特許第6572682号(P6572682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572682
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】化合物及びそれを用いた発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 265/38 20060101AFI20190902BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190902BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C07D265/38CSP
   H05B33/14 B
   C09K11/06 655
【請求項の数】8
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2015-168828(P2015-168828)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-43574(P2017-43574A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】津幡 義昭
(72)【発明者】
【氏名】倉賀野 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−521593(JP,A)
【文献】 特開2006−199698(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0088163(KR,A)
【文献】 国際公開第2014/173323(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/017045(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/141393(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/089460(WO,A1)
【文献】 特表2013−539205(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H05B33/14
C09K11/06
CAplus/REGISTRY/MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物。
[式中、
1及びR2は、それぞれ独立に、式(D−A)で表される基、式(D−B)で表される基又は式(D−C)で表される基を表す。
1は、3以上7以下の整数を表す。
1は、単結合を表す。
Ar1、式(1−A)で表される基又は式(1−B)で表される基をす。複数存在するAr1は、同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのAr1は、式(1−A)で表される基であり、且つ、少なくとも1つのAr1は、式(1−B)で表される基である。]
[式中、
DA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
DA1は、0以上の整数を表す。
ArDA1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[式中、
1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、R2Aが結合手であり、且つ、R7Aが結合手である。
1AとR2A、R2AとR3A、R3AとR4A、R4AとR5A、R5AとR6A、R6AとR7A、及び、R7AとR8Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
91Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
92Aは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[式中、
B、硫黄原子又は酸素原子を表す
1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し3Bが結合手であり、且つ、R6Bが結合手である。
9B、式(D−A1)で表される基、式(D−B1)で表される基、式(D−C1)で表される基、式(D−C2)で表される基、式(D−C3)で表される基又は式(D−C4)で表される基である。
1BとR2B、R2BとR3B、R3BとR4B、R4BとRZB、RZBとRB5、R5BとR6B、R6BとR7B、R7BとR8B、R8BとR9B、R1BとR9Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[式中、
p1及びRp2は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
p1及びRp2は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
p4及びRp5は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp4及びRp5が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np4は、0〜5の整数を表し、np5は、0〜4の整数を表す。]
【請求項2】
91Aが、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
92Aが、置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
式(D−A)で表される基が、式(D−A1)で表される基、式(D−A2)で表される基又は(D−A3)で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表し、np3は、0又は1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
式(D−B)で表される基が、式(D−B1)で表される基、式(D−B2)で表される基又は(D−B3)で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表し、np3は、0又は1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項6】
式(D−C)で表される基が、式(D−C1)で表される基、式(D−C2)で表される基、式(D−C3)で表される基又は式(D−C4)で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
[式中、
p4及びRp5は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp4及びRp5が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np4は、0〜5の整数を表し、np5は、0〜4の整数を表す。]
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項記載の化合物と、
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項記載の化合物を含有する発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、発光効率が高いことから、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することができる。発光素子の発光層に用いられる材料としては、例えば、下記式で表される化合物が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−199698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この化合物を用いて製造される発光素子は、駆動電圧が十分に低くないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、この化合物を含有する発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の[1]〜[14]を提供する。
【0008】
[1]
式(1)で表される化合物。
【0009】
【化2】
[式中、
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1は、2以上14以下の整数を表す。
1は、単結合又は−N(RZ1)−で表される基を表す。RZ1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するL1は、同一でも異なっていてもよい。
Ar1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するAr1は、同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのAr1は、式(1−A)で表される基であり、且つ、少なくとも1つのAr1は、式(1−B)で表される基である。]
【0010】
【化3】
[式中、
1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aは、それぞれ独立に、結合手、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、R1A、R2A、R3A及びR4Aのうち、1つは結合手であり、且つ、R5A、R6A、R7A及びR8Aのうち、1つは結合手である。
1AとR2A、R2AとR3A、R3AとR4A、R4AとR5A、R5AとR6A、R6AとR7A、及び、R7AとR8Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
91Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
92Aは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0011】
【化4】
[式中、
Bは、−C(RZB2−で表される基、−N(RZB)−で表される基、硫黄原子又は酸素原子を表す。RZBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RZBが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bは、それぞれ独立に、結合手、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、RB1、RB2、RB3及びRB4のうち、1つは結合手であり、且つ、RB5、RB6、RB7及びRB8のうち、1つは結合手である。
9Bは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1BとR2B、R2BとR3B、R3BとR4B、R4BとRZB、RZBとRB5、R5BとR6B、R6BとR7B、R7BとR8B、R8BとR9B、R1BとR9Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[2]
2A及びR3Aのうち、1つが結合手であり、且つ、R6A及びR7Aのうち、1つが結合手である、[1]記載の化合物。
[3]
91Aが、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基である、[1]又は[2]記載の化合物。
[4]
92Aが、置換基を有していてもよいアリール基である、[1]〜[3]のいずれか一項記載の化合物。
[5]
2B及びR3Bのうち、1つが結合手であり、且つ、R6B及びR7Bのうち、1つが結合手である、[1]〜[4]のいずれか一項記載の化合物。
[6]
9Bが、式(D−A)で表される基、式(D−B)で表される基又は式(D−C)で表される基である、[1]〜[5]のいずれか一項記載の化合物。
【0012】
【化5】
[式中、
