(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572578
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】バルブ機構
(51)【国際特許分類】
F16K 7/06 20060101AFI20190902BHJP
B65D 90/56 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
F16K7/06 G
B65D90/56
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-60935(P2015-60935)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-180458(P2016-180458A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】有海 亮介
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−134277(JP,U)
【文献】
特開平07−300101(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0051909(US,A1)
【文献】
特開2004−293782(JP,A)
【文献】
特開2014−020411(JP,A)
【文献】
特公昭32−004674(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/00− 7/20
F16L 51/00−55/48
B65D 88/00−90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が流動する搬送経路と、
該搬送経路を開放閉塞する開閉機構と、を備えており、
前記搬送経路が、
伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材によって形成されており、
前記管状部材は、
断面矩形の角型筒状部材であり、
前記開閉機構は、
前記管状部材を外面から挟んで該管状部材を閉塞する開閉部材と、
前記管状部材の一対の側面間に位置する一対の壁面を外方に移動させる移動部と、を備えており、
前記開閉部材は、
前記管状部材における互いに対向する一対の側面を接近離間させるように設けられており、
前記移動部は、
前記開閉部材が前記一対の側面を接近させる際に、前記一対の壁面を外方に移動させるように作動が制御されている
ことを特徴とするバルブ機構。
【請求項2】
前記開閉機構の開閉部材は、一対の移動部材を備えており、
該一対の移動部材は、
前記搬送経路を閉塞した状態では、前記管状部材内を前記搬送物が流動する搬送方向から前記管状部材を挟むように設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のバルブ機構。
【請求項3】
前記管状部材は、
前記一対の側面間に位置する一対の壁面に変形部が設けられており、
該変形部は、
該管状部材に前記一対の側面を接近させる力が加わると、前記一対の壁面が外方に折れ曲がるように設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載のバルブ機構。
【請求項4】
搬送物が流動する搬送経路と、
該搬送経路を開放閉塞する開閉機構と、を備えており、
前記搬送経路が、
伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材によって形成されており、
前記管状部材は、
断面正方形の角型筒状部材であり、
前記開閉機構は、
前記管状部材を外面から挟んで該管状部材を閉塞する開閉部材と、
互いに対向する一対の自由角を外方に移動させる移動部と、を備えており、
前記開閉部材は、
前記管状部材における前記一対の自由角とは異なる一対の角を、該一対の角を繋ぐ対角線に沿って接近離間させるように設けられており、
前記移動部は、
前記開閉部材が前記一対の自由角とは異なる一対の角を接近させる際に、前記一対の自由角を外方に移動させるように作動が制御されている
ことを特徴とするバルブ機構。
【請求項5】
前記管状部材は、
その内面に該管状部材の素材よりも柔軟性の高い素材からなる層が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のバルブ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ機構に関する。さらに詳しくは、スラリー等の搬送流路に設置されるバルブ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スラリーや液体等の搬送物を搬送する流路には、搬送物の搬送と停止を制御するバルブ機構が設けられている。かかる一般的なバルブ機構は、弁と弁座を有しており、弁を弁座と接触離間させることによって搬送物の流れを止めたり許容したりする構成を有している。
【0003】
しかるに、上記のごときバルブ機構の場合、バルブの構造が複雑になっているので、搬送物に粉体等の固形物が含まれていると、固形物がバルブ内に噛み込んだり、隅部に滞留したりしてしまう。すると、バルブが適切に作動できなくなる可能性がある。
【0004】
また、搬送物を変更する場合には、バルブを洗浄して、搬送物が混ざったりすることがないようにする必要がある。しかし、従来のバルブは、構造が複雑であるため分解作業や洗浄作業が難しいという問題がある。
