13と発光素子2との接合については、ハンダ層14を介した接合を行うことが好ましい。このハンダによる接合は、例えば、リフロー方式、或いは、レーザー方式によって行うことができる。
【0038】
[絶縁性保護膜]
絶縁性保護膜15は、本発明においては必須の構成要件ではないが、絶縁性保護膜を設ける場合には、上述の通り、熱硬化型インキ、UV硬化インキ又はカバーレイフィルムによって、金属配線部13と発光素子用基板の表面上の電気的接合が必要となる一部分を除いた他の部分に、主として発光素子用基板の耐マイグレーション特性を向上させるために形成される。
【0039】
熱硬化型インキとしては、熱硬化温度が100℃以下程度のものであれば、公知のインキを適宜好ましく用いることができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシ系及びフェノール系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、シリコーン系樹脂等、を其々ベース樹脂とする絶縁性インキを好ましく用いることができるインキの代表例として挙げることができる。又、これらのうちでも、ポリエステル系の熱硬化型の絶縁インキは、可撓性に優れる点から、発光素子用基板1の絶縁性保護膜15を形成するための材料として特に好ましい。
【0040】
又、絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキは、例えば、二酸化チタン等の無機白色顔料を更に含有する白色のインキであってもよい。絶縁性保護膜15を白色化することで、発光装置の反射率の向上、意匠性の向上を図ることができる。
【0041】
尚、以上の絶縁性の熱硬化型インキによる絶縁性保護膜15の形成は、スクリーン印刷等公知の方法によって行うことができる。
【0042】
カバーレイフィルムを用いる場合には、例えばポリイミド樹脂等の耐熱性の高い樹脂フィルムに接着剤を塗布し、可撓性基板11上に貼り付けることで形成することができる。
【0043】
[表面反射層]
表面反射層16は、本発明においては必須の構成要件ではないが、表面反射層16を設ける場合には、上記のモジュール10において、発光能力を向上させることを目的として、本実施形態では、発光素子用基板の発光面側の最表面に、発光素子2の実装部分を除いて積層される。発光素子の発光を反射し、所定の方向へ導くための反射面を持つ部材であれば特に限定されないが、白色ポリエステル発泡タイプの白色ポリエステル、白色ポリエチレン樹脂、銀蒸着ポリエステル等を、最終製品の用途とその要求スペック等に応じて適宜用いることができる。
【0044】
[発光素子]
発光素子2は、発光素子用基板上に配置される。発光素子2は、一方の面に一対の電極を有し、一対の電極を介して金属配線部13と電気的に接続している。ここで用いられる発光素子2は形状や大きさ等が特に限定されない。発光素子2の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができるが、青色に発光する発光素子を用いることができる。青色発光素子とは波長430nm以上500nm以下の光を放出可能な発光素子を意味するが、例えば、430nm〜470nmに発光ピークを持つ青色発光の発光素子を用いることが好ましい。発光素子2としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。InGaN系としては、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等を用いることができる。
【0045】
[アンダーフィル]
図6は、本発明の他の実施形態のモジュールの部分断面図である。
図6の実施形態のモジュールのように透光性接着層12と発光素子2との間にアンダーフィル21を配置することもできる。アンダーフィル21は、発光素子2と透光性接着層12との接合強度を高めることができる。アンダーフィル21はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。又、アンダーフィル21は透光性接着層12との接合強度を高める材質が好ましく、アンダーフィル21と透光性接着層12とは同一種類の材料を用いることが好ましいが、異なる材料であってもよい。
【0046】
アンダーフィル21には鉄及び/又は銅を吸着する吸着剤22が含有されていることが好ましい。これにより透光性接着層12への鉄及び/又は銅の侵入を防止することができる。又、アンダーフィル21には酸化チタン等の白色顔料からなる光反射部材が含有されていることが好ましい。これにより発光素子2からの光を効率良く外部に放出することができる。特に吸着剤22の表面に酸化チタンがコーティングされていることが好ましい。これにより発光素子2から出射された光が吸着剤22に吸収されるのを抑えることができ、高い光反射率を有することができるからである。光反射部材は、酸化チタンが好ましいが、酸化チタンに代えて、又は酸化チタンと一緒に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム及びガラスフィラーから選ばれた少なくとも1種類以上の顔料を用いてもよい。
【0047】
アンダーフィル21に含有される光反射部材の粒径は5μm以下が好ましく、特に1μm以下が好ましく、更に好ましくは0.5μm以下が好ましい。これにより透光性接着層の表面の凹部内に光反射部材が入り込み、発光素子からの光を可撓性基板に到達するのを抑制することができる。
【0048】
[封止部材]
可撓性基板11の上には、発光素子2を封止する封止部材19が配置されていることが好ましい。発光素子2を埃や水分から保護することができるからである。封止部材19は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂のいずれかであることが好ましい。
【0049】
[蛍光体]