DA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0013】
【化6】
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0014】
【化7】
[式中、
DA1は、0以上の整数を表す。
ArDA1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[7]
1及びR2が、前記式(D−A)で表される基、前記式(D−B)で表される基又は前記式(D−C)で表される基である、[1]〜[6]のいずれか一項記載の化合物。
[8]
式(D−A)で表される基が、式(D−A1)で表される基、式(D−A2)で表される基又は(D−A3)で表される基である、[6]又は[7]記載の化合物。
【0015】
【化8】
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表し、np3は、0又は1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
[9]
式(D−B)で表される基が、式(D−B1)で表される基、式(D−B2)で表される基又は(D−B3)で表される基である、[6]又は[7]記載の化合物。
【0016】
【化9】
[式中、
p1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は、0〜3の整数を表し、np3は、0又は1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
[10]
式(D−C)で表される基が、式(D−C1)で表される基、式(D−C2)で表される基、式(D−C3)で表される基又は式(D−C4)で表される基である、[6]又は[7]記載の化合物。
【0017】
【化10】
[式中、
p4及びRp5は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp4及びRp5が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np4は、0〜5の整数を表し、np5は、0〜4の整数を表す。]
[11]
1が、単結合である、[1]〜[10]のいずれか一項記載の化合物。
[12]
Ar1が、式(1−A)で表される基又は式(1−B)で表される基である、[1]〜[11]のいずれか一項記載の化合物。
[13]
[1]〜[12]のいずれか一項記載の化合物と、
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物。
[14]
[1]〜[12]のいずれか一項記載の化合物を含有する発光素子。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な化合物を提供することができる。また、本発明によれば、この化合物を含有する発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0021】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0022】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0023】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0024】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108である重合体を意味する。
【0025】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0026】
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性又は輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0027】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
【0028】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0029】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0030】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0031】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0032】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0033】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
【0034】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0035】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0036】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0037】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0038】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0039】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
[式中、R及びRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR及びRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0044】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)〜式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
[式中、R及びRaは、前記と同じ意味を表す。]
【0052】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B-1)-(B-17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0053】
【化22】
【0054】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
【0055】
<式(1)で表される化合物>
次に、本発明の化合物である、式(1)で表される化合物について説明する。
【0056】
1及びR2で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェントレニル基、ジヒドロフェントレニル基、フルオレニル基又はピレニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0057】
1及びR2で表される1価の複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基又はフェノチアジニル基が好ましく、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基又はジアザカルバゾリル基がより好ましく、ピリジル基、ピリミジニル基又はトリアジニル基が更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0058】
1及びR2で表される置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0059】
1及びR2が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0060】
1及びR2は、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧が低くなるので、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、式(D−A)、式(D−B)又は式(D−C)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0061】
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0又は1である。mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0062】
DAは、好ましくは式(GDA-11)〜式(GDA-15)で表される基であり、より好ましくは式(GDA-11)〜式(GDA-14)で表される基であり、更に好ましくは、式(GDA-11)で表される基である。
【0063】
【化23】
[式中、
*は、式(D-A)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA2、又は、式(D-B)におけるArDA3との結合を表す。
**は、式(D-A)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA4、又は、式(D-B)におけるArDA6との結合を表す。
***は、式(D-A)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA5、又は、式(D-B)におけるArDA7との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0064】
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0065】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はカルバゾールジイル基であり、より好ましくは式(A−1)〜式(A−3)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−10)、式(AA−11)、式(AA−33)又は式(AA−34)で表される基であり、更に好ましくは式(ArDA−1)〜式(ArDA−5)で表される基であり、特に好ましくは式(ArDA−1)〜式(ArDA−3)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(ArDA−1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0066】
【化24】
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0067】
DBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0068】
DAは、好ましくは式(TDA-1)〜式(TDA-3)で表される基であり、より好ましくは式(TDA-1)で表される基である。
【0069】
【化25】
[式中、RDA及びRDBは前記と同じ意味を表す。]
【0070】
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)〜式(D-A3)で表される基であり、より好ましくは式(D-A1)で表される基である。
【0071】
式(D-B)で表される基は、好ましくは式(D-B1)〜式(D-B3)で表される基であり、より好ましくは式(D-B1)で表される基である。
【0072】
式(D-C)で表される基は、好ましくは式(D-C1)〜式(D-C4)で表される基であり、より好ましくは式(D-C1)〜式(D-C3)で表される基であり、更に好ましくは式(D-C1)又は式(D-C2)で表される基であり、特に好ましくは式(D-C1)で表される基である。
【0073】
np1は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
np2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
np3は好ましくは0である。