【0005】
かかる問題を解決するバルブ機構として、特許文献1、2に開示されたものがある。
【0006】
特許文献1、2のバルブ機構は、円筒状のチューブと、このチューブを挟む一対の挟圧部材とを有している。そして、特許文献1、2のバルブ機構では、一対の挟圧部材によってチューブを挟んだり開放したりすることによって、チューブ内を流れる搬送物の流れを止めたり許容したりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−025890号公報
【特許文献2】特開平06−123367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1、2の技術は、挟持部材によってチューブを外面から押圧してチューブを潰して流路を閉塞するのであるが、チューブには若干のしわなどができてしまう。特許文献1、2では、粉粒体を搬送する流路に設置されるので、チューブには若干のしわがあっても大きな問題にはならない。しかし、搬送する物質が液体を含む場合(例えばスラリーなど)には、しわがあれば、その部分から液体が漏れてしまう。特許文献1、2の技術は、搬送物として粉粒体しか想定していないため、液体を含む物質を搬送する場合の問題を解決する方法は開示されていない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、スラリーなどの液体を含む搬送物を搬送する流路に設けてもバルブを閉じた際の漏れを防ぐことができるバルブ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明のバルブ機構は、搬送物が流動する搬送経路と、該搬送経路を開放閉塞する開閉機構と、を備えており、前記搬送経路が、伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材によって形成されており、前記管状部材は、断面矩形の角型筒状部材であり、前記開閉機構は、前記管状部材を外面から挟んで該管状部材を閉塞する開閉部材と、前記管状部材の一対の側面間に位置する一対の壁面を外方に移動させる移動部と、を備えており、前記開閉部材は、前記管状部材における互いに対向する一対の側面を接近離間させるように設けられており、前記移動部は、前記開閉部材が前記一対の側面を接近させる際に、前記一対の壁面を外方に移動させるように作動が制御されていることを特徴とする。
第2発明のバルブ機構は、第1発明において、前記開閉機構の開閉部材は、一対の移動部材を備えており、該一対の移動部材は、前記搬送経路を閉塞した状態では、前記管状部材内を前記搬送物が流動する搬送方向から前記管状部材を挟むように設けられていることを特徴とする。
第3発明のバルブ機構は、第1または第2発明において、前記管状部材は、前記一対の側面間に位置する一対の壁面に変形部が設けられており、該変形部は、該管状部材に前記一対の側面を接近させる力が加わると、前記一対の壁面が外方に折れ曲がるように設けられていることを特徴とする。
第4発明のバルブ機構は、搬送物が流動する搬送経路と、該搬送経路を開放閉塞する開閉機構と、を備えており、前記搬送経路が、伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材によって形成されており、前記管状部材は、断面正方形の角型筒状部材であり、前記開閉機構は、前記管状部材を外面から挟んで該管状部材を閉塞する開閉部材と、
互いに対向する一対の自由角を外方に移動させる移動部と、を備えており、前記開閉部材は、前記管状部材における
前記一対の自由角とは異なる一対の角を、該一対の角を繋ぐ対角線に沿って接近離間させるように設けられており、前記移動部は、前記開閉部材が
前記一対の自由角とは異なる一対の角を接近させる際に、
前記一対の自由角を外方に移動させるように作動が制御されていることを特徴とする。
第5発明のバルブ機構は、第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記管状部材は、その内面に該管状部材の素材よりも柔軟性の高い素材からなる層が形成されていることを特徴とする。W
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材を開閉部材によって挟んで閉塞するので、管状部材の内面を密着させることができる。したがって、液体を含む搬送物でも、液体の漏れを防ぐことができる。管状部材が角型筒状部材であるので、搬送物を供給する開口等が矩形でも管状部材を密着性よく取り付けることができる。また、管状部材を開閉部材によって挟んだ際に、一対の側面を面接触させるので、密着性を高めることができる。管状部材を閉塞させる際に一対の壁面を外方に移動させるので、一対の側面を接近させやすくなるし、一対の側面を面接触させやすくなる。
第2発明によれば、管状部材を搬送物が流動する搬送方向から挟むので、管状部材の内面の密着性を高めることができる。しかも、挟んだ部分が屈曲するので、液体をより一層漏れにくくすることができる。
第3発明によれば、管状部材を閉塞させる際に一対の壁面が外方に折れ曲がるので、一対の側面を接近させやすくなるし、一対の側面を面接触させやすくなる。
第4発明によれば、伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された管状部材を開閉部材によって挟んで閉塞するので、管状部材の内面を密着させることができる。したがって、液体を含む搬送物でも、液体の漏れを防ぐことができる。管状部材を閉塞させる際に、一対の角を挟む2面を略平面状にすることができるので、管状部材の内面同士の密着性を高めることができる。