封止部材19中には、蛍光体20を含有させてもよい。蛍光体20は発光素子2からの光を吸収し、異なる波長の光を放出するものであり、緑色、黄色、赤色等の光を放出する。蛍光体20は、YAG、シリケートなどの酸化物蛍光体、CASN、SCASN等の窒化物蛍光体、KSFなどのフッ化物蛍光体などを用いることができる。
【0050】
<発光素子用基板の製造方法>
発光素子用基板は、特に限定されるものではなく、従来公知の電子基板の製造方法によって製造することができる。例えば、以下に記載したエッチング工程を経ることによって製造することができる。又、選択する材料樹脂に応じて、予め当該樹脂にアニール処理による耐熱性向上処理を施すことが好ましい。
【0051】
[アニール処理]
本発明において必須ではないが、アニール処理を行う場合には、従来公知の熱処理手段を用いることができる。アニール処理温度の一例としては、樹脂基板がPENである場合には、ガラス転移温度から融点の範囲、更に具体的には160℃から260℃、より好ましくは180℃から230℃の範囲である。アニール処理時間としては、10秒から5分程度が例示できる。このような熱処理条件によれば、一般的に80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、100℃程度に向上させることができる。
【0052】
[エッチング工程]
アニール処理を経た樹脂基板の表面に、金属配線部の材料とする金属層の金属配線部13を積層して発光素子用基板の材料とする積層体を得ることができる。積層方法としては、可撓性基板の少なくとも一方の面側に透光性接着層を介して金属層を積層する方法、或いは、可撓性基板の表面に直接にメッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により金属配線部13を蒸着させる方法を挙げることができる。コストや生産性の面からは、金属層をウレタン系の接着剤によって可撓性基板の表面に接着する方法が有利である。
【0053】
可撓性基板の少なくとも一方の面側に透光性接着層を介して金属層を積層する場合、金属層である金属箔の表面粗さRzが10μm以下の面を、透光性接着層12と対向するように積層することが好ましい。金属層である金属箔の表面粗さRzが10μm以下とすることで、本実施形態に関する溝部17における透光性接着層の表面粗さRzは10μm以下とすることができる。そのため、容易に本実施形態の溝部における透光性接着層の表面粗さRzが10μm以下である発光素子用基板を製造することができる。溝部における透光性接着層の表面粗さRzが10μm以下であることで、発光素子からの光の吸収量を減少させることができる。なお、金属層である金属箔の表面粗さRzが1μm以下の面を、透光性接着層12と対向するように積層することがより好ましい。なお、透光性接着層12には、各種無機フィラーを含有していてもよい。
【0054】
尚、金属箔の製箔方法は、電解浴に部分的に浸漬された回転ドラム陽極にそれに間隔を置いて対面する円弧状陰極を備え、間に電解液を流通せしめる電解設備において、回転ドラムに金属を電着させ、最終的に所定の厚さの金属箔をドラムから剥離することにより金属箔を製箔する方法により金属箔を製造することができる。この方法で製造された銅箔は、製箔時に回転ドラム側に密着していた側の面が表面の粗さが極めて小さい光沢面(以下ミラー面と呼ぶ)となり、反対側の面が比較的表面の粗さが大きい粗化面(以下マット面と呼ぶ)となる。そのため、例えば、回転ドラム側に密着していた側の面と、透光性接着層12と対向するように積層すれば、本実施形態に関する溝部における透光性接着層の表面粗さRzを10μm以下とすることができる。
【0055】
ここで、上記の積層体から金属配線部13間の溝部を形成する一実施例について説明する。上記の積層体の金属層の表面に、金属配線部13の形状にパターニングされたエッチングマスクを形成する。エッチングマスクは、将来、金属配線部13となる金属層の配線パターン形成部分がエッチング液による腐食を免れるために設けられる。エッチングマスクを形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムをフォトマスクを通して感光させた後で現像することにより積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよいし、インクジェットプリンター等の印刷技術により積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよい。
【0056】
次に、エッチングマスクに覆われていない箇所における金属層を浸漬液により除去する。これにより、金属配線部と、金属配線部間の溝部17と、を形成することができる。最後に、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスクを除去する。これにより、エッチングマスクが金属配線部13の表面から除去される。
【0057】
なお、エッチング時のエッチング残渣18が透光性接着層に一定量以上染み込まれることにより、透光性接着層が黄変し、青色光を吸収することで、透光性接着層が発熱し、透光性接着層及び可撓性基板に穴があくことがある。そのため、溝部17における透光性接着層12の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量が1質量%未満、より好ましくは0.7質量%未満となるようにエッチング及び洗浄を行うことが好ましい。
【0058】
本発明において、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって、溝部における透光性接着層の表面側から塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量を測定する。測定方法は、SEM−EDX分析装置固有の定量条件(例えば日本電子製SEM“JSM−6700F”とオックスフォード・インストゥルメンツ製EDX“XMAX80”では加速電圧15kV、焦点距離15mm、試料傾斜0度)に合わせ、照射電流や測定時間を目的元素が十分検出できるように適時調整して特性X線スペクトルを取得し、各元素の濃度はZAF補正法(各元素の相対強度に原子番号補正Z、吸収補正A、蛍光補正Fを施して各元素の含有量を求める方法)によって、塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量を求めることができる。なお、断面側から塩素量、鉄量、銅量を求めることも可能である。