np4は、好ましくは0〜2である。
np5は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。
【0074】
p1、Rp2、Rp3、Rp4及びRp5は、好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0075】
式(D-A)で表される基としては、例えば、式(D−A−1)〜式(D−A−12)で表される基が挙げられる。
【0076】
【化26】
【0077】
【化27】
[式中、RDは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基又はシクロへキシルオキシ基を表す。RDが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0078】
式(D-B)で表される基としては、例えば、式(D−B−1)〜式(D−B−4)で表される基が挙げられる。
【0079】
【化28】
[式中、RDは前記と同じ意味を表す。]
【0080】
式(D-C)で表される基としては、例えば、式(D−C−1)〜式(D−C−13)で表される基が挙げられる。
【0081】
【化29】
[式中、RDは前記と同じ意味を表す。]
【0082】
Dは、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基又はtert−オクチル基であり、より好ましくは、tert−ブチル基である。
【0083】
1及びR2は、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C4)で表される基であり、更に好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C3)で表される基であり、特に好ましくは式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(D-B1)又は式(D-C1)で表される基である。
【0084】
1は、好ましくは2〜12の整数であり、より好ましくは3〜10の整数であり、更に好ましくは3〜7の整数である。
【0085】
1は、好ましくは、単結合である。
【0086】
Z1で表されるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0087】
Z1が有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0088】
Ar1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲は、後述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。但し、少なくとも1つのAr1は、式(1−A)で表される基であり、且つ、少なくとも1つのAr1は、式(1−B)で表される基である。
【0089】
Ar1が有していてもよい置換基の好ましい範囲は、後述のArY1が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0090】
Ar1が3つ以上存在し、且つ、2つ以上のAr1が、式(1−A)で表される基である場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0091】
Ar1が3つ以上存在し、且つ、2つ以上のAr1が、式(1−B)で表される基である場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0092】
Ar1が3つ以上存在する場合、Ar1が式(1−B)で表される基である個数よりも、Ar1が式(1−A)で表される基である個数の方が多いことが好ましい。
【0093】
Ar1が3つ以上存在する場合、2つ以上のAr1が、式(1−A)で表される基であることが好ましい。
【0094】
Ar1が3つ以上存在する場合、2つ以下のAr1が、式(1−B)で表される基であることが好ましく、1つのAr1が、式(1−B)で表される基であることがより好ましい。
【0095】
Ar1は、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧が低くなるので、式(1−A)で表される基又は式(1−B)で表される基であることが好ましい。
【0096】
[式(1−A)で表される基]
次に、式(1−A)で表される基について説明する。
【0097】
2A及びR3Aのうち、1つが結合手であることが好ましく、R2Aが結合手であることがより好ましい。
【0098】
6A及びR7Aのうち、1つが結合手であることが好ましく、R7Aが結合手であることがより好ましい。
【0099】
2A及びR3Aのうち、1つが結合手であり、且つ、R6A及びR7Aのうち、1つが結合手であることが好ましく、R2Aが結合手であり、且つ、R7Aが結合手であることがより好ましい。
【0100】
1A〜R8Aが結合手以外の場合、R1A〜R8Aは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0101】
1A〜R8Aで表されるアリール基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基の好ましい範囲と同じである。
【0102】
1A〜R8Aで表される1価の複素環基の好ましい範囲は、R1及びR2で表される1価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0103】
1A〜R8Aで表される置換アミノ基の好ましい範囲は、R1及びR2で表される置換アミノ基の好ましい範囲と同じである。
【0104】
1A〜R8Aが有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0105】
1AとR2A、R2AとR3A、R3AとR4A、R4AとR5A、R5AとR6A、R6AとR7A、及び、R7AとR8Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成しないことが好ましい。
【0106】
91Aは、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧が低くなるので、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、より好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基であり、更に好ましくは置換基を有さないアルキル基である。
【0107】
91Aが有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0108】
92Aで表されるアリール基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基の好ましい範囲と同じである。
【0109】
92Aで表される1価の複素環基の好ましい範囲は、R1及びR2で表される1価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0110】
92Aが有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0111】
92Aで表されるアリール基および1価の複素環基としては、好ましくは、式(D−A)〜式(D−C)で表される基である。但し、R92Aが式(D−A)又は式(D−B)で表される基であり、且つ、mDA1が0の場合、式(D−A)及び式(D−B)中、ArDA1、ArDA2およびArDA3に結合するGDAは芳香族炭化水素基又は複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0112】
92Aは、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C4)で表される基であり、更に好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C3)で表される基であり、特に好ましくは式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(D-C1)で表される基である。
【0113】
式(1−A)で表される基は、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧が低くなるので、好ましくは式(1−A−A1)又は式(1−A−A2)で表される基であり、より好ましくは式(1−A−A1)で表される基である。
【0114】
【化30】
【0115】
式(1−A)で表される基としては、例えば、式(1−A−1)〜式(1−A−19)で表される基が挙げられ、好ましくは、式(1−A−1)〜式(1−A−16)で表される基であり、より好ましくは、式(1−A−1)〜式(1−A−11)で表される基であり、更に好ましくは、式(1−A−1)〜式(1−A−8)で表される基である。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
[式(1−B)で表される基]
次に、式(1−B)で表される基について説明する。
【0119】
Bは、好ましくは、硫黄原子又は酸素原子であり、より好ましくは、酸素原子である。
【0120】
ZBは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0121】
ZBで表されるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の好ましい範囲と同じである。
【0122】
ZBが有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0123】
2B及びR3Bのうち、1つが結合手であることが好ましく、R3Bが結合手であることがより好ましい。
【0124】
6B及びR7Bのうち、1つが結合手であることが好ましく、R6Bが結合手であることがより好ましい。
【0125】
2B及びR3Bのうち、1つが結合手であり、且つ、R6B及びR7Bのうち、1つが結合手であることが好ましく、R3Bが結合手であり、且つ、R6Bが結合手であることがより好ましい。
【0126】
1B〜R8Bが結合手以外の場合、R1B〜R8Bの好ましい範囲は、R1A〜R8Aが結合手以外の場合のR1A〜R8Aの好ましい範囲と同じである。
【0127】
1BとR2B、R2BとR3B、R3BとR4B、R4BとRZB、RZBとRB5、R5BとR6B、R6BとR7B、R7BとR8B、R8BとR9B、R1BとR9Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成しないことが好ましい。
【0128】
9Bで表されるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲は、R1及びR2で表されるアリール基及び1価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0129】
9Bが有していてもよい置換基の好ましい範囲は、R1及びR2が有していてもよい置換基の好ましい範囲と同じである。
【0130】
9Bは、好ましくは、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基である。R9Bで表されるアリール基及び1価の複素環基としては、好ましくは式(D−A)〜式(D−C)で表される基である。但し、R9Bが式(D−A)又は式(D−B)で表される基であり、且つ、mDA1が0の場合、式(D−A)及び式(D−B)中、ArDA1、ArDA2およびArDA3に結合するGDAは芳香族炭化水素基又は複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0131】
9Bは、本発明の化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C4)で表される基であり、更に好ましくは、式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)〜式(D-C3)で表される基であり、特に好ましくは式(D-A1)、式(D-B1)又は式(D-C1)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(D-B1)で表される基である。