しかも、移動部によって一対の自由角を外方に移動させるから、一対の角を挟む2面を略平面状にしやすくなるので、管状部材の内面同士を密着させやすくなる。
第5発明によれば、管状部材の内面に柔軟性の高い素材からなる層が形成されているので、管状部材の内面の密着性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(A)本実施形態のバルブ機構10の概略説明図であり、(B)は(A)のB線矢視図である。
【
図2】(A)本実施形態のバルブ機構10の概略横断面図であり、(B)は一対の開閉部材21,21を接近させた状態の概略横断面図である。
【
図3】(A)他の実施形態のバルブ機構10の概略説明図であり、(B)は他の実施形態のバルブ機構10において一対の開閉部材21,21を接近させた状態の概略横断面図である。
【
図4】移動部を設けたバルブ機構10の概略説明図である。
【
図5】移動部を設けた他の実施形態のバルブ機構10の概略説明図である。
【
図6】層11aを設けた搬送経路11の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のバルブ機構は、流体を流す流路に設けられるバルブ機構であって、固形物を含有するスラリーなどの流れを連通遮断する機構として適したものである。
【0014】
本発明のバルブ機構は、遠心分離機やフィルタープレス等の設備において脱水されるスラリーを流す流路を連通遮断するために使用されるものである。例えば、鉱物や汚泥等が水に分散されたスラリーや、湿式反応プロセスにおける金属粉が反応液に分散されたスラリーの流路のバルブとして適しているが、使用される設備やスラリーはとくに限定されない。
【0015】
(バルブ機構10)
本実施形態のバルブ機構10について説明する。
図1に示すように、本実施形態のバルブ機構10は、搬送経路11と、この搬送経路11を開放閉塞する開閉機構20と、を備えている。
【0016】
(搬送経路11)
図1および
図2に示すように、搬送経路11は、略断面矩形の中空な筒状に形成された管状部材である。この搬送経路11は、例えば、その一端が脱水設備の出口に連結されており、その他端が後段の搬送設備(スクリューフィーダーなど)に連結されている。つまり、搬送経路11は、プロセス設備と搬送設備を繋ぎ、スラリーが流れる流路を形成している。
この搬送経路11は、伸縮性と柔軟性を有する素材によって形成されており、外部などから力が加わると、変形したり伸びたりすることができるようになっている。
【0017】
なお、この搬送経路11の素材は上記機能を有するものであればよいが、搬送経路11内を流れるスラリーによる腐食などが生じない素材であることが必要とされる。例えば、スラリーが磨耗性のあるの素材を含む場合にはウレタンゴムの様な機械的特性に優れたゴムを使用することができる。また、酸や塩基性のスラリーの場合には耐薬液製に優れたフッ素ゴム等を搬送経路11の素材として使用することができる。
【0018】
また、この搬送経路11の断面形状は矩形に限られず、円形でもよい。しかし、矩形断面とすれば、略平坦面の壁面を接触させることができるので、閉塞した際の密着性(つまり閉塞性)を高くすることができる。しかも、搬送経路11が角型筒状部材であれば、搬送物を供給する開口等が矩形でも搬送経路11を密着性よく取り付けることができる。
【0019】
(開閉機構20)
開閉機構20は、搬送経路11を開放閉塞する機構である。具体的には、搬送経路11を閉塞する場合には、搬送経路11をその外面から挟んで、搬送経路11の内面同士を密着(例えば面接触)させることによって搬送経路11の流路を閉塞するものである(
図2(B)参照)。
【0020】
この開閉機構20は、一対の開閉部材21,21を備えている。この一対の開閉部材21,21は、互いに平行に設けられた軸状の部材であり、その軸方向の長さが搬送経路11の壁面の幅よりも長くなるように設けられている。この一対の開閉部材21,21は、その軸方向が搬送経路11の互いに対向する壁面と平行であって、その軸方向がスラリーの流れる方向(
図1では上下方向、
図2では紙面と直交する方向)と交差するように設けられている。
【0021】
以上のごとき構成であるので、一対の開閉部材21,21を接近させれば、伸縮性および柔軟性を有する素材によって形成された搬送経路11の互いに対向する壁面を接近させることができるので、両者の内面を密着させることができる。すると、搬送経路11の流路を閉塞することができるので(
図2(B))、液体を含む搬送物でも、液体の漏れを防ぐことができる。
【0022】
なお、一対の開閉部材21,21は、搬送物が流動する搬送方向において、少し位置がずれるように配置してもよい。具体的には、
図3(A)に示すように、ほぼ開閉部材21の軸径分ずらし、そのずれがあるままで一対の棒状の開閉部材21,21を接近離間させるようにする。このようにすれば、
図3(B)に示すように、一対の棒状の開閉部材21,21を接近させた際に、搬送経路11を搬送物が流動する搬送方向から挟むことになる。すると、搬送経路11の壁面を、曲がった状態(例えば略クランク状)で面接触させることができる。すると、搬送経路11の壁面の接触する面積が大きくなるので、搬送経路11の内面の密着性を高めることができる。しかも、挟んだ部分が屈曲しているので、液体をより一層漏れにくくすることができる。
【0023】