【0059】
[絶縁性保護膜及び表面反射層形成工程]
金属配線部形成後、必要に応じて絶縁性保護膜15及び表面反射層16を更に積層する。これらの積層は公知の方法によって行うことができる。採用する材料によりスクリーン印刷等の印刷法或いは、ドライラミネーション、熱ラミネーション法等、各種のラミネート処理方法によることができる。
【0060】
<モジュール>
モジュール10は、上述の発光素子用基板1に、発光素子を実装することにより、得ることができる。モジュール10は、
図2に示すように、LED画像表示装置100のバックライトとして使用することができる。
【0061】
発光素子用基板1を用いたモジュール10の製造方法について説明する。金属配線部13への発光素子2の接合は、ハンダ加工により好ましく行うことができる。このハンダによる接合は、リフロー方式、或いは、レーザー方式によることができる。リフロー方式は、金属配線部13にハンダを介して発光素子2を搭載し、その後、発光素子用基板をリフロー炉内に搬送して、リフロー炉内で金属配線部13に所定温度の熱風を吹きつけることで、ハンダペーストを融解させ、発光素子2を金属配線部13にハンダ付けする方法である。又、レーザー方式とは、レーザーによってハンダを局所的に加熱して、発光素子2を金属配線部13にハンダ付けする手法である。なお、ハンダ材料は可撓性基板の耐熱性に合わせSn−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系等のハンダを用いてもよい。
【0062】
金属配線部13への発光素子2のハンダ接合を行う際は、発光素子用基板における裏面側からのレーザー照射によって、ハンダのリフローを行う方法とすることが好ましい。これにより、加熱によるハンダの有機成分の発火とそれに伴う可撓性基板の損傷をより確実に抑制することが可能となる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
<発光素子用基板の作成>
(実施例1)
本発明のLED表示装置の実施例として、サイズが400mm×500mmのフィルム状の支持基板の表面に、銅のミラー面の表面粗さRz0.5μmの銅板(厚さ35μm)に透光性接着層(「KTEP」、ロックペイント社製)を積層させた電解銅層からなる金属配線部をエッチング処理(電解銅層ミラー面を可撓性基板側に向けて積層した)をし、発光素子用基板の試験用サンプルを作成した。
可撓性基板としては厚さ75μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。
溝部における透光性接着層の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって塩素量及び鉄量を測定したところ、塩素量が0.3質量%であり、鉄量が0.3質量%であった。透光性接着層の厚みは10μmであった。
【0065】
(実施例2)
上記エッチング処理において、銅のマット面の表面粗さRz6μmの銅板を使用し、銅のマット面に透光性接着層を積層させ、金属配線部をエッチング処理した以外は上記実施例1と同様に発光素子用基板の試験用サンプルを製造した。
【0066】
(比較例1)
上記エッチング処理において、銅のマット面の表面粗さRz13μmの銅板を使用し、銅のマット面に透光性接着層を積層させ、金属配線部をエッチング処理した以外は上記実施例1と同様に発光素子用基板の試験用サンプルを製造した。
【0067】
<SEM観察>
実施例1及び比較例1の発光素子用基板の溝部における透光性接着層の表面についてSEM写真を倍率2000倍にて撮影した。SEM写真を
図4及び
図5に示す。SEM写真によると、実施例1の発光素子用基板の溝部における透光性接着層の表面は、比較例1の発光素子用基板の溝部における透光性接着層の表面に比べ凹凸が小さくなっていることが分かる。
【0068】
<耐光性試験>
実施例及び比較例の発光素子用基板について、耐光性試験の加速試験として、溝部における透光性接着層上から青色レーザー(日亜化学製レーザーダイオード、波長450nm、出力0.5W)を照射し、フィルムに穴が開いた時間を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0069】
<配線密着性試験>
実施例、比較例の各発光素子用基板について、下記の試験条件における密着強度を測定して金属密着性を評価した。
測定は、上記の発光素子用基板において、可撓性基板上に密着している金属配線部について、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い、測定結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
(表1中、透過率とは波長380nm以上780nm以下の光の透過率を意味する。)
【0071】
表1より、透光性接着層の表面粗さRzが10μm以下である実施例1及び2の発光素子用基板は、透光性接着層の表面粗さRzが10μm超の比較例1と比較して、穴あきまでの所要時間が長くなっている。特に、透光性接着層の表面粗さRzが1μm以下の実施例1の発光素子用基板は、穴あきまでの所要時間が3時間以上であり、著しく穴あきまでの所要時間が長くなっている。これは、溝部における透光性接着層の表面粗さRzが減少し、透光性接着層における発光素子からの光の吸収量が減少したためであると考えられる。このため、透光性接着層の表面粗さRzが10μm以下である本発明の発光素子用基板は、発光素子からの光に対する耐光性を有する発光素子用基板であることが分かる。