【0132】
式(1−B)で表される基は、本発明の化合物を容易に合成できるため、好ましくは式(1−B−B1)又は式(1−B−B2)で表される基であり、より好ましくは式(1−B−B1)で表される基である。
【0133】
【化31】
【0134】
式(1−B)で表される基としては、例えば、式(1−B−1)〜式(1−B−27)で表される基が挙げられ、好ましくは、式(1−B−1)〜式(1−B−21)で表される基であり、より好ましくは、式(1−B−1)〜式(1−B−14)で表される基であり、更に好ましくは、式(1−B−1)〜式(1−B−8)で表される基である。
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】
【0138】
式(1)で表される化合物としては、例えば、式(1−1)〜式(1−19)で表される化合物が挙げられ、好ましくは、式(1−4)〜式(1−17)で表される化合物であり、より好ましくは、式(1−6)〜式(1−13)で表される化合物である。
【0139】
【表6】
【0140】
<式(1)で表される化合物の製造方法>
本発明の化合物は、Suzuki反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いる、公知のカップリング反応等を用いて合成することができる。
【0141】
[化合物(1’)の製造方法]
まず、式(1)で表される化合物において、複数存在するL1のすべてが単結合である化合物(以下、「化合物(1’)」と言う。)の製造方法を説明する。
【0142】
例えば、化合物(1’)は、式(1’−1)で表される化合物と、式(1’−2)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物と、式(1’−4)で表される化合物とを、公知のカップリング反応等を用いて反応させることにより、合成することができる。
【0143】
【化32】
[式中、
Ar1、R1及びR2は前記と同じ意味を表す。
C1〜ZC6は、それぞれ独立に、置換基A群及び置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。]
【0144】
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)2C1(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
【0145】
<置換基B群>
−B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基;
−BF3Q'(式中、Q'は、Li、Na、K、Rb又はCsを表す。)で表される基;
−MgY'(式中、Y'は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;
−ZnY''(式中、Y''は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;及び、
−Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合するスズ原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0146】
−B(ORC2)2で表される基としては、式(W-1)-式(W-10)で表される基が例示される。
【0147】
【化33】
【0148】
[合成方法1,2]
例えば、式(1’−1)で表される化合物と、式(1’−2)で表される化合物とを1回又は2回以上カップリング反応させることにより、式(1’−5)で表される化合物又は式(1’−6)で表される化合物を合成することができる。
【0149】
【化34】
[式中、Ar1、ZC1、ZC2及びZC3は前記と同じ意味を表す。]
【0150】
次に、例えば、式(1’−5)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物と、式(1’−4)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法1」と言う。)。
或いは、例えば、式(1’−6)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物と、式(1’−4)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法2」と言う。)。
【0151】
合成方法1において、例えば、ZC1及びZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1及びZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0152】
合成方法2において、例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0153】
[合成方法3〜6]
例えば、式(1’−1)で表される化合物又は式(1’−2)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物又は式(1’−4)で表される化合物とを、カップリング反応させることにより、式(1’−7)〜式(1’−10)で表される化合物で表される化合物を合成することができる。
【0154】
【化35】
[式中、Ar1、ZC2、ZC4、R1及びR2は前記と同じ意味を表す。]
【0155】
次に、例えば、式(1’−7)で表される化合物と、式(1’−10)で表される化合物とを、カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法3」と言う。)。
或いは、例えば、式(1’−7)で表される化合物と、式(1’−8)で表される化合物と、式(1’−2)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法4」と言う。)。
或いは、例えば、式(1’−7)で表される化合物と、式(1’−8)で表される化合物と、式(1’−1)で表される化合物と、式(1’−2)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法5」と言う。)。
或いは、例えば、式(1’−7)で表される化合物と、式(1’−10)で表される化合物と、式(1’−1)で表される化合物と、式(1’−2)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’)を合成することができる(以下、「合成方法6」と言う。)。
【0156】
合成方法3において、例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0157】
合成方法4において、例えば、ZC1及びZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1及びZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0158】
合成方法5において、例えば、ZC1及びZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1及びZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4、ZC5及びZC6は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0159】
合成方法6において、例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基B群から選ばれる基を選択する。例えば、ZC1、ZC2及びZC6が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3、ZC4及びZC5は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0160】
[式(1’’)化合物の製造方法]
次に、式(1)で表される化合物において、複数存在するL1のうち、少なくとも1つが−N(RZ1)−で表される基である化合物(以下、「化合物(1’’)」と言う)の製造方法を説明する。
【0161】
例えば、化合物(1’’)は、式(1’−1)で表される化合物及び/又は式(1’−2)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物と、式(1’−4)で表される化合物と、式(1’−11)で表される化合物とを、公知のカップリング反応等を用いて反応させることにより、合成することができる。
【0162】
【化36】
[式中、RZ1は前記と同じ意味を表す。]
【0163】
[合成方法7]
例えば、化合物(1’’)は、合成方法1〜6に同様の方法又は準じた方法により、合成することができる。詳細には、例えば、式(1’−1)で表される化合物と、式(1’−11)で表される化合物とを1回又は2回以上カップリング反応させることにより、式(1’’−1)で表される化合物を合成することができる。
【0164】
【化37】
[式中、Ar1、RZ1、n1及びZC1は前記と同じ意味を表す。]
【0165】
次に、式(1’’−1)で表される化合物と、式(1’−3)で表される化合物と、式(1’−4)で表される化合物とを、1回又は2回以上カップリング反応させることにより、化合物(1’’)を合成することができる(以下、「合成方法7」と言う。)。
【0166】
合成方法7において、例えば、ZC1、ZC2及びZC5が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC6は、置換基B群から選ばれる基を選択する。
【0167】
[化合物(1’)及び化合物(1’’)の製造方法の共通説明]
置換基A群から選ばれる基は、カップリング反応が容易に進行するので、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0168】
置換基B群から選ばれる基は、−B(ORC2)2で表される基が好ましく、より好ましくは、式(W-7)で表される基である。
【0169】
カップリング反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトン、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。
【0170】
カップリング反応において、反応時間は、通常、30分〜150時間であり、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間である。
【0171】
カップリング反応において、反応を促進するために、パラジウム触媒等の触媒を用いてもよい。パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が挙げられる。
【0172】
パラジウム触媒は、トリフェニルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のリン化合物と併用してもよい。
【0173】
カップリング反応において、必要に応じて、パラジウム触媒と塩基を併用してもよい。
【0174】
2回以上カップリング反応を行う場合、それらは同一の条件で反応させてもよく、異なる条件で反応させてもよい。
【0175】
<式(1)で表される化合物の製造方法>で説明した各反応において用いられる化合物、触媒及び溶媒は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0176】
式(1’−1)〜式(1’−4)及び式(1’−11)で表される化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.等から入手可能である。
【0177】
また、国際公開第2002/045184号、特開2010−031259号公報、特開2012−144722号公報、国際公開第2002/067343号等の文献に記載の公知の方法により製造することも可能である。
【0178】
<組成物>