なお、開閉機構20が搬送経路11を一対の開閉部材21,21を壁面に対して接近させる機構はとくに限定されない。例えば、公知のシリンダやネジ機構等によって接近させてもよい。また、一対の開閉部材21,21にワイヤー等を巻きかけておけば、ワイヤーを引っ張れば、一対の開閉部材21,21を接近させることができる。さらに、
図2に示すように、一対の開閉部材21,21の軸端間に、リンク機構23を設けてもよい。具体的には、リンク機構23として、略板状の一対のリンク部材を外方にのみ屈曲可能に連結したものを使用し、各リンク部材の一端を一対の開閉部材21,21の軸端に揺動可能に連結する。すると、リンク機構23を屈曲伸展させれば、一対の開閉部材21,21を接近離間させることができる。
【0024】
また、図示しないが、一対の開閉部材21,21の移動を案内するレール等を設けておくことが望ましい。かかるレール等を設けておけば、一対の開閉部材21,21の移動が安定するので、一対の開閉部材21,21による搬送経路11の閉塞開放が安定する。
【0025】
(層11a)
なお、搬送経路11を構成する管状部材は、その内面に管状部材の素材よりも柔軟性の高い素材からなる層11aを有していることが望ましい。かかる層11aを設ければ、搬送経路11の内面を面接触させた際に、密着性を高くすることができる。つまり、層11aが変形した際に、面接触する壁面同士の間に隙間ができることを防ぐことができる。とくに、搬送経路11の内面を面接触させた際に、搬送経路11の壁面にしわなどができても、層11aによってしわの部分の隙間を閉塞することができる。すると、搬送経路11を閉塞した際に、しわができてもその部分からスラリーを構成する液体が漏れることを防ぐことができる。
【0026】
なお、
図6に示すように、層11aは、一対の開閉部材21,21によって挟まれる部分にのみ設けてもよい。
【0027】
(開閉機構20について)
また、上記のように変形させる場合には、開閉機構20は、一対の開閉部材21,21が接触する一対の壁面と異なる一対の壁面(以下では、自由壁面という)を外方に移動させる移動部を備えていることが望ましい。具体的には、移動部は、一対の開閉部材21,21が一対の壁面を接近させる際に、一対の自由壁面を、一対の壁面間よりも外方に移動させるように作動が制御されている。例えば、
図2に示すように、一対の自由壁面の法線方向と同一平面状に配置され、この法線方向と平行に移動するワイヤー24の一端を一対の自由壁面の二等分線の位置に連結しておく。そして、ワイヤー24の他端は、一対の開閉部材21,21間に設けられたリンク機構23に連結しておく。すると、一対の開閉部材21,21が一対の壁面を接近させるように移動すれば、同時に、一対の自由壁面は移動部のワイヤー24によって互いに離間する方向に引っ張られる。すると、一対の壁面を接近させる際に、一対の自由壁面が抵抗とならないし、一対の自由壁面が一対の壁面間に挟まれることもないので、一対の壁面を密着させやすくなる。
【0028】
とくに、一対の自由壁面の内面に切欠きや溝が形成されていれば、一対の側面を面接触させやすくなる。つまり、一対の壁面を接近させて搬送経路11を閉塞させる際に、一対の自由壁面が外方に折れ曲がれば、一対の壁面を接近させる際の抵抗がすくなくなる。しかも、一対の自由壁面が内方に折れ曲がることがないので、一対の自由壁面によってしわができにくくなる。すると、一対の壁面を接近させた際に、一対の壁面の内面同士を面接触させやすくなる。そして、一対の自由壁面も折れ曲がることによって折り目を挟む部分同士を面接触させやすくなるので、流路を閉塞する効果を高くすることができる。
【0029】
(開閉機構20について)
また、搬送経路11の内面を面接触させた際に、搬送経路11の壁面にしわなどが形成されることを防止する上では、開閉機構20を以下のように形成することが望ましい。
【0030】
例えば、
図5に示すように、搬送経路11が断面正方形の角型筒状部材であれば、開閉機構20が、一対の角を接近させるような構造にする。具体的には、一対の開閉部材21,21を、接近させる一対の角を繋ぐ対角線と直交するように配置し、その一対の角を繋ぐ対角線に沿って接近離間するように配置する。このように一対の角を接近させるように搬送経路11を変形させれば、搬送経路11において、一対の角を挟む2面を略平面状にすることができる。すると、搬送経路11の内面同士の密着性を高めることができる。
【0031】
また、上記のように変形させる場合には、開閉機構20は、一対の角と異なる一対の角(以下、自由角という)を外方に移動させる移動部を備えていることが望ましい。具体的には、移動部は、一対の開閉部材21,21が一対の角を接近させる際に、一対の自由角を外方に移動させるように作動が制御されている。例えば、
図5に示すように、一対の自由角を繋ぐ対角線と同一平面状に配置され、この対角線と平行に移動するワイヤー24の一端を一対の自由角に連結しておく。そして、ワイヤー24の他端は、一対の開閉部材21,21間に設けられたリンク機構23に連結しておく。すると、一対の開閉部材21,21が一対の角を接近させるように移動すれば、同時に、一対の自由角は移動部のワイヤー24によって互いに離間する方向に引っ張られる。すると、一対の角を挟む2面を略平面状にしやすくなるので、搬送経路11の内面同士を密着させやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のバルブ機構は、反応槽等に収容されている液体を加熱する熱交換器などに使用されるバルブ機構に適している。
【符号の説明】
【0033】
10 バルブ機構
11 搬送経路
11a 柔軟層
20 開閉機
21 開閉部材