本発明の組成物は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料(本発明の化合物とは異なる。)、酸化防止剤及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、本発明の化合物とを含有する。
【0179】
本発明の組成物において、本発明の化合物は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0180】
[ホスト材料]
本発明の化合物は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料との組成物とすることにより、本発明の化合物を用いて得られる発光素子の駆動電圧はより低いものとなる。本発明の組成物において、ホスト材料は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0181】
本発明の化合物とホスト材料とを含有する組成物において、本発明の化合物の含有量は、本発明の化合物とホスト材料との合計を100重量部とした場合、通常、0.05〜80重量部であり、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜30重量部であり、更に好ましくは5〜20重量部である。
【0182】
ホスト材料の有する最低励起一重項状態(S1)は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の外部量子効率が優れるので、本発明の化合物の有するS1と同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0183】
ホスト材料としては、本発明の化合物を含む組成物を用いて得られる発光素子を溶液塗布プロセスで作製できるので、本発明の化合物を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0184】
ホスト材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物である。
【0185】
ホスト材料としては、例えば、後述の正孔輸送材料、後述の電子輸送材料が挙げられる。
【0186】
[高分子ホスト]
ホスト材料として好ましい高分子化合物(以下、「高分子ホスト」と言う。)に関して説明する。
【0187】
高分子ホストは、好ましくは、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール誘導体、又は、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、より好ましくは、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
【0188】
【化38】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0189】
ArY1で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)〜式(A-11)、式(A-14)又は式(A-19)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)、式(A-7)、式(A-9)、式(A-11)又は式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0190】
ArY1で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-13)、式(AA-15)、式(AA-18)又は式(AA-20)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-18)又は式(AA-20)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0191】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、後述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0192】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(X)のArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0193】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0194】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)〜式(Y-7)で表される構成単位が挙げられ、高分子ホストと本発明の化合物とを含有する組成物を用いた発光素子の駆動電圧が更に低いものとなるため、好ましくは式(Y-1)又は式(Y-2)で表される構成単位であり、高分子ホストの電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-3)又は式(Y-4)で表される構成単位であり、高分子ホストの正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-5)〜式(Y-7)で表される構成単位である。
【0195】
【化39】
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0196】
Y1は、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0197】
式(Y-1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y-1')で表される構成単位である。
【0198】
【化40】
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
【0199】
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0200】
【化41】
[式中、
Y1は前記と同じ意味を表す。
Y1は、−C(RY2)2−、−C(RY2)=C(RY2)−又は−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0201】
Y2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0202】
Y1において、−C(RY2)2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、双方がアリール基、双方が1価の複素環基、又は、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基もしくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)〜式(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0203】
【化42】
【0204】
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0205】
Y1において、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基又はシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基は、好ましくは式(Y-B1)〜式(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0206】
【化43】
[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
【0207】
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2')で表される構成単位であることが好ましい。
【0208】
【化44】
[式中、RY1及びXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0209】
【化45】
[式中、
Y1は前記と同じ意味を表す。
Y3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0210】
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0211】
【化46】
[式中、
Y1は前記を同じ意味を表す。
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0212】
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0213】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-11)〜式(Y-55)で表される構成単位、及び、後述の化合物CM1及び化合物CM2に由来する構成単位が挙げられる。
【0214】
【化47】
【0215】
【化48】
【0216】
【化49】
【0217】
【化50】
【0218】
【化51】
【0219】
【化52】
【0220】
【化53】
【0221】
【化54】
【0222】
【化55】
【0223】
【化56】
【0224】
【化57】
【0225】
【化58】
【0226】
【化59】
【0227】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、高分子ホストと本発明の化合物とを含有する組成物を用いた発光素子の駆動電圧がより低くなるため、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは50〜100モル%である。
【0228】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、高分子ホストの電荷輸送性が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜40モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
【0229】
式(Y)で表される構成単位は、高分子ホスト中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0230】
高分子ホストは、正孔輸送性が優れるので、更に、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0231】
【化60】
[式中、
1及びa2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0232】
X1は、高分子ホストと本発明の化合物とを含有する組成物を用いた発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。
【0233】
X2は、高分子ホストと本発明の化合物とを含有する組成物を用いた発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。
【0234】
X1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0235】
ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)又は式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0236】
ArX1及びArX3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)又は式(AA-7)〜式(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0237】
ArX1及びArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0238】
ArX2及びArX4で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)〜式(A-11)又は式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0239】
ArX2及びArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1及びArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
【0240】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1及びArX3で表されるアリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同じである。
【0241】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0242】
【化61】
[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0243】
XXは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0244】
ArX2及びArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0245】
ArX1〜ArX4及びRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0246】
式(X)で表される構成単位としては、好ましくは式(X-1)〜式(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-3)〜式(X-7)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)〜式(X-6)で表される構成単位である。
【0247】
【化62】
【0248】
【化63】
【0249】
【化64】
【0250】
【化65】
[式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0251】
式(X)で表される構成単位は、高分子ホストの正孔輸送性が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0252】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)〜式(X1-19)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-6)〜式(X1-14)で表される構成単位である。
【0253】
【化66】
【0254】
【化67】
【0255】
【化68】
【0256】
【化69】
【0257】
【化70】
【0258】
【化71】
【0259】
【化72】
【0260】
【化73】
【0261】
高分子ホストにおいて、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0262】
高分子ホストとしては、例えば、高分子化合物(P-1)〜(P-6)が挙げられる。ここで、「その他」の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0263】
【表7】
[表中、p、q、r、s及びtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。]
【0264】
高分子ホストは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0265】
<高分子ホストの製造方法>
高分子ホストは、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0266】
前記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、例えば、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法が挙げられる。
【0267】
遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒が挙げられる。
【0268】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。高分子ホストの純度が低い場合、例えば、晶析、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0269】
本発明の化合物及び溶媒を含有する組成物(以下、「インク」と言う。)は、インクジェットプリント法、ノズルプリント法等の印刷法を用いた発光素子の作製に好適である。
【0270】
インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
【0271】
インクに含まれる溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;THF、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0272】
インクにおいて、溶媒の配合量は、本発明の化合物100重量部に対して、通常、1000〜100000重量部であり、好ましくは2000〜20000重量部である。
【0273】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
【0274】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノンが挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0275】
本発明の組成物において、正孔輸送材料の配合量は、本発明の化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0276】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0277】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0278】
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0279】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0280】
本発明の組成物において、電子輸送材料の配合量は、本発明の化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0281】
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0282】
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0283】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0284】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0285】
本発明の組成物において、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、本発明の化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0286】
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0287】
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0288】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0289】
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0290】
[発光材料]
発光材料(本発明の化合物とは異なる。)は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
【0291】
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
【0292】
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
【0293】
発光材料は、好ましくは、三重項発光錯体及び高分子化合物を含む。
【0294】
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0295】
【化74】
【0296】
【化75】
【0297】
【化76】
【0298】
【化77】
【0299】
【化78】
【0300】
本発明の組成物において、発光材料の含有量は、本発明の化合物100重量部に対して、通常、0.1〜400重量部である。
【0301】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、本発明の化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0302】
本発明の組成物において、酸化防止剤の配合量は、本発明の化合物100重量部に対して、通常、0.001〜10重量部である。
【0303】
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0304】
<膜>
膜は、本発明の化合物を含有する。
【0305】
膜は、発光素子における発光層として好適である。
【0306】
膜は、インクを用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができる。
【0307】
膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0308】
<発光素子>
本発明の発光素子は、本発明の化合物を含有する発光素子である。
本発明の発光素子の構成としては、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の化合物を含有する層とを有する。
【0309】
[層構成]
本発明の化合物を含有する層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した溶媒に溶解させ、インクを調製して用い、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。
【0310】
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本発明の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0311】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、例えば、本発明の化合物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料が挙げられる。
【0312】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0313】
本発明の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0314】
積層する層の順番、数及び厚さは、外部量子効率及び輝度寿命を勘案して調整する。
【0315】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0316】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0317】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0318】
[用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、又は、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0319】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0320】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動層にテトラヒドロフランを用い、下記のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
【0321】
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0322】
LC−MSは、下記の方法で測定した。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させ、LC−MS(Agilent製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリル及びテトラヒドロフランの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0323】
TLC−MSは、下記の方法で測定した。
測定試料をトルエン、テトラヒドロフラン又はクロロホルムのいずれかの溶媒に任意の濃度で溶解させ、DART用TLCプレート(テクノアプリケーションズ社製、商品名:YSK5−100)上に塗布し、TLC−MS(日本電子社製、商品名:JMS−T100TD(The AccuTOF TLC))を用いて測定した。測定時のヘリウムガス温度は、200〜400℃の範囲で調節した。
【0324】
NMRは、下記の方法で測定した。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N-ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2−プロパノール又は重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(Agilent製、商品名:INOVA300又はMERCURY 400VX)を用いて測定した。
【0325】
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC−20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン又はクロロホルムに溶解させ、濃度に応じてHPLCに1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル/テトラヒドロフランの比率を100/0〜0/100(容積比)まで変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0326】
<合成例1> 高分子化合物HP−1の合成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2012−144721号公報に記載の方法に従って合成した化合物CM1(1.73g)、化合物CM2(0.843g),ジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)及びトルエン(40ml)を加え、105℃に加熱した。
【0327】
【化79】
【0328】
得られた反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.7g)を滴下し、3時間還流させた。
その後、そこに、9−ブロモアントラセン(64.1mg)、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.8g)及びジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)を加え、16時間還流させた。
その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応液を冷却後、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈殿が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通液することにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物HP−1を0.91g得た。高分子化合物HP−1のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ、Mn=1.2×105及びMw=4.8×105であった。
【0329】
高分子化合物HP−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM1から誘導される構成単位と、化合物CM2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0330】
<合成例2> 高分子化合物HTL−1の合成
【0331】
【化80】
【0332】
高分子化合物HTL−1は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した化合物CM3、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した化合物CM4及び国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した化合物CM5を用いて、国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。
【0333】
高分子化合物HTL−1のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ、Mn=8.9×104及びMw=4.2×105であった。
【0334】
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM3から誘導される構成単位と、化合物CM4から誘導される構成単位と、化合物CM5から誘導される構成単位とが、50:42.5:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0335】
<実施例1> 化合物EM1の合成
(化合物EM1bの合成)
【0336】
【化81】
【0337】
反応容器内を窒素雰囲気とした後、特開2010−031259号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1a(50.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(26.6g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2,1.49g)、酢酸カリウム(26.8g)及び1,4−ジオキサン(350mL)を加え、加熱還流下で4時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製した後、トルエン及び酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶し、乾燥させることにより、化合物EM1b(12.5g、白色固体)を得た。化合物EM1bのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0338】
LC−MS(ESI,positive):m/z=1192[M]+
【0339】
(化合物EM1eの合成)
【0340】
【化82】
【0341】
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1c(8.23g)、特開2012−144722号公報に記載の方法に準じて合成した化合物EM1d(2.44g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.204g)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(1.56g)、トルエン(45mL)、tert−ブチルアルコール(25mL)、イオン交換水(13mL)及びテトラヒドロフラン(23mL)を加え、85℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲル(ODS)カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル及びテトラヒドロフランの混合溶媒)により精製することにより、化合物EM1e(2.74g、黄色固体)を得た。化合物EM1eのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0342】
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.76−0.86(m,20H),1.10−1.29(m,42H),1.47−1.54(m,8H),1.88(s,6H),2.45−2.50(m,12H),6.79−6.84(m,6H),6.97−6.99(m,2H),7.06−7.13(m,2H),5.35(d,2H),7.43−7.47(m,6H),7.52−7.56(m,4H),7.61(d,2H),7.74(d,4H).
LC−MS(ESI,positive):m/z=1439[M]+
【0343】
(化合物EM1fの合成)
【0344】
【化83】
【0345】
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、化合物EM1b(1.53g)、化合物EM1e(7.40g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(74.2mg)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(0.76g)、トルエン(15mL)、tert−ブチルアルコール(9mL)、イオン交換水(4.5mL)及びテトラヒドロフラン(7.5mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え、反応液をイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲル(ODS)カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル及びテトラヒドロフランの混合溶媒)により精製することにより、化合物EM1f(2.5g、黄色固体)を得た。化合物EM1fのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0346】
(化合物EM1の合成)
【0347】
【化84】
【0348】
反応容器内をアルゴン雰囲気とした後、化合物EM1f(0.50g)、フェニルボロン酸(66.6mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.89mg)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(80.4mg)、トルエン(6mL)、tert−ブチルアルコール(3mL)、イオン交換水(2mL)及びテトラヒドロフラン(3mL)を加え、90℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、シリカゲルを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒)により精製した後、テトラヒドロフラン及びイソプロパノールの混合溶媒を用いて再結晶し、乾燥させることにより、化合物EM1(450mg、黄色固体)を得た。化合物EM1のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0349】
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.76−0.85(m,40H),1.10−1.23(m,76H),1.37(s,36H),1.43−1.53(m,24H),1.91−1.94(m,12H),2.44−2.50(m,24H),6.19(m,2H),6.81−7.14(m,24H),7.29−7.84(m,70H),8.13(s,1H).
【0350】
<実施例2> 化合物EM2の合成
(化合物EM2bの合成)
【0351】
【化85】
【0352】
反応容器内を窒素雰囲気とした後、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物EM1c(5.00g)、化合物EM2a(4.94g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.121g)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.53g)及びトルエン(200mL)を加え、55℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、セライトを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液から水層を除去した後、得られた有機層を減圧濃縮した。そこへ、ヘキサン、トルエン及び活性炭を加え、室温で1時間攪拌した後、セライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒、並びに、ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒)により精製することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をアセトン及びヘキサンの混合溶媒で洗浄することにより固体を得た。この固体に、ヘキサン、トルエン及び活性炭を加え、室温で1時間攪拌した後、シリカゲル及びセライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより、化合物EM2b(2.5g)を得た。化合物EM2bのHPLC面積百分率値は99.25%であった。
【0353】
LC−MS(ESI,positive):m/z=1259[M]+
【0354】
(化合物EM2の合成)
【0355】
【化86】
【0356】
反応容器内を窒素雰囲気とした後、化合物EM2b(2.45g)、化合物EM1b(1.16g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(55mg)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(1.15g)及びトルエン(25mL)を加え、55℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、イオン交換水を加え、セライトを敷いたろ過器でろ過した。得られたろ液から水層を除去した後、得られた有機層を減圧濃縮した。そこへ、トルエン及び活性炭を加え、40℃で1時間攪拌した後、セライトを敷いたろ過器でろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製し、更に、メタノールで洗浄した後、乾燥させることにより、化合物EM2(0.83g)を得た。化合物EM2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0357】
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=0.75(t,12H),1.17−1.59(m,140H),1.95(s,6H),2.44(t,8H),6.20(d,2H),6.77−7.01(m,10H),7.39−7.91(m,86H),8.13(s,1H).
LC−MS(ESI,positive):m/z=3297[M]+
【0358】
<実施例D1> 発光素子D1の作製及び評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0359】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL−1を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0360】
(発光層の形成)
クロロベンゼンに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(高分子化合物PVK)(Sigma−Aldrich社製、重量平均分子量〜1.1×106、粉末状)及び化合物EM1(高分子化合物PVK/化合物EM1=90重量%/10重量%)を1.3重量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、150℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0361】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0362】
(評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/m2における駆動電圧は7.1V、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.12)であった。5000cd/m2における駆動電圧は10.5Vであり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.12)であった。
【0363】
<実施例D2> 発光素子D2の作製及び評価
実施例D1における、高分子化合物PVK及び化合物EM1(高分子化合物PVK/化合物EM1=90重量%/10重量%)に代えて、高分子化合物PVK及び化合物EM2(高分子化合物PVK/化合物EM2=90重量%/10重量%)を用いた以外は実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
【0364】
(評価)
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/m2における駆動電圧は6.5V、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.14)であった。5000cd/m2における駆動電圧は9.8Vであり、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.13)であった。
【0365】
<実施例D3> 発光素子D3の作製及び評価
実施例D1の(正孔輸送層の形成)における、「キシレンに、高分子化合物HTL−1を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。」に代えて、「クロロベンゼンに、高分子化合物HTL−1を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。」とし、更に、実施例D1の(発光層の形成)における、「クロロベンゼンに、高分子化合物PVK及び化合物EM1(高分子化合物PVK/化合物EM1=90重量%/10重量%)を1.3重量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、150℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。」に代えて、「クロロベンゼンに、高分子化合物HP−1及び化合物EM1(高分子化合物HP−1/化合物EM1=90重量%/10重量%)を0.8重量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子D3を作製した。
【0366】
(評価)
発光素子D3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/m2における駆動電圧は5.1V、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.14)であった。5000cd/m2における駆動電圧は8.0V、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.14)であった。
【0367】
<実施例D4> 発光素子D4の作製及び評価
実施例D3における、高分子化合物HP−1及び化合物EM1(高分子化合物HP−1/化合物EM1=90重量%/10重量%)に代えて、高分子化合物HP−1及び化合物EM2(高分子化合物HP−1/化合物EM2=90重量%/10重量%)用いた以外は実施例D3と同様にして、発光素子D4を作製した。
【0368】
(評価)
発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/m2における駆動電圧は5.3V、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.14)であった。5000cd/m2における駆動電圧は8.6Vであり、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.14)であった。
【0369】
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製及び評価
実施例D1における、「クロロベンゼンに、高分子化合物PVK及び化合物EM1(高分子化合物PVK/化合物EM1=90重量%/10重量%)を1.3重量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、高分子化合物PVK及び特開2006−199698号公報に記載の方法に準じて合成した化合物EM3(高分子化合物PVK/化合物EM3=90重量%/10重量%)を0.8重量%の濃度で溶解させた。」とする以外は実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
【0370】
【化87】
【0371】
(評価)
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/m2における駆動電圧は7.8V、CIE色度座標(x,y)は(0.17,0.17)であった。5000cd/m2における駆動電圧は12.0Vであり、CIE色度座標(x,y)は(0.17,0.17)であった。
【0372】
【表8】